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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161444
(43)【公開日】2023-11-07
(54)【発明の名称】調査方法および調査装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0201 20230101AFI20231030BHJP
【FI】
G06Q30/02 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022071845
(22)【出願日】2022-04-25
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 集会名 日本マーケティング学会 カンファレンス2021(オンライン) (http://www.j-mac.or.jp/conference/conference2021/) 開催日 令和3年(2021年)10月17日 [刊行物等] ウェブサイトの掲載日 令和3年(2021年)10月29日 ウェブサイトのアドレス http://www.j-mac.or.jp/oral/fdwn.php?os_id=335 [刊行物等] ウェブサイトの掲載日 令和3年(2021年)10月29日 ウェブサイトのアドレス http://www.j-mac.or.jp/oral/dtl.php?os_id=335
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り [刊行物等] ウェブサイトの掲載日 令和3年(2021年)12月28日 ウェブサイトのアドレス https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00337/122400030/ [刊行物等] ウェブサイトの掲載日 令和4年(2022年)1月24日 ウェブサイトのアドレス https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00337/012000033/ [刊行物等] ウェブサイトの掲載日 令和4年(2022年)1月25日 ウェブサイトのアドレス https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00337/012100034/
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り [刊行物等] ウェブサイトの掲載日 令和4年(2022年)1月26日 ウェブサイトのアドレス https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00337/012400036/ [刊行物等] ウェブサイトの掲載日 令和4年(2022年)1月26日 ウェブサイトのアドレス https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00337/012400037/ [刊行物等] ウェブサイトの掲載日 令和4年(2022年)1月27日 ウェブサイトのアドレス https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00337/012500038/
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り [刊行物等] ウェブサイトの掲載日 令和4年(2022年)1月27日 ウェブサイトのアドレス https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00337/012500039/ [刊行物等] ウェブサイトの掲載日 令和4年(2022年)1月28日 ウェブサイトのアドレス https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00337/012600040/ [刊行物等] ウェブサイトの掲載日 令和4年(2022年)1月28日 ウェブサイトのアドレス https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00337/012700041/
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り [刊行物等] ウェブサイトの掲載日 令和4年(2022年)1月31日 ウェブサイトのアドレス https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00337/012700042/ [刊行物等] ウェブサイトの掲載日 令和4年(2022年)1月31日 ウェブサイトのアドレス https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00337/012700043/ [刊行物等] 発行者名 株式会社日経ビーピー 刊行物名 日経ビジネス 号数 第2126号 発行年月日 令和4年(2022年)1月31日 [刊行物等] ウェブサイトの掲載日 令和4年(2022年)2月1日 ウェブサイトのアドレス https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00337/012800044/
(71)【出願人】
【識別番号】316016852
【氏名又は名称】株式会社マクロミル
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内田 智之
(72)【発明者】
【氏名】中谷 靖
(72)【発明者】
【氏名】村上 智章
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB02
(57)【要約】
【課題】評価対象を段階的に評価した結果に基づいて評価者を分類する調査方法における結果分析手法の向上を行う。
【解決手段】評価者が評価対象の推奨度を所定数の段階から選択して評価した評価結果を取得するステップと、複数の評価者から得られた評価結果を、推奨度の順に第1から第3のグループに分類するステップと、評価結果の総数に対する、第1のグループおよび第2のグループに含まれる評価結果の数の比率を算出して第1の比率とするステップと、第1のグループおよび第2のグループに含まれる評価結果の数に対する、第1のグループに含まれる評価結果の数の比率を算出して第2の比率とするステップと、評価対象を、第1の比率を第1の軸とし、第2の比率を第2の軸とするグラフ上にプロットして表示手段に表示するステップと、を有する調査方法を用いる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置が、評価者が評価対象の推奨度を所定数の段階から選択して評価した評価結果を取得する、取得ステップと、
前記情報処理装置が、複数の前記評価者から得られた前記評価結果を、推奨度の高い第1のグループ、第1のグループより推奨度の低い第2のグループ、および、第2のグループより推奨度の低い第3のグループに分類する、分類ステップと、
前記情報処理装置が、前記評価結果の総数に対する、前記第1のグループおよび前記第2のグループに含まれる前記評価結果の数の比率を算出して第1の比率とする、第1の算出ステップと、
前記情報処理装置が、前記第1のグループおよび前記第2のグループに含まれる前記評価結果の数に対する、前記第1のグループに含まれる前記評価結果の数の比率を算出して第2の比率とする、第2の算出ステップと、
前記情報処理装置が、前記評価対象を、前記第1の比率を第1の軸とし、前記第2の比率を第2の軸とするグラフ上にプロットして表示手段に表示する、表示ステップと、
を有することを特徴とする調査方法。
【請求項2】
前記情報処理装置が、前記評価結果の総数に対する前記第1のグループに含まれる前記評価結果の数の比率から、前記評価結果の総数に対する前記第2のグループに含まれる前記評価結果の数の比率を減算して、推奨度指標を算出する、第3の算出ステップをさらに有し、
前記表示ステップでは、前記情報処理装置が、前記グラフに、前記推奨度指標が所定の値になることを示す第1の線と、前記評価結果の総数に対する前記第1のグループに含まれる前記評価結果の数の比率が所定の比率であることを示す第2の線と、を表示する
ことを特徴とする請求項1に記載の調査方法。
【請求項3】
前記推奨度指標の前記所定の値とは、0である
ことを特徴とする請求項2に記載の調査方法。
【請求項4】
前記表示ステップでは、前記情報処理装置が、前記グラフに、複数の、前記推奨度指標が互いに異なる複数の前記第1の線を表示する
ことを特徴とする請求項2に記載の調査方法。
【請求項5】
前記表示ステップでは、前記情報処理装置が、前記グラフに、前記第1の線および前記第2の線のほかに、前記第1の比率が第2の所定の比率であることを示す第3の線を表示する
ことを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載の調査方法。
【請求項6】
前記第2の所定の比率は、50%である
ことを特徴とする請求項5に記載の調査方法。
【請求項7】
前記表示ステップでは、前記情報処理装置が、
・前記第1の線よりも上側、かつ、前記第2の線よりも上側の領域、
・前記第1の線よりも上側、かつ、前記第2の線よりも下側の領域、
・前記第1の線よりも下側、かつ、前記第2の線よりも上側の領域、
・前記第1の線よりも下側、かつ、前記第2の線よりも下側、かつ、前記第3の線よりも上側の領域、
・前記第1の線よりも下側、かつ、前記第3の線よりも下側の領域、
を識別できるように前記グラフの表示を行う
ことを特徴とする請求項5に記載の調査方法。
【請求項8】
前記表示ステップでは、前記情報処理装置が、前記グラフに、前記第1の線および前記第2の線のほかに、前記第2の比率が第3の所定の比率であることを示す第4の線を表示する
ことを特徴とする請求項2に記載の調査方法。
【請求項9】
前記表示ステップでは、前記情報処理装置が、前記グラフの4つの象限を識別できるように前記グラフの表示を行う
ことを特徴とする請求項8に記載の調査方法。
【請求項10】
評価者が評価対象の推奨度を所定数の段階から選択して評価した評価結果を取得する、取得部と、
複数の前記評価者から得られた前記評価結果を、推奨度の高い第1のグループ、第1のグループより推奨度の低い第2のグループ、および、第2のグループより推奨度の低い第3のグループに分類する、分類部と、
前記評価結果の総数に対する、前記第1のグループおよび前記第2のグループに含まれる前記評価結果の数の比率を算出して第1の比率とする、第1の算出部と、
前記第1のグループおよび前記第2のグループに含まれる前記評価結果の数に対する、前記第1のグループに含まれる前記評価結果の数の比率を算出して第2の比率とする、第2の算出部と、
前記評価対象を、前記第1の比率を第1の軸とし、前記第2の比率を第2の軸とするグラフ上にプロットして表示する、表示部と、
を有することを特徴とする調査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調査方法および調査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多数の評価者に対してアンケートを行い、評価対象への評価の度合いを回答してもらうことにより、評価対象の状態を調査することが行われている。一例として、ある対象を家族、友人、知人などに薦めるかどうかを11段階(0点~10点)で回答してもらい、評価者を「推奨者(9、10点)」、「中立者(7、8点)」および「批判者(0~6点)」に分類する方法が知られている。そして、推奨者の比率から批判者の比率を引いた差を推奨度指標として利用する。ここで、推奨者は評価対象を高評価しかつ他人にも薦めるため、推奨者が増えれば評価対象の利用が拡大すると考えられる。一方、批判者は評価対象を利用せず他人にも薦めないため、批判者が多いと評価対象の利用は拡大しないと考えられる。そのため推奨度指標は、評価対象の成長力やブランド力を示し、企業の売上や利益、成長率と相関があると考えられており、例えば顧客満足度の改善、マーケティング、商品開発、ブランド強化などを行う際の意思決定支援に活用されている。
【0003】
近年、上記の指標を精度良く分析するための検討がなされている。例えば特許文献1(特許第6176813号公報)では、評価者から「評価度合い」、「プラス指標」および「マイナス指標」を含む評価結果を受信し、ユーザ体験のうちの各々が評価にどのように影響するかを分析している。具体的には、特許文献1では、評価対象であるサービスや商品のどの部分がプラスに影響し、どの部分がマイナスに影響するかを分析し、影響の大きいファクターを抽出している。
【0004】
その他にも、評価結果を分析して顧客満足度の改善を行う様々な試みがなされている。例えば、特許文献2(特開2006-209484号公報)では、評価対象への意思決定の際に、構造方程式モデリングを用いて不満(ネガティブ評価)や魅力(ポジティブ評価)が与える影響の種類や程度を把握し、評価向上のために取り組むべき項目を抽出している。また、特許文献3(特開2021-064079号公報)では、顧客満足度を総合的に評価するために、評価者による回答を重み付け分析している。また、特許文献4(特開2007-087339号公報)では、ブランド価値の定量的な評価のために、評価者による評価結果から、複数の肯定的な評価に基づく分析を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6176813号公報
【特許文献2】特開2006-209484号公報
【特許文献3】特開2021-064079号公報
【特許文献4】特開2007-087339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願の発明者による鋭意検討の結果、上記のような、段階的な評価と分類に基づいて算出された推奨度指標を用いた手法には、評価結果を理解し分析する上での様々な課題が存在することが分かったので、以下説明する。
【0007】
第1に、推奨度指標としてマイナスの数値が算出される場合が多くなる。これは、推奨者の段階数(推奨度が9または10点)と批判者の段階数(推奨度が0~6点)の特性上
やむを得ないことであるが、マイナスの数値となること自体がネガティブな印象を与える可能性があり、分析者や分析結果報告を受ける者に先入観を与えるおそれがある。
【0008】
第2に、推奨度指標が尺度や単位を持たない数値として示されるため、その数値の解釈が困難であるという課題がある。例えば、推奨度指標がマイナスであるということは、推奨者よりも批判者が多いということを意味するが、プラスにするべきなのか、あるいはどの程度のマイナスであれば許容されるのかの基準がない。また推奨度指標の平均値や分布は、業界や、製品やサービスの種類によっても異なることが知られており、目標となる基準値の設定が困難である。
【0009】
第3に、推奨度指標の値を高めるための具体的な施策や、値をどの程度改善するべきかという目標についての判断基準が存在しない。
【0010】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、評価対象を段階的に評価した結果に基づいて評価者を分類する調査方法における結果分析手法の向上を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するため、本発明は以下のような構成を採用する。
すなわち、
情報処理装置が、評価者が評価対象の推奨度を所定数の段階から選択して評価した評価結果を取得する、取得ステップと、
前記情報処理装置が、複数の前記評価者から得られた前記評価結果を、推奨度の高い第1のグループ、第1のグループより推奨度の低い第2のグループ、および、第2のグループより推奨度の低い第3のグループに分類する、分類ステップと、
前記情報処理装置が、前記評価結果の総数に対する、前記第1のグループおよび前記第2のグループに含まれる前記評価結果の数の比率を算出して第1の比率とする、第1の算出ステップと、
前記情報処理装置が、前記第1のグループおよび前記第2のグループに含まれる前記評価結果の数に対する、前記第1のグループに含まれる前記評価結果の数の比率を算出して第2の比率とする、第2の算出ステップと、
前記情報処理装置が、前記評価対象を、前記第1の比率を第1の軸とし、前記第2の比率を第2の軸とするグラフ上にプロットして表示手段に表示する、表示ステップと、
を有することを特徴とする調査方法である。
【0012】
本発明はまた、以下の構成を採用する。
評価者が評価対象の推奨度を所定数の段階から選択して評価した評価結果を取得する、取得部と、
複数の前記評価者から得られた前記評価結果を、推奨度の高い第1のグループ、第1のグループより推奨度の低い第2のグループ、および、第2のグループより推奨度の低い第3のグループに分類する、分類部と、
前記評価結果の総数に対する、前記第1のグループおよび前記第2のグループに含まれる前記評価結果の数の比率を算出して第1の比率とする、第1の算出部と、
前記第1のグループおよび前記第2のグループに含まれる前記評価結果の数に対する、前記第1のグループに含まれる前記評価結果の数の比率を算出して第2の比率とする、第2の算出部と、
前記評価対象を、前記第1の比率を第1の軸とし、前記第2の比率を第2の軸とするグラフ上にプロットして表示する、表示部と、
を有することを特徴とする調査装置である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、評価対象を段階的に評価した結果に基づいて評価者を分類する調査方法における結果分析手法の向上が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施例1の情報処理システムの構成を説明する図
図2】実施例1の処理フローを説明する図
図3】実施例1の情報処理システムの機能ブロックを説明する図
図4】実施例1のアンケートにおける質問と評価方法を説明する図
図5】実施例1の評価結果の集計を説明する図
図6】実施例1の複数の評価結果を説明する図
図7】実施例1の評価結果をプロットするグラフを説明する図
図8】実施例1のグラフの利用方法を説明する図
図9】実施例2の評価結果をプロットするグラフを説明する図
図10】実施例3の複数の指標閾値線を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に図面を参照しつつ、本発明の好適な実施の形態を説明する。ただし、以下に記載されている構成要素やそれらの相対配置などは、発明が適用されるシステム等の各種条件に応じて適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲を以下の記載に限定する趣旨のものではない。
【0016】
本発明は、複数の評価者に対して評価対象に対する評価を要求するアンケートを行い、受信した複数の評価結果を表示し、分析の用に供するアンケート調査に好ましく適用できる。本発明は、このような調査を行う調査方法、評価方法または情報処理方法として捉えられる。本発明はまた、調査装置、評価装置または情報処理装置として捉えられる。本発明はまた、評価者が評価を行う情報処理装置と、調査者が解析等を行う情報処理装置と、を含む調査システム、評価システムまたは情報処理システムとして捉えられる。本発明はまた、上記各システムや上記各装置の制御方法としても捉えられる。本発明はまた、上記各装置の演算資源を利用して動作し、上記各方法の工程(ステップ)を実行するプログラムとしても捉えられる。本発明はまた、かかるプログラムが格納された記憶媒体としても捉えられる。記憶媒体は、情報処理装置により読み取り可能な非一時的な記憶媒体であってもよい。
【0017】
[実施例1]
以下の実施例において、「調査者」とは調査を行う主体であり、企業の経済活動など任意の調査目的に応じて評価者にアンケートを行って回答を収集し、集計および解析する。アンケートには、少なくとも1問の、評価対象に対する段階的かつ選択的な評価を要求する質問が含まれる。調査者は、調査目的を持つ企業等自身であっても良く、リサーチ業者のような調査代行者でも良い。「評価者」とは調査者から送られてきたアンケートに対して回答する者であり、上記の評価要求に対して評価結果を返す。なお、調査がインターネットを用いたネットリサーチであり、調査者が専門のリサーチ業者である場合、調査者自身が組織化しているモニタ群を対象として調査を実行可能であるため、調査期間やコストの短縮といった好ましい効果が得られる。ただし、調査はネットリサーチに限定されない。本発明は、紙のアンケート、電話でのアンケート、対面でのアンケートなど、ネットリサーチ以外の様々な手法で収集された回答を解析する場合にも適用可能である。
【0018】
<システム構成>
本実施形態のシステム構成について、図1を参照しながら説明する。本実施例の調査システム1は、調査者が評価者3に対してアンケートを行うための情報処理システムである。調査システム1は、調査者が使用するサーバ4と、評価者3が使用する端末2を少なく
とも備える。操作者8は、調査者であるリサーチ業者に属し、サーバ4を操作してアンケートに関する業務を行う者であり、アンケートの設計や実施、評価者3から受信した回答に含まれる評価結果の分析などに従事する。サーバ4と端末2は、Web6や専用回線等を介して相互に通信可能である。
【0019】
調査者は、評価者3に対してメールやプッシュ通知などの連絡方法でアンケートへの参加を要請する。評価者3が端末2のブラウザや専用アプリを用いてサーバ4にアクセスすることにより、アンケートが開始される。なお、本番のアンケートの前に予備的なアンケートを行い、調査目的に沿った属性を持つ複数の評価者3からなる評価者群を決定し、アンケートの割り付け条件を満たすようにしてもよい。
【0020】
端末2は、評価者3にアンケートを表示するための画像表示手段21と、評価者3が評価結果を入力するための入力手段22と、装置の動作を制御する制御手段23と、通信を行う通信手段24を少なくとも備える。端末2としては、制御手段23としてのCPUなどのプロセッサ、メモリなどの記憶手段、通信手段などを備え、プログラムの指示や評価者3からの操作入力に従って動作する、PC、ワークステーション、スマートフォン、タブレットデバイスなどの情報処理装置が好適である。端末2がPCやワークステーションの場合、画像表示手段21として液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどの表示装置を利用でき、入力手段22としてキーボードやマウスなどの入力インターフェースを利用できる。また、端末2がタッチパネル式のスマートフォンやタブレットデバイスの場合、タッチパネルが画像表示手段21と入力手段22を兼ねていてもよい。
【0021】
サーバ4は、Web6を介して端末2にアンケートを送信し、評価者3による評価結果を収集、分析するための情報処理装置である。サーバ4は、操作者8がアンケートの設定、実行および解析を行う際のインターフェースである画像表示手段41(表示部)および入力手段42と、装置の動作を制御する制御手段43と、通信を行う通信手段44を少なくとも備える。サーバ4としては、制御手段43としてのCPUなどのプロセッサ、メモリなどの記憶手段、通信手段などを備え、プログラムの指示や操作者8からの操作入力に従って動作する、PCやワークステーションなどの情報処理装置が好適である。なお、サーバ4は必ずしも単一の情報処理装置で構成されていなくてもよく、複数の情報処理装置を組み合わせてサーバの機能を実現してもよい。また、サーバ4はクラウド上の演算資源を用いるものでもよい。制御手段43がプログラムの機能を実行することにより、調査方法が実行される。
【0022】
サーバ4は、データベース45と通信可能に接続されている。データベース45は、本実施例の調査方法に用いられるデータを記憶する。データベース45として例えば、ハードディスクやフラッシュメモリ等の記憶媒体を備える記憶装置が用いられる。データベース45の物理的な構成や配置には特に限定は無く、オンプレミス方式またはクラウド方式のいずれを採用してもよい。本実施例のデータベース45は関係データベースとし、少なくとも、評価者3に関する評価者情報を記憶する評価者テーブル451、アンケートに含まれる質問に関する質問情報を保持する質問テーブル452、評価者から得られた評価結果に関する評価結果情報を保持する評価結果テーブル453を含む。好ましくは、評価結果に基づいてサーバ4が実施した分析結果を記憶するための分析結果テーブル454を含む。
【0023】
<処理フロー>
続いて、本実施例の処理の流れを説明する。図2は処理フロー図であり、各ステップは基本的にはサーバ4の各機能ブロックにより実行される。図3は、サーバ4における機能ブロック図であり、図中で「…部」と表記される各機能ブロックは、制御手段43がプログラムの指令や操作者8の指示入力に従い動作することで実現される。各機能ブロックは
、例えばCPUに読み込まれて入力情報に対して情報処理を行うプログラムモジュールとして構成されてもよい。
【0024】
本フローは、操作者8が、データベース45の評価者テーブル451を参照し、評価者候補からアンケートの条件に合う評価者3を決定した時点から開始される。例えば、調査者が保持する評価者候補の属性に基づいて評価者3を決定してもよく、事前アンケートを行って評価者3を絞り込んでもよい。
【0025】
まず、ステップS1において、アンケート設定部405が、質問文などからなるアンケートの設定を行い、質問テーブル452に保存する。アンケート設定部は、操作者8による必要情報の入力に従い、サーバ4や端末2での処理に適した形式のアンケートを設定する機能ブロックである。図4(a)を用いて、本実施例のアンケートについて説明する。アンケートの要素には、アンケートを特定するためのアンケートID、アンケート中の質問を特定するための質問ID、質問の種別を特定するための質問種別、および、評価者3に表示される質問文、が含まれる。ここで、質問ID=0002の質問種別は「11段階・選択式の推奨度評価」となっている。これは、評価対象を家族、友人、知人などに薦めるかどうかを、0点~10点までの11段階で回答させるタイプの質問であることを意味する。なお、質問ID=0001に示したように、予め評価対象の認知の有無を問う質問を行い、認知している評価者3のみ段階式評価を行わせるようにしてもよい。また、質問ID=0003に示したように、さらに自由回答式の質問を行ってもよい。
【0026】
ステップS2において、アンケート実施部410が評価者3の端末2にアンケートを送信する。具体的には、評価者3ごとに定まった所定の連絡手段によって、質問テーブル452が保持するアンケートを送信する。連絡手段は、メール形式、Web形式、専用アプリ形式など任意である。アンケート実施部410は、設定されたアンケート情報に基づいて端末2との通信やデータの保存などを行う機能ブロックである。
【0027】
端末2の制御手段23は、質問種別に応じた形式で、画像表示手段21に質問を表示する。図4(b)は、質問ID=0002が画像表示手段21に表示された様子である。本実施例ではタッチパネル式の端末2を用いるので、画像表示手段21が入力手段22を兼ねている。画像表示手段21には、質問表示欄501、段階表示欄502、および、入力欄503が表示されている。評価者3は、質問表示欄501に表示された質問文を読むと、所定数の11段階の選択肢の中から自分の意図に沿ったものを選択し、入力欄503をタップする。図示例では、推奨度が高いことを意味する「10」が選択されている。評価者3が全ての質問IDへの回答を終えた後、端末2の通信手段24が回答をサーバ4に送信する。
【0028】
ステップS3において、サーバ4の通信手段44は、取得部として、端末2の通信手段24から回答を受信する。本実施例の回答には、質問ID=0002として、段階的な評価結果を含む回答が含まれている。そこでアンケート実施部453は、受信した評価結果を評価結果テーブル453に保存する。複数の評価者3ごとに取得される複数の評価結果は、図5(a)に示すようにテーブルに保存されている。なお、ここでは説明の簡略化のために省いているが、データベース45に、評価結果テーブル453ではなく回答テーブルを作成しておき、上記の質問ID=0002以外の質問への回答を合わせて保存してもよい。
【0029】
ステップS4において、機能ブロックとしての分類部415は、評価結果テーブル453のデータを参照して評価結果を分類する。具体的には、0~10点の11段階の評価のうち、高評価(9、10点)を与えた評価者3を推奨者(第1のグループ)とし、中程度の評価(7~8点)を与えた評価者3を中立者(第2のグループ)とし、低評価(0~6
点)を与えた評価者を批判者(第3のグループ)とする。続いて分類部415は、評価結果の総数に対する各分類の比率を算出する。図5(b)は、分類部415の分類結果を示すテーブルである。本実施例では、評価者3の総数は100人とし、推奨者、中立者および批判者の数はそれぞれ20人、30人および50人であったとする。この場合の比率はそれぞれ、20%、30%および50%である。
【0030】
ステップS5において、機能ブロックとしての第1の算出部420は第1の算出処理を行う。具体的には、第1の算出部420は、推奨者に属する評価結果の数と、中立者に属する評価結果の数の和を算出して、第1の和とする。そして、評価結果の総数に対する第1の和の比率を算出して、第1の比率とする。図5(b)の例では、総数100人、推奨者20人、中立者30人であるので、第1の和は50人となり、第1の比率は50%となる。ここで、推奨者は評価対象を積極的に評価し推奨する者であり、中立者は評価対象への不満を特に有しない者だと言うことができる。よって、推奨者と中立者を合わせて「満足者」と呼び、第1の和を「満足者数」と呼ぶことができる。また、第1の比率は評価者の総数における満足者の割合を示すことから、「満足者充足率」と呼ぶことができる。満足者充足率は、評価対象となる製品やサービスについて、ユーザのうちどの程度が満足しているかを示しており、製品等に対する基本的な満足度を表す指標として利用できる。
【0031】
ステップS6において、機能ブロックとしての第2の算出部425は第2の算出処理を行う。具体的には、第2の算出部425は、上記の「満足者」の数に対する推奨者数の比率を算出して、第2の比率とする。図5(b)の例では、満足者50人、推奨者20人であるので、第2の比率は40%となる。この第2の比率は、満足者の中でも、特に評価の度合いが高い推奨者の割合がどの程度かを示すことから、「推奨者充足率」と呼ぶことができる。推奨者充足率は、評価対象に満足しているユーザのうちどの程度を「ファン化」しているかを表す指標として利用できる。
【0032】
ステップS7において、機能ブロックとしての第3の算出部430は第3の算出処理を行う。具体的には、第3の算出部430は、評価結果の総数に対する満足者の数の比率から、評価結果の総数に対する批判者の数の比率を減算して、推奨度指標を算出する。この推奨度指標は、従来技術の説明で述べた従来の指標に相当する。図5(b)の例では、満足者の比率が20%、批判者の比率が50%であることから、推奨度指標は「-30」となる。
【0033】
ここで、後の説明で参照するために、図6に、複数の評価対象に対して上記のステップS5~S7を適用して、満足者充足率、推奨者充足率および推奨度指標を算出した結果の一覧表を示す。この例では、15個の評価対象(ID=0001~0015)について算出が行われたものとする。図7(a)はこの一覧表を、縦軸(第1の軸)を満足者充足率、横軸(第2の軸)を推奨者充足率とした表にプロットしたものである。図6の表と図7(a)のプロットに共通する丸数字1~5は、同一の評価対象であることを示している。
【0034】
ステップS8において、機能ブロックとしてのグラフ生成部435が、後続処理でグラフを表示するために必要な情報を準備する。具体的には、図7(a)のグラフに指標閾値線520(第1の線)と、推奨者閾値線521(第2の線)が表示されるために必要なデータを生成する。
【0035】
ここで、指標閾値線520は、推奨度指標が所定の値(ここでは0)になるような線である。図6において推奨度指標が0である4つの評価対象(ID=0005,0006,0007,0012)は、図7(a)において指標閾値線520に重なっている。推奨度指標がプラスの値になるデータは指標閾値線520よりも上側にプロットされ、マイナスの値になるデータは指標閾値線520よりも下側にプロットされる。また、推奨者閾値線
521は、推奨者の比率が所定の比率(ここでは全体の2割)となるような線である。図6において推奨者の比率が20%である3つの評価対象(ID=0003,0012,0014)は、図7(a)において推奨者閾値線521に重なっている。推奨者比率が全体の2割を超えるデータは推奨者閾値線521より上側にプロットされ、2割を下回るデータは推奨者閾値線521より下側にプロットされる。推奨者閾値線521は、パレートの法則にちなんでパレート線と呼ぶ場合もある。
【0036】
ステップS9において、機能ブロックとしての表示出力部440が、グラフ情報と評価対象の算出データに基づいて、データがプロットされ、かつ必要情報が掲示されたグラフを、画像表示手段41に表示する。図7(b)はグラフの一例であり、丸数字1(評価対象ID=0009)がプロットされるとともに、領域識別情報が表示されている。ここでは分かりやすく領域を塗り分けているが、ユーザが領域を識別できるのであればこの方法に限定されない。
【0037】
以下、グラフを理解するための領域識別情報について説明する。グラフは、図7(b)のように、(1)~(5)の5つの領域に区分されている。なお、境界線の真上にプロットされる評価対象は、どちらの領域に含んでも差し支えないが、ここでは便宜上、グラフで上側の領域に含まれるものとする。なお、推奨者閾値線521に関する「下側」という用語は、推奨者閾値線521を延長したときに下側に来る領域も含むものとする。具体的には、図7(b)における(2)や(4)のように、紙面では推奨者閾値線521の左側に位置する領域のことも、「下側」と表現する。
【0038】
(1)高ロイヤルゾーン:指標閾値線520よりも上側、かつ、推奨者閾値線521よりも上側の領域である。これは、推奨度指標がプラス、かつ、評価者の2割以上が推奨者であることを意味する。この領域にプロットされる評価対象は、ユーザのロイヤル化に成功していると考えられる。
【0039】
(2)リスクロイヤルゾーン:指標閾値線520よりも上側だが、推奨者閾値線521よりも下側の領域である。この領域にプロットされる評価対象は、批判者の比率が低いために推奨度指標はプラスになっているものの、推奨者の比率も低く、多くの中立者によって支えられている。そのため、きっかけ次第で評価が落ち込むリスクを孕んでいる。
【0040】
(3)ロイヤルゾーン:指標閾値線520よりも下側、かつ、推奨者閾値線521よりも上側の領域である。この領域にプロットされる評価対象は、推奨者より批判者が多いことから推奨度指標はマイナスであるものの、推奨者の数自体は比較的多く、一定のロイヤリティを確立していると言える。
【0041】
(4)一般ゾーン:指標閾値線520よりも下側、かつ、推奨者閾値線521よりも下側、かつ、満足度充足率が50%以上の領域である。この領域にプロットされる評価対象は、一定の満足者は有しているものの、ユーザの大半は中立者であり、強く推奨も批判もされていない。そのため、中立者をファン化する施策が必要とされる領域である。なお、満足度充足率の50%という値は一例であり、調査に応じた比率(第2の所定の比率)を定めればよい。この、満足度充足率が所定の充足率であることを示す線を、第3の線とも呼ぶ。
【0042】
(5)低評価ゾーン:推奨者閾値線521よりも下側、かつ、満足度充足率が50%未満の領域である。この領域にプロットされる評価対象は、推奨者が少なく批判者が多い状態であるため、まずは批判者の減少のための施策が必要とされる。
【0043】
<利用例>
ユーザが上記のグラフを利用して評価対象のブランドイメージや顧客満足度等を改善するための施策を検討する方法を説明する。ここで、発明者の検討によれば、「批判者」「中立者」「推奨者」の比率が改善する際の流れには、一定の傾向があることが分かった。
【0044】
図8(a)は、同じ製品・サービスカテゴリに属する複数の評価対象A~Nについて、「批判者」「中立者」「推奨者」の比率を算出して並べたグラフである。評価対象A~Nは、左から右に、推奨度指標の低い順に並んでいる。ここで「批判者」「中立者」「推奨者」の構成比の内訳を見ると、推奨度指標が低いものほど批判者が多く、中立者や推奨者が少ない。この事実に鑑み、発明者は、推奨度指標が改善していくときには、以下の矢印A1~A3の順に構成比が変わって行く、という仮説を立てた。
(A1)批判者が減少する
(A2)中立者が増加する
(A3)推奨者が増加する
【0045】
このような傾向を踏まえると、推奨度指標を(5)低評価ゾーンから改善するためには、まず批判者を減少させる、換言すると「中立者+推奨者」で表される満足者充足率を向上させる必要がある。この変化は、図8(b)の矢印「STEP1」のような、(5)低評価ゾーンから(4)一般ゾーンへの変化に相当し、これを実現するためには満足者の比率を50%以上とする必要がある。したがって、ユーザが批判者となる原因になっている不満点を改善する必要がある。
【0046】
続いて、ユーザのファン化を進めて推奨者を増加させる、換言すると、満足者中の推奨者の割合を増加させる必要がある。この変化は、矢印「STEP2」のような、(3)ロイヤルゾーンへの変化に相当する。さらに改善が進むと、矢印「STEP3」のような、(1)高ロイヤルゾーンへの変化が達成される。これらの段階においても、図8(b)のグラフは効果的な改善施策を検討する上で参考になる。一例として、図8(b)の丸数字6と丸数字7、それぞれについての改善施策を検討する。丸数字6の方は、既に満足者充足率が7割を超えており、さらに向上を図ろうとしても費用対効果が低くなるおそれがある。そのため、推奨者の増加を目指すことが好ましい。また、丸数字7の方は、推奨者充足率が既に高いため、満足者の比率を高める施策を行うことが好ましい。
【0047】
上記のSTEP1~STEP3をまとめると、批判者が多い段階から出発したのち、まずは中立者が多い段階を目標として施策を打つ。その後、既存のユーザとの関係を強化してファンを増加させる。このように、本実施例によれば、自身の製品やサービスの現状や改善の進捗状況が明確に把握できるとともに、現状に応じて為すべき改善施策が明らかになる。なお、サーバ4は、グラフのプロットと表示を行うだけでなく、評価対象についてSTEP1~STEP3のような分析をおこなってもよい。その分析結果を、画像表示手段41に表示したり、分析結果テーブル454に保存したりすることで、ユーザの利用に役立てることができる。
【0048】
(効果)
上述したように、従来の推奨度指標のみを用いた評価結果には様々な課題があった。すなわち、第1に、指標としてマイナスの数値が算出される場合が多くなり、誤った先入観を与えるおそれがあること、第2に、評価指標が尺度や単位を持たない数値として示されるため、その数値の解釈が困難であること、第3に、評価指標の値を高めるための具体的な施策が分からないということである。
【0049】
一方、本実施例では、推奨者充足率や満足者充足率を軸に取ったグラフに、推奨度指標や推奨者比率に基づく補助的な線を配置した上で、評価対象をプロットしている。これにより、評価対象の表面的なプラス/マイナスに左右されない客観的な分析が可能になる。
また、上述したように領域(1)~(5)それぞれの性質が明確になっているので、単に値を見るだけにとどまらず、評価対象の現在位置を容易に理解できるようになる。さらに、ユーザが現在のブランドイメージや顧客満足度を直感的に理解し、どのような施策を行うべきかの検討がしやすくなる。例えば、プロット位置を指標閾値線520と比較することで、現在の推奨度指標と目標値との乖離を把握でき、推奨度指標をプラスにする(あるいは目標値に近づける)ための施策を検討しやすくなる。
【0050】
以上より、本実施例の手法によれば、単なる数値が示されるだけであった従来の推奨度指標の分析とは異なり、現状分析や、改善の方向性の発見が可能になる。さらに、本実施例の手法は、従来の推奨度指標と同様のアンケートで得られるデータを用いて実施可能であるため、従来の知識や分析結果を利用しつつ、新たなデータ活用を行い、知見を加えることができる。
【0051】
なお、各算出処理やグラフ表示における各パラメータは、上記の実施例に限定されるものではない。例えば段階的評価の段階数、評価の点数を元に推奨者、中立者および批判者を分類するときの境界値、指標閾値線520を引く際の推奨度指標、推奨者閾値線521を引く際の推奨者の比率などは、適宜変更可能である。
【0052】
[実施例2]
続いて本発明の実施例2について説明する。実施例1と同様の部分については、同じ符号を付して説明を簡略化する。本実施例では、推奨者充足率および満足者充足率を算出する点は実施例1と同様であり、グラフ表示における境界線の引き方と、領域の区分の仕方が異なる。具体的には、グラフにおいて指標閾値線520と、満足者充足率が50%となる線(上記第3の線)と、推奨者充足率が50%となる線(第4の線)と、による区分を行う。なお、第4の線の基準となる第3の所定の比率は、50%に限定されない。以下、各領域の説明を行う。
【0053】
(1)高ロイヤルゾーン:指標閾値線520よりも上側、かつ、推奨者満足率が50%以上(第4の線の右側)の領域である。これは、ユーザの半分以上が満足しており、さらにその半分以上が高い推奨意識を持っていることを意味する。この領域にプロットされる評価対象は、ユーザのロイヤル化に成功していると考えられる。
【0054】
(2)満足ゾーン:指標閾値線520よりも上側、かつ、推奨者満足率が50%未満(第4の線の左側)の領域である。これは、ユーザの半分以上が満足しているが、推奨意識が低いことを意味する。この領域にプロットされる評価対象は、批判者が少ないことから推奨度指標はプラスとなるが、ファンの醸成にまでは至っておらず、品質の低下や強豪の登場により指標がマイナスになるおそれがある。
【0055】
(3)準ロイヤルゾーン:指標閾値線520よりも下側、かつ、推奨者満足率が50%以上の領域である。これは、ユーザの半分以上が満足しており、一定数の推奨者も存在することを意味する。この領域にプロットされる評価対象は、高ロイヤルゾーンに近い位置にいると考えられる。
【0056】
(4)一般ゾーン:指標閾値線520よりも下側、かつ、推奨者満足率が50%未満、かつ、満足者充足率が50%以上の領域である。これは、ユーザの半分以上が満足しているが、推奨者の数は少ないことを意味する。この領域にプロットされる評価対象は、ユーザを単なる満足者からファン化することが求められる。
【0057】
(5)ニッチゾーン:満足者充足率が50%未満、かつ、推奨者満足率が50%以上の領域である。これは、満足者はユーザの半分未満だが、一定のファン層を獲得しているこ
とを意味する。この領域にプロットされる評価対象は、戦略的にこのゾーンにとどまることも考えられる。
【0058】
(6)低評価ゾーン:満足者充足率と推奨者充足率がいずれも50%未満の領域である。この領域にプロットされる評価対象は、早急に満足者を獲得する必要がある。
【0059】
(効果)
本実施例のような分類手法によっても、従来とどうようのアンケートを利用しつつ、従来の推奨度指標のみを用いた評価結果とは異なり、単に数値を見るだけではない分析が可能となり、改善の方向性の示唆を見つけることが可能になる。
【0060】
(変形例)
なお、満足者充足率や推奨者充足率を用いたグラフにより評価対象を分析するものであれば、どのような領域を設定するかは調査の目的、規模、対象に応じて適宜決定すればよく、実施例1や実施例2の方法には限られない。例えば、プロットがグラフの4つの象限の何れにあるかを基準としてもよい。プロットが第1象限(右上)にある場合、満足者が過半数、かつ、満足者の半分以上がファンであることを意味するので、評価対象が高ロイヤルであると判断することができる。
【0061】
[実施例3]
続いて本発明の実施例3について説明する。実施例1、2と同様の部分については、同じ符号を付して説明を簡略化する。本実施例では、実施例1とは異なる指標閾値線520を用いる例について説明する。
【0062】
上記各実施例では、指標閾値線520として、推奨度指標=0となるような線を用いた。本実施例では、複数の推奨度指標に対応する複数の指標閾値線520を用いて分析と改善施策を行う。図10は本実施例で表示されるグラフの例であり、複数の指標閾値線520a~520kが含まれている(ここでは11本)。指標閾値線520aは、推奨度指標=-50となるような線である。以下、推奨度指標が10ずつ増加していき、指標閾値線520fでは実施例1と同じく、推奨度指標=0である。そして、指標閾値線520kでは推奨度指標=50である。
【0063】
ここで、推奨度指標の平均的な値は製品、サービスやブランドのカテゴリにより様々である。また上述したように、マイナスの値を取る場合が多いため、値を0とすることを目標とすると現実と乖離する場合がある。そこで本実施例では、等高線状に複数の指標閾値線520を設けることにより、製品やサービスに応じた適切な目標を設定可能としている。また、複数の指標閾値線を使い分けることで、改善施策を柔軟に変更できるようになる。例えば図10の例では、現状では、製品Aは指標閾値線520b(推奨度指標=ー40)の上に位置している。この状態からいきなり推奨度指標=0とすることを目指すのは困難であり、適切な施策を策定できない。そこでまず、指標閾値線520d(推奨度指標=-20)とすることを目指すこととし、そのために必要な推奨者充足率および満足者充足率の改善ポイント数を算出すればよい。
【0064】
本実施例によれば、現状に合わせた目標設定や施策の方針立案が可能となる。なお、線の数や間隔は任意である。また、実施例1や2でグラフを領域分割する際の指標閾値線520についても、必ずしも推奨度指標=0でなくてもよく、製品、サービスやブランドのカテゴリに応じた適切な値を用いてもよい。
【符号の説明】
【0065】
4:サーバ、41:画像表示手段、43:制御手段、415:分類部、420:第1の
算出部、425:第2の算出部、430:第3の算出部、435:グラフ生成部、440:表示出力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10