(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161453
(43)【公開日】2023-11-07
(54)【発明の名称】水素発生装置及び水素発生システム
(51)【国際特許分類】
C01B 3/04 20060101AFI20231030BHJP
【FI】
C01B3/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022071865
(22)【出願日】2022-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】000004743
【氏名又は名称】日本軽金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大久保 学
(72)【発明者】
【氏名】太田 裕二
(57)【要約】
【課題】触媒を用いることなく水素を生成可能な水素発生装置を提供する。
【解決手段】水素化ホウ素ナトリウム粉末から水素を発生させる水素発生装置であり、移動可能な搬送面を備える搬送部と、前記搬送面に前記水素化ホウ素ナトリウム粉末を供給する粉末供給部と、前記搬送面に水を供給する水供給部と、を備え、前記搬送部は、前記搬送面に前記水素化ホウ素ナトリウム粉末が供給される領域である粉末供給領域と、前記搬送面に前記水が供給される領域である反応領域と、を有し、前記搬送部は、前記搬送面に供給された前記水素化ホウ素ナトリウム粉末を、前記粉末供給領域から前記反応領域まで搬送し、前記反応領域で生成した副生成物を、前記反応領域から搬送する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素化ホウ素ナトリウム粉末から水素を発生させる水素発生装置であり、
移動可能な搬送面を備える搬送部と、
前記搬送面に前記水素化ホウ素ナトリウム粉末を供給する粉末供給部と、
前記搬送面に水を供給する水供給部と、
を備え、
前記搬送部は、前記搬送面に前記水素化ホウ素ナトリウム粉末が供給される領域である粉末供給領域と、前記搬送面に前記水が供給される領域である反応領域と、を有し、
前記搬送部は、前記搬送面に供給された前記水素化ホウ素ナトリウム粉末を、前記粉末供給領域から前記反応領域まで搬送し、前記反応領域で生成した副生成物を、前記反応領域から搬送する、水素発生装置。
【請求項2】
前記搬送面は、移動方向について循環するように設けられる、請求項1に記載の水素発生装置。
【請求項3】
前記搬送面から前記副生成物を除去するスクレーパをさらに備え、
前記スクレーパは、前記反応領域に対して前記搬送面の移動方向にある前記搬送面と接するように設けられる、請求項1又は2に記載の水素発生装置。
【請求項4】
前記水供給部が供給する水のpHは、9.0以下である、請求項1又は2に記載の水素発生装置。
【請求項5】
前記水供給部が供給する水のpHは、9.0以下である、請求項3に記載の水素発生装置。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の水素発生装置と、
前記副生成物を貯蔵する副生成物貯蔵容器と、
前記水素化ホウ素ナトリウム粉末を貯蔵する粉末貯蔵容器と、
前記水を貯蔵する水貯蔵容器と、
を備え、
前記水素発生装置と前記副生成物貯蔵容器とは、内部が気密となるように結合される、水素発生システム。
【請求項7】
請求項3に記載の水素発生装置と、
前記副生成物を貯蔵する副生成物貯蔵容器と、
前記水素化ホウ素ナトリウム粉末を貯蔵する粉末貯蔵容器と、
前記水を貯蔵する水貯蔵容器と、
を備え、
前記水素発生装置と前記副生成物貯蔵容器とは、内部が気密となるように結合される、水素発生システム。
【請求項8】
請求項4に記載の水素発生装置と、
前記副生成物を貯蔵する副生成物貯蔵容器と、
前記水素化ホウ素ナトリウム粉末を貯蔵する粉末貯蔵容器と、
前記水を貯蔵する水貯蔵容器と、
を備え、
前記水素発生装置と前記副生成物貯蔵容器とは、内部が気密となるように結合される、水素発生システム。
【請求項9】
請求項5に記載の水素発生装置と、
前記副生成物を貯蔵する副生成物貯蔵容器と、
前記水素化ホウ素ナトリウム粉末を貯蔵する粉末貯蔵容器と、
前記水を貯蔵する水貯蔵容器と、
を備え、
前記水素発生装置と前記副生成物貯蔵容器とは、内部が気密となるように結合される、水素発生システム。
【請求項10】
前記水素発生装置は、前記水素発生装置と前記副生成物貯蔵容器との内部から気体を排出する排気弁をさらに備える、請求項6に記載の水素発生システム。
【請求項11】
前記水素発生装置は、前記水素発生装置と前記副生成物貯蔵容器との内部から気体を排出する排気弁をさらに備える、請求項7に記載の水素発生システム。
【請求項12】
前記水素発生装置は、前記水素発生装置と前記副生成物貯蔵容器との内部から気体を排出する排気弁をさらに備える、請求項8に記載の水素発生システム。
【請求項13】
前記水素発生装置は、前記水素発生装置と前記副生成物貯蔵容器との内部から気体を排出する排気弁をさらに備える、請求項9に記載の水素発生システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素発生装置及び水素発生システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示すように、水素化ホウ素ナトリウム(Sodium Borohydride:SBH)の加水分解反応により、水素を発生させる水素発生装置が知られている。また、特許文献2では、SBHの加水分解反応により、水素を発生させ、副生成物を移動させる水素発生装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-244262号公報
【特許文献2】特開2004-002189号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に示す水素発生装置では、加水分解反応後に生じる副生成物は除去されないという課題がある。また、特許文献2に示す水素発生装置では、水素化ホウ素ナトリウムと水の溶液が、カプセル化されて可撓性基材上に支持され、触媒と接触させる必要があった。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、触媒を用いることなく水素を生成可能な水素発生装置及び水素発生システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明の一態様に係る水素発生装置は、水素化ホウ素ナトリウム粉末から水素を発生させる水素発生装置であり、移動可能な搬送面を備える搬送部と、前記搬送面に前記水素化ホウ素ナトリウム粉末を供給する粉末供給部と、前記搬送面に水を供給する水供給部と、を備え、前記搬送部は、前記搬送面に前記水素化ホウ素ナトリウム粉末が供給される領域である粉末供給領域と、前記搬送面に前記水が供給される領域である反応領域と、を有し、前記搬送部は、前記搬送面に供給された前記水素化ホウ素ナトリウム粉末を、前記粉末供給領域から前記反応領域まで搬送し、前記反応領域で生成した副生成物を、前記反応領域から搬送する。
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明の一態様に係る水素発生システムは、前記水素発生装置と、前記副生成物を収納する副生成物貯蔵容器と、前記水素化ホウ素ナトリウム粉末を収納する粉末貯蔵容器と、前記水を収納する水貯蔵容器と、を備え、前記水素発生装置と前記副生成物収納容器とは、内部が気密となるように結合される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、触媒を用いることなく水素を生成可能な水素発生装置及び水素発生システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る水素発生システムの一例を示す模式的な斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1の水素発生装置を示す模式的な斜視図である。
【
図5】
図5は、
図1のV-V線に沿った粉末貯蔵容器の断面図である。
【
図6】
図6は、
図1のVI-VI線に沿った水貯蔵容器の断面図である。
【
図7】
図7は、
図1のVII-VII線に沿った副生成物貯蔵容器の断面図である。
【
図8】
図8は、第2実施形態に係る水素発生システムの一例を示す模式的な斜視図である。
【
図9】
図9は、
図8のIX-IX線に沿った水貯蔵容器の断面図である。
【
図10】
図10は、第3実施形態に係る水素発生システムの一例を示す模式的な斜視図である。
【
図12】
図12は、第4実施形態に係る水素発生システムの一例を示す模式的な斜視図である。
【
図13】
図13は、第5実施形態に係る水素発生システムの一例を示す模式的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本開示はこれに限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。また、以下で説明する実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。
【0011】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る水素発生装置の一例を示す模式的な斜視図である。本実施形態に係る水素発生システム1は、水素化ホウ素ナトリウム(Sodium Borohydride:SBH)の加水分解により水素を発生させるシステムである。
図1に示すように、本実施形態に係る水素発生システム1は、水素発生装置100と、制御装置20と、粉末貯蔵容器30と、水貯蔵容器400と、副生成物貯蔵容器50と、を備える。
【0012】
説明及び図面においては、Z方向は略鉛直方向、X方向はZ方向に対して略垂直である方向、Y方向はZ方向及びX方向に対して略垂直である方向を示す。また、以下の説明においては、X方向の一方を+X方向、X方向の他方を-X方向とし、Z方向の一方(略鉛直上方向)を+Z方向、Z方向の他方(略鉛直下方向)を-Z方向として説明することがある。また、各部材の説明において、側面とは、法線がZ方向に対して略垂直である面を指すものとして説明することがある。
【0013】
(水素発生装置)
図2は、
図1の水素発生装置を示す模式的な斜視図である。
図3は、
図2の側面図である。
図4は、
図2のVI-VI線に沿った断面図である。水素発生装置100は、SBHと水とを反応させて、水素を発生させる装置である。水素発生装置100は、
図2から
図4に示すように、外装部101と、台部102と、排気弁103と、安全弁104と、配管105と、接続部106と、粉末供給部120と、搬送部110と、水供給部130と、ポンプ140と、スクレーパ150と、を備える。
【0014】
外装部101は、搬送部110が収納されるケースである。外装部101は、耐圧性を有する材料からなり、例えば、アルミニウムを含む合金や耐熱性樹脂などからなる。
【0015】
台部102は、Z方向に厚みを有する枠状の部材である。台部102は、外装部101の-Z方向に設けられる。台部102は、内周面で囲まれた空間である開口を有する。台部102は、例えば、アルミニウムを含む合金や耐熱性樹脂などからなる。台部102の開口は、外装部101の内部と連通している。
【0016】
接続部106は、後述する副生成物貯蔵容器50と接続するための円筒状の部材である。接続部106は、台部102の-Z方向に設けられる。接続部106は、例えば、アルミニウムを含む合金や耐熱性樹脂などからなる。接続部106は、外周面に螺旋状に設けられた突起を有し、副生成物貯蔵容器50の接続部52と接続することができる。接続部106と接続部52との接続の詳細については、副生成物貯蔵容器50の接続部52の説明において後述する。
【0017】
ここで、台部102の開口は、Z方向に平面視して、接続部106の内部、すなわち内周面で囲まれた空間と重なっている。すなわち、台部102の開口は、接続部106の内部と連通している。以下の説明において、水素発生装置100の内部を、外装部101の内部、台部102の開口及び接続部106の内部を指すものとして説明することがある。
【0018】
排気弁103は、水素発生装置100で生成させた水素を水素発生装置100に排出する弁である。排気弁103は、例えば、開閉が可能なバルブである。
図3の例では、排気弁103は、台部102をZ方向に貫通するように設けられ、Z方向に平面視して、接続部106の内部と重なる位置に設けられる。これにより、水素発生装置100に水素を生成させつつ、水素発生装置100及び副生成物貯蔵容器50の内部の水素ガスを取り出すことができる。
【0019】
安全弁104は、水素発生装置100の内部が異常な高圧となることを防ぐための弁である。
図3の例では、安全弁104は、台部102をZ方向に貫通するように設けられ、Z方向に平面視して、接続部106の内部と重なる位置に設けられる。安全弁104は、水素発生装置100内部が所定以上の圧力となった場合に開放し、水素発生装置100及び副生成物貯蔵容器50の内部のガスを外部に放出する。これにより、水素発生装置100が水素ガスの圧力によって破損することを防止できる。
【0020】
配管105は、水素発生装置100で生成された水素を水貯蔵容器400に輸送するパイプである。配管105は、一端が排気弁103に接続され、他端が後述する水貯蔵容器400の誘導管408に接続される。
【0021】
(搬送部)
搬送部110は、SBH粉末及び副生成物を搬送する機構である。搬送部110は、例えばベルトコンベヤであり、搬送面111と、回転体112と、駆動体113を有する。
【0022】
搬送面111は、SBH粉末及び水が供給される面である。搬送面111は、水素発生装置100の内部に設けられる。搬送面111は、移動方向について循環するように設けられた面であり、例えば、エンドレスなベルトである。搬送面111は、不透水でかつ、耐熱性及び耐アルカリ性を有する素材からなる。
図4の例においては、搬送部110は、+Z方向側の面と、-Z方向側の面を有し、
図4(XZ平面)において反時計回りに移動する。すなわち、搬送部110の+Z方向側にある搬送面111は、まずX方向に移動し、+X方向側の端で一旦-Z方向に移動した後に、搬送部110の-Z方向側において-X方向に移動し、-X方向側の端で一旦+Z方向に移動して循環している。以下の説明においては、搬送面111の移動方向とは、
図4(XZ平面)における搬送面111の反時計回りの移動方向として説明することがある。
【0023】
回転体112は、搬送面111を移動させるための部材である。回転体112は、搬送面111の内周面に設けられ、摩擦や歯車のかみ合わせなど、任意の手段で搬送面111に動力を伝えることができる。すなわち、回転体112は、Y方向を軸として回転することで、搬送面111を移動させることができる。
図4の例では、回転体112は、搬送部110の+X方向側及び-X方向側の端の内周面に設けられる。
【0024】
駆動体113は、少なくとも1つの回転体112に接続されて、回転体112を回転させる。駆動体113は、台部102の+Z方向側の面に設けられ、例えば、回転体112に対してY方向に設けられる。
図4の例では、駆動体113は、
図4において反時計回りに回転して、搬送面111及び回転体112を
図4において反時計回りに回転させる。
【0025】
これにより、搬送部110は、供給されたSBH粉末を粉末供給領域Aから反応領域Bまで移動することが可能となり、また水と反応して生じたホウ酸ナトリウムを主体とした副生成物を反応領域Bから移動させることができる。ここで、粉末供給領域Aと反応領域Bについては、後述する。また、副生成物が除去された搬送面111は、再び粉末供給領域Aまで移動できるので、搬送面111を途切れることなく循環させることができる。なお、搬送部110は、搬送面111が移動方向について循環するものであれば、ベルトコンベヤに限られず、例えばチェーンコンベヤなどの他のコンベヤを用いてもよい。
【0026】
(粉末供給部)
粉末供給部120は、粉末供給領域Aにある搬送部110にSBH粉末を供給するための機構であり、例えばロータリーバルブである。ここで、粉末供給領域Aとは、SBH粉末が供給される領域をいい、
図4の例ではケース122の-Z方向側にある搬送部110の+Z側の面を指す。粉末供給部120は、搬送部110の+Z方向に設けられる。粉末供給部120は、ロータ121と、ケース122と、駆動体123を備える。
【0027】
ロータ121は、回転運動によってSBH粉末の供給速度を調節する部材である。ロータ121は、ケース122内に設けられる。ロータ121は、Y方向に長さを有し、Y方向を軸として、放射状に板状の羽を有している。これにより、ロータ121は、Y方向を軸として回転することで、搬送部110にSBH粉末を供給することができる。また、ロータ121は、回転を停止することで、SBH粉末の供給を停止することができる。これにより、粉末供給部120は、SBH粉末の供給を制御することができ、水素発生装置100の水素発生反応を制御できる。
【0028】
ケース122は、ロータ121を収容するケースである。ケース122は、外装部101の+Z方向側の内壁に設けられる。ケース122は、+Z方向に供給口、-Z方向に排出口が設けられる。ケース122は、粉末貯蔵容器30からSBH粉末の供給を受け、排出口から搬送面111にSBH粉末を排出する。
【0029】
駆動体123はロータ121を回転させる機構である。駆動体123は、例えば電気モータである。駆動体123は、ロータ121のY方向に設けられる。これにより、粉末供給部120は、搬送部110にSBH粉末を連続して一定量で供給することが可能となる。
【0030】
(水供給部)
水供給部130は、搬送部110に水を供給する機構である。水供給部130は、搬送部110の+Z方向に設けられる。水供給部130は、インジェクタ131を備える。インジェクタ131は、反応領域Bにある搬送面111に水を供給する。
図4の例では、インジェクタ131は、外装部101の+Z方向の面を外部から内部に貫通するように設けられる。ここで、反応領域Bとは、搬送部110において、水が供給される領域をいい、
図4の例ではインジェクタ131の-Z方向にある搬送部110の+Z側の面を指す。すなわち、反応領域Bとは、SBH粉末と水が混合する領域であり、水素及び副生成物を生じる領域であるといえる。ここで、反応領域Bは、粉末供給領域Aに対して、搬送面111の移動方向に設けられる。
【0031】
ここで、水供給部130が供給する水のpHは9.0以下である。この範囲とすることで、SBHを十分に反応させることができる。また、水のpHは、6.0以上であることが好ましい。水は、純水(精製水)であることが好ましい。この場合、副生成物であるホウ酸ナトリウムの純度が向上し、ホウ酸ナトリウムの再利用(水素化ホウ素ナトリウムへの再生)が容易になる。また、水供給部130が供給する水の温度は60℃以上100℃以下が好ましく、80℃以上100℃以下がより好ましい。このように、水供給部130が供給する水を、沸点以下の範囲で高温とすることで、水素発生速度を高めることができる。
【0032】
ポンプ140は、水貯蔵容器400から水を吸い上げ、水供給部130に水を供給するポンプである。ポンプ140は、タンク141と、駆動体142と、送水チューブ143と、を備える。
図4の例では、ポンプ140は、台部102の+Z側の面に設けられる。タンク141は、水貯蔵容器400から供給された水を貯えるタンクである。駆動体142は、ポンプ140のモータであり、例えば電気モータである。駆動体142は、水貯蔵容器400からタンク141に供給される水の量及びポンプ140から水供給部130に送る水の量を調節する。送水チューブ143は、ポンプ140から水供給部130に水を供給するチューブである。送水チューブ143は、一端がタンク141に接続され、他端が水供給部130に接続される。
【0033】
スクレーパ150は、搬送面111から副生成物を除去する部材である。スクレーパ150は、反応領域Bに対して搬送面111の移動方向に設けられる。
図4の例では、スクレーパ150は、台部102の開口の内周面に設けられる。スクレーパ150の先端は、搬送部110の-Z側にある搬送面111と接している。これにより、搬送面111が移動することで、搬送面111に残存する副生成物がスクレーパ150によって削ぎ取られるので、スクレーパ150は、搬送面111に残存する副生成物を除去することができる。
【0034】
(制御装置)
制御装置20は、水素発生装置100を制御する装置である。制御装置20は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などの演算回路を含む演算装置と、記憶部とを含むコンピュータであり、記憶部からプログラム(ソフトウェア)を読み出して実行することで、制御を実行する。制御装置20は、水素発生装置100及び水貯蔵容器400と任意の通信手段で接続される。制御装置20は、例えば、圧力センサ409からガス圧を取得して、取得したデータに基づき、粉末供給部120の駆動体123と、搬送部110の駆動体113と、ポンプ140の駆動体142と、電熱器407を制御して、水素の発生速度を調節する。例えば、制御装置20は、貯水タンク401の内部の圧力が水素ガスによって上昇した場合に、圧力センサ409から信号を取得して、粉末供給部120の駆動体123を制御して、SBHの供給を制限する。これにより、制御装置20は、水素ガスの発生速度を制御することができるので、水貯蔵容器400が水素ガスの圧力により破損することを防ぐことができる。なお、
図1の例では、制御装置20は、水素発生装置100の台部102の+Z方向の面に設けられるが、単なる一例である。
【0035】
(粉末貯蔵容器)
図5は、
図1のV-V線に沿った粉末貯蔵容器の断面図である。粉末貯蔵容器30は、水素発生装置100に供給するSBH粉末を貯蔵する容器である。粉末貯蔵容器30は、水素発生装置100の+Z方向に設けられる。粉末貯蔵容器30は、貯蔵タンク31と、投入口32と、ホッパ33と、蓋34とを備える。貯蔵タンク31は、SBH粉末を貯蔵するタンクである。貯蔵タンク31は、Z方向に長さを有する円柱形の容器である。貯蔵タンク31は、例えば、アルミニウムを含む合金や耐熱性樹脂などからなる。投入口32は、SBH粉末を粉末貯蔵容器30に投入するための差し込み口である。投入口32は、貯蔵タンク31の+Z方向側に設けられる。
図5の例では、投入口32の+Z方向には、蓋34が設けられる。蓋34は、投入口32を開閉するための蓋であり、閉じると粉末貯蔵容器30内が気密となる。ホッパ33は、水素発生装置100にSBH粉末を供給するためのホッパである。ホッパ33は、貯蔵タンク31の-Z方向側に設けられる。ホッパ33の内部は、貯蔵タンク31の内部と連通している。ホッパ33は、-Z方向側に吐き出し口を有する。ホッパ33の吐き出し口は、粉末供給部120のケース122の供給口と接続される。すなわち、粉末貯蔵容器30の内部とケース122の内部とは、連通している。これにより、粉末貯蔵容器30は、貯蔵タンク31の内部のSBH粉末を、ホッパ33を経由して粉末供給部120に供給することができる。
【0036】
(水貯蔵容器)
図6は、
図1のVI-VI線に沿った水貯蔵容器の断面図である。水貯蔵容器400は、水素発生装置100に供給する水を貯蔵する容器である。水貯蔵容器400の位置は、特に限定されず、水貯蔵容器400は、水素発生装置100と、制御装置20と、粉末貯蔵容器30と、後述する副生成物貯蔵容器50とに対し、任意の位置に設けられる。水貯蔵容器400は、水貯蔵容器400は、貯水タンク401と、注水口402と、排水栓403と、送水ホース404と、蓋405と、給水管406と、電熱器407と、誘導管408と、圧力センサ409と、排気弁410と、安全弁411と、を備える。水貯蔵容器400は、注水口402及び給水管406によって外部から水の供給を受けて、貯水タンク401に水を貯蔵し、電熱器407によって保温する。水貯蔵容器400は、貯水タンク401の内部の水を排水栓403と送水ホース404によって水素発生装置100に水を供給する。また、本実施形態において、水貯蔵容器400は、水素発生装置100で発生した水素ガスを、誘導管408を介して、貯水タンク401に貯蔵し、排気弁410によって水素発生システム1の外部に排出する。
【0037】
貯水タンク401は、水を貯水するタンクである。
図1の例では、貯水タンク401は、Z方向に長さを有する円柱形の容器である。貯水タンク401は、耐圧性を有することが好ましい。貯水タンク401は、例えば、アルミニウムを含む合金や耐熱性樹脂などからなる。
【0038】
注水口402は、水を水貯蔵容器400に投入するための注水口である。注水口402は、貯水タンク401の+Z方向の面に設けられる。
【0039】
蓋405は、注水口402の蓋である。蓋405は、貯水タンク401の+Z方向の面に設けられる。蓋405は、開閉可能であり、閉じたときに注水口402を気密とすることができる。
【0040】
給水管406は、水素発生システム1の外部から水の供給を受けるための管である。給水管406は、貯水タンク401に設けられ、
図1の例では、貯水タンク401の+Z方向の面付近の側面に設けられる。給水管406は、外部の装置から水の供給を受けて貯水タンク401内に水を供給する。これにより、水素発生システム1は、例えば、燃料電池からの還流水などをも利用することができる。
【0041】
電熱器407は、貯水タンク401の内部の水を保温する器材である。電熱器407は、貯水タンク401内に設けられる。電熱器407は、例えば、Z方向に長さ方向を有するシーズヒータである。これにより、水素発生装置100に供給される水の温度を高く保つことができる。
【0042】
排水栓403は、貯水タンク401の内部の水を排出する栓であり、例えばバルブが設けられる。排水栓403は、貯水タンク401に設けられ、
図6の例では、排水栓403は、貯水タンク401の-Z方向の面付近の側面に設けられる。
【0043】
送水ホース404は、貯水タンク401の内部の水を水素発生装置100に供給するホースである。送水ホース404は、一端が排水栓403に接続され、他端が水素発生装置100のポンプ140に接続される。
【0044】
誘導管408は、水貯蔵容器400の外部から貯水タンク401に水素ガスを導入するパイプである。誘導管408は、貯水タンク401の外部から内部に貫通するように設けられ、
図6の例では、貯水タンク401の側面を貫通するように設けられる。誘導管408は、一端が水素発生装置100の配管105と接続され、他端が貯水タンク401内に設けられる。
図6の例では、誘導管408の他端は、貯水タンク401の-Z方向の底面付近に設けられる。これにより、貯水タンク401内に導入された水素ガスは、貯水タンク401の鉛直上方向に到達する過程で貯水タンク401の内部の水を経由するため、水素含有ガスに含まれる水蒸気の量を減らすことができ、かつ水素含有ガスの熱を回収できる。
【0045】
圧力センサ409は、貯水タンク401の内部のガス圧を測定する装置である。圧力センサ409は、貯水タンク401に設けられ、
図6の例では、貯水タンク401の+Z方向の面付近の側面に設けられる。圧力センサ409の内部は、貯水タンク401の内部、排気弁410及び安全弁411と連通しており、気体が貯水タンク401内から排気弁410及び安全弁411に通過可能となっている。
【0046】
排気弁410は、貯水タンク401の内部の水素を水素発生システム1外に排出するための弁である。排気弁410は、例えば、開閉が可能なバルブを有している。排気弁410は、圧力センサ409に設けられる。すなわち、貯水タンク401の内部の水素は、圧力センサ409を経由して排気弁410から排出される。排気弁410は、例えば水素燃料エンジンなど、水素発生システム1外に設けられる水素を利用する装置と接続される。
【0047】
安全弁411は、貯水タンク401の内部が異常な高圧となることを防ぐための弁である。安全弁411は、圧力センサ409に設けられる。安全弁411は、貯水タンク401の内部の圧力が所定以上の圧力となった場合に開放し、貯水タンク401の内部のガスを放出する。これにより、水貯蔵容器400が水素ガスの圧力によって破損することを防止できる。
【0048】
(副生成物貯蔵容器)
図7は、
図1のVII-VII線に沿った副生成物貯蔵容器の断面図である。副生成物貯蔵容器50は、水素発生装置100で生じた副生成物及び水素を回収し、貯蔵する容器である。副生成物貯蔵容器50は、水素発生装置100の-Z方向に設けられる。副生成物貯蔵容器50は、貯蔵タンク51と、接続部52と、を備える。
【0049】
貯蔵タンク51は、副生成物及び水素を貯蔵するタンクである。貯蔵タンク51は、+Z方向側の面に開口を有する、Z方向に長さを有する円柱形の容器である。貯蔵タンク51は、耐熱かつ耐アルカリ性である材料からなり、例えばステンレス鋼からなる。これにより、貯蔵タンク51は、アルカリ性であって、反応熱により高温状態となっている副生成物を貯蔵することができる。また、貯蔵タンク51は、少なくとも0.3MPa以上の圧力に耐えることが好ましい。この耐圧性とすることで、水素発生装置100で発生した水素を安全に貯蔵することができる。
【0050】
接続部52は、水素発生装置100と接続するための円筒状の部材である。接続部52は、貯蔵タンク51の+Z方向に設けられる。接続部52は、内周面に螺旋状の突起を有し、水素発生装置100の接続部106を螺合可能な形状となっている。すなわち、接続部106と接続部52とは、それぞれねじとねじ穴に相当する形状となっている。言い換えれば、接続部52は、回転向きによって閉栓と開栓とを切り替え可能なスクリューキャップであるといえる。接続部52の内部は、貯蔵タンク51の内部と連通している。ここで、接続部52の内部とは、接続部52の内周面で囲まれた空間をいう。これにより、副生成物貯蔵容器50は、閉栓方向に回転させることで、副生成物貯蔵容器50及び水素発生装置100の内部を気密とすることができる。ここで、副生成物貯蔵容器50の内部とは、接続部52及び貯蔵タンク51の内部をいう。また、副生成物貯蔵容器50は、開栓方向に回転させることで、副生成物貯蔵容器50は、水素発生システム1から取り外すことができる。これにより、副生成物貯蔵容器50から副生成物を回収して、副生成物の主成分であるホウ酸ナトリウムをSBHの原材料として再利用することができる。
【0051】
以下、本実施形態に係る水素発生システム1による水素発生方法について説明する。なお、以下に説明する水素発生システム1による水素発生方法は、あくまでも一例であり、これに限定されるものではない。
【0052】
水貯蔵容器400を水で満たし、副生成物貯蔵容器50を水素発生装置100に接続する。この状態で、ポンプ140の駆動体142を駆動させて、水を水貯蔵容器400から吸い上げて水供給部130に供給する。そして、制御装置20により水素発生装置100の粉末供給部120の駆動体123と、搬送部110の駆動体113と、ポンプ140の駆動体142を駆動させて、水素発生装置100に水素ガスを発生させる。水素発生装置100における水素発生方法の一例を以下説明する。
【0053】
まず、粉末供給部120は、粉末貯蔵容器30から供給されたSBH粉末を搬送面111に供給する。具体的には、粉末供給部120は、ロータ121を駆動体123によって回転させ、ケース122の排出口からSBH粉末を排出することによって、SBH粉末を粉末供給領域Aにある搬送面111に供給する。ここで、粉末供給部120は、ロータ121を一定の角速度で回転させることにより、一定量のSBH粉末を連続的に搬送面111に供給することができる。搬送面111に供給されたSBH粉末は、搬送面111とともに+X方向に移動する。
【0054】
搬送面111に供給されたSBH粉末が反応領域Bまで移動すると、水供給部130は、水貯蔵容器400から供給された水をSBH粉末に供給する。具体的には、水供給部130は、インジェクタ131により、反応領域Bにある搬送面111のSBH粉末に水を噴射する。ここで、水供給部130は、ポンプ140から水の供給を受けることで、一定量の水を連続的に搬送面111に供給することができる。これにより、SBH粉末は、反応領域Bにおいて水と反応し、水素ガスと、ホウ酸ナトリウムを主成分とした副生成物とが生成される。
【0055】
ここで、反応領域Bで生成された副生成物は、搬送面111とともに反応領域Bから移動する。これにより、搬送部110は、副生成物を反応領域Bから除去して新たなSBH粉末を反応領域Bに供給することができる。このとき、反応領域Bから移動した副生成物は、搬送部110の+X方向側の端で、搬送面111から副生成物貯蔵容器50へ落下するが、一部の副生成物が搬送面111に残存し、搬送部110の-Z方向側の面においても残存することがある。スクレーパ150は、搬送部110の-Z方向側の面において、搬送面111とともに-X方向に移動してきた副生成物を、搬送面111から除去して、副生成物貯蔵容器50へ落下させる。これにより、搬送面111は、付着物を除去された状態で、粉末供給領域Aに移動することができる。
【0056】
以上の方法により、水素発生装置100で水素ガスが生成される。生成された水素ガスは、水素発生装置100及び副生成物貯蔵容器50の内部に貯蔵される。このとき、水貯蔵容器400の貯水タンク401の内部は、水素発生装置100によって水が消費されているため、低圧となっている。そのため、この状態で排気弁103を開栓すると、水素ガスが配管105及び誘導管408を経由して、水貯蔵容器400の貯水タンク401に導入される。これにより、水素ガスが、水素発生装置100と、副生成物貯蔵容器50と、水貯蔵容器400との内部に貯蔵される。このとき、水素ガスの圧力によって貯水タンク401の内部の水が押し出され、水素発生装置100にさらに水が供給される。この状態で、排気弁410を開栓することにより、水素ガスを水素発生システム1から取り出すことができる。
【0057】
このとき、排気弁410に接続された、水素を利用する装置において、水素の消費が多い場合、貯水タンク401内の圧力が低下し、水素の消費が少ない場合、貯水タンク401内の圧力が上昇する。したがって、貯水タンク401の内部の圧力に応じて水素の発生量を制御装置20に制御させることで、水素発生システム1は、水素ガスの圧力により水素発生装置100と、副生成物貯蔵容器50と、水貯蔵容器400とが破損することを抑制しつつ、水素が消費される量に応じて水素を生成することができる。
【0058】
以上説明したように、本実施形態に係る水素発生装置100は、水素化ホウ素ナトリウム粉末から水素を発生させる水素発生装置100であり、移動可能な搬送面111を備える搬送部110と、搬送面111に水素化ホウ素ナトリウム粉末を供給する粉末供給部120と、搬送面111に水を供給する水供給部130と、を備え、搬送部110は、搬送面111に水素化ホウ素ナトリウム粉末が供給される領域である粉末供給領域Aと、搬送面111に水が供給される領域である反応領域Bと、を有し、搬送部110は、搬送面111に供給された水素化ホウ素ナトリウム粉末を、粉末供給領域Aから反応領域Bまで搬送し、反応領域Bで生成した副生成物を、反応領域Bから搬送する。これによれば、水素化ホウ素ナトリウムを粉末の状態で利用できるので、触媒や、反応物のpHを低く維持するためのpH緩衝剤を用いることなく水素を生成することができる。
【0059】
望ましい態様として、搬送面111は移動方向について循環するように設けられる。これにより、搬送面111を途切れることなく循環させることができる。
【0060】
望ましい態様として、搬送面111から副生成物を除去するスクレーパ150をさらに備え、スクレーパ150は、反応領域Bに対して搬送面111の移動方向にある搬送面111と接するように設けられる。これにより、搬送面111の移動に伴い、搬送面111に残存する副生成物がスクレーパ150に削ぎ取られるので、搬送面111に残った副生成物を除去することができる。
【0061】
望ましい態様として、水供給部130が供給する水のpHは、9.0以下であることが好ましい。これにより、水素化ホウ素ナトリウムを十分に反応させることができる。
【0062】
また、本実施形態に係る水素発生システム1は、水素発生装置100と、副生成物を収納する副生成物貯蔵容器50と、水素化ホウ素ナトリウム粉末を収納する粉末貯蔵容器30と、水を収納する水貯蔵容器400と、を備え、水素発生装置100と副生成物貯蔵容器50とは、内部が気密となるように結合される。これによれば、水素化ホウ素ナトリウムを粉末の状態で利用できるので、触媒を用いることなく水素を生成することができる。
【0063】
望ましい態様として、水素発生装置100は、水素発生装置100と副生成物貯蔵容器50との内部から気体を排出する排気弁103をさらに備える。これにより、水素発生装置100に水素を生成させつつ、水素発生装置100及び副生成物貯蔵容器50の内部の水素ガスを取り出すことができる。
【0064】
以上、第1実施形態に係る水素発生システム1について説明したが、本発明に係る水素発生システムは、これに限られない。以下、図面を用いて他の実施形態に係る水素発生システムについて説明する。なお、他実施形態と同じ構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0065】
(第2実施形態)
図8は、第2実施形態に係る水素発生システムの一例を示す模式的な斜視図である。
図8に示すように、第2実施形態に係る水素発生システム1Aは、粉末貯蔵容器30Aの貯蔵タンク31Aと、水貯蔵容器400Aの貯水タンク401Aと、副生成物貯蔵容器50Aの貯蔵タンク51Aとの形状が、角柱である。
【0066】
第2実施形態に係る粉末貯蔵容器30Aの投入口32Aは、開閉可能な開閉ハッチが設けられている。投入口32Aは、開閉ハッチを閉じることにより、粉末貯蔵容器30A内部を気密とすることができる。
【0067】
図9は、
図8のIX-IX線に沿った水貯蔵容器の断面図である。
図9に示すように、第2実施形態に係る水貯蔵容器400Aは、さらに排水管412を備える。また、
図8及び
図9に示す例では、水貯蔵容器400Aは、排水栓403Aが、Z方向について水貯蔵容器400Aの中央付近の側面に設けられ、給水管406と、圧力センサ409とが、貯水タンク401Aの+Z方向の面に設けられる。
【0068】
排水管412は、貯水タンク401Aの内部の水を水貯蔵容器400Aの外部に排出するためのパイプである。排水管412は、貯水タンク401Aの内部に設けられる。排水管412は、一端が排水栓403Aと接続され、他端が貯水タンク401Aの-Z方向の面付近に設けられる。
【0069】
図9に示す例では、水貯蔵容器400Aの誘導管408Aは、+Z方向でU字状に折れ曲がった形状となっている。すなわち、配管105を通過した水素ガスは、誘導管408A内において、一旦+Z方向に向かい、その後-Z方向に向かうことで、貯水タンク401Aの-Z方向の面付近に排出される。
【0070】
(第3実施形態)
図10は、第3実施形態に係る水素発生システムの一例を示す模式的な斜視図である。
図10に示すように、第3実施形態に係る水素発生システム1Bは、1つの水貯蔵容器400Bに対して、複数の制御装置20、20Bと、複数の粉末貯蔵容器30、30Bと、複数の水素発生装置100、100Bと、複数の副生成物貯蔵容器50、50Bとを備える。
【0071】
図11は、
図10のXI-XI線に沿った水貯蔵容器の断面図である。
図10及び
図11に示すように、第3実施形態に係る水貯蔵容器400Bは、複数の送水ホース404、404Bと、複数の誘導管408A、408Bとをさらに備える。なお、
図10の例では貯水タンク401Bの形状は、角柱であるが、単なる一例である。
【0072】
送水ホース404、404Bは、一端が排水栓403に接続され、他端が水素発生装置100、100Bのそれぞれに接続される。これにより、水貯蔵容器400Bは、複数の水素発生装置100、100Bに水を供給することができる。
【0073】
複数の誘導管408A、408Bは、一端が複数の水素発生装置100、100Bのそれぞれに接続される。これにより、水貯蔵容器400Bは、複数の水素発生装置100、100Bから水素ガスが導入される。
【0074】
(第4実施形態)
図12は、第4実施形態に係る水素発生システムの一例を示す模式的な斜視図である。
図12に示すように、第4実施形態に係る水素発生システム1Cは、1つの水貯蔵容器400B及び粉末貯蔵容器30Cに対して、複数の水素発生装置100、100Bと、複数の副生成物貯蔵容器50、50Bを備える。
【0075】
第4実施形態に係る粉末貯蔵容器30Cは、図示しない複数のホッパを備える。複数のホッパの吐き出し口は、複数の水素発生装置100、100Bのそれぞれに連結される、これにより、粉末貯蔵容器30Cは、複数の水素発生装置100、100BにSBH粉末を供給することができる。
【0076】
(第5実施形態)
図13は、第5実施形態に係る水素発生システムの一例を示す模式的な斜視図である。第5実施形態に係る水素発生システム1Dは、粉末貯蔵容器30Aが、水素発生装置100に対してY方向側に設けられる。粉末貯蔵容器30Aは、水素発生装置100Dと、粉末供給部120Dで接続される。なお、
図13の例では、水素発生システム1Dは、角柱形の粉末貯蔵容器30Aを備えるが、単なる一例である。
【0077】
第5実施形態に係る水素発生装置100Dの粉末供給部120Dは、螺旋運動によって内容物を搬送するスクリューコンベアである。
図13に示すように、粉末供給部120Dは、搬送体124と、駆動体125とを備える。搬送体124は、Y方向に長さを有する円筒形のケースの中に螺旋状の羽を有する軸が内部に設けられている。駆動体125は、搬送体124を駆動する機構であり、例えば電気モータである。駆動体125は、搬送体124のY方向に接続され、搬送体124の軸を、Y方向を軸として回転させる。これにより、粉末供給部120Dは、粉末貯蔵容器30Aから供給を受けたSBH粉末を、搬送体124によって螺旋状に押し出すように-Y方向に移動させることができ、粉末供給領域Aにある搬送面111に供給することができる。
【0078】
図14は、
図10のXIV-XIV線に沿った水貯蔵容器の断面図である。
図13及び
図14に示す例において、水貯蔵容器400Dは、排水栓403Dと、給水管406と、圧力センサ409とが、貯水タンク401Aの+Z方向の面に設けられる。誘導管408Dは、貯水タンク401の+Z方向の面を貫通するように設けられる。また、水貯蔵容器400Dは、排水管412Dが貯水タンク401D内に設けられる。排水管412Dは、Z方向に延びており、一端が排水管412Dと接続され、他端が貯水タンク401Dの-Z方向の面付近に設けられる。なお、
図13の例では、貯水タンク401Dの形状は、円柱であるが、単なる一例である。
【0079】
以上、本開示の有用な実施例を示し、かつ、説明を施した。本開示は、上述した種々の実施例や変形例に限られず、この開示の要旨や添付する特許請求の範囲に記載された内容を逸脱しない範囲で種々変形可能である。
【0080】
例えば、副生成物貯蔵容器50の接続部52と、水素発生装置100の接続部106とは、副生成物貯蔵容器50と水素発生装置100とを螺合するための螺旋状の突起が設けられることに限られない。接続部52と、接続部106とは、粉末貯蔵容器30Aの投入口32Aに設けられるものと同様の、開閉可能な開閉ハッチが設けられてもよい。この場合、副生成物貯蔵容器50が水素発生装置100に取り付けられている状態において、開閉ハッチを開くことで、副生成物貯蔵容器50と水素発生装置100との内部を連通させることができ、開閉ハッチを閉じることで、副生成物貯蔵容器50の内部を気密とすることができる。
【符号の説明】
【0081】
1、1A~1D 水素発生システム
20、20B 制御装置
30、30A~30C 粉末貯蔵容器
31、31A 貯蔵タンク
32、32A 投入口
33 ホッパ
34 蓋
50、50A、50B 副生成物貯蔵容器
51、51A 貯蔵タンク
52 接続部
100、100B、100D 水素発生装置
101 外装部
102 台部
103 排気弁
104 安全弁
105 配管
106 接続部
110 搬送部
111 搬送面
112 回転体
113 駆動体
120、120D 粉末供給部
121 ロータ
122 ケース
123 駆動体
124 搬送体
125 駆動体
130 水供給部
131 インジェクタ
140 ポンプ
141 タンク
142 駆動体
143 送水チューブ
150 スクレーパ
400、400A、400B、400D 水貯蔵容器
401、401A、401B、401D 貯水タンク
402 注水口
403、403A、403D 排水栓
404、404B 送水ホース
405 蓋
406 給水管
407 電熱器
408、408A、408B、408D 誘導管
409 圧力センサ
410 排気弁
411 安全弁
412、412D 排水管
A 粉末供給領域
B 反応領域