(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023016145
(43)【公開日】2023-02-02
(54)【発明の名称】波形隔壁タンク上部スツール内配管構造
(51)【国際特許分類】
B63B 25/08 20060101AFI20230126BHJP
B63B 11/02 20060101ALI20230126BHJP
B63B 3/60 20060101ALI20230126BHJP
B63J 4/00 20060101ALI20230126BHJP
【FI】
B63B25/08 B
B63B11/02
B63B3/60
B63J4/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021120262
(22)【出願日】2021-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】000146814
【氏名又は名称】株式会社新来島どっく
(74)【代理人】
【識別番号】100090044
【弁理士】
【氏名又は名称】大滝 均
(72)【発明者】
【氏名】村上 透
(72)【発明者】
【氏名】津田 真依
(57)【要約】
【課題】
計装管及び計装管サポートが日光や海水に晒されることのない波形隔壁タンク上部スツール内配管構造を提供する。また、計装管及び計装管サポート設置にブロック工事を適用した波形隔壁タンク上部スツール内配管構造を提供する。
【解決手段】
波形隔壁タンク上部スツール内に各タンクへの貨物を移送する計装管及び計装管サポートが配設された波形隔壁タンク上部スツール内配管構造。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
波形隔壁タンク上部スツール内に各タンクへの貨物を移送する計装管及び計装管サポートが配設されたことを特徴とする波形隔壁タンク上部スツール内配管構造。
【請求項2】
計装管及び計装管サポートは、船首近傍の計装機器から波形隔壁タンク上部スツール内を通って船底パイプダクト内の遠隔操作バルブまで導設された計装管及び計装管サポートであることを特徴とする請求項1に記載の波形隔壁タンク上部スツール内配管構造。
【請求項3】
波形隔壁タンク上部スツール内配管構造が、上部スツール天板又は暴露甲板の吊り下げ構造であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の波形隔壁タンク上部スツール内配管構造。
【請求項4】
波形隔壁タンク上部スツール内配管構造が、陸上工場におけるブロック工事において、下方位置で管導設され、ブロック上下反転後の波形隔壁タンク上部スツール内に位置する波形隔壁タンク上部スツール内配管構造であることを特徴とする請求項1又は請求項3のいずれかに記載の波形隔壁タンク上部スツール内配管構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンカーの波形隔壁タンクの上部スツール内配管構造に関する。
【背景技術】
【0002】
タンカー等の船舶においては、積荷のバランスや多種多様の貨物輸送等のため複数の貨物倉に区分けされ、各貨物倉の間は波形隔壁で仕切られている。各波形隔壁を船体内で立設するために波形隔壁の上下にはスツールと称される構造物で支えられている。
【0003】
本願出願人は、この種の波形隔壁の上部スツールについて、特開2021-49854号公報の開示を既に提案している。特開2021-49854号公報の開示は、発明名称「タンカーの上部スツール配置構造」に係り、「・・・積荷変更の場合にも、残留液(積荷滓)がスツールトップに滞留することがなく、カーゴタンク洗浄の際にスツールトップに登ることなく作業することが可能となるタンカーの上部スツール配置構造を提供せんとする」発明解決課題ににおいて(同公報明細書段落番号0010参照)、「タンカーのカーゴタンク天井部に接合配置され、カーゴタンクを複数に仕切る縦波形隔壁及び/又は横波形隔壁を吊り下げ固定する上部縦スツール及び/又は上部横スツールとを有することを特徴とする」構成とすることにより(同公報特許請求の範囲請求項1の記載等参照)、「・・タンカーの積荷変更の場合にも、積荷滓がスツールトップに残留することがなく、カーゴタンク洗浄の際にスツールトップに登ることなく作業することが可能となる。・・構造上、タンクトップに段差がないため、タンククリーニング作業における負荷低減に寄与する」等の効果を奏するものである(同公報明細書段落番号0012参照)。
【0004】
図6は、特開2021-49854号公報に
図1として添付される開示発明に係るタンカーの上部スツール配置構造の実施例1のタンカーのカーゴタンクの波形隔壁の交差部の概略を示す図であり、
図6(a)は、船体横方向(船幅方向)断面概略図、
図6(b)は、同船体縦方向(船長横行)側断面図、
図6(c)は、交差部を上方向から見た平断面図である。
図6において、符号101は、開示発明の実施例1に係るタンカーの上部スツール配置構造、102aは、波形縦隔壁、102bは、波形横隔壁、103aは、上部縦スツーツ、103bは、上部横スツール、104a、104bは、カーゴタンク(貨物倉)、105は、タンクトップ、106は、バラストタンクである(符号は、先行技術であることを明らかにするために、本願出願人において、3桁に変更して説明した。)
【0005】
また、船舶の上部スツール内の配管構造に関しては、例えば、特開2018ー86951号公報に開示のものが知られている。特開2018ー86951号公報の開示は、発明名称「ビルジ排出促進パイプ」に係り、「・・・ホールドの容積に対する鉄鉱石の積載量が大きい鉱石専用船に用いて好適なビルジ排出促進パイプを提供する」ことを目的とする発明解決課題において(同公報明細書段落番号0010参照)、「積荷である鉄鉱石に含まれるビルジを、ビルジウェルに排出するビルジ排出促進パイプであって、順に接続された、船艙を複数の貨物艙に区分する隔壁を支持する下部スツール内に設けられた第1部分と、前記第1部分と接続され、前記隔壁に沿って鉛直に設けられ、側面に中空部分と連通する複数の穴を備える第2部分と、前記第2部分と接続され、前記隔壁を支持する上部スツール内に設けられ、前記第2部分と接続される端部と反対側の端部が、上部デッキに達する第3部分とを備え、前記第2部分が備える穴は、前記第1部分側から、少なくとも、前記積荷の上面よりも高い位置まで設けられる」構成とすることにより(同公報特許請求の範囲請求項1の記載参照)、「・・荷揚げ時に貨物艙内のビルジの排出作業が不要になる、もしくは軽減される」等の効果を奏するものである(同公報明細書段落番号0014参照)。
【0006】
図7は、特開2018ー86951号公報に
図1として添付されるビルジ排出促進パイプの模式図である。
図7において、符号310は、ビルジ排出促進パイプ、320は、第1部分、322、332、342は、第1端部、324、334、344は、第2端部、330は、第2部分、336は、中空部分、338は、穴、340は、第3部分、3100は、ホールド、3110は、ビルジウェル、3120は、下部スツール、3130は、隔壁、3140は、上部スツール、3200は、カーゴである(符号は、先行技術であることを明らかにするために、本願出願人において、3桁ないし4桁に変更して説明した。)。
上述するように、特開2021-49854号公報の開示は、いわば吊り下げ型上部スツール配置構造に関するものであり、また、特開2018ー86951号公報の開示は、上下スツール間にビルジ排出促進パイプ310を配置するというものである。
【0007】
図8、
図9、
図10は、本願出願人会社のタンカー暴露部(屋外)導設計装管の配設概略を示す図であり、
図8は、計装機器近傍の暴露導設概略図、
図9は、
図8の参照位置における船体断面図であり、
図8に示すタンカー暴露部導設計装管の固定状態の概略を円形拡大図で示している。また、
図10は、船底に配設される遠隔操作バルブ近傍の概略図である。
図8,
図9、
図10において、符号400は、タンカー暴露甲板、401a、401bは、貨物タンク、402は、タンカー暴露部(屋外)導設計装管(例えば、銅管、多芯管等)、403は、計装管402を固定するための受け台である計装管サポート、404は、ユニットバンド、405は、計装機器、406は、パイプダクト、407は、パイプダクト406内に配設される遠隔操作バルブである(符号は、先行技術であることを明らかにするために、400番代の3桁で説明した。)。
【0008】
図8,
図9、
図10から明らかなように、本願出願人会社のタンカー暴露部導設計装管402は、タンカー暴露甲板400上に配設されたユニットバンド404上の複数本の計装管402が計装管サポート403により固定され、船首側貨物タンク401の近傍に配設される計装機器405からタンカー暴露甲板400上のユニットバンド404上を船尾側の船底のパイプダクト406内に配設される遠隔操作バルブ407まで導設されるものであった。
【0009】
しかしながら、タンカー暴露部(屋外)導設計装管402は、暴露部を導設するため、日光や海水に晒される環境であり、計装管402及び計装管サポート403共に腐食しやすいという問題点があった。また、暴露部導設の計装管402については、工作上の施工性や完成後の見栄え、さらには、就航後の腐食対策等、いろいろな観点から懸念となることが多く、これらの問題点を解決するために、計装管サポート403の形状や配管方法、施工方法等を改善して苦労してきた。
【0010】
そこで、本願発明者は、2015年2月27日制定の鋼船規則CSR-B&T編の適用に伴い、型深さ16m以上の船舶については、甲板下に上部スツールを設けることが要求され(2020鋼船規則CSRーB&T編1編3章6節 10.4参照)、これを契機に、上部スツール内の空間の有効活用を検討しているうちに、タンカー等の貨物エリア401a、401bに配置される計装管402及び計装管サポート403について、上部スツール内に導設することを見い出した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2021-49854号公報
【特許文献2】特開2018ー86951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
波形隔壁タンク上部スツール内に計装管を配置することにより、計装管及び計装管サポートが日光や海水に晒されることのない波形隔壁タンク上部スツール内配管構造を提供することを目的とする。
また、波形隔壁タンクの上部スツール内への計装管及び計装管サポート設置において、ブロック工事を適用した波形隔壁タンク上部スツール内配管構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するために、本願請求項1に係る発明は、波形隔壁タンク上部スツール内配管構造において、波形隔壁タンク上部スツール内に各タンクへの貨物を移送する計装管及び計装管サポートが配設されたことを特徴とする。
また、本願請求項2に係る発明は、請求項1に記載の波形隔壁タンク上部スツール内配管構造において、計装管及び計装管サポートは、船首近傍の計装機器から波形隔壁タンク上部スツール内を通って船底パイプダクト内の遠隔操作バルブまで導設された計装管及び計装管サポートであることを特徴とする。
そして、本願請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載の波形隔壁タンク上部スツール内配管構造において、波形隔壁タンク上部スツール内配管構造が、上部スツール天板又は暴露甲板の吊り下げ構造であることを特徴とする。
さらに、本願請求項4に係る発明は、請求項1又は請求項3のいずれかに記載の波形隔壁タンク上部スツール内配管構造において、波形隔壁タンク上部スツール内配管構造は、陸上工場におけるブロック工事において、下方位置で導設され、ブロック上下反転後の波形隔壁タンク上部スツール内に位置する波形隔壁タンク上部スツール内配管構造であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
タンカーの波形隔壁で仕切られた貨物タンク401上の上部スツール内に計装管402等の配管及び計装管サポート403を導設することで、日光や海水に晒されなくなり、材料のグレードを下げてコストダウンができる。
なお、取付工事の施工性に関しては、ブロック段階での先行工事ができるように計装管サポート403形状を変更して現場取付作業の軽減にも寄与でき、また、設計変更等に柔軟に対応できるので、今後同様の構造をもつ船について水平展開することが可能であり、同様の効果が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本実施例1に係る波形隔壁タンクの上部スツール内配管構造の計装機器近傍の概略図である。
【
図2】
図2は、
図1の参照位置における本実施例1に係る波形隔壁タンクの上部スツール内配管構造の船体断面図である。
【
図3】
図3は、本実施例1に係る波形隔壁タンクの上部スツール内配管構造の船底に配設される遠隔操作バルブ近傍の概略図である。
【
図4】
図4(a)(b)(c)は、本実施例1に係る波形隔壁タンク上部スツール内配管構造1の上部スツール3内の吊り下げ配管構造の建造概略を示す図である。
【
図5】
図5(a)(b)(c)は、本実施例1に係る波形隔壁タンク上部スツール内配管構造1において使用する計装管サポート6の形状及び配置後のブロック工事において反転させて船体に設置する概略を示す図である。
【
図6】
図6は、特開2021-49854号公報に
図1として添付される開示発明に係るタンカーの上部スツール配置構造の実施例1のタンカーのカーゴタンクの波形隔壁の交差部の概略を示す図である。
【
図7】
図7は、特開2018ー86951号公報に
図1として添付されるビルジ排出促進パイプの模式図である。
【
図8】
図8は、本願出願人会社の従来のタンカー暴露部(屋外)導設計装管の計装機器近傍の暴露導設概略図である。
【
図10】
図10は、本願出願人会社の従来のタンカー暴露部(屋外)導設計装管の船底配設遠隔操作バルブ近傍の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る波形隔壁タンクの上部スツール内配管構造を実施するための一実施例を図面に基づき詳細に説明する。
【実施例0017】
図1、
図2、
図3は、本発明に係る波形隔壁タンクの上部スツール内配管構造の実施例1を示す概略図であり、上述する
図8、
図9、
図10に対応する。すなわち、
図1は、上述する
図8に対応する図であり、本実施例1に係る波形隔壁タンクの上部スツール内配管構造の計装機器近傍の概略図であり、
図2は、
図9に対応し、
図1の参照位置における本実施例1に係る波形隔壁タンクの上部スツール内配管構造の船体断面図であり、
図9と同様に波形隔壁タンク上部スツール内配管の固定状態の概略を円形拡大図で示している。また、
図3は、
図10に対応し、本実施例1に係る波形隔壁タンクの上部スツール内配管構造の船底に配設される遠隔操作バルブ近傍の概略図である。
【0018】
図1~
図3において、符号1は、本実施例1に係る波形隔壁タンクの上部スツール内配管構造、2は、タンカー暴露甲板、3は、波形隔壁タンクの上部スツール、4は、波形隔壁に仕切られた貨物タンク、5は、上部スツール3内に配置される計装管、6は、計装管5を吊り下げ配置する計装管サポート、7は、船底パイプダクト、8は、船底パイプダクト7内に配置される遠隔操作バルブである。
図1~
図3から明らかなように、本実施例1に係る波形隔壁タンクの上部スツール内配管構造1は、波形隔壁で仕切られた貨物タンク4、4・・の上部に設けられる上部スツール3内に船体縦方向に導設される波形隔壁タンクの上部スツール内配管構造であり、暴露甲板上で日光や海水に晒されない上部スツール3内に収容導設されていることが1つの特徴である。
【0019】
また、
図2の波形隔壁タンク上部スツール内配管の固定状態の概略を円形拡大図から明らかなように、本実施例1に係る波形隔壁タンク上部スツール内配管構造1は、いわゆる上部スツール3内の天板である甲板下に吊り下げ状態で固定される。
【0020】
このような上部スツール3内の天板である甲板下に吊り下げ配管構造は、当該上部スツール3についてブロック建造(ブロック工事)により容易に可能となる。
図4(a)(b)(c)は、本実施例1に係る波形隔壁タンク上部スツール内配管構造1の上部スツール3内の吊り下げ配管構造の建造概略を示す図であり、
図4(a)は、ブロック建造の際の工場での配管工事の概略を示す拡大概略図であり、
図4(b)は、ブロック建造後、上下反転させて上部スツール3が船体上方向に設置された概略を示す船体断面図であり、
図4(c)は、上下反転させた際の上部スツール3内において、本実施例1に係る波形隔壁タンク上部スツール内配管構造1が、上部スツール3の天板又は暴露甲板2の下に吊り下げられる、いわゆる「吊り下げ構造」で導設されることを特徴とする。
図4(a)(b)(c)において、符号は、
図1~
図3で説明した部材を同じ符号で示し、その詳しい説明は省略する。
【0021】
図4(a)~(c)に示すように、本実施例1に係る波形隔壁タンク上部スツール内配管構造1を上部スツール3内における吊り下げ構造としたことが1つの特徴である。しかしながら,本実施例1に係る波形隔壁タンク上部スツール内配管構造1については、上部スツール3内において、吊り下げ構造に限るものではない。上部スツール3内での導設であれば、上部スツール3の床部分や側壁部分に固定されることを妨げるものではない。
要は,本実施例1に係る波形隔壁タンク上部スツール内配管構造1は、ブロック工事に親和性があり、内部配管構造としても、その取付工事等の施工性に関しては、ブロック段階での先行工事ができ、作業性がことさら劣るものではないことを意味する。
また、計装管サポート6の形状等について工夫することにより、既に、波形隔壁タンク上部スツール3を有する船についても、後付けの変更が容易であることを意味する。
【0022】
次に,本実施例1に係る波形隔壁タンク上部スツール3内配管構造1について、計装管5の設置のブロック工事を行う際の計装管サポート6について説明する。
本実施例1に係る波形隔壁タンク上部スツール3内配管構造1に使用する計装管サポート6は、ブロック建造(ブロック工事)で使用されることを前提としている。
【0023】
図5(a)(b)(c)は、本実施例1に係る波形隔壁タンク上部スツール3内配管構造1において使用する計装管サポート6の形状及び配置後のブロック工事において反転させて船体に設置する概略を示す図である。
図5(a)(b)(c)において、符号6は、計装管サポート、6a1、6a2は、計装管サポート外枠、6bは、計装管受けサポート、6cは、計装管押さえ板、6d1、6d2は、外枠6a1、6a2間の上板に開けられたボルト穴、6e1、6e2は、6c計装管受けサポート両端のボルト、6f1,6f2は、ナットである。
【0024】
図5(a)に示すように,上下を逆にして工事が進められる上部スツール3のブロック工事において、当該計装管サポート6は、コの字状の外枠6a1、6a2の下を開口してその間に両端のボルト6e1、6e2を上向きにしてその上に設置すべき複数の計装管5を配置する。しかる後、
図5(b)に示すように、両端のボルト6e1、6e2をボルト穴6d1、6d2に挿通してナット6f1、6f2で締めて計装管5を吊り下げる。
【0025】
さらに,
図4(b)に示すように、ブロック工事の最終で上部スツール3が船体の上部に位置するように反転させて,最終的に複数の計装管5が上部スツール3内で吊り下げ状態で配置される。
図5(c)はその状態を示している。
図5(a)(b)(c)に示すようなブロック工事とすることにより、コルゲート構造(波形隔壁構造)で型深さ16m以上の船については、上部スツール3の設置が要求されるようになったことに伴い(鋼船規則CSR-B&T編)、従来では暴露部に配管していた計装管用のサポート6に腐食対策として高価なステンレス鋼材を使用していたが、上部スツール3内に移設することで海水等からの腐食対策が不要となり、サポート材を安価な材料に変えることができるようになり、また、その設置作業においても、ブロック工事により、作業性の軽減にも寄与することが知れる。
【0026】
このことは、計装管サポート6の部材に限らず、複数本の計装管5自体についても、海水等からの腐食対策が不要となり、新区画の上部スツール3を配管5のスペースとして利用したので、暴露に設置していた配管・サポートを腐食しづらい環境に設置できるようになる。
さらに、これは、配管5が暴露に露出することなく上部スツール3内に廃止されるので、腐食の懸念から解放されると共に、船体外観上の見栄えからも改善することができ、材質の見直しによるコストメリットも出すことができることとなる。
【0027】
特に、計装管5の暴露配置においては、配管用開口のサイズや導設位置の決定の段階では構造設計や現場との摺り合わせに時間がとられ作業性が悪かったが、ブロック工事とすることで、ブロック段階での先行工事ができるように計装管サポート6の形状を変更し、ブロック工事において計装管5及び計装管サポート6の設置を完結できるようにしたので、現場取付作業の軽減にも寄与でき、この点でも作業性の改善が著しい。
計装管及び計装管サポートは、船首近傍の計装機器から波形隔壁タンク上部スツール内を通って船底パイプダクト内の遠隔操作バルブまで導設された計装管及び計装管サポートであることを特徴とする請求項1に記載の波形隔壁タンク上部スツール内配管構造。
波形隔壁タンク上部スツール内配管構造が、陸上工場におけるブロック工事において、下方位置で管導設され、ブロック上下反転後の波形隔壁タンク上部スツール内に位置する波形隔壁タンク上部スツール内配管構造であることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の波形隔壁タンク上部スツール内配管構造。