(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161438
(43)【公開日】2023-11-07
(54)【発明の名称】防犯装置
(51)【国際特許分類】
G08B 15/00 20060101AFI20231030BHJP
G08B 17/00 20060101ALI20231030BHJP
【FI】
G08B15/00
G08B17/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022071833
(22)【出願日】2022-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(72)【発明者】
【氏名】倉林 慶太
【テーマコード(参考)】
5C084
5G405
【Fターム(参考)】
5C084AA02
5C084AA07
5C084AA13
5C084CC02
5C084CC03
5C084EE03
5C084HH08
5G405AA01
5G405AD07
5G405CA21
(57)【要約】 (修正有)
【課題】建屋の異常への対処を従来よりも早く行う防犯装置を提供する。
【解決手段】防犯装置Aは、建屋Bの周囲あるいは内部に設けられる警報部(ガーデンライト4)と、建屋の異常を検知する1あるいは複数のセンサ類1と、センサ類1が建屋Bの異常を検知すると、警報部(ガーデンライト4)を作動させる制御部(アプリケーションサーバ7)と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建屋の周囲あるいは内部に設けられる警報部と、
前記建屋の異常を検知する1あるいは複数のセンサと、
前記センサが前記建屋の異常を検知すると、前記警報部を作動させる制御部と
を備える防犯装置。
【請求項2】
前記建屋には前記センサ及び前記警報部が接続された屋内ネットワークが備えられ、
前記制御部は、前記屋内ネットワークを介して前記センサが前記建屋の異常を検知したことを認知し、前記屋内ネットワークを介して前記警報部を作動させるサーバである請求項1に記載の防犯装置。
【請求項3】
前記警報部は、前記建屋の周囲に設けられたガーデンライトである請求項1または2に記載の防犯装置。
【請求項4】
前記警報部は、発音器である請求項1または2に記載の防犯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、防犯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
赤外線等の電磁波を用いて侵入者を検知する防犯センサ装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
防犯センサ装置は、防犯上の異常を検知し、通信回線等を用いて外部に異常を通知するが、通知を受けた住人や警備員が異常が検出された建屋に急行して異常に対処するので、異常の対処に時間が掛かるという問題がある。
【0005】
本開示は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、建屋の異常への対処を従来よりも早くすることが可能な防犯装置の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、建屋の周囲あるいは内部に設けられる警報部と、前記建屋の異常を検知する1あるいは複数のセンサと、前記センサが前記建屋の異常を検知すると、前記警報部を作動させる制御部とを備える防犯装置である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】防犯装置Aの全体構成を示すブロック図である。
【
図2】防犯装置Aの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本実施形態に係る防犯装置Aは、
図1に示すように建屋Bの防犯を担う装置である。り、防犯装置Aは、センサ類1、ゲートウエイ2、ルータ3、ガーデンライト4、中継装置5、電気錠6及びアプリケーションサーバ7を備える。センサ類1、ゲートウエイ2、ルータ3、ガーデンライト4、中継装置5、電気錠6及びアプリケーションサーバ7のうち、センサ類1、ゲートウエイ2、ルータ3、ガーデンライト4、中継装置5及び電気錠6は、屋内ネットワークCを構成している。
【0009】
建屋Bは、居住用の一戸建て住宅あるいは集合住宅であるが、企業が業務に使用するオフィスビルや商業ビルであってもよい。建屋Bには、センサ類1、ゲートウエイ2、ルータ3、ガーデンライト4、中継装置5及び電気錠6を通信ノードとする屋内ネットワークCが構築されている。
【0010】
屋内ネットワークCは、センサ類1、ゲートウエイ2、ルータ3、ガーデンライト4、中継装置5及び電気錠6が相互通信自在に有線接続あるいは無線接続されたホームネットワークである。屋内ネットワークCは、例えば無線LAN(Local Area Network:ローカル・エリア・ネットワーク)、有線LAN及び近距離通信システムを用いて構築されている。
【0011】
センサ類1は、建屋Bの異常を検知する1あるいは複数のセンサからなり、少なくとも火災検知器1a及び防犯センサ1bを備える。センサ類1は、無線LAN通信または有線LAN通信あるいは無線LAN通信及び有線LAN通信自在にゲートウエイ2と接続されている。センサ類1が検知する異常は、建屋Bにおける防犯上の異常であり、建屋Bにおける異常の発生を検知信号としてゲートウエイ2に送信する。
【0012】
火災検知器1aは、建屋Bにおける火災の発生を防犯上の異常として検知するセンサである。火災検知器1aは、例えば建屋Bに設けられた部屋毎に設けらており、各部屋における火災の発生を検知し、火災の発生を示す火災検知信号をゲートウエイ2に各々送信する。
【0013】
防犯センサ1bは、建屋Bにおける開閉部の開放を防犯上の異常として検知するセンサである。防犯センサ1bは、例えば建屋Bに備えられた玄関口等の出入口毎及び各部屋の窓毎に設けらており、各開閉部の不正な開放を検知し、各開閉部の不正な開放を示す開放検知信号をゲートウエイ2に送信する。
【0014】
ゲートウエイ2は、無線LAN通信または有線LAN通信あるいは無線LAN通信及び有線LAN通信自在にセンサ類1、ルータ3、ガーデンライト4及び中継装置5と接続されている。ゲートウエイ2は、センサ類1から受信した検知信号及び中継装置5から受信した施解錠信号をルータ3に送信する。ゲートウエイ2は、ルータ3から受信した点灯信号をガーデンライト4に送信する。
【0015】
ルータ3は、無線LAN通信または有線LAN通信あるいは無線LAN通信及び有線LAN通信自在にゲートウエイ2と接続されている。ルータ3は、インターネット通信自在にアプリケーションサーバ5と接続されている。ルータ3は、ゲートウエイ2から受信した検知信号及び施解錠信号をアプリケーションサーバ5に送信する。ルータ3は、アプリケーションサーバ5から受信した点灯信号をゲートウエイ2に送信する。
【0016】
ガーデンライト4は、建屋Bの周囲に設けられる警報部である。ガーデンライト4は、例えば建屋Bの庭に1あるいは複数設けられた発光器である。ガーデンライト4は、ゲートウエイ2から点灯信号を受信すると、点灯信号に応じた態様で発光する。
【0017】
ガーデンライト4の点灯態様は、建屋Bの近隣者に対して目立つようなものであり、例えば光量が所定のパターンで時間的に変化する光量変動発光(間欠点灯を含む)、発光色が時間的に変動する色変動発光である。
【0018】
中継装置5は、無線LAN通信自在にゲートウエイ2と接続されている。中継装置5は、建屋B内において玄関ドア(出入口)の近傍に設けられており、ゲートウエイ2と電気錠6との無線中継を行う。中継装置5は、ゲートウエイ2と無線LAN通信を行うが、電気錠1とは近距離通信を行う。
【0019】
本実施形態で採用する近距離通信の方式(通信規格)は、所謂「Bluetooth(登録商標)」である。中継装置5は、電気錠6とBluetoothの通信プロトコルの準拠した無線通信(Bluetooth通信)を行う。近距離通信の方式には、「Bluetooth(登録商標)」以外に、「ZigBee(登録商標)」等、幾つかの方式が一般的に知られている。本実施形態で採用する近距離通信の方式は、Bluetooth以外の方式であってもよい。
【0020】
電気錠6は、近距離通信自在に中継装置5と接続されている。電気錠6は、建屋Bにおいて玄関ドア(出入口)に設けられており、手動による施解錠に加え、電気的な施解錠が可能な錠である。電気錠6は、自身の状態(施錠状態(出入口の開閉が不可な状態)または解錠状態(出入口が開閉自在な状態)を示す施解錠信号を中継装置5に送信する。施錠状態は出入口の開閉が不可な状態であり、解錠状態は出入口が開閉自在な状態である。
【0021】
アプリケーションサーバ7は、センサ類1が建屋Bの異常を検知すると、ガーデンライト4(警報部)を作動させる制御部である。アプリケーションサーバ7は、ゲートウエイ2、ルータ3及び中継装置5を介して電気錠6から入力される施解錠信号に基づいて動作モードが設定される。
【0022】
アプリケーションサーバ7の動作モードには、通常モードとエマージェンシーモード(EMモード)とがある。通常モードは通常の動作モードであり、EMモードはセンサ類1の検知信号に基づいて建屋Bの状態を監視する動作モードである。アプリケーションサーバ7は、例えば電気錠6が施錠状態にあることを示す施解錠信号をルータ3から受信した場合にEMモードとなる。
【0023】
アプリケーションサーバ7をEMモードに設定する条件は、電気錠6の施錠状態のみに限定されない。例えば、電気錠6の施錠状態に加えて、屋内ネットワークCを構成する通信ノードが生成したEMモード設定信号をルータ3から受信した場合に、アプリケーションサーバ7をEMモードに設定してもよい。
【0024】
EMモード設定信号を生成する通信ノードは、中継装置5あるいは図示しない通信端末である。中継装置5でEMモード設定信号を生成する場合、EMモード設定信号の生成を指示する操作ボタンを中継装置5に付加することが考えられる。建屋Bの住人が操作ボタンを操作することにより、EMモード設定信号が生成されてゲートウエイ2に送信される。
【0025】
アプリケーションサーバ7は、EMモードにおいて、屋内ネットワークCの動作モードとゲートウエイ2及びルータ3を介してセンサ類1から入力される検知信号とに基づいて点灯信号を生成する。アプリケーションサーバ7は、EMモードにおいて、点灯信号をルータ3及びゲートウエイ2を介してガーデンライト4に送信することにより、ガーデンライト4を遠隔制御する。
【0026】
アプリケーションサーバ7は、屋内ネットワークC以外の通信端末ともインターネット通信自在である。アプリケーションサーバ7は、例えば建屋Bの住人が所持するスマートフォン等の携帯端末、または建屋Bの住人が警備を委託する警備員が所持する携帯端末とインターネット通信することにより、建屋Bにおける異常の発生を監視する。
【0027】
本実施形態に係る防犯装置Aでは、屋内ネットワークC内で検知した建屋Bの異常を示す検知信号を屋内ネットワークCの外部に存在するアプリケーションサーバ7に転送する。アプリケーションサーバ7は、屋内ネットワークCから受信した検知信号に基づいて生成した点灯信号を屋内ネットワークCに送信する。屋内ネットワークCでは、自身が構築された建屋Bの異常が通信ノードの1つであるガーデンライト4を用いて周囲に報知される。
【0028】
本実施形態に係る電気錠監視装置Aの動作について、
図2に示すフローチャートに沿って説明する。
【0029】
最初に、建屋Bの住人は外出する際に電気錠6を施錠状態に設定する。電気錠6の施錠状態は、施解錠信号として電気錠6から中継装置5に送信され、ゲートウエイ2及びルータ3を経由してアプリケーションサーバ7に受信される。アプリケーションサーバ7は、電気錠6の施錠状態を示す施解錠信号を受信することにより、動作モードがEMモードに設定される。
【0030】
アプリケーションサーバ7は、動作モードがEMモードに設定されると(ステップS1)、検知信号に基づいてセンサ類1のセンサ状態を判断する(ステップS2)。建屋Bに何らかの異常が発生した場合、センサ類1を構成する複数のセンサのいずれかがOFF状態からON状態に変化する。アプリケーションサーバ7は、検知信号に基づいてセンサ類1を構成する複数のセンサのいずれかがON状態になっているか否かを判断する。
【0031】
アプリケーションサーバ7は、センサ類1がON状態の場合、建屋Bで異常が発生していると判定して点灯信号を生成する。アプリケーションサーバ7は、点灯信号をルータ3に送信する。点灯信号は、ルータ3からゲートウエイ2を経由してガーデンライト4(警報部)に受信される。ガーデンライト4は、ゲートウエイ2から受信した点灯信号に基づいて点灯を開始する(ステップS3)。なお、ゲートウェイ2が点灯信号と消灯信号をガーデンライト4に繰り返し送信することにより、ガーデンライト4が点滅状態となり、異常の発生を周囲へ報知する効果を高めることも可能である。
【0032】
アプリケーションサーバ7は、ステップS2の判断が「OFF」の場合には、点灯信号を生成することなく、ステップS1の判断処理を繰り返す。アプリケーションサーバ7は、センサ類1を構成する複数のセンサのうち、少なくとも1つがON状態の場合のみにガーデンライト4を作動させて建屋Bの周囲に異常の発生を報知させる。
【0033】
建屋Bの近隣者は、ガーデンライト4の点灯によって建屋Bにおける異常の発生をいち早く認知することができる。近隣者による建屋Bの異常認知は、アプリケーションサーバ7がセンサ類1がON状態を外出中の建屋Bの住人に通知した場合、またはアプリケーションサーバ7がセンサ類1がON状態を外部の警備員に通知した場合よりも早い。
【0034】
アプリケーションサーバ7は、建屋Bにおける異常の発生つまり点灯信号の生成及び送信に加え、住人の携帯端末または警備員の携帯端末に建屋Bにおける異常の発生を通知する。建屋Bの異常発生通知によって、建屋Bから離間したところに居る住人または警備員は、建屋Bにおける異常の発生を認知することができる。
【0035】
住人または警備員は、ガーデンライト4の消灯指示を携帯端末からアプリケーションサーバ7に送信する。アプリケーションサーバ7は、消灯指示を受信すると(ステップS4)、消灯信号を生成してルータ3に送信する。消灯信号は、ルータ3からゲートウエイ2を経由してガーデンライト4に受信される。ガーデンライト4は、ゲートウエイ2から受信した消灯信号に基づいて消灯する(ステップS5)。
【0036】
本実施形態に係る防犯装置Aは、建屋Bの周囲(庭)に設けられるガーデンライト4(警報部)と、建屋Bの異常を検知するセンサ類1と、センサ類1が建屋Bの異常を検知すると、ガーデンライト4(警報部)を作動させるアプリケーションサーバ7(制御部)とを備える。本実施形態によれば、建屋Bの異常への対処を従来よりも早くすることが可能な防犯装置Aを提供することができる。
【0037】
本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が考えられる。
(1)上記実施形態では、建屋Bの周囲に設けられたガーデンライト4を警報部としたが、本開示はこれに限定されない。例えば、建屋Bの内部に設けられた照明(室内照明)を警報部としてもよい。
【0038】
照明(室内照明)を警報部とする場合、通常の点灯では建屋Bの異常を建屋Bの周囲に報知することができないので、照明(室内照明)は、点灯信号に基づいて通常の点灯とは異なる特異な点灯態様で点灯することにより、建屋Bの異常を建屋Bの周囲に報知する。
【0039】
(2)上記実施形態では、発光器であるガーデンライト4を警報部としたが、本開示はこれに限定されない。発光器に代えて、または発光器に加えて、発音器を警報部としてもよい。発音器については、建屋Bの外側または内部に設けることが考えられる。
【0040】
ガーデンライト4のような発行器に加えて発音器を警報部とした場合、光に加えて音によって建屋Bの異常を周囲に知らせるので、近隣者は、光のみによって建屋Bの異常を周囲に知らせる場合に比較して建屋Bの異常を認知し易い。近隣者は、光及び音による警報によって、より確実に建屋Bの異常を認知し、適切な対処を取ることができる。
【0041】
(3)本実施形態では、建屋Bの庭に設けられたガーデンライト4を警報部としたが、本開示はこれに限定されない。例えば、建屋Bの玄関近傍の外壁に設けられた玄関灯や防犯灯を警報部としてもよい。
【0042】
(4)本実施形態では、屋内ネットワークCの外部に設けられたアプリケーションサーバ7を制御部としたが、本開示はこれに限定されない。屋内ネットワークCを構成する通信ノードを制御部としてもよく、例えば中継装置5を制御部としてもよい。中継装置5に検知信号に基づいて警報部を制御する機能を付加することにより、中継装置5を制御部として機能させることができる。
【0043】
(5)本実施形態では、電気錠6の施解錠信号を用いてアプリケーションサーバ7(制御部)の動作モードをエマージェンシーモード(EMモード)に設定したが、本開示はこれに限定されない。例えば、住人の携帯端末からアプリケーションサーバ7にモード設定信号を送信することによりアプリケーションサーバ7の動作モードをEMモードに設定してもよい。
【0044】
電気錠6の施解錠信号を用いることなく、アプリケーションサーバ7の動作モードをEMモードに設定する場合、中継装置5及び電気錠6を防犯装置Aから削除することができる。中継装置5及び電気錠6を防犯装置Aから削除することによって、装置構成を単純化することが可能である。
【0045】
(6)本実施形態では、住人または警備員の携帯端末からアプリケーションサーバ7に消灯指示を送信することによってガーデンライト4を消灯させたが、本開示はこれに限定されない。住人または警備員の携帯端末以外の手段を用いてガーデンライト4を消灯させてもよい。
【0046】
例えば、建屋B内の玄関ドア(出入口)の近傍に設けられた中継装置5に消灯指示を受け付ける消灯スイッチを設けてもよい。建屋Bの異常に対処するために建屋B内に侵入した近隣者が消灯スイッチを操作すると、消灯信号が中継装置5からガーデンライト4に送信されてガーデンライト4を消灯させることができる。
【符号の説明】
【0047】
A…防犯装置、B…建屋、C…ホームネットワーク、1…センサ類、1a…火災検知器、1b…防犯センサ、2…ゲートウエイ、3…ルータ、4…ガーデンライト、5…中継装置、6…電気錠、7…アプリケーションサーバ