(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161244
(43)【公開日】2023-11-07
(54)【発明の名称】アダプタプレート、電磁接触器の取付構造、及び電磁接触器の取付方法
(51)【国際特許分類】
H01H 50/04 20060101AFI20231030BHJP
H05K 7/12 20060101ALI20231030BHJP
H02B 1/04 20060101ALI20231030BHJP
【FI】
H01H50/04 B
H05K7/12 D
H02B1/04 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022071488
(22)【出願日】2022-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】508296738
【氏名又は名称】富士電機機器制御株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(72)【発明者】
【氏名】大野 貴史
(72)【発明者】
【氏名】深谷 直樹
【テーマコード(参考)】
4E353
5G016
【Fターム(参考)】
4E353AA17
4E353AA21
4E353BB20
4E353CC02
4E353CC12
4E353CC13
4E353CC16
4E353CC33
4E353CC36
4E353DD03
4E353DD08
4E353DR04
4E353DR08
4E353DR24
4E353DR27
4E353DR36
4E353DR42
4E353DR49
4E353GG09
4E353GG11
4E353GG21
5G016CD08
(57)【要約】
【課題】アダプタプレートにおいて、電磁接触器を取付けたときの省スペース化を図る。
【解決手段】アダプタプレート11は、基板12を備える。基板12における縦方向の一方には、貫通孔13が形成される。基板12における縦方向の他方には、貫通孔14が形成される。基板12における縦方向の他方には、基板12に対向して電磁接触器31を挟み込み可能な対向板15が形成される。電磁接触器31を基板12と対向板15との間に挟み込んだときに、電磁接触器31に形成された取付孔34が貫通孔13に重なる。取付孔34及び貫通孔13に取付ねじが挿入されて共締めによって取付面Sに締結され、且つ貫通孔14に取付ねじが挿入されて取付面Sに締結される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を備え、
前記基板における縦方向の一方に、第一の貫通孔が形成され、
前記基板における縦方向の他方に、第二の貫通孔が形成され、
前記基板における縦方向の他方に、前記基板に対向して電磁接触器を挟み込み可能な対向板が形成され、
前記電磁接触器を前記基板と前記対向板との間に挟み込んだときに、前記電磁接触器に形成された取付孔が前記第一の貫通孔に重なり、前記取付孔及び前記第一の貫通孔に取付ねじが挿入されて共締めによって取付面に締結され、且つ前記第二の貫通孔に取付ねじが挿入されて前記取付面に締結されることを特徴とするアダプタプレート。
【請求項2】
前記基板における縦方向の他方から奥行方向の手前に向かう端板が形成され、
前記対向板は、前記端板における奥行方向の手前から縦方向の一方に向かって突出するように形成されていることを特徴とする請求項1に記載のアダプタプレート。
【請求項3】
前記対向板は、縦方向の一方に向かうほど前記基板に近づくように形成されていることを特徴とする請求項1に記載のアダプタプレート。
【請求項4】
前記対向板には、縦方向の他方に向かって凹となる切欠き部が形成され、
前記切欠き部は、前記電磁接触器に嵌り合うことで前記電磁接触器における幅方向の位置を規制することを特徴とする請求項1に記載のアダプタプレート。
【請求項5】
前記対向板の先端には、奥行方向の手前に曲げられた規制板が形成され、
前記規制板は、前記電磁接触器に当接して前記電磁接触器における縦方向の位置を規制することを特徴とする請求項1に記載のアダプタプレート。
【請求項6】
前記対向板の先端には、縦方向の一方に向かうほど奥行方向の手前に向かう案内板が形成され、
前記案内板は、前記電磁接触器が挟み込まれるときに前記電磁接触器を前記基板と前記対向板との間に案内することを特徴とする請求項1に記載のアダプタプレート。
【請求項7】
前記第二の貫通孔は、前記基板における幅方向の一方に形成され、
前記第一の貫通孔は、前記基板における幅方向の他方に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のアダプタプレート。
【請求項8】
ねじ止めされた従来機種を現行機種の前記電磁接触器に交換するときに用いられることを特徴とする請求項1に記載のアダプタプレート。
【請求項9】
前記第一の貫通孔及び前記第二の貫通孔は、縦方向及び幅方向のピッチが、従来機種に形成された取付孔のピッチに対応していることを特徴とする請求項8に記載のアダプタプレート。
【請求項10】
縦方向の一方に、取付孔が形成された電磁接触器と、
前記電磁接触器を予め定めた取付面に取付ける際に、前記電磁接触器と前記取付面との間に介在されるアダプタプレートと、を備え、
前記アダプタプレートは、
基板を備え、
前記基板における縦方向の一方に、第一の貫通孔が形成され、
前記基板における縦方向の他方に、第二の貫通孔が形成され、
前記基板における縦方向の他方に、前記基板に対向して前記電磁接触器を挟み込み可能な対向板が形成され、
前記電磁接触器を前記基板と前記対向板との間に挟み込んだときに、互いに重なった前記取付孔の一方及び前記第一の貫通孔に取付ねじが挿入されて共締めによって前記取付面に締結され、且つ前記第二の貫通孔に取付ねじが挿入されて前記取付面に締結されることで、前記アダプタプレートを介して前記電磁接触器が前記取付面に取付けられることを特徴とする電磁接触器の取付構造。
【請求項11】
電磁接触器における縦方向の一方には、ねじ止め用の取付孔が形成され、
アダプタプレートの基板には、縦方向の一方に第一の貫通孔が形成され、
前記基板には、縦方向の他方に第二の貫通孔が形成され、
前記基板には、縦方向の他方に、前記基板に対向して前記電磁接触器を挟み込み可能な対向板が形成されており、
前記電磁接触器を予め定めた取付面に取付ける際には、前記電磁接触器を前記基板と前記対向板との間に挟み込み、前記電磁接触器と前記取付面との間に前記基板を介在させ、互いに重なった前記取付孔の一方及び前記第一の貫通孔に取付ねじを挿入して共締めによって前記取付面に締結し、前記第二の貫通孔に取付ねじを挿入して前記取付面に締結することで、前記アダプタプレートを介して前記電磁接触器を前記取付面に取付けることを特徴とする電磁接触器の取付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アダプタプレート、電磁接触器の取付構造、及び電磁接触器の取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電磁接触器は、特許文献1に示されるように、DIN規格に準拠した支持レールに取付けることができるが、電磁接触器の四隅に取付孔もあるため、そのうち対角線にある二つの取付孔を用いて、ねじ止めすることもできる。ねじ止めしている場合、電磁接触器を従来機種から現行機種に変更すると、取付孔のピッチが異なることがあり、そのようなときには互換性をもたせるためにアダプタプレートを用いる。アダプタプレートは、取付互換アタッチメントや補助取付板等とも呼ばれており、特許文献2に示されるように、従来機種及び現行機種の夫々のピッチに対応した取付孔が形成されている。したがって、現行機種のピッチに対応した取付孔を用いてアダプタプレートに電磁接触器を取付け、従来機種のピッチに対応した取付孔を用いてアダプタプレートを所定の取付面に取付けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6202201号公報
【特許文献2】実開昭56-134406号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アダプタプレートは、電磁接触器をねじ止めするねじが裏側に突き出るため、電磁接触器をねじ止めする面が、アダプタプレートの取付面に対して離れるように、側方から見て凸状に形成する必要がある。そのため、取付面にアダプタプレートを介して電磁接触器を取付けると、取付面にじかに電磁接触器を取付けるときよりも、電磁接触器が出っ張ってしまう。
本発明の目的は、アダプタプレートにおいて、電磁接触器を取付けたときの省スペース化を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係るアダプタプレートは、基板を備える。基板における縦方向の一方に、第一の貫通孔が形成され、基板における縦方向の他方に、第二の貫通孔が形成され、基板における縦方向の他方に、基板に対向して電磁接触器を挟み込み可能な対向板が形成される。電磁接触器を基板と対向板との間に挟み込んだときに、電磁接触器に形成された取付孔が第一の貫通孔に重なり、取付孔及び第一の貫通孔に取付ねじが挿入されて共締めによって取付面に締結される。且つ、第二の貫通孔に取付ねじが挿入されて取付面に締結される。
【0006】
本発明の他の態様に係る電磁接触器の取付構造は、縦方向の一方に、取付孔が形成された電磁接触器と、電磁接触器を予め定めた取付面に取付ける際に、電磁接触器と取付面との間に介在されるアダプタプレートと、を備える。アダプタプレートは、基板を備える。基板における縦方向の一方に、第一の貫通孔が形成され、基板における縦方向の他方に、第二の貫通孔が形成され、基板における縦方向の他方に、基板に対向して電磁接触器を挟み込み可能な対向板が形成される。電磁接触器を基板と対向板との間に挟み込んだときに、互いに重なった取付孔の一方及び第一の貫通孔に取付ねじが挿入されて共締めによって取付面に締結される。且つ、第二の貫通孔に取付ねじが挿入されて取付面に締結されることで、アダプタプレートを介して電磁接触器が取付面に取付けられる。
【0007】
本発明の他の態様に係る電磁接触器の取付方法は、電磁接触器における縦方向の一方に、ねじ止め用の取付孔が形成される。アダプタプレートの基板には、縦方向の一方に第一の貫通孔が形成され、基板には、縦方向の他方に第二の貫通孔が形成され、基板には、縦方向の他方に、基板に対向して電磁接触器を挟み込み可能な対向板が形成されている。電磁接触器を予め定めた取付面に取付ける際には、電磁接触器を基板と対向板との間に挟み込み、電磁接触器と取付面との間に基板を介在させる。そして、互いに重なった取付孔の一方及び第一の貫通孔に取付ねじを挿入して共締めによって取付面に締結し、第二の貫通孔に取付ねじを挿入して取付面に締結することで、アダプタプレートを介して電磁接触器を取付面に取付ける。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電磁接触器が一枚の基板を挟んで取付面に締結されるため、電磁接触器の出っ張りを抑制し、省スペース化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】Aタイプのアダプタプレートを示す図である。
【
図2】Bタイプのアダプタプレートを示す図である。
【
図6】Aタイプにおける挟み込み前の状態を示す図である。
【
図7】Aタイプにおける挟み込み後の状態を示す図である。
【
図8】Bタイプにおける挟み込み前の状態を示す図である。
【
図9】Bタイプにおける挟み込み後の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図面は模式的なものであって、現実のものとは異なる場合がある。また、以下の実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであり、構成を下記のものに特定するものでない。すなわち、本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0011】
《実施形態》
《構成》
以下の説明では、互いに直交する三方向を、便宜的に、縦方向、幅方向、及び奥行方向とする。なお、縦方向の一方及び他方は、縦方向の他方及び一方と読み替えてもよく、幅方向の一方及び他方は、幅方向の他方及び一方と読み替えてもよい。
アダプタプレートは、取付互換アタッチメントや補助取付板等とも呼ばれており、ねじ止めしている電磁接触器を従来機種から現行機種に変更するときに、従来機種のねじ穴を用いて現行機種を取付けるときに使用される。電磁接触器は、四隅に取付孔があるが、そのうち対角線にある二つの取付孔を用いてねじ止めされる。縦方向の一方で幅方向の他方の取付孔、及び縦方向の他方で幅方向の一方の取付孔を用いる場合をAタイプとし、縦方向の他方で幅方向の他方の取付孔、及び縦方向の一方で幅方向の一方の取付孔を用いる場合をBタイプとする。
【0012】
図1は、Aタイプのアダプタプレート11を示す図である。
図中の(a)は、アダプタプレート11を、縦方向の他方、幅方向の他方、及び奥行方向の手前から見た状態を示す。図中の(b)は、アダプタプレート11を、奥行方向の手前から見た状態を示す。図中の(c)は、アダプタプレート11を、幅方向の他方から見た状態を示す。アダプタプレート11は、厚さtが1.0mm程度で可撓性を有する一枚の金属板を曲げ加工して成形されており、基板12を備えている。基板12は、縦方向及び幅方向を面方向とする平板であり、幅方向より縦方向に長く、縦方向の他端側が幅方向の一方に突出している。基板12には、貫通孔13(第一の貫通孔)と、貫通孔14(第二の貫通孔)と、対向板15と、が形成されている。
【0013】
貫通孔13は、基板12のうち縦方向の一方で幅方向の他方に形成され、奥行方向に貫通した円形の孔である。貫通孔14は、基板12のうち縦方向の他方で幅方向の一方に突出した部分に形成され、奥行方向に貫通した円形の孔である。貫通孔13及び貫通孔14は、図示しない取付ねじの雄ねじ部よりも大径で、頭部よりも小径である。貫通孔13及び貫通孔14に取付ねじを挿入して締結することで、所定の取付面Sに基板12が固定される。貫通孔13及び貫通孔14において、縦方向のピッチをPv1とし、幅方向のピッチPw1とする。ここでは、一例としてPv1=60mm程度、Pw1=50mm程度とする。
【0014】
対向板15は、基板12における縦方向の他方に形成され、基板12に対向して電磁接触器を挟み込み可能になっている。具体的には、曲げ加工によって基板12における縦方向の他端から奥行方向の手前に向かう端板16が形成され、対向板15は、曲げ加工によって端板16における奥行方向の手前から縦方向の一方に向かって突出するように形成されている。対向板15は、板ばねとして機能し、基板12との間に挟み込まれた電磁接触器を弾性支持する。対向板15は、基板12における幅方向の略全体に形成され、貫通孔14が形成された幅方向の一方に突出した部分には形成されていない。対向板15は、基板12と略平行であるが、縦方向の一方に向かうほど基板12に近づくように、幅方向から見て僅かに傾斜させてある。
【0015】
対向板15には、縦方向の他方に向かって凹となる切欠き部17が形成されている。切欠き部17は、奥行方向から見て、縦方向の一方に向かって開いた略コ字状であり、幅方向の寸法をWn1とする。切欠き部17は、電磁接触器に嵌り合うことで電磁接触器における幅方向の位置を規制する。
切欠き部17よりも幅方向の一方において、対向板15の先端には、奥行方向の手前に曲げられた規制板18が形成されている。規制板18は、電磁接触器に当接して電磁接触器における縦方向の位置を規制する。
切欠き部17よりも幅方向の他方において、対向板15の先端には、縦方向の一方に向かうほど奥行方向の手前に向かうように傾斜した案内板19が形成されている。案内板19は、電磁接触器が挟み込まれるときに電磁接触器を基板12と対向板15との間に案内する。
【0016】
図2は、Bタイプのアダプタプレート21を示す図である。
図中の(a)は、アダプタプレート21を、縦方向の他方、幅方向の他方、及び奥行方向の手前から見た状態を示す。図中の(b)は、アダプタプレート21を、奥行方向の手前から見た状態を示す。図中の(c)は、アダプタプレート21を、幅方向の他方から見た状態を示す。アダプタプレート21は、厚さtが1.0mm程度で可撓性を有する一枚の金属板を曲げ加工して成形されており、基板22を備えている。基板22は、縦方向及び幅方向を面方向とする平板であり、幅方向より縦方向に長く、縦方向の一端側が幅方向の一方に突出している。基板22には、貫通孔23(第一の貫通孔)と、貫通孔24(第二の貫通孔)と、対向板25と、が形成されている。
【0017】
貫通孔23は、基板22のうち縦方向の他方で幅方向の他方に形成され、奥行方向に貫通した円形の孔である。貫通孔24は、基板22のうち縦方向の一方で幅方向の一方に突出した部分に形成され、奥行方向に貫通した円形の孔である。貫通孔23及び貫通孔24は、図示しない取付ねじの雄ねじ部よりも大径で、頭部よりも小径である。貫通孔23及び貫通孔24に取付ねじを挿入して締結することで、所定の取付面Sに基板22が固定される。貫通孔23及び貫通孔24において、縦方向のピッチをPv2とし、幅方向のピッチPw2とする。ここでは、一例としてPv2=58mm程度、Pw2=54mm程度とする。
【0018】
対向板25は、基板22における縦方向の一方に形成され、基板22に対向して電磁接触器を挟み込み可能になっている。具体的には、曲げ加工によって基板22における縦方向の一端から奥行方向の手前に向かう端板26が形成され、対向板25は、曲げ加工によって端板26における奥行方向の手前から縦方向の他方に向かって突出するように形成されている。対向板25は、板ばねとして機能し、基板22との間に挟み込まれた電磁接触器を弾性支持する。対向板25は、基板22における幅方向の略全体に形成され、幅方向の一方に突出して貫通孔24が形成された部分には形成されていない。対向板25は、基板22と略平行であるが、縦方向の他方に向かうほど基板22に近づくように、幅方向から見て僅かに傾斜させてある。
【0019】
対向板25には、縦方向の一方に向かって凹となる切欠き部27が形成されている。切欠き部27は、奥行方向から見て、縦方向の他方に向かって開いた略コ字状であり、幅方向の寸法をWn2とする。切欠き部27は、電磁接触器に嵌り合うことで電磁接触器における幅方向の位置を規制する。
切欠き部27のうち幅方向の中央において、対向板25の先端には、奥行方向の手前に曲げられた規制板28が形成されている。規制板28は、電磁接触器に当接して電磁接触器における縦方向の位置を規制する。
切欠き部27における幅方向の両側において、対向板25の先端には、縦方向の他方に向かうほど奥行方向の手前に向かうように傾斜した案内板29が形成されている。案内板29は、電磁接触器が挟み込まれるときに電磁接触器を基板22と対向板25との間に案内する。
【0020】
図3は、現行機種の電磁接触器31を示す図である。
図中の(a)は、電磁接触器31を、縦方向の他方、幅方向の他方、及び奥行方向の手前から見た状態を示す。図中の(b)は、電磁接触器31を、縦方向の一方、幅方向の一方、及び奥行方向の手前から見た状態を示す。電磁接触器31は、縦方向の一方が一次側となり電源側に接続され、縦方向の他方が二次側となり負荷側に接続される。
電磁接触器31には、縦方向の他方のうち奥行方向の奥側端部に、縦方向の他方に向かって張り出したフランジ状の基部32が形成されている。アダプタプレート11における基板12と対向板15との離隔距離のうち最大寸法は、基部32の奥行寸法に対応している。基部32には、取付孔33と、取付孔34と、が形成されている。取付孔33は、基部32のうち幅方向の一方に形成され、奥行方向に貫通した円形の孔である。取付孔34は、基部32のうち幅方向の他方に形成され、縦方向に長く奥行方向に貫通した長孔である。電磁接触器31には、縦方向の他方に、縦方向の他方に向かって張り出した幅狭の凸部35が形成されている。アダプタプレート11における切欠き部17の幅方向の寸法Wn1は、凸部35の幅寸法に対応している。
【0021】
電磁接触器31には、縦方向の一方のうち奥行方向の奥側端部に、縦方向の一方に向かって張り出したフランジ状の基部36が形成されている。アダプタプレート21における基板22と対向板25との離隔距離のうち最大寸法は、基部36の奥行寸法に対応している。基部36には、取付孔37と、取付孔38と、が形成されている。取付孔37は、基部36のうち幅方向の他方に形成され、奥行方向に貫通した円形の孔である。取付孔38は、基部36のうち幅方向の一方に形成され、縦方向に長く奥行方向に貫通した長孔である。電磁接触器31には、縦方向の一方に、縦方向の一方に向かって張り出した幅広の凸部39が形成されている。アダプタプレート21における切欠き部27の幅方向の寸法Wn2は、凸部39の幅寸法に対応している。
【0022】
図4は、電磁接触器31の取付ピッチを示す図である。
ここでは、奥行方向の手前から見た電磁接触器31の外形だけを示している。電磁接触器31は、縦方向の他方で幅方向の一方に取付孔33が形成され、縦方向の他方で幅方向の他方に取付孔34が形成され、縦方向の一方で幅方向の他方に取付孔37が形成され、縦方向の一方で幅方向の一方に取付孔38が形成されている。対角線にある取付孔37及び取付孔33において、縦方向のピッチをPv3とし、幅方向のピッチPw3とする。ここでは、一例としてPv3=60mm程度、Pw3=35mm程度とする。対角線にある取付孔34及び取付孔38において、縦方向のピッチをPv4とし、幅方向のピッチPw4とする。ここでは、一例としてPv4=50mm程度、Pw4=34mm程度とする。
【0023】
図5は、従来機種の電磁接触器41を示す図である。
図中の(a)は、電磁接触器41を、縦方向の他方、幅方向の他方、及び奥行方向の手前から見た状態を示す。図中の(b)は、電磁接触器41の取付ピッチを示す。電磁接触器41は、縦方向の他方で幅方向の一方に取付孔43が形成され、縦方向の他方で幅方向の他方に取付孔44が形成され、縦方向の一方で幅方向の他方に取付孔47が形成され、縦方向の一方で幅方向の一方に取付孔48が形成されている。対角線にある取付孔47及び取付孔43において、縦方向のピッチをPv5とし、幅方向のピッチをPw5とする。ここでは、一例としてPv5=60mm程度、Pw5=50mm程度とする。対角線にある取付孔44及び取付孔48において、縦方向のピッチをPv6とし、幅方向のピッチをPw6とする。ここでは、一例としてPv6=58mm程度、Pw6=54mm程度とする。
【0024】
現行機種の電磁接触器31と従来機種の電磁接触器41とは、各ピッチが以下の関係にある。
Pv3=Pv5、 Pw3<Pw5
Pv4<Pv6、 Pw4<Pw6
従来機種の電磁接触器41とAタイプのアダプタプレート11とは、各ピッチが以下の関係にある。
Pv5=Pv1、 Pw5=Pw1
従来機種の電磁接触器41とBタイプのアダプタプレート21とは、各ピッチが以下の関係にある。
Pv6=Pv2、 Pw6=Pw2
【0025】
《取付方法》
次に、従来機種の電磁接触器41から現行機種の電磁接触器31に交換するときの取付方法について説明する。
Aタイプの場合、まず対角線にある取付孔47及び取付孔43にねじ止めされた取付ねじを締結解除し、従来機種の電磁接触器41を取外す。
次いでAタイプのアダプタプレート11に現行機種の電磁接触器31を挟み込む。
図6は、Aタイプにおける挟み込み前の状態を示す図である。
図中の(a)は、アダプタプレート11及び電磁接触器31を、縦方向の他方、幅方向の他方、及び奥行方向の手前から見た状態を示す。図中の(b)は、アダプタプレート11及び電磁接触器31を、縦方向の一方、幅方向の一方、及び奥行方向の手前から見た状態を示す。
【0026】
電磁接触器31の基部32を対向板15及び端板16に向けて、電磁接触器31の裏面をアダプタプレート11の表面に接触させる。そして、アダプタプレート11をスライドさせて基板12と対向板15との間に電磁接触器31の基部32を挟み込む。このとき、案内板19が基部32に接触して対向板15の先端側が持ち上がり、基板12と対向板15との間に電磁接触器31の基部32が案内される。そして、幅狭の凸部35に切欠き部17が嵌り合うことで、電磁接触器31における幅方向の位置が規制される。さらに、電磁接触器31における縦方向の他方に規制板18が当接することで、電磁接触器31における縦方向の位置が規制される。このとき、奥行方向から見て、取付孔37と貫通孔13とが重なる。
【0027】
図7は、Aタイプにおける挟み込み後の状態を示す図である。
図中の(a)は、アダプタプレート11及び電磁接触器31を、縦方向の他方、幅方向の他方、及び奥行方向の手前から見た状態を示す。図中の(b)は、アダプタプレート11及び電磁接触器31を、幅方向の他方から見た状態を示す。
そして、電磁接触器31と取付面Sとの間に基板12を介在させ、アダプタプレート11を介して電磁接触器31を取付面Sに取付ける。すなわち、互いに重なった取付孔37及び貫通孔13に取付ねじを挿入して共締めによって取付面Sに締結し、貫通孔14に取付ねじを挿入して取付面Sに締結する。このとき、貫通孔13及び貫通孔14は、縦方向及び幅方向のピッチが、夫々、取付孔47及び取付孔43に対応しているため、従来機種の電磁接触器41をねじ止めしていたねじ穴が使用される。
【0028】
Bタイプの場合、まず対角線にある取付孔44及び取付孔48にねじ止めされた取付ねじを締結解除し、従来機種の電磁接触器41を取外す。
次いでBタイプのアダプタプレート21に現行機種の電磁接触器31を挟み込む。
図8は、Bタイプにおける挟み込み前の状態を示す図である。
図中の(a)は、アダプタプレート21及び電磁接触器31を、縦方向の他方、幅方向の他方、及び奥行方向の手前から見た状態を示す。図中の(b)は、アダプタプレート21及び電磁接触器31を、縦方向の一方、幅方向の一方、及び奥行方向の手前から見た状態を示す。
【0029】
電磁接触器31の基部36を対向板25及び端板26に向けて、電磁接触器31の裏面をアダプタプレート21の表面に接触させる。そして、アダプタプレート21をスライドさせて基板22と対向板25との間に電磁接触器31の基部36を挟み込む。このとき、案内板29が基部36に接触して対向板25の先端側が持ち上がり、基板22と対向板25との間に電磁接触器31の基部36が案内される。そして、幅広の凸部39に切欠き部27が嵌り合うことで、電磁接触器31における幅方向の位置が規制される。さらに、電磁接触器31における縦方向の一方に規制板28が当接することで、電磁接触器31における縦方向の位置が規制される。このとき、奥行方向から見て、取付孔34と貫通孔23とが重なる。
【0030】
図9は、Bタイプにおける挟み込み後の状態を示す図である。
図中の(a)は、アダプタプレート21及び電磁接触器31を、縦方向の一方、幅方向の一方、及び奥行方向の手前から見た状態を示す。図中の(b)は、アダプタプレート21及び電磁接触器31を、幅方向の一方から見た状態を示す。
そして、電磁接触器31と取付面Sとの間に基板22を介在させ、アダプタプレート21を介して電磁接触器31を取付面Sに取付ける。すなわち、互いに重なった取付孔34及び貫通孔23に取付ねじを挿入して共締めによって取付面Sに締結し、貫通孔24に取付ねじを挿入して取付面Sに締結する。このとき、貫通孔23及び貫通孔24は、縦方向及び幅方向のピッチが、夫々、取付孔44及び取付孔48に対応しているため、従来機種の電磁接触器41をねじ止めしていたねじ穴が使用される。
【0031】
《作用効果》
次に、実施形態の主要な作用効果について説明する。
アダプタプレート11(又は21)は、基板12(又は22)を備えている。基板12(又は22)における縦方向の一方(又は他方)には、貫通孔13(又は23)が形成されている。基板12(又は22)における縦方向の他方(又は一方)には、貫通孔14(又は24)が形成されている。基板12(又は22)における縦方向の他方(又は一方)には、基板12(又は22)に対向して電磁接触器31を挟み込み可能な対向板15(又は25)が形成されている。電磁接触器31を基板12(又は22)と対向板15(又は25)との間に挟み込んだときに、電磁接触器31に形成された取付孔34(又は37)が貫通孔13(又は23)に重なる。取付孔34(又は37)及び貫通孔13(又は23)に取付ねじが挿入されて共締めによって取付面Sに締結され、且つ貫通孔14(又は24)に取付ねじが挿入されて取付面Sに締結される。このように、電磁接触器31が一枚の基板12(又は22)を挟んで取付面Sに締結されるため、電磁接触器31の出っ張りを抑制し、省スペース化を図ることができる。すなわち、取付面Sにじかに現行機種を取付けるときと比べて、奥行方向の手前に出っ張るのは基板12(又は22)の厚さt(t=1.0mm)だけである。また、取付ねじによる締結は二箇所だけなので、アダプタプレート11(又は21)を用いない通常の取付け時と比べて、取付ねじの本数や締付けの工数が増加することはない。
【0032】
基板12(又は22)における縦方向の他方(又は一方)から奥行方向の手前に向かう端板16(又は26)が形成されている。対向板15(又は25)は、端板16(又は26)における奥行方向の手前から縦方向の一方(又は他方)に向かって突出するように形成されている。これにより、シンプルな曲げ加工で、対向板15(又は25)を成形することができる。
対向板15(又は25)は、縦方向の一方(又は他方)に向かうほど基板12(又は22)に近づくように形成されている。これにより、電磁接触器31やアダプタプレート11(又は21)に僅かな寸法誤差があるとしても、それを吸収して対向板15(又は25)によって電磁接触器31を堅固に支持することができる。
【0033】
対向板15(又は25)には、縦方向の他方(又は一方)に向かって凹となる切欠き部17(又は27)が形成されている。切欠き部17(又は27)は、電磁接触器31に嵌り合うことで電磁接触器31における幅方向の位置を規制する。これにより、幅方向の位置決めがなされ、電磁接触器31とアダプタプレート11(又は21)との組付けが容易になる。
対向板15(又は25)の先端には、奥行方向の手前に曲げられた規制板18(又は28)が形成されている。規制板18(又は28)は、電磁接触器31に当接して電磁接触器31における縦方向の位置を規制する。これにより、縦方向の位置決めがなされ、電磁接触器31とアダプタプレート11(又は21)との組付けが容易になる。
【0034】
対向板15(又は25)の先端には、縦方向の一方(又は他方)に向かうほど奥行方向の手前に向かう案内板19(又は29)が形成されている。案内板19(又は29)は、電磁接触器31が挟み込まれるときに電磁接触器31を基板12(又は22)と対向板15(又は25)との間に案内する。これにより、円滑な挟み込みが可能となり、電磁接触器31とアダプタプレート11(又は21)との組付けが容易になる。
貫通孔14(又は24)は、基板12(又は22)における幅方向の一方(又は他方)に形成されている。貫通孔13(又は23)は、基板12(又は22)における幅方向の他方(又は一方)に形成されている。これにより、対角線にある二点でアダプタプレート11(又は21)を堅固に固定することができる。
【0035】
アダプタプレート11(又は21)は、ねじ止めされた従来機種を現行機種の電磁接触器31に交換するときに用いられる。したがって、従来機種と現行機種とに互換性をもたせることができる。
貫通孔13(又は23)及び貫通孔14(又は24)は、縦方向及び幅方向のピッチが、従来機種に形成された取付孔34(又は37)のピッチに対応している。これにより、従来機種をねじ止めしていたねじ穴を使用して、アダプタプレート11(又は21)を固定することができる。したがって、従来機種から現行機種へ交換する際の設計変更が不要となる。
【0036】
電磁接触器31の取付構造は、電磁接触器31と、アダプタプレート11(又は21)と、を備えている。電磁接触器31は、縦方向の一方(又は他方)に、取付孔37(又は34)が形成されている。アダプタプレート11(又は21)は、電磁接触器31を予め定めた取付面Sに取付ける際に、電磁接触器31と取付面Sとの間に介在される。アダプタプレート11(又は21)は、基板12(又は22)を備えている。基板12(又は22)における縦方向の一方(又は他方)には、貫通孔13(又は23)が形成されている。基板12(又は22)における縦方向の他方(又は一方)には、貫通孔14(又は24)が形成されている。基板12(又は22)における縦方向の他方(又は一方)に、基板12(又は22)に対向して電磁接触器31を挟み込み可能な対向板15(又は25)が形成されている。電磁接触器31を基板12(又は22)と対向板15(又は25)との間に挟み込んだときに、互いに重なった取付孔37(又は34)及び貫通孔13(又は23)に取付ねじが挿入されて共締めによって取付面Sに締結される。さらに、貫通孔14(又は24)に取付ねじが挿入されて取付面Sに締結されることで、アダプタプレート11(又は21)を介して電磁接触器31が取付面Sに取付けられる。このように、電磁接触器31が一枚の基板12(又は22)を挟んで取付面Sに締結されるため、電磁接触器31の出っ張りを抑制し、省スペース化を図ることができる。すなわち、取付面Sにじかに現行機種を取付けるときと比べて、奥行方向の手前に出っ張るのは基板12(又は22)の厚さt(t=1.0mm)だけである。また、取付ねじによる締結は二箇所だけなので、アダプタプレート11(又は21)を用いない通常の取付け時と比べて、取付ねじの本数や締付けの工数が増加することはない。
【0037】
電磁接触器31の取付方法は、電磁接触器31における縦方向の一方(又は他方)には、ねじ止め用の取付孔37(又は34)が形成されている。アダプタプレート11(又は21)の基板12(又は22)には、縦方向の一方(又は他方)に貫通孔13(又は23)が形成されている。基板12(又は22)には、縦方向の他方(又は一方)に貫通孔14(又は24)が形成されている。基板12(又は22)には、縦方向の他方(又は一方)に、基板12(又は22)に対向して電磁接触器31を挟み込み可能な対向板15(又は25)が形成されている。電磁接触器31を予め定めた取付面Sに取付ける際には、電磁接触器31を基板12(又は22)と対向板15(又は25)との間に挟み込み、電磁接触器31と取付面Sとの間に基板12(又は22)を介在させる。互いに重なった取付孔37(又は34)及び貫通孔13(又は23)に取付ねじを挿入して共締めによって取付面Sに締結する。貫通孔14(又は24)に取付ねじを挿入して取付面Sに締結することで、アダプタプレート11(又は21)を介して電磁接触器31を取付面Sに取付ける。このように、電磁接触器31が一枚の基板12(又は22)を挟んで取付面Sに締結されるため、電磁接触器31の出っ張りを抑制し、省スペース化を図ることができる。すなわち、取付面Sにじかに現行機種を取付けるときと比べて、奥行方向の手前に出っ張るのは基板12(又は22)の厚さt(t=1.0mm)だけである。また、取付ねじによる締結は二箇所だけなので、アダプタプレート11(又は21)を用いない通常の取付け時と比べて、取付ねじの本数や締付けの工数が増加することはない。
【0038】
次に、比較例について説明する。
図10は、比較例を示す図である。
図中の(a)は、比較例のアダプタプレート51を、縦方向の他方、幅方向の他方、奥行方向の手前から見た状態を示す。図中の(b)は、比較例のアダプタプレート51を、奥行方向の手前から見た状態を示す。図中の(c)は、比較例のアダプタプレート51を、幅方向の他方から見た状態を示す。アダプタプレート51の基板52には、現行機種のピッチに対応した取付孔53が形成されている。アダプタプレート51は、縦方向の両側が奥行方向の奥に平行移動するように曲げ加工されており、そこに従来機種のピッチに対応した取付孔54が形成されている。
【0039】
アダプタプレート51は、取付孔54に取付ねじが挿入されて取付面Sに締結され、現行機種は取付ねじによって取付孔53に締結される。基板52は、取付面Sから寸法Dだけ奥行方向の手前に出っ張る。そのため、取付面Sにアダプタプレート51を介して現行機種を取付けると、取付面Sにじかに現行機種を取付けるときよりも、現行機種が出っ張ってしまう。さらに、アダプタプレート51を取付ける取付ねじが二本で、現行機種を取付ける取付ねじが二本で、計四本が必要になる。そのため、取付面Sにアダプタプレート51を介して現行機種を取付けると、取付面Sにじかに現行機種を取付けるときよりも、取付ねじの本数や締付けの工数が増加してしまう。
【0040】
以上、限られた数の実施形態を参照しながら説明したが、権利範囲はそれらに限定されるものではなく、上記の開示に基づく実施形態の改変は、当業者にとって自明のことである。
【符号の説明】
【0041】
11…アダプタプレート、12…基板、13…貫通孔、14…貫通孔、15…対向板、16…端板、17…切欠き部、18…規制板、19…案内板、21…アダプタプレート、22…基板、23…貫通孔、24…貫通孔、25…対向板、26…端板、27…切欠き部、28…規制板、29…案内板、31…電磁接触器、32…基部、33…取付孔、34…取付孔、35…凸部、36…基部、37…取付孔、38…取付孔、39…凸部、41…電磁接触器、43…取付孔、44…取付孔、47…取付孔、48…取付孔、51…アダプタプレート、52…基板、53…取付孔、54…取付孔、S…取付面