(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161288
(43)【公開日】2023-11-07
(54)【発明の名称】レバーのストッパ構造
(51)【国際特許分類】
E05B 79/08 20140101AFI20231030BHJP
B60J 5/00 20060101ALI20231030BHJP
【FI】
E05B79/08
B60J5/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022071577
(22)【出願日】2022-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】000148896
【氏名又は名称】三井金属アクト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北村 陽亮
(72)【発明者】
【氏名】高山 達也
【テーマコード(参考)】
2E250
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250HH01
2E250LL01
2E250MM03
2E250PP02
2E250PP04
2E250PP12
2E250QQ03
(57)【要約】
【課題】レバーの動作範囲の調整や変更を容易に実施する。
【解決手段】ベースプレート13に支持されたレバー30の可動領域にストッパ部70を配設し、レバー30をストッパ部70に当接させることによってレバー30の動作範囲を制限するものであって、ストッパ部70は、ベースプレート13においてレバー30の可動領域外となる部分から一方の表面側に突出するように延在した支持部70aと、支持部70aからベースプレート13の表面に沿う方向に延在し、当接面70cがレバー30の可動領域に配置される当接部70bとを有している。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースに支持されたレバーの可動領域にストッパ部を配設し、前記レバーを前記ストッパ部に当接させることによって前記レバーの動作範囲を制限するレバーのストッパ構造であって、
前記ストッパ部は、前記ベースにおいて前記レバーの可動領域外となる部分から一方の表面側に突出するように延在した立上げ部と、前記立上げ部から前記ベースの表面に沿う方向に延在し、前記レバーに当接する当接面が前記レバーの可動領域に配置される当接部とを有することを特徴とするレバーのストッパ構造。
【請求項2】
前記当接部は、前記立上げ部の一方の側縁から屈曲する方向に延在されていることを特徴とする請求項1に記載のレバーのストッパ構造。
【請求項3】
前記当接面が前記当接部において前記ベースの表面に対向する範囲内に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のレバーのストッパ構造。
【請求項4】
前記当接部において前記ベースの表面に対向する部分には、前記ベースの表面に向けて突出する突出部が設けられていることを特徴とする請求項3に記載のレバーのストッパ構造。
【請求項5】
前記当接面には、前記レバーが当接した場合に前記ストッパ部を前記ベースの表面に近接する方向に向けて傾動させる傾斜部が設けられていることを特徴とする請求項3に記載のレバーのストッパ構造。
【請求項6】
前記レバーには、索状体の一端部が接続され、アウタチューブに対して前記索状体が移動することによって動作するものであり、前記立上げ部に、前記アウタチューブが支持されていることを特徴とする請求項1に記載のレバーのストッパ構造。
【請求項7】
前記当接部が前記ベースに溶着されていることを特徴とする請求項1に記載のレバーのストッパ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レバーの動作範囲を制限するストッパ構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
レバーを備えた動力伝達系には、レバーの動作範囲を制限するため、レバーを設けたベースにストッパ部を設けるようにしたものがある。すなわち、ベースの表面においてレバーの可動領域となる位置にストッパ部を突出させ、レバーが動作範囲に到達した時点でレバーをストッパ部に当接させることでその動作範囲を制限するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のストッパ構造によれば、いわゆる切り起こし加工をベースに施すことにより、任意の位置にストッパ部を設けることが可能となる。しかしながら、一旦ベースにストッパ部を設けた後においては、レバーの動作範囲を調整したり、レバーの動作範囲を変更することは困難である。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みて、レバーの動作範囲の調整や変更を容易に実施することのできるレバーのストッパ構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係るレバーのストッパ構造は、ベースに支持されたレバーの可動領域にストッパ部を配設し、前記レバーを前記ストッパ部に当接させることによって前記レバーの動作範囲を制限するレバーのストッパ構造であって、前記ストッパ部は、前記ベースにおいて前記レバーの可動領域外となる部分から一方の表面側に突出するように延在した立上げ部と、前記立上げ部から前記ベースの表面に沿う方向に延在し、前記レバーに当接する当接面が前記レバーの可動領域に配置される当接部とを有することを特徴とする。
【0007】
また本発明は、上述したレバーのストッパ構造において、前記当接部は、前記立上げ部の一方の側縁から屈曲する方向に延在されていることを特徴とする。
【0008】
また本発明は、上述したレバーのストッパ構造において、前記当接面が前記当接部において前記ベースの表面に対向する範囲内に設けられていることを特徴とする。
【0009】
また本発明は、上述したレバーのストッパ構造において、前記当接部において前記ベースの表面に対向する部分には、前記ベースの表面に向けて突出する突出部が設けられていることを特徴とする。
【0010】
また本発明は、上述したレバーのストッパ構造において、前記当接面には、前記レバーが当接した場合に前記ストッパ部を前記ベースの表面に近接する方向に向けて傾動させる傾斜部が設けられていることを特徴とする。
【0011】
また本発明は、上述したレバーのストッパ構造において、前記レバーには、索状体の一端部が接続され、アウタチューブに対して前記索状体が移動することによって動作するものであり、前記立上げ部に、前記アウタチューブが支持されていることを特徴とする。
【0012】
また本発明は、上述したレバーのストッパ構造において、前記当接部が前記ベースに溶着されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ベースから突出した立上げ部に対して当接部の延在方向を変更することができるため、レバーの動作範囲の調整や変更を容易に実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態であるレバーのストッパ構造を適用したドアラッチ装置を車両本体の後方側から見た外観斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示したドアラッチ装置において防水カバーを取り外した状態の外観斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1に示したドアラッチ装置において防水カバーを取り外した状態のドアラッチ装置を車両本体の前方側から見た斜視図である。
【
図4】
図4は、
図1に示したドアラッチ装置の内部構造を車両本体の前方側から見た要部斜視図である。
【
図5】
図5は、
図1に示したドアラッチ装置の内部構造を車両本体の後方側から見た要部斜視図である。
【
図6】
図6は、
図1に示したドアラッチ装置の内部構造を車両本体の後方側から見た図である。
【
図7】
図7は、
図1に示したドアラッチ装置のベース及びレバーを車両本体の外方側から見た図である。
【
図8】
図8は、
図1に示したドアラッチ装置のベース及びレバーを車両本体の前方側から見たもので、(a)はレバーがストッパ部から離隔した状態の図、(b)はレバーがストッパ部に当接した状態の図である。
【
図9】
図9は、
図1に示したドアラッチ装置の要部を示すもので、(a)はベース及びレバーを車両本体の前方側の下方から見た斜視図、(b)は(a)においてベースとレバーとの間に索状体を装着した状態の斜視図である。
【
図11】
図11は、
図1に示したドアラッチ装置の要部を示すもので、(a)はレバーがストッパ部から離隔した状態の斜視図、(b)はレバーがストッパ部に当接した状態の斜視図である。
【
図12】
図12は、ドアラッチ装置の変形例に適用したベース及びレバーを示すもので、(a)は車両本体の前方側から見た図、(b)は車両本体の外方側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しながら本発明に係るレバーのストッパ構造の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0016】
図1~
図3は、本発明の実施の形態であるレバーのストッパ構造を適用したドアラッチ装置を示したものである。ここで例示するドアラッチ装置は、図には明示していないが、四輪自動車の右側に配置された前方ヒンジのサイドドアに内蔵され、車両本体に対するサイドドアの開閉制御を行うものである。以下、一般的なドアラッチ装置の構成について説明を行うが、あくまでも例示を目的とするものであって本発明のストッパ構造を限定するためのものではない。なお、ドアラッチ装置の構成については便宜上、閉じた状態のサイドドアに搭載した姿勢でそれぞれの方向を特定することとする。左右に沿った方向については車両本体の室内側を内方、室外側を外方といい、前後に沿った方向については前方及び後方という。
【0017】
図1~
図3に示すように、ドアラッチ装置は、ケース10の内部にラッチユニット20及びアウトサイドハンドルレバー(レバー)30を備えている。ケース10は、図には明示していないが、サイドドアのインサイドパネルに沿って前後に延在する装置本体部11と、装置本体部11の後方側に位置する部分から外方に向けてほぼ直角に延在するユニット収容部12とを有したもので、平面視が略L字状となるように構成してある。ユニット収容部12は、主にラッチユニット20を収容する部分であり、その内部に支持構造体となるベースプレート(ベース)13を備えている。ベースプレート13は、金属によって成形した比較的板厚の大きな板状部材を適宜屈曲させることによって構成したもので、車両本体の左右に沿う状態でケース10の内部に固定してある。装置本体部11は、主にラッチユニット20をロック状態及びアンロック状態に切り替えるためのロック機構40、駆動源となる電動モータ41、ウォーム42及びウォームホイール43から成る減速機構、等の動作機構部を収容するためのものである。図からも明らかなように、ユニット収容部12の上下に沿った寸法は、装置本体部11のほぼ1/2であり、装置本体部11の後方側において上半部となる部分に設けてある。図には明示していないが、このユニット収容部12は、サイドドアのバックパネルから一部が外部に露出するように設けられるもので、外部に露出する部分にストライカ進入溝12aを有している。ストライカ進入溝12aは、車両本体に対してサイドドアを閉じる場合に、車両本体に設けられたストライカが進入するための切欠であり、左右方向に沿ってほぼ水平となるように形成してある。このストライカ進入溝12aに対しては、車両本体に対してサイドドアを閉じた場合に図中の左方からストライカが相対的に進入することになる。図には明示していないが、装置本体部11の外方面11aよりも外方側で、ユニット収容部12の前面12bよりも前方側となる部分には、サイドドアに設けられたウインドウガラスが昇降可能に配設されることになる。
【0018】
ラッチユニット20は、
図4~
図6に示すように、ラッチ軸21を介してベースプレート13の後面13aに回転可能に支持させたラッチ22と、ラチェット軸23を介してベースプレート13の後面13aに回転可能に支持させたラチェット24とを備えて構成したものである。ラッチ軸21及びラチェット軸23は、それぞれ車両本体の前後に沿ってほぼ水平となるように延在している。図示の例では、ストライカ進入溝12aよりも上方となる部分にラッチ軸21が設けてあり、ストライカ進入溝12aよりも下方となる部分においてラッチ軸21よりも内方となる部分にラチェット軸23が設けてある。
【0019】
ラッチ22は、ケース10との間に設けたラッチバネ22aのバネ力によって常時噛み合い解除方向(
図6において時計方向)に付勢された状態にある。ラチェット24は、ケース10との間に設けたラチェットバネ24aのバネ力により、常時係合方向(
図6において反時計方向)に付勢され、外方側の端部がラッチ22の周面に当接された状態にある。サイドドアが閉じられてストライカ進入溝12aに進入したストライカがラッチ22に当接すると、ラッチバネ22aのバネ力に抗してラッチ22が反時計方向に回転する。ラッチ22の回転が所定の係合位置まで進行すると、ラチェット24がラッチ22に係合し、ラッチ22の解除方向への回転が阻止される。この結果、ストライカ進入溝12aからのストライカの逸脱方向への移動が阻止されることになり、車両本体に対してサイドドアが閉じた状態に維持される。
【0020】
ラチェット軸23には、ラチェット24と一体的に回転するようにラチェットレバー25が設けてある。ラチェットレバー25は、ラチェット軸23においてラチェット24よりも前方に位置する部分に左右方向に沿って延在したものである。ラチェットバネ24aのバネ力に抗してラチェットレバー25が内方側の端部を上方に移動するように回転すると、ラチェット24が時計方向に回転することによってラッチ22との係合状態が解除される。これにより、ラッチバネ22aのバネ力によってラッチ22が時計方向に回転することになり、ストライカ進入溝12aからのストライカの逸脱方向への移動が許容され、車両本体に対してサイドドアを開くことが可能となる。
【0021】
アウトサイドハンドルレバー30は、
図4~
図8に示すように、車両本体の前後に沿うアウトサイドレバー軸31により、ベースプレート13の前面13bにおいてラチェット軸23よりも下方側となる部分に回転可能に支持させたものである。アウトサイドハンドルレバー30において外方に位置する外方端部30aは、ケース10に設けた切欠10aを介して外部に突出した状態にあり、アウトサイドケーブル50を介して図示せぬサイドドアのアウトサイドドアハンドルに連係してある。より詳細に説明すると、装置本体部11の後方側においてユニット収容部12の下端部付近に設けた切欠10aを介してアウトサイドハンドルレバー30の外方端部30aがケース10の外部に突出している。アウトサイドハンドルレバー30において車両本体の内方に位置する内方端部30bには、オープンリンク32が係合してある。オープンリンク32は、ケース10の内部においてラチェットレバー25の下方側となる部分に配設したもので、アウトサイドハンドルレバー30の動作によりケース10に対して上下に移動することが可能である。オープンリンク32が上方に移動した場合には、ラチェットレバー25の内方側の端部に当接することにより、ラチェットバネ24aのバネ力に抗してラチェット24が非係合方向(
図6において時計方向)に回転することになる。図には明示していないが、アウトサイドドアハンドルは、ハンドルブラケットを介してサイドドアに取り付けたもので、ハンドルブラケットに対して移動することが可能である。上述のアウトサイドハンドルレバー30は、ベースプレート13との間に介在させたリターンバネ30cのバネ力により、アウトサイドレバー軸31よりも車両の外方側に位置する部分がベースプレート13に固定したクッション材33の下面に当接し、内方端部30bがもっとも下方に配置された状態、つまりオープンリンク32が下方に位置してラチェットレバー25から離隔した状態となるように維持してある。
【0022】
アウトサイドケーブル50は、アウタチューブ51の内部にインナワイヤ(索状体)52を配設したもので、インナワイヤ52の端部にワイヤエンド52aを備えている。このアウトサイドケーブル50は、インナワイヤ52の一方の端部がワイヤエンド52aを介してアウトサイドハンドルレバー30の外方端部30aに接続してあり、アウタチューブ51の一方の端部がベースプレート13の下端部に固定してある。図には明示していないが、アウトサイドケーブル50の他方の端部は、インナワイヤ52がワイヤエンドを介してアウトサイドドアハンドルに接続してあり、アウタチューブ51がハンドルブラケットに固定してある。つまり、サイドドアのアウトサイドドアハンドルを開き操作すると、ドアラッチ装置においてはアウタチューブ51に対してインナワイヤ52が引込動作し、アウトサイドハンドルレバー30が
図8において反時計方向に回転することになる。従って、車両本体に対してサイドドアが閉じた状態からアウトサイドドアハンドルを開き操作すれば、オープンリンク32が上方側に向けて移動し、ラッチ22に対するラチェット24の係合状態が解除されるため、車両本体に対してサイドドアを開くことが可能となる。ベースプレート13の下端部及びアウトサイドケーブル50は、装置本体部11からの突出量が最小限となるように、アウトサイドハンドルレバー30の外方端部30aから下方に向けて漸次内方となるように、外方面11aに対して傾斜するように設けてあり、さらに外方側となる部分が防水カバー60によって覆ってある。防水カバー60は、アウトサイドハンドルレバー30の外方端部30a、アウトサイドケーブル50においてアウトサイドハンドルレバー30の外方端部30aに接続した一方の端部及びベースプレート13の下端部を同時に収容することのできる大きさを有したもので、樹脂によって成形してある。図には明示していないが、この防水カバー60は、カバー支持体を介してケース10に開閉可能に取り付けてあり、アウトサイドハンドルレバー30、アウトサイドケーブル50及びベースプレート13の下端部を覆った状態と、アウトサイドハンドルレバー30、アウトサイドケーブル50及びベースプレート13の下端部を外部に露出させた状態とに移動することが可能である。すなわち、この実施の形態のドアラッチ装置においては、防水カバー60を閉じた場合、その内部にストッパ構造の全体が収容された状態となる。
【0023】
以下、防水カバー60によって覆われる部分の構成について詳述し、併せて本願発明の特徴部分について説明する。
図4~
図10に示すように、ベースプレート13の下端部には、ストッパ部70及びビード71が設けてある。ストッパ部70は、上述したアウタチューブ51を固定するための支持部(立上げ部)70aと、アウトサイドハンドルレバー30に当接する当接部70bとを有したもので、ベースプレート13と一体に成形してある。支持部70aは、ベースプレート13の前面13bから前方に向けてほぼ直角に突出するように延在した板状を成すもので、ベースプレート13においてアウトサイドハンドルレバー30の可動領域(
図8(a)中の円弧範囲)よりも外周側となる部分に設けてある。図からも明らかなように、支持部70aは、車両本体の外方に向けて漸次下方となるように傾斜して延在している。当接部70bは、支持部70aにおいて車両本体の内方側となる縁部から車両本体の外方側に向けて屈曲し、外方に向けて漸次上方となるように傾斜して延在したもので、その延在端部がアウトサイドハンドルレバー30の可動領域においてベースプレート13の前面13bに対向する位置に配置してある。当接部70bの延在端部においてベースプレート13の前面13bに対向する範囲内には、当接面(傾斜部)70c及び突出部70dが設けてある。当接面70cは、アウトサイドハンドルレバー30が動作した場合に当接する上面部分であり、ベースプレート13の前面13bに向けて漸次上方側への突出量が大きくなるように傾斜している。突出部70dは、当接部70bとベースプレート13の前面13bとの間の隙間が基端部よりも延在端部において小さくなるように、当接部70bにおいてベースプレート13の前面13bに対向する縁部から前面13bに向けて突出している。ビード71は、ベースプレート13に設けた補強用の凸条部であり、当接部70bから上方に向けて複数形成してある。
【0024】
上記のように構成したドアラッチ装置では、アウトサイドハンドルレバー30が
図8において反時計方向に回転した場合、外方端部30aが当接部70bに当接することになる。従って、アウトサイドドアハンドルの開き操作が過剰となった場合にも、当接部70bによってアウトサイドハンドルレバー30の動作範囲が制限されることになり、例えばオープンリンク32やラチェットレバー25に過大な外力が加えられるおそれがない。
【0025】
しかも、当接部70bは、アウトサイドハンドルレバー30の可動領域外に設けた支持部70aからベースプレート13の前面13bに沿って延在し、延在端部がアウトサイドハンドルレバー30の可動領域の内部に配置されたものである。従って、当接部70bにおいてアウトサイドハンドルレバー30に当接する部分の位置を容易に変更することが可能である。これにより、アウトサイドハンドルレバー30の動作範囲の調整や変更についても容易に実施することができるようになる。
【0026】
さらに、ドアラッチ装置では、
図11(a)に示すように、ストッパ部70の基端部に設けた支持部70aにアウトサイドケーブル50のアウタチューブ51を支持させるようにしている。このため、インナワイヤ52が引込動作され、アウトサイドハンドルレバー30が当接部70bの当接面70cに当接した場合には、
図11(b)中の太字矢印で示すように、支持部70aがアウトサイドハンドルレバー30に近接する方向に力が加えられることになる。すなわち、インナワイヤ52の引込動作によってアウトサイドハンドルレバー30が当接面70cに当接すると、ストッパ部70がアウトサイドハンドルレバー30の移動方向に対してこれに抗する方向の力が作用するため、ストッパ部70の剛性上において有利となる。しかも、インナワイヤ52の引込動作によって過大な力が加わり、ストッパ部30に変形を来した場合にも、当接部70bがベースプレート13の前面13bに近接する方向に弾性的に変形する。この結果、アウトサイドハンドルレバー30から加えられる力に対してストッパ部70及びベースプレート13の協働により抗することが可能となり、当接部70bに損傷を来す等の問題を招来するおそれがない。この場合、実施の形態のドアラッチ装置では、基端側に比べて変形量が大きくなるストッパ部70の延在部分に突出部70dを設けるようにしているため、ベースプレート13の前面13bに当接するまでの距離が短くなり、ストッパ部70の変形量も小さく抑えられることになり、上述の効果が一層顕著となる。加えて、上述のストッパ部70においては、アウトサイドハンドルレバー30に当接する当接面70cがベースプレート13の前面13bに向けて漸次上方側への突出量が大きくなるように傾斜している。このため、アウトサイドハンドルレバー30が当接した際に当接面70cの傾斜作用によってストッパ部70が傾動し、ベースプレート13の前面13bに対してより当接し易くなる。
【0027】
また、上述のドアラッチ装置では、防水カバー60によって覆われるアウトサイドハンドルレバー30の外方側端部と、アウトサイドケーブル50の取付位置である支持部70aとの間にアウトサイドハンドルレバー30に当接するストッパ部70の当接部70bを設けるようにしているため、当該当接部70bについても防水カバー60によって覆うことが可能である。換言すれば、防水カバー60という限られたスペースにストッパ部70を設けるようにしているため、ドアラッチ装置が大型化するおそれがない。
【0028】
ストッパ部70の当接部70bにおいてベースプレート13の前面13bに対向する部分と、ベースプレート13との間は、溶接することによって互いの間を連結(溶着)するようにしても良い。両者の間を連結すれば、ストッパ部70の剛性をより向上させることが可能となる。なお、ストッパ部とベースプレートとの溶着部分は、必ずしもストッパ部の当接部においてベースプレートの前面に対向する部分である必要はない。
【0029】
なお、上述した実施の形態では、車両用のドアラッチ装置においてオープンリンク32を動作させるためのアウトサイドハンドルレバー30の動作範囲を制限するものを例示しているが、本発明はこれに限定されず、その他のレバーの動作範囲を制限するものにも適用することが可能である。また、ストッパ部70の立上げ部となる支持部70aにレバー30を動作するためのアウトサイドケーブル50のアウタチューブ51を支持させるようにしているため、部品点数を削減する等の利点があるが、必ずしも立上げ部が部品の取付部である必要はない。さらに、当接部70bにおいてレバー30が当接する当接面70cを傾斜させるようにしているが、必ずしも傾斜している必要はない。
【0030】
また、上述した実施の形態では、支持部70aに対して当接部70bを屈曲する方向に延在させるようにしているが、立上げ部から当接部がベースプレートの表面に沿う方向に延在していれば、必ずしも当接部が立上げ部に対して屈曲している必要はない。例えば、
図12に示す変形例においては、ベースプレート13においてアウトサイドハンドルレバー30の可動領域外となる部分から後方に向けて突出するように延在した立上げ部170aと、立上げ部170aの一側縁から立上げ部170aと同一の平面上に位置するように延在した当接部170bとを有してストッパ部170が構成してある。当接部170bが、ベースプレート13の前面13bに沿う方向に沿って延在し、当接面(傾斜部)170cがアウトサイドハンドルレバー30の可動領域の内部に配置されているのはいうまでもない。当接部170bの延在端部は、ベースプレート13の前面13bに対向した状態にあり、前面13bに対向する部分に突出部170dを有している。また、この変形例においても、当接部170bにおいてアウトサイドハンドルレバー30が当接する当接面170cは、ベースプレート13の前面13bに対して傾斜している。なお、変形例において実施の形態と同様の構成については同一の符号が付してある。
【0031】
上記のように構成した変形例のドアラッチ装置では、アウトサイドハンドルレバー30が
図12(a)において反時計方向に回転した場合、外方端部30aが当接部170bに当接することになる。従って、アウトサイドドアハンドルの開き操作が過剰となった場合にも、当接部170bによってアウトサイドハンドルレバー30の動作範囲が制限されることになる。しかも、当接部170bは、アウトサイドハンドルレバー30の可動領域外に設けた立上げ部170aからベースプレート13の前面13bに沿って延在し、延在端部がアウトサイドハンドルレバー30の可動領域の内部に配置されたものである。従って、当接部170bにおいてアウトサイドハンドルレバー30に当接する部分の位置を容易に変更することが可能である。これにより、アウトサイドハンドルレバー30の動作範囲の調整や変更についても容易に実施することができるようになる。
【0032】
なお、上述した実施の形態及び変形例では、当接部がベースプレートの表面に対向しているが、必ずしも対向している必要はない。また、当接面の全面に傾斜部が設けてあるが、少なくともレバーが当接する部分にのみ傾斜部が設けられていても良い。
【符号の説明】
【0033】
13 ベースプレート(ベース)
30 アウトサイドハンドルレバー(レバー)
51 アウタチューブ
52 インナワイヤ(索状体)
70,170 ストッパ部
70a 支持部(立上げ部)
70b,170b 当接部
70c,170c 当接面(傾斜部)
70d,170d 突出部
170a 立上げ部