(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161383
(43)【公開日】2023-11-07
(54)【発明の名称】攪拌用蓋
(51)【国際特許分類】
A47J 43/044 20060101AFI20231030BHJP
B65D 51/24 20060101ALI20231030BHJP
【FI】
A47J43/044
B65D51/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022071741
(22)【出願日】2022-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】390020019
【氏名又は名称】レック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100181928
【弁理士】
【氏名又は名称】日比谷 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100075948
【弁理士】
【氏名又は名称】日比谷 征彦
(72)【発明者】
【氏名】発地 麻衣子
【テーマコード(参考)】
3E084
4B053
【Fターム(参考)】
3E084AA02
3E084AA12
3E084AA24
3E084AB10
3E084BA01
3E084CA01
3E084CB04
3E084CC03
3E084DA01
3E084DB12
3E084DC03
3E084FB01
3E084GA04
3E084GB04
3E084JA01
3E084KB10
3E084LD01
4B053AA03
4B053CA01
4B053CB02
(57)【要約】
【課題】粉末材料を液体中に攪拌する際に、生地中に適当な大きさのダマが残留する攪拌用蓋を提供する。
【解決手段】攪拌用蓋2は主蓋部3と、主蓋部3から垂下するように取り付けられる攪拌板部4とから構成されており、この攪拌板部4の下側である本体部4bには、孔部4gが形成されている。この孔部4gの上縁4hから孔部4g内の下方に向けて、複数個の砕粒片4jが櫛歯状に形成されている。攪拌用蓋2を螺合した容器本体1を持って上下左右に振ることにより、内部の粉末材料と液体とが混合されて粘体状の生地となる。このとき、容器本体1内に未溶解のダマが形成されるが、大きなダマは砕粒片4j同士の隙間に衝突して砕かれて小さくなる。これらの小さなダマは、砕粒片4jの隙間を通り抜けるので、このような好ましい大きさのダマはそのまま残留することになる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主蓋部と、該主蓋部の裏面から垂下し、該主蓋部に対して取り外し可能に取り付けられた板状の攪拌板部とから構成され、容器本体に前記主蓋部を係合させる攪拌用蓋であって、
前記攪拌板部の下側の本体部には、孔部が設けられており、該孔部内に砕粒部が形成され、該砕粒部の隣り合う縁部同士の間隙は、所定の幅を有することを特徴とする攪拌用蓋。
【請求項2】
前記所定の幅は、前記容器本体内の粉末材料と液体とを攪拌して生地を生成する際に、前記生地中に形成される未溶解の前記粉末材料による適度な大きさの塊であるダマが通過する程度の幅であることを特徴とする請求項1に記載の攪拌用蓋。
【請求項3】
前記砕粒部は複数個の砕粒片から成り、該砕粒片同士が平行であることを特徴とする請求項1又は2に記載の攪拌用蓋。
【請求項4】
前記複数個の砕粒片は、前記孔部の縁部から前記孔部内に櫛歯状に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の攪拌用蓋。
【請求項5】
前記本体部の厚みよりも、前記砕粒片の幅が大きいことを特徴とする請求項4に記載の攪拌用蓋。
【請求項6】
前記砕粒片は、前記垂下する方向と平行に配列されていることを特徴とする請求項4に記載の攪拌用蓋。
【請求項7】
前記主蓋部の周囲には、前記容器本体に係合する螺合用溝を設けたことを特徴とする請求項1に記載の攪拌用蓋。
【請求項8】
前記砕粒部はうず巻き状をした板材であることを特徴とする請求項1に記載の攪拌用蓋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、攪拌によりホットケーキ等の生地を生成するための攪拌用蓋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
家庭において、例えばホットケーキやお好み焼を焼く場合に、小麦粉等の粉末と、卵、牛乳等の液体とをボウル等に入れて、専らへらなどで攪拌して練り込んで生地を生成するが、この生地を作成するための手間がかかる。また、攪拌により簡便に、後述するようなダマと称する塊を形成しながら、生地を生成できる用具の実現が要望されている。
【0003】
例えば特許文献1には、液体を収容する形容器の中心部に配置され、上下方向に延びる軸部と、容器内に配置され、複数の攪拌翼を備えた翼部とを有し、粉末又は顆粒状飲料を液体に溶解させる容器が開示されている。
【0004】
軸部を手動で往復動させて、翼部を容器内において上下動することで容器内の流動物を剪断しかつ流動させ、流動物を構成する粉末・顆粒状材料と液体とを効果的に混合攪拌することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、ホットケーキ等の生地の攪拌においては、小麦粉等の粉末材料が液体に未溶解で残留して、粒状となる所謂ダマが含有されている方が、焼き上げた際にふっくらとなることが知られている。
【0007】
従って、特許文献1の容器でホットケーキの生地を攪拌すると、生地が滑らかになり過ぎてダマが生成されずに、焼き上げた場合に、ホットケーキ特有のふっくら感を伴った感触が得られない。
【0008】
本発明の目的は、上述の課題を解決し、粉末材料を液体中に攪拌する際に、生地中に適当な大きさのダマを残留させることができる攪拌用蓋を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明に係る攪拌用蓋は、主蓋部と、該主蓋部の裏面から垂下し、該主蓋部に対して取り外し可能に取り付けられた板状の攪拌板部とから構成され、容器本体に前記主蓋部を係合させる攪拌用蓋であって、前記攪拌板部の下側の本体部には、孔部が設けられており、該孔部内に砕粒部が形成され、該砕粒部の隣り合う縁部同士の間隙は、所定の幅を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る攪拌用蓋によれば、粉末材料と液体とを投入した容器本体に取り付けた後に、適宜に振って攪拌することで、適度な大きさのダマが残留する生地を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を図示の実施例に基づいて詳細に説明する。
【実施例0013】
図1は実施例1の攪拌容器の分解斜視図、
図2は下方から見た際の攪拌用蓋の斜視図である。また、
図3は組立てた状態の攪拌容器の斜視図であり、
図4は
図3の攪拌容器のA-A斜視断面図であり、
図5は
図3の攪拌容器のB-B斜視断面図である。
【0014】
攪拌容器は硬質の合成樹脂材から成り、粉末材料及び液体から成る生地等を収納する容器本体1と、この容器本体1に係合可能な攪拌用蓋2とから構成されている。
【0015】
容器本体1は底部1aが閉塞され、上部1bが開放された略円筒体から成っている。容器本体1の大きさは例えば高さ10cm、直径8cmとされており、例えば一食分程度のホットケーキの生地を収容できる容積を少なくとも有している。
【0016】
底部1aの内側は半球状とされ、底部1aの外側には、容器本体1を立てるための脚部1cが設けられている。また、容器本体1の上部1bの周囲には、攪拌用蓋2を取り付けて螺合するためのねじ形状の外側螺合溝1dが設けられている。
【0017】
攪拌用蓋2は、主蓋部3と、この主蓋部3の裏面に主蓋部3から垂下するように取り付けられる攪拌板部4とから構成されている。主蓋部3は容器本体1の上部1bに被着するものであり、周辺3aの内側に容器本体1の外側螺合溝1dに対応して螺合する内側螺合溝3bが設けられている。
【0018】
また、主蓋部3の上面3cには主蓋部3を手で把持するための直方体状の摘み部3dが突出され、裏面には攪拌板部4を固定する枠状の受部3eが、摘み部3dの内部に通ずる凹部として形成されている。
【0019】
略矩形状の枠体である受部3eは、薄肉とされ弾性的に変形可能とされている。また、受部3eには所定間隔で切欠状の縦溝部3fが設けられている。
【0020】
攪拌板部4は、主蓋部3への挿入部4aと、この挿入部4aから下方に板体状に連続した板状体である、しゃもじ形状の本体部4bとから成っている。挿入部4aは主蓋部3の受部3eに挿入して固定するようにされ、挿入部4aの周囲には突起状の拡開部4cが設けられている。
【0021】
また、挿入部4aと本体部4bとの間には、主蓋部3の受部3eに係止される係止部4dが設けられており、この係止部4dには縦溝部3fと嵌合する複数の縦板部4eが立設している。
【0022】
本体部4bの円弧状の下縁部4fは、容器本体1の内部の半球状の底部1aに沿って配置されている。攪拌板部4の下側である本体部4bには、孔部4gが形成されており、この孔部4gの上縁4hから孔部4g内の下方に向けて、砕粒部4iが設けられている。この砕粒部4iは棒状の複数個の砕粒片4jが櫛歯状に形成されている。
【0023】
なお、これらの複数個の砕粒片4jは、砕粒片4j同士が平行でなくても、各砕粒片4jの間が後述するようにダマが通過する程度の幅を有していればよい。また、平行する複数個の砕粒片4jは、上縁4h以外にも適宜の孔部4gの縁部から、孔部4g内に櫛歯状に形成してもよく、更には砕粒片4jの両端が孔部4gの縁部と連結していてもよい。
【0024】
各砕粒片4jの形状は略スプーン状とされ、厚みはほぼ一定で、砕粒片4jの中央部は孔部4gの厚み方向の外側にはみ出すようにされている。そして、隣接する砕粒片4j同士の間隙は、生地を攪拌した際に生ずる好ましい大きさのダマが通過し得る程度とされている。
【0025】
この攪拌容器を使用するには、先ず攪拌板部4の挿入部4aを主蓋部3の受部3eに挿入して嵌合する。この挿入により、挿入部4aの先端は摘み部3dの内側まで入り込み、拡開部4cが受部3eの内側を押し拡げる。併せて、係止部4dの縦溝部3fを受部3eの縦溝部3fに嵌合させることにより、挿入部4aは抜け難くなり、
図3に示すように攪拌板部4が主蓋部3に固定される。なお、この組立ての手間を省いて、予め主蓋部3と攪拌板部4とを一体化することもできる。
【0026】
容器本体1の脚部1cによりテーブル上に立て、容器本体1内に例えば、ホットケーキ用の小麦粉を主体とした粉末材料と、この粉末材料を溶解する牛乳、卵等の液体とを投入する。そして、容器本体1に攪拌用蓋2を螺合し、摘み部3dを持って外側螺合溝1dと内側螺合溝3bとを螺合して、
図2に示すように容器本体1内を密閉する。
【0027】
そして、容器本体1を持って上下左右に振ることにより、内部の粉末材料と液体とが混合されて粘体状の生地となる。このとき、容器本体1内に未溶解のダマが形成されるが、大きなダマは砕粒片4j同士の隙間に衝突して砕かれて小さくなる。これらの小さなダマは、砕粒片4jの隙間を通り抜けるので、このような好ましい大きさのダマはそのまま残留することになる。
【0028】
つまり、砕粒部4iにおける隣り合う縁部同士の間隙は所定の幅を有し、この所定の幅は容器本体1内の粉末材料と液体とを攪拌して生地を生成する際に、生地中に形成される未溶解の前記粉末材料による適度な大きさの塊であるダマが通過する程度の幅とされている。
【0029】
容器本体1を持って振る場合に、容器本体1を振る方向は、攪拌が効果的になされるように、生地が砕粒片4j間を通り抜ける方向、つまり
図3に示すB-B方向と同方向とすることが好ましい。また、容器本体1の側面に、取っ手等の把持部を設け、この把持部を掴んで振るようにしてもよい。
【0030】
実施例のように、攪拌板部4の向きを直方体の摘み部3dの長手方向と直交する方向として覚えておけば、砕粒片4jの向きを容易に知ることができる。又は主蓋部3の上面3cに矢印のマークを付けて、振る方向を認識できるようにしてもよい。なお、容器本体1を透明体又は半透明にすることで、外部からダマの生成を確認しながら、容器本体1を好ましい方向に振ることができる。
【0031】
この生地の攪拌が終了すると、攪拌用蓋2の螺合を緩めて容器本体1から取り外して、ダマを含んだ生地をフライパンに直接流し込むことで、ホットケーキを焼くことができる。なお、容器本体1から攪拌用蓋2の螺合状態を解除する際は、摘み部3dを指で保持して回転することで、容易に攪拌用蓋2の螺合を緩めることができる。
【0032】
生地をフライパンに流し込む際に、攪拌板部4の下縁部4fは容器本体1の底部1aと同様に半円状とされているので、この攪拌板部4の下縁部4fを用いて底部1aから拭い取るヘラのように使用して、生地をかき集めて容器本体1から取り出すことができる。
【0033】
また、次のホットケーキ用の生地を得る間は、
図2に示す攪拌用蓋2を逆さまにして、攪拌板部4を上にして立て掛けておくことにより、攪拌板部4に付着している生地が攪拌用蓋2の外側を汚すことはない。
【0034】
このように攪拌用蓋を立て掛けている間に、次のホットケーキ用の小麦粉等の粉末と、卵、牛乳等の液体とを容器本体1に投入することができる。このようにして、連続してホットケーキを焼くことが可能である。
【0035】
そして、攪拌容器を使い終わった際は、主蓋部3と攪拌板部4とを分離して、容器本体1と共に洗浄する。洗浄後に乾燥させて、食器棚等に保管することになる。
【0036】
また、主蓋部3と攪拌板部4とを分離して個別に洗浄する前に、容器本体1に洗剤と水とを入れ、容器本体1に攪拌用蓋2を螺合して上下左右に振ることで、攪拌板部4等に付着している生地の大半を洗浄液によって、簡単に流れ落とすことができる。このようにすることで、効率的に攪拌容器を洗浄することも可能である。
【0037】
なお、本実施例では攪拌容器を使用してホットケーキの生地を作ることを説明したが、攪拌容器はホットケーキの生地用に限定するものではなく、生地内に適度な大きさのダマの残留が必要な他の食材に用いることも可能である。
実施例2の攪拌板部4’の本体部4b内は、孔部4gが形成されており、この孔部4gの上縁4hから孔部4g内に向けて砕粒部4i’が設けられている。砕粒部4i’は、例えば蚊取り線香のようなうず巻き状をした板材であり、実施例1の砕粒部4iと同様に隣り合う縁部同士の間隙は、適度な大きさのダマを通過する程度の幅を維持している。
このように本発明に係る攪拌用蓋によれば、粉末材料と液体とを投入した容器本体1に取り付けた後に、適宜に振って攪拌することで、適度な大きさのダマが残留する生地を生成することができる。