(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161246
(43)【公開日】2023-11-07
(54)【発明の名称】電子打楽器
(51)【国際特許分類】
G10H 1/34 20060101AFI20231030BHJP
G10H 1/00 20060101ALI20231030BHJP
G10H 3/14 20060101ALI20231030BHJP
G10H 1/053 20060101ALI20231030BHJP
G10H 1/18 20060101ALI20231030BHJP
【FI】
G10H1/34
G10H1/00 A
G10H3/14 A
G10H1/053 C
G10H1/18 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022071490
(22)【出願日】2022-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】000130329
【氏名又は名称】株式会社コルグ
(74)【代理人】
【識別番号】100121706
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128705
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 幸雄
(74)【代理人】
【識別番号】100147773
【弁理士】
【氏名又は名称】義村 宗洋
(72)【発明者】
【氏名】本橋 春彦
(72)【発明者】
【氏名】西川 達也
【テーマコード(参考)】
5D478
【Fターム(参考)】
5D478CC10
5D478LL00
5D478NN11
(57)【要約】
【課題】打撃面の位置、大きさ、数を設定により自由に変更することができる電子打楽器を提供する。
【解決手段】打撃を検出する打撃検出部を含み、打撃検出部が打撃を検出するたびに対応する音を発音する電子打楽器であって、打撃検出部は、基板と、基板の表面に固定され、打撃された座標を検出する位置センサと、基板の裏面に固定されたピエゾ素子と、基板の表面を覆う弾性カバーを含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
打撃を検出する打撃検出部を含み、前記打撃検出部が打撃を検出するたびに対応する音を発音する電子打楽器であって、
前記打撃検出部は、
基板と、
前記基板の表面に固定され、打撃された座標を検出する位置センサと、
前記基板の裏面に固定されたピエゾ素子と、
前記基板の表面を覆う弾性カバーを含む
電子打楽器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子打楽器であって、
前記電子打楽器が発音する音に対し、前記位置センサが検出した座標に応じた音源パラメータ変換、またはエフェクトパラメータ変換を実行する制御部を含む
電子打楽器。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電子打楽器であって、
前記制御部が参照する座標パラメータ記憶部であって、
前記打撃検出部の打撃面を設定により変更可能な複数の仮想領域に分割した場合の各仮想領域を表す座標と、各仮想領域に打撃が行われた際に実行する音源パラメータ変換、またはエフェクトパラメータ変換に対応する音源パラメータまたはエフェクトパラメータを対応付けて記憶する座標パラメータ記憶部を含む
電子打楽器。
【請求項4】
請求項1または2に記載の電子打楽器であって、
前記ピエゾ素子に対応する座標と、打撃を検出した座標との距離に応じて定まる補正テーブルを記憶する座標パラメータ記憶部を含み、
前記制御部は、
前記補正テーブルに基づいて、発音する音の音量を補正する
電子打楽器。
【請求項5】
請求項4に記載の電子打楽器であって、
前記打撃検出部が、
前記電子打楽器の外周部に配置される
電子打楽器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子打楽器に関する。
【背景技術】
【0002】
電子打楽器の従来技術として、例えば非特許文献1の電子ドラムが開示されている。
図1に従来の電子ドラムの打撃検出部の構造を示す概略図を示す。同図に示すように、従来の打撃検出部9Aは、基板91と、基板91の裏面に固定されたピエゾ素子93と、基板91の表面を覆う弾性カバー94を含む。
【0003】
弾性カバー94は、ラバーなどで形成される。弾性カバー94は、演奏(打撃)した際の感触を向上させるため、および静音性を向上させるために用いられる。弾性カバー94を通して基材91が叩かれることで基材91が振動し、ピエゾ素子93がその振動を検出する。ピエゾ素子93からの信号をトリガーとして音源の発音を開始する。ピエゾ素子93からの信号の振幅の大きさに応じて発音レベルが決定される。
【0004】
同じ基材91に対して、打撃面を複数作りたい場合に、
図1の構造では振動のクロストークの問題が発生するため非常に難しい。このような場合、
図2の構造が採用される。同図に示すように、従来の打撃検出部9Bは、基板91と、基板91の表面に、予め区切られた打撃面毎に設けられたメンブレンスイッチ92と、基板91の裏面であって、予め区切られた打撃面毎に設けられたピエゾ素子93と、基板91の表面を覆う弾性カバー94を含む。
【0005】
同図に示す打撃検出部9Bは、何れかのメンブレンスイッチ92のON/OFFによって、予め区切られた打撃面の何れが打撃されているかを検出し、検出された打撃面に対応するピエゾ素子93の入力のみを用いて、音源の発音のトリガー、発音レベルを決定する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】株式会社コルグ、"WAVEDRUM Global Edition DYNAMIC PERCUSSION SYNTHESIZER"、[online]、[令和 4年 4月12日検索]、インターネット〈URL:https://www.korg.com/jp/products/drums/wavedrum_global_edition/〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図2の構造では打撃面が予め区切られているため、打撃面の位置、大きさ、数を後から変更することができず、カスタマイズ性が低かった。
【0008】
そこで本発明では、打撃面の位置、大きさ、数を設定により自由に変更することができる電子打楽器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の電子打楽器は、打撃を検出する打撃検出部を含み、打撃検出部が打撃を検出するたびに対応する音を発音する。打撃検出部は、基板と、基板の表面に固定され、打撃された座標を検出する位置センサと、基板の裏面に固定されたピエゾ素子と、基板の表面を覆う弾性カバーを含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明の電子打楽器によれば、打撃面の位置、大きさ、数を設定により自由に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】従来の電子ドラムの打撃検出部の構造(例1)を示す概略図。
【
図2】従来の電子ドラムの打撃検出部の構造(例2)を示す概略図。
【
図3】実施例1の電子打楽器の打撃検出部の構造を示す概略図。
【
図4】実施例1の電子打楽器の制御部の機能構成を示すブロック図。
【
図5】実施例1の電子打楽器の制御部の動作を示すフローチャート。
【
図6】実施例1の電子打楽器に用いられるエフェクトの例を示す図。
【
図7】実施例1の電子打楽器の打撃面に設定される仮想領域の例を示す概略図。
【
図8】実施例1の電子打楽器が用いる補正テーブルの値の例を示す図。
【
図9】従来の電子ドラムの打撃検出部の構造(例3)を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、同じ機能を有する構成部には同じ番号を付し、重複説明を省略する。
【実施例0013】
実施例1の電子打楽器は、打撃を検出する打撃検出部を含み、打撃検出部が打撃を検出するたびに対応する音を発音する。以下、
図3を参照して、実施例1の電子打楽器の打撃検出部1の構造を説明する。
【0014】
同図に示すように本実施例の電子打楽器の打撃検出部1は、基板91と、基板91の表面に固定され、打撃された座標を検出する位置センサ12と、基板91の裏面に固定されたピエゾ素子93と、基板91の表面を覆う弾性カバー94を含む。位置センサ12は抵抗膜型のセンサとすることができる。後述するように打撃検出部1を細長い形状とした場合には、位置センサ12をリボンセンサとして1次元の位置センサとしてもよい。
【0015】
また、本実施例の電子打楽器は、
図4に示す制御部15を含む。同図に示すように本実施例の制御部15は、座標パラメータ記憶部150と、A/D変換器151と、発音トリガー位置情報生成部152と、音源パラメータ変換部153と、エフェクトパラメータ変換部154と、音源信号出力部155と、エフェクタ156と、補正部157を含む。
【0016】
図5に示すように、A/D変換器151は、位置センサ12からの入力信号、ピエゾ素子93からの入力信号を取得して、A/D変換を実行する(S151)。発音トリガー位置情報生成部152は、発音トリガー、位置情報を生成する(S152)。音源パラメータ変換部153は、電子打楽器が発音する音に対し、位置センサ12が検出した座標に応じた音源パラメータ変換を実行する(S153)。エフェクトパラメータ変換部154は電子打楽器が発音する音に対し、位置センサ12が検出した座標に応じたエフェクトパラメータ変換を実行する(S154)。
【0017】
音源信号出力部155は、音源パラメータに基づいて、音源信号を出力する(S155)。音源パラメータは音源信号のピッチ(音の高さ)を指定するパラメータであってもよいし、音源の種類(楽器の種類)を指定するパラメータであってもよい。
【0018】
エフェクタ156は、エフェクトパラメータに基づいて、音源信号にエフェクトを付与する(S156)。エフェクトの種類を
図6に例示した。同図に例示するように、Lowpass Filter, Delay, Lowpass Filter + Delay, Reverbなどをエフェクトとして組み込むことができる。なお
図6のグラフにおけるA-B間はいずれもエフェクトがかかっていない状態を示している。また
図6の例では、1次元の位置センサ12において、打撃される点を左から右、または右から左に移動していく場合を想定する。
【0019】
エフェクト:Lowpass Filterの場合、例えば打撃される点を左から右に移動すると、Lowpass Filterのカットオフ周波数が下がり、徐々に深くFilterがかかって行く。左端ではカットオフ周波数が最大となりFilterがかかっていない状態(A-B間)とすることができる。
【0020】
エフェクト:Delayの場合、打撃される点を右から左に移動すると、Delayのエフェクトレベルがゼロから徐々に上がって行き、Delayが深くかかって行く。右端ではDelayレベルがゼロなのでエフェクトがかかっていない状態(A-B間)にできる。
【0021】
エフェクト:Lowpass Filter + Delayの場合、打撃される点を左から右へ移動すると、最初はDelayレベルが最大だったものが徐々に下がって行き、ある地点でゼロになる(エフェクトがかかっていない状態、A-B間)。その後、今度はLowpass Filterのカットオフ周波数が下がりはじめフィルターがかかった状態になる。右端ではLowpass Filterのカットオフ周波数は最小の(最大にLowpass Filterがかかった)状態になる。
【0022】
エフェクト:Reverbの場合、打撃される点を左から右へ移動すると、徐々にReverbが深くなっていく。途中でReverbのレベルは最大になるが、その後Dry(エフェクトのかかっていないバイパス信号)のレベルが下がって行き、より深くReverbがかかった音色になっていく。
【0023】
位置センサ12により打撃を受けた点の座標が分かるため、打撃検出部1の打撃面を設定により変更可能な複数の仮想領域に分割して、それぞれを別の打撃面と仮想的に扱うこともできる。例えば
図7に示すように、打撃検出部1の打撃面を3分割し(PadA,PadB,PadC)、単一の打撃面を仮想的に3つの独立した打撃面として扱ってもよい。また同図に示すように打撃面を2分割して(PadD,PadE)単一の打撃面を仮想的に2つの独立した打撃面として扱ってもよい。
【0024】
この制御を実行する場合、座標パラメータ記憶部150に、各仮想領域を表す座標と、各仮想領域に打撃が行われた際に実行する音源パラメータ変換、またはエフェクトパラメータ変換に対応する音源パラメータまたはエフェクトパラメータを対応付けて記憶しておく。音源パラメータ変換部153は、発音トリガー位置情報生成部152から位置情報を取得し、取得した位置情報に対応する音源パラメータを座標パラメータ記憶部150から取得して出力する。同様にエフェクトパラメータ変換部154は、発音トリガー位置情報生成部152から位置情報を取得し、取得した位置情報に対応するエフェクトパラメータを座標パラメータ記憶部150から取得して出力する。
【0025】
図8に示すように、たとえ打撃面を同じ強さで叩いたとしても、ピエゾ素子93の位置(同図のPiezo Center)から打撃位置までの距離の違いによってピエゾ素子93が受信する信号の振幅が異なる(実線のグラフ参照)。
【0026】
本実施例のように、打撃検出部1に位置センサー12を配した場合、ピエゾ素子93と打撃を加えた位置との距離による信号レベル不均一の問題を、打撃を加えた位置の情報を使って補正することが出来る。
【0027】
同図のグラフで、実線は同じ強さで打撃面を叩いたときの、位置によるレベルの変化を表している。打撃面の中心付近にピエゾ素子93が設けてあり、その付近ではレベルが大きく、ピエゾ素子93の中心から離れるにしたがってレベルは下がっていく。
【0028】
このレベルの違いの逆数を補正テーブル(グラフの点線)として用意し、位置センサー12によって検出した打撃位置から補正値を求め、ピエゾ素子93からの入力信号レベルと乗算することで、位置による不均一を補正することが出来る(グラフの太線、補正出力)。
【0029】
この制御を実行する場合、例えば座標パラメータ記憶部150に、ピエゾ素子93に対応する座標と、打撃を検出した座標との距離に応じて定まる補正テーブルを予め記憶しておき、補正部157は、補正テーブルに基づいて、発音する音の音量を補正すればよい(S157)。
【0030】
従来、ピエゾ素子93近傍を打撃した際の入力信号のレベルと、ピエゾ素子93から離れた箇所を打撃した際の入力信号のレベルに差がありすぎることは課題であったが、レベルのばらつきを緩和するために、例えば
図9に示すようなフロート構造が採用されていた。同図に示すように、打撃検出部9Cは、基板91の裏面に、下方向に延伸する脚部95と、脚部95と接続され、基板91の裏面と空隙を介して対向するピエゾ素子固定部96を備える。ピエゾ素子93を基板91から浮いた構造(フロート構造)となっているピエゾ素子固定部96に固定することにより、基板91の中心部が打撃された際のピエゾ素子93への入力の大きさと、基板91の周辺部が打撃された際のピエゾ素子93への入力の大きさに大きな差が生じないように構造的工夫がなされている。
【0031】
しかしながら、本実施例の電子打楽器が、例えば
図10に示すように電子打楽器の外周部の縁の部分に打撃検出部1-A、電子打楽器の上面に複数の打撃検出部1-Bが配置されて構成されているものとすると、特に打撃検出部1-Aの場合において構造の制約上、打撃検出部1-A内部にフロート構造などの複雑な構造を作ることができない場合がある。
【0032】
このような場合に、上述した打撃検出部1の機能構成を利用して、位置センサ12による打撃位置の検出、補正テーブルによる信号レベルの補正を行うことにより、構造的工夫がなくても打撃位置に対する出力をフラット化することができるため好適である。
【0033】
<実施例1の電子打楽器の効果>
本実施例の電子打楽器、打撃検出部1によれば、
図7に例示したように、打撃面の位置、大きさ、数を設定により自由に変更することができる。
【0034】
また、本実施例の電子打楽器、打撃検出部1によれば、位置センサ12により、メンブレンスイッチと同様、隣接する打撃検出部1同士が近接していたとしても、叩かれた打撃検出部1がいずれであるか、検出された座標により特定できる上に、打撃位置情報によって音源やエフェクトのパラメータをコントロールすることができる。
【0035】
また、本実施例の電子打楽器、打撃検出部1によれば、演奏の変化要素として、叩く強さだけでなく、打撃位置によっても音色変化を持たせることが出来るので、より多彩な演奏を可能にする。
【0036】
また、本実施例の電子打楽器、打撃検出部1によれば、ピエゾ素子93に対応する座標と、打撃を検出した座標との距離に応じて発音する音の音量を補正することができるため、打撃位置に対する電子打楽器の出力をフラット化することができる。
【0037】
<補記>
本発明の装置は、例えば単一のハードウェアエンティティとして、キーボードなどが接続可能な入力部、液晶ディスプレイなどが接続可能な出力部、ハードウェアエンティティの外部に通信可能な通信装置(例えば通信ケーブル)が接続可能な通信部、CPU(Central Processing Unit、キャッシュメモリやレジスタなどを備えていてもよい)、メモリであるRAMやROM、ハードディスクである外部記憶装置並びにこれらの入力部、出力部、通信部、CPU、RAM、ROM、外部記憶装置の間のデータのやり取りが可能なように接続するバスを有している。また必要に応じて、ハードウェアエンティティに、CD-ROMなどの記録媒体を読み書きできる装置(ドライブ)などを設けることとしてもよい。このようなハードウェア資源を備えた物理的実体としては、汎用コンピュータなどがある。
【0038】
ハードウェアエンティティの外部記憶装置には、上述の機能を実現するために必要となるプログラムおよびこのプログラムの処理において必要となるデータなどが記憶されている(外部記憶装置に限らず、例えばプログラムを読み出し専用記憶装置であるROMに記憶させておくこととしてもよい)。また、これらのプログラムの処理によって得られるデータなどは、RAMや外部記憶装置などに適宜に記憶される。
【0039】
ハードウェアエンティティでは、外部記憶装置(あるいはROMなど)に記憶された各プログラムとこの各プログラムの処理に必要なデータが必要に応じてメモリに読み込まれて、適宜にCPUで解釈実行・処理される。その結果、CPUが所定の機能(上記、…部、…手段などと表した各構成要件)を実現する。
【0040】
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。また、上記実施形態において説明した処理は、記載の順に従って時系列に実行されるのみならず、処理を実行する装置の処理能力あるいは必要に応じて並列的にあるいは個別に実行されるとしてもよい。
【0041】
既述のように、上記実施形態において説明したハードウェアエンティティ(本発明の装置)における処理機能をコンピュータによって実現する場合、ハードウェアエンティティが有すべき機能の処理内容はプログラムによって記述される。そして、このプログラムをコンピュータで実行することにより、上記ハードウェアエンティティにおける処理機能がコンピュータ上で実現される。
【0042】
上述の各種の処理は、
図11に示すコンピュータの記録部10020に、上記方法の各ステップを実行させるプログラムを読み込ませ、制御部10010、入力部10030、出力部10040などに動作させることで実施できる。
【0043】
この処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、例えば、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリ等どのようなものでもよい。具体的には、例えば、磁気記録装置として、ハードディスク装置、フレキシブルディスク、磁気テープ等を、光ディスクとして、DVD(Digital Versatile Disc)、DVD-RAM(Random Access Memory)、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、CD-R(Recordable)/RW(ReWritable)等を、光磁気記録媒体として、MO(Magneto-Optical disc)等を、半導体メモリとしてEEP-ROM(Electrically Erasable and Programmable-Read Only Memory)等を用いることができる。
【0044】
また、このプログラムの流通は、例えば、そのプログラムを記録したDVD、CD-ROM等の可搬型記録媒体を販売、譲渡、貸与等することによって行う。さらに、このプログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することにより、このプログラムを流通させる構成としてもよい。
【0045】
このようなプログラムを実行するコンピュータは、例えば、まず、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、一旦、自己の記憶装置に格納する。そして、処理の実行時、このコンピュータは、自己の記録媒体に格納されたプログラムを読み取り、読み取ったプログラムに従った処理を実行する。また、このプログラムの別の実行形態として、コンピュータが可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することとしてもよく、さらに、このコンピュータにサーバコンピュータからプログラムが転送されるたびに、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することとしてもよい。また、サーバコンピュータから、このコンピュータへのプログラムの転送は行わず、その実行指示と結果取得のみによって処理機能を実現する、いわゆるASP(Application Service Provider)型のサービスによって、上述の処理を実行する構成としてもよい。なお、本形態におけるプログラムには、電子計算機による処理の用に供する情報であってプログラムに準ずるもの(コンピュータに対する直接の指令ではないがコンピュータの処理を規定する性質を有するデータ等)を含むものとする。
【0046】
また、この形態では、コンピュータ上で所定のプログラムを実行させることにより、ハードウェアエンティティを構成することとしたが、これらの処理内容の少なくとも一部をハードウェア的に実現することとしてもよい。