(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161323
(43)【公開日】2023-11-07
(54)【発明の名称】建物のコーナー部の構造及び柱カバー
(51)【国際特許分類】
E04F 13/08 20060101AFI20231030BHJP
【FI】
E04F13/08 U
E04F13/08 101Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022071641
(22)【出願日】2022-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】000004673
【氏名又は名称】パナソニックホームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156225
【弁理士】
【氏名又は名称】浦 重剛
(74)【代理人】
【識別番号】100168549
【弁理士】
【氏名又は名称】苗村 潤
(74)【代理人】
【識別番号】100200403
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 幸信
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 寛
(72)【発明者】
【氏名】永野 俊夫
(72)【発明者】
【氏名】古田 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】山西 宏和
(72)【発明者】
【氏名】小林 孝至
【テーマコード(参考)】
2E110
【Fターム(参考)】
2E110AA09
2E110AA14
2E110AA28
2E110AA48
2E110AB04
2E110AB22
2E110AB26
2E110AB27
2E110BA12
2E110BA13
2E110BA15
2E110BB03
2E110BB05
2E110CA03
2E110CA04
2E110CA09
2E110CA17
2E110CA18
2E110CA22
2E110CA30
2E110CC04
2E110DA12
2E110DA16
2E110DC12
2E110DC21
2E110DD01
2E110EA04
2E110GA33W
2E110GA33Y
2E110GA34W
2E110GB02Y
2E110GB26W
2E110GB62Y
(57)【要約】
【課題】 長期に亘って外装部の剥落等を抑制することができる建物のコーナー部の構造及び柱カバーを提供する。
【解決手段】 建物の第1外壁面3と第2外壁面4とが交わるコーナー部の構造1である。コーナー部に配された柱5と、柱5を覆う柱カバー6と、柱カバー6の外側に配され、かつ、柱カバー6に固着された下地材7と、下地材7の外側に配されて第1外壁面3及び第2外壁面4を形成する外装部8とを含み、柱カバー6は、第1外壁面3に沿って延びる第1部材17と、第2外壁面4に沿って延びる第2部材18とを一体に備えており、第1部材17と第2部材18の少なくとも一方が、下地材7に固着された基準面19と、基準面19から建物内側に窪んで上下に延びる第1凹部20とを備え、第1凹部20と下地材7との間に上下に延びる第1通気部22が形成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の第1外壁面と第2外壁面とが交わるコーナー部の構造であって、
前記コーナー部に配された柱と、
前記柱を覆う柱カバーと、
前記柱カバーの外側に配され、かつ、前記柱カバーに固着された下地材と、
前記下地材の外側に配されて前記第1外壁面及び前記第2外壁面を形成する外装部とを含み、
前記柱カバーは、前記第1外壁面に沿って延びる第1部材と、前記第2外壁面に沿って延びる第2部材とを一体に備えており、
前記第1部材と前記第2部材の少なくとも一方が、前記下地材に固着された基準面と、前記基準面から建物内側に窪んで上下に延びる第1凹部とを備え、
前記第1凹部と前記下地材との間に上下に延びる第1通気部が形成されている、
建物のコーナー部の構造。
【請求項2】
前記第1部材と前記第2部材の双方が、前記基準面と、前記第1凹部とを含む、請求項1に記載の建物のコーナー部の構造。
【請求項3】
前記柱カバーは、前記第1部材と前記第2部材とが交わる頂部を含み、
前記頂部は、前記下地材との間に上下に延びる第2通気部を形成するように、前記下地材から建物内側に窪んだ第2凹部を備える、請求項1又は2に記載の建物のコーナー部の構造。
【請求項4】
前記第2凹部は、前記第2通気部の断面が三角形状となるような面取り部であり、かつ、前記面取り部の幅が10~20mmである、請求項3に記載の建物のコーナー部の構造。
【請求項5】
前記柱カバーは、鋼板からなる、請求項1又は2に記載の建物のコーナー部の構造。
【請求項6】
前記外装部は、前記下地材に接着剤を介して固着されたタイルを含む、請求項1又は2に記載の建物のコーナー部の構造。
【請求項7】
前記外装部は、無機塗装からなる塗膜を含む、請求項1又は2に記載の建物のコーナー部の構造。
【請求項8】
建物の第1外壁面と第2外壁面とが交わるコーナー部に配された柱を覆う柱カバーであって、
前記第1外壁面に沿って延びる第1部材と、
前記第2外壁面に沿って延びる第2部材とを一体に備えており、
前記第1部材と前記第2部材の少なくとも一方が、基準面と、前記基準面から建物内側に窪んで上下に延びる第1凹部とを備える、
柱カバー。
【請求項9】
前記第1部材と前記第2部材の双方が、前記基準面と、前記第1凹部とを含む、請求項8に記載の柱カバー。
【請求項10】
前記柱カバーは、前記第1部材と前記第2部材とが交わる頂部を含み、
前記頂部は、面取り部を備えており、
前記面取り部の幅が10~20mmである、請求項9に記載の柱カバー。
【請求項11】
前記柱カバーは、鋼板からなる、請求項8又は9に記載の柱カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物のコーナー部の構造及び柱カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プレハブ住宅等の建物のコーナー部としては、前記コーナー部に配された柱と、前記柱を覆う柱カバーと、前記柱カバーの外側に配され、かつ、前記柱カバーに固着された下地材と、前記下地材の外側に配された外装部とを含むものがある。前記外装部は、例えば、前記下地材の表面全面に塗布された接着剤と、前記接着剤にて固着されたタイルとを含む。関連する技術として、下記の特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記コーナー部では、2つの外壁面は、それぞれ異なる日射を受ける。このため、2つの外壁面の表面の温度差による応力集中等により、前記下地材の上の接着剤の一部に微小な亀裂が生じることがある。この微小な亀裂から進入した雨水が前記下地材で吸収されると、凍害等の影響により、前記接着剤にさらなる剥離が進行し、ひいては、前記タイル等の外装部の剥落を生じさせるおそれがある。
【0005】
本発明は、以上のような実情に鑑み案出なされたもので、長期に亘って外装部の剥落等を抑制することができる建物のコーナー部の構造及び柱カバーを提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、建物の第1外壁面と第2外壁面とが交わるコーナー部の構造であって、前記コーナー部に配された柱と、前記柱を覆う柱カバーと、前記柱カバーの外側に配され、かつ、前記柱カバーに固着された下地材と、前記下地材の外側に配されて前記第1外壁面及び前記第2外壁面を形成する外装部とを含み、前記柱カバーは、前記第1外壁面に沿って延びる第1部材と、前記第2外壁面に沿って延びる第2部材とを一体に備えており、前記第1部材と前記第2部材の少なくとも一方が、前記下地材に固着された基準面と、前記基準面から建物内側に窪んで上下に延びる第1凹部とを備え、前記第1凹部と前記下地材との間に上下に延びる第1通気部が形成されている、建物のコーナー部の構造である。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、上記の構成を採用したことにより、長期に亘って外装部の剥落等を抑制することができる建物のコーナー部の構造及び柱カバーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態の建物のコーナー部の構造を示す断面図である。
【
図2】第1実施形態の柱カバーを示す斜視図である。
【
図3】第2実施形態の建物のコーナー部の構造を示す断面図である。
【
図4】第3実施形態の建物のコーナー部の構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。図面は、発明の内容の理解を助けるために、誇張表現や、実際の構造の寸法比とは異なる表現が含まれることが理解されなければならない。また、各実施形態を通して、同一又は共通する要素については同一の符号が付されており、重複する説明が省略される。さらに、実施形態及び図面に表された具体的な構成は、本発明の内容理解のためのものであって、本発明は、図示されている具体的な構成に限定されるものではない。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態の建物のコーナー部の構造(以下、単に「コーナー部の構造」ということがある。)1を示す断面図である。
図1では、コーナー部の水平方向の断面が示されている。
【0011】
[建物]
本実施形態のコーナー部2の構造1が設けられる建物は、住宅である場合が例示される。なお、建物は、住宅に限定されるわけではなく、例えば、ビル等であってもよい。本実施形態の建物には、第1外壁面3と、第2外壁面4とが設けられている。
【0012】
[建物のコーナー部の構造(第1実施形態)]
図1に示されるように、本実施形態の建物のコーナー部2は、第1外壁面3と第2外壁面4とが交わる角の部分である。
図1において、建物のコーナー部2の角度αは、第1外壁面3と第2外壁面4とがなす角度である。角度αは、80~100度(本例では、90度)に設定されるが、これに限定されない。
【0013】
コーナー部の構造1は、柱5と、柱カバー6と、下地材7と、外装部8とを含んでいる。さらに、本実施形態のコーナー部の構造1は、木桟11と固着具12とを含んでいる。
【0014】
柱5は、建物のコーナー部2に配されている。柱5は、建物の荷重を支えるためのものである。本実施形態の柱5は、第1柱9と、第2柱10とを含んでいる。本実施形態の第1柱9及び第2柱10のそれぞれは、例えば、2つの溝形鋼で構成されており、これらのウエブ同士を当接させて(溝形鋼を背中合わせにして)一体に形成されているが、特に限定されない。
【0015】
図2は、本実施形態の柱カバー6の斜視図である。本実施形態の柱カバー6は、柱カバー6の長手方向が建物の上下方向となるような形状である。
図1及び
図2に示されるように、柱カバー6は、柱5を覆うためのものである。本実施形態の柱カバー6は、第1部材17と、第2部材18とを含み、これらを一体に備えている。第1部材17は、第1外壁面3に沿って延びるように設けられている。一方、第2部材18は、第2外壁面4に沿って延びるように設けられている。これらの第1部材17と第2部材18の少なくとも一方は、基準面19と、第1凹部20とを含んでいる。本実施形態では、第1部材17及び第2部材18の双方が、基準面19と、第1凹部20とを含んでいる。
【0016】
基準面19は、下地材7に固着されている。本実施形態の基準面19は、第1部材17又は第2部材18が下地材7と対向する面として形成されている。一方、第1凹部20は、基準面19から建物内側に窪んで上下に延びている。本実施形態の第1凹部20は、建物の外壁面(第1外壁面3及び第2外壁面4)に沿う水平方向において、間隔を空けて複数設けられている。本実施形態の第1凹部20は、断面形状が矩形状であるが、これに限定されるわけではなく、例えば、半円状等であっても良い。
【0017】
本実施形態の柱カバー6は、さらに、頂部21を含んでいる。頂部21は、第1部材17と第2部材18とが交わる箇所である。
【0018】
図1に示されるように、下地材7は、柱カバー6の外側に配されており、柱カバー6に固着されている。本実施形態の下地材7は、柱カバー6の第1部材17と第2部材18に固着されている。本実施形態では、下地材7は、第1部材17と第2部材18とが下地材7に当接する面である基準面19に固着されている。したがって、第1部材17及び第2部材18の第1凹部20は、下地材7とは固着されていない。これにより、第1凹部20と下地材7との間に、上下に延びる第1通気部22が形成される。本実施形態の第1通気部22は、例えば、外気などの空気が通過可能に形成される。
【0019】
外装部8は、下地材7の外側に配されており、建物の外壁面(第1外壁面3及び第2外壁面4)を形成している。本実施形態の外装部8は、下地材7の外側に、接着剤23で固着されて設けられている。外装部8は、第1外壁面3と第2外壁面4とを含んでいる。外装部8は、例えば、下地材7に接着剤23を介して固着されたタイル24である。
【0020】
木桟11は、柱5に柱カバー6を固定するための木材である。本実施形態の木桟11は、第1木桟13と、第2木桟14とを含む。第1木桟13は、第1柱9に沿って固定されている。一方、第2木桟14は、第2柱10に沿って固定されている。
【0021】
固着具12は、例えば、ビスやねじ等である。本実施形態の固着具12は、第1固着具15と、第2固着具16とを含む。
【0022】
第1固着具15は、柱カバー6の一端を、第1木桟13に固定している。一方、第2固着具16は、柱カバー6の他端を、第2木桟14に固定している。
【0023】
[建物のコーナー部の構造及び柱カバーの作用]
次に、本実施形態のコーナー部の構造1及び柱カバー6が、どのように長期に亘って外装部8の剥落等を抑制することができるかが説明される。
【0024】
本実施形態のコーナー部の構造1は、第1通気部22を介して、柱カバー6と下地材7との間に溜まった雨水を乾燥させる。さらに、コーナー部の構造1は、第1通気部22を介して、下地材7内部の水分も乾燥させる。そうすると、下地材7は、凍害の影響を受けにくくなる。これにより、コーナー部の構造1は、凍害による下地材7の膨張変形を抑制できる。このように、下地材7の体積が変化しにくくなることで、接着剤23が応力集中を受けにくくなり、接着剤23の剥離が抑制される。これにより、コーナー部の構造1(及び柱カバー6)は、長期に亘って外装部8の剥落等を抑制する。
【0025】
[第2凹部]
柱カバー6の頂部21は、下地材7から建物内側に窪んだ第2凹部25を備えていることが、好ましい。そうすることで、頂部21には、下地材7と第2凹部25との間に上下に延びる第2通気部26が形成されうる。本実施形態の第2通気部26は、例えば、外気などの空気が通過可能に形成される。このような第2通気部26は、第1通気部22とともに、より多くの通気量を得ることができる。したがって、本実施形態のコーナー部の構造1(及び柱カバー6)は、外装部8の剥落等をより長期間に亘って抑制することができる。
【0026】
第2凹部25は、柱カバー6に備えられた面取り部27によって形成されるのが好ましい。これにより、第2凹部25を容易に形成することができる。本実施形態の面取り部27は、第2通気部26の断面が三角形状となるように形成されるのが好ましい。これにより、例えば、半円状に形成される場合に比べて、第2凹部25を容易に形成できる。面取り部27の幅Wは、10~20mmであることが、より好ましい。面取り部27の幅Wが10mm以上に設定されることで、通気量を十分確保できる。一方、面取り部27の幅Wが20mm以下に設定されることで、柱カバー6の強度を十分に保つことができる。
【0027】
[鋼板]
柱カバー6は、鋼板で形成されていることが、好ましい。これにより、柱カバー6は、下地材7をより拘束する効果が得られる。また、柱カバー6は、火災発生時の燃え広がりを防止する効果が得られる。
【0028】
本実施形態の柱カバー6は、鋼板で形成されることにより、例えば、合板で形成されている場合に比べ、熱伝導率を大きくすることができる。これにより、例えば、第1外壁面3と第2外壁面4とで日射量が異なる場合でも、第1外壁面3の内側に配される第1部材17と、第2外壁面4の内側に配される第2部材18との温度差を小さくでき、ひいては、第1外壁面3と第2外壁面4との表面の温度差を小さくできる。したがって、第1外壁面3及び第2外壁面4を形成している外装部8の接着剤23は、応力集中を受けにくくなり、微小な亀裂の発生が抑制されうる。これにより、本実施形態のコーナー部の構造1(及び柱カバー6)は、長期に亘って外装部8の剥落等を抑制する。
【0029】
[タイル]
本実施形態のように、外装部8がタイル24を含む場合には、下地材7の内部に進入した雨水(水分)が建物外部に放出されることなく、下地材7の内部に滞留する傾向がある。しかしながら、本実施形態では、第1通気部22(及び第2通気部26)により、上述の下地材7の内部に浸入した水分を乾燥させることができるため、長期に亘って、タイル24の剥落を抑制することができる。
【0030】
[建物のコーナー部の構造(柱カバー)(第2実施形態)]
これまでの実施形態では、第1部材17及び第2部材18の双方が、基準面19と、第1凹部20とを備える態様が例示されたが、このような態様に限定されない。この実施形態では、第1部材17と第2部材18の一方のみに、基準面19と、第1凹部20とを備えていてもよい。
図3は、本発明の他の実施形態のコーナー部の構造1を示す断面図である。
【0031】
この実施形態では、第1外壁面3と第2外壁面4のうち、第1外壁面3が、日射のよく当たる南側に面している。この実施形態では、第1外壁面3に沿って延びる第1部材17に、基準面19と、第1凹部20とが備えられており、第1通気部22が形成されている。
【0032】
この実施形態では、第1外壁面3が多くの日射を受けるため、第1通気部22内部の空気に上昇気流が発生しやすい。これにより、第1通気部22は、例えば、第1外壁面3が南側に面していない場合に比べて、より多くの空気を流す。これにより、柱カバー6と下地材7との間に溜まった雨水や下地材7内部の水分を乾燥させることができる。したがって、コーナー部の構造1(柱カバー6)は、長期に亘って外装部8の剥落等を抑制する。
【0033】
[建物のコーナー部の構造(柱カバー)(第3実施形態)]
これまでの実施形態では、柱カバー6が、鋼板で形成されたが、このような態様に限定されない。
図4は、第3実施形態のコーナー部の構造1である。
【0034】
この実施形態の柱カバー6は、合板で形成されている。第1凹部20は、第1部材17及び第2部材18に溝状に彫られて設けられている。第2凹部25は、頂部21を削り取られて設けられている。このような柱カバー6が設けられたコーナー部の構造1は、これまでの実施形態と同様に、下地材7内部の水分を乾燥させることができ、長期に亘って外装部8の剥落等を抑制する。さらに、この実施形態では、柱カバー6が合板で形成されるため、例えば、鋼板で形成される場合に比べて、コストを低減することができる。なお、この実施形態では、第1部材17及び第2部材18の双方が、基準面19と、第1凹部20とを備えているが、いずれか一方のみに、基準面19と、第1凹部20とを備えていてもよい。
【0035】
[建物のコーナー部の構造(柱カバー)(第4実施形態)]
これまでの実施形態では、外装部8が、タイル24を含む場合が例示されたが、このような態様に限定されない。例えば、外装部8が、無機塗装からなる塗膜(以下、単に「塗膜」ということがある。)を含んでもよい。
【0036】
例えば、塗膜に劣化部分が存在する場合、その劣化部分から雨水が進入する場合がある。塗膜は、下地材7に進入した雨水(水分)が建物外部に放出されることを妨げる傾向がある。しかしながら、この実施形態では、第1通気部22(及び第2通気部26)により、上述の下地材7の内部に浸入した水分を乾燥させることができるため、長期に亘って塗膜の劣化を抑制することができる。
【0037】
以上、本発明の実施形態が詳細に説明されたが、本発明は、上記の具体的な開示に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範囲内において、種々変更して実施することができる。本実施形態のコーナー部2を構成する柱5は、第1柱9及び第2柱10で構成されたが、このような態様に限定されるわけではなく、例えば、建物の構造に応じて、1つの柱のみで構成されてもよいし、他の柱が含まれてもよい。
【0038】
[付記]
本発明は以下の態様を含む。
【0039】
[本発明1]
建物の第1外壁面と第2外壁面とが交わるコーナー部の構造であって、
前記コーナー部に配された柱と、
前記柱を覆う柱カバーと、
前記柱カバーの外側に配され、かつ、前記柱カバーに固着された下地材と、
前記下地材の外側に配されて前記第1外壁面及び前記第2外壁面を形成する外装部とを含み、
前記柱カバーは、前記第1外壁面に沿って延びる第1部材と、前記第2外壁面に沿って延びる第2部材とを一体に備えており、
前記第1部材と前記第2部材の少なくとも一方が、前記下地材に固着された基準面と、前記基準面から建物内側に窪んで上下に延びる第1凹部とを備え、
前記第1凹部と前記下地材との間に上下に延びる第1通気部が形成されている、
建物のコーナー部の構造。
[本発明2]
前記第1部材と前記第2部材の双方が、前記基準面と、前記第1凹部とを含む、本発明1に記載の建物のコーナー部の構造。
[本発明3]
前記柱カバーは、前記第1部材と前記第2部材とが交わる頂部を含み、
前記頂部は、前記下地材との間に上下に延びる第2通気部を形成するように、前記下地材から建物内側に窪んだ第2凹部を備える、本発明1又は2に記載の建物のコーナー部の構造。
[本発明4]
前記第2凹部は、前記第2通気部の断面が三角形状となるような面取り部であり、かつ、前記面取り部の幅が10~20mmである、本発明3に記載の建物のコーナー部の構造。
[本発明5]
前記柱カバーは、鋼板からなる、本発明1ないし4のいずれかに記載の建物のコーナー部の構造。
[本発明6]
前記外装部は、前記下地材に接着剤を介して固着されたタイルを含む、本発明1ないし5のいずれかに記載の建物のコーナー部の構造。
[本発明7]
前記外装部は、無機塗装からなる塗膜を含む、本発明1ないし6のいずれかに記載の建物のコーナー部の構造。
[本発明8]
建物の第1外壁面と第2外壁面とが交わるコーナー部に配された柱を覆う柱カバーであって、
前記第1外壁面に沿って延びる第1部材と、
前記第2外壁面に沿って延びる第2部材とを一体に備えており、
前記第1部材と前記第2部材の少なくとも一方が、基準面と、前記基準面から建物内側に窪んで上下に延びる第1凹部とを備える、
柱カバー。
[本発明9]
前記第1部材と前記第2部材の双方が、前記基準面と、前記第1凹部とを含む、本発明8に記載の柱カバー。
[本発明10]
前記柱カバーは、前記第1部材と前記第2部材とが交わる頂部を含み、
前記頂部は、面取り部を備えており、
前記面取り部の幅が10~20mmである、本発明9に記載の柱カバー。
[本発明11]
前記柱カバーは、鋼板からなる、本発明8ないし10のいずれかに記載の柱カバー。
【符号の説明】
【0040】
1 建物のコーナー部の構造
3 第1外壁面
4 第2外壁面
5 柱
6 柱カバー
7 下地材
8 外装部
17 第1部材
18 第2部材
19 基準面
20 第1凹部
21 頂部
22 第1通気部
23 接着剤
24 タイル
25 第2凹部
26 第2通気部
27 面取り部