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特開2023-161298ドラムカートリッジおよび画像形成装置。
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161298
(43)【公開日】2023-11-07
(54)【発明の名称】ドラムカートリッジおよび画像形成装置。
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20231030BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20231030BHJP
   G03G 21/16 20060101ALI20231030BHJP
   G03G 21/18 20060101ALI20231030BHJP
【FI】
G03G21/00 512
G03G15/00 659
G03G21/16 171
G03G21/18 189
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022071601
(22)【出願日】2022-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 達也
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 啓太
(72)【発明者】
【氏名】柴田 千晴
【テーマコード(参考)】
2H035
2H171
2H270
【Fターム(参考)】
2H035AC06
2H035CA07
2H035CD02
2H035CD05
2H171FA02
2H171FA09
2H171FA13
2H171FA14
2H171FA17
2H171FA20
2H171FA28
2H171GA01
2H171GA11
2H171GA12
2H171GA20
2H171GA24
2H171GA25
2H171HA02
2H171HA23
2H171HA24
2H171HA31
2H171JA02
2H171JA06
2H171JA15
2H171JA23
2H171JA27
2H171JA30
2H171JA31
2H171JA35
2H171JA36
2H171JA38
2H171JA40
2H171JA49
2H171JA50
2H171KA05
2H171KA06
2H171KA17
2H171MA11
2H171MA20
2H171QA02
2H171QA08
2H171QB03
2H171QB15
2H171QB32
2H171QB35
2H171QB41
2H171QB52
2H171QC03
2H171QC23
2H171SA10
2H171SA12
2H171SA18
2H171SA19
2H171SA22
2H171SA26
2H171SA31
2H171SA32
2H171WA02
2H171WA05
2H171WA06
2H171WA07
2H171WA08
2H171WA10
2H171WA11
2H171WA13
2H171WA16
2H270KA09
2H270KA28
2H270KA58
2H270KA72
2H270LA26
2H270LA28
2H270LA29
2H270LA32
2H270LA37
2H270LA53
2H270LA76
2H270LA79
2H270LA80
2H270LA94
2H270LC04
2H270LD05
2H270MA28
2H270MB07
2H270MB35
2H270MB52
2H270MF01
2H270MF08
2H270NB02
2H270NB04
2H270NB06
2H270NB22
2H270PA16
2H270QB03
2H270RA11
2H270RA12
2H270RC03
2H270RC05
2H270RC16
2H270ZC03
2H270ZC04
2H270ZC08
(57)【要約】
【課題】感光体ドラムの表面に固着した固着物の影響を考慮してドラムカートリッジの寿命を判定可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置は、本体筐体と、ドラムカートリッジと、本体メモリと、制御部とを備える。ドラムカートリッジは、感光体ドラムと、感光体ドラムの表面と接触して前記感光体ドラムの表面をクリーニングするクリーニングローラと、ドラムメモリとを有する。制御部は、制御部がドラムカートリッジを使用して画像形成を実行するごとに、画像形成が実行された条件に応じて(S25,Yes)、感光体ドラムの表面に固着した固着物の固着量を算出する(S26)。制御部は、算出した固着量を累積した値である累積値を本体メモリに記憶させる(S27)。制御部は、本体メモリに記憶された固着量の累積値をドラムメモリに記憶させる(S28)。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体筐体と、
ドラムカートリッジであって、
第1方向に延びる第1軸について回転可能な感光体ドラムと、
前記感光体ドラムの表面と接触して前記感光体ドラムの表面をクリーニングするクリーニングローラであって、前記第1方向に延びる第2軸について回転可能なクリーニングローラと、
ドラムメモリと、を有するドラムカートリッジと、
本体メモリと、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記制御部が前記ドラムカートリッジを使用して画像形成を実行するごとに、画像形成が実行された条件に応じて、前記感光体ドラムの表面に固着した固着物の固着量を算出し、
算出した前記固着量を累積した値である累積値を前記本体メモリに記憶させ、
前記本体メモリに記憶された前記固着量の累積値を前記ドラムメモリに記憶させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記制御部が前記ドラムカートリッジを使用して画像形成を実行するごとに、標準条件下で画像形成が実行されたか、前記標準条件下でない非標準条件下で画像形成されたかを判定し、
前記標準条件で画像形成されたと判定した場合、前記固着量を算出せず、
前記非標準条件で画像形成されたと判定した場合、前記固着量を算出することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記ドラムメモリに記憶された前記固着量の累積値が第1閾値より大きい場合、前記ドラムカートリッジが寿命に達したと判定することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記ドラムカートリッジを使用して画像形成された画像形成枚数と、前記感光体ドラムの回転回数と、の少なくとも何れかを前記ドラムメモリに記憶させ、
前記ドラムメモリに記憶された前記画像形成回数の累積値が第2閾値より大きい場合、または、前記ドラムメモリに記憶された前記回転回数の累積値が第3閾値より大きい場合、前記ドラムカートリッジが寿命に達したと判定することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記画像形成装置は、さらに、トナーを収容するトナーカートリッジであって、前記ドラムカートリッジに使用されるトナーカートリッジを備えることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記トナーカートリッジは、さらに、現像ローラを備えることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御部は、
非標準条件として、第1温度以上、または、前記第1温度より低い温度である第2温度未満の条件下で画像形成された場合に、画像形成された画像形成枚数に温度係数Kを乗じた値を前記感光体ドラムの表面に固着した固着量として算出することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記温度係数Kは、
温度条件が前記第1温度以上の場合に、温度が高いほど、大きな値であり、
温度条件が前記第2温度未満の場合に、温度が低いほど、大きな値であることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記制御部は、
非標準条件として、第1湿度以上、または、前記第1湿度より低い第2湿度未満の条件下で画像形成された場合に、画像形成された画像形成枚数に湿度係数Mを乗じた値を前記感光体ドラムの表面に固着した固着量として算出することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記湿度係数Mは、
湿度条件が前記第1湿度以上の場合に、湿度が高いほど、大きな値であり、
湿度条件が前記第2湿度未満の場合に、湿度が低いほど、大きな値であることを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記制御部は、
非標準条件として、前記感光体ドラムの回転速度が第1回転速度未満である条件下で画像形成された場合に、画像形成された画像形成枚数に速度係数Nを乗じた値を前記感光体ドラムの表面に固着した固着量として算出することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記速度係数Nは、
前記感光体ドラムの回転速度が前記第1回転速度未満の場合に、回転速度が遅いほど、大きな値であることを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
ドラムカートリッジであって、
第1方向に延びる第1軸について回転可能な感光体ドラムと、
トナーを収容する現像筐体と現像ローラとを有する現像カートリッジと、
前記感光体ドラムの表面と接触して前記感光体ドラムの表面をクリーニングするクリーニングローラであって、前記第1方向に延びる第2軸について回転可能なクリーニングローラと、
前記ドラムカートリッジを使用して、画像形成が実行された条件に応じて、前記感光体ドラムの表面に固着した固着物の固着量の累積値が記憶される記憶領域を有するドラムメモリと、を備えることを特徴とするドラムカートリッジ。
【請求項14】
前記固着量は、
標準条件下で画像形成が実行された場合、算出されず、
前記標準条件下でない非標準条件下で画像形成が実行された場合、算出されることを特徴とする請求項13に記載のドラムカートリッジ。
【請求項15】
前記固着物量は、
非標準条件として、第1温度以上、または、前記第1温度より低い温度である第2温度未満の条件下で画像形成された場合に、画像形成された画像形成枚数に温度係数Kを乗じた値であることを特徴とする請求項14に記載のドラムカートリッジ。
【請求項16】
前記温度係数Kは、
温度条件が前記第1温度以上の場合に、温度が高いほど、大きな値であり、
温度条件が前記第2温度未満の場合に、温度が低いほど、大きな値であることを特徴とする請求項15に記載のドラムカートリッジ。
【請求項17】
前記固着物量は、非標準条件として、第1湿度以上、または、前記第1湿度より低い第2湿度未満の条件下で画像形成された場合に、画像形成された画像形成枚数に湿度係数Mを乗じた値であることを特徴とする請求項14から請求項16のいずれか1項に記載のドラムカートリッジ。
【請求項18】
前記湿度係数Mは、
湿度条件が前記第1湿度以上の場合に、湿度が高いほど、大きな値であり、
湿度条件が前記第2湿度未満の場合に、湿度が低いほど、大きな値であることを特徴とする請求項17に記載のドラムカートリッジ。
【請求項19】
前記固着物量は、非標準条件として、前記感光体ドラムの回転速度が第1回転速度未満である条件下で画像形成された場合に、画像形成された画像形成枚数に速度係数Nを乗じた値であることを特徴とする請求項14から請求項16のいずれか1項に記載のドラムカートリッジ。
【請求項20】
前記速度係数Nは、前記感光体ドラムの回転速度が前記第1回転速度未満の場合に、回転速度が遅いほど、大きな値であることを特徴とする請求項19に記載のドラムカートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、感光体ドラムを備えるドラムカートリッジおよび画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、感光体ドラムを備えるドラムカートリッジを装着可能な画像形成装置が知られている(特許文献1参照)。この画像形成装置では、ドラムカートリッジの寿命を感光体ドラムの回転回数や画像形成枚数で算出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-160414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ドラムカートリッジが使用される使用条件によっては、感光体ドラムの表面に固着物が固着する。しかしながら、従来の画像形成装置においては、ドラムカートリッジの寿命を判定する場合に感光体ドラムの表面に固着した固着物の影響が考慮されていなかった。
【0005】
そこで、本開示は、感光体ドラムの表面に固着した固着物の影響を考慮してドラムカートリッジの寿命を判定可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
また、本開示は、寿命を判定する場合に感光体ドラムの表面に固着した固着物の影響を考慮することが可能なドラムカートリッジを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するため、本開示の第1態様に係る画像形成装置は、本体筐体と、ドラムカートリッジと、本体メモリと、制御部と、を備える。
ドラムカートリッジは、第1方向に延びる第1軸について回転可能な感光体ドラムと、感光体ドラムの表面と接触して感光体ドラムの表面をクリーニングするクリーニングローラであって、第1方向に延びる第2軸について回転可能なクリーニングローラと、ドラムメモリと、を有する。
制御部は、制御部がドラムカートリッジを使用して画像形成を実行するごとに、画像形成が実行された条件に応じて、感光体ドラムの表面に固着した固着物の固着量を算出する。制御部は、算出した固着量を累積した値である累積値を本体メモリに記憶させる。制御部は、本体メモリに記憶された固着量の累積値をドラムメモリに記憶させる。
【0007】
第1態様の画像形成装置によれば、感光体ドラムの表面に固着した固着物の固着量の累積値をドラムメモリに記憶させることで、感光体ドラムの表面に固着した固着物の影響を考慮してドラムカートリッジの寿命を判定することが可能となる。
【0008】
第2態様の画像形成装置は、第1態様の画像形成装置であって、制御部は、制御部がドラムカートリッジを使用して画像形成を実行するごとに、標準条件下で画像形成が実行されたか、標準条件下でない非標準条件下で画像形成されたかを判定し、標準条件で画像形成されたと判定した場合、固着量を算出せず、非標準条件で画像形成されたと判定した場合、固着量を算出する。
【0009】
第2態様の画像形成装置によれば、非標準条件下でのみ固着量を算出することで、固着量を適切に算出できる。
【0010】
第3態様の画像形成装置は、第1態様または第2態様の画像形成装置であって、制御部は、ドラムメモリに記憶された固着量の累積値が第1閾値より大きい場合、ドラムカートリッジが寿命に達したと判定する。
【0011】
第4態様の画像形成装置は、第1態様から第3態様のいずれかの画像形成装置であって、制御部は、ドラムカートリッジを使用して画像形成された画像形成枚数と、感光体ドラムの回転回数と、の少なくとも何れかをドラムメモリに記憶させ、ドラムメモリに記憶された画像形成枚数の累積値が第2閾値より大きい場合、または、ドラムメモリに記憶された回転回数の累積値が第3閾値より大きい場合、ドラムカートリッジが寿命に達したと判定する。
【0012】
第5態様の画像形成装置は、第1態様から第4態様のいずれかの画像形成装置であって、画像形成装置は、さらに、トナーを収容するトナーカートリッジであって、ドラムカートリッジに使用されるトナーカートリッジを備える。
【0013】
第6態様の画像形成装置は、第1態様から第5態様のいずれかの画像形成装置であって、トナーカートリッジは、さらに、現像ローラを備える。
【0014】
第7態様の画像形成装置は、第2態様から第6態様のいずれかの画像形成装置であって、制御部は、非標準条件として、第1温度以上、または、第1温度より低い温度である第2温度未満の条件下で画像形成された場合に、画像形成された画像形成枚数に温度係数Kを乗じた値を感光体ドラムの表面に固着した固着量として算出する。
【0015】
第8態様の画像形成装置は、第7態様の画像形成装置であって、温度係数Kは、温度条件が第1温度以上の場合に、温度が高いほど、大きな値であり、温度条件が第2温度未満の場合に、温度が低いほど、大きな値である。
【0016】
第9態様の画像形成装置は、第2態様から第8態様のいずれかの画像形成装置であって、制御部は、非標準条件として、第1湿度以上、または、第1湿度より低い第2湿度未満の条件下で画像形成された場合に、画像形成された画像形成枚数に湿度係数Mを乗じた値を感光体ドラムの表面に固着した固着量として算出する。
【0017】
第10態様の画像形成装置は、第9態様の画像形成装置であって、湿度係数Mは、湿度条件が第1湿度以上の場合に、湿度が高いほど、大きな値であり、湿度条件が第2湿度未満の場合に、湿度が低いほど、大きな値である。
【0018】
第11態様の画像形成装置は、第2態様から第10態様のいずれかの画像形成装置であって、制御部は、非標準条件として、感光体ドラムの回転速度が第1回転速度未満である条件下で画像形成された場合に、画像形成された画像形成枚数に速度係数Nを乗じた値を感光体ドラムの表面に固着した固着量として算出する。
【0019】
第12態様の画像形成装置は、第11態様の画像形成装置であって、速度係数Nは、感光体ドラムの回転速度が第1回転速度未満の場合に、回転速度が遅いほど、大きな値である。
【0020】
上述の課題を解決するため、本開示の第13態様に係るドラムカートリッジは、感光体ドラムと、現像カートリッジと、クリーニングローラと、ドラムメモリと、を備える。
感光体ドラムは、第1方向に延びる第1軸について回転可能である。
現像カートリッジは、トナーを収容する現像筐体と現像ローラとを有する。
クリーニングローラは、感光体ドラムの表面と接触して感光体ドラムの表面をクリーニングする。クリーニングローラは、第1方向に延びる第2軸について回転可能である。
ドラムメモリは、ドラムカートリッジを使用して、画像形成が実行された条件に応じて、感光体ドラムの表面に固着した固着物の固着量の累積値が記憶される記憶領域を有する。
【0021】
第13態様のドラムカートリッジによれば、感光体ドラムの表面に固着した固着物の固着量の累積値がドラムメモリの記憶領域に記憶されることで、ドラムカートリッジの寿命を判定する場合に感光体ドラムの表面に固着した固着物の影響を考慮することが可能となる。
【0022】
第14態様のドラムカートリッジは、第13態様のドラムカートリッジであって、固着量は、標準条件下で画像形成が実行された場合、算出されず、標準条件下でない非標準条件下で画像形成が実行された場合、算出される。
【0023】
第14態様のドラムカートリッジによれば、非標準条件下でのみ固着量を算出することで、固着量を適切に算出できる。
【0024】
第15態様のドラムカートリッジは、第14態様のドラムカートリッジであって、固着物量は、非標準条件として、第1温度以上、または、第1温度より低い温度である第2温度未満の条件下で画像形成された場合に、画像形成された画像形成枚数に温度係数Kを乗じた値である。
【0025】
第16態様のドラムカートリッジは、第15態様のドラムカートリッジであって、温度係数Kは、温度条件が第1温度以上の場合に、温度が高いほど、大きな値であり、温度条件が第2温度未満の場合に、温度が低いほど、大きな値である。
【0026】
第17態様のドラムカートリッジは、第14態様から第16態様のいずれかのドラムカートリッジであって、固着物量は、非標準条件として、第1湿度以上、または、第1湿度より低い第2湿度未満の条件下で画像形成された場合に、画像形成された画像形成枚数に湿度係数Mを乗じた値である。
【0027】
第18態様のドラムカートリッジは、第17態様のドラムカートリッジであって、湿度係数Mは、湿度条件が第1湿度以上の場合に、湿度が高いほど、大きな値であり、湿度条件が第2湿度未満の場合に、湿度が低いほど、大きな値である。
【0028】
第19態様のドラムカートリッジは、第14態様から第18態様のいずれかのドラムカートリッジであって、固着物量は、非標準条件として、感光体ドラムの回転速度が第1回転速度未満である条件下で画像形成された場合に、画像形成された画像形成枚数に速度係数Nを乗じた値である。
【0029】
第20態様のドラムカートリッジは、第19態様のドラムカートリッジであって、速度係数Nは、感光体ドラムの回転速度が第1回転速度未満の場合に、回転速度が遅いほど、大きな値である。
【発明の効果】
【0030】
本開示の画像形成装置によれば、感光体ドラムの表面に固着した固着物の影響を考慮してドラムカートリッジの寿命を判定することが可能となる。
本開示のドラムカートリッジによれば、ドラムカートリッジの寿命を判定する場合に感光体ドラムの表面に固着した固着物の影響を考慮することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】実施形態に係る画像形成装置の断面図である。
図2】本体筐体からドラムカートリッジを取り出した状態を示す図である。
図3】制御部、各センサ、各メモリ、ディスプレイの接続を示すブロック図(a)と、ドラムメモリの記憶領域を示すブロック図(b)である。
図4】温度係数Kを決定するテーブル(a)と、湿度係数Mを決定するテーブル(b)と、速度係数Nを決定するテーブル(c)である。
図5】制御部がドラム寿命判定処理を実行する条件を示すフローチャートである。
図6】ドラム寿命判定処理を示すフローチャートである。
図7】ドラム使用記録処理を示すフローチャートである。
図8】固着量算出処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
次に、本開示の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すように、画像形成装置1はモノクロ用のレーザプリンタである。画像形成装置1は、本体筐体2と、フィーダ部3と、画像形成部4と、制御部100と、本体メモリ110と、ディスプレイ26と、を備える。
【0033】
本体筐体2は、中空のケースである。本体筐体2は、左右一対の側壁21と、側壁21を繋ぐ前壁22とを有する。前壁22は、本体開口22Aを有する。前壁22は、本体開口22Aを開閉するカバー23を有する。
【0034】
フィーダ部3は、供給トレイ31と、供給機構32とを備える。供給トレイ31は、本体筐体2の下部に着脱可能に装着される。供給機構32は、供給トレイ31と、供給トレイ31内のシートSを画像形成部4に向けて供給する。
【0035】
画像形成部4は、スキャナユニット5と、ベルトユニット6と、定着装置7と、ドラムカートリッジ8と、現像カートリッジ9とを備えている。
【0036】
スキャナユニット5は、本体筐体2内の上部に設けられ、図示しないレーザ発光部、ポリゴンミラー、レンズおよび反射鏡などを備える。このスキャナユニット5では、レーザビームを、後述する感光体ドラム81の表面上に高速走査にて照射する。
【0037】
ベルトユニット6は、ベルト61と、駆動ローラ62と、従動ローラ63とを有している。ベルト61は、無端状である。駆動ローラ62は、ベルト61を駆動する。従動ローラ63は、ベルト61の駆動に従い回転する。
【0038】
制御部100は、例えば、CPU、RAM、ROMおよび入出力回路を備えている。制御部100は、装着されたカートリッジの情報やROMに記憶されたプログラムやデータなどに基づいて演算処理を行うことによって、印刷制御を実行している。
【0039】
本体メモリ110は、制御部100が画像形成を実行するために必要なプログラムやデータを一時的に記憶する記憶装置である。
【0040】
ディスプレイ26は、本体筐体2の外表面に位置している。ディスプレイ26は、制御部100の指令に基づいて、各種メッセージを表示する。
【0041】
ドラムカートリッジ8は、フィーダ部3とスキャナユニット5との間に配置されている。ドラムカートリッジ8は、本体筐体2に対して着脱可能である。具体的に、ドラムカートリッジ8は、本体筐体2のカバー23で開閉される本体開口22Aを通して、本体筐体2に対して着脱可能である。
【0042】
図2に示すように、現像カートリッジ9は、本体筐体2に装着可能である。本実施形態では、現像カートリッジ9は、ドラムカートリッジ8に対して着脱可能である。現像カートリッジ9は、ドラムカートリッジ8に組み付けられた状態で、本体筐体2に装着される。現像カートリッジ9は、トナーを収容するトナーカートリッジの一例である。現像カートリッジ9は、筐体90と、現像ローラ91と、供給ローラ92と、ブレード93とを有する。
【0043】
図1に戻り、ドラムカートリッジ8は、フレーム80と、感光体ドラム81と、転写ローラ82と、帯電器83と、クリーニングローラ84と、ドラムメモリ85とを有する。フレーム80は、現像カートリッジ9を装着可能である。感光体ドラム81および転写ローラ82は、フレーム80に回転可能に支持されている。
【0044】
感光体ドラム81は、第1方向に延びる第1軸1Xについて回転可能である。なお、本実施形態では、「第1方向」は、感光体ドラム81の軸方向である。
【0045】
クリーニングローラ84は、第1方向に延びる第2軸2Xについて回転可能である。クリーニングローラ84は、感光体ドラム81の表面と接触するローラである。クリーニングローラ84は、感光体ドラム81の表面をクリーニングするためのローラである。具体的には、クリーニングローラ84は、感光体ドラム81の表面に付着した紙粉やトナーなどの付着物をクリーニングする。
【0046】
ドラムメモリ85は、情報を記憶する媒体である。ドラムメモリ85は、例えば、ICチップである。本実施形態では、ドラムメモリ85は、第1記憶領域85Aと、第2記憶領域85Bと、第3記憶領域85Cとを有する。
【0047】
本実施形態では、第1記憶領域85Aは、シリアルナンバー、ドラム部品情報などが記憶される領域である。
【0048】
本実施形態では、第2記憶領域85Bは、使用履歴情報、ジョブ情報などが記憶される領域である。
【0049】
本実施形態では、第3記憶領域85Cは、感光体ドラム81の回転回数Xの累積値Xtotalと、ドラムカートリッジ8を使用して画像形成された画像形成枚数Yの累積値Ytotalと、感光体ドラム81の表面に固着した固着物の固着量Zの累積値Ztotalとを記憶する領域である。
【0050】
ここで、感光体ドラム81の表面に固着した固着物とは、主に、紙粉・トナーから発生するシリカ成分が感光体ドラム81の表面に固着した後、クリーニングローラ84ではクリーニングしきれずに残ってしまい、感光体ドラム81の表面に固着してしまった物である。この固着物は、画像形成される使用条件によって少しずつ堆積することが知られている。テストした結果によると、標準条件では固着物がほとんど堆積せず、非標準条件において固着物が堆積することがわかっている。標準条件とは、機外温度が所定範囲内、かつ、機外湿度が所定範囲内、かつ、感光体ドラム81の回転速度が所定範囲内である条件をいう。
【0051】
具体的には、機外温度が第1温度T1以上、または、第1温度T1より低い温度である第2温度T2未満の条件下で画像形成された場合に、固着物が堆積しやすい。また、機外湿度が第1湿度H1以上、または、第1湿度H1より低い第2湿度H2未満の条件下で画像形成された場合に、固着物が堆積しやすい。また、感光体ドラム81の回転速度が第1回転速度未満である条件下で画像形成された場合に、固着物が堆積しやすい。
【0052】
このため、画像形成が実行された条件に応じて固着物の累積値Ztotalが第3記憶領域85Cに記憶される。すなわち、ドラムメモリ85は、ドラムカートリッジ8を使用して、画像形成が実行された条件に応じて、感光体ドラム81の表面に固着した固着物の固着量Zの累積値Ztotalが記憶される記憶領域を有する。
【0053】
筐体90は、内部にトナーを収容可能である。現像ローラ91は感光体ドラム81にトナーを供給する。供給ローラ92は筐体90のトナーを現像ローラ91に供給する。ブレード93は、現像ローラ91に供給されたトナーの層厚を規制する。
【0054】
このドラムカートリッジ8では、回転する感光体ドラム81の表面が、帯電器83により一様に帯電された後、スキャナユニット5からのレーザビームの高速走査により露光される。これにより、露光された部分の電位が下がって、感光体ドラム81の表面に画像データに基づく静電潜像が形成される。
【0055】
次いで、回転駆動される現像ローラ91によって現像カートリッジ9内のトナーが感光体ドラム81の静電潜像に供給されて、感光体ドラム81の表面上にトナー像が形成される。その後、感光体ドラム81と転写ローラ82の間でシートSが搬送されることで、感光体ドラム81の表面に担持されているトナー像がシートS上に転写される。
【0056】
定着装置7は、加熱ローラ71と、加圧ローラ72とを備える。加圧ローラ72は、加熱ローラ71と向かいあって位置する。加圧ローラ72は、加熱ローラ71を押圧する。定着装置7は、シートS上に転写されたトナーを、シートSが加熱ローラ71と加圧ローラ72との間を通過する間に熱定着する。
【0057】
定着装置7で熱定着されたシートSは、定着装置7の下流側に位置する排紙ローラ24に搬送され、この排紙ローラ24から排紙トレイ25上に送り出される。
【0058】
図3に示すように、画像形成装置1は、機外温度センサ120と、機外湿度センサ130と、モータ140とをさらに備える。本実施形態では、機外温度センサ120、機外湿度センサ130およびモータ140は、本体筐体2内に位置する。
【0059】
機外温度センサ120は、機外の温度を検知するセンサである。機外温度センサ120が検知した機外温度は、制御部100に送られる。機外湿度センサ130は、機外の温度を検知するセンサである。機外湿度センサ130が検知した機外湿度は、制御部100に送られる。モータ140は、感光体ドラム81を駆動するモータである。制御部100は、入力されたジョブに対応した回転速度でモータを駆動する。
【0060】
本実施形態では、制御部100は、全速と、半速と、1/3速と、3つの印字速度で画像形成可能である。印刷速度が全速の場合、制御部100は、通常の速度で画像形成する。印刷速度が半速の場合、制御部100は、全速の半分の速度で画像形成する。印刷速度が1/3速の場合、制御部100は、全速の1/3の速度で画像形成する。制御部100は、通常、全速で画像形成する。制御部100は、例えば、厚紙モードや静音モードにおいて、半速で画像形成する。制御部100は、例えば、特殊紙モードや超静音モードにおいて、1/3速で画像形成する。
【0061】
ここで、本実施形態において制御部100が実行する処理を説明する。
制御部100は、所定条件を満たした場合に、ドラムカートリッジ8の寿命を判定するドラム寿命判定を繰り返し実行している。
【0062】
具体的には、制御部100は、電源ONまたはカバー23が閉じられた場合に、ドラム寿命判定処理を実行する。このとき、制御部100は、ドラムカートリッジ8が交換されたかもしれないとして、ドラムメモリ85から画像形成枚数Xの累積値Xtotalと、ドラム回転回数Yの累積値Ytotalと、固着量Zの累積値Ztotalとを読み出し、本体メモリ110に記憶させる。その後、制御部100は、本体メモリ110に記憶された情報に基づいてドラム寿命判定処理を実行する。
【0063】
また、制御部100は、X枚画像形成されるたびにドラム寿命判定処理を実行する。制御部100は、X枚画像形成された場合、X枚についてのドラム使用記録処理を実行する。その後、制御部100は、本体メモリ110に記憶された情報に基づいてドラム寿命判定処理を実行する。本実施形態では、X=1であるが、Xは任意に設定できる。
【0064】
ドラム寿命判定処理は、感光体ドラム81の寿命を判定する処理である。
具体的には、ドラム寿命判定処理として、制御部100は、ドラムメモリ85に記憶された画像形成枚数Xの累積値Xtotalが閾値Xth1より大きい場合、ドラムメモリ85に記憶された回転回数Yの累積値Ytotalが閾値Yth1より大きい場合、または、固着量Zの累積値Ztotalが閾値Zth1より大きい場合、にドラムカートリッジ8が寿命に達したと判定する。制御部100は、ドラムカートリッジ8が寿命に達したと判定した場合、ディスプレイ26にドラムカートリッジ8が寿命に達したことを報知する。なお、閾値Zth1は、第1閾値の一例である。閾値Xth1は、第2閾値の一例である。閾値Yth1は、第3閾値の一例である。
【0065】
また、ドラム寿命判定処理として、制御部100は、ドラムメモリ85に記憶された画像形成枚数Xの累積値Xtotalが閾値Xth1より大きくなく、かつ、閾値Xth2より大きい場合、ドラムメモリ85に記憶された回転回数Yの累積値Ytotalが閾値Yth1より大きくなく、かつ、閾値Yth2より大きい場合、または、固着量Zの累積値Ztotalが閾値Zth1より大きくなく、かつ、閾値Zth2より大きい場合、にドラムカートリッジ8が寿命間近であると判定する。制御部100は、ドラムカートリッジ8が寿命間近であると判定した場合、ディスプレイ26にドラムカートリッジ8が寿命間近であることを報知する。
なお、閾値Xth2は、閾値Xth1より小さい値である。閾値Yth2は、閾値Yth1より小さい値である。閾値Zth2は、閾値Zth1より小さい値である。
【0066】
ドラム使用記録処理は、ドラムカートリッジ8の使用を記録する処理である。
具体的には、ドラム使用記録処理として、制御部100は、ドラムカートリッジ8を使用して画像形成された画像形成枚数Xと、感光体ドラム81の回転回数Yとを本体メモリ110およびドラムメモリ85に記憶させる。また、ドラム使用記録処理として、制御部100は、画像形成したときに非標準条件であった場合に、固着量算出処理を実行し、算出した固着量Zを加算して本体メモリ110およびドラムメモリ85に記憶させる。
【0067】
固着量算出処理は、制御部100がドラムカートリッジ8を使用して画像形成を実行するごとに、画像形成が実行された条件に応じて、感光体ドラム81の表面に固着した固着物の固着量Zを算出する処理である。
【0068】
制御部100は、制御部100がドラムカートリッジ8を使用して画像形成を実行するごとに、標準条件下で画像形成が実行されたか、標準条件下でない非標準条件下で画像形成されたかを判定する。制御部100は、標準条件で画像形成されたと判定した場合、固着量Zを算出せず、非標準条件で画像形成されたと判定した場合、固着量Zを算出する。
【0069】
標準条件とは、機外温度が第1温度T1~第2温度T2、かつ、機外湿度が第1湿度H1~第2湿度H2、かつ、印字速度が全速である。本実施形態では、第1温度T1は25℃であり、第2温度T2は20.1℃であり、第1湿度H1は60%であり、第2湿度H2は30.1%である。
【0070】
制御部100は、非標準条件として、第1温度T1以上、または、第1温度T1より低い温度である第2温度T2未満の条件下で画像形成された場合に、画像形成された画像形成枚数Xに温度係数Kを乗じた値を感光体ドラム81の表面に固着した固着量Zとして算出する(Z=KX)。
【0071】
温度係数Kは、温度条件が第1温度以上の場合に、温度が高いほど、大きな値である。温度係数Kは、温度条件が第2温度未満の場合に、温度が低いほど、大きな値である。
本実施形態では、図4(a)に示すテーブルで温度係数Kを決定する。
温度係数Kは、機外温度が0~15℃の場合、2である。
温度係数Kは、機外温度が15.1~20℃の場合、1である。
温度係数Kは、機外温度が20.1~25℃の場合、0である(標準条件)。
温度係数Kは、機外温度が25.1~30℃の場合、1である。
温度係数Kは、機外温度が30.1℃以上の場合、2である。
【0072】
制御部100は、非標準条件として、第1湿度H1以上、または、第1湿度H1より低い第2湿度H2未満の条件下で画像形成された場合に、画像形成された画像形成枚数Xに湿度係数Mを乗じた値を感光体ドラム81の表面に固着した固着量Zとして算出する(Z=MX)。
【0073】
湿度係数Mは、湿度条件が前記第1湿度以上の場合に、湿度が高いほど、大きな値であり、湿度条件が前記第2湿度未満の場合に、湿度が低いほど、大きな値である。
本実施形態では、湿度係数Mを図4(b)に示すテーブルで決定する。
湿度係数Mは、機外湿度が0~20%の場合、2である。
湿度係数Mは、機外湿度が20.1~30%の場合、1である。
湿度係数Mは、機外湿度が30.1~60%の場合、0である(標準条件)。
湿度係数Mは、機外湿度が60.1~70%の場合、1である。
湿度係数Mは、機外湿度が70.1~80%の場合、2である。
湿度係数Mは、機外湿度が80.1℃以上の場合、3である。
【0074】
制御部100は、非標準条件として、感光体ドラム81の回転速度が第1回転速度V1未満である条件下で画像形成された場合に、画像形成された画像形成枚数Xに速度係数Nを乗じた値を感光体ドラム81の表面に固着した固着量Zとして算出する(Z=NX)。
【0075】
本実施形態では、制御部100は、印字速度を全速とする場合には、感光体ドラム81の回転速度を第1回転速度V1となるようにモータ140を駆動させる。すなわち、制御部100は、印字速度を半速または1/3速とする場合には、感光体ドラム81の回転速度を第1回転速度V1未満でモータ140を駆動させる。
【0076】
速度係数Nは、感光体ドラム81の回転速度が第1回転速度V1未満の場合に、回転速度が遅いほど、大きな値である。
本実施形態では、速度係数Nを図4(c)に示すテーブルで決定する。
速度係数Nは、印字速度が全速の場合、0である(標準条件)。
速度係数Nは、印字速度が半速の場合、1である。
速度係数Nは、印字速度が1/3速の場合、2である。
【0077】
制御部100は、算出した固着量Zを合計し(Z=KX+KM+KN)、算出した固着量Zが固着量Zの上限値Zmaxより大きい場合、固着量Zを固着量Zの上限値Zmaxに補正する(Z=Zmax)。固着量Zの上限値Zmaxは、予め決定されている値である。
【0078】
制御部100は、算出した固着量Zを累積した値である累積値Ztotalを本体メモリ110に記憶させる。そして、制御部100は、本体メモリ110に記憶された累積値Ztotalをドラムメモリ85に記憶させる。
【0079】
次に、制御部100が実行する処理の一例について、図5図8のフローチャートを参照して説明する。制御部100は、画像形成装置1がONされてからOFFされるまで以下に説明する処理を繰り返し実行する。
【0080】
図5に示すように、制御部100は、電源ONまたはカバー23が閉じられたかを判定する(S1)。
【0081】
ステップS1において、制御部100は、電源ONまたはカバー23が閉じられたと判定した場合(S1,Yes)、ドラムカートリッジ8が交換されたかもしれないので、ドラムメモリ85から画像形成枚数Xの累積値Xtotalと、ドラム回転回数Yの累積値Ytotalと、固着量Zの累積値Ztotalとを読み込み、本体メモリ110に記憶させる(S2)。その後、ドラム寿命判定処理を実行する(S3)。
【0082】
ステップS1において、制御部100は、電源ONまたはカバー23が閉じられたと判定しなかった場合(S1,No)、X枚画像形成されたかを判定する(S4)。
【0083】
ステップS4において、制御部100は、X枚画像形成されたと判定しなかった場合(S4,No)、図5の処理を終了する。ステップS4において、制御部100は、X枚画像形成されたと判定した場合(S4,Yes)、ドラム使用記録処理を実行し(S5)、その後、ドラム寿命判定処理を実行する(S3)。
【0084】
図6に示すように、制御部100は、ドラム寿命判定処理(S3)として、画像形成枚数の累積値Xtotalが閾値Xth1より大きいかを判定する(S11)。
【0085】
ステップS11において、制御部100は、画像形成枚数Xの累積値Xtotalが閾値Xth1より大きいと判定した場合(S11,Yes)、ドラムカートリッジ8が寿命に達したことを報知する(S18)。
【0086】
ステップS11において、制御部100は、画像形成枚数Xの累積値Xtotalが閾値Xth1より大きいと判定しなかった場合(S11,No)、画像形成枚数Xの累積値Xtotalが閾値Xth2より大きいかを判定する(S12)。
【0087】
ステップS12において、制御部100は、画像形成枚数Xの累積値Xtotalが閾値Xth2より大きいと判定した場合(S12,Yes)、ドラムカートリッジ8が寿命間近であることを報知する(S17)。
【0088】
ステップS12において、制御部100は、画像形成枚数Xの累積値Xtotalが閾値Xth2より大きいと判定しなかった場合(S12,No)、ドラム回転回数の累積値Ytotalが閾値Yth1より大きいかを判定する(S13)。
【0089】
ステップS13において、制御部100は、ドラム回転回数Yの累積値Ytotalが閾値Yth1より大きいと判定した場合(S13,Yes)、ドラムカートリッジ8が寿命に達したことを報知する(S18)。
【0090】
ステップS13において、制御部100は、ドラム回転回数Yの累積値Ytotalが閾値Yth1より大きいと判定しなかった場合(S13,No)、ドラム回転回数の累積値Ytotalが閾値Yth2より大きいかを判定する(S14)。
【0091】
ステップS14において、制御部100は、ドラム回転回数Yの累積値Ytotalが閾値Yth2より大きいと判定した場合(S14,Yes)、ドラムカートリッジ8が寿命間近であることを報知する(S17)。
【0092】
ステップS14において、制御部100は、ドラム回転回数Yの累積値Ytotalが閾値Yth2より大きいと判定しなかった場合(S14,No)、固着量Zの累積値Ztotalが閾値Zth1より大きいかを判定する(S15)。
【0093】
ステップS15において、制御部100は、固着量Zの累積値Ztotalが閾値Zth1より大きいと判定した場合(S15,Yes)、ドラムカートリッジ8が寿命に達したことを報知する(S18)。
【0094】
ステップS15において、制御部100は、固着量Zの累積値Ztotalが閾値Zth1より大きいと判定しなかった場合(S15,No)、固着量Zの累積値Ztotalが閾値Zth2より大きいかを判定する(S16)。
【0095】
ステップS16において、制御部100は、固着量Zの累積値Ztotalが閾値Zth2より大きいと判定した場合(S16,Yes)、ドラムカートリッジ8が寿命間近であることを報知する(S17)。
【0096】
ステップS16において、制御部100は、固着量Zの累積値Ztotalが閾値Zth2より大きいと判定しなかった場合(S16,No)、ドラムカートリッジ8は、寿命に達しておらず、寿命間近でもないとしてドラム寿命判定処理を終了する。
【0097】
図7に示すように、制御部100は、ドラム使用記録処理(S5)として、画像形成枚数Xの累積値XtotalにXを加算して本体メモリ110に記憶させる(S21)。
【0098】
ステップS21の後、制御部100は、本体メモリ110に記憶されたXtotalをドラムメモリ85に記憶させる(S22)。
【0099】
ステップS22の後、制御部100は、ドラム回転回数の累積値YtotalにX枚画像形成した時の回転回数Yを加算して本体メモリ110に記憶させる(S23)。
【0100】
ステップS23の後、制御部100は、本体メモリ110に記憶されたYtotalをドラムメモリ85に記憶させる(S24)。
【0101】
ステップS24の後、制御部100は、X枚画像形成した時は非標準条件であったかを判定する(S25)。
【0102】
ステップS25において、制御部100は、X枚画像形成した時は非標準条件であったと判定しなかった場合(S25,No)、固着量算出処理を実行することなく、ドラム使用記録処理を終了する。
【0103】
ステップS25において、制御部100は、X枚画像形成した時は非標準条件であったと判定した場合(S25,Yes)、固着量算出処理を実行する(S26)。
【0104】
ステップS26の後、制御部100は、固着量Zの累積値ZtotalにX枚画像形成した時の固着量Zを加算して本体メモリ110に記憶させる(S27)。
【0105】
ステップS27の後、制御部100は、本体メモリ110に記憶されたZtotalをドラムメモリ85に記憶させてドラム使用記録処理を終了する(S28)。
【0106】
図8に示すように、制御部100は、固着量算出処理(S26)として、X枚画像形成した時の温度係数Kを決定する(S31)。制御部100は、機外温度センサ120の検知温度を取得し、図4(a)のテーブルを参照して温度係数Kを決定する。
【0107】
ステップS31の後、制御部100は、X枚画像形成した時の湿度係数Mを決定する(S32)。制御部100は、機外湿度センサ130の検知湿度を取得し、図4(b)のテーブルを参照して湿度係数Mを決定する。
【0108】
ステップS32の後、制御部100は、X枚画像形成した時の速度係数Nを決定する(S33)。制御部100は、図4(c)のテーブルを参照して速度係数Nを決定する。
【0109】
ステップS33の後、制御部100は、温度係数K、湿度係数M、速度係数Nを足した値に画像形成枚数Xを乗じて固着量Zを算出する(S34)。
【0110】
ステップS34の後、制御部100は、算出した固着量Zが固着量Zの上限値Zmaxより大きいかを判定する(S35)。
【0111】
ステップS34において、制御部100は、算出した固着量Zが固着量Zの上限値Zmaxより大きいと判定しなかった場合(S35,No)、算出した固着量Zを補正せずに固着量算出処理を終了する。
【0112】
ステップS34において、制御部100は、算出した固着量Zが固着量Zの上限値Zmaxより大きいと判定した場合(S35,Yes)、算出した固着量Zを上限値Zmaxに補正して(S36)、固着量算出処理を終了する。
【0113】
画像形成装置1およびドラムカートリッジ8によれば、感光体ドラム81の表面に固着した固着物の固着量Zの累積値Ztotalをドラムメモリ85に記憶させることで、感光体ドラム81の表面に固着した固着物の影響を考慮してドラムカートリッジ8の寿命を判定することが可能となる。
【0114】
また、制御部100は、標準条件で画像形成されたと判定した場合、固着量Zを算出せず、非標準条件で画像形成されたと判定した場合、固着量Zを算出する。このため、固着量Zが必要以上に算出されず、固着量Zを適切に算出できる。
【0115】
また、制御部100は、算出した固着量Zが固着量Zの上限値Zmaxより大きい場合、固着量Zを固着量Zの上限値Zmaxに補正する。このため、感光体ドラム81の固着量Zが必要以上に大きく算出されてしまうことを抑制できる。
【0116】
なお、本開示は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。
【0117】
上述した実施形態においては、現像カートリッジ9はドラムカートリッジ8に組み付けられた状態で本体筐体2に対して着脱可能であったが、現像カートリッジが本体筐体2に対して単独で装着可能であってもよい。
【0118】
上述した実施形態においては、トナーを収容するトナーカートリッジの一例として現像ローラ91を備える現像カートリッジ9を例示したが、現像カートリッジを備えていないトナーカートリッジにも適用可能である。
【0119】
上述した実施形態においては、ドラムメモリ85が第1記憶領域85A、第2記憶領域85Bおよび第3記憶領域85Cを有していたが、ドラムメモリ85が有する記憶領域の数は、いくつであってもよい。また、各領域に記憶される情報は、例示した以外の情報も含めて任意に決定することができる。
【0120】
前記実施形態では、制御部100は、ドラムカートリッジ8を使用して画像形成された画像形成枚数Xと、感光体ドラム81の回転回数Yと、の両方をドラムメモリ85に記憶させていたが、画像形成枚数Xと回転回数Yとの少なくとも何れかをドラムメモリ85に記憶させる構成としてもよい。この場合には、ドラムメモリ85に記憶された画像形成枚数Xと回転回数Yとの少なくとも何れかと、固着量Zの累積に基づいてドラムカートリッジ8の寿命を判定すればよい。
【0121】
上述した実施形態においては、ドラムメモリがICチップであったが、ドラムメモリは、ICチップに限られない。
【0122】
上述した実施形態においては、画像形成装置として、モノクロ用のレーザプリンタを例示したが、画像形成装置は、カラー用のレーザプリンタであってもよく、コピー機や複合機であってもよい。
【0123】
上述した実施形態においては、エラーメッセージをディスプレイ26に表示していたが、エラーメッセージを他の場所(例えば画像形成装置に接続されたパソコンなど)に表示してもよいし、音声など他の方法でユーザーに報知してもよい。
【0124】
上述した実施形態および変形例で説明した各要素を、任意に組み合わせて実施することもできる。
【符号の説明】
【0125】
1 画像形成装置
2 本体筐体
8 ドラムカートリッジ
23 カバー
26 ディスプレイ
81 感光体ドラム
84 クリーニングローラ
85 ドラムメモリ
100 制御部
110 本体メモリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8