(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161309
(43)【公開日】2023-11-07
(54)【発明の名称】バリスタ
(51)【国際特許分類】
H01C 7/108 20060101AFI20231030BHJP
H01L 21/822 20060101ALI20231030BHJP
C23C 16/40 20060101ALI20231030BHJP
【FI】
H01C7/108
H01L27/04 P
C23C16/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022071619
(22)【出願日】2022-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】521383145
【氏名又は名称】河東田 隆
(71)【出願人】
【識別番号】521383743
【氏名又は名称】齋藤 功
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100114915
【弁理士】
【氏名又は名称】三村 治彦
(74)【代理人】
【識別番号】100125139
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100209808
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 高志
(72)【発明者】
【氏名】河東田 隆
【テーマコード(参考)】
4K030
5E034
5F038
【Fターム(参考)】
4K030BA12
4K030BA42
4K030BB02
4K030CA04
4K030CA12
5E034CB08
5E034CC01
5E034DA07
5E034DB01
5E034EA09
5E034EB04
5F038AR07
5F038AR14
5F038EZ01
5F038EZ02
5F038EZ20
(57)【要約】
【課題】極めて低い値から高い値までの動作電圧を持ち、製造工程数が少なく、安価なバリスタを提供する。
【解決手段】本発明において、半導体として禁制帯幅が3.45eV以上の酸化モリブデンの結晶薄膜が用いられる。酸化モリブデンの結晶薄膜には、1個の上部電極と1個の下部電極、または2個の上部電極が形成される。最も低い動作電圧は1V以下である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の面および前記第1の面に対向する第2の面を有する導電性基板と、
前記第1の面に形成された酸化モリブデンの結晶薄膜と、
前記酸化モリブデンの結晶薄膜上に形成された第1の電極および前記第2の面に形成された第2の電極を含むことを特徴とするバリスタ。
【請求項2】
前記酸化モリブデンの結晶薄膜の厚さに応じてバリスタ電圧が変わることを特徴とする請求項1に記載のバリスタ。
【請求項3】
基板上に形成された酸化モリブデンの結晶薄膜と、
前記酸化モリブデンの結晶薄膜上に形成された少なくとも2個の電極と、を含むことを特徴とするバリスタ。
【請求項4】
前記酸化モリブデンの結晶薄膜上の前記少なくとも2個の電極間の距離に応じてバリスタ電圧が変わることを特徴とする請求項3に記載のバリスタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1V以下の極めて低い電圧値から高い電圧値までの動作電圧をもち、製造工程数が少なく安価なバリスタに関する。
【背景技術】
【0002】
バリスタ(Variable Registor)は、各種電子機器を静電気および雑音から保護するための電子デバイスである。電子機器に基準を超えた電圧の静電気および雑音が印加されると、電子機器が破壊される恐れがある。このため、ほとんどすべての電子機器において、所定の値以上の電圧の静電気および雑音が印加されないようにする対策が必要である。バリスタは、このような電子機器の保護対策のために用いられる防護デバイスであり、保護すべき電子機器に侵入させてはならない基準の電圧をバリスタの動作電圧、あるいはバリスタ電圧という。
【0003】
既存のバリスタのほとんどは、酸化亜鉛(ZnO)の微結晶粒をバインダと呼ばれる接着剤の働きをする物質とともに焼結し、電極を形成して作られる。
図1に既存のバリスタ100の模式図を示す。バリスタ100は、酸化亜鉛の焼結体101、電極102、103を有する。
【0004】
既存のバリスタには、様々な問題が存在する。第1の問題点は、ZnO焼結体を用いた既存のバリスタの動作電圧を低くすることが非常に難しいことである。バリスタに加わる電圧がZnOの降伏電圧に達すると、バリスタに降伏現象が起こる。それまで高抵抗であったバリスタが、低抵抗に変わり、バリスタに電流が流れる。ここで、降伏電圧は、保護すべき電子機器に流れないようにする閾値の電圧である。動作電圧は
図1においてdと示された電極間隔すなわちZnO焼結体の厚さで決まる。電極間隔dが小さいほど動作電圧は低くなる。焼結体の厚さdはその製法からして、小さくすることに限界がある。ZnO焼結体を用いた既存のバリスタの動作電圧は5Vより低くすることが困難な状況にある。
【0005】
一方、世の中には、より低い動作電圧をもつバリスタに対する強い要望がある。その理由は、例えば、スマートフォン等に用いられている集積回路(IC)の消費電力は、その電源電圧の2乗に比例する。ICの消費電力を小さくするために、電源電圧を下げることが望ましい。しかしながら、電源電圧より小さい動作電圧をもつバリスタがないとICを保護することができないため、電源電圧を小さくすることができない。このように、ICの消費電力が大きくなり、例えば、スマートフォンは短時間の使用ごとに充電しなければならなくなる。他の電子機器についても同様で、使っているICの電源電圧を小さくすることができれば、消費電力を下げることができる。これにより、電子機器の機能を増やしたり、使用時間を長くすることができる。したがって、ICの電源電圧を下げるために、動作電圧の低いバリスタを実現することには、社会の強い要請がある。しかしながら、既存のZnO焼結体を用いたバリスタでは、上記のようにこの要請に応えることが難しい。
【0006】
第2の問題点は、ZnO焼結体を用いた既存のバリスタは、静電容量が大きいことである。ZnO焼結体を用いたバリスタには、粒界と呼ばれる界面が極めて多く存在する。粒界はZnO結晶とバインダ、あるいはZnO結晶粒どうしの界面である。動作電圧以上の静電気または雑音が入ってくるとバリスタに降伏現象が起こり、バリスタが低抵抗になり電流が流れる。その際、ZnO結晶粒と粒界とでコンデンサが形成される。粒界はきわめて多数であるため、バリスタ全体での静電容量が非常に大きくなる。バリスタの静電容量が大きいと、高い周波数の静電気および雑音には追随できず、直流的にはバリスタの応答速度が遅くなる。したがって、既存のバリスタには、使用できる静電気または雑音の周波数が限られ、高速応答が要求される用途には対応できないという問題がある。
【0007】
第3の問題点は、既存のZnO焼結体を用いたバリスタの製造工程が複雑なことである。ZnO焼結体を用いたバリスタの製造工程において、まず、ZnOの結晶粒を作り、所望の動作電圧にあわせた厚さに、バインダとともに焼結するという工程が必要である。そのため、工程数が多くなり、バリスタの価格を上げるという結果になっている。
【0008】
第4の問題点は、既存のZnO焼結体を用いたバリスタの特性の均一性である。あらかじめ作る結晶粒の大きさを一様にそろえることと、さらにそれを焼結する際の結晶粒の分布を均一にすることとを、高い精度で行うことは非常に困難である。そのため、できあがったバリスタの動作電圧や静電容量の均一性は低い。このため、保護すべき電子回路および機器にバリスタを使用する際、バリスタの信頼度を下げることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第4351869号公報
【特許文献2】特許第5089020号公報
【特許文献3】特許第4576201号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は以下の条件を満たすバリスタを実現することを目的とする。
(1)低い動作電圧から高い動作電圧まで、動作電圧が設計できる。特に、低い動作電圧に関しては、既存のバリスタが持つ動作電圧より著しく低い値を持つことができる。
(2)既存のバリスタがもつ静電容量より、著しく小さい静電容量を持つ。
(3)製造工程が複雑でなく、安価である。
(4)特性の均一性が良い。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題は、本発明にしたがって、バリスタの半導体として酸化モリブデンの結晶薄膜を用いることにより解決される。酸化モリブデンに関しては、特許文献1、特許文献2、特許文献3において述べられる。
【0012】
これらの文献に述べられているように、酸化モリブデン、特に室温で安定に存在する3酸化モリブデンは、3.45eV以上の禁制帯幅を持ち、ドーピングをしない場合、抵抗率は106Ω・cmオーダーと高抵抗である。また、700℃以下の低温で、気相成長法により、単結晶薄膜が形成できるという特徴をもつ。さらに、3酸化モリブデンの単結晶薄膜を形成する際、基板としてシリコン(Si)を用いることができるというきわめて優利な特徴をもつ。シリコンは非常に安価である。主な工程は、600~700℃に設定した石英管内にモリブデン又はあらかじめ酸化したモリブデンを置き、モリブデンより約100℃低い領域に基板を置き、酸素又は酸素と窒素あるいはアルゴンの混合気体を流すだけで酸化モリブデンの単結晶薄膜が形成することができる。薄膜を形成した基板に、1個の上部電極と基板裏面に1個の下部電極を形成する、あるいは酸化モリブデン結晶薄膜の上に2個の上部電極を形成するだけでバリスタを製造することができる。このように、工程数はきわめて少ない。また、モリブデンは1gが100円未満と非常に安価であるから、製造したバリスタは非常に安価である。
【0013】
3酸化モリブデン(MoO3)の結晶薄膜を用いた場合、バリスタの動作電圧は結晶薄膜の厚さあるいは2つの上部電極の間隔で制御することができる。結晶薄膜はミクロン以下の薄いものから厚いものまで形成できるから、上述の解決しようとする課題(1)は、容易に解決できる。また、結晶の薄膜をバリスタに用いれば、既存のZnO焼結体に多数存在する結晶粒界は存在しないから、バリスタの静電容量は著しく小さくなり、上述の解決しようとする課題(2)は容易に解決できる。
【0014】
また、酸化モリブデンの結晶薄膜は、基板上に直接形成できるから、既存のZnO焼結体を用いる場合に比べ、工程数は少なくかつ単純である。したがって、上述の解決しようとする課題(3)も容易に解決できる。
【0015】
さらに、基板上に形成される酸化モリブデンの結晶薄膜の厚さは、高い精度で均一にできるので、酸化モリブデンの結晶薄膜を用いたバリスタの特性も均一で、既存のZnO焼結体を用いたバリスタにある不均一性の問題はない。すなわち、上述の解決しようとする課題(4)も解決される。
【0016】
なお、上述の文献には、バイポーラトランジスタ、電界効果トランジスタ、サイリスタに酸化モリブデンを用いた場合の具体的な実施例が示されており、酸化モリブデンがバリスタにも応用可能であることは、述べられているが、バリスタに応用した具体例は述べられていない。その理由は、酸化モリブデン結晶簿膜をバリスタに応用しようとした場合、明らかにしなければならない以下のような点があるからである。
【0017】
(1)酸化モリブデンを用いたバリスタの基本的な構造、すなわち基板の物質や結晶学的構造、電極材料と形成方法等を明らかにする必要がある。
【0018】
(2)酸化モリブデン結晶薄膜をバリスタに用いた場合、バリスタ動作をすることを確認する必要がある。すなわち、酸化モリブデンは700℃以下の低温で形成されるが、結晶成長論的には一般に、低温で形成された結晶はトラップ等の欠陥を多く含み、そのようなものがバリスタ動作を示すか明らかになっていない。また、酸化モリブデン内の降伏現象で電流が流れるのではなく、端面を通って流れ、バリスタ動作を示さない可能性がある。
【0019】
(3)バリスタは通常動作電圧の10倍程度の静電気や雑音が加わっても、電気的降伏現象のみが起こり、破壊されることなく、静電気や雑音が除かれれば、可逆的に回復しなければならないが、酸化モリブデンを用いたバリスタでは、そのようなことが確認されていない。
【0020】
(4)酸化モリブデンを用いたバリスタの製造工程が、既存のZnO焼結体を用いたものより、低価格のバリスタを実現するものであることを明らかにする必要がある。
【0021】
本発明は、酸化モリブデン結晶薄膜を用いたバリスタを実際に製造し、評価することにより、上記の点をすべて明らかにしたもので、上記の文献では明らかにされていなかったものである。
【0022】
本発明の一観点によれば、第1の面および前記第1の面に対向する第2の面を有する導電性基板と、前記第1の面に形成された酸化モリブデンの結晶薄膜と、前記酸化モリブデンの結晶薄膜上に形成された第1の電極および前記第2の面に形成された第2の電極を含むことを特徴とするバリスタが提供される。
【0023】
本発明の他の観点によれば、基板上に形成された酸化モリブデンの結晶薄膜と、前記酸化モリブデンの結晶薄膜上に形成された少なくとも2個の電極と、を含むことを特徴とするバリスタが提供される。
【発明の効果】
【0024】
本発明により、既存のバリスタに比べ、著しく優れたバリスタが実現される。本発明のバリスタは(1)既存のバリスタより著しく低い動作電圧から高い動作電圧をもつことができる。(2)静電容量は既存のバリスタより、著しく小さい。(3)既存のバリスタに比べ、製造工程が単純で、そのためバリスタは安価である。(4)特性の均一性が優れている。以上のような優れた特徴をもつバリスタが、実現される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、既存のバリスタの構造の模式図である。
【
図2】
図2は、本発明の第1の実施例であるバリスタの構造の概略を示す図である。
【
図3】
図3は、
図2の下部電極と上部電極との間に所定のインパルス電圧を印加した場合の電流波形であり、インパルス吸収波形を示す図である。
【
図4】
図4は、本発明の第2の実施例であるバリスタの構造の概略を示す図である。
【
図5】
図5は、
図4における2個の上部電極間に所定のインパルス電圧を印加した場合の電流波形であり、インパルス吸収波形を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図2は、本発明の第1の実施例におけるバリスタ200の構造の概略を示す図である。
図2において、基板201はシリコン(Si)から成る。基板201は低い抵抗率をもつことが望ましく、結晶の面指数は特に限定されない。基板201の上には、酸化モリブデン結晶薄膜202が形成されている。酸化モリブデン結晶薄膜202は先に示した特許文献3に述べられている気相成長法により形成された。酸化モリブデン結晶薄膜202の化学組成はMoO
3であり、構造は単結晶である。酸化モリブデン結晶薄膜202の厚さtは、バリスタの動作電圧に対応して、1μm以下から数10μmまで変化させる。酸化モリブデン結晶薄膜202の抵抗率は、ドーピングを行わない場合の10
6Ω・cmから、ドーピングをした場合のn形10
3Ω・cmまで、変えることができる。
【0027】
なお、基板201をSiとしたが、基板201はSiに限られず、ガリウムひ素(GaAs)、インジウムリン(InP)、ガリウムリン(GaP)、ガリウム窒化物(GaN)、シリコン炭化物(SiC)、有機化合物半導体等入手が容易な他の半導体を用いてもよい。
【0028】
図2において、基板201には下部電極203が形成されている。本実施例において、下部電極203は金で形成したが、Siに対してオーム性を示す電極であれば、金以外の材料を用いて差支えない。また、形成方法も通常Siに対してオーム性を示す電極の形成方法であれば、特定の方法に限定されない。下部電極203は基板201の全面に形成する。
【0029】
酸化モリブデン結晶薄膜202の上部には上部電極204が形成される。上部電極204は金で形成したが、酸化モリブデンと低抵抗の電極を形成することができる金属であれば、金以外の金属を用いて形成してもよい。
【0030】
図3は下部電極203と上部電極204の間に所定のインパルス電圧を印加した場合の下部電極203と上部電極204の間に流れる電流波形であり、すなわちインパルス吸収波形を示す。曲線205はインパルス電圧曲線、曲線206は電流を表す。横軸は時間(μs)であり、縦軸は電流(mA)または電圧(V)である。この図の場合、インパルス電圧が0.7V以下の時は電流は流れず、0.7Vを越えると電流が流れる。再び電圧が0.7V以下になると、電流は流れない。すなわち、
図3は
図2の構造がバリスタ動作をしていることを表している。
【0031】
この図の場合、電流が流れ始める電圧0.7Vがバリスタ電圧となる。この実施例の場合、バリスタ電圧は
図2に示す酸化モリブデン結晶薄膜202の厚さtによって決まる。
【0032】
図4は本発明の第2の実施例であるバリスタ300の構造の概略を示す図である。
図4において、基板301はSiから成る。基板301は第1の実施例と同様のものであるが、低抵抗である必要はない。基板301の上部には酸化モリブデン結晶薄膜302が形成される。酸化モリブデン結晶薄膜302が形成できれば、基板301はSiに限定されない。基板301は、ガリウムひ素(GaAs)、インジウムリン(InP)、ガリウムリン(GaP)、ガリウム窒化物(GaN)、シリコン炭化物(SiC)、有機化合物半導体等入手が容易な他の半導体を用いてもよい。
【0033】
酸化モリブデン結晶薄膜302上には2個の上部電極303および上部電極304が形成されている。上部電極303および上部電極304は金で形成したが、酸化モリブデンと低抵抗の電極を形成するものであれば、任意の金属で形成してよい。2個の上部電極303および上部電極304の形状は、円形が望ましいが、円形に限定されない。また、酸化モリブデン結晶薄膜302の上部に設けられる上部電極303および上部電極304の数は2個に限定されず、複数個の上部電極303および上部電極304であってもよい。
【0034】
図5は
図4における2個の上部電極303および上部電極304間に所定のインパルス電圧を印加した場合の上部電極303および上部電極304間に流れる電流波形を表す。曲線305はインパルス電圧、曲線306は上部電極303および上部電極304間に流れる電流を表す。横軸は時間(μs)であり、縦軸は電流(mA)または電圧(V)である。
【0035】
この図の場合、インパルス電圧が3.2V以下の時は電流は流れず、3.2Vを越えると電流が流れる。電圧が再び3.2V以下になると、電流は流れない。すなわち、
図5は
図4の構造がバリスタ動作をしていることを表している。この図の場合、電流が流れ始める電圧3.2Vがバリスタ電圧である。
【0036】
この実施例の場合、バリスタ電圧は2個の電極の大きさおよび電極間の距離で決まる。
図5の場合、2個の上部電極303および上部電極304は半径0.2mmの円形であり、上部電極303および上部電極304の電極間の距離lは1.0mmである。
【0037】
以上のように、酸化モリブデン結晶を用いることにより、低い動作電圧から高い動作電圧をもつバリスタが実現できる。特に低い動作電圧に関しては、既存のバリスタが持つ動作電圧より、著しく低い値を持つことができる。
【0038】
また、既存のバリスタがもつ静電容量より、著しく低い静電容量を持つ。本発明のバリスタは製造工程が複雑でなく、安価である。さらに、本発明のバリスタは均一性が非常によい。
【符号の説明】
【0039】
100 既存のバリスタ
101 酸化亜鉛焼結体
102 電極
103 電極
200 第1の実施例のバリスタ
201 基板
202 酸化モリブデン結晶薄膜
203 下部電極
204 上部電極
205 インパルス電圧曲線
206 曲線
300 第2の実施例のバリスタ
301 基板
302 酸化モリブデン結晶薄膜
303 電極
304 電極
305 インパルス電圧曲線
306 曲線