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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161294
(43)【公開日】2023-11-07
(54)【発明の名称】粘着シート
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/38 20180101AFI20231030BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20231030BHJP
   C09J 143/04 20060101ALI20231030BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20231030BHJP
   B32B 15/08 20060101ALI20231030BHJP
   B32B 25/20 20060101ALI20231030BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20231030BHJP
   H01B 5/14 20060101ALI20231030BHJP
   C09J 7/28 20180101ALI20231030BHJP
   C09J 11/08 20060101ALI20231030BHJP
【FI】
C09J7/38
C09J201/00
C09J143/04
C09J11/06
B32B15/08 Q
B32B25/20
B32B27/00 M
H01B5/14 Z
C09J7/28
C09J11/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022071597
(22)【出願日】2022-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002239
【氏名又は名称】弁理士法人G-chemical
(72)【発明者】
【氏名】岡原 快
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 博之
【テーマコード(参考)】
4F100
4J004
4J040
5G307
【Fターム(参考)】
4F100AB01
4F100AB01A
4F100AB17
4F100AB17A
4F100AK41
4F100AK41C
4F100AK52
4F100AK52B
4F100AT00C
4F100BA02
4F100BA03
4F100BA07
4F100CA06
4F100CA06B
4F100CB05
4F100CB05B
4F100EH46
4F100EJ42
4F100EJ86
4F100GB41
4F100JG01
4F100JG04
4F100JG04C
4F100JK06
4F100JL13
4F100JL13B
4J004AA10
4J004AA14
4J004AB01
4J004BA02
4J004CA08
4J004CB03
4J004DB02
4J004FA05
4J040DF021
4J040DF022
4J040DF031
4J040DF032
4J040DF061
4J040DH031
4J040DJ032
4J040EF282
4J040HB35
4J040JB09
4J040KA16
4J040KA29
4J040LA01
4J040LA02
4J040LA06
4J040LA09
4J040NA19
5G307GA07
5G307GB02
5G307GC02
(57)【要約】
【課題】導電性およびリワーク性に優れ、経時で粘着力が上昇し、且つアウトガス量が少ない粘着シートを提供する。
【解決手段】粘着シート1は、金属基材2と、金属基材2の少なくとも一方の面に設けられた粘着剤層3とを備える。粘着剤層3は、ガラス転移温度が0℃未満のポリマー(A)100質量部に対し、ポリオルガノシロキサン骨格を有するモノマー(B1)およびホモポリマーのガラス転移温度が40℃以上のモノマー(B2)をモノマー単位として含み、モノマー(B1)の官能基当量(算術平均)が1000g/mol以上15000g/mol未満であり、且つ重量平均分子量が10000以上100000未満である重合体(B)0.1~20質量部と、フェノール系酸化防止剤0.4質量部以上とを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属基材と、前記金属基材の少なくとも一方の面に設けられた粘着剤層とを備え、
前記粘着剤層は、ガラス転移温度が0℃未満のポリマー(A)100質量部に対し、ポリオルガノシロキサン骨格を有するモノマー(B1)およびホモポリマーのガラス転移温度が40℃以上のモノマー(B2)をモノマー単位として含み、モノマー(B1)の官能基当量(算術平均)が1000g/mol以上15000g/mol未満であり、且つ重量平均分子量が10000以上100000未満である重合体(B)0.1~20質量部と、フェノール系酸化防止剤0.4質量部以上とを含む、粘着シート。
【請求項2】
前記フェノール系酸化防止剤はフェノール骨格を2以上含む化合物を含む請求項1に記載の粘着シート。
【請求項3】
トータルアウトガス量は15500ppm以下である請求項1または2に記載の粘着シート。
【請求項4】
電池部材貼付用途である請求項1または2に記載の粘着シート。
【請求項5】
全固体電池部材貼付用途である請求項4に記載の粘着シート。
【請求項6】
絶縁基板と、前記粘着剤層が前記絶縁基板に貼り合わせられた請求項5に記載の粘着シートと、前記粘着シート中の金属基材に付着した活物質とを備える、全固体電池用電極。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は粘着シートに関する。
【背景技術】
【0002】
モバイル機器をはじめとする電子機器の電源として急成長を遂げているリチウムバッテリーはEV車へも実用化されている。EV車は、積載重量の他に、使用時の変形(膨らみ)や発火など、電池が含有する電解液由来の課題解決が急務となっている。そこでここ数年、普及が期待されているのが全固体電池であり、その電池の回路部品固定用などに粘着シート(粘着テープ)が使用されている。このような粘着シートには、導電性に優れることが求められる。
【0003】
また、粘着シートは接着初期から粘着力が高いと貼り直しが困難となるため、初期は粘着力が弱い一方、被着体を強固に固定する点からは、経時で粘着力が上昇し、高い粘着力が得られる粘着シートが求められている。
【0004】
特許文献1には、初期は粘着力が弱く被着体から容易に剥離することができる、すなわちリワーク性に優れ、且つ経時で粘着力が上昇する粘着剤層を形成可能な粘着剤組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-224227号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
全固体電池の回路部品固定用に用いられる粘着シートには、環境保全の観点や、引火による発火等を防止する観点から、アウトガス量が少ないことが求められる。
【0007】
本発明は、このような事情のもとで考え出されたものであって、その目的は、導電性およびリワーク性に優れ、経時で粘着力が上昇し、且つアウトガス量が少ない粘着シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、金属基材とその少なくとも一方の面に設けられた特定の粘着剤層を備える粘着シートは、導電性およびリワーク性に優れ、経時で粘着力が上昇し、且つアウトガス量が少ないことを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて完成されたものである。
【0009】
すなわち、本発明は、金属基材と、上記金属基材の少なくとも一方の面に設けられた粘着剤層とを備え、
上記粘着剤層は、ガラス転移温度が0℃未満のポリマー(A)100質量部に対し、ポリオルガノシロキサン骨格を有するモノマー(B1)およびホモポリマーのガラス転移温度が40℃以上のモノマー(B2)をモノマー単位として含み、モノマー(B1)の官能基当量(算術平均)が1000g/mol以上15000g/mol未満であり、且つ重量平均分子量が10000以上100000未満である重合体(B)0.1~20質量部と、フェノール系酸化防止剤0.4質量部以上とを含む、粘着シートを提供する。
【0010】
上記フェノール系酸化防止剤はフェノール骨格を2以上含む化合物を含むことが好ましい。
【0011】
上記粘着シートのトータルアウトガス量は15500ppm以下であることが好ましい。
【0012】
上記粘着シートは電池部材貼付用途であることが好ましい。
【0013】
上記粘着シートは全固体電池部材貼付用途であることが好ましい。
【0014】
また、本発明は、絶縁基板と、上記粘着剤層が前記絶縁基板に貼り合わせられた上記粘着シートと、上記粘着シート中の金属基材に付着した活物質とを備える、全固体電池用電極を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の粘着シートは、導電性およびリワーク性に優れ、経時で粘着力が上昇し、且つアウトガス量が少ない。このため、上記粘着シートは全固体電池の回路部品固定用に適しており、またこの際に発生するアウトガス量が少ないので引火による発火等が起こりにくい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る粘着シートの断面模式図である。
図2図1に示す粘着シートを用いて電極を作製する方法を示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<粘着シート>
本発明の粘着シートは、金属基材と、上記金属基材の少なくとも一方の面に設けられた粘着剤層とを少なくとも備える。本発明の粘着シートは、両面がともに粘着剤層表面となっている両面粘着シートであってもよいし、片面のみが粘着剤層表面となっている片面粘着シートであってもよい。
【0018】
図1は、本発明の粘着シートの一実施形態を示す断面模式図である。図1に示すように、粘着シート1は、金属基材2と、金属基材2の一方の面に設けられた粘着剤層3とを備える片面粘着シートである。
【0019】
[金属基材]
上記金属基材は、面方向に延びる金属箔であることが好ましい。上記金属基材は、単層であってもよく、複層であってもよい。複層である場合、各層は構成金属や厚さなどが同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0020】
上記金属基材を構成する金属としては、例えば、銅、アルミニウム、金、ニッケル、チタン、モリブテン、ニオブ、タンタル、ジルコニウム、合金などが挙げられる。上記合金としては、例えば、ステンレス、パーマロイ、ニクロムなどが挙げられる。上記金属として、優れた導電性を得ることができる観点から、銅が好ましい。すなわち、上記金属基材は銅箔が好ましい。
【0021】
上記金属基材の形成方法は特に限定されず、例えば、電解、蒸着(例えば真空蒸着)、スパッタリング、CVD法、メタルオーガニック(MO)、メッキ、圧延加工などが挙げられる。
【0022】
上記金属基材の厚さは、例えば1μm以上であり、5μm以上であることが好ましく、より好ましくは10μm以上、さらに好ましくは15μm以上である。上記厚さは、例えば、300μm以下であり、200μm以下であることが好ましく、より好ましくは100μm以下、さらに好ましくは80μm以下、特に好ましくは50μm以下である。
【0023】
[粘着剤層]
上記粘着剤層は、ポリマー(A)、重合体(B)、およびフェノール系酸化防止剤を少なくとも含む。このような粘着剤層を用いることにより、本発明の粘着シートは、初期の被着体に対する粘着力が低くリワーク性に優れ、且つ、経時で粘着力が上昇して被着体に対する粘着性に優れる粘着シートとすることができる。
【0024】
上記粘着剤層は、ポリマー(A)100質量部に対し、重合体(B)0.1~20質量部と、フェノール系酸化防止剤0.4質量部以上とを含む。なお、本明細書において、上記粘着剤層を「本発明の粘着剤層」と称する場合がある。
【0025】
本発明の粘着シートは、両面粘着シートであってもよいし、片面粘着シートであってもよい。本発明の粘着シートが複数の粘着剤層を備える場合、少なくとも1つの粘着剤層は本発明の粘着剤層であり、全ての粘着剤層が本発明の粘着剤層であることが好ましい。また、複数の粘着剤層は、同一であってもよく、組成、厚さ、物性などが異なる粘着剤層であってもよい。
【0026】
(ポリマー(A))
ポリマー(A)は、ガラス転移温度が0℃未満のポリマーである。上記粘着剤層がこのようなポリマー(A)を含むことにより、経時後において被着体に対し充分な粘着力を発揮することができる。
【0027】
ポリマー(A)としては、例えば、アクリル系ポリマー、ゴム系ポリマー、シリコーン系ポリマー、ポリウレタン系ポリマー、ポリエステル系ポリマー等の粘着剤として一般的に用いられる各種ポリマーが挙げられる。特に重合体(B)が(メタ)アクリル系重合体の場合には、(メタ)アクリル系重合体と相溶し易く透明性が高いアクリル系ポリマーが好ましい。ポリマー(A)は、一種のみを使用してもよく、二種以上を使用してもよい。
【0028】
ポリマー(A)のガラス転移温度(Tg)は、0℃未満であり、好ましくは-10℃未満、より好ましくは-30℃未満である。また上記ガラス転移温度は-80℃以上が好ましい。ポリマー(A)のTgが0℃以上であると、ポリマーが流動しにくく、経時での粘着力上昇が起こりにくい場合がある。
【0029】
ガラス転移温度は、文献、カタログ等に記載された公称値であるか、あるいは、下記式(X)(Fox式)に基づいて計算された値である。
1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+・・・+Wn/Tgn (X)
[式(X)中、Tgはポリマー(A)のガラス転移温度(単位:K)、Tgi(i=1、2、・・・n)はモノマーiがホモポリマーを形成した際のガラス転移温度(単位:K)、Wi(i=1、2、・・・n)はモノマーiの全モノマー成分中の質量分率を表す。]
上記式(X)は、ポリマー(A)が、モノマー1、モノマー2、・・・、モノマーnのn種類のモノマー成分から構成される場合の計算式である。
【0030】
なお、本明細書における「ホモポリマーを形成した際のガラス転移温度(Tg)」(単に「ホモポリマーのTg」と称する場合がある)とは、「当該モノマーの単独重合体のガラス転移温度(Tg)」を意味し、具体的には、「Polymer Handbook」(第3版、John Wiley&Sons,Inc、1987年)に数値が挙げられている。なお、上記文献に記載されていないモノマーのホモポリマーのTgは、ポリオルガノシロキサン骨格を有するモノマー以外は、例えば、以下の測定方法により得られる値(特開2007-51271号公報参照)をいう。すなわち、温度計、撹拌機、窒素導入管、および還流冷却管を備えた反応器に、モノマー100質量部、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.2質量部および重合溶媒として酢酸エチル200質量部を投入し、窒素ガスを導入しながら1時間撹拌する。このようにして重合系内の酸素を除去した後、63℃に昇温し10時間反応させる。次いで、室温まで冷却し、固形分濃度33質量%のホモポリマー溶液を得る。次いで、このホモポリマー溶液をはく離ライナー上に流延塗布し、乾燥して厚さ約2mmの試験サンプル(シート状のホモポリマー)を作製する。そして、この試験サンプルを直径7.9mmの円盤状に打ち抜き、パラレルプレートで挟み込み、粘弾性試験機(商品名「ARES」、レオメトリックス社製)を用いて周波数1Hzの剪断歪を与えながら、温度領域-70~150℃、5℃/分の昇温速度で剪断モードにより粘弾性を測定し、tanδのピークトップ温度をホモポリマーのTgとする。
【0031】
ポリマー(A)の重量平均分子量(Mw)は、5×104以上であることが好ましく、より好ましくは10×104以上、さらに好ましくは20×104以上、特に好ましくは30×104以上である。上記Mwが5×104以上であると、良好な凝集性を示す粘着剤が得られやすい。また、上記Mwは500×104以下であることが好ましい。上記Mwが500×104以下であると、適度な流動性(ポリマー鎖の運動性)を示す粘着剤を形成しやすいことから、貼り付け初期の粘着力が低く、且つ加熱後に粘着力の高くなる粘着シートの実現に適している。
【0032】
なお、本明細書において、ポリマー(A)および重合体(B)のMwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレン換算して求めることができる。より具体的には、後述する実施例において記載する方法および条件に準じてMwを測定することができる。
【0033】
上記アクリル系ポリマーは、ポリマーを構成するモノマー成分として、アクリル系モノマー(分子中に(メタ)アクリロイル基を有するモノマー)を含むポリマーである。すなわち、上記アクリル系ポリマーは、アクリル系モノマーに由来する構成単位を含む。上記アクリル系ポリマーは、モノマー成分としてアクリル系モノマーを一種のみを含んでいてもよいし、二種以上を含んでいてもよい。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」および/または「メタクリル」(「アクリル」および「メタクリル」のうち、いずれか一方または両方)を表し、他も同様である。
【0034】
上記アクリル系ポリマーは、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位を質量割合で最も多く含むポリマーであることが好ましい。上記(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、炭化水素基含有(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。上記炭化水素基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル等の脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸アリールエステル等の芳香族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。上記炭化水素基含有(メタ)アクリル酸エステルは、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
【0035】
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s-ブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル((メタ)アクリル酸ラウリル)、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシルなどが挙げられる。
【0036】
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、中でも、炭素数が1~20(好ましくは4~12、より好ましくは6~10)の直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましい。上記炭素数が上記範囲内であると、上記アクリル系ポリマーのガラス転移温度の調整が容易であり、粘着性をより適切なものとしやすい。
【0037】
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、炭素数が1~18のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを少なくとも用いることが好ましく、炭素数が1~14(好ましくは4~12、より好ましくは6~10)のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステルを用いることがより好ましく、アクリル酸n-ブチル(BA)および/またはアクリル酸2-エチルヘキシル(2EHA)を用いることが特に好ましい。
【0038】
また、炭素数が1~18のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル(MMA)、メタクリル酸n-ブチル(BMA)、メタクリル酸2-エチルヘキシル(2EHMA)、アクリル酸イソステアリル(ISTA)なども挙げられる。
【0039】
上記脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘプチル、(メタ)アクリル酸シクロオクチル等の一環式の脂肪族炭化水素環を有する(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸イソボルニル等の二環式の脂肪族炭化水素環を有する(メタ)アクリル酸エステル;ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、トリシクロペンタニル(メタ)アクリレート、1-アダマンチル(メタ)アクリレート、2-メチル-2-アダマンチル(メタ)アクリレート、2-エチル-2-アダマンチル(メタ)アクリレート等の三環以上の脂肪族炭化水素環を有する(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。
【0040】
上記芳香族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸フェニルエステル、(メタ)アクリル酸ベンジルエステルなどが挙げられる。
【0041】
上記炭化水素基含有(メタ)アクリル酸エステルによる粘着性等の基本特性を上記粘着剤層において適切に発現させるためには、上記アクリル系ポリマーを構成する全モノマー成分における上記炭化水素基含有(メタ)アクリル酸エステルの割合は、上記全モノマー成分の総量(100質量%)に対して、50質量%以上が好ましく、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上である。また、上記割合は、他のモノマー成分を共重合可能とし当該他のモノマー成分の効果を得る観点から、99.9質量%以下であってもよく、98質量%以下、95質量%以下、90質量%以下、80質量%以下であってもよい。
【0042】
上記アクリル系ポリマーは、凝集力の向上や架橋点の導入等の改質を目的として、上記炭化水素基含有(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な他のモノマー成分に由来する構成単位を含んでいてもよい。上記他のモノマー成分としては、例えば、カルボキシ基含有モノマー、酸無水物モノマー、ヒドロキシ基含有モノマー、グリシジル基含有モノマー、スルホン酸基含有モノマー、リン酸基含有モノマー、窒素原子含有モノマー等の極性基含有モノマーなどが挙げられる。上記他のモノマー成分は、それぞれ、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
【0043】
上記カルボキシ基含有モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸などが挙げられる。上記酸無水物モノマーとしては、例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸などが挙げられる。
【0044】
上記ヒドロキシ基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6-ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8-ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10-ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12-ヒドロキシラウリル、(4-ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0045】
上記グリシジル基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジルなどが挙げられる。
【0046】
上記スルホン酸基含有モノマーとしては、例えば、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸などが挙げられる。
【0047】
上記リン酸基含有モノマーとしては、例えば、2-ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェートなどが挙げられる。
【0048】
上記窒素原子含有モノマーは、分子内(1分子内)に窒素原子を少なくとも1つ有するモノマー(単量体)である。上記窒素原子含有モノマーとしては、特に限定されないが、環状窒素含有モノマー、(メタ)アクリルアミド類などが好ましく挙げられる。なお、窒素原子含有モノマーは、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
【0049】
上記環状窒素含有モノマーは、(メタ)アクリロイル基またはビニル基等の不飽和二重結合を有する重合性の官能基を有し、かつ環状窒素構造を有するものであれば特に限定されない。上記環状窒素構造は、環状構造内に窒素原子を有するものが好ましい。
【0050】
上記環状窒素含有モノマーとしては、例えば、N-ビニル環状アミド(ラクタム系ビニルモノマー)、窒素含有複素環を有するビニル系モノマーなどが挙げられる。
【0051】
上記N-ビニル環状アミドとしては、例えば、下記式(1)で表されるN-ビニル環状アミドが挙げられる。
【化1】
(式(1)中、R1は二価の有機基を示す)
【0052】
上記式(1)におけるR1は二価の有機基であり、好ましくは二価の飽和炭化水素基または不飽和炭化水素基であり、より好ましくは二価の飽和炭化水素基(例えば、炭素数3~5のアルキレン基など)である。
【0053】
上記式(1)で表されるN-ビニル環状アミドとしては、例えば、N-ビニル-2-ピロリドン、N-ビニル-2-ピペリドン、N-ビニル-3-モルホリノン、N-ビニル-2-カプロラクタム、N-ビニル-1,3-オキサジン-2-オン、N-ビニル-3,5-モルホリンジオンなどが挙げられる。
【0054】
上記窒素含有複素環を有するビニル系モノマーとしては、例えば、モルホリン環、ピペリジン環、ピロリジン環、ピペラジン環等の窒素含有複素環を有するアクリル系モノマーなどが挙げられる。
【0055】
上記窒素含有複素環を有するビニル系モノマーとしては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリロイルモルホリン、N-ビニルピペラジン、N-ビニルピロール、N-ビニルイミダゾール、N-ビニルピラジン、N-ビニルモルホリン、N-ビニルピラゾール、ビニルピリジン、ビニルピリミジン、ビニルオキサゾール、ビニルイソオキサゾール、ビニルチアゾール、ビニルイソチアゾール、ビニルピリダジン、(メタ)アクリロイルピロリドン、(メタ)アクリロイルピロリジン、(メタ)アクリロイルピペリジンなどが挙げられる。
【0056】
上記(メタ)アクリルアミド類としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N-アルキル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジアルキル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。上記N-アルキル(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-n-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-オクチル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。さらに、上記N-アルキル(メタ)アクリルアミドには、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドのようなアミノ基を有する(メタ)アクリルアミドも含まれる。上記N,N-ジアルキル(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジイソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジ(n-ブチル)(メタ)アクリルアミド、N,N-ジ(t-ブチル)(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。
【0057】
また、上記(メタ)アクリルアミド類には、例えば、各種のN-ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミドも含まれる。上記N-ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N-(1-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N-(3-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド、N-(3-ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド、N-(4-ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド、N-メチル-N-2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。
【0058】
また、上記(メタ)アクリルアミド類には、例えば、各種のN-アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミドも含まれる。上記N-アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。
【0059】
また、上記環状窒素含有モノマー、上記(メタ)アクリルアミド類以外の窒素原子含有モノマーとしては、例えば、アミノ基含有モノマー、シアノ基含有モノマー、イミド基含有モノマー、イソシアネート基含有モノマーなどが挙げられる。上記アミノ基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸t-ブチルアミノエチルなどが挙げられる。上記シアノ基含有モノマーとしては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられる。上記イミド基含有モノマーとしては、マレイミド系モノマー(例えば、N-シクロヘキシルマレイミド、N-イソプロピルマレイミド、N-ラウリルマレイミド、N-フェニルマレイミド等)、イタコンイミド系モノマー(例えば、N-メチルイタコンイミド、N-エチルイタコンイミド、N-ブチルイタコンイミド、N-オクチルイタコンイミド、N-2-エチルヘキシルイタコンイミド、N-ラウリルイタコンイミド、N-シクロヘキシルイタコンイミド等)、スクシンイミド系モノマー(例えば、N-(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミド、N-(メタ)アクリロイル-6-オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N-(メタ)アクリロイル-8-オキシオクタメチレンスクシンイミド等)など挙げられる。上記イソシアネート基含有モノマーとしては、例えば、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートなどが挙げられる。
【0060】
中でも、上記窒素原子含有モノマーとしては、環状窒素含有モノマーが好ましく、N-ビニル環状アミドがより好ましい。より具体的には、N-ビニル-2-ピロリドン(NVP)、N-ビニル-2-カプロラクタムが特に好ましい。
【0061】
上記アクリル系ポリマーを構成する上記極性基含有モノマーとしてヒドロキシ基含有モノマーおよび/または窒素原子含有モノマーを含むことが好ましい。このような極性基含有モノマーを用いることで、粘着剤の凝集力や極性を調整し、加熱後粘着力を向上させ得る。
【0062】
上記アクリル系ポリマーが、ポリマーを構成するモノマー成分として上記ヒドロキシ基含有モノマーを含有する場合、上記アクリル系ポリマーを構成する全モノマー成分(100質量%)中の、上記ヒドロキシ基含有モノマーの割合は、特に限定されないが、0.01質量%以上が好ましく、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上、特に好ましくは10質量%以上である。また、上記窒素原子含有モノマーの割合は、常温(25℃)でのタック感向上や低温における柔軟性向上の観点から、40質量%以下が好ましく、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下であり、10質量%以下または5質量%以下であってもよい。
【0063】
上記アクリル系ポリマーが、ポリマーを構成するモノマー成分として上記窒素原子含有モノマーを含有する場合、上記アクリル系ポリマーを構成する全モノマー成分(100質量%)中の、上記窒素原子含有モノマーの割合は、特に限定されないが、0.01質量%以上が好ましく、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上、特に好ましくは10質量%以上である。また、上記窒素原子含有モノマーの割合は、常温(25℃)でのタック感向上や低温における柔軟性向上の観点から、40質量%以下が好ましく、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下である。
【0064】
上記アクリル系ポリマーを構成する全モノマー成分(100質量%)中の、上記極性基含有モノマー(特に、上記窒素原子含有モノマーおよび上記ヒドロキシ基含有モノマーの合計)の割合の合計は、特に限定されないが、極性基含有モノマーの使用による効果をよりよく発揮する観点から、0.1質量%以上であることが好ましく、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上であり、10質量%以上、15質量%以上、20質量%以上、または25質量%以上であってもよい。また、上記割合の合計は、適度な柔軟性を有する粘着剤層を得る観点から、50質量%以下であることが好ましく、より好ましくは40質量%以下である。
【0065】
上記アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分としては、さらに、その他のモノマーを含んでいてもよい。上記その他のモノマーとしては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ラウリン酸ビニル等のビニルエステル系モノマー;スチレン、置換スチレン(α-メチルスチレン等)、ビニルトルエン等の芳香族ビニル化合物;エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン、イソブチレン等のオレフィン系モノマー;塩化ビニル、塩化ビニリデン等の塩素含有モノマー;メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシ基含有モノマー;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル系モノマーなどが挙げられる。
【0066】
上記アクリル系ポリマーを構成する全モノマー成分の総量100質量%中の、上記その他のモノマーの割合は、例えば、0.05質量%以上、0.5質量%以上であってもよい。上記割合は、例えば、20質量%以下、10質量%以下、5質量%以下であってもよく、実質的に含まなくてもよい。
【0067】
上記アクリル系ポリマーは、上述の各種モノマー成分を重合することにより得られる。この重合方法としては、特に限定されないが、例えば、溶液重合方法、乳化重合方法、塊状重合方法、活性エネルギー線照射による重合方法(活性エネルギー線重合方法)などが挙げられる。また、得られるアクリル系ポリマーは、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体などいずれであってもよい。
【0068】
モノマー成分の重合に際しては、各種の一般的な溶剤が用いられてもよい。上記溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸n-ブチル等のエステル類;トルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素類;n-ヘキサン、n-ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類などの有機溶剤が挙げられる。上記溶剤は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
【0069】
モノマー成分のラジカル重合に用いられる重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤などは特に限定されず適宜選択して使用することができる。なお、アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、重合開始剤、連鎖移動剤の使用量、反応条件により制御可能であり、これらの種類に応じて適宜のその使用量が調整される。
【0070】
モノマー成分の重合に用いられる重合開始剤としては、重合反応の種類に応じて、熱重合開始剤や光重合開始剤(光開始剤)などが使用可能である。上記重合開始剤は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
【0071】
上記熱重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、アゾ系重合開始剤、過酸化物系重合開始剤(例えば、ジベンゾイルペルオキシド、tert-ブチルペルマレエート、過硫酸カリウム等の過硫酸塩、ベンゾイルパーオキサイド、過酸化水素等)、フェニル置換エタン等の置換エタン系開始剤、芳香族カルボニル化合物、レドックス系重合開始剤等が挙げられる。中でも、特開2002-69411号公報に開示されたアゾ系重合開始剤が好ましい。上記アゾ系重合開始剤としては、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス-2-メチルブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオン酸)ジメチル、4,4’-アゾビス-4-シアノバレリアン酸などが挙げられる。熱重合開始剤の使用量は、通常の使用量であればよく、例えば、モノマー成分100質量部に対して例えば0.01~5質量部、好ましくは0.05~3質量部の範囲から選択することができる。
【0072】
上記光重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、ベンゾインエーテル系光重合開始剤、アセトフェノン系光重合開始剤、α-ケトール系光重合開始剤、芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤、光活性オキシム系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンジル系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、ケタール系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤などが挙げられる。他にも、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤、チタノセン系光重合開始剤が挙げられる。上記ベンゾインエーテル系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、アニソールメチルエーテルなどが挙げられる。上記アセトフェノン系光重合開始剤としては、例えば、2,2-ジエトキシアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、4-フェノキシジクロロアセトフェノン、4-(t-ブチル)ジクロロアセトフェノンなどが挙げられる。上記α-ケトール系光重合開始剤としては、例えば、2-メチル-2-ヒドロキシプロピオフェノン、1-[4-(2-ヒドロキシエチル)フェニル]-2-メチルプロパン-1-オンなどが挙げられる。上記芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤としては、例えば、2-ナフタレンスルホニルクロライドなどが挙げられる。上記光活性オキシム系光重合開始剤としては、例えば、1-フェニル-1,1-プロパンジオン-2-(O-エトキシカルボニル)-オキシムなどが挙げられる。上記ベンゾイン系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインなどが挙げられる。上記ベンジル系光重合開始剤としては、例えば、ベンジルなどが挙げられる。上記ベンゾフェノン系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3,3’-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、ポリビニルベンゾフェノン、α-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどが挙げられる。上記ケタール系光重合開始剤としては、例えば、ベンジルジメチルケタールなどが挙げられる。上記チオキサントン系光重合開始剤としては、例えば、チオキサントン、2-クロロチオキサントン、2-メチルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、ドデシルチオキサントンなどが挙げられる。上記アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤としては、例えば、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイドなどが挙げられる。上記チタノセン系光重合開始剤としては、例えば、ビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)-ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)-フェニル)チタニウムなどが挙げられる。光重合開始剤の使用量は、通常の使用量であればよく、例えば、モノマー成分100質量部に対して例えば0.01~5質量部、好ましくは0.05~3質量部の範囲から選択することができる。
【0073】
上記アクリル系ポリマーは、上述のようなモノマー成分に重合開始剤を配合したモノマー組成物に紫外線(UV)を照射してモノマー成分の一部を重合させた部分重合物(アクリル系ポリマーシロップ)の形態で、粘着剤層を形成するための粘着剤組成物に含まれていてもよい。上記アクリル系ポリマーシロップを含む粘着剤組成物を金属基材やはく離ライナー等の被塗布体に塗布し、紫外線を照射させて重合を完結させることができる。すなわち、上記アクリル系ポリマーシロップはアクリル系ポリマーの前駆体であり得る。上記粘着剤層は、例えば、上記アクリル系ポリマーシロップと重合体(B)とフェノール系酸化防止剤とを含む粘着剤組成物を用いて形成され得る。
【0074】
(重合体(B))
重合体(B)は、ポリオルガノシロキサン骨格を有するモノマー(B1)およびホモポリマーのガラス転移温度が40℃以上のモノマー(B2)をモノマー単位として含む。
【0075】
重合体(B)を構成するポリオルガノシロキサン骨格を有するモノマー(B1)としては、特に限定されず、任意のポリオルガノシロキサン骨格含有モノマーを用いることができる。モノマー(B1)はその構造に由来する極性の低さのために、被着体表面への重合体(B)の偏在を積極的に促進させ、貼り合わせ初期の軽剥離性を発現する。
【0076】
モノマー(B1)として使用可能なポリオルガノシロキサン骨格を有するモノマーとしては、例えば、下記式(2)で表される化合物、下記式(3)で表される化合物が挙げられる。より具体的には、商品名「X-22-174ASX」、商品名「X-22-2475」、商品名「X-22-174DX」、商品名「X-22-2426」、商品名「KF-2012」(以上、信越化学工業株式会社製)等の片末端反応性シリコーンオイルなどが挙げられる。モノマー(B1)は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
【0077】
【化2】
[式(2)、(3)中、R2は水素原子またはメチル基を示し、R3は一価の有機基を示し、mおよびnはそれぞれ独立して0以上の整数である]
【0078】
上記一価の有機基としては、直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基が挙げられる。上記炭化水素基は、飽和または不飽和の炭化水素基である。上記一価の有機基における炭素数は1~10が好ましく、より好ましくは1~4である。上記一価の有機基としては、中でも、メチル基、エチル基、プロピル基(n-プロピル基、イソプロピル基)、ブチル基(n-ブチル基、t-ブチル基など)が好ましい。
【0079】
モノマー(B1)の官能基当量は1000g/mol以上15000g/mol未満である。官能基当量が1000g/mol未満であると、軽剥離性が発現せず、貼り合わせ初期に粘着力が低下しない場合がある。また、官能基当量が15000g/mol以上であると、ポリマー(A)との相溶性が著しく悪化し、被着体との貼り合わせ初期に粘着力が低下しない場合や、経時での粘着力の上昇性に劣る場合がある。
【0080】
ここで、「官能基当量」とは、官能基1個当たりに結合している主骨格(例えばポリジメチルシロキサン)の質量を意味する。標記単位g/molに関しては、官能基1molと換算している。ポリオルガノシロキサン骨格を有するモノマーの官能基当量は、例えば、核磁気共鳴(NMR)分析により得られる1H-NMR(プロトンNMR)のスペクトル強度から算出される。
【0081】
1H-NMRで、シロキサン構造のケイ素にCを介して結合するH(例えばSi-(CH32のH)のスペクトル強度と、官能基のC-CH3のH、SHのH、またはC=CH2のHのスペクトル強度との比を求める。シロキサン構造のSi-(CH32のHのスペクトル強度と、官能基のC=CH2のHのスペクトル強度と比を求めた場合を例として説明すると、スペクトル強度比から、測定試料に含まれるシロキサン構造のSi-(CH32の個数と、官能基のC=CH2の個数との比が分かる。シロキサン構造の化学式と官能基の化学式は予め分かっているため、シロキサン構造のSi-(CH32の個数と、官能基のC=CH2の個数との比から、測定試料に含まれる、Si-(CH32結合を有するシロキサン構造の個数Aと、官能基の個数Bとの比(A/B)が分かる。Si-(CH32結合を有するシロキサン構造(ここではジメチルシロキサン)の1個当たりの分子量は分かっているため、その1個当たりの分子量に、上記シロキサン構造の個数Aと官能基の個数との比(A/B)を乗じた値が、官能基1個当たりの、Si-(CH32結合を有するシロキサン構造の質量、すなわち、主骨格の質量となり、その質量にアボガドロ数を乗じた値が官能基当量(g/mol)となる。
【0082】
なお、官能基当量が異なる二種以上のポリオルガノシロキサン骨格を有するモノマーを用いる場合、モノマー(B1)の官能基当量は、上記二種以上のポリオルガノシロキサン骨格を有するモノマーの官能基当量について算術平均した値を用いる。例えば、n種のポリオルガノシロキサン骨格を有するモノマー(モノマー1、モノマー2、・・・モノマーn)を用いる場合、下記式により算出された値をモノマー(B1)の官能基当量とする。
モノマー(B1)の官能基当量(g/mol)=(モノマー1の官能基当量× モノマー1の配合量+モノマー2の官能基当量×モノマー2の配合量+・・・+モノマーnの官能基当量×モノマーnの配合量)/(モノマー1の配合量+モノマー2の配合量+・・・+モノマーnの配合量)
【0083】
重合体(B)を構成する全モノマー成分におけるモノマー(B1)の割合は、適度な初期粘着力を発揮し、且つ粘着力上昇遅延剤としての効果をよりよく発揮する観点から、上記全モノマー成分の総量(100質量%)に対して、5質量%以上が好ましく、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上、特に好ましくは20質量%以上である。上記モノマー(B1)の割合は、重合反応性や相溶性に優れ、経時での粘着力の上昇性により優れる観点から、上記全モノマー成分の総量(100質量%)に対して、60質量%以下が好ましく、より好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下、特に好ましくは30質量%以下である。
【0084】
重合体(B)を構成するモノマー(B2)は、ホモポリマーのガラス転移温度が40℃以上であり、好ましくは80℃以上、より好ましくは100℃以上である。モノマー(B2)は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
【0085】
モノマー(B2)としては、アクリル系モノマーや極性基含有モノマーが挙げられる。すなわち、モノマー(B2)は、上述のアクリル系モノマーおよび極性基含有モノマーのうち、ホモポリマーのガラス転移温度が40℃以上であるモノマーが挙げられる。
【0086】
アクリル系モノマーであるモノマー(B2)としては、炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルがより好ましい。
【0087】
アクリル系モノマーであるモノマー(B2)としては、例えば、ジシクロペンタニルメタクリレート(Tg:175℃)、ジシクロペンタニルアクリレート(Tg:120℃)、イソボルニルメタクリレート(Tg:173℃)、イソボルニルアクリレート(Tg:97℃)、メチルメタクリレート(Tg:105℃)、1-アダマンチルメタクリレート(Tg:250℃)、1-アダマンチルアクリレート(Tg:153℃)などが挙げられる。
【0088】
極性基含有モノマーであるモノマー(B2)としては、アクリロイルモルホリン(Tg:145℃)、ジメチルアクリルアミド(Tg:119℃)、ジエチルアクリルアミド(Tg:81℃)、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド(Tg:134℃)、イソプロピルアクリルアミド(Tg:134℃)、ヒドロキシエチルアクリルアミド(Tg:98℃)等のアミド基含有モノマー;N-ビニル-2-カプロラクタム等のN-ビニルカプロラクタム等のラクタム系モノマー等の窒素原子含有モノマーなどが挙げられる。
【0089】
モノマー(B2)が極性基含有モノマーである場合、重合体(B)は、モノマー(B1)およびモノマー(B2)以外に、重合体(B)を構成するモノマー成分として、アクリル系モノマーを含むことが好ましい。
【0090】
重合体(B)を構成する全モノマー成分におけるモノマー(B2)の割合は、適度な初期粘着力を発揮し、且つ粘着力上昇遅延剤としての効果をよりよく発揮する観点から、上記全モノマー成分の総量(100質量%)に対して、10質量%以上が好ましく、より好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上である。上記割合が10質量%以上であると、初期粘着力が低下しやすい。上記モノマー(B2)の割合は、重合反応性や相溶性に優れ、経時での粘着力の上昇性により優れる観点から、上記全モノマー成分の総量(100質量%)に対して、80質量%以下が好ましく、より好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下である。
【0091】
重合体(B)を構成するモノマー成分としては、モノマー(B1)およびモノマー(B2)以外に、その他のモノマーを含んでいてもよい。上記その他のモノマーとしては、上述のアクリル系ポリマーを構成するモノマーとして例示および説明されたもののうち、モノマー(B1)およびモノマー(B2)に該当しないものが挙げられる。上記その他のモノマーは、ホモポリマーのガラス転移温度が40℃未満のモノマー(「モノマー(B3)」と称する場合がある)を含むことが好ましい。モノマー(B3)は、ホモポリマーのガラス転移温度が40℃未満であり、好ましくは35℃以下、より好ましくは30℃以下である。モノマー(B3)は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
【0092】
モノマー(B3)としてはアクリル系モノマーが挙げられる。すなわち、モノマー(B3)は、上述のアクリル系モノマーのうち、ホモポリマーのガラス転移温度が40℃未満であるモノマーが挙げられる。アクリル系モノマーであるモノマー(B3)としては、例えば、ブチルメタクリレート(Tg:20℃)、2-エチルヘキシルメタクリレート(Tg:-10℃)等のメタクリル酸アルキルエステルなどが挙げられる。
【0093】
重合体(B)を構成する全モノマー成分におけるモノマー(B3)の割合は、上記全モノマー成分の総量(100質量%)に対して、10質量%以上が好ましく、より好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上である。上記割合は、上記全モノマー成分の総量(100質量%)に対して、85質量%以下が好ましく、より好ましくは70質量%以下、さらに好ましくは55質量%以下、特に好ましくは50質量%以下である。
【0094】
重合体(B)を構成する全モノマー成分におけるモノマー(B1)およびモノマー(B2)の合計の割合は、上記全モノマー成分の総量(100質量%)に対して、15質量%以上が好ましく、より好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは45質量%以上、特に好ましくは50質量%以上である。上記合計の割合は、上記全モノマー成分の総量(100質量%)に対して、90質量%以下が好ましく、より好ましくは80質量%以下、さらに好ましくは70質量%以下である。
【0095】
重合体(B)の重量平均分子量は、10000以上100000未満であり、好ましくは12000以上50000未満、より好ましくは15000以上30000未満である。重合体(B)の重量平均分子量が100000以上であると、貼り合わせ初期の接着力が低下しなくなる。また、重量平均分子量が10000未満であると、低分子量となるため粘着シートの粘着力が経時で上昇しない場合がある。
【0096】
重合体(B)は、例えば、上述の各種モノマー成分を重合することにより得られる。この重合方法としては、特に限定されないが、溶液重合方法、乳化重合方法、塊状重合方法、活性エネルギー線照射による重合方法(活性エネルギー線重合方法)などが挙げられる。
【0097】
上記重合において、重合体(B)の分子量を調整するために連鎖移動剤を使用してもよい。上記連鎖移動剤としては、オクチルメルカプタン、ラウリルメルカプタン、t-ノニルメルカプタン、t-ドデシルメルカプタン、メルカプトエタノール、α-チオグリセロール等のメルカプト基を有する化合物;チオグリコール酸、チオグリコール酸メチル、チオグリコール酸エチル、チオグリコール酸プロピル、チオグリコール酸ブチル、チオグリコール酸t-ブチル、チオグリコール酸2-エチルヘキシル、チオグリコール酸オクチル、チオグリコール酸イソオクチル、チオグリコール酸デシル、チオグリコール酸ドデシル、エチレングリコールのチオグリコール酸エステル、ネオペンチルグリコールのチオグリコール酸エステル、ペンタエリスリトールのチオグリコール酸エステル等のチオグリコール酸エステル類;α-メチルスチレンダイマーなどが挙げられる。上記連鎖移動剤は、一種のみを使用してもよいし、二種以上使用してもよい。
【0098】
上記連鎖移動剤の使用量は、モノマー成分100質量部に対して、例えば0.05~20質量部であり、好ましくは0.1~15質量部、より好ましくは0.2~10質量部である。
【0099】
上記粘着剤層中の重合体(B)の含有量は、ポリマー(A)の総量100質量部に対して、0.1~20質量部であり、好ましくは0.3~25質量部、より好ましくは0.4~20質量部、さらに好ましくは0.5~15質量部、さらに好ましくは1~10質量部、特に好ましくは2~7質量部である。上記含有量が0.1質量部以上であることにより、リワーク性に優れる。上記含有量が20質量部以下であることにより、加熱後に高い粘着力とすることができる。
【0100】
上記粘着剤層は、本発明の効果を損なわない範囲で、ポリマー(A)および重合体(B)以外のその他のポリマーを含んでいてもよい。上記その他のポリマーの含有割合は、上記粘着剤層に含まれるポリマー成分の総量100質量%に対して、20質量%以下が好ましく、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下であり、5質量%以下、3質量%以下、または1質量%以下でもよい。上記粘着剤層は上記その他のポリマーを実質的に含有しない粘着剤層であることが好ましい。
【0101】
(フェノール系酸化防止剤)
上記粘着剤層は、ポリマー(A)および重合体(B)に加えてフェノール系酸化防止剤を含む。上記フェノール系酸化防止剤は、上記粘着剤層中においてアウトガスとなり得る成分を捕捉する機能を有すると推測され、特定量以上含むことにより粘着剤層のトータルアウトガス量が減少する。上記フェノール系酸化防止剤は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
【0102】
上記フェノール系酸化防止剤中のフェノール骨格の数は、特に限定されないが、1以上(例えば1~10)であり、好ましくは2以上、より好ましくは3以上、さらに好ましくは4以上である。上記フェノール骨格の数が多いとトータルアウトガス量がより減少する。
【0103】
上記フェノール系酸化防止剤の具体例としては、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール、2,6-ジ-t-ブチル-4-エチルフェノール、2,6-ジシクロヘキシル-4-メチルフェノール、2,6-ジイソプロピル-4-エチルフェノール、2,6-ジ-t-アミル-4-メチルフェノール、2,6-ジ-t-オクチル-4-n-プロピルフェノール、2,6-ジシクロヘキシル-4-n-オクチルフェノール、2-イソプロピル-4-メチル-6-t-ブチルフェノール、2-t-ブチル-4-エチル-6-t-オクチルフェノール、2-イソブチル-4-エチル-6-t-ヘキシルフェノール、2-シクロヘキシル-4-n-ブチル-6-イソプロピルフェノール、スチレン化混合クレゾール、DL-α-トコフェロール、ステアリルβ-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,6-ジ-t-ブチル-4-(4,6-ビス(オクチルチオ)-1,3,5-トリアジン-2-イルアミノ)フェノール等のフェノール骨格を1つ有する化合物(単環フェノール化合物);2,2'-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4'-ブチリデンビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4'-チオビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2'-チオビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4'-メチレンビス(2,6-ジ-t-ブチルフェノール)、2,2'-メチレンビス[6-(1-メチルシクロヘキシル)-p-クレゾール]、2,2'-エチリデンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェノール)、2,2'-ブチリデンビス(2-t-ブチル-4-メチルフェノール)、3,6-ジオキサオクタメチレンビス[3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート]、トリエチレングリコールビス[3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6-ヘキサンジオールビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2'-チオジエチレンビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]等のフェノール骨格を2つ有する化合物(2環フェノール化合物);1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン、1,3,5-トリス(2,6-ジメチル-3-ヒドロキシ-4-t-ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5-トリス[(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル]イソシアヌレート、トリス(4-t-ブチル-2,6-ジメチル-3-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン等のフェノール骨格を3つ有する化合物(3環フェノール化合物);テトラキス[メチレン-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等のフェノール骨格を4つ有する化合物(4環フェノール化合物);ビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)カルシウム、ビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)ニッケル等のリン含有フェノール化合物などが挙げられる。
【0104】
上記粘着剤層中の上記フェノール系酸化防止剤の含有量は、ポリマー(A)の総量100質量部に対して、0.4質量部以上であり、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは0.7質量部以上である。上記含有量が0.4質量部以上であることにより、粘着シートのトータルアウトガス量が低減する。上記含有量は、5質量部未満が好ましく、より好ましくは4質量部以下、さらに好ましくは3質量部以下である。上記含有量が5質量部未満であると、粘着剤層表面への偏析が起こりにくく、粘着剤層表面の固形化や、その影響による加熱後の粘着力の低下を起こりにくくすることができる。また、粘着剤層を形成する粘着剤組成物中の分散性に優れる。
【0105】
ポリマー(A)および重合体(B)は架橋剤により架橋していてもよい。架橋剤を用いることにより、粘着剤層におけるポリマー成分中に架橋構造を形成し、凝集力をコントロールすることができる。上記架橋剤は、ポリマー(A)や重合体(B)等のポリマー成分が側鎖に有する官能基に応じて適宜選択される。上記架橋剤は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
【0106】
上記架橋剤としては、特に限定されないが、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、メラミン系架橋剤、過酸化物系架橋剤、尿素系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、金属キレート系架橋剤、金属塩系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、アミン系架橋剤、ヒドラジン系架橋剤、シリコーン系架橋剤、シラン系架橋剤(シランカップリング剤)などが挙げられる。上記架橋剤としては、中でも、イソシアネート系架橋剤を含むことが好ましい。
【0107】
上記架橋剤の含有量は、特に限定されないが、ポリマー(A)の総量100質量部に対して、0.01質量部以上が好ましく、より好ましくは0.05質量部以上、さらに好ましくは0.1質量部以上、さらに好ましくは0.5質量部以上、特に好ましくは1質量部以上である。上記含有量が0.01質量部以上であると、リワーク性により優れる。また、上記架橋剤の含有量は、15質量部以下が好ましく、より好ましくは10質量部以下、さらに好ましくは5質量部以下である。
【0108】
上記イソシアネート系架橋剤は、1分子あたり平均2個以上のイソシアネート基を有する化合物(多官能イソシアネート化合物)である。上記イソシアネート系架橋剤としては、脂肪族ポリイソシアネート類、脂環族ポリイソシアネート類、芳香族ポリイソシアネート類等が挙げられる。
【0109】
上記脂肪族ポリイソシアネート類としては、例えば、1,2-エチレンジイソシアネート;1,2-テトラメチレンジイソシアネート、1,3-テトラメチレンジイソシアネート、1,4-テトラメチレンジイソシアネート等のテトラメチレンジイソシアネート;1,2-ヘキサメチレンジイソシアネート、1,3-ヘキサメチレンジイソシアネート、1,4-ヘキサメチレンジイソシアネート、1,5-ヘキサメチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、2,5-ヘキサメチレンジイソシアネート等のヘキサメチレンジイソシアネート;2-メチル-1,5-ペンタンジイソシアネート、3-メチル-1,5-ペンタンジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどが挙げられる。
【0110】
上記脂環族ポリイソシアネート類としては、例えば、イソホロンジイソシアネート;1,2-シクロヘキシルジイソシアネート、1,3-シクロヘキシルジイソシアネート、1,4-シクロヘキシルジイソシアネート等のシクロヘキシルジイソシアネート;1,2-シクロペンチルジイソシアネート、1,3-シクロペンチルジイソシアネート等のシクロペンチルジイソシアネート;水素添加キシリレンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加テトラメチルキシレンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートなどが挙げられる。
【0111】
上記芳香族ポリイソシアネート類としては、例えば、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルエーテルジイソシアネート、2-ニトロジフェニル-4,4’-ジイソシアネート、2,2’-ジフェニルプロパン-4,4’-ジイソシアネート、3,3’-ジメチルジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、4,4’-ジフェニルプロパンジイソシアネート、m-フェニレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、ナフチレン-1,4-ジイソシアネート、ナフチレン-1,5-ジイソシアネート、3,3’-ジメトキシジフェニル-4,4’-ジイソシアネート、キシリレン-1,4-ジイソシアネート、キシリレン-1,3-ジイソシアネートなどが挙げられる。
【0112】
また、上記イソシアネート系架橋剤としては、例えば、トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート付加物(商品名「コロネートL」、東ソー株式会社製)、トリメチロールプロパン/ヘキサメチレンジイソシアネート付加物(商品名「コロネートHL」、東ソー株式会社製)、トリメチロールプロパン/キシリレンジイソシアネート付加物(商品名「タケネートD-110N」、三井化学株式会社製)などの市販品も挙げられる。
【0113】
上記エポキシ系架橋剤(多官能エポキシ化合物)としては、例えば、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-m-キシレンジアミン、ジグリシジルアニリン、1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビタンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、o-フタル酸ジグリシジルエステル、トリグリシジル-トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、レゾルシンジグリシジルエーテル、ビスフェノール-S-ジグリシジルエーテルの他、分子内にエポキシ基を2つ以上有するエポキシ系樹脂などが挙げられる。また、上記エポキシ系架橋剤としては、例えば、商品名「テトラッドC」(三菱ガス化学株式会社製)などの市販品も挙げられる。
【0114】
上記過酸化物系架橋剤としては、熱によりラジカル活性種を発生してベースポリマーの架橋を進行させるものであれば適宜使用可能であるが、作業性や安定性を勘案して、1分間半減期温度が80~160℃である過酸化物を使用することが好ましく、90~140℃である過酸化物を使用することがより好ましい。
【0115】
上記過酸化物系架橋剤としては、例えば、ジ(2-エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート(1分間半減期温度:90.6℃)、ジ(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(1分間半減期温度:92.1℃)、ジ-sec-ブチルパーオキシジカーボネート(1分間半減期温度:92.4℃)、t-ブチルパーオキシネオデカノエート(1分間半減期温度:103.5℃)、t-ヘキシルパーオキシピバレート(1分間半減期温度:109.1℃)、t-ブチルパーオキシピバレート(1分間半減期温度:110.3℃)、ジラウロイルパーオキシド(1分間半減期温度:116.4℃)、ジ-n-オクタノイルパーオキシド(1分間半減期温度:117.4℃)、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(1分間半減期温度:124.3℃)、ジ(4-メチルベンゾイル)パーオキシド(1分間半減期温度:128.2℃)、ジベンゾイルパーオキシド(1分間半減期温度:130.0℃)、t-ブチルパーオキシイソブチレート(1分間半減期温度:136.1℃)、1,1-ジ(t-ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン(1分間半減期温度:149.2℃)などが挙げられる。
【0116】
上記過酸化物系架橋剤の半減期とは、過酸化物の分解速度を表す指標であり、過酸化物の残存量が半分になるまでの時間をいう。任意の時間で半減期を得るための分解温度や、任意の温度での半減期時間に関しては、メーカーカタログなどに記載されており、例えば、日油株式会社の「有機過酸化物カタログ第9版(2003年5月)」などに記載されている。なお、反応処理後の残存した過酸化物分解量の測定方法としては、例えば、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)により測定することができる。より具体的には、例えば、反応処理後の粘着剤を約0.2gずつ取り出し、酢酸エチル10mlに浸漬し、振とう機で25℃下、120rpmで3時間振とう抽出した後、室温で3日間静置する。次いで、アセトニトリル10ml加えて、25℃下、120rpmで30分振とうし、メンブランフィルター(0.45μm)によりろ過して得られた抽出液約10μlをHPLCに注入して分析し、反応処理後の過酸化物量とすることができる。
【0117】
また、上記架橋剤として、有機系架橋剤や多官能性金属キレートを併用してもよい。多官能性金属キレートは、多価金属が有機化合物と共有結合または配位結合しているものである。多価金属原子としては、Al、Cr、Zr、Co、Cu、Fe、Ni、V、Zn、In、Ca、Mg、Mn、Y、Ce、Sr、Ba、Mo、La、Sn、Tiなどが挙げられる。共有結合または配位結合する有機化合物中の原子としては酸素原子などが挙げられ、有機化合物としてはアルキルエステル、アルコール化合物、カルボン酸化合物、エーテル化合物、ケトン化合物などが挙げられる。
【0118】
上記粘着剤層は、本発明の効果を損なわない範囲で、上述の各成分以外のその他の成分を含んでいてもよい。上記その他の成分としては、硬化剤、架橋触媒、粘着付与樹脂、老化防止剤、充填剤(金属粉、有機充填剤、無機充填剤等)、フェノール系酸化防止剤以外の酸化防止剤、可塑剤、軟化剤、界面活性剤、帯電防止剤、表面潤滑剤、レベリング剤、光安定剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、粒状物、箔状物、着色剤(顔料、染料等)などが挙げられる。上記その他の成分は、それぞれ、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。なお、上記粘着剤層中の酸化防止剤の総量100質量%に対するフェノール系酸化防止剤の割合は60質量%以上が好ましく、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、99質量%以上であってもよい。
【0119】
上記粘着剤層は、架橋触媒を含有していてもよい。架橋触媒を含むと、架橋剤等による架橋反応を促進することができる。上記架橋触媒としては、スズ系触媒(特にジラウリン酸ジオクチルスズ)が好ましい。上記架橋触媒は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。上記架橋触媒の含有量は、ポリマー(A)100質量部に対して、例えば0.0001~1質量部である。
【0120】
上記粘着剤層は、粘着付与樹脂を含有していてもよい。粘着付与樹脂を含むと、上記粘着剤層は薄くてもより良好な密着性を有する傾向がある。上記粘着付与樹脂としては、例えば、フェノール系粘着付与樹脂、テルペン系粘着付与樹脂、ロジン系粘着付与樹脂、炭化水素系粘着付与樹脂、エポキシ系粘着付与樹脂、ポリアミド系粘着付与樹脂、エラストマー系粘着付与樹脂、ケトン系粘着付与樹脂などが挙げられる。また、上記粘着付与樹脂としては、他に、ジシクロペンタニルメタクリレート(DCPMA)とメチルメタクリレート(MMA)との低重合物等の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの低重合物などが挙げられる。上記粘着付与樹脂は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
【0121】
上記フェノール系粘着付与樹脂としては、テルペンフェノール樹脂、水素添加テルペンフェノール樹脂、アルキルフェノール樹脂、ロジンフェノール樹脂が挙げられる。上記テルペンフェノール樹脂は、テルペン残基およびフェノール残基を含むポリマーであり、テルペン類とフェノール化合物との共重合体(テルペン-フェノール共重合体樹脂)、テルペン類の単独重合体または共重合体をフェノール変性したもの(フェノール変性テルペン樹脂)が挙げられる。上記テルペンフェノール樹脂を構成するテルペン類としては、α-ピネン、β-ピネン、リモネン(d体、l体、d/l体(ジペンテン)等)等のモノテルペン類が挙げられる。上記水素添加テルペンフェノール樹脂は、上記テルペンフェノール樹脂を水素化した構造を有する樹脂である。上記アルキルフェノール樹脂は、アルキルフェノールとホルムアルデヒドから得られる樹脂(油性フェノール樹脂)である。上記アルキルフェノール樹脂としては、例えば、ノボラックタイプおよびレゾールタイプのものが挙げられる。上記ロジンフェノール樹脂は、ロジン類または後述の各種ロジン誘導体のフェノール変性物である。上記ロジンフェノール樹脂としては、例えば、ロジン類または後述の各種ロジン誘導体にフェノールを酸触媒で付加させ熱重合する方法等により得られる。
【0122】
上記テルペン系粘着付与樹脂としては、α-ピネン、β-ピネン、d-リモネン、l-リモネン、ジペンテン等のテルペン類(典型的にはモノテルペン類)の重合体が挙げられる。上記テルペン類の重合体は、一種のテルペン類の単独重合体であってもよく、二種以上のテルペン類の共重合体であってもよい。一種のテルペン類の単独重合体としては、α-ピネン重合体、β-ピネン重合体、ジペンテン重合体などが挙げられる。上記変性テルペン系粘着付与樹脂は、上記テルペン樹脂を変性したもの(変性テルペン樹脂)である。上記変性テルペン樹脂としては、スチレン変性テルペン樹脂、水素添加テルペン樹脂などが挙げられる。
【0123】
上記ロジン系粘着付与樹脂としては、ロジン類およびロジン誘導体樹脂が挙げられる。上記ロジン類としては、例えば、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン等の未変性ロジン(生ロジン);これらの未変性ロジンを水素添加、不均化、重合等により変性した変性ロジン(水素添加ロジン、不均化ロジン、重合ロジン、その他の化学的に修飾されたロジン等)などが挙げられる。上記ロジン誘導体樹脂としては、上記ロジン類の誘導体が挙げられる。上記ロジン誘導体樹脂としては、例えば、未変性ロジンとアルコール類とのエステルである未変性ロジンエステルや、変性ロジンとアルコール類とのエステルである変性ロジンエステル等のロジンエステル類;ロジン類を不飽和脂肪酸で変性した不飽和脂肪酸変性ロジン類;ロジンエステル類を不飽和脂肪酸で変性した不飽和脂肪酸変性ロジンエステル類;ロジン類または上記の各種ロジン誘導体のカルボキシ基を還元処理したロジンアルコール類;ロジン類または上記の各種ロジン誘導体の金属塩などが挙げられる。上記ロジンエステル類の具体例としては、未変性ロジンまたは変性ロジンのメチルエステル、トリエチレングリコールエステル、グリセリンエステル、ペンタエリスリトールエステルなどが挙げられる。
【0124】
上記炭化水素系粘着付与樹脂としては、脂肪族系炭化水素樹脂、芳香族系炭化水素樹脂、脂肪族系環状炭化水素樹脂、脂肪族・芳香族系石油樹脂(スチレン-オレフィン系共重合体等)、脂肪族・脂環族系石油樹脂、水素添加炭化水素樹脂、クマロン系樹脂、クマロンインデン系樹脂などが挙げられる。
【0125】
上記粘着剤層は、いずれの形態であってもよく、例えば、エマルジョン型、溶剤型(溶液型)、活性エネルギー線硬化型、熱溶融型(ホットメルト型)などであってもよい。中でも、生産性に優れる粘着剤層が得やすい点より、溶剤型、活性エネルギー線硬化型の粘着剤組成物が好ましい。
【0126】
上記粘着剤層の厚さ(片面の粘着剤層の総厚さ)は、特に限定されないが、例えば1μm以上であり、3μm以上であることが好ましく、より好ましくは5μm以上、さらに好ましくは8μm以上である。上記厚さは、例えば30μm以下であり、好ましくは15μm以下である。上記厚さが30μm以下であると、粘着シートのトータルアウトガス量が低減することができる。なお、上記粘着シートが両面粘着シートである場合、両面の粘着剤層の厚さは、同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0127】
上記粘着剤層は、いずれの形態であってもよく、例えば、エマルジョン型、溶剤型(溶液型)、活性エネルギー線硬化型、熱溶融型(ホットメルト型)などであってもよい。中でも、生産性に優れる粘着剤層が得やすい点より、溶剤型、活性エネルギー線硬化型の粘着剤組成物が好ましい。
【0128】
上記活性エネルギー線としては、例えば、α線、β線、γ線、中性子線、電子線などの電離性放射線や、紫外線などが挙げられ、特に、紫外線が好ましい。すなわち、上記活性エネルギー線硬化型粘着剤層は紫外線硬化型粘着剤層が好ましい。
【0129】
上記粘着剤層は、例えば、粘着剤層を形成するための粘着剤組成物を金属基材やはく離ライナー等の被塗布体に塗布(塗工)し、得られた粘着剤組成物層を乾燥硬化させることや、上記粘着剤組成物を被塗布体に塗布(塗工)し、得られた粘着剤組成物層に活性エネルギー線を照射して硬化させて製造することができる。また、必要に応じて、さらに、加熱乾燥してもよい。上記粘着剤組成物は、ポリマー(A)、重合体(B)、およびフェノール系酸化防止剤を含むことが好ましい。
【0130】
(粘着シート)
上記粘着シートの厚さは、10~350μmであることが好ましく、より好ましくは13~100μmである。さらに好ましくは15~60μm以上である。上記厚さが10μm以上であると、取り扱い性に優れる。上記厚さが350μm以下であると、粘着シートの厚さをより薄くすることができる。なお、上記粘着シートの厚さは、一方の粘着面から他方の粘着面までの厚さ、すなわち粘着体の厚さをいい、はく離ライナーを含まない。
【0131】
上記粘着シートのトータルアウトガス量は、15500ppm以下であることが好ましく、より好ましくは13000ppm以下、さらに好ましくは10000ppm以下、特に好ましくは3000ppm以下である。上記トータルアウトガス量が少ないほど環境保全の観点から好ましい。上記トータルアウトガス量は、5cm2サイズの粘着シートをヘッドスペースサンプラーにて200℃で60分間加熱し、加熱後の気相部分1mLをガスクロマトグラフィーに注入して測定することができる。より詳細には、実施例に記載の条件にて測定することができる。
【0132】
上記粘着シートの金属基材表面における表面抵抗値は、10-1Ω/cm2以下が好ましく、より好ましくは10-2Ω/cm2以下、さらに好ましくは10-3Ω/cm2以下、特に好ましくは10-4Ω/cm2以下である。上記表面抵抗値は、温度23℃、50%RHの雰囲気下、JIS K6911に基づいて、URSプローブを使用し印加電圧10V、印加時間10秒の条件で測定することができる。
【0133】
上記粘着シートをSUS304BA板に貼り合わせて23℃の環境下で30分間放置した後の180°引き剥がし粘着力(初期粘着力)は、4N/25mm以下であることが好ましく、より好ましくは2N/25mm以下、さらに好ましくは0.5N/25mm以下、特に好ましくは0.3N/25mm以下である。上記初期粘着力が4N/25mm以下であると、リワーク性に優れる。上記初期粘着力は、被着体への貼り合わせ時において剥がれ落ちにくい観点から、0.05N/25mm以上であることが好ましい。
【0134】
上記粘着シートをSUS304BA板に貼り合わせて80℃の環境下で5分間放置した後の180°引き剥がし粘着力(加熱後粘着力)は、10N/25mm以上であることが好ましく、より好ましくは15N/25mm以上、さらに好ましくは18N/25mm以上、特に好ましくは20N/25mm以上である。
【0135】
上記粘着シートは、使用時まで、粘着剤層の表面(粘着面)にはく離ライナーが貼り合わせられていてもよい。上記粘着シートが両面粘着シートである場合、上記粘着シートにおける両面の各粘着面は、2枚のはく離ライナーによりそれぞれ保護されていてもよいし、両面が剥離面となっているはく離ライナー1枚により、ロール状に巻回される形態(巻回体)で保護されていてもよい。はく離ライナーは粘着剤層の保護材として用いられ、被着体に貼付する際に剥がされる。なお、はく離ライナーは必ずしも設けられなくてもよい。
【0136】
上記はく離ライナーとしては、慣用の剥離紙などを使用でき、特に限定されないが、例えば、剥離処理層を有する基材、フッ素ポリマーからなる低接着性基材や無極性ポリマーからなる低接着性基材などが挙げられる。上記剥離処理層を有する基材としては、例えば、シリコーン系、長鎖アルキル系、フッ素系、硫化モリブデン等の剥離処理剤により表面処理されたプラスチックフィルムや紙などが挙げられる。上記フッ素ポリマーからなる低接着性基材におけるフッ素系ポリマーとしては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロフルオロエチレン-フッ化ビニリデン共重合体などが挙げられる。また、上記無極性ポリマーとしては、例えば、オレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等)などが挙げられる。なお、はく離ライナーは公知乃至慣用の方法により形成することができる。また、はく離ライナーの厚さも特に限定されない。
【0137】
上記粘着シートは、被着体を貼り合わせる公知乃至慣用の用途に用いることができる。中でも、上記粘着シートは、粘着剤層が絶縁層に貼り合わせられる絶縁層貼付用途であることが好ましい。また、上記粘着シートは、トータルのアウトガス量が少なく導電性に優れる観点から、電池部材貼付用途が好ましく、全固体電池部材貼付用途であることがより好ましい。電池部材貼付用途の具体例としては、例えば、電池における回路部品の固定用や、上記金属基材が電極として作用する電極用途が挙げられる。
【0138】
上記回路部品固定用途および上記電極用途の一実施形態としては、例えば、上記粘着剤層をポリイミドフィルム等の絶縁基板に粘着剤層を貼り合わせて使用する態様が挙げられ、上記金属基材が電極として作用する。上記電極は、正極であってもよいし、負極であってもよい。また、上記金属基材には活物質を付着させてもよい。例えば図2に示すように、粘着シート1を絶縁基板4に貼り合わせ(図2(a))、粘着剤層3と金属基材2とを切断するように切り込みLを連続して形成し、厚さ方向に投影したときに互いに同一形状の粘着パターンおよび金属パターンからなるパターン21を形成し(図2(b))、そして、パターン21以外の粘着剤層および金属基材の積層体22を絶縁基板4から剥離してもよい(図2(c))。また、上記粘着剤層は加熱により粘着力が向上するため、その後、上記粘着パターンを加熱して、上記粘着パターンの上記絶縁基板に対する粘着力を向上させることができる。
【実施例0139】
以下に実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0140】
実施例1
(ポリマーA1の調製)
撹拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、および冷却器を備えた4つ口フラスコに、2-エチルヘキシルアクリレート(2EHA)60質量部、N-ビニル-2-ピロリドン(NVP)15質量部、メチルメタクリレート(MMA)10質量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)15質量部、および重合溶媒として酢酸エチル200質量部を仕込み、60℃にて窒素雰囲気下で2時間撹拌した後、熱重合開始剤として2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.2質量部を投入し、60℃で6時間反応を行って、ポリマーA1の溶液を得た。このポリマーA1のMwは110万、Foxの式に基づくTgは-36℃であった。
【0141】
(重合体B1の調製)
トルエン100質量部、メチルメタクリレート(MMA)40質量部、ブチルメタクリレート(BMA)20質量部、2-エチルヘキシルメタクリレート(2-EHMA)20質量部、官能基当量が900g/molのポリオルガノシロキサン骨格含有メタクリレートモノマー(商品名「X-22-174ASX」、信越化学工業株式会社製)8.7質量部、官能基当量が4600g/molのポリオルガノシロキサン骨格含有メタクリレートモノマー(商品名「KF-2012」、信越化学工業株式会社製)11.3質量部、および連鎖移動剤としてチオグリコール酸メチル0.51質量部を、撹拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器、および滴下ロートを備えた4つ口フラスコに投入した。そして、70℃にて窒素雰囲気下で1時間撹拌した後、熱重合開始剤としてAIBN0.2質量部を投入し、70℃で2時間反応させた後に、熱重合開始剤としてAIBN0.1質量部を投入し、続いて80℃で5時間反応させ、重合体B1の溶液を得た。得られた重合体B1のMwは20000であった。また、ポリオルガノシロキサン骨格メタクリレートモノマーの官能基当量(算術平均)は2990g/molである。
【0142】
なお、ポリマーA1および重合体B1のMwはGPC装置「HLC-8220GPC」(東ソー株式会社製)を用いて測定し算出した。GPC条件は下記の通りである。
<GPC条件>
サンプル濃度:0.2wt%(テトラヒドロフラン(THF)溶液)
サンプル注入量:10μl
溶離液:THF
流速:0.6ml/min
測定温度:40℃
カラム:サンプルカラム;TSKguardcolumn SuperHZ-H(1本)+TSKgel SuperHZM-H(2本)
リファレンスカラム;TSKgel SuperH-RC(1本)
検出器:示差屈折計(RI)
【0143】
(粘着シートの作製)
上記ポリマーA1の溶液に、ポリマーA1を100質量部あたり、重合体B1を2.5質量部、イソシアネート系架橋剤(商品名「タケネートD-110N」、トリメチロールプロパンキシリレンジイソシアネート、三井化学株式会社製)を2.5質量部、およびフェノール系酸化防止剤(商品名「Irganox1010」、BASFジャパン株式会社製)1.0質量部を添加し、均一に混合して粘着剤組成物を調製した。
基材としての厚さ18μmの電解銅箔(商品名「CF-T8G-UN-18」、福田金属箔粉工業株式会社製)に上記粘着剤組成物を直接塗布し、100℃で2分間加熱して乾燥させることにより、厚さ9μmの粘着剤層を形成した。この粘着剤層の表面(粘着面)にはく離ライナー(商品名「MRF38」、三菱ケミカル株式会社製、ポリエステルフィルムの片面にシリコーン系剥離処理剤による剥離層を有するはく離ライナー、厚さ38μm)の剥離層面を貼り合わせた。このようにして、はく離ライナー付き粘着シートを得た。
【0144】
実施例2~3
粘着剤組成物の調製において、フェノール系酸化防止剤の配合量を表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして粘着シートを作製した。
【0145】
実施例4
粘着剤組成物の調製において、フェノール系酸化防止剤(商品名「Irganox1010」)に代えてフェノール系酸化防止剤(商品名「Irganox565」)を使用したこと以外は実施例2と同様にして粘着シートを作製した。
【0146】
実施例5
電解銅箔に代えてアルミニウム箔(軟質アルミ箔、JISH4160A1N30H-0適合品、株式会社UACJ製、厚さ50μm)を使用したこと以外は実施例2と同様にして粘着シートを作製した。
【0147】
実施例6
電解銅箔に代えてSUS箔(商品名「SUS304 CSP-H」、東洋精箔株式会社製、厚さ40μm)を使用したこと以外は実施例2と同様にして粘着シートを作製した。
【0148】
比較例1~3
粘着剤組成物の調製において、フェノール系酸化防止剤の配合量を表2に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして粘着シートを作製した。
【0149】
比較例4
粘着剤組成物の調製において、フェノール系酸化防止剤を配合しなかったこと以外は実施例1と同様にして粘着シートを作製した。
【0150】
比較例5
粘着剤組成物の調製において、フェノール系酸化防止剤(商品名「Irganox1010」)に代えてリン系酸化防止剤(商品名「Irgafos168」)を使用したこと以外は実施例2と同様にして粘着シートを作製した。
【0151】
比較例6
電解銅箔に代えてPETフィルム(商品名「東レポリエステルフィルム “ルミラー(登録商標)”#25 S10」、東レ株式会社製、厚さ25μm)を使用したこと以外は実施例2と同様にして粘着シートを作製した。
【0152】
<評価>
実施例および比較例で得られた粘着シートについて以下の評価を行った。結果を表に示す。
【0153】
(1)トータルアウトガス量
粘着シートを5cm2に切り抜き、はく離ライナーを剥離して試験片を採取し、ヘッドスペースバイアルに封入した。その後、ヘッドスペースサンプラー(HSS)にて200℃で60分間加熱し、加熱後の気相部分1mLをガスクロマトグラフィー(GC)に注入した。そして、検出されたトータルのアウトガス量を算出した。使用した分析装置および測定条件は下記の通りである。
<分析装置>
HSS:Agilent Technologies,G1888
GC:Agilent Technologies,6890N
<測定条件>
(HSS条件)
加熱温度:200℃
加熱時間:60min
サンプルループ温度:160℃
トランスファーライン温度:200℃
加圧時間:0.20min
ループ充填時間:0.20min
ループ平衡時間:0.05min
注入時間:0.50min
(GC条件)
カラム:HP-1(0.250mmφ×30m,df=1.0μm)
カラム温度:40℃(3min)→10℃/min→120℃→20℃/min→300℃(10min)
カラム流量:1mL/min(He)
カラム圧力:定流量モード(81kPa)
注入口温度:250℃
注入量:1mL
注入方式:スプリット(20:1)
検出器:FID
検出器温度:250℃
【0154】
(2)180°引き剥がし粘着力試験
粘着シートを25mm幅に切断したものを試験片とした。トルエンにて清浄化したSUS板(304BA板)を用意した。そして、粘着シートのはく離ライナーを剥がし、2kgローラを往復させてSUS板に粘着シートの粘着面を貼り合わせた。 そして、実施例および比較例ごとに、以下の2つの条件で放置した粘着シートを作製した。(i)SUS板に粘着シートを貼り合わせた後に、23℃の環境下で30分間放置(初期条件)。(ii)SUS板に粘着シートを貼り合わせた後に、80℃の環境下で5分間放置した後に、23℃の環境下で30分間放置(80℃加熱後条件)。そして、(i)および(ii)の条件で作製した粘着シートについて、粘着シートの他端を300mm/分の速度で180°の剥離方向へ剥離し、その時のSUS板に対する粘着力(抵抗力)(単位:N/25mm)を測定した。
【0155】
(3)表面抵抗値
粘着シートの基材表面に対して、温度23℃、50%RHの雰囲気下、JIS K6911に基づいて、URSプローブを使用し印加電圧10V、印加時間10秒の条件で初期表面抵抗値[Ω/cm2]を測定した。抵抗率計としては、商品名「ハイレスタUP MCP-HT450型」(三菱ケミカル株式会社製)を用いた。
【0156】
【表1】
【0157】
【表2】
【0158】
表に示されるように、実施例の粘着シートは、初期粘着力が低く、且つ加熱後粘着力が高いため、リワーク性に優れつつ、経時で粘着力が上昇するものと判断された。また、表面抵抗値が低く導電性に優れていた。なお、実施例2,5,6は同じ粘着剤層を使用しているが、金属基材の種類や厚さ等により金属基材のコシの強さの違いが影響して引き剥がし粘着力に差が生じていると推測される。そして実施例の粘着シートのトータルアウトガス量は、フェノール系酸化防止剤の含有量が少ない場合(比較例1~3)、フェノール系酸化防止剤を含まない場合(比較例4)、およびリン系酸化防止剤を用いた場合(比較例5)に対して削減されていた。また、基材としてプラスチックフィルムを用いた場合(比較例6)、表面抵抗値が低く導電性に劣っていた。
【0159】
以下、本開示に係る発明のバリエーションを記載する。
[付記1]金属基材と、前記金属基材の少なくとも一方の面に設けられた粘着剤層とを備え、
前記粘着剤層は、ガラス転移温度が0℃未満のポリマー(A)100質量部に対し、ポリオルガノシロキサン骨格を有するモノマー(B1)およびホモポリマーのガラス転移温度が40℃以上のモノマー(B2)をモノマー単位として含み、モノマー(B1)の官能基当量(算術平均)が1000g/mol以上15000g/mol未満であり、且つ重量平均分子量が10000以上100000未満である重合体(B)0.1~20質量部と、フェノール系酸化防止剤0.4質量部以上とを含む、粘着シート。
[付記2]前記フェノール系酸化防止剤はフェノール骨格を2以上含む化合物を含む付記1に記載の粘着シート。
[付記3]トータルアウトガス量は15500ppm以下である付記1または2に記載の粘着シート。
[付記4]電池部材貼付用途である付記1~3のいずれか一つに記載の粘着シート。
[付記5]全固体電池部材貼付用途である付記4に記載の粘着シート。
[付記6]絶縁基板と、前記粘着剤層が前記絶縁基板に貼り合わせられた付記5に記載の粘着シートと、前記粘着シート中の金属基材に付着した活物質とを備える、全固体電池用電極。
【符号の説明】
【0160】
1 粘着シート
2 金属基材
21 パターン
22 積層体
3 粘着剤層
4 絶縁基材
図1
図2