IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パナソニックIPマネジメント株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-点灯装置及び非常用照明器具 図1
  • 特開-点灯装置及び非常用照明器具 図2
  • 特開-点灯装置及び非常用照明器具 図3
  • 特開-点灯装置及び非常用照明器具 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161403
(43)【公開日】2023-11-07
(54)【発明の名称】点灯装置及び非常用照明器具
(51)【国際特許分類】
   H05B 45/50 20220101AFI20231030BHJP
   H05B 47/16 20200101ALI20231030BHJP
【FI】
H05B45/50
H05B47/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022071775
(22)【出願日】2022-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山下 浩司
(72)【発明者】
【氏名】石塚 哲也
(72)【発明者】
【氏名】劉 宗威
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273AA03
3K273BA30
3K273BA31
3K273CA02
3K273EA06
3K273EA07
3K273EA22
3K273EA25
3K273EA37
3K273EA38
3K273EA42
3K273FA11
3K273FA12
3K273FA13
3K273FA14
3K273FA30
3K273FA32
3K273FA33
3K273FA39
3K273FA40
3K273FA41
3K273GA03
3K273GA06
3K273GA14
3K273GA15
(57)【要約】
【課題】本開示の課題は、光源の異常検出における精度の向上を図ることである。
【解決手段】停電検出部は、充電回路部12の出力電圧V2に基づいて商用交流電源P1の停電を検出する。異常検出部は、切替回路部13が給電路W1を導通状態に切り替えているときに給電路W1を通してLED2に供給される電圧又は電流に基づいてLED2の異常を検出する。制御回路部14は、給電路W1を導通状態と遮断状態に択一的に切り替えるように切替回路部13を制御する。制御回路部14は、異常検出部がLED2の異常を検出した場合、切替回路部13を制御して給電路W1を遮断状態に切り替えさせる。停電検出部は、異常検出部がLED2の異常を検出したときに商用交流電源P1の停電の検出を行わない。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
常用電源から供給される常用電力を電力変換する電力変換部と、
前記電力変換部から光源への給電路を導通状態と遮断状態に切り替える切替回路部と、
非常用電源から供給される非常用電力で前記光源を点灯させる非常用点灯回路部と、
前記電力変換部の出力に基づいて前記常用電源の停電を検出する停電検出部と、
前記切替回路部が前記給電路を前記導通状態に切り替えているときに前記給電路を通して前記光源に供給される電圧又は電流に基づいて前記光源の異常を検出する異常検出部と、
前記給電路を前記導通状態と前記遮断状態に択一的に切り替えるように前記切替回路部を制御する制御回路部と、
を備え、
前記制御回路部は、前記異常検出部が前記光源の異常を検出した場合、前記切替回路部を制御して前記給電路を前記遮断状態に切り替えさせ、
前記停電検出部は、前記異常検出部が前記光源の異常を検出したときに前記常用電源の停電の検出を行わない、
点灯装置。
【請求項2】
前記制御回路部は、外部から消灯信号を受信した場合、前記電力変換部を動作させつつ前記切替回路部を制御して前記給電路を前記導通状態から前記遮断状態に切り替えさせ、
前記停電検出部は、前記制御回路部が前記消灯信号を受信した場合、前記異常検出部が前記光源の異常を検出しても前記常用電源の停電の検出を行う、
請求項1記載の点灯装置。
【請求項3】
前記電力変換部は、
前記常用電力から電力変換された電力で前記光源を点灯させる常用点灯回路部と、
前記常用電力から電力変換された電力で前記非常用電源を充電する充電回路部と、
を有し、
前記充電回路部は、前記異常検出部が前記光源の異常を検出した場合、前記非常用電源の充電を中止する、
請求項1又は2記載の点灯装置。
【請求項4】
前記充電回路部は、前記異常検出部が前記光源の異常を検出した場合、前記切替回路部が前記給電路を前記遮断状態に切り替えた後に前記非常用電源の充電を再開する、
請求項3記載の点灯装置。
【請求項5】
前記異常検出部は、前記光源に供給される電圧又は電流が正常な範囲を超える時間が第1判定時間に達した場合に前記光源の異常を検出し、
前記停電検出部は、前記電力変換部の前記出力が下限値を下回る時間が第2判定時間に達した場合に前記常用電源の停電を検出し、
前記第2判定時間が前記第1判定時間よりも短い、
請求項1又は2記載の点灯装置。
【請求項6】
請求項1又は2記載の点灯装置と、
前記点灯装置によって点灯させられる前記光源と、
前記非常用電源と、
前記点灯装置、前記光源、及び前記非常用電源を収容する器体と、
を備える、
非常用照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、点灯装置及び非常用照明器具に関し、より詳細には、光源の異常を検出する機能を有した点灯装置、及び当該点灯装置を備える非常用照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来例として特許文献1記載の点灯装置を例示する。特許文献1記載の従来例(以下、従来例と略す。)は、整流平滑回路、降圧回路、バッテリ、バッテリ充電回路、第1の電圧検出手段(停電検出回路)、インバータ回路、発振制御回路、などを備える。
【0003】
整流平滑回路は、交流電源から供給される交流電圧を整流平滑して降圧回路に出力する。降圧回路は、整流平滑回路から入力される直流電圧を降圧した直流電圧を出力する。バッテリ充電回路は、降圧回路から出力される直流電圧でバッテリを充電する。インバータ回路は、降圧回路から出力される直流電圧又はバッテリから供給される直流電圧を高周波の交流電圧に変化して光源(放電ランプ)を点灯させる。第1の電圧検出手段は、降圧回路の出力電圧が第1の所定値を下回ったか否かを検出し、所定値を下回ったときにインバータ回路への入力電圧を降圧回路からバッテリに切り替える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-299082号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記従来例において、光源(放電ランプ)又はインバータ回路が短絡故障した場合、降圧回路の出力電圧が第1の所定値を下回るため、第1の電圧検出手段(停電検出回路)が交流電源の停電を誤検出してしまう可能性がある。その結果、光源等の異常(例えば、短絡故障)を正しく検出することができないという課題が生じる。
【0006】
本開示の目的は、光源の異常検出における精度の向上を図ることができる点灯装置及び非常用照明器具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る点灯装置は、電力変換部と、切替回路部と、非常用点灯回路部と、停電検出部と、異常検出部と、制御回路部と、を備える。前記電力変換部は、常用電源から供給される常用電力を電力変換する。前記切替回路部は、前記電力変換部から光源への給電路を導通状態と遮断状態に切り替える。前記非常用点灯回路部は、非常用電源から供給される非常用電力で前記光源を点灯させる。前記停電検出部は、前記電力変換部の出力に基づいて前記常用電源の停電を検出する。前記異常検出部は、前記切替回路部が前記給電路を前記導通状態に切り替えているときに前記給電路を通して前記光源に供給される電圧又は電流に基づいて前記光源の異常を検出する。前記制御回路部は、前記給電路を前記導通状態と前記遮断状態に択一的に切り替えるように前記切替回路部を制御する。前記制御回路部は、前記異常検出部が前記光源の異常を検出した場合、前記切替回路部を制御して前記給電路を前記遮断状態に切り替えさせる。前記停電検出部は、前記異常検出部が前記光源の異常を検出したときに前記常用電源の停電の検出を行わない。
【0008】
本開示の一態様に係る非常用照明器具は、前記点灯装置と、前記点灯装置によって点灯させられる前記光源と、前記非常用電源と、前記点灯装置、前記光源、及び前記非常用電源を収容する器体と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示の点灯装置及び非常用照明器具は、光源の異常検出における精度の向上を図ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本開示の実施形態に係る非常用照明器具の外観斜視図である。
図2図2は、同上の非常用照明器具の分解斜視図である。
図3図3は、本開示の実施形態に係る点灯装置の回路図である。
図4図4は、同上の点灯装置における信号入力回路、マスク回路、電圧検出回路を含む要部の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の実施形態に係る点灯装置1及び非常用照明器具A1について図面を参照して詳細に説明する。ただし、下記の実施形態において説明する各図は模式的な図であり、各構成要素の大きさ及び厚さのそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。なお、以下の実施形態で説明する構成は本開示の一例にすぎない。本開示は、以下の実施形態に限定されず、本開示の効果を奏することができれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0012】
(1)概要
実施形態に係る点灯装置1は、電力変換部と、切替回路部13と、非常用点灯回路部11と、停電検出部と、異常検出部と、制御回路部14と、を備える(図3参照)。
【0013】
電力変換部は、常用点灯回路部10と充電回路部12を含んでいる。電力変換部(常用点灯回路部10)は、常用電源(商用交流電源P1)から供給される常用電力を電力変換する。切替回路部13は、電力変換部(常用点灯回路部10)から光源(LED2)への給電路W1を導通状態と遮断状態に切り替える。非常用点灯回路部11は、非常用電源(電池ユニットB1)から供給される非常用電力で光源(LED2)を点灯させる。
【0014】
停電検出部は、電力変換部(充電回路部12)の出力に基づいて常用電源の停電を検出する。停電検出部は、制御回路部14、ツェナーダイオードZD1、検出抵抗R21、及び信号入力回路50を含んでいる。
【0015】
異常検出部は、切替回路部13が給電路W1を導通状態に切り替えているときに給電路W1を通して光源(LED2)に供給される電圧又は電流に基づいて光源(LED2)の異常を検出する。例えば、異常検出部は、光源(LED2)の順方向電圧を検出する電圧検出回路52と制御回路部14を含んでいる。
【0016】
制御回路部14は、給電路W1を導通状態と遮断状態に択一的に切り替えるように切替回路部13を制御する。また、制御回路部14は、異常検出部が光源(LED2)の異常を検出した場合、切替回路部13を制御して給電路W1を遮断状態に切り替えさせる。停電検出部(制御回路部14)は、異常検出部(制御回路部14)が光源(LED2)の異常を検出したときに常用電源の停電の検出を行わない。
【0017】
例えば、光源(LED2)が短絡故障した場合、電力変換部の出力電圧が低下するため、停電検出部が常用電源の停電を誤検出してしまうおそれがある。しかしながら、停電検出部(制御回路部14)は、異常検出部(制御回路部14)が光源(LED2)の異常(短絡故障)を検出したときに常用電源(商用交流電源P1)の停電の検出を行わない。その結果、点灯装置1は、停電検出部による停電の誤検出を回避して、光源(LED2)の異常検出における精度の向上を図ることができる。
【0018】
また、実施形態に係る非常用照明器具A1は、実施形態に係る点灯装置1と、実施形態に係る点灯装置1によって点灯させられる光源(LED2)と、を備える。実施形態に係る非常用照明器具A1は、非常用電源(電池ユニットB1)と、実施形態に係る点灯装置1、LED2、及び電池ユニットB1を収容する器体A10と、を備える。
【0019】
実施形態に係る非常用照明器具A1は、実施形態に係る点灯装置1を備えるので、停電検出部による停電の誤検出を回避して、光源(LED2)の異常検出における精度の向上を図ることができる。
【0020】
(2)実施形態に係る非常用照明器具の詳細
実施形態に係る非常用照明器具A1(以下、非常用照明器具A1と略す。)について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に説明する非常用照明器具A1は、事務所及び店舗などの建物の避難口又は避難口への通路に設置される避難口誘導灯である。ただし、実施形態に係る非常用照明器具は、避難口誘導灯に限定されず、例えば、建物内の階段室に設置される階段通路誘導灯、あるいは、室内の天井などに設置される非常灯などであっても構わない。なお、以下の説明においては、特に断りのない限り、図1に矢印で示す上下、前後及び左右の各方向を、非常用照明器具A1の上下、前後及び左右の各方向と定義する。
【0021】
非常用照明器具A1は、実施形態に係る点灯装置1(以下、点灯装置1と略す。)、器体A10、光源ユニットA11、表示ブロックA12、電池ユニットB1などを備えている(図1及び図2参照)。
【0022】
器体A10は、合成樹脂材料により、前面に開口部を有する四角形の箱状に形成されている(図2参照)。器体A10は、点灯装置1、電池ユニットB1、端子台90、取付板91などを収容している。
【0023】
取付板91は、金属材料によって板状に形成されている(図2参照)。取付板91は、器体A10の内底面にねじ止めされる。点灯装置1と端子台90は、取付板91にねじ止めされて器体A10内に収容される。また、点灯装置1と端子台90は電気的に接続されている。端子台90は、器体A10の底面に設けられている電源穴96(図2参照)から引き込まれる電源線と電気的に接続される。つまり、点灯装置1は、端子台90と電源線を通じて商用交流電源P1と電気的に接続される。
【0024】
電池ユニットB1は、取付板91に対して着脱可能に取り付けられる。なお、電池ユニットB1は、取付板91に取り付けられた状態で点灯装置1と電気的に接続される。
【0025】
表示ブロックA12は、表示パネル92と、導光板93と、保持体94と、を有する(図2参照)。
【0026】
表示パネル92は、アクリル樹脂又はポリカーボネート樹脂などの透光性を有する合成樹脂材料によって四角形の平板状に形成されている。ただし、表示パネル92は、石英ガラスなどの合成樹脂以外の透光性を有する材料で形成されても構わない。表示パネル92の前面(表示面920)には、避難誘導のためのピクトグラム921が表示されている(図1参照)。
【0027】
導光板93は、アクリル樹脂又はポリカーボネート樹脂などの透光性を有する合成樹脂材料によって四角形の平板状に形成されている。導光板93は、その前面を表示パネル92の後面と対向させるように表示パネル92の後方に配置される(図2参照)。導光板93の上面(入射面930)に、光源ユニットA11から放射される光が入射される。入射面930から入射する光は、導光板93内を導光されて導光板93の前面から出射される。そして、導光板93の出射面から出射する光によって表示パネル92が照らされる。
【0028】
保持体94は、透光性を有しない合成樹脂材料により、前面と上面が開放された四角形の箱状(枠状)に形成されている。保持体94は、導光板93の前方に表示パネル92を配置するようにして表示パネル92と導光板93を保持している(図2参照)。
【0029】
表示ブロックA12は、器体A10の開口部のうち、光源ユニットA11が取り付けられる上部を除いた残りの部分を覆うように器体A10に取り付けられる(図1参照)。
【0030】
光源ユニットA11は、光源となるLED2(図3参照)と、LED2から放射される光を導光する導光体と、LED2及び導光体を収容する筐体95と、を有している(図2参照)。
【0031】
筐体95は、下面と後面が開放された長尺の箱状に形成されている。LED2は、基板に実装されて筐体95の長手方向の一端部(右端部)に収容される。導光体は、長尺の角柱状に形成され、長手方向の一端面(右端面)をLED2に対向させ、かつ、長手方向に沿った側面(下面)を筐体95の下面の開口部分に向けた状態で筐体95に収容される。なお、LED2が実装された基板の一部(以下、突片97と呼ぶ。)が筐体95の後面から突出している(図2参照)。
【0032】
光源ユニットA11は、器体A10の前面上部に嵌め込むようにして器体A10に取り付けられる。このとき、器体A10の右上隅に設置されているコネクタ98に突片97が差込接続されることにより、光源ユニットA11(LED2)と点灯装置1がコネクタ98及び電線(不図示)を介して電気的に接続される。
【0033】
しかして、光源ユニットA11が器体A10に取り付けられた状態において、導光板93の入射面930と光源ユニットA11の出射口が上下方向に対向する。したがって、光源ユニットA11の出射口から出射する光のほぼ全部が、導光板93の入射面930から導光板93に入射する。導光板93に入射した光は、導光板93内を進行しながら保持体94の後面で全反射されて導光板93の出射面から前方へ出射して表示パネル92を照らすことができる。
【0034】
(3)実施形態に係る点灯装置の詳細
次に、図3及び図4の回路図を参照して点灯装置1を詳細に説明する。
【0035】
点灯装置1は、常用点灯回路部10と、非常用点灯回路部11と、充電回路部12と、切替回路部13と、制御回路部14と、停電検出部と、異常検出部と、を備える。また、点灯装置1は、整流回路40、入力コンデンサ41、制御電源部42、などを更に備える。なお、点灯装置1において、電力変換部は常用点灯回路部10と充電回路部12を含んでいる。
【0036】
整流回路40は、ダイオードブリッジである。整流回路40は、商用交流電源P1から入力される交流電圧(例えば、周波数50Hz又は60Hz、実効値100Vの正弦波電圧)を全波整流する。整流回路40から出力される脈流電圧は、電解コンデンサからなる入力コンデンサ41によって平滑される。そして、入力コンデンサ41で平滑された直流電圧が常用点灯回路部10に入力される。
【0037】
(3-1)常用点灯回路部
常用点灯回路部10は、トランスT1、スイッチング素子Q1、ダイオードD1、平滑コンデンサC1を含むスイッチング電源回路、いわゆる絶縁型のフライバックコンバータを有する。
【0038】
トランスT1の1次巻線N11の第1端が入力コンデンサ41の高電位側の端子と電気的に接続され、1次巻線N11の第2端がスイッチング素子Q1のドレイン端子と電気的に接続される。スイッチング素子Q1は、Nチャネル型の電界効果トランジスタである。スイッチング素子Q1のソース端子は入力コンデンサ41の低電位側の端子と電気的に接続される。また、スイッチング素子Q1のゲート端子は、コンバータ制御部30と電気的に接続される。
【0039】
トランスT1は、2つの2次巻線N21、N22を有している。一方の2次巻線N21の一端がダイオードD1のアノードと電気的に接続され、一方の2次巻線N21の他端が平滑コンデンサC1の低電位側の端子と電気的に接続される。また、平滑コンデンサC1の高電位側の端子とダイオードD1のカソードが電気的に接続される。さらに、平滑コンデンサC1の高電位側の端子は、給電路W1を介してLED2のアノードと電気的に接続される。また、平滑コンデンサC1の低電位側の端子は、電気的に直列接続された2つの検出抵抗R21、R22を介してLED2のカソードと電気的に接続される。つまり、平滑コンデンサC1の両端電圧がスイッチング電源回路(常用点灯回路部10)の出力電圧V1となる。
【0040】
コンバータ制御部30は、集積回路で構成される。コンバータ制御部30は、LED2に流れる電流を第1目標値に一致させるようにスイッチング素子Q1をフィードバック制御、具体的にはPWM(パルス幅変調)制御する。ただし、コンバータ制御部30とスイッチング素子Q1が1つの集積回路で構成されても構わない。
【0041】
LED2に流れる電流は、フィードバック回路に含まれる電流検出部44で検出される。電流検出部44は、高電位側の検出抵抗R21の両端電圧を差動増幅することにより、LED2に流れる電流に比例した電圧(第1検出電圧Vx1)を出力する。
【0042】
第1検出電圧Vx1は、フィードバック回路に含まれるシャントレギュレータU1のリファレンス端子に入力される。シャントレギュレータU1のアノード端子は、平滑コンデンサC1の低電位側の端子と電気的に接続される。シャントレギュレータU1のカソード端子は、同じくフィードバック回路に含まれるフォトカプラ31の低電位側の入力端子及び抵抗R2の一端と電気的に接続される。フォトカプラ31の高電位側の入力端子は、抵抗R2の他端及び抵抗R1の一端と電気的に接続される。抵抗R1の他端は、フィードバック回路に含まれる定電圧回路32に電気的に接続される。なお、フォトカプラ31の2つの入力端子間に接続されている抵抗R2は、シャントレギュレータU1に最小カソード電流を流す役割を担っている。
【0043】
しかして、カソード端子に流れ込むカソード電流が最小カソード電流以上のときにシャントレギュレータU1が導通してフォトカプラ31の発光ダイオードに順方向電流が流れる。発光ダイオードに流れる順方向電流は、第1検出電圧Vx1の電圧値(LED2に流れる電流の大きさ)に比例する。また、フォトカプラ31の出力電流(フォトトランジスタのコレクタ電流)は、発光ダイオードの順方向電流に比例する。
【0044】
ここで、フォトカプラ31の出力端子がコンデンサC3を通してコンバータ制御部30に電気的に接続されている。つまり、フォトカプラ31の出力電流は、コンデンサC3で電圧(フィードバック信号Vfb)に変換されてコンバータ制御部30に入力される。
【0045】
しかして、コンバータ制御部30は、フォトカプラ31を通して入力されるフィードバック信号Vfbに応じて、LED2に流れる電流に比例した第1検出電圧Vx1を目標電圧に一致させるようにスイッチング素子Q1をフィードバック制御する。その結果、常用点灯回路部10は、LED2に流す電流を第1目標値に一致させることができる。
【0046】
(3-2)充電回路部
充電回路部12は、トランスT1、スイッチング素子Q1、ダイオードD2、平滑コンデンサC2を含むスイッチング電源回路、いわゆる絶縁型のフライバックコンバータを有する。ただし、充電回路部12は、トランスT1の一部とスイッチング素子Q1を常用点灯回路部10と共用している。
【0047】
トランスT1の他方の2次巻線N22の一端がダイオードD2のアノードと電気的に接続され、2次巻線N22の他端が平滑コンデンサC2の低電位側の端子と電気的に接続される。また、平滑コンデンサC2の高電位側の端子とダイオードD2のカソードが電気的に接続される。さらに、平滑コンデンサC2の高電位側の端子は、定電圧回路32、定電流回路33、及び停電検出部に電気的に接続される。また、平滑コンデンサC2の低電位側の端子は、2つの検出抵抗R21、R22を介してLED2のカソードと電気的に接続される。つまり、平滑コンデンサC2の両端電圧がスイッチング電源回路(充電回路部12)の出力電圧V2となる。なお、充電回路部12の負荷である蓄電池(電池ユニットB1)の充電に必要な電圧がLED2の点灯時の順方向電圧よりも高い。そのため、2次巻線N22の巻数が2次巻線N21の巻数よりも多くなっており、充電回路部12の出力電圧V2が、常用点灯回路部10の出力電圧V1よりも高くなる。
【0048】
定電流回路33は、平滑コンデンサC2の両端電圧(充電回路部12の出力電圧V2)を電源として電池ユニットB1に一定の充電電流を流す。電池ユニットB1は、定電流回路33から供給される充電電流によって充電される。
【0049】
電圧検出部45は、常用点灯回路部10の出力電圧V1に比例した第2検出電圧Vx2を出力する。第2検出電圧Vx2は、シャントレギュレータU1のリファレンス端子に入力される。ただし、電圧検出部45は、常用点灯回路部10がLED2を点灯させている場合、第2検出電圧Vx2を第1検出電圧Vx1よりも低くするように構成されている。つまり、常用点灯回路部10がLED2を点灯させている場合、フィードバック回路は、第1検出電圧Vx1に対応したフィードバック信号Vfbを出力する。そのため、コンバータ制御部30は、第2検出電圧Vx2ではなく、第1検出電圧Vx1に応じてスイッチング素子Q1をPWM制御する。一方、LED2を消灯させつつ充電回路部12による電池ユニットB1の充電を継続する場合(後述する)、第1検出電圧Vx1がゼロとなるので、フィードバック回路は、第2検出電圧Vx2に対応したフィードバック信号Vfbを出力する。したがって、コンバータ制御部30は、第2検出電圧Vx2に応じてスイッチング素子Q1をPWM制御する。
【0050】
(3-3)非常用点灯回路部
非常用点灯回路部11は、トランスとスイッチング素子を備えたフライバックコンバータと、スイッチング素子をスイッチング制御するコンバータ制御回路と、を有し、電池ユニットB1から供給される直流電圧を昇圧又は降圧して出力する。ただし、非常用点灯回路部11は、フライバックコンバータの代わりにフォワードコンバータを備えてもよい。
【0051】
非常用点灯回路部11の高電位側の出力端子がLED2のアノードと電気的に接続され、非常用点灯回路部11の低電位側の出力端子が検出抵抗R22の低電位側の端子と電気的に接続される。
【0052】
コンバータ制御回路は、LED2に流れる電流に比例した検出抵抗R22の両端電圧(第3検出電圧Vx3)を取り込み、LED2に流れる電流の大きさを第2目標値に一致させるようにスイッチング素子をフィードバック制御(PWM制御)する。ただし、非常用点灯回路部11の第2目標値は、常用点灯回路部10の第1目標値よりも小さい値である。
【0053】
(3-4)切替回路部
切替回路部13は、駆動回路130、スイッチ素子131、コンデンサ132、抵抗133、スイッチング素子134、ダイオードD3などを有する。
【0054】
スイッチ素子131は、Pチャネル型の電界効果トランジスタである。スイッチ素子131のソース端子が常用点灯回路部10の高電位側の出力端(平滑コンデンサC1の高電位側の端子)と電気的に接続される。スイッチ素子131のドレイン端子がダイオードD3を介してLED2のアノードと電気的に接続される。つまり、スイッチ素子131は、給電路W1に挿入されており、給電路W1を導通状態と遮断状態に択一的に切り替えることができる。
【0055】
コンデンサ132と抵抗133は、スイッチ素子131のソース端子とゲート端子の間に電気的に並列接続される。つまり、コンデンサ132の両端電圧がスイッチ素子131のソース端子とゲート端子の間に印加されるので、コンデンサ132の両端電圧が高くなるにつれてスイッチ素子131のドレイン-ソース間のインピーダンスが減少する。
【0056】
駆動回路130は、2つのトランジスタTR1、TR2と、2つの抵抗R11、R12と、を有する。2つのトランジスタTR1、TR2は、いずれもpnp型のバイポーラトランジスタである。一方のトランジスタTR1のエミッタは、スイッチ素子131のゲート端子と電気的に接続される。トランジスタTR1のコレクタは、他方のトランジスタTR2のベースと電気的に接続される。トランジスタTR1のベースは、トランジスタTR2のエミッタ及び抵抗R11の一端と電気的に接続される。抵抗R11の他端はスイッチ素子131のゲート端子と電気的に接続される。他方のトランジスタTR2のコレクタは、検出抵抗R22の低電位側の端子と電気的に接続される。
【0057】
上述のように構成される駆動回路130は、コンデンサ132又は抵抗133を通して一定の電流を流す定電流回路として機能する。
【0058】
スイッチング素子134は、npn型のバイポーラトランジスタである。スイッチング素子134のコレクタは抵抗R12を介してトランジスタTR1のコレクタ及びトランジスタTR2のベースと電気的に接続される。スイッチング素子134のエミッタは、トランジスタTR2のコレクタ及び検出抵抗R22の低電位の端子に電気的に接続される。スイッチング素子134のベースは、制御回路部14と電気的に接続される。つまり、スイッチング素子134は、後述するように制御回路部14によってオン・オフされる。スイッチング素子134がオンしている間は駆動回路130が動作してスイッチ素子131がオン状態(導通状態)に維持される。一方、スイッチング素子134がオフしている間は駆動回路130が停止してスイッチ素子131がオフ状態(遮断状態)に維持される。
【0059】
(3-5)制御回路部
制御回路部14は、マイクロコントローラを有している。制御回路部14は、制御電源部42から制御電圧Vccが供給されて動作する。制御電源部42は、3端子レギュレータ420を有している。制御電源部42は、商用交流電源P1が停電しておらず、充電回路部12が動作しているときは充電回路部12から給電されて制御電圧Vccを出力する。また、制御電源部42は、商用交流電源P1が停電しており、非常用点灯回路部11が動作しているときは非常用点灯回路部11から給電されて制御電圧Vccを出力する。
【0060】
制御回路部14は、商用交流電源P1が停電していないときは常用時の動作モードで動作し、商用交流電源P1が停電しているときは非常時の動作モードで動作する。
【0061】
常用時の動作モードにおいて、制御回路部14は、コンバータ制御部30に指示して常用点灯回路部10と充電回路部12を動作させるとともに、スイッチング素子134をオンして切替回路部13を導通状態(スイッチ素子131をオン状態)に切り替える。なお、制御回路部14は、常用時の動作モードにおいて、非常用点灯回路部11を停止状態に維持する。しかして、常用点灯回路部10によってLED2が点灯(常用点灯)し、かつ、充電回路部12によって電池ユニットB1が充電される。
【0062】
非常時の動作モードにおいて、制御回路部14は、非常用点灯回路部11を動作させるとともに、スイッチング素子134をオフして切替回路部13を遮断状態(スイッチ素子131をオフ状態)に切り替える。なお、常用点灯回路部10と充電回路部12は、商用交流電源P1から給電が停止することで停止状態となる。しかして、非常用点灯回路部11によってLED2が点灯(非常点灯)する。
【0063】
ところで、非常用照明器具A1に用いられる点灯装置1において、商用交流電源P1が停電していないときに充電回路部12を動作させつつLED2を消灯させたいという要望がある。なお、非常用照明器具の1種である誘導灯を消灯できる場合として、消防法施行規則第28条の3第4項第2号及びガイドラインに、「利用形態により特に暗さが必要である場所に設置する場合」として、映画館における上演時間中に誘導灯を消灯することが認められている。
【0064】
そのため、制御回路部14は、常用時及び非常時の動作モードの他に、常時消灯の動作モードを有している。制御回路部14は、常用時の動作モードにおいて、信号装置から消灯信号を受信した場合に常用時の動作モードから常時消灯の動作モードに移行する。なお、制御回路部14は、常時消灯の動作モードにおいて、信号装置から点灯信号を受信した場合に常時消灯の動作モードから常用時の動作モードに復帰する。
【0065】
常時消灯の動作モードにおいて、制御回路部14は、コンバータ制御部30に指示して常用点灯回路部10と充電回路部12を動作させるとともに、スイッチング素子134をオフして切替回路部13を遮断状態(スイッチ素子131をオフ状態)に切り替える。つまり、常用点灯回路部10と充電回路部12が1つのスイッチング素子Q1を共用しているため、充電回路部12を動作させると常用点灯回路部10も動作する。しかしながら、切替回路部13が給電路W1を遮断状態に切り替えるため、常用点灯回路部10によってLED2が点灯させられることはない。また、制御回路部14は、非常用点灯回路部11を停止状態に維持するので、非常用点灯回路部11によってLED2が点灯させられることもない。しかして、制御回路部14が常時消灯の動作モードで動作する場合、電池ユニットB1の充電を継続しつつ、LED2を消灯させることができる。
【0066】
(3-6)異常検出部
異常検出部は、LED2の順方向電圧を検出する電圧検出回路52と、電圧検出回路52の検出信号(第4検出電圧Vx4)に基づいてLED2の異常(例えば、短絡故障)の有無を判定する制御回路部14と、を含む。
【0067】
電圧検出回路52は、図4に示すように、電気的に直列接続された2つの分圧抵抗R41、R42を有する。一方の分圧抵抗R41の一端(分圧抵抗R42と接続されていない方の一端)がLED2のアノードと電気的に接続され、他方の分圧抵抗R42の一端(分圧抵抗R41と接続されていない方の一端)がLED2のカソードと電気的に接続される。そして、電圧検出回路52は、LED2の順方向電圧を2つの分圧抵抗R41、R42で分圧した第4検出電圧Vx4を制御回路部14の1つの入力ポートに入力する。
【0068】
制御回路部14は、第4検出電圧Vx4を上限値及び下限値と比較する。制御回路部14は、第4検出電圧Vx4が上限値以下かつ下限値以上であれば、LED2が正常(異常なし)と判定する。また、制御回路部14は、第4検出電圧Vx4が上限値を超えていれば、LED2に異常(開放故障)が生じていると判定する。さらに、制御回路部14は、第4検出電圧Vx4が下限値を下回っていれば、LED2に異常(短絡故障)が生じていると判定する。
【0069】
制御回路部14は、LED2に異常有りと判定した場合、切替回路部13を制御して給電路W1を遮断状態とする。さらに、制御回路部14は、コンバータ制御部30を制御して電力変換部(常用点灯回路部10と充電回路部12)を停止させてもよい。
【0070】
上述のように点灯装置1は、LED2の異常の有無を異常検出部(制御回路部14及び電圧検出回路52)で検出することにより、異常が生じているLED2に電力が供給され続ける状況を回避することができる。
【0071】
(3-7)停電検出部
停電検出部は、ツェナーダイオードZD1、抵抗R31、ツェナーダイオードZD1のツェナー電流に応じた信号(停電判定信号)を生成する信号入力回路50、マスク回路51、制御回路部14を含む(図3及び図4参照)。
【0072】
ツェナーダイオードZD1のカソード端子が充電回路部12の高電位側の出力端(平滑コンデンサC2の高電位側の端子)と電気的に接続される(図3参照)。ツェナーダイオードZD1のアノード端子が抵抗R31を介して信号入力回路50の入力端子と電気的に接続される。ツェナーダイオードZD1は、商用交流電源P1が停電しておらず、充電回路部12から所定の出力電圧V2が供給されている場合に導通してツェナー電流を抵抗R31に流す。一方、商用交流電源P1が停電している場合、充電回路部12の出力電圧V2がゼロになるので、ツェナーダイオードZD1は不導通となり、ツェナー電流も流れない。
【0073】
信号入力回路50は、スイッチ素子500、2つの抵抗501、502、及びコンデンサ503を有する(図4参照)。スイッチ素子500は、npn型のバイポーラトンランジスタである。スイッチ素子500のコレクタ端子は制御電圧Vccにプルアップされ、かつ、制御回路部14の1つの入力ポートと電気的に接続される。スイッチ素子500のエミッタ端子はグランドに電気的に接続される。スイッチ素子500のベース端子は、コンデンサ503の一端と2つの抵抗501、502の接続点に電気的に接続される。コンデンサ503の他端と抵抗502の一端(抵抗501に接続されていない一端)がグランドに電気的に接続される。抵抗501の一端(抵抗502に接続されていない一端)は、抵抗R31を介してツェナーダイオードZD1のアノード端子と電気的に接続される。
【0074】
しかして、ツェナーダイオードZD1が導通している場合、抵抗R31と抵抗501を介してベース端子に電流が流れ込むため、スイッチ素子500がオンする。スイッチ素子500がオンすれば、制御回路部14の入力ポートがスイッチ素子500を介してグランドに電気的に接続されるので、制御回路部14の入力ポートがローレベルとなる。反対に、ツェナーダイオードZD1が導通していない場合、ベース端子に電流が流れ込まないため、スイッチ素子500がオフする。スイッチ素子500がオフすれば、制御回路部14の入力ポートが制御電圧Vccにプルアップされるので、制御回路部14の入力ポートがハイレベルとなる。すなわち、信号入力回路50は、充電回路部12の出力電圧V2が所定の電圧以上のときにローレベルの停電判定信号を出力し、充電回路部12の出力電圧V2がゼロのときにハイレベルの停電判定信号を出力する。
【0075】
制御回路部14は、入力ポートに入力される停電判定信号がローレベルであれば、商用交流電源P1が停電していないと判定して常用時の動作モードで動作する。一方、入力ポートに入力される停電判定信号がハイレベルであれば、制御回路部14は、商用交流電源P1が停電していると判定して非常時の動作モードで動作する。
【0076】
マスク回路51は、複数の抵抗R51~R56と、複数のスイッチング素子Q51~Q53と、を有する(図4参照)。
【0077】
スイッチング素子Q51は、pnp型のバイポーラトランジスタである。スイッチング素子Q51のエミッタ端子が抵抗R51の一端とLED2のアノード端子に電気的に接続される。スイッチング素子Q51のベース端子は、抵抗R51と抵抗R52の接続点と電気的に接続される。2つの抵抗R51、R52は、LED2のアノード・カソード間に電気的に直列接続される。
【0078】
スイッチング素子Q51のコレクタ端子は、抵抗R53を介してスイッチング素子Q52のベース端子と電気的に接続される。スイッチング素子Q52は、npn型のバイポーラトランジスタである。スイッチング素子Q52のコレクタ端子は信号電圧Vsにプルアップされている。信号電圧Vsは、信号装置から消灯信号を受信しているときにローレベルとなり、信号装置から点灯信号を受信しているときにハイレベルとなる。
【0079】
スイッチング素子Q52のエミッタ端子は抵抗R54を介してスイッチング素子Q52のベース端子と電気的に接続される。スイッチング素子Q52のコレクタ端子とエミッタ端子の間に2つの抵抗R55、R56が電気的に直列接続される。2つの抵抗R55、R56の接続点にスイッチング素子Q53のベース端子が電気的に接続される。スイッチング素子Q53は、npn型のバイポーラトランジスタである。スイッチング素子Q53のコレクタ端子は、信号入力回路50の停電判定信号が入力される制御回路部14の入力ポートに電気的に接続される。スイッチング素子Q53のエミッタ端子は、スイッチング素子Q52のエミッタ端子とともにグランドに電気的に接続される。
【0080】
常用点灯回路部10によってLED2が常用点灯している場合、抵抗R51、R52の両端にLED2の順方向電圧が印加されることによってスイッチング素子Q51がオンする。スイッチング素子Q51がオンすれば、スイッチング素子Q52がオンとなり、スイッチング素子Q53がオフとなる。したがって、LED2が正常に点灯している場合、マスク回路51は信号入力回路50に対して何ら影響を及ぼさない。
【0081】
一方、LED2に異常(例えば、短絡故障)が生じた場合、抵抗R51、R52の両端にLED2の順方向電圧が印加されなくなることによってスイッチング素子Q51がオフする。スイッチング素子Q51がオフすれば、スイッチング素子Q52がオフとなり、スイッチング素子Q53がオンとなる。したがって、LED2に異常が生じた場合、マスク回路51は信号入力回路50から出力する停電判定信号を常にローレベルとすることで停電検出部による停電の有無の検出をマスクする。その結果、制御回路部14がLED2の異常を商用交流電源P1の停電と誤判定(誤検出)することを防止できる。
【0082】
ところで、信号装置から消灯信号を受信することで制御回路部14が常時消灯の動作モードで動作している場合、LED2が消灯するために異常検出部がLED2の異常を誤検出してしまう。そして、異常検出部がLED2の異常を誤検出することにより、マスク回路51によって停電検出部による停電の有無の検出がマスクされてしまう可能性がある。
【0083】
そのため、点灯装置1においては、マスク回路51に信号電圧Vsを印加している。消灯信号が受信されているときに信号電圧Vsがローレベルになるので、スイッチング素子Q53がオフとなり、マスク回路51によるマスクがキャンセルされる。その結果、点灯装置1において、制御回路部14は、LED2に異常が生じていると判定(検出)しても商用交流電源P1の停電の有無の検出を行うことができる。
【0084】
(4)実施形態に係る点灯装置の利点
上述したように点灯装置1において、停電検出部(制御回路部14、ツェナーダイオードZD1、抵抗R31、信号入力回路50、及びマスク回路51)は、異常検出部(制御回路部14、電圧検出回路52)がLED2の異常を検出したときに停電の検出を行わない。具体的には、異常検出部がLED2の異常(例えば、短絡故障)を検出した場合、停電検出部のマスク回路51も同様にLED2の異常を検出して信号入力回路50の停電判定信号を強制的にローレベルに固定してしまう。ゆえに、制御回路部14は、ローレベルに固定された停電判定信号に基づいて商用交流電源P1が停電していないと判定するので、LED2に異常が生じることで充電回路部12の出力電圧V2がゼロになっても停電が発生している誤判定することはない。
【0085】
その結果、点灯装置1は、停電検出部による停電の誤検出を回避して、LED2の異常検出における精度の向上を図ることができる。
【0086】
また、制御回路部14は、常時消灯の動作モードにおいて充電回路部12を動作させて電池ユニットB1を充電しつつ切替回路部13に給電路W1を遮断させてLED2を消灯させる。このとき、LED2が消灯するためにマスク回路51によるマスクがキャンセルされ、異常検出部(制御回路部14)がLED2の異常を検出しても停電検出部(制御回路部14)による商用交流電源P1の停電の有無の検出を行うことができる。その結果、点灯装置1は、制御回路部14が常時消灯の動作モードで動作している場合でも商用交流電源P1の停電を確実に検出して非常用照明を行うことができる。
【0087】
さらに、充電回路部12は、異常検出部がLED2の異常を検出した場合、電池ユニットB1の充電を中止する。具体的には、制御回路部14がLED2の異常を検出した場合、制御回路部14がコンバータ制御部30に指示してスイッチング電源回路を停止させることで充電回路部12が電池ユニットB1の充電を中止する。
【0088】
しかして、点灯装置1は、異常検出部がLED2の異常を検出した場合、充電回路部12が電池ユニットB1の充電を中止することにより、無駄な電力消費を抑えることができる。
【0089】
ただし、充電回路部12は、異常検出部がLED2の異常を検出した場合、切替回路部13が給電路W1を遮断状態に切り替えた後に電池ユニットB1の充電を再開することが好ましい。つまり、点灯装置1は、切替回路部13が給電路W1を遮断状態に切り替えるので、異常が生じたLED2に給電され続けることを回避できる。さらに、点灯装置1は、給電路W1を遮断した後に充電回路部12に電池ユニットB1の充電を再開させることにより、電池ユニットB1を適切に充電することができる。
【0090】
ところで、制御回路部14は、第4検出電圧Vx4が上限を超える時間又は第4検出電圧Vx4が下限値を下回る時間が第1判定時間に達した場合にLED2に異常が生じていると判定する(異常を検出する)ことが好ましい。言い換えると、制御回路部14は、第1判定時間に達する前に、第4検出電圧Vx4が上限値以下かつ下限値以上の範囲に戻った場合、LED2に異常が発生していると判定しない(異常を検出しない)ことが好ましい。これにより、点灯装置1は、異常検出部(制御回路部14)がLED2の異常を誤検出する可能性を低減することができる。
【0091】
また、制御回路部14は、信号入力回路50から入力ポートにハイレベルの信号が入力される時間が第2判定時間に達した場合に商用交流電源P1が停電したと判断する(停電を検出する)ことが好ましい。言い換えると、制御回路部14は、第2判定時間に達する前に、入力ポートの入力信号がハイレベルからローレベルに復帰した場合、商用交流電源P1が停電していると判定しない(停電を検出しない)ことが好ましい。これにより、点灯装置1は、例えば、商用交流電源P1の瞬時停電を停電と判定してLED2を非常点灯させることを回避できる。なお、信号入力回路50から入力ポートにハイレベルの信号が入力される時間は、充電回路部12の出力電圧V2がツェナーダイオードZD1のツェナー電圧未満となる時間に対応している。
【0092】
ここで、制御回路部14において、第2判定時間は第1判定時間よりも短い時間に設定されていることが好ましい。つまり、停電を検出するための第2判定時間を、LED2の異常を検出するための第1判定時間よりも短くすることにより、マスク回路51によって制御回路部14の停電検出がマスクされる可能性を減らして、停電検出の確度の向上を図ることができる。
【0093】
(5)まとめ
本開示の第1の態様に係る点灯装置(1)は、電力変換部(常用点灯回路部10及び充電回路部12)と、切替回路部(13)と、非常用点灯回路部(11)と、停電検出部(制御回路部14、ツェナーダイオードZD1、抵抗R31、信号入力回路50、及びマスク回路51)と、異常検出部(制御回路部14、電圧検出回路52)と、制御回路部(14)と、を備える。電力変換部は、常用電源(商用交流電源P1)から供給される常用電力を電力変換する。切替回路部(13)は、電力変換部から光源(LED2)への給電路(W1)を導通状態と遮断状態に切り替える。非常用点灯回路部(11)は、非常用電源(電池ユニットB1)から供給される非常用電力で光源を点灯させる。停電検出部は、電力変換部の出力に基づいて常用電源の停電を検出する。異常検出部は、切替回路部(13)が給電路(W1)を導通状態に切り替えているときに給電路(W1)を通して光源に供給される電圧又は電流に基づいて光源の異常を検出する。制御回路部(14)は、給電路(W1)を導通状態と遮断状態に択一的に切り替えるように切替回路部(13)を制御する。制御回路部(14)は、異常検出部が光源の異常を検出した場合、切替回路部(13)を制御して給電路(W1)を遮断状態に切り替えさせる。停電検出部は、異常検出部が光源の異常を検出したときに常用電源の停電の検出を行わない。
【0094】
第1の態様に係る点灯装置(1)は、光源に異常が生じることで電力変換部の出力電圧がゼロになっても停電が発生していると誤検出することがなく、停電検出部による停電の誤検出を回避して、光源の異常検出における精度の向上を図ることができる。
【0095】
本開示の第2の態様に係る点灯装置(1)は、第1の態様との組合せにより実現され得る。第2の態様に係る点灯装置(1)において、制御回路部(14)は、外部から消灯信号を受信した場合、電力変換部を動作させつつ切替回路部(13)を制御して給電路(W1)を導通状態から遮断状態に切り替えさせることが好ましい。停電検出部は、制御回路部(14)が消灯信号を受信した場合、異常検出部が光源の異常を検出しても常用電源の停電の検出を行うことが好ましい。
【0096】
第2の態様に係る点灯装置(1)は、常用電源の停電を確実に検出して非常用照明を行うことができる。
【0097】
本開示の第3の態様に係る点灯装置(1)は、第1又は第2の態様との組合せにより実現され得る。第3の態様に係る点灯装置(1)において、電力変換部は、常用電力から電力変換された電力で光源を点灯させる常用点灯回路部(10)と、常用電力から電力変換された電力で非常用電源を充電する充電回路部(12)と、を有することが好ましい。充電回路部(12)は、異常検出部が光源の異常を検出した場合、非常用電源の充電を中止することが好ましい。
【0098】
第3の態様に係る点灯装置(1)は、無駄な電力消費を抑えることができる。
【0099】
本開示の第4の態様に係る点灯装置(1)は、第3の態様との組合せにより実現され得る。第4の態様に係る点灯装置(1)において、充電回路部(12)は、異常検出部が光源の異常を検出した場合、切替回路部(13)が給電路(W1)を遮断状態に切り替えた後に非常用電源の充電を再開することが好ましい。
【0100】
第4の態様に係る点灯装置(1)は、非常用電源を適切に充電することができる。
【0101】
本開示の第5の態様に係る点灯装置(1)は、第1-第4のいずれかの態様との組合せにより実現され得る。第5の態様に係る点灯装置(1)において、異常検出部は、光源に供給される電圧又は電流が正常な範囲を超える時間が第1判定時間に達した場合に光源の異常を検出することが好ましい。停電検出部は、電力変換部の出力が下限値を下回る時間が第2判定時間に達した場合に常用電源の停電を検出することが好ましい。第2判定時間が第1判定時間よりも短いことが好ましい。
【0102】
第5の態様に係る点灯装置(1)は、停電検出の確度の向上を図ることができる。
【0103】
本開示の第6の態様に係る非常用照明器具(A1)は、第1-第5のいずれかの態様に係る点灯装置(1)と、点灯装置(1)によって点灯させられる光源と、非常用電源と、点灯装置(1)、光源、及び非常用電源を収容する器体(A10)と、を備える。
【0104】
第6の態様に係る非常用照明器具(A1)は、光源の異常検出における精度の向上を図ることができる。
【符号の説明】
【0105】
A1 非常用照明器具
A10 器体
B1 電池ユニット(非常用電源)
P1 商用交流電源(常用電源)
W1 給電路
1 点灯装置
2 LED(光源)
10 常用点灯回路部(電力変換部)
11 非常用点灯回路部
12 充電回路部(電力変換部)
13 切替回路部
14 制御回路部(停電検出部)
50 信号入力回路(停電検出部)
51 マスク回路(停電検出部)
52 電圧検出回路(異常検出部)
ZD1 ツェナーダイオード(停電検出部)
R31 抵抗(停電検出部)
図1
図2
図3
図4