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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161379
(43)【公開日】2023-11-07
(54)【発明の名称】回転電機
(51)【国際特許分類】
   H02K 19/38 20060101AFI20231030BHJP
   H02K 16/00 20060101ALI20231030BHJP
   H02K 19/26 20060101ALI20231030BHJP
【FI】
H02K19/38
H02K16/00
H02K19/26 A
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022071732
(22)【出願日】2022-04-25
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】000195959
【氏名又は名称】西芝電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174104
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 康一
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸本 勝
(72)【発明者】
【氏名】末長 良輔
【テーマコード(参考)】
5H619
【Fターム(参考)】
5H619AA10
5H619BB02
5H619BB13
5H619PP10
5H619PP36
5H619PP38
(57)【要約】
【課題】回転軸の振動を抑制する。
【解決手段】発電機1は、発電機フレーム4内部において、回転軸14に固定された副励磁機回転子34と、副励磁機回転子34の外周側に配された副励磁機固定子32と、副励磁機28の外周側に配された交流励磁機固定子20と、交流励磁機固定子20の外周側に配された交流励磁機回転子22とを設ける。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流励磁機と、励磁電源用の副励磁機とを備えたブラシレス回転電機において、
発電機フレーム内部において、回転軸に固定された副励磁機回転子鉄心と、該副励磁機回転子鉄心の外周側に設けられた永久磁石とから構成される磁極を備えた副励磁機回転子と、
前記発電機フレーム内部における、前記副励磁機回転子の外周側において、磁性鋼板が軸方向に積層され形成された副励磁機固定子鉄心と該副励磁機固定子鉄心に設けられたスロットに収められた副励磁機固定子巻線とから構成される副励磁機固定子と、
前記発電機フレーム内部における、前記副励磁機の外周側において、磁性鋼板が軸方向に積層され形成された交流励磁機固定子鉄心と該交流励磁機固定子鉄心に設けられたスロットに収められた交流励磁機固定子巻線とから構成される交流励磁機固定子と、
前記発電機フレーム内部における、前記交流励磁機固定子の外周側において、磁性鋼板が軸方向に積層され形成された交流励磁機回転子鉄心と該交流励磁機回転子鉄心に設けられたスロットに収められた交流励磁機回転子巻線とから構成される交流励磁機回転子と
を有することを特徴とする回転電機。
【請求項2】
前記副励磁機固定子の外周側と前記交流励磁機固定子の内周側との間に設けられ、前記発電機フレームに支持され、前記副励磁機固定子及び前記交流励磁機固定子を支持するブラケットと、
前記軸方向の一端側に開口部が形成され、前記軸方向の他端側に前記回転軸に固定された固定部が形成され、前記交流励磁機回転子を保持する保持環と
をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の回転電機。
【請求項3】
前記回転軸に固定された整流器
をさらに有することを特徴とする請求項2に記載の回転電機。
【請求項4】
前記保持環に固定された整流器
をさらに有することを特徴とする請求項2に記載の回転電機。
【請求項5】
前記保持環は、
前記固定部において、前記保持環の内部空間と外部とを連通する第1通風穴を有する
することを特徴とする請求項2に記載の回転電機。
【請求項6】
前記ブラケットは、
前記交流励磁機及び前記副励磁機よりも前記軸方向の一端側において前記発電機フレーム内部と外部とを連通する第2通風穴を有する
することを特徴とする請求項5に記載の回転電機。
【請求項7】
前記副励磁機固定子鉄心と前記交流励磁機固定子鉄心とは一体で形成される
ことを特徴とする請求項2に記載の回転電機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機に関し、例えば交流励磁機と副励磁機とを有するブラシレス回転電機に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、固定子及び回転子を有するブラシレス回転電機が広く知られている。このようなブラシレス回転電機おいては、固定子が、固定子鉄心と、該固定子鉄心の内周側のスロット内に収められた固定子巻線とにより構成されており、回転子が、固定子の内周側に設けられており、回転子鉄心と、回転子鉄心の外周側に設けられた永久磁石とにより構成されているものがある(例えば、特許文献1参照)。このようなブラシレス回転電機においては、永久磁石によって形成される回転磁界が固定子巻線と鎖交することで電磁誘導が起こって固定子巻線に電圧が発生し、外部に設けられた自動電圧調整器へ交流電流を供給する。自動電圧調整器は、この交流電流を直流電流に変換する。
【0003】
このようなブラシレス回転電機は、例えば、図6に示す発電機401のように、回転軸414に、主機回転子12、回転整流器40、交流励磁機回転子422、永久磁石434bが取り付けられた副励磁機回転子434が同軸上に設けられているものがある。また発電機401は、回転軸414の端部に、発電機フレーム404の内部に対する軸受416の外側に向かって継ぎシャフト56が突出する(オーバーハングする)ように取り付けられており、該継ぎシャフト56に副励磁機回転子434が取り付けられている。交流励磁機固定子420は、例えばベアリングブラケット406や、発電機フレーム404に固定されている。副励磁機固定子432は、発電機フレーム404の内部に対し軸受416の外部に設けられた保持環442に固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3305002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような回転電機においては、回転軸414の軸方向の長さが長くなって振動してしまうと共に、回転軸414の端部から突出したオーバーハング部である、継ぎシャフト56及び副励磁機回転子434が振動してしまうという課題があった。
【0006】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、回転軸の振動を抑制し得る回転電機を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するため本発明の回転電機においては、交流励磁機と、励磁電源用の副励磁機とを備えたブラシレス回転電機において、発電機フレーム内部において、回転軸に固定された副励磁機回転子鉄心と、該副励磁機回転子鉄心の外周側に設けられた永久磁石とから構成される磁極を備えた副励磁機回転子と、発電機フレーム内部における、副励磁機回転子の外周側において、磁性鋼板が軸方向に積層され形成された副励磁機固定子鉄心と該副励磁機固定子鉄心に設けられたスロットに収められた副励磁機固定子巻線とから構成される副励磁機固定子と、発電機フレーム内部における、副励磁機の外周側において、磁性鋼板が軸方向に積層され形成された交流励磁機固定子鉄心と該交流励磁機固定子鉄心に設けられたスロットに収められた交流励磁機固定子巻線とから構成される交流励磁機固定子と、発電機フレーム内部における、交流励磁機固定子の外周側において、磁性鋼板が軸方向に積層され形成された交流励磁機回転子鉄心と該交流励磁機回転子鉄心に設けられたスロットに収められた交流励磁機回転子巻線とから構成される交流励磁機回転子とを設けるようにした。
【0008】
本発明は、回転軸の軸方向の長さを短くできると共に、回転軸の端部から突出する部材をなくすことができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、回転軸の振動を抑制し得る回転電機を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1の実施の形態による発電機の構成を示す軸方向における断面図である。
図2】第2の実施の形態による発電機の構成を示す軸方向における断面図である。
図3】第3の実施の形態による発電機の構成を示す軸方向における断面図である。
図4】第4の実施の形態による発電機の構成を示す軸方向における断面図である。
図5】第4の実施の形態による副励磁機交流励磁機固定子鉄心の構成を示す横断面図である。
図6】従来の発電機の構成を示す軸方向における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
【0012】
[1.第1の実施の形態]
[1-1.発電機の構成]
図1に示すように、発電機1は、ブラシレス回転電機であり、主に、発電機フレーム4と、主機固定子10と、主機回転子12と、回転軸14と、軸受16と、ベアリングブラケット6と、回転整流器40と、保持環42と、交流励磁機18と、副励磁機28とにより構成されている。回転軸14における図1中左端には、図示しない原動機が接続されている。原動機は、エンジン、タービンや水車等であり、発電機1に回転力を与えて発電機1内の各機構を回転させることにより、発電を行う。
【0013】
以下では、回転軸14が沿う方向を軸方向Daとし、主機回転子12、交流励磁機回転子22及び副励磁機回転子34が回転する方向を周方向とする。また、軸方向Daに関し、原動機に近接する側を駆動源近接側とも呼び、原動機から離隔する側を駆動源離隔側とも呼ぶ。さらに、軸方向Daから見た際に回転軸14の回転軸中心Raへ近接する方向を内周方向とし、軸方向Daから見た際に回転軸14の回転軸中心Raから離隔する方向を外周方向と呼ぶ。さらに軸方向Daに直交し内周方向と外周方向とに沿う方向を径方向Ddとも呼ぶ。さらに径方向Ddに関し、回転軸14の回転軸中心Raに近接する側を内側又は内周側とも呼び、回転軸14の回転軸中心Raから離隔する側を外側又は外周側とも呼ぶ。
【0014】
回転軸14は、略円柱形状でありほぼ水平方向に沿う軸方向Daに沿って延設されており、駆動源近接側の端部が原動機に連結されている。回転軸14は、この原動機により、中心である回転軸中心Raを軸として周方向へ回転する。軸受16は、例えば滑り軸受であり、回転軸14を回転自在に支持する。この軸受16は、発電機フレーム4における駆動源離隔側の端部において支持されたベアリングブラケット6により支持される。発電機フレーム4は、内部空間を有し、回転軸14の一部分と、軸受16と、主機固定子10と、主機回転子12と、交流励磁機18と、副励磁機28とを内部に収容し、ベアリングブラケット6を支持する。
【0015】
ベアリングブラケット6は、全体として、駆動源近接側及び駆動源離隔側の端部の中心が開口した、いわゆる椀形状となっている。このベアリングブラケット6は、支持部6B及び取付部6Sにより構成されており、支持部6Bと取付部6Sとにより囲まれた略円柱形状の内部空間が形成されている。すなわちベアリングブラケット6は、中実の略円柱形状の内側が、駆動源近接側から駆動源離隔側に向かって円柱形状に凹むと共に、駆動源離隔側端部の中心が開口したような形状となっている。支持部6Bは、略円盤形状であり、外周部が発電機フレーム4に固定され支持されていると共に、中心部が円形状に開口しその内周側に軸受16を支持している。取付部6Sは、支持部6Bから駆動源近接側に向かって延びており、筒形状である。
【0016】
主機固定子10は、発電機フレーム4の内周側に固定されており、環状の電磁鋼板が軸方向Daに積層された主機固定子鉄心10aと、主機固定子鉄心10aの内周側のスロット内に収められた主機固定子巻線10bとにより構成されている。主機回転子12は、環状の主機固定子10の内周側に設けられた突極型磁極であり、回転軸14に嵌合等により固定されており、電磁鋼板が軸方向Daに積層された主機回転子鉄心12aと、主機回転子鉄心12aに巻回する主機回転子巻線12bとにより構成されている。
【0017】
回転整流器40は、主機回転子12よりも駆動源離隔側において回転軸14に固定されており、交流励磁機回転子巻線22bに流れた交流電流を直流電流に変換し、主機回転子巻線12bに供給する。
【0018】
副励磁機28は、副励磁機固定子32及び副励磁機回転子34により構成されており、発電機フレーム4の内部において、回転整流器40よりも駆動源離隔側における回転整流器40と軸受16との間に設けられている。副励磁機固定子32は、ベアリングブラケット6の取付部6Sの内周側に固定されており、環状の電磁鋼板が軸方向Daに積層された副励磁機固定子鉄心32aと、副励磁機固定子鉄心32aの内周側のスロット内に収められた副励磁機固定子巻線32bとにより構成されている。副励磁機回転子34は、環状の副励磁機固定子32の内周側に設けられ、回転軸14に嵌合等により固定されており、副励磁機回転子鉄心34aと、副励磁機回転子鉄心34aの外周側に設けられた永久磁石34bとにより構成されている。副励磁機回転子鉄心34aは、環状の電磁鋼板が軸方向Daに積層されている。永久磁石34bは、副励磁機回転子鉄心34aの外周側の表面に吸着しており、副励磁機回転子鉄心34aの外周面との間に接着剤が塗布されることにより、副励磁機回転子鉄心34aに対し吸着位置がずれることが防止されている。
【0019】
保持環42は、回転整流器40と副励磁機28との間において回転軸14に固定されており、全体として、駆動源近接側の端部が閉口し駆動源離隔側の端部が開口する中空の円柱形状であり、いわゆる椀形状となっている。この保持環42は、固定部42B及び取付部42Sにより構成されており、固定部42Bと取付部42Sとにより囲まれた円柱形状の内部空間が形成されている。すなわち保持環42は、中実の円柱形状の内側が、駆動源離隔側から駆動源近接側に向かって円柱形状に凹んだような形状となっている。固定部42Bは、略円盤形状であり、中心部が回転軸14に固定されている。取付部42Sは、固定部42Bの外周部から駆動源離隔側に向かって延びており、筒形状である。
【0020】
交流励磁機18は、交流励磁機固定子20及び交流励磁機回転子22により構成されており、発電機フレーム4の内部における、回転整流器40よりも駆動源離隔側における回転整流器40と軸受16との間において、副励磁機28の外周側に設けられている。交流励磁機固定子20は、ベアリングブラケット6の取付部6Sの外周側に固定されており、環状の電磁鋼板が軸方向Daに積層された交流励磁機固定子鉄心20aと、交流励磁機固定子鉄心20aの外周側のスロット内に収められた交流励磁機固定子巻線20bとにより構成されている。交流励磁機回転子22は、環状の交流励磁機固定子20の外周側に設けられ、保持環42の取付部42Sに固定されており、環状の電磁鋼板が軸方向Daに積層された交流励磁機回転子鉄心22aと、交流励磁機回転子鉄心22aの内周側のスロット内に収められた交流励磁機回転子巻線22bとにより構成されている。
【0021】
[1-2.回転力から電力への変換]
かかる構成において、回転力を電力に変換する過程を説明する。初めに、原動機(図示せず)が用いられ回転軸14が回転される。この時、回転軸14に設けられた副励磁機回転子34も同様に回転する。副励磁機回転子34には永久磁石34bが設けられているため、回転磁界が形成される。この回転磁界が副励磁機固定子巻線32bと鎖交することで電磁誘導が起こり、副励磁機固定子巻線32bに電圧が発生し、交流電流が発電機1外部に供給される。
【0022】
この交流電流は、外部の制御盤に内蔵された自動電圧調整器(図示せず)により直流電流に変換され、交流励磁機固定子巻線20bに供給される。交流励磁機固定子巻線20bに直流電流が流れることでアンペールの法則により磁界が形成される。この磁界が交流励磁機回転子巻線22bと鎖交することで電磁誘導が起こり、交流励磁機回転子巻線22bに電圧が発生して交流電流が流れる。
【0023】
この交流電流は、回転軸14に設けられた回転整流器40により直流電流に変換され、主機回転子巻線12bに供給される。主機回転子巻線12bに直流電流が流れることでアンペールの法則により磁界が形成される。この磁界が主機固定子巻線10bと鎖交することで電磁誘導が起こり、主機固定子巻線10bに電圧が発生して交流電流が外部負荷に供給される。
【0024】
[1-3.効果等]
以上の構成において発電機1は、副励磁機28及び交流励磁機18を発電機フレーム4の内部に配置するようにした。また発電機1は、副励磁機回転子34を回転軸14に固定すると共に、副励磁機回転子34の外周側において、副励磁機固定子32をベアリングブラケット6の支持部6Bの内周側に固定するようにした。すなわち発電機1は、副励磁機28をインナーロータ型とした。さらに発電機1は、副励磁機28の外周側において、交流励磁機固定子20をベアリングブラケット6の支持部6Bの外周側に固定すると共に、交流励磁機固定子20の外周側において、交流励磁機回転子22を保持環42の取付部42Sに固定するようにした。すなわち発電機1は、交流励磁機18をアウターロータ型とした。さらに発電機1は、交流励磁機固定子鉄心20aと副励磁機固定子鉄心32aとを、ベアリングブラケット6の支持部6Bを介し一体化するようにした。
【0025】
このため発電機1は、発電機401(図6)と比較して、回転軸14の軸方向Daの長さを短くできるため、小型化及び軽量化できると共に、回転軸14の振動を抑制できる。また発電機1は、発電機401(図6)のように、回転軸14の駆動源離隔側の端部から、さらに駆動源離隔側へ継ぎシャフト56を突出させ該継ぎシャフト56に副励磁機回転子434を設ける場合と比較して、回転軸14の駆動源離隔側の端部からさらに駆動源離隔側へ突出する部材であるオーバーハング部をなくすことができ、振動を抑制できる。さらに発電機1は、発電機401と比較して、継ぎシャフト56を省略できるため、構成部品を減少させ、製造性を向上できる。
【0026】
ところで、比較例の回転電機として、副励磁機28及び交流励磁機18を発電機フレーム4の内部に配置し、交流励磁機回転子22を回転軸14に固定すると共に、交流励磁機回転子22の外周側において、交流励磁機固定子20をベアリングブラケット6の支持部6Bの内周側に固定し、さらに、交流励磁機固定子20の外周側において、副励磁機固定子32をベアリングブラケット6の支持部6Bの外周側に固定すると共に、副励磁機固定子32の外周側において、副励磁機回転子34を保持環42に固定することも考えられる。
【0027】
ここで、交流励磁機18は一般的に副励磁機28よりも容量が大きくなるが、大きな容量を得るためには、交流励磁機18を構成する鉄心や銅線を増やす必要があるため、軸方向Da又は径方向Ddの一方又は両方の方向のスペースを必要とすることとなる。
【0028】
比較例の回転電機の場合、容量の大きな交流励磁機が副励磁機よりも内周側に配置されるため、交流励磁機の容量を確保するために必要なスペースを確保するためには軸方向Daに交流励磁機を長くする必要がある。この場合、回転軸の軸方向Daの長さが長くなってしまうと共に、回転電機全体の軸方向Daの長さも長くなってしまう。
【0029】
これに対し発電機1は、発電機フレーム4の内周側において、容量の大きい交流励磁機18を外周側に、容量の小さい副励磁機28を内周側に配置するようにした。このため発電機1は、交流励磁機18の容量を確保するために必要なスペースを径方向Ddに確保することができる。これにより発電機1は、比較例の発電機と比較して、回転軸の軸方向Daの長さを短くできると共に、発電機1全体の軸方向Daの長さを短くできる。
【0030】
以上の構成によれば発電機1は、交流励磁機18と、励磁電源用の副励磁機28とを備えたブラシレス回転電機であり、発電機フレーム4内部において、回転軸14に固定された副励磁機回転子鉄心34aと、該副励磁機回転子鉄心34aの外周側に設けられた永久磁石34bとから構成される磁極を備えた副励磁機回転子34と、発電機フレーム4内部における、副励磁機回転子34の外周側において、磁性鋼板が軸方向Daに積層され形成された副励磁機固定子鉄心32aと該副励磁機固定子鉄心32aに設けられたスロットに収められた副励磁機固定子巻線32bとから構成される副励磁機固定子32と、発電機フレーム4内部における、副励磁機28の外周側において、磁性鋼板が軸方向Daに積層され形成された交流励磁機固定子鉄心20aと該交流励磁機固定子鉄心20aに設けられたスロットに収められた交流励磁機固定子巻線20bとから構成される交流励磁機固定子20と、発電機フレーム4内部における、交流励磁機固定子20の外周側において、磁性鋼板が軸方向Daに積層され形成された交流励磁機回転子鉄心22aと該交流励磁機回転子鉄心22aに設けられたスロットに収められた交流励磁機回転子巻線22bとから構成される交流励磁機回転子22とを設けるようにした。
【0031】
このため発電機1は、回転軸14の軸方向Daの長さを短くできると共に、回転軸14の駆動源離隔側の端部からさらに駆動源離隔側へ突出する部材をなくすことができる。
【0032】
[2.第2の実施の形態]
[2-1.発電機の構成]
図1と対応する部材に同一符号を付した図2に示すように、第2の実施の形態による発電機101は、第1の実施の形態による発電機1と比較して、回転整流器40に代わる回転整流器140と、保持環42に代わる保持環142と、回転軸14に代わる回転軸114とを有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
【0033】
回転整流器140は、回転整流器40と比較して、回転軸14ではなく保持環142に固定されている点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。回転軸114は、回転軸14と比較して短く形成されている。
【0034】
このように発電機101は、回転整流器140を保持環142と一体化させることにより、回転整流器140を回転軸114と共に回転させるようにした。このため発電機101は、発電機1と比較して、回転軸14(図1)において回転整流器40を固定するスペースを省略できるため、回転軸14の軸方向Daの長さをさらに短くできる。これにより発電機101は、発電機1と比較して、さらに小型化及び軽量化できると共に、回転軸14の振動を抑制できる。
【0035】
その他の点においても、第2の実施の形態による発電機101は、第1の実施の形態による発電機1と同様の作用効果を奏し得る。
【0036】
[3.第3の実施の形態]
[3-1.発電機の構成]
図1と対応する部材に同一符号を付した図3に示すように、第3の実施の形態による発電機201は、第1の実施の形態による発電機1と比較して、保持環42に代わる保持環242と、ベアリングブラケット6に代わるベアリングブラケット206とを有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
【0037】
保持環242は、保持環42と比較して、通風穴44が形成されている点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。第1通風穴としての通風穴44は、固定部42Bにおいて周方向に沿って等間隔を空けて例えば8個である複数個設けられている。この通風穴44は、軸方向Daに沿った円柱形状であり、横断面が円形状となっている。また通風穴44は、固定部42Bにおける駆動源離隔側から駆動源近接側の面までを貫通しており、保持環242における内部空間と保持環242よりも駆動源近接側の外側とを連通している。
【0038】
ベアリングブラケット206は、ベアリングブラケット6と比較して、通風穴46が形成されている点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。第2通風穴としての通風穴46は、支持部6Bにおいて周方向に沿って等間隔を空けて例えば8個である複数個設けられている。この通風穴46は、軸方向Daに沿った円柱形状であり、横断面が円形状となっている。また通風穴46は、支持部6Bにおける駆動源近接側から駆動源離隔側の面までを貫通しており、ベアリングブラケット206における内部空間とベアリングブラケット206よりも駆動源離隔側の外側とを連通している。
【0039】
このため発電機201は、発電機フレーム4よりも駆動源離隔側の外部から通風穴46を介しベアリングブラケット206の内部空間へ空気を取り込み、副励磁機固定子32と副励磁機回転子34との間を通過させて通風穴44を介し保持環242よりも原動機近接側の外部へ排出できる。また発電機201は、保持環242よりも外周側から空気を取り込み、交流励磁機固定子20と交流励磁機回転子22との間を通過させて通風穴44を介し保持環242よりも原動機近接側の外部へ排出できる。このため発電機201は、発電機1と比較して、副励磁機28及び交流励磁機18を効果的に冷却し冷却性能を向上させることができる。
【0040】
その他の点においても、第3の実施の形態による発電機201は、第1の実施の形態による発電機1と同様の作用効果を奏し得る。
【0041】
[4.第4の実施の形態]
[4-1.発電機の構成]
図1と対応する部材に同一符号を付した図4図5とに示すように、第4の実施の形態による発電機301は、第1の実施の形態による発電機1と比較して、副励磁機固定子鉄心32a及び交流励磁機固定子鉄心20aに代わる副励磁機交流励磁機固定子鉄心48を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。副励磁機交流励磁機固定子鉄心48は、環状の電磁鋼板が軸方向Daに積層されている。副励磁機交流励磁機固定子鉄心48の内周側には、副励磁機固定子巻線32bが収められる副励磁機固定子スロット50が全周に亘って形成されている。また、副励磁機交流励磁機固定子鉄心48の外周側には、交流励磁機固定子巻線20bが収められる交流励磁機固定子スロット52が全周に亘って形成されている。
【0042】
また図5に示すように、副励磁機交流励磁機固定子鉄心48には、周方向に沿って等間隔を空けて4個の取付穴54が設けられている。この取付穴54は、周方向に沿った形状であり、副励磁機交流励磁機固定子鉄心48における駆動源離隔側から駆動源近接側の面までを貫通している。この副励磁機交流励磁機固定子鉄心48は、取付穴54にベアリングブラケット6の取付部6Sが挿入されることにより、ベアリングブラケット6に固定されている。
【0043】
このように発電機301は、副励磁機固定子鉄心32aと交流励磁機固定子鉄心20aとを同一抜板とし、副励磁機交流励磁機固定子鉄心48に一体化するようにした。このため発電機301は、副励磁機固定子鉄心32aと交流励磁機固定子鉄心20aとを別体で形成する場合と比較して、構成部品を少なくすることができる。
【0044】
また発電機301は、副励磁機固定子鉄心32aと交流励磁機固定子鉄心20aとが別体で形成される際に、副励磁機固定子鉄心32aとなる電磁鋼板に副励磁機固定子スロット50を、交流励磁機固定子鉄心20aとなる電磁鋼板に交流励磁機固定子スロット52を、それぞれ加工される場合と比較して、1つの加工工程において、副励磁機交流励磁機固定子鉄心48となる電磁鋼板に副励磁機固定子スロット50及び交流励磁機固定子スロット52を加工されることができ、製造性を向上させることができる。
【0045】
さらに発電機301は、副励磁機固定子鉄心32aと交流励磁機固定子鉄心20aとが別体で形成される際に、副励磁機固定子鉄心32aとなる電磁鋼板が積層され、交流励磁機固定子鉄心20aとなる電磁鋼板が積層される場合と比較して、1つの組立工程において、副励磁機交流励磁機固定子鉄心48となる電磁鋼板が積層されることができ、製造性を向上させることができる。
【0046】
その他の点においても、第4の実施の形態による発電機301は、第1の実施の形態による発電機1と同様の作用効果を奏し得る。
【0047】
[5.他の実施の形態]
なお上述した第3の実施の形態においては、通風穴44及び46の両方を形成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、通風穴44又は46の少なくとも何れか一方を形成しても良い。
【0048】
さらに上述した第1の実施の形態においては、発電機1に本発明を適用する場合について述べた。本発明はこれに限らず、他の種々の回転電機に本発明を適用しても良い。第2乃至第4の実施の形態においても同様である。
【0049】
さらに本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態にも本発明の適用範囲が及ぶものである。また、本発明は、上述した各実施の形態及び上述した他の実施の形態のうち任意の実施の形態に記載された構成の一部を抽出し、上述した実施の形態及び他の実施の形態のうちの任意の実施の形態の構成の一部と置換・転用する場合や、該抽出された構成の一部を任意の実施の形態に追加する場合にも本発明の適用範囲が及ぶものである。例えば、第2の実施の形態と第3の実施の形態とを組み合わせ、回転整流器140を保持環142に固定させると共に通風穴44及び46を形成しても良い。
【0050】
さらに上述した第1の実施の形態においては、副励磁機回転子としての副励磁機回転子34と、副励磁機固定子としての副励磁機固定子32と、交流励磁機固定子としての交流励磁機固定子20と、交流励磁機回転子としての交流励磁機回転子22とによって、回転電機としての発電機1を構成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる副励磁機回転子と、副励磁機固定子と、交流励磁機固定子と、交流励磁機回転子とによって、回転電機を構成しても良い。第2乃至第4の実施の形態においても同様である。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、交流励磁機と副励磁機とを有するブラシレス回転電機において利用できる。
【符号の説明】
【0052】
1、101、201、301、401……発電機、4、404……発電機フレーム、6、206、406……ベアリングブラケット、6B……支持部、6S……取付部、10……主機固定子、10a……主機固定子鉄心、10b……主機固定子巻線、12……主機回転子、12a……主機回転子鉄心、12b……主機回転子巻線、14、114、414……回転軸、16、416……軸受、Ra……回転軸中心、18……交流励磁機、20、420……交流励磁機固定子、20a……交流励磁機固定子鉄心、20b……交流励磁機固定子巻線、22、422……交流励磁機回転子、22a……交流励磁機回転子鉄心、22b……交流励磁機回転子巻線、28……副励磁機、32、432……副励磁機固定子、32a……副励磁機固定子鉄心、32b……副励磁機固定子巻線、34、434……副励磁機回転子、34a……副励磁機回転子鉄心、34b、434b……永久磁石、40、140……回転整流器、42、142、242、442……保持環、42B……固定部、42S……取付部、44、46……通風穴、48……副励磁機交流励磁機固定子鉄心、50……副励磁機固定子スロット、52……交流励磁機固定子スロット、54……取付穴、56……継ぎシャフト、Da……軸方向、Dd……径方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6