(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161407
(43)【公開日】2023-11-07
(54)【発明の名称】充填計量装置および充填計量方法
(51)【国際特許分類】
B65B 1/32 20060101AFI20231030BHJP
B65B 3/28 20060101ALI20231030BHJP
【FI】
B65B1/32
B65B3/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022071781
(22)【出願日】2022-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】000253019
【氏名又は名称】澁谷工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】東 健一
(72)【発明者】
【氏名】西田 克秀
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 隆
(72)【発明者】
【氏名】太田 正人
【テーマコード(参考)】
3E118
【Fターム(参考)】
3E118AA02
3E118AB04
3E118AB17
3E118BA07
3E118BB14
3E118DA03
3E118EA03
3E118FA08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】高い計量精度を有し、かつ処理能力の高い充填計量装置を提供する。
【解決手段】充填計量装置10は薬品Mを供給する薬品供給装置46と、薬品Mを収容する複数のカップ22と、カップ22の重量を計量する電子天秤40と、カップ22から薬品Mを容器Vに充填する第1、第2充填物投入装置32A、32Bと、電子天秤40と第1、第2充填物投入装置32A、32Bとの間でカップを移動させるカップ移動装置42とを備える。電子天秤40で所定量の薬品Mを供給された実カップ22と、薬品Mを容器Vに充填した空カップ22を計量し、空カップ22の重量を実カップ22の重量から減算して容器Vの充填重量とする。カップ移動装置42は電子天秤40から第1、第2充填物投入装置32A、32Bへの実カップ22の移動と、第1、第2充填物投入装置32A、32Bから電子天秤40への空カップ22の移動を、複数のカップ22を用いて同時に行う。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
充填物を順次搬送される容器に充填するとともに、充填される全ての容器の充填重量を全数計量する充填計量装置において、
所定量の充填物を供給する充填物供給手段と、前記充填物供給手段が供給する充填物を収容する複数の収容体と、前記収容体の重量を計量する計量手段と、前記収容体に収容されている充填物を容器に充填する充填手段と、前記計量手段と前記充填手段との間で収容体を移動させる移動手段とを備え、
前記計量手段は、充填物供給手段によって収容体に所定量の充填物を供給した後で、当該充填物を収容した収容体の重量を計量するとともに、充填手段によって収容体に収容されている充填物を容器に充填した後で、当該空となった収容体の重量を計量し、当該空となった収容体の重量を前記充填物を収容した収容体の重量から減算して、当該収容体から充填物が充填された容器の充填重量とし、
前記移動手段は、計量手段から充填手段への充填物を収容した収容体の移動と、充填手段から計量手段への空の収容体の移動を、複数の収容体において同時に行うことを特徴とする充填計量装置。
【請求項2】
前記充填手段は収容体を保持して反転させる保持手段を備え、移動手段から受け取った収容体を反転させて、収容体に収容されている充填物を容器に充填することを特徴とする請求項1に記載の充填計量装置。
【請求項3】
前記充填手段は複数の保持手段を備え、保持手段に収容体を保持して充填物を容器に充填する充填動作と並行して、異なる保持手段により移動手段に対する収容体の受け渡しを行うことを特徴とする請求項2に記載の充填計量装置。
【請求項4】
充填物を順次搬送される容器に充填するとともに、充填される全ての容器の充填重量を全数計量する充填計量方法において、
所定量の充填物を収容体に供給して、当該充填物を収容した収容体の重量を計量し、当該収容体に収容された充填物を容器に充填して、その後、空となった収容体の重量を計量し、当該空となった収容体の重量を前記充填物を収容した収容体の重量から差し引くことによって、当該収容体から充填物が充填された容器の充填重量を求めることを特徴とする充填計量方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体や液体などを計量して所定量を容器に充填する充填計量装置および充填計量方法に関する。
【背景技術】
【0002】
粉末や液体などの医薬品を秤量してバイアルやアンプル等の容器に自動充填する充填計量装置が知られている(特許文献1)。特許文献1の充填ラインでは、容器に粉末あるいは液体を充填する充填機の前後に空容器と充填後の容器とを秤量する電子天秤を設置し、薬品が充填された容器の重量から空容器の重量を減算して充填重量を算出している。また、医薬品などの充填においては精度とともに不良品を出さないことが要求されるため全数を秤量する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1のように、空容器と充填後の容器を秤量する構成では、容器を計量台に載せるためのハンドリングが必要であり、容器の形状や形態が変わると、ハンドリング手段の型替えが必要となる。また、電子天秤の秤量は計量される容器の重量に合わせて設定する必要があるが、これは計量目的である薬品の重量とオーダーが異なる。そのため容器が重い場合は電子天秤の分解能が低下して充填物である薬品の計量精度が低下する。
【0005】
本発明は、容器の形状や形態に拘らずハンドリング手段の型替えが不要で、高い計量精度を有し、かつ処理能力の高い充填計量装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明である充填計量装置は、充填物を順次搬送される容器に充填するとともに、充填される全ての容器の充填重量を全数計量する充填計量装置において、所定量の充填物を供給する充填物供給手段と、前記充填物供給手段が供給する充填物を収容する複数の収容体と、前記収容体の重量を計量する計量手段と、前記収容体に収容されている充填物を容器に充填する充填手段と、前記計量手段と前記充填手段との間で収容体を移動させる移動手段とを備え、前記計量手段は、充填物供給手段によって収容体に所定量の充填物を供給した後で、当該充填物を収容した収容体の重量を計量するとともに、充填手段によって収容体に収容されている充填物を容器に充填した後で、当該空となった収容体の重量を計量し、当該空となった収容体の重量を前記充填物を収容した収容体の重量から減算して、当該収容体から充填物が充填された容器の充填重量とし、前記移動手段は、計量手段から充填手段への充填物を収容した収容体の移動と、充填手段から計量手段への空の収容体の移動を、複数の収容体において同時に行うことを特徴としている。
【0007】
第2の発明である充填計量装置は、第1の発明において、前記充填手段は収容体を保持して反転させる保持手段を備え、移動手段から受け取った収容体を反転させて、収容体に収容されている充填物を容器に充填することを特徴としている。
【0008】
第3の発明である充填計量装置は、第2の発明において、前記充填手段は複数の保持手段を備え、保持手段に収容体を保持して充填物を容器に充填する充填動作と並行して、異なる保持手段により移動手段に対する収容体の受け渡しを行うことを特徴としている。
【0009】
第4の発明である充填計量方法は、充填物を順次搬送される容器に充填するとともに、充填される全ての容器の充填重量を全数計量する充填計量方法において、所定量の充填物を収容体に供給して、当該充填物を収容した収容体の重量を計量し、当該収容体に収容された充填物を容器に充填して、その後、空となった収容体の重量を計量し、当該空となった収容体の重量を前記充填物を収容した収容体の重量から差し引くことによって、前記収容体から充填物が充填された容器の充填重量を求めることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、容器の形状や形態に拘らずハンドリング手段の型替えが不要で、高い計量精度を有し、かつ処理能力の高い充填計量装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態である充填計量装置の構成を示す正面図である。
【
図3】第1、第2充填物投入装置とカップ移動装置の配置を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態である充填計量装置の構成を示す模式的な正面図である。
【0013】
本実施形態の充填計量装置10は、アイソレータ12の作業室12A内において、例えばバイアルなどの容器Vに粉体や液体などの薬品(充填物)Mを充填する。容器Vは、作業室12A内に設けられた容器搬送装置14により一列で間欠的に
図1の紙面方向に搬送される。容器搬送装置14は、
図2の平面図に示されるように、容器Vの首部を把持するグリッパ14Aが無限軌道上に等間隔で一列に配置される。本実施形態の充填計量装置10は、容器Vの移動経路Lに沿って4台が直列に配置され、グリッパ14Aにより保持される容器Vのうち、順次搬送されて各充填計量装置10の充填位置P1の下方に停止する4個の容器Vに同時に薬品Mの充填を行う。したがって、本実施形態の容器搬送装置14は、4個の容器Vを単位に間欠搬送される。なお、充填が同時に行われる容器Vの数は4個に限定されるものではなく、容器Vの間欠搬送は充填が同時に行われる容器Vの数に対応する。
【0014】
各充填計量装置10の充填位置P1の下方に停止される各容器Vの口部には、上方から漏斗16が各々差し込まれる。漏斗16は、作業室12A内のテーブル18に設置された支柱19に取り付けられた漏斗昇降装置20により昇降され、容器Vの口部に抜き差しされる。各漏斗16の上方には、薬品Mを収容するカップ(収容体)22を把持する反転グリッパ(保持手段)24(24A、24B)が各々配置される。各反転グリッパ24はグリッパ反転装置26(26A、26B)により開閉可能および反転可能に備えられるとともに、各グリッパ反転装置26はリンク28を通してグリッパ昇降装置30により上昇位置と下降位置の間で昇降可能とされ、第1または第2充填物投入装置(充填手段)32A、32Bを構成する。なお、
図1において、第1充填物投入装置32Aの反転グリッパ24Aは下降位置に位置し、第2充填物投入装置32Bの反転グリッパ24Bは上昇位置に位置した状態を示している。また、本実施形態における4台の充填計量装置10は、共通のアイソレータ12の作業室12A内に設置されており、
図3の平面図ではそのうちの2台を示している。
【0015】
第1充填物投入装置32Aのグリッパ反転装置26Aは、リンク28を介して作業室12Aの天井に固定された支持部材34Aに支持され、リンク28の揺動により昇降可能である。一方、第2充填物投入装置32Bのグリッパ反転装置26Bは、リンク28を介して作業室12Aの天井に垂直軸周りに回転可能に設けられた支持部材34Bに支持され(
図3参照)、リンク28の揺動および支持部材34Bの回転により、昇降可能かつ左右に回動可能に支持される。なお、支持部材34Bの回転は、支持部材34Bに設けられたレバー36を回動駆動手段としてのエアシリンダ38の作動により揺動させることにより行われる。
【0016】
本実施形態では、例えば容器Vの移動経路Lに沿って第1充填物投入装置32Aの支持部材34Aが上流側に配置され、第2充填物投入装置32Bの支持部材34Bが下流側に配置される。第1充填物投入装置32Aの反転グリッパ24Aは、昇降する漏斗16の上方で昇降するようになっており、その上昇位置に反転グリッパ24Aが位置した状態において、グリッパ反転装置26Aが反転グリッパ24Aを差し向けた対向位置には、カップ22を保持して移動するカップ移動装置(移動手段)42が配置される。さらに、グリッパ反転装置26Aおよび反転グリッパ24Aのカップ移動装置42を挟んだ反対側は、電子天秤40の計量台40Aに載置されるカップ22が位置する計量位置P2となっている。電子天秤40は計量台40Aに載置されるカップ22の重量を計量(秤量)するようになっており、電子天秤40の計量結果はコンピュータ等の計算手段Cに入力されて、記録および計算が行われる。これら電子天秤40および計算手段Cにより、本実施形態の計量手段が構成されている。
【0017】
計量台40Aの上方には、計量台40A上に載せられたカップ22に薬品Mを供給する薬品供給装置(充填物供給手段)46が配置される。薬品供給装置46は、薬品Mが紛体の場合は紛体を送り出すオーガスクリューを備えて、設定された所定回転量だけオーガスクリューを回転させて所定量の紛体をカップ22に供給し、また薬品Mが液体の場合は流量計を備えて、設定された流量が計測されるとバルブを閉鎖して所定量の液体をカップ22に供給するよう構成されている。いずれの場合も供給後に電子天秤40の計量結果に基づき、薬品供給装置46の次回の供給におけるオーガスクリューの回転量、または流量計の流量の設定値を補正するようになっている。
【0018】
図1、
図3に示されるように、カップ移動装置42は、アイソレータ12の作業室12Aの天井に支持された垂直な回転軸42Aから径方向に延出するグリッパ44を備える。本実施形態では、径方向反対向きに延出する2つのグリッパ44が設けられ、回転軸42Aは図示しないモータにより180°を単位に回転可能である。カップ移動装置42の一方のグリッパ44が計量台40Aの上方に位置するとき、同カップ移動装置42の他方のグリッパ44は、上昇位置にある反転グリッパ24と向かい合い、反転グリッパ24との間でカップ22の受け渡しが可能となり、カップ移動装置42が回転することで計量手段としての電子天秤40と充填手段としての第1、第2充填物投入装置32A、32Bとの間で、カップ22を移動させることができる。なお、本実施形態では、第1充填物投入装置32Aの反転グリッパ24Aの下降位置をカップ22が位置して反転される充填位置P1とし、計量台42A上をカップ22が位置して計量される計量位置P2とし、第1充填物投入装置32Aの反転グリッパ24Aの上昇位置をカップ22が位置して受け渡される受渡位置P3としている。
【0019】
第2充填物投入装置32Bの支持部材34Bは、上昇位置の第1充填物投入装置32Aのグリッパ反転装置26Aを挟んで受渡位置P3やカップ移動装置42の反対側に位置する。そのため、第2充填物投入装置32Bのグリッパ反転装置26Bは支持部材34Bを中心に左右に揺動可能で、第2充填物投入装置32Bのエアシリンダ38を作動(縮退動作)させることにより、第2充填物投入装置32Bのグリッパ反転装置26Bを、第1充填物投入装置32Aのグリッパ反転装置26Aの真下または真上に位置させて、反転グリッパ24Bが保持したカップ22を容器Vの移動経路L上方の充填位置P1や受渡位置P3に位置させる作動状態と、その状態からグリッパ反転装置26Bをグリッパ反転装置26Aの昇降経路外に位置させて、反転グリッパ24Bが保持したカップ22を容器Vの搬送方向下流側で移動経路Lの側方となる退避位置Eに位置させる退避状態との間で、グリッパ反転装置26Bを移動させるようになっている。これにより、第1充填物投入装置32Aの反転グリッパ24Aが下降位置(充填位置P1)に至る際は、エアシリンダ38を作動(伸長動作)させてグリッパ反転装置26Bを退避状態として反転グリッパ24Bを退避位置Eに移動させて、第1充填物投入装置32Aのグリッパ反転装置26Aとの干渉を回避した状態で上昇し、上昇端でエアシリンダ38を作動(縮退動作)させて反転グリッパ24Bを退避位置Eから移動させて受渡位置P3に位置させる。また、第1充填物投入装置32Aの反転グリッパ24Aが上昇位置(受渡位置P3)に至る際は、エアシリンダ38を作動(伸長動作)させて第2充填物投入装置32Bのグリッパ反転装置26Bを退避状態として反転グリッパ24Bを退避位置Eに移動させて、第1充填物投入装置32Aのグリッパ反転装置26Aとの干渉を回避した状態で下降し、下降端でエアシリンダ38を作動(縮退動作)させて反転グリッパ24Bを退避位置Eから移動させて充填位置P1に位置させる。
【0020】
すなわち、グリッパ昇降装置30による第1、第2充填物投入装置32A、32Bのグリッパ反転装置26A、26Bおよび反転グリッパ24A、24Bの昇降は、第2充填物投入装置32Bのグリッパ反転装置26Bを退避状態として、反転グリッパ24Bが退避位置Eにある状態で、それぞれ上下逆方向に向けて行われる。
図3においては、第2充填物投入装置32Bのグリッパ反転装置26Bが退避状態とされ、反転グリッパ24Bが退避位置Eにある状態が示される。
【0021】
第1充填物投入装置32Aの反転グリッパ24Aが下降位置(充填位置P1)に位置している状態では、第2充填物投入装置32Bの反転グリッパ24Bは第1充填物投入装置32Aの反転グリッパ24Aの真上の受渡位置P3に位置する。この状態において第1充填物投入装置32Aのグリッパ反転装置26Aは、反転グリッパ24Aを180°反転可能であり、反転グリッパ24Aに把持されるカップ22は、漏斗16の真上で逆さまにされて薬品Mを漏斗16に投入して容器Vに薬品Mを充填する。一方で第2充填物投入装置32Bの反転グリッパ24Bは、カップ移動装置42の一方のグリッパ44に充填後の空カップ22を受け渡し、他方のグリッパ44から薬品Mを収容した実カップ22を受け取る。また、逆に第1充填物投入装置32Aの反転グリッパ24Aが上昇位置(受渡位置P3)に位置し、第2充填物投入装置32Bの反転グリッパ24Bが充填位置P1に位置した状態では、第1充填物投入装置32Aの反転グリッパ24Aがグリッパ44に対してカップ22の受け渡しを行い、第2充填物投入装置32Bの反転グリッパ24Bが容器Vへの薬品Mの充填を行う。
【0022】
また、本実施形態では、漏斗昇降装置20が取り付けられた支柱19の上端に上下に揺動可能な打撃棒48Aを備える打撃装置48が設けられる。打撃棒48Aは待機時には上方に位置し、反転グリッパ24A、24Bに把持されるカップ22が逆さまにされた後で、カップ22の底面に向けて振り下ろされる。これにより、カップ22内の薬品Mは、打撃棒48Aからの衝撃により余すことなく漏斗16に振り落とされ、容器Vに充填される。
【0023】
次に、
図1~
図3を参照して、本実施形態における充填計量装置10によるカップ22を用いた容器Vへの薬品Mの充填作業について説明する。
【0024】
本実施形態では、例えば3個のカップ22A~22Cを電子天秤40と第1、第2充填物投入装置32A、32Bの間で順次受け渡して容器Vに充填物として薬品Mを充填している。
【0025】
カップ移動装置42の一方のグリッパ44Aが、計量位置P2において薬品Mが供給、計量されたカップ(実カップ)22Aを保持し、受渡位置P3へと実カップ22Aを移動するとき、他方のグリッパ44Bは、受渡位置P3において例えば一方の充填手段として第1充填物投入装置32Aの反転グリッパ24Aから受け取った空のカップ(空カップ)22Bを、電子天秤40の計量台40A上に移動して保持を解除する。受渡位置P3では、実カップ22Aが第1充填物投入装置32Aの反転グリッパ24Aに保持される。計量位置P2では計量台40Aに載せられた空カップ22Bの計量が行われるとともに、計量結果として空カップ22Bの重量が計算手段Cに入力される。
【0026】
次に薬品供給装置46が、内蔵されたオーガスクリューを設定された回転量(回転角度)だけ回転させて所定量の薬品Mを計量台40A上の空カップ22Bに供給する。電子天秤40は、所定量の薬品Mが供給されたカップ(実カップ)22Bの重量を計量し、電子天秤40から計量結果として実カップ22Bの重量が計算手段Cに入力される。計量が終了すると上記他方のグリッパ44Bは閉じられ、実カップ22Bが他方のグリッパ44Bにより保持されるとともに、カップ移動装置42の回転により受渡位置P3へ移動される。
【0027】
カップ22Bが計量位置P2に位置して、上述した電子天秤40における空カップ22Bの計量、薬品供給装置46による空カップ22Bへの充填物の供給、電子天秤40における薬品Mを収容した実カップ22Bの計量が行われている間、上記カップ移動装置42の一方のグリッパ44Aは、受渡位置P3において保持している薬品Mを収容した実カップ22Aを、一方の充填手段の第1充填物投入装置32Aの反転グリッパ24Aに受け渡し、当該第1充填物投入装置32Aのグリッパ反転装置26Aが下降されることで、実カップ22Aが充填位置P1に位置される。同時に他方の充填手段としての第2充填物投入装置32Bのグリッパ反転装置26Bが退避状態で上昇されて、上昇後にエアシリンダ8の作動(縮退動作)により反転グリッパ24Bが退避位置Eから受渡位置P3に移動されると、上記カップ移動装置42の一方のグリッパ44Aに反転グリッパ24Bから空カップ22Cを受け渡す。そして、カップ移動装置42の回転により、計量台40A上の実カップ22Bが上記他方のグリッパ44Bにより受渡位置P3へ移動されると同時に、上記一方のグリッパ44Aは、第2充填物投入装置32Bの反転グリッパ22Bから受け取った次の空カップ22Cを保持して計量台40A上の計量位置P2へと移動する。受渡位置P3では、実カップ22Bが他方の充填手段としての第2充填物投入装置32Bの反転グリッパ24Bに保持される。上記一連の動作が繰り返されることにより、計量位置P2において充填物の供給、計量が行われた実カップ22が、受渡位置P3において交互に第1、第2充填物投入装置32A、32Bの反転グリッパ24A、24Bに受け渡されて、充填位置P1において充填物を容器Vに充填するとともに、受渡位置P3において反転グリッパ24A、24Bから受け渡された空カップ22が、交互に計量位置P2における電子天秤40の計量台40Aに移動されて空カップ22が計量される。
【0028】
上記一連の動作によると、計量位置P2で空カップ22Bを計量し薬品Mを供給する間に、充填位置P1では実カップ22Cから容器Vに薬品Mが充填される。続いて、計量位置P2で実カップ22Bを計量する間に、受渡位置P3から充填位置P1に実カップ22Aが移動するとともに充填位置P1から受渡位置P3に空カップ22Cが移動するようになっている。上記計算手段Cでは、空カップの計量結果と実カップの計量結果が順次入力され、入力される順に交互に記録するようになっている。また、容器搬送装置14の各グリッパ14Aと関連付けられて、計量結果(計量データ)を記憶する多数のアドレスを有するとともに、グリッパ14A(容器V)の移動に追従させて記憶した計量データをシフトさせるシフトレジスタを備えている。本実施形態では、空カップ22の計量結果が入力されるタイミングで、実カップ22から容器Vに薬品Mを充填するようになっているため、計算手段Cでは、空カップ22の計量結果が入力されるタイミングで、充填位置P1の下方に停止しているグリッパ14Aに対応するアドレスに、今回記録される空カップの計量データよりも3回前に記録された実カップの計量データを記憶させる。また、これとともに今回記録される空カップの計量データを、前回充填位置P1の下方に停止していたグリッパ14Aに対応するアドレスに記憶させた実カップの計量データから減算して、当該アドレスの計量データを書き換えるようにしている。すなわち、計量位置P2でカップ22A、22B、22Cの順で空カップと実カップの計量を行うとすると、計量位置P2で空カップ22Bを計量するタイミングでは、充填位置P1では実カップ22Cから容器Vに充填を行っている。この実カップ22Cの計量結果の入力は、計量位置P2における空カップ22Bの計量の前のカップ22Aに対する計量のさらに前ということになる。よって、今回入力される空カップ22Bの計量データから、実カップ22Aの計量と空カップ22Aの計量の前となる3回前の実カップ22Cの計量データが、今回充填をしている実カップ22Cの重量ということになる。また、今回計量データが入力される空カップ22Bについては、今回充填を行っているカップ22Cの1回前に充填を行っていることから、1回前にシフトレジスタ上に設定した充填位置P1に相当する位置からシフトしたアドレスに記憶させた計量データが実カップ22Bの重量に該当するため、ここから今回入力された空カップ22Bの重量を減算することで、当該実カップ22Bから薬品Mが充填された容器Vの充填重量とすることができる。このようにして、容器Vに充填した後の空のカップ22の重量を、薬品Mを収容したカップ22の重量から差し引くことで、容器Vに充填された充填物の重量を求めている。空のカップ22自体の重量は既知であるが、充填後のカップ22の重量を計量することで、仮に充填物の紛体や液体がカップ22に付着して残留している場合に、残留分を差し引いてより正確に充填重量を求めることが可能となる。なお、計算手段Cでは、計量した空カップ22の重量を予め定めた規定範囲と比較するようになっており、充填物の残留が多く充填後の空カップ22の重量が規定範囲を超える場合は、充填重量が不足することになるため該当する容器Vを不良品と判定して、対応するアドレスに記憶されている計量データを減算したデータに書き換えるとともに、同じアドレスに不良品であることを記憶させる。なお、充填物が残留しているカップ22は、引き続き同じ充填物を供給して収容させるため、そのまま次の充填動作に使用する。また、充填後の容器Vの不良品の判定は、空カップ22の重量を減算して求めた充填重量を、予め定めた規定範囲と比較して行ってもよい。
【0029】
受渡位置P3と充填位置P1の間において、第1、第2充填物投入装置32A、32Bのグリッパ反転装置26A、26Bは、同時に反対方向に昇降され、グリッパ反転装置26Bが退避状態で上昇された際には、エアシリンダ38の作動(縮退動作)により反転グリッパ24Bが、退避位置Eから受渡位置P3にまで回動される。これにより、第1、第2充填物投入装置32A、32Bの反転グリッパ24A、24Bは、交互に受渡位置P3にあるカップ移動装置42のグリッパ44との間で空カップ22および実カップ22の受け渡しを行う。
【0030】
第1、第2充填物投入装置32A、32Bの一方のグリッパ反転装置26が下降されるとき、下降される一方の反転グリッパ24の動作に同期して漏斗16も下降され、下方に停止している容器Vに漏斗16の先端が挿入される。この一方の反転グリッパ24が充填位置P1に達すると、グリッパ反転装置26により反転グリッパ24が反転され、反転グリッパ24に保持される実カップ22内の薬品Mが漏斗16内へと投入され、容器Vへと充填される。この間、第1、第2充填物投入装置32A、32Bの他方のグリッパ反転装置26の反転グリッパ24は、受渡位置P3において空カップ22をカップ移動装置42のグリッパ44に受け渡し、計量位置P2では、電子天秤40によるカップ22に対する計量と薬品供給装置46による充填物の供給が行われる。
【0031】
また、反転され薬品Mを漏斗16に投入したカップ22は、打撃棒48Aによりその底部が叩かれた後、グリッパ反転装置26により再度反転されて正立され、他方の充填物投入装置(32Aまたは32B)の反転グリッパ24に保持されたカップ22が充填位置P1まで移動されるのと同時に、入れ替わりに受渡位置P3にまで移動される。このとき容器Vに挿入されていた漏斗16も上昇されて容器Vから抜去され、容器Vは移動経路Lに沿って所定ピッチだけ移動される。
【0032】
以上のように、本実施形態の充填計量装置および充填計量方法では、計量・充填を行うためのカップ(収容体)を介在させることで、容器の形状や形態が変わっても、容器のハンドリング手段の型替えが不要となる。また、計量位置から充填位置への実カップの移動と、充填位置から計量位置への空カップの移動を、複数のカップにおいて同時に行うことで連続的かつ効率的に容器に充填を行うことができる。また、容器に比べ軽量なカップを用いて充填物の計量を行うことができるので、電子天秤の秤量を容器の重量に合わせる必要がなく、電子天秤の分解能を低下させることなく高精度で充填物の計量を行うことができる。
【0033】
なお、容器の移動経路に対する充填計量装置の台数は、本実施形態に限定されるものではない。また、カップ移動装置に設けられるグリッパの数は2つに限定されるものではなく、3つ以上であってもよい。このとき同時に取り扱われるカップの数はグリッパの数に対応して増減される。また、本実施形態では容器としてはバイアルを例に説明を行ったが他の形態であってもよく、容器搬送装置についても、実施形態に示した容器を保持して搬送する構成に限らず容器を載置させて搬送する構成であってもよく、容器の形態に合わせて選定することができる。
【符号の説明】
【0034】
10 充填計量装置
22 カップ(収容体)
24 反転グリッパ(保持手段)
32A 第1充填物投入装置(充填手段)
32B 第2充填物投入装置(充填手段)
40 電子天秤(計量手段)
42 カップ移動装置(移動手段)
46 薬品供給装置(充填物供給手段)
M 薬品(充填物)
P1 充填位置
P2 計量位置
V 容器