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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161252
(43)【公開日】2023-11-07
(54)【発明の名称】取付器具
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/00 20060101AFI20231030BHJP
   F16B 2/10 20060101ALI20231030BHJP
【FI】
E04D13/00 K
F16B2/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022071508
(22)【出願日】2022-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】593054860
【氏名又は名称】スワロー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104329
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 卓治
(74)【代理人】
【識別番号】100195648
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 悠太
(74)【代理人】
【識別番号】100175019
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 健朗
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(72)【発明者】
【氏名】原田 雅史
(72)【発明者】
【氏名】熊倉 正則
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 貴史
【テーマコード(参考)】
3J022
【Fターム(参考)】
3J022DA11
3J022EA41
3J022EB04
3J022EC02
3J022FA01
3J022FB03
3J022FB07
3J022FB12
3J022GA06
3J022GA12
3J022GA14
3J022GB23
3J022GB25
(57)【要約】
【課題】より簡単に被取付部に取り付けることができる取付器具を提供する。
【解決手段】ハゼ部80に取り付けられる取付器具10は、ハゼ部80を挟持可能に形成される第1挟持部材20及び第2挟持部材30を備える。第1挟持部材20及び第2挟持部材30は、ハゼ部80を挟持した状態でハゼ部80の両側に当接する一対の当接部22a,32aを備え、一対の当接部22a,32aが互いに離れた開状態、及び一対の当接部22a,32aが互いに開状態よりも接近又は互いに接触した閉状態の間で回動軸Jを中心に回動可能に構成されている。取付器具10は、第1挟持部材20及び第2挟持部材30の回動軸Jを中心とした回動を規制しつつ、第1挟持部材20及び第2挟持部材30を開状態に保持する爪部25tを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被取付部に取り付けられる取付器具であって、
前記被取付部を挟持可能に形成される第1挟持部材及び第2挟持部材を備え、
前記第1挟持部材及び前記第2挟持部材は、前記被取付部を挟持した状態で前記被取付部の両側に当接する一対の当接部を備え、前記一対の当接部が互いに離れた開状態、及び前記一対の当接部が互いに前記開状態よりも接近又は互いに接触した閉状態の間で回動軸を中心に回動可能に構成され、
前記取付器具は、前記第1挟持部材及び前記第2挟持部材の前記回動軸を中心とした回動を規制しつつ、前記第1挟持部材及び前記第2挟持部材を前記開状態に保持する開保持部を備える、
取付器具。
【請求項2】
前記被取付部は、ハゼ式折版屋根のハゼ部であり、
前記取付器具は、前記ハゼ部に取り付けられた状態で、前記取付器具に装着される押さえ部材とともにソーラーパネルを支持し、
前記開保持部は、前記開状態における前記一対の当接部間の隙間の長さを、前記ハゼ部の幅方向の長さよりも大きく設定する、
請求項1に記載の取付器具。
【請求項3】
前記取付器具は、前記第1挟持部材及び前記第2挟持部材が前記被取付部を挟持するように前記第1挟持部材及び前記第2挟持部材を締結する締結部を備え、
前記締結部は、
前記回動軸に直交する方向に延び、前記第1挟持部材及び前記第2挟持部材に挿通されるボルトと、
前記ボルトの先端側に螺合した状態で回転操作されることにより前記ボルトの頭部との間で前記第1挟持部材及び前記第2挟持部材を互いに近づける方向に力を加えるナットと、を備え、
前記第1挟持部材は、前記回動軸に沿う方向に延びる凹溝状に形成される被係止部を備え、
前記第2挟持部材は、前記回動軸を中心に互いに回動可能に前記被係止部に係止する係止部を備え、
前記開保持部は、前記被係止部内に形成され、前記係止部との接触により、前記第1挟持部材及び前記第2挟持部材を前記開状態に保持する爪部を備え、
前記第1挟持部材及び前記第2挟持部材は、前記開状態において、前記ナットが回転操作されると、前記係止部が前記爪部を乗り越えて前記閉状態となる、
請求項1又は2に記載の取付器具。
【請求項4】
前記取付器具は、前記第1挟持部材及び前記第2挟持部材が前記被取付部を挟持するように前記第1挟持部材及び前記第2挟持部材を締結する締結部を備え、
前記開保持部は、前記一対の当接部にて前記被取付部を挟持した前記閉状態において、前記締結部による締結状態が解除されても、前記一対の当接部にて前記被取付部を挟持した前記閉状態を保持する、
請求項1又は2に記載の取付器具。
【請求項5】
前記第1挟持部材及び前記第2挟持部材の何れか一方は、前記取付器具の上面側に形成され、前記回動軸に沿って延びる被接触面を備え、
前記第1挟持部材及び前記第2挟持部材の何れか他方は、前記取付器具の上面側に形成され、前記開状態から前記閉状態への移行が進行するにつれて前記被接触面との隙間が小さくなり、前記閉状態となったときに前記被接触面に面接触する接触面を備える、
請求項1又は2に記載の取付器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取付器具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載の取付金具は、折版屋根のハゼ部の両側を挟持する第1挟持部材及び第2挟持部材と、第1挟持部材及び第2挟持部材がハゼ部の両側を挟持した状態で第1挟持部材及び第2挟持部材を締結するボルト及びナットと、を備える。これらボルト及びナットにより締結される前においては、第2挟持部材は、第1挟持部材に対して回動可能に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-197442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の構成では、取付金具をハゼ部に取り付けるにあたって、第2挟持部材は、第1挟持部材に対して開いた状態を維持しつつ、第1挟持部材の第1当接部と第2挟持部材の第2当接部の間にハゼ部を進入させる必要があり、面倒であった。一例としては、取付金具をハゼ部に取り付けるにあたって、作業者は、両手で、第2挟持部材が第1挟持部材に対して開いた状態を維持しつつ第1挟持部材の第1当接部と第2挟持部材の第2当接部の間にハゼ部を進入させ、その後、ボルト及びナットを締める工具に持ち替える必要があった。
【0005】
本発明は、上記実状を鑑みてなされたものであり、より簡単に被取付部に取り付けることができる取付器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る取付器具は、被取付部に取り付けられる取付器具であって、前記被取付部を挟持可能に形成される第1挟持部材及び第2挟持部材を備え、前記第1挟持部材及び前記第2挟持部材は、前記被取付部を挟持した状態で前記被取付部の両側に当接する一対の当接部を備え、前記一対の当接部が互いに離れた開状態、及び前記一対の当接部が互いに前記開状態よりも接近又は互いに接触した閉状態の間で回動軸を中心に回動可能に構成され、前記取付器具は、前記第1挟持部材及び前記第2挟持部材の前記回動軸を中心とした回動を規制しつつ、前記第1挟持部材及び前記第2挟持部材を前記開状態に保持する開保持部を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、取付器具において、より簡単に被取付部に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】(a)及び(b)は、本発明の一実施形態に係る取付器具の斜視図である。
図2】(a)及び(b)は、本発明の一実施形態に係る取付器具の側面図である。
図3】(a)は、図2(a)の範囲3aの拡大図であり、(b)は、図2(b)の範囲3bの拡大図である。
図4】本発明の一実施形態に係る第1挟持部材の斜視図である。
図5】(a)は、本発明の一実施形態に係るソーラーパネルを支持した状態の端部押さえ部材が装着された取付器具の正面図であり、(b)は、本発明の一実施形態に係るソーラーパネルを支持した状態の中間押さえ部材が装着された取付器具の正面図であり、(c)は、本発明の一実施形態に係るソーラーパネルを支持した状態の端部押さえ部材が装着された取付器具の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係る取付器具の一実施形態について、図面を参照して説明する。
図5(c)に示すように、取付器具10は、金属製であり、ハゼ式折版屋根のハゼ部80に取り付けられる。取付器具10の上面には、支持対象の一例であるソーラーパネル60の外周枠部が設置される。図5(a),(b)に示すように、取付器具10には、端部押さえ部材71及び中間押さえ部材72の何れかが選択的に取り付けられる。端部押さえ部材71及び中間押さえ部材72は、取付器具10の上面に設置されたソーラーパネル60の外周枠部を上側から押さえる。取付器具10は、1つのソーラーパネル60の外周に沿って複数設置される。図5(b)に示すように、中間押さえ部材72は、例えば、2つのソーラーパネル60a,60bが並べられる場合に、2つのソーラーパネル60a,60bの間に位置する取付器具10に取り付けられる。中間押さえ部材72は、2つのソーラーパネル60a,60bそれぞれの外周枠部を上側から押さえる。図5(a)に示すように、端部押さえ部材71は、他のソーラーパネルが隣接しないソーラーパネル60の外周側の取付器具10に取り付けられる。端部押さえ部材71は、ソーラーパネル60の外周枠部を上側から押さえる。
【0010】
次に、取付器具10について説明する。
図1(a),(b)に示すように、取付器具10は、当接部22aを有する第1挟持部材20と、当接部32aを有する第2挟持部材30と、締結部40と、取付軸部50と、を備える。
第1挟持部材20及び第2挟持部材30は、工具を利用して締結部40により締結力が加えられると、回動軸Jを中心に互いに回動可能に構成され、一対の当接部22a,32aによりハゼ部80(図5(c)参照)を両側から挟持可能に構成される。
以下の説明では、一対の当接部22a,32aが並ぶ方向を幅方向Wと規定し、幅方向Wに直交し、回動軸Jに沿う方向を長さ方向Lと規定し、幅方向W及び長さ方向Lに直交する方向を高さ方向Hと規定する。
【0011】
(第1挟持部材20)
図1(a),(b)に示すように、第1挟持部材20は、パネル支持部21と、側壁部22と、被係止部25と、位置合わせ凹部24と、を備える。
パネル支持部21は、幅方向W及び長さ方向Lに沿う矩形板状、本例では、長さ方向Lに長い長方形板状をなす。パネル支持部21の上面には、ソーラーパネル60,60a,60b(図5(a),(b)参照)の外周枠部が設置される。図2(a)に示すように、パネル支持部21の中央には、取付軸部50が通過する孔21hが形成されている。取付軸部50は、孔21hに挿通されるボルト50bと、ボルト50bの軸部に螺合されるナット50nと、を備える。パネル支持部21は、ボルト50bの頭部50tとナット50nの間に挟持される。図5(a),(b)に示すように、ボルト50bには、端部押さえ部材71又は中間押さえ部材72が挿通されるとともに、ナット50nとは別のナット51nが螺合される。ナット51nにより端部押さえ部材71又は中間押さえ部材72がソーラーパネル60,60a,60bの外周枠部に押し付けられる。
図1(a),(b)に示すように、パネル支持部21の上面には、複数、本例では6本のライン部211~216が形成されている。各ライン部211~216は、例えば刻印により、幅方向Wに延びる線状に形成されている。3本のライン部211~213は、パネル支持部21の上面の幅方向Wの一端側(図1(a),(b)の左側)に位置し、長さ方向Lに並ぶ。3本のライン部214~216は、パネル支持部21の上面の幅方向Wの他端側(図1(a),(b)の右側)に位置し、長さ方向Lに並ぶ。
2つのライン部212,215は幅方向Wに並び、長さ方向Lにボルト50bの中心に対応して位置する。2つのライン部212,215は、取付器具10の長さ方向Lの中心を示す目印である。
2つのライン部211,214は幅方向Wに並び、長さ方向Lに2つのライン部212,215の一方側に位置する。2つのライン部211,214はソーラーパネル60b(図5(b)参照)の外周枠部の側面を位置させる目印である。
2つのライン部213,216は幅方向Wに並び、長さ方向Lに2つのライン部212,215の他方側に位置する。2つのライン部213,216はソーラーパネル60a(図5(b)参照)の外周枠部の側面を位置させる目印である。
【0012】
図1(a),(b)に示すように、側壁部22は、パネル支持部21に対して交わる方向、本例では直交方向に延び、長さ方向Lから見て略J字の板状をなす。側壁部22は、パネル支持部21の幅方向Wの両端のうち被係止部25と反対側の端部に連結されている。
【0013】
位置合わせ凹部24は、幅方向Wにおけるパネル支持部21の側壁部22とは反対側の端部に位置する。位置合わせ凹部24は、作業者が外部から視認可能となるように、パネル支持部21の当該端部の上側角部を凹字状にへこませることにより形成されている。図4に示すように、位置合わせ凹部24は、長さ方向Lに沿って延びる被接触面24aを備える。
【0014】
図1(a)に示すように、被係止部25には、第2挟持部材30が回動軸Jを中心に回動可能に係止部35が係止する。被係止部25は、パネル支持部21の側壁部22とは反対側の端部に位置する。被係止部25は、位置合わせ凹部24の下方に位置する。
【0015】
図3(a),(b)に示すように、被係止部25は、本体部25aと、開保持部の一例である爪部25tと、抜け止め部25nと、を備える。本体部25aは、幅方向Wの外側に向けて開口する断面U字状をなす。本体部25a内には、第2挟持部材30の後述する係止部35が進入可能に構成されている。
【0016】
爪部25tは、第1挟持部材20及び第2挟持部材30を開状態(図2(a)参照)又は閉状態(図2(b)参照)に保持する。開状態又は閉状態に保持された状態では、爪部25tが第2挟持部材30の係止部35に引っ掛かることにより、第2挟持部材30が第1挟持部材20に対して回動軸Jを中心として回動することが規制される。この回動の規制は、人間の手の力では解除できず、かつ工具を利用した力で回動可能に設定されている。開状態では、一対の当接部22a,32aの間の隙間Skがハゼ部80の幅方向Wの長さよりも大きい状態となる。閉状態では、開状態よりも一対の当接部22a,32aの間の隙間Skが小さく、一対の当接部22a,32aが接近又は互いに接触した状態となる。
【0017】
図4に示すように、爪部25tは、本体部25a内、本例では、本体部25a内の下面に凸部として位置する。爪部25tは、本体部25a内の長さ方向Lの中央に位置する。爪部25tは、長さ方向Lから見て三角形をなす。
図3(a)に示すように、爪部25tは、本体部25aの開口側に位置する第1斜面25t1と、本体部25a内の奥行き側に位置する第2斜面25t2と、を備える。第1斜面25t1は、抜け止め部25nとの間で係止部35を挟持することにより上述した開状態を保持する。爪部25tは、例えば、被係止部25の本体部25aの下側の板部の一部が上側に折り曲げられることにより形成される。
【0018】
抜け止め部25nは、本体部25aの上側開口端部に位置し、爪部25tとの間で係止部35が進入する隙間を規定する。図4に示すように、抜け止め部25nは、本体部25aの長さ方向Lの全域にわたって形成されている。
図3(a),(b)に示すように、抜け止め部25nは、爪部25tの第1斜面25t1に対向する角部が円弧状の略三角形状をなす。詳しくは、抜け止め部25nは、爪部25tの第1斜面25t1に対向する湾曲部25n1と、本体部25aの開口側を向く傾斜面25n2と、を備える。傾斜面25n2は、湾曲部25n1に近づくにつれて本体部25a内の奥行き側に向かうように傾斜する。
【0019】
図1(a),(b)に示すように、側壁部22は、当接部22aを有する本体部22dと、突出部22bと、ボルト頭部収容部22cと、を備える。
本体部22dは、略J字板状をなし、同じく略J字板状の第2挟持部材30と幅方向Wに対称(左右対称)となり、第2挟持部材30に向き合うように形成されている。当接部22aは、略J字板状の本体部22dの先端側に位置する。図2(a),(b)に示すように、当接部22aは、台形の底辺と上辺が幅方向Wに並ぶ断面台形形状をなす。当接部22aの当接部32aに対向する面(この断面台形形状の上辺)には、高さ方向Hに並ぶ複数の溝が鋸歯状に形成されている。この複数の溝は、ハゼ部80への挟持をより強固にするために形成されている。本体部22dの下端面は平面状をなす平面部22eを備える。
【0020】
突出部22bは、本体部22dの下端側に位置し、幅方向Wにおいて当接部22aと反対側に突出する。突出部22bは、幅方向Wにおいて当接部22aから離れるにつれて厚さが薄くなる形状をなす。突出部22bの下面は、本体部22dの平面部22eと同一平面上に位置する。突出部22bの下面及び平面部22eにより、作業途中に取付器具10が自立可能となる。突出部22bは、作業途中に取付器具10が転倒することを抑制する。
【0021】
図2(a)に示すように、ボルト頭部収容部22cは、側壁部22の外面(側壁部22の第2挟持部材30に対応する面の裏面)に設けられ、締結部40の後述するボルト40bの頭部40tを収容する。ボルト頭部収容部22cは、長さ方向Lに沿って延び、頭部40tを挟み込むように互いに対面する2つの壁部を有する。ボルト頭部収容部22cにより、ボルト40bが傾くことが抑制される。側壁部22のボルト頭部収容部22c内には、締結部40のボルト40bの軸部が通過するボルト通孔22hが形成されている。
【0022】
(第2挟持部材30)
図1(a),(b)に示すように、第2挟持部材30は、側壁部32と、係止部35と、位置合わせ凸部34と、を備える。側壁部32は、長さ方向Lから見て略J字の板状をなす。側壁部32の高さ方向Hの長さは、第1挟持部材20の高さ方向Hの側壁部22の長さと同じ長さである。側壁部32の長さ方向Lの長さは、第1挟持部材20の長さ方向Lの側壁部22の長さよりも短い。側壁部32の平板部には、締結部40の後述するボルト40bが挿通されるボルト通孔32hが形成されている。ボルト通孔32hは高さ方向Hに長い長孔として形成されている。これにより、ボルト通孔32hにボルト40bが挿通された状態で、第2挟持部材30が回動軸Jを中心に第1挟持部材20に対して回動可能となる。
【0023】
側壁部32は、当接部32aと、突出部32bと、を備える。図2(b)に示すように、閉状態において、当接部32a及び突出部32bは、上述した第1挟持部材20の当接部22a及び突出部22bと幅方向Wに対称であり、当接部22a及び突出部22bと同様の形状及び機能を有する。このため、当接部32a及び突出部32bの詳細な説明を割愛する。
【0024】
図2(a),(b)に示すように、係止部35は、側壁部32の内面上部に位置し、角部が湾曲したL字状をなす。図3(a),(b)に示すように、係止部35は、第1辺部35aと、第2辺部35bと、を備える。第1辺部35aは、側壁部32の内面から幅方向Wに沿って延びる。第1辺部35aの下面には凹部35cが形成されている。凹部35cの第2辺部35b側には傾斜面35dが形成されている。傾斜面35dは、凹部35cの内外をなだらかに接続するスロープであり、閉状態と開状態の間で状態が移行する途中で、爪部25tが摺動する面である。第2辺部35bは、側壁部32の内面から遠い第1辺部35aの端部に連結され、上方向に延びる。第1辺部35a及び第2辺部35bの内面側と外面側のそれぞれの角部が湾曲している。第1辺部35a及び第2辺部35bの連結部に、第1挟持部材20の回動軸Jが位置する。図3(a)に示すように、第1挟持部材20及び第2挟持部材30の開状態において、第1辺部35a及び第2辺部35bの連結部が抜け止め部25nと爪部25tの間に厚さ方向から挟持される。また、この状態で、自重等の外力により第2挟持部材30に回動軸Jを中心とした図中の時計回り方向の回転モーメントが加わっても、第2辺部35bが抜け止め部25nに引っ掛かることにより、当該時計回り方向への第2挟持部材30の回動が規制される。一方で、第2挟持部材30に対して図中の反時計回り方向に回転モーメントを加えることにより、係止部35を被係止部25から取り外すことができる。
図3(b)に示すように、第1挟持部材20及び第2挟持部材30が閉状態において、第2辺部35bがU字溝状の本体部25aの内底面25b(図3(b)の左側の面)に接触する。
【0025】
図3(a)に示すように、第1辺部35aの基端部(第2辺部35bとは反対側の端部)と位置合わせ凸部34の間に傾斜面38が形成されている。傾斜面38は、下方向に向かうにつれて第2辺部35b側に近づくように傾斜する。図3(b)に示すように、傾斜面38は、第1挟持部材20及び第2挟持部材30が閉状態にあるとき、抜け止め部25nの傾斜面25n2に接触する。これにより、傾斜面38と傾斜面25n2の接触により、閉状態において、第2挟持部材30を下方向へ押し付ける力F1が作用する。
【0026】
図1(a),(b)に示すように、位置合わせ凸部34は、作業者が外部から視認可能となるように側壁部32の上端に位置し、側壁部32に直交する方向にパネル支持部21に向かって延びる。図3(a)に示すように、位置合わせ凸部34は、位置合わせ凸部34の先端側に位置する接触面34aを備える。第1挟持部材20及び第2挟持部材30の開状態から閉状態への移行の進行度合いに応じて位置合わせ凸部34の接触面34aと位置合わせ凹部24の被接触面24aの間の隙間が小さくなり、第1挟持部材20及び第2挟持部材30は閉状態において、接触面34aと被接触面24aが面接触する。
【0027】
(締結部40)
図2(a)に示すように、締結部40は、第1挟持部材20及び第2挟持部材30を互いに近づく方向に締結力を加えることにより締結する。締結部40は、頭部40t及び軸部40jを有するボルト40bと、軸部40jに螺合されるナット40nと、を備える。ボルト40bの軸部40jは、側壁部22のボルト通孔22hと側壁部32のボルト通孔32hに挿通され、ボルト40bの頭部40tはボルト頭部収容部22c内に位置する。ナット40nは、側壁部32のボルト通孔32hを通過した軸部40jの先端側に螺合される。ナット40nが回転操作されることにより、ナット40nが第2挟持部材30を頭部40t側に押し、これにより、第2挟持部材30が回動軸Jを中心に第1挟持部材20に近づくように回動する。
【0028】
(取り付け方法)
次に、取付器具10をハゼ部80に取り付ける方法について説明する。
取付器具10のハゼ部80への取り付け前には、図2(a)に示すように、取付器具10の第1挟持部材20及び第2挟持部材30は開状態に保持されている。取付器具10は、開状態で出荷され、取り付け現場に運ばれる。この開状態で、一対の当接部22a,32aの間の隙間Skにハゼ部80を位置させる。このとき、爪部25tが第2挟持部材30の係止部35に引っ掛かることにより、開状態に保持されているため、作業者は、片手で工具(電動ドライバ)を保持したまま、もう一方の片手で取付器具10を取り扱うことができる。そして、作業者は、工具によりナット40nが回転操作されることにより、当接部32aが当接部22aに近づくように第1挟持部材20を回動軸Jを中心に回動させつつ、第1挟持部材20を第2挟持部材30に近づくように幅方向Wに直線的に移動させる。この際、図3(a)に示すように、係止部35が爪部25tの第1斜面25t1に摺動して、爪部25tに乗り上げる。このとき、爪部25tは、係止部35に押されて下側に変形するか、爪部25tと係止部35の摩擦により互いが削れる。そして、図3(b)に示すように、係止部35が爪部25tに摺動しつつ内底面25b側へ移動し、内底面25bに接触し、位置合わせ凸部34の接触面34aが位置合わせ凹部24の被接触面24aに面接触し、傾斜面38が抜け止め部25nの傾斜面25n2に接触する。これにより、第1挟持部材20及び第2挟持部材30は閉状態となる。このとき、爪部25tは、凹部35c内に位置し、凹部35cの上面に押し付けられた状態となる。作業者は、位置合わせ凸部34の接触面34aと位置合わせ凹部24の被接触面24aの隙間の大きさにより、開状態から閉状態への進行度合いを目視でき、また、接触面34aと被接触面24aの平行度合いにより第2挟持部材30の第1挟持部材20に対する傾きを目視可能となる。また、工具でのナット40nの回転操作に必要となるトルクは、係止部35が爪部25tの第1斜面25t1を登り切るまでは大きく、第1斜面25t1を登り切った後は小さくなる。このようなトルク変化を実現することにより、作業がスムーズとなる。第1挟持部材20及び第2挟持部材30が閉状態となると、一対の当接部22a,32aがハゼ部80に互いに近づく方向に押し付けられた状態となり、一対の当接部22a,32aの間でハゼ部80が挟持される。よって、取付器具10がハゼ部80に固定される。
以上で、取付器具10をハゼ部80に取り付ける方法の説明を終了する。
【0029】
取付器具10がハゼ部80に取り付けられた状態から、締結部40による締結力が低下した場合であっても、爪部25tが係止部35に引っ掛かることにより、一対の当接部22a,32aの間でハゼ部80を挟持した状態が維持される。よって、取付器具10がハゼ部80から脱落することが抑制される。締結部40による締結力が低下した場合としては、例えば、経年によりナット40nに緩みが生じた場合、又は取付器具10を付け直す場合等が考えられる。
また、取付器具10をハゼ部80から取り外す際には、締結部40を取り外した後、ハンマーやバール等の工具を用いて取付器具10に力を加えることにより、爪部25tが係止部35に引っ掛かった状態が解除される。これにより、取付器具10が開状態となり、一対の当接部22a,32aの間でハゼ部80が挟持された状態を解除することが可能となる。この際、図3(a),(b)に示すように、凹部35cには傾斜面35dが形成されているため、爪部25tが凹部35c内から凹部35c外へ出やすくなり、閉状態から開状態への移行が容易となる。
【0030】
(効果)
以上、説明した一実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)被取付部の一例であるハゼ部80に取り付けられる取付器具10は、ハゼ部80を挟持可能に形成される第1挟持部材20及び第2挟持部材30を備える。第1挟持部材20及び第2挟持部材30は、ハゼ部80を挟持した状態でハゼ部80の幅方向Wの両側に当接する一対の当接部22a,32aを備え、一対の当接部22a,32aが互いに離れた開状態、及び一対の当接部22a,32aが互いに開状態よりも接近又は互いに接触した閉状態の間で回動軸Jを中心に回動可能に構成されている。取付器具10は、第1挟持部材20及び第2挟持部材30の回動軸Jを中心とした回動を規制しつつ、第1挟持部材20及び第2挟持部材30を開状態に保持する開保持部の一例である爪部25tを備える。
この構成によれば、第1挟持部材20及び第2挟持部材30が開状態に保持されるため、作業者が取付器具10をハゼ部80に取り付ける際に開状態に保持する必要がない。このため、取付器具10をより簡単にハゼ部80に取り付けることができる。
【0031】
(2)取付器具10は、ハゼ部80に取り付けられた状態で、取付器具10に装着される押さえ部材の一例である端部押さえ部材71又は中間押さえ部材72とともにソーラーパネル60を支持する。爪部25tは、開状態における一対の当接部22a,32a間の隙間Skの長さを、ハゼ部80の幅方向Wの長さよりも大きく設定する。
この構成によれば、取付器具10を取り付ける際、一対の当接部22a,32a間の隙間Skに簡単にハゼ部80を進入させることができる。ここで、上記ハゼ部80の幅方向Wの長さは、取付器具10の取り付け対象となる複数種類の屋根のハゼ部80の幅方向Wの長さのうち最大のものを指す。
【0032】
(3)取付器具10は、第1挟持部材20及び第2挟持部材30がハゼ部80を挟持するように第1挟持部材20及び第2挟持部材30を締結する締結部40を備える。締結部40は、回動軸Jに直交する幅方向Wに延び、第1挟持部材20及び第2挟持部材30に挿通されるボルト40bと、ボルト40bの先端側に螺合した状態で回転操作されることによりボルト40bの頭部40tとの間で第1挟持部材20及び第2挟持部材30を互いに近づける方向に力を加えるナット40nと、を備える。第1挟持部材20は、回動軸Jに沿う長さ方向Lに延びる凹溝状に形成される被係止部25を備える。第2挟持部材30は、回動軸Jを中心に互いに回動可能に被係止部25に係止する係止部35を備える。爪部25tは、被係止部25内に形成され、係止部35との接触により、第1挟持部材20及び第2挟持部材30を開状態に保持する。第1挟持部材20及び第2挟持部材30は、開状態において、ナット40nが工具により回転操作されると、係止部35が爪部25tを乗り越えて閉状態となる。
この構成によれば、簡単な構成で、締結部40による締結前には第1挟持部材20及び第2挟持部材30を開状態に保持しつつ、工具によりナット40nを回転操作すると開状態から閉状態に移行させることができる。
【0033】
(4)爪部25tは、一対の当接部22a,32aにてハゼ部80を挟持した閉状態において、締結部40による締結状態が解除されても、係止部35へ引っ掛かった状態を維持することにより、一対の当接部22a,32aにてハゼ部80を挟持した閉状態を保持する閉保持機能を有する。
この構成によれば、例えば、ナット40nの緩み等により締結部40による締結力が低下した場合であっても、一対の当接部22a,32aにてハゼ部80を挟持した閉状態が保持される。
【0034】
(5)第1挟持部材20及び第2挟持部材30の何れか一方である第1挟持部材20は、取付器具10の上面側に形成され、回動軸Jに沿って延びる被接触面24aを備える。第1挟持部材20及び第2挟持部材30の何れか他方である第2挟持部材30は、取付器具10の上面側に形成され、開状態から閉状態への移行が進行するにつれて被接触面24aとの隙間Skが小さくなり、閉状態となったときに被接触面24aに面接触する接触面34aを備える。
この構成によれば、作業者は、位置合わせ凸部34の接触面34aと位置合わせ凹部24の被接触面24aの隙間の大きさを目視することにより、開状態から閉状態への進行度合いを確認できる。また、接触面34aと被接触面24aの平行度合いより第1挟持部材20及び第2挟持部材30間の傾きを確認可能となる。よって、作業者は、正確に取付器具10がハゼ部80に取り付けられたことを容易に確認できる。
【0035】
なお、本発明は以上の実施形態及び図面によって限定されるものではない。本発明の要旨を変更しない範囲で、適宜、変更(構成要素の削除も含む)を加えることが可能である。以下に、変形の一例を説明する。
【0036】
(変形例)
上記実施形態においては、取付器具10は、ハゼ部80に取り付けられていたが、これに限らず、その他の屋根部材又は屋根以外のフレーム部材に取り付けられてもよい。
取付器具10は、端部押さえ部材71又は中間押さえ部材72とともにソーラーパネル60を支持していたが、ソーラーパネル60以外の構造物を支持してもよい。
【0037】
上記実施形態においては、爪部25tの数は1つであったが、複数であってもよい。また、爪部25tは、本体部25a内に長さ方向Lの全域に形成されてもよい。
上記実施形態においては、爪部25tは本体部25aと一体形成されていたが、これに限らず、本体部25aと別体で形成されてもよい。また、爪部25tは、本体部25aと異なる素材、例えば、ゴム又は樹脂により形成されてもよい。
【0038】
上記実施形態においては、爪部25tは、本体部25a内の下面に位置していたが、これ以外の位置に設けられてもよい。例えば、爪部25tは、本体部25a内の上面に位置していてもよい。
上記実施形態においては、爪部25tは、長さ方向Lから見て三角形をなしていたが、
これに限らず、台形等の矩形状、半円状等をなしていてもよい。
上記実施形態において、爪部25tは、第1挟持部材20及び第2挟持部材30が開状態から閉状態に移行する際に、係止部35により折られる構成であってもよい。
さらに、爪部25t以外にコイルバネ又は板バネ等のバネを開保持部として用いてもよく、このバネが自身の弾性力(復元力)により第1挟持部材20及び第2挟持部材30を開状態に保持してもよい。
【0039】
上記実施形態においては、第2挟持部材30は、係止部35が被係止部25に係止しつつ、第1挟持部材20に対して回動軸Jを中心に回動可能に構成されていたが、回動可能な構成であればこれに限らず、例えば、蝶番により、第1挟持部材20に対して回動軸Jを中心に回動可能に構成されてもよい。
【0040】
上記実施形態においては係止部35の下面には、傾斜面35dを有する凹部35cが形成されていたが、傾斜面35dは省略されてもよく、さらに、凹部35cは省略されてもよい。
上記実施形態においては、爪部25tは、第1挟持部材20及び第2挟持部材30を開状態に保持する開保持機能と第1挟持部材20及び第2挟持部材30を閉状態に保持する閉保持機能を併せ持っていたが、これに限らず、開保持機能を持つ爪部と閉保持機能を持つ爪部が別々に設けられていてもよい。
上記実施形態においては、第1挟持部材20に被係止部25が設けられ、第2挟持部材30に係止部35が設けられていたが、反対に、第1挟持部材20に係止部35が設けられ、第2挟持部材30に被係止部25が設けられていてもよい。
上記実施形態におけるライン部211~216は省略されてもよい。
【符号の説明】
【0041】
10…取付器具、20…第1挟持部材、21…パネル支持部、21h…孔、22,32…側壁部、22a,32a…当接部、22b,32b…突出部、22c…ボルト頭部収容部、22d,25a…本体部、22e…平面部、22h,32h…ボルト通孔、24…位置合わせ凹部、24a…被接触面、25…被係止部、25b…内底面、25n…抜け止め部、25n1…湾曲部、25n2,38…傾斜面、25t…爪部、25t1…第1斜面、25t2…第2斜面、30…第2挟持部材、34…位置合わせ凸部、34a…接触面、35…係止部、40…締結部、40b,50b…ボルト、40j…軸部、40n,50n…ナット、40t,50t…頭部、50…取付軸部、60,60a,60b…ソーラーパネル、211~216…ライン部、71…端部押さえ部材、72…中間押さえ部材、80…ハゼ部、J…回動軸、Sk…隙間、H…高さ方向、L…長さ方向、W…幅方向
図1
図2
図3
図4
図5