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特開2023-161250鉄筋コンクリート構造物の内部鉄筋の検査装置及び検査方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161250
(43)【公開日】2023-11-07
(54)【発明の名称】鉄筋コンクリート構造物の内部鉄筋の検査装置及び検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 25/72 20060101AFI20231030BHJP
【FI】
G01N25/72 K
G01N25/72 J
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022071505
(22)【出願日】2022-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】000241957
【氏名又は名称】北海道電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100202913
【弁理士】
【氏名又は名称】武山 敦史
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(72)【発明者】
【氏名】大道 靖史
【テーマコード(参考)】
2G040
【Fターム(参考)】
2G040AA05
2G040AB19
2G040BA16
2G040BA25
2G040CA02
2G040DA06
2G040DA15
2G040GA01
(57)【要約】
【課題】設備が取り付けられた鉄筋コンクリート構造物であっても内部鉄筋の破断箇所の有無を判別可能な検査装置及び検査方法を提供する。
【解決手段】検査装置1は、鉄筋コンクリート構造物の表面の温度分布の経時的な変化を測定する温度計と、温度計で測定された温度分布の経時的な変化に基づいて、鉄筋コンクリート構造物の応力変動を示す応力変動画像に関するデータを生成する演算装置100と、を備える。温度計は、鉄筋コンクリート構造物の表面の温度分布を示す温度画像を生成する赤外線カメラ2であり、演算装置100は、赤外線カメラ2により生成された温度画像に基づいて、鉄筋コンクリート構造物の応力変動を示す応力変動画像に関するデータを生成してもよい。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄筋コンクリート構造物の表面の温度分布の経時的な変化を測定する温度計と、
前記温度計で測定された温度分布の経時的な変化に基づいて、前記鉄筋コンクリート構造物の応力変動を示す応力変動画像に関するデータを生成する演算装置と、
を備える検査装置。
【請求項2】
前記温度計は、前記鉄筋コンクリート構造物の表面の温度分布を示す温度画像を生成する赤外線カメラであり、
前記演算装置は、前記赤外線カメラにより生成された温度画像に基づいて、前記鉄筋コンクリート構造物の応力変動を示す応力変動画像に関するデータを生成する、
請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記演算装置は、
前記赤外線カメラで生成された温度画像に基づいて、温度画像の画素毎に前記鉄筋コンクリート構造物の表面の温度変化を示す温度差を算出し、
温度画像の画素毎に算出された温度差に基づいて、前記鉄筋コンクリート構造物の応力変動を示す応力変動画像に関するデータを生成する、
請求項2に記載の検査装置。
【請求項4】
鉄筋コンクリート構造物の内部鉄筋を外部から加熱する加熱手段と、
前記加熱手段により前記内部鉄筋が加熱された前記鉄筋コンクリート構造物の表面の温度分布を測定する温度計と、
を備える検査装置。
【請求項5】
前記温度計は、前記鉄筋コンクリート構造物の表面の温度分布を示す温度画像を生成する赤外線カメラである、
請求項4に記載の検査装置。
【請求項6】
前記加熱手段は、前記鉄筋コンクリート構造物の外部に設置される誘導加熱コイルである、
請求項4又は5に記載の検査装置。
【請求項7】
鉄筋コンクリート構造物の表面の温度分布の経時的な変化を測定する測定工程と、
前記測定工程で測定された温度分布の経時的な変化に基づいて、前記鉄筋コンクリート構造物の応力変動を示す応力変動画像に関するデータを生成する生成工程と、
を含む検査方法。
【請求項8】
鉄筋コンクリート構造物の内部鉄筋を外部から加熱する加熱工程と、
前記加熱工程により前記内部鉄筋が加熱された前記鉄筋コンクリート構造物の表面の温度分布を測定する測定工程と、
を含む検査方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄筋コンクリート構造物の内部鉄筋の検査装置及び検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄筋コンクリート柱の折損を防止するために目視による定期的な点検が行われている。目視による鉄筋コンクリート柱の点検では、内部鉄筋の状態を十分に把握できないため、鉄筋コンクリート柱における内部鉄筋の破断箇所を非破壊的に検査する手法の開発が進められている。例えば、特許文献1には、鉄筋コンクリート柱の内部鉄筋を外部から磁化させ、内部鉄筋の破断箇所から漏れ出る微量な磁束を測定することで、内部鉄筋の破断箇所の有無を判別する検査方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-177747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の検査方法では、鉄筋コンクリート柱において、例えば、架線金具、電線類、機材といった設備が取り付けられていると、内部鉄筋を磁化できず、内部鉄筋の破断箇所の有無を判別できない、という問題がある。このため、内部鉄筋を磁化させる前に鉄筋コンクリート柱から各種の設備を予め取り外す必要があり、点検作業に多くの時間を要している。このような問題は、鉄筋コンクリート柱において内部鉄筋の破断箇所の有無を判別する場合に限られず、他の鉄筋コンクリート構造物において内部鉄筋の破断箇所の有無を判別する場合にも存在している。
【0005】
本発明は、このような背景に基づいてなされたものであり、設備が取り付けられた鉄筋コンクリート構造物であっても内部鉄筋の破断箇所の有無を判別可能な検査装置及び検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る検査装置は、
鉄筋コンクリート構造物の表面の温度分布の経時的な変化を測定する温度計と、
前記温度計で測定された温度分布の経時的な変化に基づいて、前記鉄筋コンクリート構造物の応力変動を示す応力変動画像に関するデータを生成する演算装置と、
を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、設備が取り付けられた鉄筋コンクリート構造物であっても内部鉄筋の破断箇所の有無を判別可能な検査装置及び検査方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態1に係る検査装置の構成を示す概略図である。
図2】本発明の実施の形態1に係る演算装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3】(a)は、本発明の実施の形態1に係る温度動画記憶部に記憶されたデータテーブルの一例を示す図であり、(b)は、本発明の実施の形態1に係る応力変動画像記憶部のデータテーブルの一例を示す図である。
図4】本発明の実施の形態1に係る演算装置が温度画像の画素毎に温度差を算出する手順を示す図である。
図5】本発明の実施の形態1に係る検査方法の流れを示すフローチャートである。
図6】本発明の実施の形態1に係る演算処理の流れを示すフローチャートである。
図7】本発明の実施の形態2に係る検査装置の構成を示す概略図である。
図8】(a)は、本発明の実施の形態2に係るワインド型コイルの構成を示す斜視図であり、(b)は、本発明の実施の形態2に係るスポット型コイルの構成を示す斜視図である。
図9】本発明の実施の形態2に係る検査方法の流れを示すフローチャートである。
図10】実施例1における鉄筋コンクリート柱の試験片を示す断面図である。
図11】(a)、(b)は、それぞれ実施例1における曲げ試験の様子を上方及び側方から撮影した図である。
図12】(a)、(b)は、それぞれ実施例1における鉄筋コンクリート柱の試験片の応力変動画像を示す図である。
図13】実施例1における装着金具が取り付けられた鉄筋コンクリート柱の試験片の温度変化画像及び応力変動画像を示す図である。
図14】(a)、(b)は、それぞれ実施例2における鉄筋コンクリート柱の試験片にワインドコイル及びスポットコイルをセッティングした様子を示す図である。
図15】(a)は、実施例2における鉄筋コンクリート柱の試験片の温度画像を示す図であり、(b)は、実施例2における装着金具が取り付けられた鉄筋コンクリート柱の試験片の温度画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態に係る検査装置及び検査方法を、図面を参照しながら詳細に説明する。各図面では、同一又は同等の部分に同一の符号を付す。
【0010】
(実施の形態1)
図1図6を参照して、実施の形態1に係る検査装置及び検査方法を説明する。実施の形態1では、鉄筋コンクリート柱(以下、「CP」と略称する。)の内部鉄筋の破断箇所で不平衡荷重が発生して内部応力が常時変動している場合に、内部鉄筋の破断箇所を検出する方法を説明する。実施の形態1に係る検査装置及び検査方法は、CP中間部の内部鉄筋が破断し、破断箇所で応力集中に起因する不平衡荷重が発生している場合に有用である。
【0011】
実施の形態1に係る検査方法では、熱弾性応力測定技術を利用して、応力変動状態にあるCPの内部鉄筋の破断箇所の有無を判別する。具体的には、まず、赤外線カメラを用いて応力発生状態にあるCP表面の温度分布を測定する。CP表面の温度分布は、伝熱作用により内部鉄筋の温度分布を反映したものである。次に、測定されたCP表面の温度分布の経時的な変化に基づいてCPの応力変動の分布を示す応力変動画像を生成する。
【0012】
生成された応力変動画像において周囲領域と比較して応力変動の大きな箇所が存在する場合、その応力変動の大きな箇所が内部鉄筋の破断箇所であると判別する。これは、健全なCPでは、内部鉄筋やコンクリートにバランスよく荷重が加わり、応力集中箇所が発生しないのに対し、内部鉄筋が破断しているCPでは、破断している内部鉄筋が引張荷重を受け持つことができず、反対側の圧縮荷重を受ける内部鉄筋に荷重が集中するためである。
【0013】
以下、実施の形態1に係る検査方法の前提となる熱弾性応力測定技術の仕組みを説明する。気体を断熱膨張させると温度が低下し、断熱圧縮させると温度が上昇する現象が広く知られているが、固体に応力を作用させた場合にも同様の現象が生じる。固体の弾性変形により温度変化が生じる現象は「熱弾性効果」と呼ばれる。熱弾性効果における測定対象の温度の変化量ΔTと測定対象の主応力和の変動幅Δσとの関係は、以下の式で表される。
ΔT=-K*T*Δσ …(1)
【0014】
主応力は、測定対象の主応力面に作用する応力のことである。主応力面は、測定対象においてせん断応力がゼロで垂直応力が最大又は最小となる面である。また、式(1)のTは、測定時における測定対象の絶対温度であり、Kは熱弾性係数である。熱弾性係数Kは、測定対象の材料毎に設定される固有の値であり、例えばCPの場合、K=4.0×10-6MPa-1である。
【0015】
熱弾性応力測定技術では、測定対象に応力変動が発生した時の微小な温度の変化量ΔTを、赤外線カメラを用いて測定し、測定された温度の変化量ΔTを式(1)に代入して主応力和の変動幅Δσに換算する。測定対象の温度測定で赤外線カメラを用いるのは、測定対象の温度を非接触で測定することで、測定対象の温度場を乱さないためである。
以上が、熱弾性応力測定技術の仕組みである。
【0016】
次に、図1を参照して、実施の形態1に係る検査装置1の構成を説明する。検査装置1は、測定対象であるCP表面の温度分布を示す画像である温度画像(サーモグラフィー)を撮影する赤外線カメラ2と、赤外線カメラ2により撮影された温度画像に基づいてCPの応力変動を示す画像である応力変動画像を生成する演算装置100と、を備える。演算装置100は、例えば、汎用コンピュータである。赤外線カメラ2と演算装置100とは、有線又は無線の通信回線を介して通信可能に接続されている。
【0017】
赤外線カメラ2は、CP表面の温度分布を測定する温度計の一例である。赤外線カメラ2が撮影する温度画像は、例えば、CP表面の温度分布の変化を示す動画(温度動画)である。温度動画は、一定のサンプリング周期で取得したCP表面の温度分布を示すフレームを時間順に並べたものである。応力変動画像は、CPの応力変動の分布を色分布で表現した画像である。
【0018】
赤外線カメラ2は、測定対象から放射される赤外線エネルギーを検出し、赤外線エネルギーの強度を示す信号に変換する。そして、変換された信号に処理を施すことで、測定対象の温度分布を色分布で可視化した温度画像を生成する。赤外線カメラ2は、高精度の温度分解能を有することが好ましく、その温度分解能は、例えば、0.02K以下である。これは、固体の温度変化はきわめて微小であり、応力変動の換算値の精度を向上させるには、赤外線カメラ2に高精度の温度分解能を持たせる必要があるためである。なお、赤外線カメラ2は、例えば、三脚により支持すればよい。
以上が、検査装置1の構成である。
【0019】
次に、図2を参照して、実施の形態1に係る演算装置100のハードウェア構成を説明する。演算装置100は、操作部110と、表示部120と、通信部130と、記憶部140と、制御部150と、を備える。演算装置100の各部は、内部バス(図示せず)を介して相互に接続されている。
【0020】
操作部110は、ユーザの指示を受け付け、受け付けた操作に対応する操作信号を制御部150に供給する。操作部110は、例えば、マウス、キーボードを備える。
【0021】
表示部120は、表示駆動回路を備え、制御部150から供給されるデータに基づいて、ユーザに向けて各種の画像を表示する。
【0022】
通信部130は、演算装置100が外部の機器と通信するための通信インタフェースである。通信部130は、例えば、インターネットのような通信ネットワーク、入出力端子を介して外部の機器と通信する。入出力端子は、例えば、USB(Universal Serial Bus)である。
【0023】
記憶部140は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、ハードディスクを備える。記憶部140は、制御部150で実行されるプログラムや各種のデータ、例えば、式(1)及び材料毎の熱弾性係数Kの値を記憶する。また、記憶部140は、各種の情報を一時的に記憶し、制御部150が処理を実行するためのワークメモリとしても機能する。さらに、記憶部140は、温度動画記憶部141と、応力変動画像記憶部142と、を備える。
【0024】
図3(a)に示すように、温度動画記憶部141は、赤外線カメラ2により撮影された温度動画を、CP識別番号及び撮影位置に対応づけて記憶する。CP識別番号は、CP毎に割り振られた固有の識別番号である。撮影位置は、例えば、CPの軸方向の位置(高さ)z1、z2、…と、CPの軸周りの角度r1、r2、…とにより表現される。
【0025】
図3(b)に示すように、応力変動画像記憶部142は、演算装置100により温度変化画像に基づいて生成された応力変動画像を、CP識別番号及び撮影位置に対応づけて記憶する。
【0026】
図2に戻り、制御部150は、プロセッサを備え、演算装置100の各部の制御を行う。プロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。制御部150は、記憶部140に記憶されているプログラムを実行することにより、図6の演算処理を実行する。制御部150は、機能的には、取得部151と、温度差算出部152と、応力変動画像生成部153と、出力部154とを備える。
【0027】
取得部151は、赤外線カメラ2により撮影されたCP表面の温度分布を示す温度動画を取得し、CP識別情報及び撮影位置に対応付けて温度動画記憶部141に記憶させる。取得部151によるデータの取得には、記憶部140に記憶されたデータを読み出すことが含まれる。
【0028】
温度差算出部152は、取得部151により取得された温度動画に基づいて、温度動画の画素毎に温度差を算出する。具体的には、取得部151により取得された温度動画から一定の解析点数のフレームを抽出し、抽出されたフレームの集まりから画素毎に温度の最大値と最小値との差分を算出すればよい。解析点数は、抽出されるフレームの数であり、例えば、フレーム数250である。フレームの抽出は、図4に示すように、先頭のフレームから一定の解析ステップ毎に行い、それぞれ抽出したフレームの集まりから温度差ΔT1、ΔT2、ΔT3、ΔT4、…を次々に算出すればよい。解析ステップは、フレームの抽出を開始する位置であり、例えば、先頭のフレームから150ステップ毎とすればよい。なお、温度差算出部152は、画素毎の温度差の算出値を色分布で表現することで、CP表面の温度分布の変化を示す温度変化画像を生成してもよい。
【0029】
応力変動画像生成部153は、温度差算出部152により算出された画素毎のCP表面の温度変化を示す温度差の算出値に基づいて、CPの応力変動を示す応力変動画像を生成し、CP識別情報及び撮影位置に対応付けて応力変動画像記憶部142に記憶させる。具体的には、温度変化画像の画素毎に温度差の算出値ΔTを式(1)に代入し、応力変動の換算値Δσに換算する。次に、画素毎の応力変動の換算値を色分布で表現することで、CPの応力変動を示す応力変動画像を生成する。なお、応力変動画像の生成には、応力変動画像に関するデータ(画像データ)を生成することや応力変動画像の潜像を生成することが含まれるものとする。
【0030】
出力部154は、応力変動画像生成部153により変換された応力変動画像のデータを外部に出力する。例えば、応力変動画像を表示部120に表示させてもよい。
以上が、演算装置100のハードウェア構成である。
【0031】
次に、図5を参照して、実施の形態1に係る検査装置1を用いてユーザが実行する検査方法の流れを説明する。まず、CPに向けて赤外線カメラ2を設置する(ステップS11)。具体的には、赤外線カメラ2に三脚を取り付け、赤外線カメラ2がCPに向かうように三脚を地面に設置すればよい。
【0032】
次に、ステップS11の工程で設置された赤外線カメラ2を用いてCP表面の温度分布を示す温度動画を撮影する(ステップS12)。温度動画のフレームレート及び撮影時間は、ユーザにより予め設定されている。CP表面の温度変化を把握するためには、例えば、2000フレーム以上の画像を取得することが好ましい。
【0033】
次に、ステップS12の工程で赤外線カメラ2により撮影された温度動画に基づいて、演算装置100に図6の演算処理を実行させることで、演算装置100の表示部120にCPの応力変動画像を表示させる(ステップS13)。
【0034】
次に、ステップS13の工程で得られた応力変動画像に基づいて、CP内部鉄筋の破断箇所の有無を判別する(ステップS14)。具体的には、内部鉄筋が破断していない箇所では、応力変動がほとんど無いのに対し、内部鉄筋の破断箇所では、荷重が不均衡な状態が継続するため、応力が大きく変動している。このため、ユーザがCPの応力変動画像の色分布を観察し、周囲領域と比較して色分布が大きく異なる箇所が存在するかどうかを見極めることで、内部鉄筋の破断箇所を判別できる。
以上が、検査方法の流れである。
【0035】
(演算処理)
次に、図6を参照して、実施の形態1に係る演算装置100が実行する演算処理の流れを説明する。演算処理は、赤外線カメラ2を用いてCP表面の温度動画を撮影した後、ユーザによる指示を受け付けた時点で開始する。
【0036】
まず、取得部151は、CP表面の温度分布を撮影した温度動画を取得する(ステップS21)。
【0037】
次に、温度差算出部152は、ステップS21の処理で取得した温度動画に基づいて、画素毎にCP表面の温度変化を示す温度差を算出する(ステップS22)。具体的には、ステップS21の処理で取得された温度動画から一定フレーム数のフレームを抽出し、抽出されたフレームの集まりから画素毎に温度の最大値と最小値との差分を算出すればよい。
【0038】
次に、応力変動画像生成部153は、ステップS22の処理で算出された画素毎のCP表面の温度変化を示す温度差の算出値に基づいて、CPの応力変動を示す応力変動画像を生成する(ステップS23)。具体的には、温度画像の画素毎に温度差の算出値ΔTを式(1)に代入し、応力変動の換算値Δσに換算すればよい。
【0039】
次に、出力部154は、ステップS23の処理で得られた応力変動画像を表示部120に表示させ(ステップS24)、処理を終了する。
以上が、演算処理の流れである。
【0040】
以上説明したように、実施の形態1に係る検査装置1は、CP表面の温度分布の経時的な変化を測定する赤外線カメラ2と、赤外線カメラ2で測定された温度分布の経時的な変化に基づいて、CPの応力変動を示す応力変動画像を生成する演算装置100と、を備える。このため、CPにおいて設備が取り付けられた箇所であっても内部鉄筋の破断箇所の有無を判別でき、結果としてCPの劣化の程度を迅速かつ的確に判断できる。これによりCPの保守管理に要するコストや作業者による点検の負担を低減できる。
【0041】
(実施の形態2)
図7図9を参照して、実施の形態2に係る検査装置及び検査方法を説明する。実施の形態1では、応力発生状態にあるCP表面の温度を測定していたが、実施の形態2では、静止状態にあるCPの内部鉄筋を誘導コイルにより加熱した後にCP表面の温度を測定する。実施の形態2に係る検査装置及び検査方法は、応力集中に起因する不平衡荷重が発生していない場合にも適用できる。以下、両者の相違する点を中心に説明する。
【0042】
図7を参照して、実施の形態2に係る検査装置1の構成を説明する。検査装置1は、CPの内部鉄筋を外部から加熱する誘導加熱コイル3と、誘導加熱コイル3により内部鉄筋が加熱されたCP表面の温度分布を測定する赤外線カメラ2と、を備える。
【0043】
赤外線カメラ2は、CP表面の温度分布を示す温度画像を表示するモニタを備える。赤外線カメラ2が撮影する温度画像は、CP表面の温度分布を示す静止画であってもよく、CP表面の温度分布の変化を示す温度動画であってもよい。
【0044】
誘導加熱コイル3は、CPの内部鉄筋を外部から加熱する加熱手段の一例である。誘導加熱コイル3は、電磁誘導の原理を利用して内部鉄筋に接触することなく内部鉄筋を加熱する。電磁誘導の原理は、コイルの導線に交流電流を流すと、その周囲に変動磁界が発生し、この磁界の中に金属を置くと、電磁誘導により誘導電流が流れ、この誘導電流により金属でジュール熱が発生する、というものである。
【0045】
誘導加熱コイル3は、図8(a)に示すワインド型コイル3Aであってもよく、図8(b)に示すスポット型コイル3Bであってもよく、その他の型式であってもよい。ワインド型コイル3Aは、CPに巻き付けられた状態で内部鉄筋を加熱する。スポット型コイル3Bは、水冷式の渦巻きコイルで構成され、ひび割れが発生している箇所をピンポイントで加熱するのに好適である。
【0046】
次に、図9を参照して、実施の形態2に係る検査装置1を用いてユーザが実行する検査方法の流れを説明する。まず、CPに対して赤外線カメラ2及び誘導加熱コイル3を設置する(ステップS31)。具体的には、赤外線カメラ2に三脚を取り付け、赤外線カメラ2がCPに向かうように三脚を地面に設置すればよい。また、誘導加熱コイル3については、CPの表面に巻き付けるか、その表面近傍に設置するとよい。
【0047】
次に、ステップS31の工程で設置した誘導加熱コイル3によりCPの内部鉄筋を加熱する(ステップS32)。具体的には、誘導加熱コイル3に高周波を供給することで、誘導加熱コイル3の近傍に変動磁界を発生させ、内部鉄筋に渦電流を発生させることで、内部鉄筋にジュール熱を発生させる。
【0048】
次に、ステップS31の工程で設置された赤外線カメラ2を用いて、ステップS32の工程で内部鉄筋が加熱されたCP表面の温度分布を示す温度画像を撮影する(ステップS33)。温度画像は、静止画及び動画のいずれであってもよい。
【0049】
次に、ステップS33の工程で得られた温度画像をモニタに表示させ(ステップS34)、モニタに表示された温度画像に基づいてCP内部鉄筋の破断箇所の有無を判別し(ステップS35)、処理を終了する。具体的には、内部鉄筋が破断していない箇所では、内部鉄筋の発熱によりCP表面も発熱しているのに対し、内部鉄筋の破断箇所では、内部鉄筋の誘導加熱が生じない結果としてCP表面が発熱していない。このため、ユーザが温度画像の色分布を観察することで、内部鉄筋の破断箇所の有無を判別できる。なお、CPに設備が取り付けられている場合でも、設備の発熱がCPの温度分布に広範囲に影響を与えることがないため、設備と重なる箇所を除いて内部鉄筋の破断箇所の有無を判別できる。
以上が、実施の形態2に係る検査方法の流れである。
【0050】
実施の形態2に係る検査装置1は、赤外線カメラ2と演算装置100とに加えて、CPの側に設置され、鉄筋コンクリート構造物の内部鉄筋を外部から加熱する誘導加熱コイル3を備える。このため、内部鉄筋に応力変動が発生していない場合でも、誘導加熱コイル3を用いることで破断箇所の有無を判別できる。また、実施の形態1に係る発明の検査装置1とは異なり温度画像の解析が不要であるため、現場で迅速に内部鉄筋の破断箇所の有無を判別できる。
【0051】
本発明は上記実施の形態に限られず、以下に述べる変形も可能である。
【0052】
(変形例)
上記実施の形態では、赤外線カメラ2が1台であったが、本発明はこれに限られない。例えば、CP全体を迅速に撮影するために、赤外線カメラ2を2台以上設けてもよい。
【0053】
上記実施の形態では、温度計として赤外線カメラ2を用いていたが、本発明はこれに限られない。例えば、赤外線カメラ2以外の非接触式温度計を用いてもよい。
【0054】
上記実施の形態では、赤外線カメラ2によりCP表面の温度分布を示す温度画像を撮影していたが、本発明はこれに限られない。CP表面の温度分布を示すデータが得られれば、必ずしも温度画像を撮影する必要はなく、CP表面の温度分布を示すデータを画素位置に対応する数値データとして扱ってもよい。
【0055】
上記実施の形態1では、演算装置100が応力変動画像を生成し、ユーザが演算装置100の表示部120に表示された応力変動画像を参照して内部鉄筋の破断箇所の有無を判別していたが、本発明はこれに限られない。例えば、演算装置100の制御部150が応力変動画像に基づいて内部鉄筋の破断箇所の有無を検出してもよい。
【0056】
具体的には、応力変動画像において画素毎に応力変動の換算値と予め設定された応力変動閾値とを比較し、応力変動の換算値が応力変動閾値以上である画素が存在する場合に、当該画素に対応する箇所において内部鉄筋が破断していると判定すればよい。このとき、演算装置100の表示部120に応力変動画像を表示する必要はなく、応力変動画像の各画素における応力変動の換算値を応力変動閾値と比較し、その比較結果を表示するだけでよい。
【0057】
上記実施の形態2では、赤外線カメラ2のモニタが温度画像を表示し、ユーザが赤外線カメラ2のモニタに表示された温度画像を参照して内部鉄筋の破断箇所の有無を判別していたが、本発明はこれに限られない。例えば、赤外線カメラ2に演算装置100を通信可能に接続しておき、演算装置100の制御部150が赤外線カメラ2により撮影された温度画像に基づいて内部鉄筋の破断箇所の有無を検出してもよい。
【0058】
具体的には、温度画像において内部鉄筋に対応する領域を認識し、認識された領域において画素毎に温度の測定値と予め設定された温度閾値とを比較し、温度の測定値が温度閾値以下である画素が存在する場合に、当該画素に対応する箇所において内部鉄筋が破断していると判定すればよい。このとき、演算装置100の表示部120に温度画像を表示する必要はなく、温度画像の各画素における温度の測定値を温度閾値と比較し、その比較結果を表示するだけでよい。
【0059】
上記実施の形態2では、CPに対して1つの誘導加熱コイル3を適用していたが、本発明はこれに限られない。CPに対する誘導加熱コイル3の数は任意であり、例えば、内部鉄筋の広い範囲を加熱するために2つ以上であってもよい。
【0060】
上記実施の形態1では、演算装置100の記憶部140に各種データが記憶されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、各種データは、その全部又は一部が通信ネットワークを介して外部の制御装置やコンピュータに記憶されていてもよい。
【0061】
上記実施の形態1では、演算装置100は、それぞれ記憶部140に記憶されたプログラムに基づいて動作していたが、本発明はこれに限定されない。例えば、プログラムにより実現された機能的な構成をハードウェアにより実現してもよい。
【0062】
上記実施の形態1では、演算装置100は、例えば、汎用コンピュータであったが、本発明はこれに限られない。例えば、演算装置100は、クラウド上に設けられたコンピュータで実現してもよい。
【0063】
上記実施の形態1では、演算装置100が実行する処理は、上述の物理的な構成を備える装置が記憶部140に記憶されたプログラムを実行することによって実現されていたが、本発明は、プログラムとして実現されてもよく、そのプログラムが記録された記憶媒体として実現されてもよい。
【0064】
また、上述の処理動作を実行させるためのプログラムを、フレキシブルディスク、CD-ROM(Compact Disk Read-Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disk)、MO(Magneto-Optical Disk)のようなコンピュータにより読み取り可能な非一時的な記録媒体に格納して配布し、そのプログラムをコンピュータにインストールすることにより、上述の処理動作を実行する装置を構成してもよい。
【0065】
上記実施の形態では、長尺な鉄筋コンクリート構造物の一例である鉄筋コンクリート柱を検査対象にしていたが、本発明はこれに限られない。他の鉄筋コンクリート構造物、例えば、橋梁の床板、橋脚、建築物の梁、桁、柱を検査対象にしてもよい。
【0066】
上記実施の形態は例示であり、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の趣旨を逸脱しない範囲でさまざまな実施の形態が可能である。各実施の形態や変形例で記載した構成要素は自由に組み合わせることが可能である。また、特許請求の範囲に記載した発明と均等な発明も本発明に含まれる。
【0067】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0068】
(実施例1)
実施例1では、CP試料の中間部に人為的に曲げ応力を発生させ、実施の形態1に係る方法を用いて内部鉄筋の破断箇所の有無を判別できるかどうかを検証した。
【0069】
まず、図10に示すように12本の内部鉄筋を有するCPの中間部に径方向に切り込みを入れ、4本の内部鉄筋を切断したCP試料(破断試料)を作成した。次に、内部鉄筋の破断箇所に引張荷重が加わるようにCP試料に曲げ変形を加え、CP試料の圧縮加重が加わる側の表面(圧縮面)を赤外線カメラで20秒程度(2000フレーム程度)撮影した。具体的には、図11(a)に示すようにJIS(Japanese Industrial Standards) A 5373の曲げ試験装置を用いて曲げ試験を行った。このとき、図11(b)に示すようにCP中間部をワイヤで固定した状態で、内部鉄筋の破断箇所に引張荷重が加わるようにCP末口を牽引した。破断試料の載荷荷重は、2.5kN~3kNの範囲である。
【0070】
次に、赤外線カメラ2により撮影されたCP試料の圧縮面における温度動画に基づいて応力変動画像を生成した。具体的には、式(1)を用いて温度動画から得られる画素毎の温度差の測定値から応力変動の換算値に換算した。そして、応力変動画像に基づいて内部鉄筋の破断箇所を検出できるかどうかを確認した。比較のため、鉄筋が切断されていない健全試料についても同様の実験を行った。健全試料の載荷荷重は、7kN(CPの破壊規格値)である。
【0071】
その結果、健全試料では、図12(a)に示すように、全体的に応力が分散しており、応力集中箇所が存在していなかった。他方、破断試料では、図12(b)に示すように、載荷荷重2.5kN~3kNの範囲であっても応力集中箇所すなわち内部鉄筋の破断箇所が存在していることが確認できた。
【0072】
次に、CP中間部に架線金具が取り付けられた場合でも内部鉄筋の破断箇所を特定できるかどうかを検証した。その他の実験条件は、架線金具が取り付けられていない場合と同一である。その結果、図13の応力変動画像に示すように、CP中間部には架線金具が取り付けられていても、内部鉄筋の応力集中箇所が存在していることが確認できた。
【0073】
(実施例2)
実施例2では、CP試料を外部から加熱し、実施の形態2に係る方法を用いて内部鉄筋の破断箇所の有無を判別できるかどうかを検証した。
【0074】
まず、内部鉄筋の一部が破断している実設備のCP中間部からCP試験片を採取した。次に、図14(a)及び(b)に示すように採取したCP試験片の内部鉄筋を加熱した状態でCP試験片の表面を赤外線カメラ2で撮影し、赤外線カメラ2により得られた温度画像に基づいて内部鉄筋の破断箇所の判別を試みた。なお、内部鉄筋の加熱に用いる誘導加熱コイル3としては、ワインド型コイル3A及びスポット型コイル3Bをそれぞれ用いている。以下、ワインド型コイルを用いる方法を「ワインド法」、スポット型コイルを用いる方法を「スポット法」と呼ぶこととする。
【0075】
その結果、図15(a)の温度画像に示すように、ワインド法及びスポット法のいずれにおいても、内部鉄筋が発熱した結果として内部鉄筋の破断箇所と周辺領域との温度差が顕著に現れ、両者を明確に区別することができた。
【0076】
次に、CP中間部に架線金具が取り付けられた場合でも内部鉄筋の破断箇所を特定できるかどうかを検証した。その他の実験条件は、架線金具が取り付けられていない場合と同一である。その結果、図15(b)の温度画像に示すように、ワインド法及びスポット法のいずれにおいても、架線金具が取り付けられた箇所を除き、内部鉄筋の破断箇所とその他の箇所との温度差が顕著に現れ、両者を明確に区別することができた。
【符号の説明】
【0077】
1 検査装置
2 赤外線カメラ
3 誘導加熱コイル
100 演算装置
150 制御部
152 温度差算出部
153 応力変動画像生成部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【手続補正書】
【提出日】2023-06-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る検査装置は、
鉄筋コンクリート構造物における内部鉄筋の破断箇所の有無を検出するための検査装置であって、
前記鉄筋コンクリート構造物の表面の温度分布の経時的な変化を測定する温度計と、
前記温度計で測定された温度分布の経時的な変化に基づいて、前記鉄筋コンクリート構造物の応力変動を示す応力変動画像に関するデータを生成する演算装置と、
を備える。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄筋コンクリート構造物における内部鉄筋の破断箇所の有無を検出するための検査装置であって、
前記鉄筋コンクリート構造物の表面の温度分布の経時的な変化を測定する温度計と、
前記温度計で測定された温度分布の経時的な変化に基づいて、前記鉄筋コンクリート構造物の応力変動を示す応力変動画像に関するデータを生成する演算装置と、
を備える検査装置。
【請求項2】
前記温度計は、前記鉄筋コンクリート構造物の表面の温度分布を示す温度画像を生成する赤外線カメラであり、
前記演算装置は、前記赤外線カメラにより生成された温度画像に基づいて、前記鉄筋コンクリート構造物の応力変動を示す応力変動画像に関するデータを生成する、
請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記赤外線カメラの温度分解能は、0.02K以下である、
請求項2に記載の検査装置。
【請求項4】
前記演算装置は、
前記赤外線カメラで生成された温度画像に基づいて、温度画像の画素毎に前記鉄筋コンクリート構造物の表面の温度変化を示す温度差を算出し、
温度画像の画素毎に算出された温度差に基づいて、前記鉄筋コンクリート構造物の応力変動を示す応力変動画像に関するデータを生成する、
請求項2又は3に記載の検査装置。
【請求項5】
前記赤外線カメラは、前記鉄筋コンクリート構造物の表面の温度分布の変化を示す温度動画を生成し、
前記演算装置は、前記赤外線カメラで生成された温度動画において先頭のフレームから一定の解析点数のフレームを一定周期毎に抽出し、抽出されたフレームの集まりから画素毎に温度の最大値と最小値との差分を温度差として算出する、
請求項4に記載の検査装置。
【請求項6】
鉄筋コンクリート構造物における内部鉄筋の破断箇所の有無を検出するための検査装置であって、
前記鉄筋コンクリート構造物の内部鉄筋を外部から加熱する加熱手段と、
前記加熱手段により前記内部鉄筋が加熱された前記鉄筋コンクリート構造物の表面の温度分布を測定する温度計と、
を備える検査装置。
【請求項7】
前記温度計は、前記鉄筋コンクリート構造物の表面の温度分布を示す温度画像を生成する赤外線カメラである、
請求項に記載の検査装置。
【請求項8】
前記加熱手段は、前記鉄筋コンクリート構造物の外部に設置される誘導加熱コイルである、
請求項又はに記載の検査装置。
【請求項9】
鉄筋コンクリート構造物における内部鉄筋の破断箇所の有無を検出するための検査方法であって、
前記鉄筋コンクリート構造物の表面の温度分布の経時的な変化を測定する測定工程と、
前記測定工程で測定された温度分布の経時的な変化に基づいて、前記鉄筋コンクリート構造物の応力変動を示す応力変動画像に関するデータを生成する生成工程と、
を含む検査方法。
【請求項10】
鉄筋コンクリート構造物における内部鉄筋の破断箇所の有無を検出するための検査方法であって、
前記鉄筋コンクリート構造物の内部鉄筋を外部から加熱する加熱工程と、
前記加熱工程により前記内部鉄筋が加熱された前記鉄筋コンクリート構造物の表面の温度分布を測定する測定工程と、
を含む検査方法。