(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161249
(43)【公開日】2023-11-07
(54)【発明の名称】切妻屋根型紙容器
(51)【国際特許分類】
B65D 5/06 20060101AFI20231030BHJP
【FI】
B65D5/06 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022071499
(22)【出願日】2022-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】000183484
【氏名又は名称】日本製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074181
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 明博
(74)【代理人】
【識別番号】100206139
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 匡
(72)【発明者】
【氏名】中村 孝也
(72)【発明者】
【氏名】田中 淳
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA05
3E060AB04
3E060BA03
3E060CE22
3E060CF02
3E060CF05
3E060DA17
3E060DA30
3E060EA13
(57)【要約】
【課題】 頂部の高さを低くし、省スペース化等を図り、また、開封を容易に行えるようにするとともに、開口した形態を保つことができるようにした切妻屋根型紙容器を得る。
【解決手段】 開封側の妻壁形成パネル24に頂部横折線26を介して連設する開封側の胴部パネル8に、胴部縦折線4,5の端部と頂部横折線26の端部との交点40,41或いはその近傍を繋ぐように端部42,43が配された下向き円弧状の補助折線44が形成された切妻屋根型紙容器1において、頂部38を形成した切妻屋根形成パネル16,17の側辺5と、妻壁形成パネル23,24に連設し胴部13を形成する胴部パネル6,7の上辺46との成す角度θを25度以下とし、胴部13の横幅Wを60mm以下とし、補助折線44の最下点Pと妻壁形成パネル24を連設する胴部パネル8の上辺46とを垂直に結ぶ長さL1を、胴部パネル8の上辺46の長さL2の15%~25%とした。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表裏面に熱可塑性樹脂を積層した板紙素材からなり、4つの胴部パネルを備え、縦方向シールパネルによって縁部が接合されて四角の筒状胴部が形成され、前記胴部パネルの上端に、上部に外側トップシールパネルを有し互いに対向する一対の切妻屋根形成パネルと、上部に内側トップシールパネルを有し互いに対向して何れか一方が注出口となり開封される一対の妻壁形成パネルが連設され、前記一対の切妻屋根形成パネルの間に前記一対の妻壁形成パネルが折り込まれて、外側トップシールパネルおよび内側トップシールパネルが所定の位置で加熱されシールされて密封されることによって頂部が形成され、開封側の前記妻壁形成パネルに前記頂部横折線を介して連設する開封側の胴部パネルには、前記胴部縦折線の端部と前記頂部横折線の端部との交点或いはその近傍を繋ぐように端部が配された下向き円弧状の補助折線が形成された切妻屋根型紙容器において、
前記頂部を形成した前記切妻屋根形成パネルの側辺と、前記妻壁形成パネルに連設し前記胴部を形成する前記胴部パネルの上辺との成す角度が25度以下であり、前記胴部の横幅が60mm以下であり、前記補助折線の最下点と前記妻壁形成パネルを連設する前記胴部パネルの上辺とを垂直に結ぶ長さが、前記胴部パネルの上辺の長さの15%~25%であることを特徴とする切妻屋根型紙容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状内容物を収容する切妻屋根型紙容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、牛乳やジュースなどの液状内容物を収容する紙容器として、表裏面に熱可塑性樹脂を積層した板紙素材からなり、4つの胴部パネルを備え、縦方向シールパネルによって縁部が接合されて四角の筒状胴部が形成され、胴部パネルの上端に、上部に外側トップシールパネルを有し互いに対向する一対の切妻屋根形成パネルと、上部に内側トップシールパネルを有し互いに対向して何れか一方が注出口となり開封される一対の妻壁形成パネルが連設され、一対の切妻屋根形成パネルの間に一対の妻壁形成パネルが折り込まれて、外側トップシールパネルおよび内側トップシールパネルが所定の位置で加熱されシールされて密封されることによって頂部が形成される切妻屋根型の紙容器が広く用いられている。
【0003】
このような切妻屋根型の紙容器の開封は、一対の切妻屋根形成パネル、胴部パネルおよび妻壁形成パネルとの間で開口する空間に指を入れて、妻壁形成パネルに指をかけてから左右に広げることにより、開封側の外側トップシールパネルおよび内側トップシールパネルの加熱シールされている対向面同士を剥がし、そして、一対の切妻屋根形成パネルの間に折り込まれている前記妻壁形成パネルを引き出し、頂部横折線を介して連設している胴部パネルとの境界の頂部横折線から外側へ折り返して注出口を開口させるようにして行われる。しかし、胴部パネルと妻壁形成パネルとの間に形成される空間が広くないため、妻壁形成パネルに指をかける面積が小さく開封しづらい。
【0004】
このような問題を解決する紙容器として、近年、紙容器の開封時に引き出される妻壁形成パネルと妻壁形成パネルと連接する胴部パネルにおいて、妻壁形成パネルとの境界に位置する頂部横折線の近傍に、その頂部横折線の一方の端部からもう一方の端部に向けて胴部パネルの中央に向かうに従い下がる補助折線が設けられている切妻屋根型紙容器が知られている(例えば特許文献1参照。)。
【0005】
このような補助折線が設けられている切妻屋根型紙容器によれば、頂部横折線により形成された胴部の頂部角部を容器の内側に押しこむと、補助折線から山折れして頂部角部は容器の内方に湾曲し、胴部パネルの頂部横折線と開口補助罫線に挟まれた上部が容器内側に凹む。これにより、開封時に妻壁形成パネルに指をかけるときに指を入れる空間が広くなるので、紙容器の開封を容易に行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
市場では切妻屋根型紙容器の普及にともない、省スペース化、運搬容易性、省資源によるコスト低減等を目的として切妻屋根型の頂部の高さを低くすることが取り入れられるに至っているが、特許文献1では、切妻屋根型の頂部の高さを低くした場合、低くした切妻屋根型と胴部パネルの設けられた補助折線との関係についての記載はなく、低くした切妻屋根型に応じた最適な補助折線の形状については解明されていない。
【0008】
また、近年、学校給食等での飲用物を収容する紙容器として、また旅行などにおける携帯に便利な飲用物を収容する紙容器として小型の切妻屋根型紙容器が普及しているが、小型の切妻屋根型紙容器の場合、胴部パネルと妻壁形成パネルとの間に形成される空間が狭く、特に開封しづらい。特許文献1では容器の一辺が70mmないし85mmといった大型の切妻屋根型紙容器についての記載はあるが、小型の切妻屋根型紙容器についての記載はなく、小型の切妻屋根型に応じた最適な補助折線の形状についても解明されていない。
【0009】
また、特に、学校給食等で使用され、また、旅行などで持参する小型の切妻屋根型紙容器では、切妻屋根形成パネルの間に折り込まれている妻壁形成パネルを引き出し、頂部横折線から外側へ折り返して開口させた注出口から、直接飲用する場合が多く、そのため、引き出した妻壁形成パネルが容易に戻らず、開口した形態を保つことが望まれるが、特許文献1ではこれに関する記載は一切ない。
【0010】
本発明者等は、上記問題点に鑑み、小型の切妻屋根型紙容器にあって、切妻屋根型の頂部の高さを低くした場合の最適な補助折線の形状、また、注出口を開口させるために切妻屋根形成パネルの間から引き出した妻壁形成パネルが容易に戻らず、開口した形態を保つことができるようにするための最適な補助折線の形状につて研究を重ね、本発明を完成するに至った。
【0011】
本発明の目的は、切妻屋根型紙容器の切妻屋根型の頂部の高さを低くし、省スペース化、運搬容易性、省資源によるコスト低減等を図り、また、開封に際しては胴部の頂部角部を凹ませて、開封を容易に行えるようにするとともに、切妻屋根形成パネルの間から引き出した妻壁形成パネルが容易に戻らず、開口した形態を保つことで、直に口を付けて液状内容物を飲むことが容易にできるようにした切妻屋根型紙容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、表裏面に熱可塑性樹脂を積層した板紙素材からなり、4つの胴部パネルを備え、縦方向シールパネルによって縁部が接合されて四角の筒状胴部が形成され、前記胴部パネルの上端に、上部に外側トップシールパネルを有し互いに対向する一対の切妻屋根形成パネルと、上部に内側トップシールパネルを有し互いに対向して何れか一方が注出口となり開封される一対の妻壁形成パネルが連設され、前記一対の切妻屋根形成パネルの間に前記一対の妻壁形成パネルが折り込まれて、外側トップシールパネルおよび内側トップシールパネルが所定の位置で加熱されシールされて密封されることによって頂部が形成され、開封側の前記妻壁形成パネルに前記頂部横折線を介して連設する開封側の胴部パネルには、前記胴部縦折線の端部と前記頂部横折線の端部との交点或いはその近傍を繋ぐように端部が配された下向き円弧状の補助折線が形成された切妻屋根型紙容器において、前記頂部を形成した前記切妻屋根形成パネルの側辺と、前記妻壁形成パネルに連設し前記胴部を形成する前記胴部パネルの上辺との成す角度が25度以下であり、前記胴部の横幅が60mm以下であり、前記補助折線の最下点と前記妻壁形成パネルを連設する前記胴部パネルの上辺とを垂直に結ぶ長さが、前記胴部パネルの上辺の長さの15%~25%であることを特徴とする。
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、前記頂部を形成した前記切妻屋根形成パネルの側辺と前記妻壁形成パネルに連設し、前記胴部を形成する前記胴部パネルの上辺との成す角度が25度以下であるので、切妻屋根型の頂部の高さが低くなり、その分、省スペース化、運搬容易性、省資源によるコスト低減等が図れる。
【0014】
そして、前記胴部の横幅が60mm以下であるので、切妻屋根型の頂部の高さが低い切妻屋根型の紙容器では胴部パネルと妻壁形成パネルとの間に形成される空間が狭くなるが、前記補助折線の最下点と前記妻壁形成パネルを連設する前記胴部パネルの上辺とを垂直に結ぶ長さが、前記胴部パネルの上辺の長さの15%~25%であるので、開封時に、前記頂部横折線により形成された胴部の頂部角部を切妻屋根型紙容器の内側に押しこみ、前記胴部パネルを前記補助折線から山折りして、頂部角部を切妻屋根型紙容器の内方に湾曲させ、前記胴部パネルの頂部横折線と前記補助罫線に挟まれた上部を切妻屋根型紙容器内側に凹ませることにより、前記胴部パネルと前記妻壁形成パネルとの間に広い空間が形成され、この空間に指を入れて開封を容易に行うことができる。
【0015】
また、前記補助折線の最下点と前記妻壁形成パネルを連設する前記胴部パネルの上辺とを垂直に結ぶ長さが、前記胴部パネルの上辺の長さの15%~25%であるので、注出口を開口させるために妻壁形成パネルを切妻屋根形成パネルの間から引き出したとき、前記頂部横折線により形成された胴部の頂部角部が切妻屋根型紙容器の外側に湾曲し、前記胴部パネルが前記補助折線から谷折れし、切妻屋根型紙容器の外側に湾曲して引き出された妻壁形成パネルが嘴状の注出口となって切妻屋根型紙容器の外側に突出するので、注出口に直接口を付けて飲むのに便利であり、また、引き出されて嘴状の注出口となった妻壁形成パネルは、前記胴部パネルにおける谷折れされた前記補助折線の部位により、胴部の頂部角部が容器の外側に湾曲しているので、切妻屋根型紙容器の外側に突出して注出口となっている前記妻壁形成パネルは戻りが押さえられ、嘴状に開口した注出口の形態を保つことができ、これにより直に口を付けて液状内容物を飲むことが容易になる。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明に係る切妻屋根型紙容器によれば、切妻屋根型の頂部の高さを低くし、省スペース化、運搬容易性、省資源によるコスト低減等を図り、また、開封に際しては胴部の頂部角部を凹ませて、開封を容易に行えるようにするとともに、切妻屋根形成パネルの間から引き出した妻壁形成パネルが容易に戻らず、開口した形態を保つことができる切妻屋根型紙容器を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係る切妻屋根型紙容器の実施の形態の一例を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示す切妻屋根型紙容器のカートンブランクスを示す平面図である。
【
図3】
図1に示す切妻屋根型紙容器の要部を示す説明図である。
【
図4】
図1に示す切妻屋根型紙容器の開封前の状態を示す説明図である。
【
図5】
図4に示す切妻屋根型紙容器の補助折線を折り曲げ胴部を凹ませた状態を示す説明図である。
【
図6】妻壁形成パネルを切妻屋根形成パネルの間から引き出し、切妻屋根型紙容器の外側に突出させて注出口を開口させた状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る切妻屋根型紙容器を実施するための形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図1~
図6は本発明に係る切妻屋根型紙容器の実施の形態の一例を示すものであり、
図1は本例の切妻屋根型紙容器を示す斜視図、
図2は
図1に示す切妻屋根型紙容器のカートンブランクスを示す平面図、
図3は
図1に示す切妻屋根型紙容器の要部を示す説明図、
図4は
図1に示す切妻屋根型紙容器の開封前の状態を示す説明図、
図5は
図4に示す切妻屋根型紙容器の補助折線を折り曲げ胴部を凹ませた状態を示す説明図、
図6は妻壁形成パネルを切妻屋根形成パネルの間から引き出し、切妻屋根型紙容器の外側に突出させて注出口を開口させた状態を示す説明図である。
【0019】
本例の切妻屋根型紙容器1は、
図2に示す表裏面に熱可塑性樹脂を積層した板紙素材であるカートンブランクス2から形成される。カートンブランクスは胴部縦折線3,4,5を介して連設されている4つの胴部パネル6,7,8,9を備えている。切妻屋根型紙容器1の形成時には、4つの胴部パネル6,7,8,9は、胴部パネル9に胴部縦折線10を介して連設されている縦方向シールパネル11と胴部パネル6の縁部12が接合されて、紙容器の四角の胴部13を形成する。
【0020】
胴部パネル7,9の上端には、上部に外側トップシールパネル14,15を有し互いに対向する一対の切妻屋根形成パネル16,17が頂部横折線18,19を介して連設されている。また、胴部パネル6,8の上端には、上部に内側トップシールパネル20,21を有し互いに対向して何れか一方が注出口22となり開封される一対の妻壁形成パネル23,24が頂部横折線25,26を介して連設されている。本例では妻壁形成パネル24を開封側の妻壁形成パネルとしている。
【0021】
切妻屋根形成パネル16,17には、開封側の妻壁形成パネル24側に、開封時の切妻屋根形成パネル16,17の折り曲げをガイドするガイド折線27,28が形成されている。また切妻屋根形成パネル16には、裏面側から形成されたストロー挿入口となる第1ハーフカット29と第1ハーフカット29を囲むように表面側から形成された第2ハーフカット30により構成されたストロー用注出口31が設けられている。
【0022】
妻壁形成パネル23,24には妻壁形成パネル23,24を折り込むための折り込み用折線32,33,34,35が形成されている。また、折り込み用折線32,33,34,35と頂部横折線25,26に囲まれた略三角面部36,37が形成されている。
【0023】
切妻屋根型紙容器1の形成時には、一対の切妻屋根形成パネル16,17の間に一対の妻壁形成パネル23,24が折り込まれて、外側トップシールパネル14,15および内側トップシールパネル20,21が所定の位置で加熱されシールされて密封されることによって、
図1に示すように切妻屋根型の頂部38が形成される。形成された切妻屋根型の頂部38には、一対の切妻屋根形成パネル16,17、開封側の胴部パネル8および開封側の妻壁形成パネル24との間で開口し、切妻屋根型紙容器1の開封時に開封側の妻壁形成パネル24に指をかけるために指を入れる空間39が形成される。妻壁形成パネル24に形成された略三角面部37は空間39の奥面に位置する。
【0024】
また、開封側の妻壁形成パネル24に頂部横折線26を介して連設する開封側の胴部パネル8には、両側にある胴部縦折線4,5の端部と頂部横折線26の端部との交点40,41或いはその近傍を繋ぐように端部42,43が配された下向き円弧状の補助折線44が形成されている。
【0025】
本例では、補助折線44の端部42,43は胴部縦折線4,5の端部と頂部横折線26の端部との交点40,41と僅かに離れ、交点40,41の近傍に位置しているが、補助折線44の端部42,43は交点40,41に繋がっていてもよい。
【0026】
このように構成されたカートンブランクス2で形成される切妻屋根型紙容器1は、頂部38を形成した切妻屋根形成パネル16,17の側辺45と、妻壁形成パネル23,24に連設し胴部13を形成する胴部パネル6,7の上辺46との成す角度θが25度以下であり、胴部13の横幅Wが60mm以下であり、胴部パネル8に形成されている補助折線44の最下点Pと妻壁形成パネル24を連設する胴部パネル8の上辺46とを垂直に結ぶ長さL1が、胴部パネル8の上辺46の長さL2の15%~25%となっている。
【0027】
上記した頂部38を形成した切妻屋根形成パネル16,17の側辺45と胴部パネル6,7の上辺46との成す角度θ、胴部13の横幅W、補助折線44の最下点Pと胴部パネル8の上辺46とを垂直に結ぶ長さL1の数値は、切妻屋根型紙容器1が比較的に子供や老人にも容易に扱える小型の切妻屋根型紙容器1を前提に、切妻屋根型の頂部38の高さを低くし、省スペース化、運搬容易性、省資源によるコスト低減等が図れ、開封に際しては頂部横折線26により形成された胴部13の頂部角部47を切妻屋根型紙容器1の内側に押し込み凹ませることにより開封を容易に行え、さらには、切妻屋根形成パネル16,17の間から引き出した妻壁形成パネル24が容易に戻らず、開口した形態を保つことができるといった条件を満足させるべく行った試験・研究や、実際の開封官能テストによる評価から得られた数値である。
【0028】
試験・評価から、切妻屋根形成パネル16,17の側辺45と胴部パネル6,7の上辺46との成す角度θを25度以下としたのは、角度θが25度を超えると、切妻屋根型の頂部38の高さが際だって低くなったとは言えず、省スペース化、運搬容易性、省資源によるコスト低減等に寄与するとは言えないといったことによる。
角度θは小さいほど省スペース化、運搬容易性、省資源によるコスト低減等に寄与するといえるが、10度未満となると、開封に際しては胴部13の頂部角部47を凹ませ難くなり、また凹ませても指を入れる空間39が狭く開封への貢献が少ないため、10度以上であることが好ましい。
【0029】
また、胴部13の横幅Wを60mm以下としたのは、比較的に子供や老人にも容易に扱える小型の切妻屋根型紙容器1として評価した数値である。
【0030】
また、補助折線44の最下点Pと胴部パネル8の上辺46とを垂直に結ぶ長さL1を、胴部パネル8の上辺46の長さL2の15%~25%としたのは、長さL1がL2の15%未満であると、開封に際しては胴部13の頂部角部47を凹ませたときにできる空間39が狭く開封への貢献が少なく、また、25%を超えると凹ませた後の空間39が広くなりすぎてしまい、上方に力を加えようとしても梃子の原理が効かず開けにくく、また、切妻屋根形成パネル16,17の間から引き出した妻壁形成パネル24が戻ってしまい、開口した形態を保つことができなくなる場合があることによる。
【0031】
本例では、胴部形成パネル6,8の下端には底面形成パネル48,49が連設され、胴部形成パネル7,9の下端には内側パネル50,51が連設されており、底面形成パネル48,49の内側に内側パネル50,51を折り込んで、その当接面同士を接着し、胴部13の底部を封止して、切妻屋根型紙容器1の底部52を形成している。なお、底部52の構成は本例の構成に限られず、胴部13の底部52を封止することができれば切妻屋根型紙容器1の分野における他の公知の底部の構成を採用することができる。
【0032】
以上のように構成された本例の切妻屋根型紙容器1によれば、頂部38を形成した切妻屋根形成パネル16,17の側辺45と、妻壁形成パネル23,24に連設し胴部13を形成する胴部パネル6,7の上辺46との成す角度θが25度以下であるので、切妻屋根型の頂部38の高さが低くなり、その分、省スペース化、運搬容易性、省資源によるコスト低減等が図れる。
【0033】
また、胴部13の横幅Wが55mm以下であるので、切妻屋根型の頂部38の高さが低い切妻屋根型紙容器1では胴部パネル8と妻壁形成パネル24との間に形成される空間39が狭くなるが、胴部パネル8に形成されている補助折線44の最下点Pと妻壁形成パネル24を連設する胴部パネル8の上辺46とを垂直に結ぶ長さL1が、胴部パネル8の上辺46の長さL2の15%~25%となっているので、開封に際しては、頂部横折線26により形成された胴部13の頂部角部47を切妻屋根型紙容器1の内側に押し込み、胴部パネル8を補助折線44から山折りして、頂部角部47を切妻屋根型紙容器1の内方に湾曲させ、胴部パネル8の頂部横折線26と補助罫線44に挟まれた上部を切妻屋根型紙容器1の内側に凹ませることにより、胴部パネル8と妻壁形成パネル24との間に広い空間39が形成され、この空間39に指を入れて開封を容易に行うことができる。
【0034】
また、補助折線44の最下点Pと胴部パネル8の上辺46とを垂直に結ぶ長さL1が、胴部パネル8の上辺46の長さL2の15%~25%となっているので、注出口22を開口させるために妻壁形成パネル24を切妻屋根形成パネル16,17の間から引き出したとき、頂部横折線26により形成された胴部13の頂部角部47が切妻屋根型紙容器1の外側に湾曲し、胴部パネル8が補助折線44から谷折れし、切妻屋根型紙容器1の外側に湾曲して引き出された妻壁形成パネル24が嘴状の注出口22となって切妻屋根型紙容器1の外側に突出するので、注出口22に直接口を付けて飲むのに便利である。
【0035】
また、引き出されて嘴状の注出口22となった妻壁形成パネル24は、胴部パネル8における谷折れされた補助折線44の部位により、胴部13の頂部角部47が切妻屋根型紙容器1の外側に湾曲しているので、切妻屋根型紙容器1の外側に突出して注出口22となっている妻壁形成パネル24は戻りが押さえられ、嘴状に開口した注出口22の形態を保つことができる。
【符号の説明】
【0036】
1 切妻屋根型紙容器
2 カートンブランクス
3,4,5 胴部縦折線
6,7,8,9 胴部パネル
10 胴部縦折線
11 縦方向シールパネル
12 縁部
13 胴部
14,15 外側トップシールパネル
16,17 切妻屋根形成パネル
18,19 頂部横折線
20,21 内側トップシールパネル
22 注出口
23,24 妻壁形成パネル
25,26 頂部横折線
27,28 ガイド折線
29 第1ハーフカット
30 第2ハーフカット
31 ストロー用注出口
32,33,34,35 折り込み用折線
36,37 略三角面部
38 頂部
39 空間
40,41 交点
42,43 補助折線の端部
44 補助折線
45 頂部を形成した切妻屋根形成パネルの側辺
46 胴部を形成する胴部パネルの上辺
47 頂部角部
48,49 底面形成パネル
50,51 内側パネル
52 底部
θ 頂部を形成した切妻屋根形成パネルの側辺と、妻壁形成パネルに連設し胴部を形成する胴部パネルの上辺との成す角度
W 胴部の横幅
P 補助折線の最下点
L1 補助折線の最下点と胴部パネルの上辺とを垂直に結ぶ長さ
L2 胴部パネルの上辺の長さ