(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161421
(43)【公開日】2023-11-07
(54)【発明の名称】ステアリング装置
(51)【国際特許分類】
B62D 1/16 20060101AFI20231030BHJP
【FI】
B62D1/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022071806
(22)【出願日】2022-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野道 大介
【テーマコード(参考)】
3D030
【Fターム(参考)】
3D030DB17
(57)【要約】
【課題】最大操舵角でステアリングを安定的に止めることが可能なステアリング装置を得る。
【解決手段】ステアリングシャフト14には、その半径方向外側に凸とされた第1ストッパ22が形成されている。また、ステアリングシャフト14の下方側には、第1ストッパ22の移動を規制してステアリングの最大操舵角を規定する第2ストッパ24が設けられている。第2ストッパ24は、第1ストッパ22の移動方向に交差する方向に移動されることで、第1ストッパ22に当接される部分を第1受面部24A1と第2受面部24B1との間で変えてステアリングの最大操舵角を変更する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアリングの操舵に連動する第1ストッパと、
前記第1ストッパの移動を規制して前記ステアリングの最大操舵角を規定し、前記第1ストッパの移動方向に交差する方向に移動されることで前記第1ストッパに当接される部分を変えて前記ステアリングの最大操舵角を変更する第2ストッパと、
を備えるステアリング装置。
【請求項2】
前記第1ストッパは、前記ステアリングの操舵に連動して前記ステアリングの回転方向に移動し、
前記第2ストッパは、一個設けられて前記第1ストッパの移動方向の両側において前記第1ストッパの移動を規制する、請求項1記載のステアリング装置。
【請求項3】
前記ステアリングが固定されたステアリングシャフトの一部を収容する筐体を備え、
前記第2ストッパは、前記筐体に支持されるように設けられている、請求項1又は請求項2に記載のステアリング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステアリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載の車両用操舵装置では、ステアリングコラム軸に形成されたボールねじ溝に対してボールねじナットが螺合し、このボールねじナットにはストッパ部を含む移動体が固定されている。また、移動部材のストッパ部と当接することでステアリングホイールの回転を阻止する一対の阻止体は、ステアリングコラム軸の軸線方向と平行な方向に移動可能とされ、アクチュエータによって移動される。この車両用操舵装置では、アクチュエータによって一対の阻止体の位置を変えることで、ステアリングホイールの最大操舵角を変更することができる。
【0003】
ここで、この車両用操舵装置では、移動部材のストッパ部の移動方向と、当該ストッパ部と当接する阻止体の移動方向とが、同じ方向になっているので、ストッパ部の移動をより安定的に止める観点からは改善の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事実を考慮して、最大操舵角でステアリングを安定的に止めることが可能なステアリング装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様のステアリング装置は、ステアリングの操舵に連動する第1ストッパと、前記第1ストッパの移動を規制して前記ステアリングの最大操舵角を規定し、前記第1ストッパの移動方向に交差する方向に移動されることで前記第1ストッパに当接される部分を変えて前記ステアリングの最大操舵角を変更する第2ストッパと、を備える。
【0007】
本発明の第2態様のステアリング装置は、本発明の第1態様のステアリング装置において、前記第1ストッパは、前記ステアリングの操舵に連動して前記ステアリングの回転方向に移動し、前記第2ストッパは、一個設けられて前記第1ストッパの移動方向の両側において前記第1ストッパの移動を規制する。
【0008】
本発明の第3態様のステアリング装置は、本発明の第1態様又は第2態様のステアリング装置において、前記ステアリングが固定されたステアリングシャフトの一部を収容する筐体を備え、前記第2ストッパは、前記筐体に支持されるように設けられている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の第1態様のステアリング装置では、第1ストッパがステアリングの操舵に連動する。また、第2ストッパが、第1ストッパの移動を規制してステアリングの最大操舵角を規定する。ここで、第2ストッパは、第1ストッパの移動方向に交差する方向に移動されることで第1ストッパに当接される部分を変えてステアリングの最大操舵角を変更する。このため、最大操舵角でステアリングを安定的に止めることが可能になる。
【0010】
本発明の第2態様のステアリング装置では、第1ストッパが、ステアリングの操舵に連動してステアリングの回転方向に移動する。また、一個の第2ストッパが、第1ストッパの移動方向の両側において第1ストッパの移動を規制する。このため、部品点数を抑えることができる。
【0011】
本発明の第3態様のステアリング装置では、ステアリングが固定されたステアリングシャフトの一部が筐体に収容され、この筐体に第2ストッパが支持される。このため、第1ストッパが第2ストッパに当接した場合に、第2ストッパが第1ストッパを安定的に支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るステアリング装置を右斜め前方から見た斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係るステアリング装置のストッパ機構及びその周囲部を簡略化して示す斜視図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係るステアリング装置の第1モードをステアリングシャフトの軸方向に見た状態で示す模式的な縦断面図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係るステアリング装置の第2モードをステアリングシャフトの軸方向に見た状態で示す模式的な縦断面図である。
【
図5】本発明の第2実施形態に係るステアリング装置のストッパ機構及びその周囲部を簡略化して示す斜視図である。
【
図6】(A)は、本発明の第2実施形態に係るステアリング装置の第1モードをステアリングシャフトの軸方向に見た状態で示す模式的な縦断面図であり、(B)は、(A)の第1モードの状態にある第2ストッパを示す斜視図である。
【
図7】(A)は、本発明の第2実施形態に係るステアリング装置の第2モードをステアリングシャフトの軸方向に見た状態で示す模式的な縦断面図であり、(B)は、(A)の第2モードの状態にある第2ストッパを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第1実施形態]
図1には、本発明の第1実施形態に係るステアリング装置10を右斜め前方から見た斜視図が示されている。なお、図面では、ステアリング装置10の前側(乗員側とは反対側)を矢印FRで示し、ステアリング装置10の右側を矢印RHで示し、ステアリング装置10の上側を矢印UPで示している。
【0014】
図1に示す如く、ステアリング装置10は、乗員によって操舵されるステアリング12を備えている。ステアリング12は、一例として、非円環状に形成されて左右に把持部12Aを有する。ステアリング12は、ステアリングシャフト14(
図1では簡略化して図示)の一端部に固定され、ステアリングシャフト14の軸線周りに回転可能とされている。本実施形態のステアリング装置10は、ステアリング12とタイヤ(図示省略)とが機械的に繋がれず電気信号でタイヤを操作するステアバイワイヤ式のステアリング装置とされる。なお、図示を省略するが、ステアリングシャフト14の周囲には、ステアリング12の操舵に応じてステアリングシャフト14に操舵反力を付与するためのモータ及び減速ギヤが設けられている。
【0015】
ステアバイワイヤ式のステアリング装置10を備えた車両では、ステアリング12の操舵角とタイヤの転舵角との対応関係をソフトウェアによって制御しており、前記対応関係を変更可能となっている。一方、ステアバイワイヤ式のステアリング装置10では、ステアリング12とタイヤとが機械的に繋がれていないので、タイヤの転舵角の限度まで達した後にステアリング12が更に回ってしまわないように、ストッパ機構20(
図2参照)が設けられている。
【0016】
図2には、ステアリング装置10のストッパ機構20及びその周囲部が簡略化された斜視図にて示されている。
図2に示す如く、ステアリングシャフト14の一部は筐体16に収容されている。なお、
図2では、筐体16の一部のみを図示している。筐体16は、略箱状に形成され、軸受部材(図示省略)を介してステアリングシャフト14をその軸線周りに回転自在に支持している。筐体16の外周側は、カバー18(
図1参照)によって被覆されている。
【0017】
ステアリングシャフト14のうち筐体16内に配置される部分の一部には、ステアリングシャフト14の半径方向外側に凸とされた第1ストッパ22が形成されている。第1ストッパ22は、ステアリングシャフト14と一体的に設けられ、ステアリング12の操舵に連動してステアリング12の回転方向に移動するようになっている。この第1ストッパ22は、ストッパ機構20の一部を構成し、筐体16の車両前方側を構成する前壁部16Aに隙間を介して対向配置されている。また、第1ストッパ22は、ステアリングシャフト14の軸方向に見て円弧帯状に形成されている。
【0018】
また、ステアリングシャフト14の下方側には、第1ストッパ22の移動を規制してステアリング12(
図1参照)の最大操舵角を規定する第2ストッパ24が一個設けられている。第2ストッパ24は、ストッパ機構20の一部を構成している。第2ストッパ24は、第1ストッパ22の移動方向の両側において第1ストッパ22の移動を規制する。
【0019】
第2ストッパ24は、ステアリングシャフト14の軸方向に見て、左右対称に形成され、左右方向に幅狭とされた幅狭部24Aを備えると共に、幅狭部24Aに対して車両前方側に一体に形成されて幅狭部24Aよりも左右方向の寸法が大きく設定された幅広部24Bを備えている。幅狭部24Aの上部かつ左右両側には、面取りされて傾斜面状とされた第1受面部24A1が形成され、幅広部24Bの上部かつ左右両側には、面取りされて傾斜面状とされた第2受面部24B1が形成されている。第1受面部24A1及び第2受面部24B1は、第1ストッパ22に当接される当接面とされる。
【0020】
第2ストッパ24は、筐体16の下壁部16Bに支持されるように設けられている。なお、第1ストッパ22から第2ストッパ24に荷重が入力される場合の荷重入力方向と、第2ストッパ24を支持する下壁部16Bの上面16B1とは、交差している。第2ストッパ24は、筐体16の下壁部16Bに設けられた左右一対のガイド部26に沿って移動可能とされている。左右一対のガイド部26は、ステアリングシャフト14の軸方向と同じ方向に第2ストッパ24を案内するように形成されている。
【0021】
また、第2ストッパ24に対して車両後方側にはソレノイド28が設けられている。ソレノイド28は、ステアリングシャフト14の軸方向と同じ方向に沿って配置されている。ソレノイド28の本体28Aは、筐体16の下壁部16Bに固定されている。また、ソレノイド28において本体28Aから車両前方側に突出するプランジャ28Bは、その軸線方向に移動可能とされている。プランジャ28Bの先端部にはフランジ部28B1が設けられている。フランジ部28B1と本体28Aとの間には、リターンスプリング29が介在されている。リターンスプリング29は、圧縮バネで構成されてプランジャ28Bの軸部の外周側に巻かれており、フランジ部28B1を押圧する方向に付勢している。フランジ部28B1は第2ストッパ24の幅狭部24Aの車両後方側の面に連結されている。
【0022】
ソレノイド28は、通電(オン)されて本体28A内の電磁コイルが励磁されることにより、プランジャ28Bを本体28A内に引入れる方向に移動させ、第2ストッパ24の幅広部24Bを第1ストッパ22に対応する前後方向位置に配置させる。また、ソレノイド28は、通電が解除(オフ)されることにより、プランジャ28Bを本体28Aへ引入れる方向に移動させる電磁力が解除される。これにより、プランジャ28Bは、リターンスプリング29の付勢力により、ソレノイド28の本体28Aから引出される方向に移動され、第2ストッパ24の幅狭部24Aが第1ストッパ22に対応する前後方向位置に配置されるようになっている。
【0023】
ソレノイド28は、制御装置30に電気的に接続されている。制御装置30には、切替スイッチ32が電気的に接続されている。切替スイッチ32は、乗員が操作可能にされている。切替スイッチ32がオン操作されることで、制御装置30の制御により、ソレノイド28が通電(オン)される。
【0024】
第2ストッパ24は、プランジャ28Bの移動によって、ステアリングシャフト14の軸方向に移動(言い換えれば第1ストッパ22の移動方向に交差する方向に移動)されることで、第1ストッパ22に当接される部分を第1受面部24A1と第2受面部24B1との間で変えてステアリング12(
図1参照)の最大操舵角を変更するようになっている。
【0025】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0026】
以上の構成のステアリング装置10では、切替スイッチ32がオフの場合、第2ストッパ24の幅狭部24Aが第1ストッパ22に対応する前後方向位置に配置される第1モードとなる。この第1モードでは、
図3に示す如く、中立位置にあるステアリングシャフト14がその軸線周りに回転されて(矢印R1参照)第1ストッパ22が第2ストッパ24の第1受面部24A1に当接されるまでの範囲A1が大きくなるので、ステアリング12(
図1参照)の最大操舵角が大きくなる。
【0027】
一方、
図2に示す切替スイッチ32がオン操作されると、制御装置30の制御により、ソレノイド28が通電(オン)され、プランジャ28Bが本体28A内に引入れられる方向に移動される。これにより、第2ストッパ24が車両後方側に移動され、第2ストッパ24の幅広部24Bが第1ストッパ22に対応する前後方向位置に配置される第2モードとなる。この第2モードでは
図4に示す如く、中立位置にあるステアリングシャフト14がその軸線周りに回転されて(矢印R2参照)第1ストッパ22が第2ストッパ24の第2受面部24B1に当接されるまでの範囲A2が第1モードの場合(
図3参照)と比べて小さくなるので、ステアリング12(
図1参照)の最大操舵角が第1モードの場合よりも小さくなる。
【0028】
また、第2モードにある状態で
図2に示す切替スイッチ32がオフ操作されると、制御装置30の制御により、ソレノイド28への通電が解除(オフ)され、プランジャ28Bを本体28Aへ引入れる方向に移動させる電磁力が解除される。このとき、プランジャ28Bは、リターンスプリング29の付勢力により、ソレノイド28の本体28Aから引出される方向に移動されて第2ストッパ24が車両前方側に移動され、第2ストッパ24の幅狭部24Aが第1ストッパ22に対応する前後方向位置に配置される第1モードとなる。
【0029】
以上説明した如く、第2ストッパ24は、第1ストッパ22の移動方向に交差する方向に移動されることで第1ストッパ22に当接される部分を変えてステアリング12(
図1参照)の最大操舵角を変更する。このため、高出力モータを用いないで最大操舵角が変更可能でありでかつ第2ストッパ24をソレノイド28のプランジャ28Bによって効果的に支持できて最大操舵角でステアリング12を安定的に止めることが可能になる。
【0030】
なお、最大操舵角を変更するために高出力モータを用いる場合には、最大操舵角において高出力モータによって非常に大きな操舵反力をステアリングシャフトに付与する必要があり、装置の大型化、高コスト化、消費電力の大幅増加を招くことになるが、本実施形態では、最大操舵角を変更するために高出力モータを用いないので、そのような不利益はない。
【0031】
また、第2ストッパ24は、筐体16に支持されている。このため、第1ストッパ22が第2ストッパ24に当接した場合に、第2ストッパ24が第1ストッパ22を安定的に支持することができる。
【0032】
また、第1ストッパ22は、ステアリング12(
図1参照)の操舵に連動してステアリング12の回転方向に移動し、一個の第2ストッパ24が第1ストッパ22の移動方向の両側において第1ストッパ22の移動を規制する。このため、部品点数を抑えることができる。
【0033】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係るステアリング装置について、
図1を流用しながら
図5~
図7を用いて説明する。
図5には、本発明の第2実施形態に係るステアリング装置40のストッパ機構42及びその周囲部が簡略化された斜視図にて示されている。
【0034】
図5に示す第2実施形態のステアリング装置40は、第1実施形態の第2ストッパ24、ガイド部26、ソレノイド28及びリターンスプリング29(いずれも
図2参照)に代えて、第2ストッパ44及び回転機構46を備える点で、第1実施形態に係るステアリング装置10(
図1~
図4参照)とは異なる。他の構成は、以下に説明する点を除いて、第1実施形態と実質的に同様の構成となっている。よって、第1実施形態と実質的に同様の構成部については、同一符号を付して説明を省略する。
【0035】
第2ストッパ44は、ストッパ機構42の一部を構成し、ステアリングシャフト14の下方側において筐体16の下壁部16Bに支持されるように一個設けられ、第1ストッパ22の移動を規制してステアリング12(
図1参照)の最大操舵角を規定する。なお、第1ストッパ22から第2ストッパ44に荷重が入力される場合の荷重入力方向と、第2ストッパ44を支持する下壁部16Bの上面16B1とは、交差している。また、第2ストッパ44は、第1ストッパ22の移動方向の両側において第1ストッパ22の移動を規制する。
【0036】
第2ストッパ44は、直方体の上端四辺を面取りしたような形状とされ、上部に傾斜面状の第1受面部44A及び第2受面部44Bを備えている。第2ストッパ44は平面視で長手方向を有し、第1受面部44Aは第2受面部44Bよりも細長い形状とされている。第1受面部44A及び第2受面部44Bは、それぞれ一対で設けられており、それぞれ第1ストッパ22に当接される当接面とされる。
【0037】
回転機構46は、一例として筐体16の下壁部16Bの下面側に固定されたアクチュエータ(例えばステッピングモータ)を含んで構成され、筐体16の下壁部16Bを貫通して第2ストッパ44に固定された回転軸46Aを備える。回転機構46の回転軸46Aは、90°正転及び逆転可能とされる。第2ストッパ44は、回転機構46の回転軸46Aの回転に応じて、ステアリングシャフト14の軸方向と直交する上下方向の軸線CL(
図6(B)及び
図7(B)参照)周りに90°だけ回転される。
図6(B)及び
図7(B)に示す如く、軸線CLは、平面視における第2ストッパ44の中心を通るように設定されている。
【0038】
図5に示す回転機構46が正転された場合(
図7(B)の矢印Ra参照)、第2受面部44Bの一部は第1ストッパ22に対応する前後方向位置に配置されるようになっている。また、回転機構46が逆転された場合(
図6(B)の矢印Rb参照)、第1受面部44Aの一部は第1ストッパ22に対応する前後方向位置に配置されるようになっている。
【0039】
回転機構46は、制御装置50に電気的に接続されている。制御装置50には、切替スイッチ52が電気的に接続されている。切替スイッチ52は、乗員が操作可能にされ、ステアリング12(
図1参照)の最大操舵角を大きく設定する第1モードと、ステアリング12の最大操舵角を第1モードよりも小さく設定する第2モードと、の間で切替えられるようになっている。切替スイッチ52において第2モードから第1モードに切替える操作がされた場合、制御装置50の制御により、回転機構46の回転軸46Aが90°逆転される。切替スイッチ52において第1モードから第2モードに切替える操作がされた場合、制御装置50の制御により、回転機構46の回転軸46Aが90°正転される。
【0040】
第2ストッパ44は、回転機構46の作動によって、上下方向の軸線CL(
図6(B)及び
図7(B)参照)周りに移動(言い換えれば第1ストッパ22の移動方向に交差する方向に移動)されることで、第1ストッパ22に当接される部分を第1受面部44Aと第2受面部44Bとの間で変えてステアリング12(
図1参照)の最大操舵角を変更するようになっている。
【0041】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0042】
以上の構成のステアリング装置40では、切替スイッチ52において第2モードから第1モードに切替える操作がされた場合、制御装置50の制御により、回転機構46の回転軸46Aが90°逆転される。これにより、第2ストッパ44が90°だけ回転軸46Aの逆転方向に回転され、第2ストッパ44の第1受面部44Aの一部が第1ストッパ22に対応する前後方向位置に配置される第1モード(
図5に示す状態のモード)となる。この第1モードでは、
図6(A)に示す如く、中立位置にあるステアリングシャフト14がその軸線周りに回転されて(矢印R1参照)第1ストッパ22が第2ストッパ44の第1受面部44Aに当接されるまでの範囲A3が大きくなるので、ステアリング12(
図1参照)の最大操舵角が大きくなる。
【0043】
一方、
図5に示す切替スイッチ52において第1モードから第2モードに切替える操作がされた場合、制御装置50の制御により、回転機構46の回転軸46Aが90°正転される。これにより、第2ストッパ44が90°だけ回転軸46Aの正転方向に回転され、第2ストッパ44の第2受面部44Bの一部が第1ストッパ22に対応する前後方向位置に配置される第2モードとなる。この第2モードでは
図7(A)に示す如く、中立位置にあるステアリングシャフト14がその軸線周りに回転されて(矢印R2参照)第1ストッパ22が第2ストッパ44の第2受面部44Bに当接されるまでの範囲A4が第1モードの場合(
図6(A)参照)と比べて小さくなるので、ステアリング12(
図1参照)の最大操舵角が第1モードの場合よりも小さくなる。
【0044】
以上説明した如く、
図5~
図7に示す第2ストッパ44は、第1ストッパ22の移動方向に交差する方向に移動されることで第1ストッパ22に当接される部分を変えてステアリング12(
図1参照)の最大操舵角を変更する。このため、高出力モータを用いないで最大操舵角が変更可能でありでかつ第2ストッパ44を回転機構46の回転軸46Aによって効果的に支持できて最大操舵角でステアリング12を安定的に止めることが可能になる。
【0045】
また、第2ストッパ44は、筐体16に支持されている。このため、第1ストッパ22が第2ストッパ44に当接した場合に、第2ストッパ44が第1ストッパ22を安定的に支持することができる。
【0046】
また、第1ストッパ22は、ステアリング12(
図1参照)の操舵に連動してステアリング12の回転方向に移動し、一個の第2ストッパ44が第1ストッパ22の移動方向の両側において第1ストッパ22の移動を規制する。このため、部品点数を抑えることができる。
【0047】
[変形例]
なお、
図1~
図7に示す上記第1、第2実施形態の変形例として、第2ストッパ(24、44)と筐体(16)との間に介在部材が介在され、第2ストッパ(24、44)が介在部材を介して筐体(16)に支持されるような構成も採り得る。
【0048】
また、上記実施形態の変形例として、第2ストッパは、筐体とは別の例えば骨格部材等に支持されるように設けられてもよい。
【0049】
また、上記第1実施形態では、第2ストッパ24を移動させるために、ソレノイド28及びリターンスプリング29を用いているが、上記第1実施形態の変形例として、第2ストッパ(24)を移動させるために小型モータを用いてもよいし、切替スイッチ(32)が押圧式の場合にはその押圧力を機械的に伝達して第2ストッパ(24)を移動させるような機構を設けてもよい。
【0050】
また、上記実施形態の変形例として、ラックアンドピニオン等によって第1ストッパがステアリング(12)の操舵に連動して直線的に移動し、第2ストッパが前記第1ストッパの移動方向の両側に一個ずつ設けられかつ前記第1ストッパの移動を規制してステアリング(12)の最大操舵角を規定すると共に各第2ストッパが前記第1ストッパの移動方向に交差する方向に移動されることで前記第1ストッパに当接される部分を変えてステアリング(12)の最大操舵角を変更する、という構成も採り得る。
【0051】
なお、上記第1、第2実施形態及び上述の複数の変形例は、適宜組み合わされて実施可能である。
【0052】
以上、本発明の一例について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0053】
10・・・ステアリング装置、12・・・ステアリング、14・・・ステアリングシャフト、16・・・筐体、22・・・第1ストッパ、24・・・第2ストッパ、40・・・ステアリング装置、44・・・第2ストッパ