(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161409
(43)【公開日】2023-11-07
(54)【発明の名称】塵芥収集車
(51)【国際特許分類】
B65F 3/00 20060101AFI20231030BHJP
【FI】
B65F3/00 C
B65F3/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022071788
(22)【出願日】2022-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】000163095
【氏名又は名称】極東開発工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002192
【氏名又は名称】弁理士法人落合特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】四方 亮輔
【テーマコード(参考)】
3E024
【Fターム(参考)】
3E024AA04
3E024BA01
3E024CA04
3E024DB10
3E024DC01
3E024FA01
3E024HB04
(57)【要約】
【課題】塵芥収容箱の後端上部にヒンジ軸を介して支持された塵芥投入箱と、塵芥収容箱の上面後部に前端部が取付けられ且つ塵芥投入箱の上面に後端部が取付けられるヒンジカバーとを備え、ヒンジカバーがヒンジ軸、並びに塵芥収容箱及び塵芥投入箱間の隙間を上方より覆う塵芥収集車において、火災発生時にヒンジカバーを全部開くのではなく、蓋部で平時塞がれている一部だけを開いて、そこから消火剤を火災部位に迅速に且つ周囲に無駄に飛散させずに投入可能とする。
【解決手段】ヒンジカバーCは、一部に孔Cmhを有するカバー本体Cmと、孔Cmhを塞ぎ得る蓋部Ctと、孔Cmhの周縁部と蓋部Ctの対応する周縁部とを切離し可能に接続する接続具Fとを有していて、その接続具Fの前記切離しにより蓋部Ctが孔Cmhの少なくとも一部を開放可能である。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体(1)上に搭載された塵芥収容箱(10)と、その塵芥収容箱(10)の後端上部にヒンジ軸(21)を介して上下揺動可能に支持された塵芥投入箱(20)と、その塵芥投入箱(20)内に配設されて該塵芥投入箱(20)内への投入塵芥を前記塵芥収容箱(10)内に積み込む塵芥積込装置(30)と、前記塵芥収容箱(10)の上面後部に前端部(Cf)が取付けられると共に前記塵芥投入箱(20)の上面に後端部(Cr)が取付けられるヒンジカバー(C)とを備え、前記ヒンジカバー(C)は前記ヒンジ軸(21)、並びに前記塵芥収容箱(10)及び前記塵芥投入箱(20)の相互間の隙間(S)を上方より覆う塵芥収集車において、
前記ヒンジカバー(C)は、一部に孔(Cmh)を有するカバー本体(Cm)と、前記孔(Cmh)を塞ぐ蓋部(Ct)と、前記孔(Cmh)の少なくとも一部の周縁部と前記蓋部(Ct)の対応する周縁部とを切離し可能に接続する接続具(F,F1,F2)とを有していて、その接続具(F,F1,F2)の前記切離しにより前記蓋部(Ct)が前記孔(Cmh)の少なくとも一部を開放可能であることを特徴とする塵芥収集車。
【請求項2】
前記接続具は、前記孔(Cmh)の前記周縁部と前記蓋部(Ct)の前記周縁部との間に介装される単一の線ファスナ(F)で構成され、
前記線ファスナ(F)は、これの長さ方向で少なくとも中間部が円弧状に形成されることを特徴とする、請求項1に記載の塵芥収集車。
【請求項3】
前記ヒンジカバー(C)は、これの左右少なくとも一方側の側端縁より互いに並列して延びる一対の切れ目(L1,L2)を有していて、該ヒンジカバー(C)の、前記一対の切れ目(L1,L2)で挟まれた部分が前記蓋部(Ct)を、またその他の部分が前記カバー本体(Cm)を構成しており、
前記接続具は、前記一対の切れ目(L1,L2)をそれぞれ切離し可能に接続する一対の線ファスナ(F1,F2)で構成されることを特徴とする、請求項1に記載の塵芥収集車。
【請求項4】
車体(1)上に搭載された塵芥収容箱(10)と、その塵芥収容箱(10)の後端上部にヒンジ軸(21)を介して上下揺動可能に支持された塵芥投入箱(20)と、その塵芥投入箱(20)内に配設されて該塵芥投入箱(20)内への投入塵芥を前記塵芥収容箱(10)内に積み込む塵芥積込装置(30)と、前記塵芥収容箱(10)の上面後部に前端部(Cf)が取付けられると共に前記塵芥投入箱(20)の上面に後端部(Cr)が取付けられるヒンジカバー(C)とを備え、前記ヒンジカバー(C)は前記ヒンジ軸(21)、並びに前記塵芥収容箱(10)及び前記塵芥投入箱(20)の相互間の隙間(S)を上方より覆う塵芥収集車において、
前記ヒンジカバー(C)は、一部に孔(Cmh)を有するカバー本体(Cm)と、前記孔(Cmh)を塞ぎ得る一対の蓋部(Ct′)と、その両蓋部(Ct′)間を切離し可能に接続する接続具(F3)とを有していて、その接続具(F3)の前記切離しにより前記蓋部(Ct′)が前記孔(Cmh)の少なくとも一部を開放可能であり、
また前記ヒンジカバー(C)は、これの左右少なくとも一方側の側端縁より内方側に延びる1条の切れ目(L3)を有していて、その切れ目(L3)を境に両側に捲れる部分が前記一対の蓋部(Ct)を、またその他の部分が前記カバー本体(Cm)を構成していることを特徴とする塵芥収集車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塵芥収集車、特に車体上に搭載された塵芥収容箱と、塵芥収容箱の後端上部にヒンジ軸を介して上下揺動可能に支持された塵芥投入箱と、塵芥投入箱内に配設されて塵芥投入箱内への投入塵芥を塵芥収容箱内に積み込む塵芥積込装置と、塵芥収容箱の上面後部に前端部が取付けられると共に塵芥投入箱の上面に後端部が取付けられるヒンジカバーとを備え、ヒンジカバーはヒンジ軸、並びに塵芥収容箱及び塵芥投入箱の相互間の隙間を上方より覆う塵芥収集車に関する。
【背景技術】
【0002】
上記した塵芥収集車は、例えば特許文献1にも示されるように従来公知である。この特許文献1の塵芥収集車においては、塵芥収容箱と塵芥投入箱との間の隙間に露出するヒンジ軸や周辺部材(例えば各種配管等)を雨水や塵埃等から保護するためにヒンジカバーが用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の塵芥収集車において、塵芥収容箱又は塵芥投入箱の内部にトラブル、例えば火災が発生した場合に、ヒンジカバーを開いて両箱の隙間から消火剤を投入することが行われる。この場合、ヒンジカバーを全部開く作業を迅速に行うことは容易ではなく、また仮にヒンジカバーを全部開いた場合には、投入した消火剤が周囲に余分に飛散し易いため、消火活動を効率よく行い得ない可能性がある。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、従来構造の上記課題を簡単な構造で解決可能な塵芥収集車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、車体上に搭載された塵芥収容箱と、その塵芥収容箱の後端上部にヒンジ軸を介して上下揺動可能に支持された塵芥投入箱と、その塵芥投入箱内に配設されて該塵芥投入箱内への投入塵芥を前記塵芥収容箱内に積み込む塵芥積込装置と、前記塵芥収容箱の上面後部に前端部が取付けられると共に前記塵芥投入箱の上面に後端部が取付けられるヒンジカバーとを備え、前記ヒンジカバーは前記ヒンジ軸、並びに前記塵芥収容箱及び前記塵芥投入箱の相互間の隙間を上方より覆う塵芥収集車において、前記ヒンジカバーは、一部に孔を有するカバー本体と、前記孔を塞ぐ蓋部と、前記孔の少なくとも一部の周縁部と前記蓋部の対応する周縁部とを切離し可能に接続する接続具とを有していて、その接続具の前記切離しにより前記蓋部が前記孔の少なくとも一部を開放可能であることを第1の特徴とする。
【0007】
また本発明は、第1の特徴に加えて、前記接続具は、前記孔の前記周縁部と前記蓋部の前記周縁部との間に介装される単一の線ファスナで構成され、前記線ファスナは、これの長さ方向で少なくとも中間部が円弧状に形成されることを第2の特徴とする。
【0008】
また本発明は、第1の特徴に加えて、前記ヒンジカバーは、これの左右少なくとも一方側の側端縁より互いに並列して延びる一対の切れ目を有していて、該ヒンジカバーの、前記一対の切れ目で挟まれた部分が前記蓋部を、またその他の部分が前記カバー本体をそれぞれ構成しており、前記接続具は、前記一対の切れ目をそれぞれ切離し可能に接続する一対の線ファスナで構成されることを第3の特徴とする。
【0009】
また本発明は、車体上に搭載された塵芥収容箱と、その塵芥収容箱の後端上部にヒンジ軸を介して上下揺動可能に支持された塵芥投入箱と、その塵芥投入箱内に配設されて該塵芥投入箱内への投入塵芥を前記塵芥収容箱内に積み込む塵芥積込装置と、前記塵芥収容箱の上面後部に前端部が取付けられると共に前記塵芥投入箱の上面に後端部が取付けられるヒンジカバーとを備え、前記ヒンジカバーは前記ヒンジ軸、並びに前記塵芥収容箱及び前記塵芥投入箱の相互間の隙間を上方より覆う塵芥収集車において、前記ヒンジカバーは、一部に孔を有するカバー本体と、前記孔を塞ぎ得る一対の蓋部と、その両蓋部間を切離し可能に接続する接続具とを有していて、その接続具の前記切離しにより前記蓋部が前記孔の少なくとも一部を開放可能であり、また前記ヒンジカバーは、これの左右少なくとも一方側の側端縁より内方側に延びる1条の切れ目を有していて、その切れ目を境に両側に捲れる部分が前記一対の蓋部を、またその他の部分が前記カバー本体を構成していることを第4の特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の第1の特徴によれば、塵芥収集車のヒンジカバーは、一部に孔を有するカバー本体と、その孔を塞ぐ蓋部と、孔の少なくとも一部の周縁部と蓋部の対応する周縁部とを切離し可能に接続する接続具とを有していて、その接続具の前記切離しにより、蓋部が孔の少なくとも一部を開放可能であるので、緊急時には、カバー本体の孔の周縁部と蓋部の対応する周縁部との接続部を接続具で切離すことで、蓋部が孔の少なくとも一部を開放可能となる。これにより、緊急時、例えば塵芥収容箱又は塵芥投入箱内の火災発生時には、ヒンジカバーを全部開くのではなく、蓋部で塞がれる一部(即ち孔の部分)だけを開いて、そこから消火剤を火災部位に迅速に投入可能となる。しかもヒンジカバーは、これの一部だけ開くことで、全部開いた場合と比べ消火剤が周囲に無駄に飛散するのを効果的に抑制でき、消火活動を効率よく実施可能である。
【0011】
また第2の特徴によれば、接続具は、孔の周縁部と蓋部の周縁部との間に介装される単一の線ファスナで構成され、その線ファスナは、これの長さ方向で少なくとも中間部が円弧状に形成されるので、接続具としての線ファスナは単一用意するだけで済み、それだけ接続構造の簡素化、延いてはコスト節減が図られる。しかも蓋部を開くときは単一の線ファスナを切り離すだけで足り、開放操作をより迅速に行うことができる。
【0012】
また第3の特徴によれば、ヒンジカバーは、これの左右少なくとも一方側の側端縁より互いに並列して延びる一対の切れ目を有していて、そのヒンジカバーの、一対の切れ目で挟まれた部分が蓋部を、またその他の部分がカバー本体をそれぞれ構成し、接続具は、一対の切れ目をそれぞれ切離し可能に接続する一対の線ファスナで構成される。これにより、接続具としての線ファスナは、これが一対有ってもヒンジカバーの外側端より延びていて、塵芥投入箱の外側方より切離し作業を行い易くなり、しかもその各々の線ファスナの取り回し経路が比較的短い直線経路となるため、ヒンジカバーへの線ファスナの組付け作業性や、蓋部の開閉操作性が頗る良好である。
【0013】
また第4の特徴によれば、第1の特徴による効果と同じく、緊急時、例えば塵芥収容箱又は塵芥投入箱内の火災発生時には、ヒンジカバーを全部開くのではなく、蓋部で塞がれる一部(即ち孔の部分)だけを開いて、そこから消火剤を火災部位に迅速に投入可能となり、しかもヒンジカバーは、これの一部だけ開くことで、全部開いた場合と比べ消火剤が周囲に無駄に飛散するのを効果的に抑制でき、消火活動を効率よく実施可能である。また特にヒンジカバーは、これの左右少なくとも一方側の側端縁より内方側に延びる1条の切れ目を有していて、ヒンジカバーの、切れ目を境に両側に捲れる部分が一対の蓋部を、またその他の部分がカバー本体を構成しているので、その切れ目はヒンジカバーの外側端より内方側に延びていて、塵芥投入箱の外側方より接続具の切離し作業を行い易くなるばかりか、只1条の切れ目を接続具で接続すれば足りることで、ヒンジカバーへの接続具の組付け作業性や、蓋部の開閉操作性が頗る良好である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る塵芥収集車を示す全体側面図
【
図2】塵芥収集車の後部、特に塵芥投入箱内の概要を示す要部側面図
【
図3】塵芥収集車の塵芥投入箱を、
図2に示す位置から後上がりに傾動させた状態を示す
図2対応図
【
図6】塵芥収集車のヒンジカバー及びその周辺部を、ヒンジカバーの一部を破断して示す拡大平面図
【
図7】第2実施形態に係る塵芥収集車の要部を示す
図6対応平面図
【
図9】第3実施形態に係るヒンジカバーのみを示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に基づき説明する。
【0016】
先ず、
図1~
図6を参照して、第1実施形態の塵芥収集車Vについて説明する。その塵芥収集車Vは、車体として車体フレーム1上に搭載された塵芥収容箱10と、その塵芥収容箱10の後端上部に左右一対のヒンジ軸21を介して上下揺動可能に支持される塵芥投入箱20と、その塵芥投入箱20内に配設されて塵芥投入箱20内への投入塵芥を塵芥収容箱10内に積み込み可能な塵芥積込装置30とを備える。
【0017】
前記ヒンジ軸21は、塵芥収容箱10の後端上部の左右両端部にそれぞれ固定した第1ヒンジブラケット10bと、塵芥投入箱20の前端上部の左右両端部にそれぞれ固定した第2ヒンジブラケット20bとを横切るよう貫通しており、特にヒンジ軸21の軸方向外寄りの軸半部において、第1,第2ヒンジブラケット10b,20bが互いに相対揺動可能に枢支、連結される。尚、ヒンジ軸21は、これの第1,第2ヒンジブラケット10b,20bに対する軸方向移動が止め具(例えばヒンジ軸21に係脱可能なサークリップ、係止ピン等)により規制される。
【0018】
塵芥収容箱10は、後端開放のボックス状をなす収容箱本体10mの後端部に、その後端部外周を縁取るように形成された後端枠10aを結合一体化して構成され、その後端枠10aの内面が塵芥収容箱10の後端開口10iを形成する。その後端枠10aの上端部の左右両端部には、これらを上方から覆う左右の補強板15が接合(例えば溶接)されており、その各補強板15及び後端枠10aに、その両者に跨がるように第1ヒンジブラケット10bが固着(例えば溶接)される。
【0019】
而して、補強板15により、後端枠10aの、ヒンジ軸21(延いては塵芥投入箱20や後述する押込板駆動用シリンダ32)に対する支持剛性が高められる。
【0020】
塵芥投入箱20と塵芥収容箱10の後端枠10aとの間には左右一対の傾動シリンダ12が介装され、この傾動シリンダ12の伸縮動作により、塵芥投入箱20はヒンジ軸21回りに強制的に上下揺動可能である。その上下揺動により、塵芥投入箱20は、塵芥収容箱10の後端開口10iを覆う通常使用位置(即ち
図1 ,2 で示す走行位置)と、そこから後上がりに傾動して後端開口10iを大きく開く排出位置(即ち
図3の図示位置)との間を移動可能である。
【0021】
尚、傾動シリンダ12は、塵芥投入箱20の投入箱本体20mの外側面に沿って配置されていて、投入箱本体20mの左右両側部の上半部に固定のサイドカバー20cで覆われる。
【0022】
而して、廃棄物の収集を終えた塵芥収集車Vが廃棄物処理施設又は廃棄物集積場所まで到着すると、例えば塵芥投入箱20を前記排出位置まで上方揺動させることで塵芥収容箱10の後端開口10iを開いて、塵芥収容箱10内の廃棄物を廃棄物処理施設等の廃棄物投入場所に排出する。
【0023】
この場合、塵芥収容箱10と車体フレームF間に設けた従来周知のダンプシリンダ(図示せず)により塵芥収容箱10を前上がりにダンプさせることで、塵芥収容箱10内からの廃棄物排出が可能である。或いはまた、塵芥収容箱10内に設置した従来周知の強制排出装置(図示せず)を作動させることでも、塵芥収容箱10内からの廃棄物排出が可能である。
【0024】
塵芥投入箱20の後面には、図示はしないが、塵芥投入箱20内に廃棄物を投入すべき投入口と、その投入口を任意に開閉可能な扉とが設けられる。尚、それら投入口や扉の構造・機能は従来周知である。
【0025】
また塵芥積込装置30は、塵芥投入箱20内の上部に収容されて塵芥投入箱20の投入箱本体20mの左右側壁に中間部が軸支31pされて前後揺動可能な押込板31と、その押込板31を揺動駆動するシリンダ32と、押込板31の下方に位置して投入箱本体20mの左右側壁に回転可能に軸支33pされた回転板33と、回転板33を回転駆動すべく投入箱本体20mの左右一側部に配設された不図示の回転駆動装置とを備える。
【0026】
上記シリンダ32の基端部は、
図6で明らかなように、第2ヒンジブラケット20bの内方側に隣接配置されており、且つヒンジ軸21の軸方向内寄りの軸半部に回動可能に嵌合、支持される。またシリンダ32の先端部は、押込板31の上端部に回動可能に枢支、連結される。
【0027】
そして、塵芥投入箱20内に投入された塵芥は、回転板33により掻き上げられ、更に押込板31により塵芥収容箱10内に押し込まれる。この塵芥の掻上・押込作用は従来周知である。
【0028】
尚、塵芥積込装置30は、実施形態に限定されない。例えば、投入箱本体20mの左右側壁に前傾姿勢で上下摺動可能に支持されるリフト板と、リフト板の昇降駆動用シリンダと、リフト板の下部に前後揺動可能に軸支される押込板と、押込板の揺動駆動用シリンダとを備え、リフト板の昇降と押込板の前後揺動とを組み合わせて、投入塵芥の圧縮と塵芥収容箱10内への押込作用を発揮させるタイプの塵芥積込装置(例えば特開2010-241553
号公報参照)を、実施形態の塵芥積込装置30に代えて実施してもよい。
【0029】
ところでヒンジカバーCは、可撓性及び防水性を有する素材(例えば布材、ゴム材、合成樹脂材等)で概略矩形のシート状に形成され、これの前端部Cfは塵芥収容箱10の上面後部に、また後端部Crは塵芥投入箱20の上面前部にそれぞれ取付けられる。ヒンジカバーCは、塵芥収容箱10の後端上部と塵芥投入箱20の前端上部との間に形成される横長且つ上面開放の隙間Sを上方より覆うためのものである。
【0030】
その隙間Sには、塵芥収容箱10の天井部から塵芥投入箱20内の油圧機器(即ち前記した傾動シリンダ12や塵芥積込装置30のシリンダ32等)に向かって延びる複数の油圧配管群38や、前述のヒンジ軸21が露出している。而して、ヒンジカバーCは、上記隙間Sを上方より覆うことで、ヒンジ軸21や油圧配管群38を雨水や塵埃、日光等から保護している。尚、
図6では、上記隙間Sを明示するために、ヒンジカバーCの右側の一部を破断して、ヒンジカバーCの裏側の備品等を図示しているが、実際のヒンジカバーCの前・後側縁部及び右側縁部は、二点鎖線で簡略的に示している。
【0031】
そして、このヒンジカバーCの取付けのために、例えばヒンジカバーCの厚肉の前端部Cfは、これの下面を帯板状ワッシャ26を挟んで塵芥収容箱10の補強板15及び後端枠10aに重ね合わせ且つその重ね合わせ部分Cf,26,15,10aを互いに間隔をおいて貫通する複数組のボルト18及びウェルドナット19(ウェルドナット19は後端枠10aの上部下面に固定)を以て着脱可能に結合される。一方、ヒンジカバーCの厚肉の後端部Crは、これの下面を帯板状ワッシャ27を挟んで塵芥投入箱20の上壁部20aの上面に重ね合わせ且つその重ね合わせ部分Cr,27,20aを互いに間隔をおいて貫通する複数組のボルト28及びウェルドナット29(ウェルドナット29は上壁部20a下面に固定)を以て着脱可能に結合される。
【0032】
尚、ボルト18,28及びウェルドナット19,29以外の着脱可能な結合手段(例えばスナップボタン、弾性クリップ等)を用いて、ヒンジカバーCの前端部Cf及び後端部Crを塵芥収容箱10及び塵芥投入箱20にそれぞれ結合してもよい。
【0033】
ところでヒンジカバーCは、
図6で明らかなように、一部に孔Cmhを有するカバー本体Cmと、孔Cmhを塞ぐ蓋部Ctと、孔Cmhの少なくとも一部の周縁部と蓋部Ctの対応する周縁部とを切離し可能に接続する接続具としての単一の線ファスナFとを有している。
【0034】
より具体的に説明すると、ヒンジカバーCは、ヒンジカバーCの左右一側部(実施形態では左側部)に1条のU字状の切れ目Lを有していて、その切れ目Lで囲まれたU字形の舌条部分が蓋部Ctを、またその他の(即ち蓋部Ct以外の)部分がカバー本体Cmを構成している。即ち、その切れ目Lは、孔Cmhの周縁部と蓋部Ctの対応する周縁部とに相当する。
【0035】
そして、本実施形態では、上記切れ目L(即ち孔Cmhの周縁部および蓋部Ctの対応する周縁部)を随時に切離し可能に接続する接続具として、1条の線ファスナFが使用されており、その線ファスナFの切離しにより蓋部Ctが孔Cmhの少なくとも一部を開放可能である。
【0036】
線ファスナFは、多数の第1ファスナ歯41を長手方向に有して孔Cmhの周縁部に沿って固定される第1テープと、多数の第2ファスナ歯42を長手方向に有して蓋部Ctの周縁部に沿って固定される第2テープと、第1,第2ファスナ歯41,42に対しそれらを跨ぐように摺動して両ファスナ歯41,42間を開閉可能なスライダ40とを主要部とするものであって、その開閉機能は従来周知である。尚、第1,第2テープは、従来周知であるため、
図6で図示を省略する。
【0037】
しかも第1実施形態の線ファスナFは、前半部Faが前側に凸の半円弧状に延び、また後半部Fbが半円弧状部の後端(両端)から後方に直線状に延びるように形成されるが、本発明では少なくとも中間部が円弧状に形成されればよく、また線ファスナF(切れ目L)の向きも第1実施形態に限定されない。例えば、第1実施形態の線ファスナF(切れ目L)の向きに対し、所定角度(例えば60度、90度、180度、270度等)回転させた向きに設定した変形例の実施も可能である。
【0038】
さらに塵芥投入箱20の上部には、塵芥投入箱20が前記通常使用位置(
図1,4)にあるときにヒンジカバーCに所定の張力を付与してヒンジカバーCを弛ませないためのテンショナ25の両端部が固定される。このテンショナ25の中間部は、塵芥投入箱20の左右方向に延びており、しかもヒンジカバーCと当接する張力付与部25aを塵芥投入箱20の上面よりも高い位置に有している。
【0039】
尚、
図4の図示例では、塵芥投入箱20の上面に突設した支持枠24よりテンショナ25の張力付与部25aを前方横向きに張り出させたものを示したが、
図8に図示した変形例のように、テンショナ25の張力付与部25aを塵芥投入箱20の上面より上向きに張り出させてもよい。
【0040】
次に第1実施形態の作用について説明する。塵芥収集車Vにおいて、塵芥収容箱10の後部上端と塵芥投入箱20の前部上端間には横長且つ上面開放の隙間Sが形成されるが、その隙間Sは、通常はヒンジカバーCにより上方から覆われている。従って、その隙間Sに露出するヒンジ軸21や油圧配管群38は、ヒンジカバーCによって雨水や日光等から保護される。またヒンジカバーCは可撓性を有するため、塵芥収容箱10内の収容塵芥の排出すべく塵芥投入箱20を後上方に傾動させるときは、
図3,5で明らかなようにヒンジカバーCが無理なく撓み変形可能である。
【0041】
ところで塵芥収集車Vによる塵芥収集作業時等において、塵芥収容箱10又は塵芥投入箱20の内部に、投入塵芥の発火等に因り火災が発生する可能性がある。この場合、従前であれば、ヒンジカバーCの前端部Cf又は後端部Crを取り外してヒンジカバーCを全部開いた上で、塵芥収容箱10の後部上端と塵芥投入箱20の前部上端間の隙間Sに消火ホースの先端部を指向させ、そのホース先端部から消火剤を投入することが行われるが、ヒンジカバーCを迅速に全部開く作業は、実際上容易でなく、また仮にヒンジカバーCを全部開いた場合には、投入消火剤が周囲に余分に飛散し易い不都合がある。
【0042】
これに対し、実施形態のヒンジカバーCは、一部に孔Cmhを有するカバー本体Cmと、孔Cmhを塞ぐ蓋部Ctと、孔Cmhの少なくとも一部の周縁部と蓋部Ctの対応する周縁部とを切離し可能に接続する接続具としての線ファスナFとを有していて、その線ファスナFの切離しにより蓋部Ctが孔Cmhの少なくとも一部を迅速容易に開放することができる。
【0043】
このように塵芥収容箱10又は塵芥投入箱20内の火災発生時には、ヒンジカバーCを全部開くのではなく、蓋部Ctで塞がれる一部(即ち孔Cmhの部分)だけを開いて、そこから消火ホースの先端部(
図6ではホース先端部の横断面のみ参照符号50で簡略的に示す)を、孔Cmhを通して隙間Sに向かって差込めるため、消火剤を火災部位に迅速に投入可能となる。しかもヒンジカバーCは、これの一部だけ開くことで、全部開いた場合と比べ消火剤が周囲に無駄に飛散するのを効果的に抑制できる。
【0044】
また特に第1実施形態の接続具は、孔Cmhの周縁部と蓋部Ctの周縁部との間に介装される単一の線ファスナFで構成され、線ファスナFは、これの長さ方向で少なくとも中間部が円弧状に形成される。これにより、孔Cmhの周縁部と蓋部Ctの対応する周縁部との間を接続する線ファスナFは、1条だけ用意すれば足り、それだけ接続構造の簡素化、延いてはコスト節減が図られる。しかも蓋部Ctを開くときは単一の線ファスナFを切り離すだけで足り、開放操作をより迅速に行うことができる。
【0045】
ところで
図7には、第2実施形態が示される。この第2実施形態のヒンジカバーCは、これの左右少なくとも一方側の側端縁(実施形態では左側端縁)より互いに並列して平行に延びる一対の切れ目L1,L2を有していて、そのヒンジカバーCの、一対の切れ目L1,L2で挟まれた部分が蓋部Ctを、またその他の部分がカバー本体Cmを構成している。そして、その一対の切れ目L1,L2をそれぞれ切離し可能に接続する一対の接続具として、互いに平行に延びる一対の線ファスナF1,F2が使用される。
【0046】
尚、図示はしないが、第2実施形態の上記構造に代えて/又は加えて、ヒンジカバーCにこれの右側端縁より互いに並列して延びる一対の切れ目L1,L2を設けて、その一対の切れ目L1,L2を一対の線ファスナF1,F2でそれぞれ切離し可能に接続してもよい。
【0047】
第2実施形態のその他の構成は、第1実施形態と同様である。従って、第2実施形態の各構成要素には、これと対応する第1実施形態の各構成要素と同じ参照符号を付すにとどめ、これ以上の構造説明を省略する。
【0048】
而して、第2実施形態は、第1実施形態と基本的に同等の作用効果を達成することができる。
【0049】
また特に第2実施形態の線ファスナF1,F2は、これが一対有ってもヒンジカバーCの外側端(左右一側端)より延びていて、作業員が塵芥投入箱20の外側方より切離し作業や接続作業を行い易くなる利点がある。またその各々の線ファスナF1,F2の取り回し経路が比較的短い直線経路となる上、その両方の線ファスナF1,F2のスライダ40を同時に同方向にスライドさせて切離し作業や接続作業を行うことも可能となる。そのため、線ファスナF1,F2のヒンジカバーCへの組付け作業性や、蓋部Ctの開閉操作性が良好である。
【0050】
また
図9には、第3実施形態のヒンジカバーCが単独状態で示されており、特に(a)は線ファスナF3を閉じた状態を、また(b)は線ファスナF3を開いて蓋部Ctを開放した状態を示す。
【0051】
而して、第3実施形態のヒンジカバーCは、一部に孔Cmhを有するカバー本体Cmと、その孔Cmhを塞ぎ得る一対の蓋部Ct′と、その両蓋部Ct′間を切離し可能に接続する接続具F3とを有していて、その接続具F3の切離しにより蓋部Ct′が孔Cmhの少なくとも一部を開放可能である。
【0052】
しかもこの第3実施形態のヒンジカバーCは、これの左右少なくとも一方側の側端縁(第3実施形態では左側端縁)より内方側に直線状に延びる1条の切れ目L3を有していて、ヒンジカバーCの、切れ目L3を境に両側に捲れる略三角形状の部分が一対の蓋部Ctを、またその他の部分がカバー本体Cmを構成している。また両蓋部Ct′間の接続具は、切れ目L3を切離し可能に接続する単一の線ファスナF3で構成される。
【0053】
而して、塵芥投入箱20等の火災発生時には、線ファスナF3を開いて一対の蓋部Ct間を切り離した上で、その各蓋部Ct′の一部を摘んで例えば上方に捲れば、
図9(b)に示すように両蓋部Ctを開いて孔Cmhを広く開放できるため、第1,第2実施形態と同様、消火ホースの先端部50を、孔Cmhを通して隙間Sに向かって差込み可能となり、消火剤を火災部位に迅速に投入可能となる。
【0054】
第3実施形態のその他の構成は、第1,第2実施形態と同様である。従って、第3実施形態の各構成要素には、これと対応する第1,第2実施形態の各構成要素と同じ参照符号を付すにとどめ、これ以上の構造説明を省略する。
【0055】
尚、
図9において第3実施形態は、ヒンジカバーCのみを単独で例示したが、このヒンジカバーCの塵芥収集車Vへの取付構造は、第1,第2実施形態と同様である。
【0056】
而して、第3実施形態は、第2実施形態と基本的に同等の作用効果を達成することができる。
【0057】
また特に第3実施形態の切れ目L3は、ヒンジカバーCの外側端(左右一側端)より延びていて、作業員が塵芥投入箱20の外側方より線ファスナF3の切離し作業や接続作業を行い易くなる利点があるばかりか、接続具として只1つの線ファスナF3の使用で足りるため、線ファスナF3のヒンジカバーCへの組付け作業性や、蓋部Ctの開閉操作性が頗る良好である。
【0058】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【0059】
例えば、第1,第2実施形態では、ヒンジカバーCの孔Cmhの周縁部と蓋部Ctの対応する周縁部との間を接続する接続具として、線ファスナ(ジッパー、チャックとも呼称)よりなるファスナF,F1,F2を例示したが、本発明の第1の特徴に係る接続具は、実施形態に限定されず、他のファスナ、例えばスナップボタン(点ファスナ)、又は面ファスナを用いてもよい。
【0060】
また第1実施形態では、ヒンジカバーCの左右一側部(即ち左側部)に1つの孔Cmhを配設したものを示したが、ヒンジカバーCの複数箇所に複数(少なくとも2つ)の孔Cmhを配設してもよい。この場合、ヒンジカバーCの左側部のみならず右側部にも、蓋部Ctで開閉される孔Cmhを配設すれば、左右何れの側からでも作業員が蓋部Ctを開いて消火作業を行うことができて、好都合である。
【0061】
また第3実施形態では、ヒンジカバーCの孔Cmhを塞ぎ得る一対の蓋部Ct′間を切離し可能に接続する接続具として、線ファスナ(ジッパー、チャックとも呼称)よりなるファスナF3を例示したが、本発明の第4の特徴に係る接続具は、実施形態に限定されず、他のファスナ、例えばスナップボタン(点ファスナ)、又は面ファスナを用いて切れ目L3を接続してもよい。
【手続補正書】
【提出日】2022-09-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塵芥収集車、特に車体上に搭載された塵芥収容箱と、塵芥収容箱の後端上部にヒンジ軸を介して上下揺動可能に支持された塵芥投入箱と、塵芥投入箱内に配設されて塵芥投入箱内への投入塵芥を塵芥収容箱内に積み込む塵芥積込装置と、塵芥収容箱の上面後部に前端部が取付けられると共に塵芥投入箱の上面に後端部が取付けられるヒンジカバーとを備え、ヒンジカバーはヒンジ軸、並びに塵芥収容箱及び塵芥投入箱の相互間の隙間を上方より覆う塵芥収集車に関する。
【背景技術】
【0002】
上記した塵芥収集車は、例えば特許文献1にも示されるように従来公知である。この特許文献1の塵芥収集車においては、塵芥収容箱と塵芥投入箱との間の隙間に露出するヒンジ軸や周辺部材(例えば各種配管等)を雨水や塵埃等から保護するためにヒンジカバーが用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の塵芥収集車において、塵芥収容箱又は塵芥投入箱の内部にトラブル、例えば火災が発生した場合に、ヒンジカバーを開いて両箱の隙間から消火剤を投入することが行われる。この場合、ヒンジカバーを全部開く作業を迅速に行うことは容易ではなく、また仮にヒンジカバーを全部開いた場合には、投入した消火剤が周囲に余分に飛散し易いため、消火活動を効率よく行い得ない可能性がある。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、従来構造の上記課題を簡単な構造で解決可能な塵芥収集車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、車体上に搭載された塵芥収容箱と、その塵芥収容箱の後端上部にヒンジ軸を介して上下揺動可能に支持された塵芥投入箱と、その塵芥投入箱内に配設されて該塵芥投入箱内への投入塵芥を前記塵芥収容箱内に積み込む塵芥積込装置と、前記塵芥収容箱の上面後部に前端部が取付けられると共に前記塵芥投入箱の上面に後端部が取付けられるヒンジカバーとを備え、前記ヒンジカバーは前記ヒンジ軸、並びに前記塵芥収容箱及び前記塵芥投入箱の相互間の隙間を上方より覆う塵芥収集車において、前記ヒンジカバーは、一部に孔を有するカバー本体と、前記孔を塞ぐ蓋部と、前記孔の少なくとも一部の周縁部と前記蓋部の対応する周縁部とを切離し可能に接続する接続具とを有していて、その接続具の前記切離しにより前記蓋部が前記孔の少なくとも一部を開放可能であることを第1の特徴とする。
【0007】
また本発明は、第1の特徴に加えて、前記接続具は、前記孔の前記周縁部と前記蓋部の前記周縁部との間に介装される単一の線ファスナで構成され、前記線ファスナは、これの長さ方向で少なくとも中間部が円弧状に形成されることを第2の特徴とする。
【0008】
また本発明は、第1の特徴に加えて、前記ヒンジカバーは、これの左右少なくとも一方側の側端縁より互いに並列して延びる一対の切れ目を有していて、該ヒンジカバーの、前記一対の切れ目で挟まれた部分が前記蓋部を、またその他の部分が前記カバー本体をそれぞれ構成しており、前記接続具は、前記一対の切れ目をそれぞれ切離し可能に接続する一対の線ファスナで構成されることを第3の特徴とする。
【0009】
また本発明は、車体上に搭載された塵芥収容箱と、その塵芥収容箱の後端上部にヒンジ軸を介して上下揺動可能に支持された塵芥投入箱と、その塵芥投入箱内に配設されて該塵芥投入箱内への投入塵芥を前記塵芥収容箱内に積み込む塵芥積込装置と、前記塵芥収容箱の上面後部に前端部が取付けられると共に前記塵芥投入箱の上面に後端部が取付けられるヒンジカバーとを備え、前記ヒンジカバーは前記ヒンジ軸、並びに前記塵芥収容箱及び前記塵芥投入箱の相互間の隙間を上方より覆う塵芥収集車において、前記ヒンジカバーは、一部に孔を有するカバー本体と、前記孔を塞ぎ得る一対の蓋部と、その両蓋部間を切離し可能に接続する接続具とを有していて、その接続具の前記切離しにより前記蓋部が前記孔の少なくとも一部を開放可能であり、また前記ヒンジカバーは、これの左右少なくとも一方側の側端縁より内方側に延びる1条の切れ目を有していて、その切れ目を境に両側に捲れる部分が前記一対の蓋部を、またその他の部分が前記カバー本体を構成していることを第4の特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の第1の特徴によれば、塵芥収集車のヒンジカバーは、一部に孔を有するカバー本体と、その孔を塞ぐ蓋部と、孔の少なくとも一部の周縁部と蓋部の対応する周縁部とを切離し可能に接続する接続具とを有していて、その接続具の前記切離しにより、蓋部が孔の少なくとも一部を開放可能であるので、緊急時には、カバー本体の孔の周縁部と蓋部の対応する周縁部との接続部を接続具で切離すことで、蓋部が孔の少なくとも一部を開放可能となる。これにより、緊急時、例えば塵芥収容箱又は塵芥投入箱内の火災発生時には、ヒンジカバーを全部開くのではなく、蓋部で塞がれる一部(即ち孔の部分)だけを開いて、そこから消火剤を火災部位に迅速に投入可能となる。しかもヒンジカバーは、これの一部だけ開くことで、全部開いた場合と比べ消火剤が周囲に無駄に飛散するのを効果的に抑制でき、消火活動を効率よく実施可能である。
【0011】
また第2の特徴によれば、接続具は、孔の周縁部と蓋部の周縁部との間に介装される単一の線ファスナで構成され、その線ファスナは、これの長さ方向で少なくとも中間部が円弧状に形成されるので、接続具としての線ファスナは単一用意するだけで済み、それだけ接続構造の簡素化、延いてはコスト節減が図られる。しかも蓋部を開くときは単一の線ファスナを切り離すだけで足り、開放操作をより迅速に行うことができる。
【0012】
また第3の特徴によれば、ヒンジカバーは、これの左右少なくとも一方側の側端縁より互いに並列して延びる一対の切れ目を有していて、そのヒンジカバーの、一対の切れ目で挟まれた部分が蓋部を、またその他の部分がカバー本体をそれぞれ構成し、接続具は、一対の切れ目をそれぞれ切離し可能に接続する一対の線ファスナで構成される。これにより、接続具としての線ファスナは、これが一対有ってもヒンジカバーの外側端より延びていて、塵芥投入箱の外側方より切離し作業を行い易くなり、しかもその各々の線ファスナの取り回し経路が比較的短い直線経路となるため、ヒンジカバーへの線ファスナの組付け作業性や、蓋部の開閉操作性が頗る良好である。
【0013】
また第4の特徴によれば、第1の特徴による効果と同じく、緊急時、例えば塵芥収容箱又は塵芥投入箱内の火災発生時には、ヒンジカバーを全部開くのではなく、蓋部で塞がれる一部(即ち孔の部分)だけを開いて、そこから消火剤を火災部位に迅速に投入可能となり、しかもヒンジカバーは、これの一部だけ開くことで、全部開いた場合と比べ消火剤が周囲に無駄に飛散するのを効果的に抑制でき、消火活動を効率よく実施可能である。また特にヒンジカバーは、これの左右少なくとも一方側の側端縁より内方側に延びる1条の切れ目を有していて、ヒンジカバーの、切れ目を境に両側に捲れる部分が一対の蓋部を、またその他の部分がカバー本体を構成しているので、その切れ目はヒンジカバーの外側端より内方側に延びていて、塵芥投入箱の外側方より接続具の切離し作業を行い易くなるばかりか、只1条の切れ目を接続具で接続すれば足りることで、ヒンジカバーへの接続具の組付け作業性や、蓋部の開閉操作性が頗る良好である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る塵芥収集車を示す全体側面図
【
図2】塵芥収集車の後部、特に塵芥投入箱内の概要を示す要部側面図
【
図3】塵芥収集車の塵芥投入箱を、
図2に示す位置から後上がりに傾動させた状態を示す
図2対応図
【
図6】塵芥収集車のヒンジカバー及びその周辺部を、ヒンジカバーの一部を破断して示す拡大平面図
【
図7】第2実施形態に係る塵芥収集車の要部を示す
図6対応平面図
【
図9】第3実施形態に係るヒンジカバーのみを示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に基づき説明する。
【0016】
先ず、
図1~
図6を参照して、第1実施形態の塵芥収集車Vについて説明する。その塵芥収集車Vは、車体として車体フレーム1上に搭載された塵芥収容箱10と、その塵芥収容箱10の後端上部に左右一対のヒンジ軸21を介して上下揺動可能に支持される塵芥投入箱20と、その塵芥投入箱20内に配設されて塵芥投入箱20内への投入塵芥を塵芥収容箱10内に積み込み可能な塵芥積込装置30とを備える。
【0017】
前記ヒンジ軸21は、塵芥収容箱10の後端上部の左右両端部にそれぞれ固定した第1ヒンジブラケット10bと、塵芥投入箱20の前端上部の左右両端部にそれぞれ固定した第2ヒンジブラケット20bとを横切るよう貫通しており、特にヒンジ軸21の軸方向外寄りの軸半部において、第1,第2ヒンジブラケット10b,20bが互いに相対揺動可能に枢支、連結される。尚、ヒンジ軸21は、これの第1,第2ヒンジブラケット10b,20bに対する軸方向移動が止め具(例えばヒンジ軸21に係脱可能なサークリップ、係止ピン等)により規制される。
【0018】
塵芥収容箱10は、後端開放のボックス状をなす収容箱本体10mの後端部に、その後端部外周を縁取るように形成された後端枠10aを結合一体化して構成され、その後端枠10aの内面が塵芥収容箱10の後端開口10iを形成する。その後端枠10aの上端部の左右両端部には、これらを上方から覆う左右の補強板15が接合(例えば溶接)されており、その各補強板15及び後端枠10aに、その両者に跨がるように第1ヒンジブラケット10bが固着(例えば溶接)される。
【0019】
而して、補強板15により、後端枠10aの、ヒンジ軸21(延いては塵芥投入箱20や後述する押込板駆動用シリンダ32)に対する支持剛性が高められる。
【0020】
塵芥投入箱20と塵芥収容箱10の後端枠10aとの間には左右一対の傾動シリンダ12が介装され、この傾動シリンダ12の伸縮動作により、塵芥投入箱20はヒンジ軸21回りに強制的に上下揺動可能である。その上下揺動により、塵芥投入箱20は、塵芥収容箱10の後端開口10iを覆う通常使用位置(即ち
図1 ,2 で示す走行位置)と、そこから後上がりに傾動して後端開口10iを大きく開く排出位置(即ち
図3の図示位置)との間を移動可能である。
【0021】
尚、傾動シリンダ12は、塵芥投入箱20の投入箱本体20mの外側面に沿って配置されていて、投入箱本体20mの左右両側部の上半部に固定のサイドカバー20cで覆われる。
【0022】
而して、廃棄物の収集を終えた塵芥収集車Vが廃棄物処理施設又は廃棄物集積場所まで到着すると、例えば塵芥投入箱20を前記排出位置まで上方揺動させることで塵芥収容箱10の後端開口10iを開いて、塵芥収容箱10内の廃棄物を廃棄物処理施設等の廃棄物投入場所に排出する。
【0023】
この場合、塵芥収容箱10と車体フレームF間に設けた従来周知のダンプシリンダ(図示せず)により塵芥収容箱10を前上がりにダンプさせることで、塵芥収容箱10内からの廃棄物排出が可能である。或いはまた、塵芥収容箱10内に設置した従来周知の強制排出装置(図示せず)を作動させることでも、塵芥収容箱10内からの廃棄物排出が可能である。
【0024】
塵芥投入箱20の後面には、図示はしないが、塵芥投入箱20内に廃棄物を投入すべき投入口と、その投入口を任意に開閉可能な扉とが設けられる。尚、それら投入口や扉の構造・機能は従来周知である。
【0025】
また塵芥積込装置30は、塵芥投入箱20内の上部に収容されて塵芥投入箱20の投入箱本体20mの左右側壁に中間部が軸支31pされて前後揺動可能な押込板31と、その押込板31を揺動駆動するシリンダ32と、押込板31の下方に位置して投入箱本体20mの左右側壁に回転可能に軸支33pされた回転板33と、回転板33を回転駆動すべく投入箱本体20mの左右一側部に配設された不図示の回転駆動装置とを備える。
【0026】
上記シリンダ32の基端部は、
図6で明らかなように、第2ヒンジブラケット20bの内方側に隣接配置されており、且つヒンジ軸21の軸方向内寄りの軸半部に回動可能に嵌合、支持される。またシリンダ32の先端部は、押込板31の上端部に回動可能に枢支、連結される。
【0027】
そして、塵芥投入箱20内に投入された塵芥は、回転板33により掻き上げられ、更に押込板31により塵芥収容箱10内に押し込まれる。この塵芥の掻上・押込作用は従来周知である。
【0028】
尚、塵芥積込装置30は、実施形態に限定されない。例えば、投入箱本体20mの左右側壁に前傾姿勢で上下摺動可能に支持されるリフト板と、リフト板の昇降駆動用シリンダと、リフト板の下部に前後揺動可能に軸支される押込板と、押込板の揺動駆動用シリンダとを備え、リフト板の昇降と押込板の前後揺動とを組み合わせて、投入塵芥の圧縮と塵芥収容箱10内への押込作用を発揮させるタイプの塵芥積込装置(例えば特開2010-241553
号公報参照)を、実施形態の塵芥積込装置30に代えて実施してもよい。
【0029】
ところでヒンジカバーCは、可撓性及び防水性を有する素材(例えば布材、ゴム材、合成樹脂材等)で概略矩形のシート状に形成され、これの前端部Cfは塵芥収容箱10の上面後部に、また後端部Crは塵芥投入箱20の上面前部にそれぞれ取付けられる。ヒンジカバーCは、塵芥収容箱10の後端上部と塵芥投入箱20の前端上部との間に形成される横長且つ上面開放の隙間Sを上方より覆うためのものである。
【0030】
その隙間Sには、塵芥収容箱10の天井部から塵芥投入箱20内の油圧機器(即ち前記した傾動シリンダ12や塵芥積込装置30のシリンダ32等)に向かって延びる複数の油圧配管群38や、前述のヒンジ軸21が露出している。而して、ヒンジカバーCは、上記隙間Sを上方より覆うことで、ヒンジ軸21や油圧配管群38を雨水や塵埃、日光等から保護している。尚、
図6では、上記隙間Sを明示するために、ヒンジカバーCの右側の一部を破断して、ヒンジカバーCの裏側の備品等を図示しているが、実際のヒンジカバーCの前・後側縁部及び右側縁部は、二点鎖線で簡略的に示している。
【0031】
そして、このヒンジカバーCの取付けのために、例えばヒンジカバーCの厚肉の前端部Cfは、これの下面を帯板状ワッシャ26を挟んで塵芥収容箱10の補強板15及び後端枠10aに重ね合わせ且つその重ね合わせ部分Cf,26,15,10aを互いに間隔をおいて貫通する複数組のボルト18及びウェルドナット19(ウェルドナット19は後端枠10aの上部下面に固定)を以て着脱可能に結合される。一方、ヒンジカバーCの厚肉の後端部Crは、これの下面を帯板状ワッシャ27を挟んで塵芥投入箱20の上壁部20aの上面に重ね合わせ且つその重ね合わせ部分Cr,27,20aを互いに間隔をおいて貫通する複数組のボルト28及びウェルドナット29(ウェルドナット29は上壁部20a下面に固定)を以て着脱可能に結合される。
【0032】
尚、ボルト18,28及びウェルドナット19,29以外の着脱可能な結合手段(例えばスナップボタン、弾性クリップ等)を用いて、ヒンジカバーCの前端部Cf及び後端部Crを塵芥収容箱10及び塵芥投入箱20にそれぞれ結合してもよい。
【0033】
ところでヒンジカバーCは、
図6で明らかなように、一部に孔Cmhを有するカバー本体Cmと、孔Cmhを塞ぐ蓋部Ctと、孔Cmhの少なくとも一部の周縁部と蓋部Ctの対応する周縁部とを切離し可能に接続する接続具としての単一の線ファスナFとを有している。
【0034】
より具体的に説明すると、ヒンジカバーCは、ヒンジカバーCの左右一側部(実施形態では左側部)に1条のU字状の切れ目Lを有していて、その切れ目Lで囲まれたU字形の舌条部分が蓋部Ctを、またその他の(即ち蓋部Ct以外の)部分がカバー本体Cmを構成している。即ち、その切れ目Lは、孔Cmhの周縁部と蓋部Ctの対応する周縁部とに相当する。
【0035】
そして、本実施形態では、上記切れ目L(即ち孔Cmhの周縁部および蓋部Ctの対応する周縁部)を随時に切離し可能に接続する接続具として、1条の線ファスナFが使用されており、その線ファスナFの切離しにより蓋部Ctが孔Cmhの少なくとも一部を開放可能である。
【0036】
線ファスナFは、多数の第1ファスナ歯41を長手方向に有して孔Cmhの周縁部に沿って固定される第1テープと、多数の第2ファスナ歯42を長手方向に有して蓋部Ctの周縁部に沿って固定される第2テープと、第1,第2ファスナ歯41,42に対しそれらを跨ぐように摺動して両ファスナ歯41,42間を開閉可能なスライダ40とを主要部とするものであって、その開閉機能は従来周知である。尚、第1,第2テープは、従来周知であるため、
図6で図示を省略する。
【0037】
しかも第1実施形態の線ファスナFは、前半部Faが前側に凸の半円弧状に延び、また後半部Fbが半円弧状部の後端(両端)から後方に直線状に延びるように形成されるが、本発明では少なくとも中間部が円弧状に形成されればよく、また線ファスナF(切れ目L)の向きも第1実施形態に限定されない。例えば、第1実施形態の線ファスナF(切れ目L)の向きに対し、所定角度(例えば60度、90度、180度、270度等)回転させた向きに設定した変形例の実施も可能である。
【0038】
さらに塵芥投入箱20の上部には、塵芥投入箱20が前記通常使用位置(
図1,4)にあるときにヒンジカバーCに所定の張力を付与してヒンジカバーCを弛ませないためのテンショナ25の両端部が固定される。このテンショナ25の中間部は、塵芥投入箱20の左右方向に延びており、しかもヒンジカバーCと当接する張力付与部25aを塵芥投入箱20の上面よりも高い位置に有している。
【0039】
尚、
図4の図示例では、塵芥投入箱20の上面に突設した支持枠24よりテンショナ25の張力付与部25aを前方横向きに張り出させたものを示したが、
図8に図示した変形例のように、テンショナ25の張力付与部25aを塵芥投入箱20の上面より上向きに張り出させてもよい。
【0040】
次に第1実施形態の作用について説明する。塵芥収集車Vにおいて、塵芥収容箱10の後部上端と塵芥投入箱20の前部上端間には横長且つ上面開放の隙間Sが形成されるが、その隙間Sは、通常はヒンジカバーCにより上方から覆われている。従って、その隙間Sに露出するヒンジ軸21や油圧配管群38は、ヒンジカバーCによって雨水や日光等から保護される。またヒンジカバーCは可撓性を有するため、塵芥収容箱10内の収容塵芥
を排出すべく塵芥投入箱20を後上方に傾動させるときは、
図3,5で明らかなようにヒンジカバーCが無理なく撓み変形可能である。
【0041】
ところで塵芥収集車Vによる塵芥収集作業時等において、塵芥収容箱10又は塵芥投入箱20の内部に、投入塵芥の発火等に因り火災が発生する可能性がある。この場合、従前であれば、ヒンジカバーCの前端部Cf又は後端部Crを取り外してヒンジカバーCを全部開いた上で、塵芥収容箱10の後部上端と塵芥投入箱20の前部上端間の隙間Sに消火ホースの先端部を指向させ、そのホース先端部から消火剤を投入することが行われるが、ヒンジカバーCを迅速に全部開く作業は、実際上容易でなく、また仮にヒンジカバーCを全部開いた場合には、投入消火剤が周囲に余分に飛散し易い不都合がある。
【0042】
これに対し、実施形態のヒンジカバーCは、一部に孔Cmhを有するカバー本体Cmと、孔Cmhを塞ぐ蓋部Ctと、孔Cmhの少なくとも一部の周縁部と蓋部Ctの対応する周縁部とを切離し可能に接続する接続具としての線ファスナFとを有していて、その線ファスナFの切離しにより蓋部Ctが孔Cmhの少なくとも一部を迅速容易に開放することができる。
【0043】
このように塵芥収容箱10又は塵芥投入箱20内の火災発生時には、ヒンジカバーCを全部開くのではなく、蓋部Ctで塞がれる一部(即ち孔Cmhの部分)だけを開いて、そこから消火ホースの先端部(
図6ではホース先端部の横断面のみ参照符号50で簡略的に示す)を、孔Cmhを通して隙間Sに向かって差込めるため、消火剤を火災部位に迅速に投入可能となる。しかもヒンジカバーCは、これの一部だけ開くことで、全部開いた場合と比べ消火剤が周囲に無駄に飛散するのを効果的に抑制できる。
【0044】
また特に第1実施形態の接続具は、孔Cmhの周縁部と蓋部Ctの周縁部との間に介装される単一の線ファスナFで構成され、線ファスナFは、これの長さ方向で少なくとも中間部が円弧状に形成される。これにより、孔Cmhの周縁部と蓋部Ctの対応する周縁部との間を接続する線ファスナFは、1条だけ用意すれば足り、それだけ接続構造の簡素化、延いてはコスト節減が図られる。しかも蓋部Ctを開くときは単一の線ファスナFを切り離すだけで足り、開放操作をより迅速に行うことができる。
【0045】
ところで
図7には、第2実施形態が示される。この第2実施形態のヒンジカバーCは、これの左右少なくとも一方側の側端縁(実施形態では左側端縁)より互いに並列して平行に延びる一対の切れ目L1,L2を有していて、そのヒンジカバーCの、一対の切れ目L1,L2で挟まれた部分が蓋部Ctを、またその他の部分がカバー本体Cmを構成している。そして、その一対の切れ目L1,L2をそれぞれ切離し可能に接続する一対の接続具として、互いに平行に延びる一対の線ファスナF1,F2が使用される。
【0046】
尚、図示はしないが、第2実施形態の上記構造に代えて/又は加えて、ヒンジカバーCにこれの右側端縁より互いに並列して延びる一対の切れ目L1,L2を設けて、その一対の切れ目L1,L2を一対の線ファスナF1,F2でそれぞれ切離し可能に接続してもよい。
【0047】
第2実施形態のその他の構成は、第1実施形態と同様である。従って、第2実施形態の各構成要素には、これと対応する第1実施形態の各構成要素と同じ参照符号を付すにとどめ、これ以上の構造説明を省略する。
【0048】
而して、第2実施形態は、第1実施形態と基本的に同等の作用効果を達成することができる。
【0049】
また特に第2実施形態の線ファスナF1,F2は、これが一対有ってもヒンジカバーCの外側端(左右一側端)より延びていて、作業員が塵芥投入箱20の外側方より切離し作業や接続作業を行い易くなる利点がある。またその各々の線ファスナF1,F2の取り回し経路が比較的短い直線経路となる上、その両方の線ファスナF1,F2のスライダ40を同時に同方向にスライドさせて切離し作業や接続作業を行うことも可能となる。そのため、線ファスナF1,F2のヒンジカバーCへの組付け作業性や、蓋部Ctの開閉操作性が良好である。
【0050】
また
図9には、第3実施形態のヒンジカバーCが単独状態で示されており、特に(a)は線ファスナF3を閉じた状態を、また(b)は線ファスナF3を開いて蓋部Ctを開放した状態を示す。
【0051】
而して、第3実施形態のヒンジカバーCは、一部に孔Cmhを有するカバー本体Cmと、その孔Cmhを塞ぎ得る一対の蓋部Ct′と、その両蓋部Ct′間を切離し可能に接続する接続具F3とを有していて、その接続具F3の切離しにより蓋部Ct′が孔Cmhの少なくとも一部を開放可能である。
【0052】
しかもこの第3実施形態のヒンジカバーCは、これの左右少なくとも一方側の側端縁(第3実施形態では左側端縁)より内方側に直線状に延びる1条の切れ目L3を有していて、ヒンジカバーCの、切れ目L3を境に両側に捲れる略三角形状の部分が一対の蓋部Ctを、またその他の部分がカバー本体Cmを構成している。また両蓋部Ct′間の接続具は、切れ目L3を切離し可能に接続する単一の線ファスナF3で構成される。
【0053】
而して、塵芥投入箱20等の火災発生時には、線ファスナF3を開いて一対の蓋部Ct間を切り離した上で、その各蓋部Ct′の一部を摘んで例えば上方に捲れば、
図9(b)に示すように両蓋部Ctを開いて孔Cmhを広く開放できるため、第1,第2実施形態と同様、消火ホースの先端部50を、孔Cmhを通して隙間Sに向かって差込み可能となり、消火剤を火災部位に迅速に投入可能となる。
【0054】
第3実施形態のその他の構成は、第1,第2実施形態と同様である。従って、第3実施形態の各構成要素には、これと対応する第1,第2実施形態の各構成要素と同じ参照符号を付すにとどめ、これ以上の構造説明を省略する。
【0055】
尚、
図9において第3実施形態は、ヒンジカバーCのみを単独で例示したが、このヒンジカバーCの塵芥収集車Vへの取付構造は、第1,第2実施形態と同様である。
【0056】
而して、第3実施形態は、第2実施形態と基本的に同等の作用効果を達成することができる。
【0057】
また特に第3実施形態の切れ目L3は、ヒンジカバーCの外側端(左右一側端)より延びていて、作業員が塵芥投入箱20の外側方より線ファスナF3の切離し作業や接続作業を行い易くなる利点があるばかりか、接続具として只1つの線ファスナF3の使用で足りるため、線ファスナF3のヒンジカバーCへの組付け作業性や、蓋部Ctの開閉操作性が頗る良好である。
【0058】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【0059】
例えば、第1,第2実施形態では、ヒンジカバーCの孔Cmhの周縁部と蓋部Ctの対応する周縁部との間を接続する接続具として、線ファスナ(ジッパー、チャックとも呼称)よりなるファスナF,F1,F2を例示したが、本発明の第1の特徴に係る接続具は、実施形態に限定されず、他のファスナ、例えばスナップボタン(点ファスナ)、又は面ファスナを用いてもよい。
【0060】
また第1実施形態では、ヒンジカバーCの左右一側部(即ち左側部)に1つの孔Cmhを配設したものを示したが、ヒンジカバーCの複数箇所に複数(少なくとも2つ)の孔Cmhを配設してもよい。この場合、ヒンジカバーCの左側部のみならず右側部にも、蓋部Ctで開閉される孔Cmhを配設すれば、左右何れの側からでも作業員が蓋部Ctを開いて消火作業を行うことができて、好都合である。
【0061】
また第3実施形態では、ヒンジカバーCの孔Cmhを塞ぎ得る一対の蓋部Ct′間を切離し可能に接続する接続具として、線ファスナ(ジッパー、チャックとも呼称)よりなるファスナF3を例示したが、本発明の第4の特徴に係る接続具は、実施形態に限定されず、他のファスナ、例えばスナップボタン(点ファスナ)、又は面ファスナを用いて切れ目L3を接続してもよい。
【符号の説明】
【0062】
C・・・・・ヒンジカバー
Cf,Cr・・ヒンジカバーの前端部,後端部
Cm・・・・カバー本体
Cmh・・・孔
Ct,Ct′・・蓋部
F,F1~F3・・接続具としてのファスナ
L1~L3・・切れ目
S・・・・・隙間
1・・・・・車体としての車体フレーム
10・・・・塵芥収容箱
20・・・・塵芥投入箱
21・・・・ヒンジ軸
30・・・・塵芥積込装置