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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161260
(43)【公開日】2023-11-07
(54)【発明の名称】卵洗浄方法と卵洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   A01K 43/00 20060101AFI20231030BHJP
   B08B 5/02 20060101ALI20231030BHJP
   B08B 1/02 20060101ALI20231030BHJP
   B08B 3/02 20060101ALI20231030BHJP
【FI】
A01K43/00
B08B5/02 A
B08B1/02
B08B3/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022071523
(22)【出願日】2022-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】508177910
【氏名又は名称】株式会社Eプラン
(71)【出願人】
【識別番号】000227124
【氏名又は名称】日曹商事株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100144749
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正英
(74)【代理人】
【識別番号】100076369
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正治
(72)【発明者】
【氏名】松澤 竜輔
(72)【発明者】
【氏名】江崎 和哉
【テーマコード(参考)】
3B116
3B201
【Fターム(参考)】
3B116AA46
3B116AB14
3B116BA02
3B116BA15
3B116BB23
3B116BB62
3B116BB88
3B201AA46
3B201AB14
3B201BA02
3B201BA15
3B201BB23
3B201BB62
3B201BB88
3B201BB89
3B201BB92
3B201CB01
(57)【要約】
【課題】 卵の殻の表面の汚れを効率良く洗浄できる卵洗浄方法と卵洗浄装置を提供する。
【解決手段】電解水生成機でアルカリ電解水を生成して電解水タンク内に貯留し、電解水タンク内のアルカリ電解水を電解水タンクとバブル発生機との間で循環させてアルカリ電解水にファインバブルを含有させてバブル電解水とし、バブル電解水を直に、又は洗浄水と混合して希釈してから搬送中の卵の殻に噴射する卵洗浄方法。多数の卵を搬送できる卵搬送機と、アルカリ電解水を生成する電解水生成機と、ファインバブルを発生できるバブル発生機と、電解水生成機で生成されたアルカリ電解水を貯留する電解水タンクと、搬送中の卵にバブル電解水を噴射する噴射装置と、電解水タンク内のアルカリ電解水をバブル生成機との間で循環させる循環装置と、循環によりアルカリ電解水にバブルが含有されたバブル電解水を電解水タンクから噴射装置に供給する供給装置を備え、噴射装置に供給されたバブル電解水が前記噴射装置から卵に噴射されるようにした卵洗浄装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解水生成機でアルカリ電解水を生成して電解水タンク内に貯留し、
電解水タンク内のアルカリ電解水を電解水タンクとバブル発生機との間で循環させてアルカリ電解水にファインバブルを含有させてバブル電解水とし、
バブル電解水を搬送中の卵の殻に噴射する、
ことを特徴とする卵洗浄方法。
【請求項2】
電解水生成機でアルカリ電解水を生成して電解水タンク内に貯留し、
電解水タンク内のアルカリ電解水を電解水タンクとバブル発生機との間で循環させてアルカリ電解水にファインバブルを含有させてバブル電解水とし、
バブル電解水を洗浄水と混合して希釈し、
希釈されたバブル電解水を搬送中の卵の殻に噴射する、
ことを特徴とする卵洗浄方法。
【請求項3】
電解水生成機でアルカリ電解水を生成して電解水タンク内に貯留し、
電解水タンク内のアルカリ電解水を電解水タンクとバブル発生機との間で循環させてアルカリ電解水に所定量のファインバブルを含有させてバブル電解水とし、
バブル電解水を洗浄水タンク内の洗浄水と混合して希釈し、
希釈されたバブル電解水を搬送中の卵の殻に噴射し、
洗浄水タンクに洗浄水とアルカリ電解水を継ぎ足し、
洗浄水タンク内の洗浄水をオーバーフローさせる、
ことを特徴とする卵洗浄方法。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の卵洗浄方法において、
バブル電解水を噴射した卵の殻を、洗浄具で洗浄して、卵の殻の汚れを洗浄する、
ことを特徴とする卵洗浄方法。
【請求項5】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の卵洗浄方法において、
バブル電解水のバブル含有量が数千万個/mL~40億個/mLである、
ことを特徴とする卵洗浄方法。
【請求項6】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の卵洗浄方法において、
アルカリ電解水が純水99.83%、水酸化カリウム0.17%を含むアルカリ電解液であり、pH12.5~13.1、酸化還元電位-900~-700mVである、
ことを特徴とする卵洗浄方法。
【請求項7】
多数の卵を並べて搬送できる卵搬送機と、
アルカリ電解水を生成する電解水生成機と、
ファインバブルを発生できるバブル発生機と、
電解水生成機で生成されたアルカリ電解水を貯留する電解水タンクと、
搬送中の卵にバブル電解水を噴射する噴射装置と、
電解水タンク内のアルカリ電解水をバブル生成機との間で循環させる循環装置と、
循環によりアルカリ電解水にバブルが含有されたバブル電解水を、電解水タンクから噴射装置に供給する供給装置を備え、
噴射装置に供給されたバブル電解水が前記噴射装置から、卵搬送機で搬送中の卵に噴射されるようにした、
ことを特徴とする卵洗浄装置。
【請求項8】
多数の卵を並べて搬送できる卵搬送機と、
アルカリ電解水を生成する電解水生成機と、
ファインバブルを発生できるバブル発生機と、
電解水生成機で生成されたアルカリ電解水を貯留する電解水タンクと、
搬送中の卵にバブル電解水を噴射する噴射装置と、
電解水タンク内のアルカリ電解水をバブル発生機との間で循環させる循環装置と、
循環によりアルカリ電解水にバブルが含有されたバブル電解水と、洗浄水と混合されて希釈されたバブル電解水を、噴射装置から、卵搬送機で搬送中の卵に噴射されるようにした、
ことを特徴とする卵洗浄装置。
【請求項9】
多数の卵を並べて搬送できる卵搬送機と、
アルカリ電解水を生成する電解水生成機と、
ファインバブルを発生できるバブル発生機と、
電解水生成機で生成されたアルカリ電解水を貯留する電解水タンクと、
搬送中の卵にバブル電解水を噴射する噴射装置と、
電解水タンク内のアルカリ電解水をバブル発生機との間で循環させる循環装置と、
洗浄水を貯留しておく洗浄水タンクと、
循環によりアルカリ電解水にバブルが含有されたバブル電解水を、洗浄水タンク内の洗浄水に供給する供給装置と、
洗浄水との混合により希釈されたバブル電解水が前記噴射装置から、搬送中の卵に噴射されるようにした、
ことを特徴とする卵洗浄装置。
【請求項10】
請求項7から請求項9のいずれか1項に記載の卵洗浄装置において、
バブル発生機のバブル発生方式が加圧溶解方式又はせん断方式である
ことを特徴とする卵洗浄装置。
【請求項11】
請求項7から請求項9のいずれか1項に記載の卵洗浄装置において、
噴射装置よりも卵搬送方向先方に、卵の殻を洗浄する洗浄具を備えた、
ことを特徴とする卵洗浄装置。
【請求項12】
請求項7から請求項9のいずれか1項に記載の卵洗浄装置において、
噴射装置よりも卵搬送方向先方に、バブル電解水で洗浄済みの卵に、殺菌液を噴射する殺菌液噴射具を備えた、
ことを特徴とする卵洗浄装置。
【請求項13】
請求項9記載の卵洗浄装置において、
洗浄水タンクがオーバーフロー方式であり、
洗浄水タンクに、洗浄水と電解水タンク内のバブル電解水を継ぎ足すように制御可能な制御部を備えた、
ことを特徴とする卵洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルカリイオン水(アルカリ電解水)を使用した殻付き生卵(以下、単に「卵」と記す。)の洗浄方法と卵の洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
鶏舎から回収された卵は、殻の表面に鶏の羽根や糞、塵芥等が付着しているため、出荷に先立って洗浄し、殺菌処理し、その後、包装して出荷されている。卵の洗浄方法、洗浄装置として特許文献1~3がある。特許文献1、2は洗浄にアルカリ電解水を使用するものである。
【0003】
アルカリ電解水は、水道水や純水等の洗浄水に比して表面張力が低下して(低接触角になって)濡れ性が向上するため、凹凸している卵の殻の凹所にも接触し易くなり、通常水を使用する場合と比して汚れが落ち易くなる。殺菌処理には通常、次亜塩素酸水が使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5628403号公報
【特許文献2】特開2014-155438号公報
【特許文献3】特表2020-506724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の解決課題は、卵の殻の表面の汚れを効率良く洗浄できる卵洗浄方法と卵洗浄装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の卵洗浄方法は、電解水生成機でアルカリ電解水を生成して電解水タンク内に貯留し、電解水タンク内のアルカリ電解水を電解水タンクとバブル発生機との間で循環させて、アルカリ電解水に所定量のファインバブルを含有させてバブル電解水とし、バブル電解水を搬送中の卵の殻に噴射して、卵の殻に付着している汚れを洗浄する方法である。
【0007】
バブル電解水は水道水や純水などの洗浄水と混合して希釈してから(pH値を下げてから)卵の殻に噴射することもできる。この場合は、電解水タンク内のバブル電解水を、洗浄水タンク内に貯留されている洗浄水に入れて混合するとか、水道やポンプ等で送られてくる洗浄水と混合するなどして希釈することができる。
【0008】
前記いずれの洗浄方法においても、バブル電解水を噴射後、卵の殻をブラシのような洗浄具で洗浄して、卵の殻に付着している汚れを洗浄することもできる。また、洗浄後に必要に応じて殺菌液で殺菌することもできる。
【0009】
バブル電解水のバブル含有量は任意に設定可能であるが、数千万個/mL~40億個/mL、好ましくは2億個/mL~5億個/mLが適する。
【0010】
本発明では、卵を回転させながら搬送することにより、バブル電解水又は希釈後のバブル電解水を卵の殻に噴射して洗浄することもできる。
【0011】
本発明の卵洗浄装置は、多数の卵を並べて搬送できる卵搬送機と、アルカリ電解水生成機(電解水生成機)と、電解水生成機で生成されたアルカリ電解水を貯留する電解水タンクと、ファインバブルを発生できるバブル発生機と、電解水タンク内のアルカリ電解水をバブル発生機との間で循環させる循環装置と、循環によりバブルが含有されたバブル電解水を、電解水タンクから噴射装置に供給する供給装置とを備える。噴射装置は供給されたバブル電解水を卵搬送機で搬送中の卵の殻に噴射するものである。
【0012】
本発明の卵洗浄装置は電解水タンク内のバブル電解水を、水道水、純水などの洗浄水と混合して希釈化してから卵に噴射することもできる。この場合は、洗浄水タンクを設け、洗浄水タンク内の洗浄水に電解水タンク内のバブル電解水を混合して希釈するとか、電解水タンク内のバブル電解水を噴霧装置に送る途中で水道やタンクから供給される洗浄水と混合して希釈する等、することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の卵洗浄方法は、バブル電解水を搬送中の卵に噴射して洗浄するので、接触角の低い(濡れ性の良い)バブル電解水が凹凸している卵の殻の全般、特に凹部にまで行き渡り、通常の洗浄水で洗浄する場合よりも汚れが落ち易くなる。
【0014】
本発明の卵洗浄方法は、バブル電解水を希釈して卵に噴射するので、少ないバブル電解水で多くの卵を洗浄することができる。
【0015】
本発明の卵洗浄装置は、電解水生成機で生成されて電解水タンクに貯留されているアルカリ電解水を、バブル発生機との間で循環させるので、アルカリ電解水に適量のファインバブルを含有させることができる。
【0016】
本発明の卵洗浄装置は、電解水タンク内のバブル電解水を、洗浄水で希釈してから卵に噴射することもできるので、少ないバブル電解水で多くの卵を洗浄することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の卵洗浄装置の一例を示す概要図。
図2】本発明の卵洗浄装置の他例を示す概要図。
図3】国際標準規格(ISO)20480による、マイクロバブル、ウルトラファインバブル、ファインバブルの説明図。
図4】本発明におけるバブル発生装置の一例であって、(a)は加圧溶解方式の原理図、(b)は加圧溶解方式による気泡発生手順の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の卵洗浄装置は図1図4(a)(b)の卵洗浄装置に限られるものではなく、本発明の卵洗浄方法も図1図4(a)(b)の卵洗浄装置を使用した卵洗浄方法に限られるものではないが、以下では、一例として、図1図4(a)(b)の卵洗浄装置と、その卵洗浄装置を使用した卵洗浄方法を説明する。
【0019】
[卵洗浄装置の構成1]
[卵洗浄装置]
図1の卵洗浄装置は本発明の卵洗浄装置の第1の実施例である。図1の卵洗浄装置は、多数の卵を縦横に並べて搬送できるコンベア式の卵搬送機1、アルカリ電解水生成機(電解水生成機)2、電解水タンク3、バブル発生機4、循環装置5、洗浄水タンク6、供給装置7、給水装置8、噴射装置9、洗浄具10、殺菌液タンク11、殺菌液噴射具12、排出機13を備えている。
【0020】
[卵搬送機]
卵搬送機1は既存のものでも、新設のものでもよい。いずれの場合も無端の回転コンベア式であり、卵を1個ずつ載せることのできる載せ部が縦横に多数列あり、それら載せ部に載せた卵を、コンベアの移動(走行)により連続的に或いは間欠的に搬送できるものである。各載せ部は搬送中に卵を回転させることのできる回転ローラを備えたものが望ましい。回転ローラで回転させることによりバブル電解液が卵の殻の全面に噴射される。回転ローラの形状、回転機構等は既存の卵搬送機の回転ローラと同じであってもよく、新規なものであってもよい。
【0021】
[電解水生成機]
電解水生成機2は電気分解によりアルカリイオン水(アルカリ電解水)を生成できるものである。汎用のアルカリ電解水生成機を使用することもできるが、本件出願人が先に開発した特許第4967050号、第6057267号、第6448043号のアルカリ電解水生成機が適する。
【0022】
電解水生成機2の電解水生成能力は任意に設計できるが、例えば、容量100L程度の電解水タンクに、常時、100L程度貯留できる量のアルカリ電解水を連続生成できるものが望ましい。
【0023】
電解水生成機2で生成される電解水のpH値は任意に選定できるが、例えばpH9~13.1程度にすることができる。生成される電解水の一例としては、本件出願人の前記特許に係るアルカリ電解水生成機で生成されたアルカリ電解水、例えば、純水99.83%、水酸化カリウム0.17%を含むアルカリ電解液であり、pH12.1~13.2、好ましくはpH12.5~13.1、酸化還元電位-1100~-300mV、好ましくは-900~-700mV、溶存水素濃度200~1500ppb、好ましくは400~1300ppbである。pH値の高い強アルカリイオン水は希釈して使用することもできる。なお、水酸化カリウムはpH値によっても異なるが、例えば、pH12.1前後の場合は0.1%程度、pH13.2前後の場合は0.98%程度である。
【0024】
[電解水タンク]
電解水タンク3は電解水生成機2で生成されたアルカリ電解水を貯留できるものであり、形状、構造、材質、容量等は任意に選定することができる。洗浄する卵の数にもよるが、例えば、100L~300L程度の電解水を貯留できるものとすることができる。
【0025】
[バブル発生機]
バブル発生機4は汎用のバブル発生機でも、新規のバブル発生機でもよい。バブルには粒径の異なる各種バブルがある。国際標準規格(ISO)20480では、気泡径100μm未満の泡がマイクロバブル、気泡径1μm未満の泡がウルトラファインバブル(ultra fine bubble:UFB)であり、マイクロバブルとウルトラファインバブルを含めてファインバブルと定義されている(図3)。本発明におけるバブル発生機4はいずれの気泡径のバブルを発生できるものであってもよいが、少なくとも、ISO20480で定めるマイクロバブル又はウルトラファインバブルを発生可能なものが適する。本発明におけるバブル発生機4は気泡発生量が数千万個/mL~40億個/mL、好ましくは2億個/mL~5億個/mLのものが適する。
【0026】
バブル発生機4のバブル発生方式には、加圧溶解方式、せん断方式、散気方式等の各種方式がある。本発明におけるバブル発生機4のバブル発生方式はどのようなものであってもよいが、一例としては、加圧溶解方式又はせん断方式のものが適し、加圧溶解方式のものが特に適する。
【0027】
[加圧溶解方式]
既存の加圧溶解方式の原理を図4(a)(b)に示す。この方式は、入口側管路21に水(液体)をポンプで圧送して、細径管路22を通過させることにより、圧力差を利用して空気(気体)を吸引し(ベンチュリー効果)、出口側管路(加圧溶解部)23において加圧して、圧送されてきた液体に気体を高圧で溶解(加圧溶解)させ、気体が加圧溶解された液体を減圧し、溶解できなくなった気体を、ノズル24から大気圧下に吐出させることにより、微細な気泡(マイクロバブル又はウルトラファインバブル)を大量に発生させることのできる方式である。
【0028】
加圧溶解方式によると、飽和比150%以上の溶存酸素量(DO値)を連続供給可能であり、溶存酸素が向上する(気泡が多くなる)。また、連続かつ素早い気液反応を実現でき、部品が少なく、簡潔な構成であり、管路が広いため閉塞しにくく(目詰りしにくく)、故障が少なく、メンテナンスが容易であるという利点もある。
【0029】
[せん断方式]
既存のせん断方式は、物理的作用によって、空気又は気泡を粉砕することで、微細気泡(マイクロバブル又はウルトラファインバブル)を大量に発生させることのできる方式である。この方式ではDO値が飽和比100%以上であるが、構造が複雑であるため、管路閉塞の可能性がある。
【0030】
[循環装置]
循環装置5は、電解水生成機2で生成されて電解水タンク3に貯留されているアルカリ電解水をバブル発生機4との間で循環させるものである。この循環により、アルカリ電解水にバブルが含有されてバブル電解水になる。循環装置5には例えば、ポンプ、その他の循環機器を使用することができる。
【0031】
[洗浄水タンク]
洗浄水タンク6は、卵搬送機1で搬送中の卵の殻に噴射する洗浄水を貯留しておくものであり、既存のものでも、新設のものでもよい。図1の洗浄水タンク6は卵搬送機1の下に配置されている。その形状は卵搬送機1と略同様の横幅及び長さである。容量は卵の洗浄に必要な量の洗浄水を貯留しておくことができるように設計されている。
【0032】
[供給装置]
供給装置7は電解水タンク3に貯留されているバブル電解水を、洗浄水タンク6内の洗浄水に混合させてアルカリ電解水を希釈化するものである。供給装置7にはポンプ、吸引機、その他の機器が使用される。洗浄水タンク6へのバブル電解水の供給は滴下供給でも、連続供給でも、その他の供給方法であってもよい。
【0033】
[給水装置]
給水装置8は洗浄水タンク6内の電解水混合洗浄水を、卵搬送機1の上に、卵洗浄機1を横幅方向に横断するように架設配管されている給水パイプに供給して、給水パイプに取り付けられている噴射装置(例えば、ノズル)9に供給するものである。図1では給水パイプを卵搬送機1の走行方向前後2箇所に配管してあるが、配管箇所は3箇所以上の任意数の箇所とすることができる。
【0034】
[噴射装置]
噴射装置9は給水装置8から供給される洗浄水タンク6内の洗浄水(電解水混合洗浄水)を卵に噴射するものであり、霧状或いはシャワー状にして噴射できるものでも、点滴状に落下できるものでも、流水状にかけ流し等できるもの等であり、汎用の各種ノズルとか蛇口、その他の噴射機器を使用することができる。
【0035】
噴射装置9は給水パイプに設けてあり、給水パイプに洗浄水を噴射することにより、卵搬送機1で搬送される卵に噴射できるようにしてある。噴射装置9は卵搬送機1の上の2箇所に架設してある給水パイプの夫々に設けてある。給水パイプを3以上の箇所に設けた場合は、それらすべての給水パイプに設けることができる。
【0036】
[オーバーフロー]
噴射装置9から卵の殻に噴射された洗浄水は自然落下して洗浄水タンク6に戻るようにしてある。洗浄水タンク6には洗浄水を継ぎ足して洗浄に必要な量の洗浄水が確保されるようにしてある。この場合、洗浄水がオーバーフローして、洗浄水タンク6内に常に綺麗な洗浄水が貯留されるようにしてある。オーバーフローした洗浄水は外部の排水管や下水管に自動的に排出させることも、排出機(例えば、ポンプ)13で強制排出させることもできる。洗浄水タンク6に洗浄水が継ぎ足されると、洗浄水中へのバブル電解水の混合割合が低下するので、電解水タンク3内のバブル電解水を供給装置7により洗浄水タンク6内の洗浄水に供給して、洗浄水タンク6内の洗浄水に、常時、所定量(割合)のバブル電解水が含まれるようにする。
【0037】
[洗浄具]
洗浄具10は、洗浄水が噴射された搬送中の卵を洗浄するものであり、例えば、汎用の回転ブラシ、固定式ブラシ等が使用される。回転ブラシの場合は、ブラシを取り付けた回転軸をモータ等の回転駆動体で回転させて回転させる。固定式ブラシの場合は、回転する卵の殻に接触すると卵の回転力でブラシが回転するようにしたり、回転する卵の殻に接触しても回転しないようにしたりすることができる。洗浄具10は卵搬送機1の上に架設してある。図1では洗浄具10を2箇所の噴射装置9の搬送方向後方に設けてあるが、設置個所は1箇所でもよく、3箇所以上であってもよい。
【0038】
[殺菌液タンク]
図1の殺菌液タンク11は、洗浄水で洗浄後の卵を殺菌するための殺菌液(通常は、次亜塩素酸水)を貯留しておくタンクである。殺菌液タンク11には汎用のタンクを使用することができる。
【0039】
[殺菌液噴射具]
殺菌液噴射具12は殺菌液タンク11から供給される殺菌液を卵に噴射するものであり、汎用のノズル、その他の噴射機器が使用される。
【0040】
[卵洗浄装置の構成2]
図2の卵洗浄装置は本発明の卵洗浄装置の第2の実施形態であり、図1の場合と同様に、卵搬送機1、電解水生成機2、電解水タンク3、バブル発生機4、循環装置5、供給装置7、噴射装置9、洗浄具10、殺菌液タンク11、殺菌液噴射具12、排出機13はあるが、図1の洗浄水タンク6、給水装置8は備えていないが、回収タンク15、混合部16を備えている。図2の各種装置や機器は、図1のそれら装置や機器と同じ構成、機能、効能を備えたものである。
【0041】
図2の卵洗浄装置の場合は、電解水タンク3内のバブル電解水を供給装置7により混合部16に供給し、混合部16において洗浄水と混合してバブル電解水を希釈してから噴射装置9に供給して、希釈されたバブル電解水を噴霧装置9から卵に噴射されるようにしてある。卵に噴射された電解水は回収タンク15に回収され、排出機13で強制的に外部に排出されるようにしてある。
【0042】
[卵洗浄装置の構成3]
本発明の卵洗浄装置の第3の実施例は図示しないが、図1図2の電解水タンク3内のバブル電解水を、直に、噴射装置9に供給して卵に噴射するようにするともできる。
【0043】
[制御部]
図1図2には図示してないが、本発明では制御部を設けることもできる。制御部は卵搬送機1の搬送・停止、搬送速度等、電解水生成機2の稼動・停止、生成量、生成されるアルカリ電解水のpH値等、バブル発生機4の稼動・停止、生成量、発生されるバブルの粒径等、循環装置5の稼動・停止、循環速度等、供給装置7の稼動・停止、供給量等、給水装置8の稼動・停止、供給量等、噴射装置9の噴射量、噴射形態等、殺菌液タンク11からの殺菌液の噴射タイミング、噴射量等を設定、変更可能であり、夫々の装置や機器が設定された条件で運転されるようにするものである。洗浄水タンク6への洗浄水やバブル電解水の継ぎ足し、洗浄水タンク6からのオーバーフローの量等を設定し、実行されるようにすることもできる。
【0044】
[卵洗浄方法]
図1の卵洗浄装置を使用して卵を洗浄するには、例えば、次のようにして行うことができる。
(1)卵搬送機1の載せ部に卵を載せて搬送する。
(2)電解水生成機2でアルカリ電解水を生成して電解水タンク3に貯留する。
(3)電解水タンク3内のアルカリ電解水をバブル発生機4との間で循環させて、バブル電解水にする。
(4)電解水タンク3内のバブル電解水を直に、又は希釈してpH値を下げてから、噴射装置9に給水して回転搬送中の卵の殻に噴射する。バブル電解水の希釈は、バブル電解水を洗浄水タンク6内の洗浄水に混合して、又は、水道などから供給さる洗浄水と混合して行う。
(5)バブル電解水が噴射された卵の殻に洗浄具10が接触して卵の殻を洗浄する。
(6)洗浄済みの卵に殺菌液を噴射して殺菌する。
(7)殺菌済み卵は卵搬送機1から取り出されて包装される。卵の取り出し、包装は手動で又は機械(例えば、ロボット)で自動的に行われる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
前記実施形態は本発明の一例である。本発明の卵洗浄方法及び卵洗浄装置は、課題を解決できる範囲で、他の洗浄方法、洗浄装置に設計変更可能である。
【符号の説明】
【0046】
1 卵搬送機
2 アルカリ電解水生成機(電解水生成機)
3 電解水タンク
4 バブル発生機
5 循環装置
6 洗浄水タンク
7 供給装置
8 給水装置
9 噴射装置
10 洗浄具
11 殺菌液タンク
12 殺菌液噴射具
13 排出機
15 回収タンク
16 混合部
21 入口側管路
22 細径管路
23 出口側管路(加圧溶解部)
24 ノズル
図1
図2
図3
図4