(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161470
(43)【公開日】2023-11-07
(54)【発明の名称】車両用発光素子、車両用発光素子パッケージ、車両用光源ユニット、車両用灯具ユニット、車両用灯具
(51)【国際特許分類】
H01L 33/14 20100101AFI20231030BHJP
H01L 33/48 20100101ALI20231030BHJP
F21S 41/143 20180101ALI20231030BHJP
F21S 41/255 20180101ALI20231030BHJP
F21S 45/47 20180101ALI20231030BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20231030BHJP
F21V 23/06 20060101ALI20231030BHJP
F21V 29/70 20150101ALI20231030BHJP
F21V 29/508 20150101ALI20231030BHJP
F21V 9/32 20180101ALI20231030BHJP
F21W 102/155 20180101ALN20231030BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20231030BHJP
【FI】
H01L33/14
H01L33/48
F21S41/143
F21S41/255
F21S45/47
F21V23/00 150
F21V23/06
F21V29/70
F21V29/508
F21V9/32
F21W102:155
F21Y115:10 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022071892
(22)【出願日】2022-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】000000136
【氏名又は名称】市光工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000121
【氏名又は名称】IAT弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】武沢 初男
(72)【発明者】
【氏名】藤下 俊一
(72)【発明者】
【氏名】小谷野 秀丸
【テーマコード(参考)】
3K014
5F142
5F241
【Fターム(参考)】
3K014AA01
3K014HA03
5F142AA12
5F142BA02
5F142BA32
5F142CA11
5F142CD02
5F142CD47
5F142CG03
5F142DA14
5F142DB30
5F241AA14
5F241CA05
5F241CA40
5F241CA58
5F241CA65
5F241CA74
5F241CA93
5F241CB15
5F241CB36
5F241FF11
(57)【要約】
【課題】輝度分布を高精度に形成することができる車両用発光素子、車両用発光素子パッケージ、車両用光源ユニット、車両用灯具ユニット、車両用灯具を提供することにある。
【解決手段】車両用発光素子100は、電流制御層として、電気伝導率が半導体層140~145の電気伝導率より低い低キャリア濃度層160を使用し、この低キャリア濃度層160を発光層140に対して部分的に形成して、低キャリア濃度層160の分布に基づいて、発光面130に高輝度領域130Aと低輝度領域130Bの輝度分布を形成する。このように、車両用発光素子100は、発光層140における電流を制御して発光面130に輝度分布を形成するものであるから、特許文献1の半導体発光装置及びそれを用いた車両用灯具と比較して、輝度分布を高精度に形成することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板に積層されている積層部と、
前記積層部において発生した光が出射して発光する発光面と、
を備え、
前記積層部は、
発光層を含む複数の半導体層と、
前記半導体層に電力を供給する電極層と、
電気伝導率が前記半導体層の電気伝導率と異なる電流制御層と、
を有し、
前記電流制御層は、前記発光層に対して部分的に形成されている、
ことを特徴とする車両用発光素子。
【請求項2】
前記電流制御層は、電気伝導率が前記半導体層の電気伝導率よりも低い低キャリア濃度層から形成されていて、
前記低キャリア濃度層の結晶の材料は、前記低キャリア濃度層の前後に成膜される前記半導体層の結晶の材料と同一である、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用発光素子。
【請求項3】
前記電流制御層は、絶縁性電流狭窄層から形成されていて、
前記絶縁性電流狭窄層は、前記発光層に重ねて成膜されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用発光素子。
【請求項4】
前記電流制御層には、開口部が網目状に設けられていて、
前記発光面における輝度分布は、前記電流制御層における前記開口部の開口分布に基づいて形成されている、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の車両用発光素子。
【請求項5】
前記積層部には、前記発光層において発生した光を前記発光面側に反射させる反射層が、設けられている、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の車両用発光素子。
【請求項6】
前記電流制御層には、開口部が網目状に設けられていて、
前記発光面における輝度分布は、前記電流制御層における前記開口部の開口分布に基づいて形成されていて、
前記積層部には、前記発光層において発生した光を前記発光面側に反射させる反射層が、設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用発光素子。
【請求項7】
請求項1、2、3、6のいずれか1項に記載の車両用発光素子と、
前記車両用発光素子のうち、前記車両用発光素子の発光面に対して反対側の面が固定されているパッケージ基板と、
前記車両用発光素子のうち、少なくとも前記発光面に接着または固着されている蛍光体と、
前記車両用発光素子のうち、前記パッケージ基板および前記蛍光体が覆われていない露出面を封止する封止部材と、
前記パッケージ基板に設けられていて、前記車両用発光素子の電極層が接続されている電極と、
を備え、
前記電極に電力を供給することにより、前記車両用発光素子において発生した光が前記発光面から前記蛍光体を透過して前記蛍光体の光出射面から出射し、
前記光出射面には、輝度分布が、前記発光面に形成された輝度分布に基づいて形成されている、
ことを特徴とする車両用発光素子パッケージ。
【請求項8】
前記車両用発光素子を保護する保護素子を備える、
ことを特徴とする請求項7に記載の車両用発光素子パッケージ。
【請求項9】
請求項7に記載の車両用発光素子パッケージと、
前記車両用発光素子パッケージのパッケージ基板が実装されている点灯回路基板と、
前記点灯回路基板に実装されていて、前記車両用発光素子パッケージへの電力供給を制御する点灯回路と、
前記点灯回路基板に実装されていて、前記車両用発光素子パッケージおよび前記点灯回路に電力を供給する電力供給路と、
を備え、
前記電力供給路を介して、前記車両用発光素子パッケージおよび前記点灯回路に電力を供給することにより、前記車両用発光素子パッケージの蛍光体の光出射面から光が前記光出射面に形成された輝度分布に基づいて出射する、
ことを特徴とする車両用光源ユニット。
【請求項10】
請求項9に記載の車両用光源ユニットと、
前記車両用光源ユニットの電力供給路を電力供給源に接続するコネクタ部材と、
前記車両用光源ユニットの点灯回路基板が取り付けられている放熱部材と、
前記車両用光源ユニットから出射した光を、車両用配光パターンとして、出射させる光学部材と、
を備え、
前記車両用配光パターンは、前記車両用光源ユニットの車両用発光素子パッケージの蛍光体の光出射面に形成された輝度分布に基づいて形成されている、
ことを特徴とする車両用灯具ユニット。
【請求項11】
車両に装備される車両用灯具であって、
請求項10に記載の車両用灯具ユニットと、
灯室を形成する灯室形成部材と、
を備え、
前記車両用灯具ユニットは、前記灯室内に配置されている、
ことを特徴とする車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両用発光素子、車両用発光素子パッケージ、車両用光源ユニット、車両用灯具ユニット、車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
発光面に輝度分布が形成されている車両用発光素子としては、たとえば、下記の特許文献1に示すものがある。以下、特許文献1について説明する。
【0003】
特許文献1の半導体発光装置及びそれを用いた車両用灯具は、半導体発光素子と、その発光面に積層され、波長変換層を含む1ないし複数の光取り出し層を備え、光取り出し層が、発光面に平行な一つの方向について、その一端から他端に向かって変化する光学特性を有し、半導体発光装置の輝度分布が一端側で最大であって他端側で最小である分布をなしている。
【0004】
特許文献1の半導体発光装置及びそれを用いた車両用灯具は、波長変換材料の密度分布、波長変換材料の平均粒径、波長変換材料の種類又はその組み合わせ、波長変換層に積層された透明層の表面粗さなどにより、半導体発光装置の輝度分布を形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
発光面に輝度分布が形成されている車両用発光素子、あるいは、輝度分布が形成されている半導体発光装置及びそれを用いた車両用灯具においては、輝度分布を高精度に形成することが重要である。
【0007】
この発明が解決しようとする課題は、輝度分布を高精度に形成することができる車両用発光素子、車両用発光素子パッケージ、車両用光源ユニット、車両用灯具ユニット、車両用灯具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の車両用発光素子は、基板と、基板に積層されている積層部と、積層部において発生した光が出射して発光する発光面と、を備え、積層部が、発光層を含む複数の半導体層と、半導体層に電力を供給する電極層と、電気伝導率が半導体層の電気伝導率と異なる電流制御層と、を有し、電流制御層が、発光層に対して部分的に形成されている、ことを特徴とする。
【0009】
この発明の車両用発光素子において、電流制御層は、電気伝導率が前記半導体層の電気伝導率よりも低い低キャリア濃度層から形成されていて、低キャリア濃度層の結晶の材料は、低キャリア濃度層の前後に成膜される前記半導体層の結晶の材料と同一である、ことが好ましい。
【0010】
この発明の車両用発光素子において、電流制御層は、絶縁性電流狭窄層から形成されていて、絶縁性電流狭窄層は、発光層に重ねて成膜されている、ことが好ましい。
【0011】
この発明の車両用発光素子において、電流制御層には、開口部が網目状に設けられていて、発光面における輝度分布は、電流制御層における開口部の開口分布に基づいて形成されている、ことが好ましい。
【0012】
この発明の車両用発光素子において、積層部には、発光層において発生した光を発光面側に反射させる反射層が、設けられている、ことが好ましい。
【0013】
この発明の車両用発光素子において、電流制御層には、開口部が網目状に設けられていて、発光面における輝度分布は、電流制御層における開口部の開口分布に基づいて形成されていて、積層部には、発光層において発生した光を発光面側に反射させる反射層が、設けられている、ことが好ましい。
【0014】
この発明の車両用発光素子パッケージは、この発明の車両用発光素子と、車両用発光素子のうち、車両用発光素子の発光面に対して反対側の面が固定されているパッケージ基板と、 車両用発光素子のうち、少なくとも発光面に接着または固着されている蛍光体と、車両用発光素子のうち、パッケージ基板および蛍光体が覆われていない露出面を封止する封止部材と、パッケージ基板に設けられていて、車両用発光素子の電極層が接続されている電極と、を備え、電極に電力を供給することにより、車両用発光素子において発生した光が発光面から蛍光体を透過して蛍光体の光出射面から出射し、光出射面には、輝度分布が、発光面に形成された輝度分布に基づいて形成されている、ことを特徴とする。
【0015】
この発明の車両用発光素子パッケージにおいて、車両用発光素子を保護する保護素子を備える、ことが好ましい。
【0016】
この発明の車両用光源ユニットは、この発明の車両用発光素子パッケージと、車両用発光素子パッケージのパッケージ基板が実装されている点灯回路基板と、点灯回路基板に実装されていて、車両用発光素子パッケージへの電力供給を制御する点灯回路と、点灯回路基板に実装されていて、車両用発光素子パッケージおよび点灯回路に電力を供給する電力供給路と、を備え、電力供給路を介して、車両用発光素子パッケージおよび点灯回路に電力を供給することにより、車両用発光素子パッケージの蛍光体の光出射面から光が光出射面に形成された輝度分布に基づいて出射する、ことを特徴とする。
【0017】
この発明の車両用灯具ユニットは、この発明の車両用光源ユニットと、車両用光源ユニットの電力供給路を電力供給源に接続するコネクタ部材と、車両用光源ユニットの点灯回路基板が取り付けられている放熱部材と、車両用光源ユニットから出射した光を、車両用配光パターンとして、出射させる光学部材と、を備え、車両用配光パターンが、車両用光源ユニットの車両用発光素子パッケージの蛍光体の光出射面に形成された輝度分布に基づいて形成されている、ことを特徴とする。
【0018】
この発明の車両用灯具は、車両に装備される車両用灯具であって、この発明の車両用灯具ユニットと、灯室を形成する灯室形成部材と、を備え、車両用灯具ユニットが、灯室内に配置されている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
この発明の車両用発光素子、車両用発光素子パッケージ、車両用光源ユニット、車両用灯具ユニット、車両用灯具は、輝度分布を高精度に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、この発明にかかる車両用発光素子の実施形態を示す断面図(
図3(A)におけるI-I線断面図)である。
【
図2】
図2は、車両用発光素子の製造工程を示す説明図(
図1に対応する断面図)である。(A)は、電流制御層としての低キャリア濃度層を成膜した状態を示す説明図である。(B)は、低キャリア濃度層の一部分を除去した状態を示す説明図である。
【
図3】
図3は、車両用発光素子を示す説明図である。(A)は、低キャリア濃度層の分布を示す説明図(
図1におけるIII矢視図)である。(B)は、発光層における電流分布を示す説明図であって、縦軸が発光層における電流(物理量)であり、横軸が発光層の(A)におけるI-I線上の位置である。(C)は、発光面における輝度分布を示す説明図であって、縦軸が発光面における輝度(物理量)であり、横軸が発光面の(A)におけるI-I線上の位置である。(D)は、発光面における輝度分布を示す説明図(
図3(A)に対応する説明図)である。
【
図4】
図4は、車両用発光素子の変形例を示す断面図(
図1に対応する断面図、
図6におけるIV-IV線断面図、
図7(A)におけるIV-IV線断面図)である。
【
図5】
図5は、変形例の車両用発光素子の製造工程を示す説明図(
図4に対応する断面図)である。(A)は、電流制御層としての絶縁性電流狭窄層の成膜工程を示す説明図である。(B)は、絶縁性電流狭窄層に網目状の開口部を設ける工程であって、絶縁性電流狭窄層の一部分の除去工程を示す説明図である。
【
図6】
図6は、変形例の車両用発光素子の製造工程において、絶縁性電流狭窄層の一部分を除去して絶縁性電流狭窄層に網目状の開口部を設けた状態を示す斜視図(
図5(B)におけるVI矢視図)である。
【
図7】
図7は、変形例の車両用発光素子を示す説明図である。(A)は、絶縁層の開口部の開口分布を示す説明図(
図4におけるVII矢視図)である。(B)は、発光層における電流分布を示す説明図であって、縦軸が発光層における電流(物理量)であり、横軸が発光層の(A)におけるIV-IV線上の位置である。(C)は、発光面における輝度分布を示す説明図であって、縦軸が発光面における輝度(物理量)であり、横軸が発光面の(A)におけるIV-IV線上の位置である。(D)は、発光面における輝度分布を示す説明図(
図7(A)に対応する説明図)である。
【
図8】
図8は、この発明にかかる車両用発光素子パッケージの実施形態を示す説明図である。(A)は、蛍光体の光出射面を示す説明図である。(B)は、蛍光体の光出射面における輝度分布(上辺中央部分が最高輝度領域である輝度分布)を示す説明図である。
【
図9】
図9は、車両用発光素子パッケージを示す断面図(
図8(A)におけるIX-IX線断面図)である。
【
図10】
図10は、車両用発光素子パッケージの電流制御層としての絶縁性電流狭窄層を示す説明図(
図6に対応する説明図)である。
【
図11】
図11は、車両用発光素子パッケージの輝度分布の変形例を示す説明図である。(A)は、右辺中央部分が最高輝度領域である輝度分布を示す説明図(
図8(B)に対応する説明図)である。(B)は、左辺中央部分が最高輝度領域である輝度分布を示す説明図(
図8(B)に対応する説明図)である。
【
図12】
図12は、この発明にかかる車両用発光素子、車両用発光素子パッケージ、車両用光源ユニット、車両用灯具ユニット、車両用灯具の使用状態を示す車両の正面図(車両の前方から車両を見た図)である。
【
図13】
図13は、この発明にかかる車両用光源ユニットの実施形態を示す斜視図であって、かつ、この発明にかかる車両用灯具ユニットの実施形態を示す主要構成部品の分解斜視図である。
【
図14】
図14(A)は、車両用灯具ユニットを示す正面図(
図13におけるXIV矢視図)である。
図14(B)は、
図14(A)の車両用灯具から照射されたロービーム配光パターンを示す説明図である。
【
図15】
図15は、車両用灯具ユニットの変形例1を示す正面図(
図14(A)に対応する正面図)である。
【
図16】
図16(A)は、車両用灯具ユニットの変形例2を示す正面図(
図14(A)、
図15に対応する正面図)である。
図16(B)は、
図16(A)の車両用灯具から照射されたハイビーム配光パターンを示す説明図である。
【
図17】
図17は、車両用灯具ユニットの変形例3を示す正面図(
図14(A)、
図15、
図16(A)に対応する正面図)である。(A)は、右側の車両用灯具ユニットを示す正面図である。(B)は、左側の車両用灯具ユニットを示す正面図である。
【
図18】
図18は、
図17の車両用灯具ユニットから照射された配光可変タイプのハイビーム配光パターンを示す説明図である。(A)は、
図17(B)の左側の車両用灯具ユニットから照射された配光可変タイプのハイビーム配光パターンを示す説明図である。(B)は、
図17(A)の右側の車両用灯具ユニットから照射された配光可変タイプのハイビーム配光パターンを示す説明図である。(C)は、
図17(B)の左側の車両用灯具ユニットから照射された配光可変タイプのハイビーム配光パターンのうち一部の部分配光パターンが消灯(減光)された状態を示す説明図である。(B)は、
図17(A)の右側の車両用灯具ユニットから照射された配光可変タイプのハイビーム配光パターンのうち一部の部分配光パターンが消灯(減光)された状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、この発明にかかる車両用発光素子、車両用発光素子パッケージ、車両用光源ユニット、車両用灯具ユニット、車両用灯具の実施形態(実施例)、変形例を図面に基づいて説明する。この明細書、図面において、前、後、上、下、左、右は、この発明にかかる車両用発光素子、車両用発光素子パッケージ、車両用光源ユニット、車両用灯具ユニット、車両用灯具を車両に装備した際の前、後、上、下、左、右である。
【0022】
図面においては、概略図であるため、主要部品を図示し、主要部品以外の部品の図示を省略し、かつ、ハッチングの一部を省略する。
図14(B)、
図16(B)、
図18(A)(B)(C)(D)において、符号「VU-VD」は、スクリーンの上下の垂直線を示し、符号「HL-HR」は、スクリーンの左右の水平線を示す。
【0023】
(車両用発光素子100の構成の説明)
車両用発光素子100は、
図1から
図3に示すように、車両用発光素子100は、基板110と、積層部120と、光出射面としての発光面130と、を備える。
【0024】
基板110は、この例では、サファイア基板である。積層部120は、この例では、基板110の一面(図面において下面)に積層されている。発光面130は、この例では、基板110の他面(図面において上面)、すなわち、基板110の積層部120が積層されている面に対して反対側の面に設けられている。発光面130は、積層部120において発生した光が外部に出射することにより発光する面である。
【0025】
(積層部120の説明)
積層部120は、発光層140を含む複数の半導体層141~145(以下、「半導体層140~145」と称する)と、電極層150、151と、電流制御層としての低キャリア濃度層160と、反射層170と、を有する。積層部120は、一般的なLEDの製造工程により、製造されている。
【0026】
すなわち、積層部120は、基板110に、バッファ層としての第1n型半導体層(n-GnN層)141と、第2n型半導体層(n-AlGnN層)142と、低キャリア濃度層160と、第3n型半導体層(n-InGnN層)143と、多重量子井戸構造(MQW)の発光層(活性層、InGnN層)140と、第1p型半導体層(p-InGnN層)144と、反射層(Agなどの光反射性金属層など)170と、第2p型半導体層(p-GnN層)145とが、有機金属気相成長法(MOCVD法)を用いてエピタキシャル結晶成長工程により順次成膜されている。
【0027】
成膜された半導体層140~145および反射層170には、スルーホール152が、第2p型半導体層145から第1n型半導体層141の途中までの間に、開設されている。なお、スルーホール152は、この例では、複数本開設されているが、1本であっても良い。
【0028】
第2p型半導体層145の右側大部分とスルーホール152中には、絶縁層(SiO2など)153が形成されている。第2p型半導体層145の残りの左側部分は、絶縁層153が形成されておらず、露出している。
【0029】
絶縁層153には、n電極層150が形成されている。このn電極層150には、nロッド154が形成されている。このnロッド154は、絶縁層153を介して、スルーホール152中に挿入されている。露出している第2p型半導体層145には、p電極層151が形成されている。電極層150、151は、半導体層140~145に電力を供給する。
【0030】
(低キャリア濃度層160の説明)
低キャリア濃度層160は、電気伝導率が半導体層140~145の電気伝導率と異なる。この例では、低キャリア濃度層160の電気伝導率は、半導体層140~145の電気伝導率よりも低い。低キャリア濃度層160は、発光層140に対して平行にかつ部分的、この例では、図において右側の約半分の部分に形成されている。低キャリア濃度層160の分布は、左側部分において低キャリア濃度層160が存在せず、右側部分において低キャリア濃度層160が存在している。低キャリア濃度層160は、低キャリア濃度層160の分布に基づいて、発光面130に、左側部分の高輝度領域130Aと右側部分の低輝度領域130Bとの輝度分布を形成する。
【0031】
ここで、半導体層140~145の電気伝導率は、半導体層140~145におけるキャリア濃度に依存する。このため、半導体層140~145におけるキャリア濃度が低いと、半導体層140~145の電気伝導率が下がり、半導体層140~145の電気抵抗が増し、発光層140における電流が低減して、発光層140における輝度が低下する。逆に、キャリア濃度が高いと、電気伝導率が上がり、電気抵抗が低減し、発光層140における電流が増して、発光層140における輝度が上がる。
【0032】
そこで、
図1、
図3(D)に示すように、発光面130の右側部分に低輝度領域130Bを形成する場合、この場合においては、電気伝導率が半導体層140~145の電気伝導率より低い低キャリア濃度層160を、発光層140以外の半導体層141~145の右側部分に、形成する。すると、低キャリア濃度層160が形成されている右側部分における発光層140の電流が低減して、その右側部分における発光層140の輝度が低下する。この結果、発光面130の右側部分において、低輝度領域130Bが形成される。
【0033】
一方、
図1、
図3(D)に示すように、発光面130の左側部分に高輝度領域130Aを形成する場合、この場合においては、
低キャリア濃度層160の左側部分をエッチングにより除去して、低キャリア濃度層160が存在しない部分を、半導体層141~145の左側部分に、形成する。すると、低キャリア濃度層160が形成されていない左側部分における発光層140の電流が増して、その左側部分における発光層140の輝度が上昇する。この結果、発光面130の左側部分において、高輝度領域130Aが形成される。
【0034】
低キャリア濃度層160の結晶の材料は、低キャリア濃度層160の前後に成膜される半導体層、この例では、第2n型半導体層142、第3n型半導体層143半導体層の結晶の材料GnN、AlGnNあるいはInGnNと同一である。低キャリア濃度層160におけるキャリア濃度は、微量添加物(Mg、Zn、Pなど)の量で調整される。
【0035】
(反射層170の説明)
反射層170は、発光層140において発生した光を発光面130側に反射させる。反射層170は、この例では、第1p型半導体層144と第2p型半導体層145との間に成膜されている。しかしながら、反射層170の成膜位置は、特に、限定しない。
【0036】
(積層部120の製造工程の説明)
積層部120の製造工程は、以下の通りである。まず、基板110の一面に、第1n型半導体層141、第2n型半導体層142を、順次成膜する。
【0037】
つぎに、第2n型半導体層142に低キャリア濃度層160を全面に亘って成膜する(
図2(A)を参照)。つづいて、残したい右側部分(
図2(B)中の実線で示されている部分)の低キャリア濃度層160以外の左側部分(
図2(B)中の破線で示されている部分)の低キャリア濃度層160を、一般的なエッチングにより、除去する(
図2(B)を参照)。この除去工程においては、低キャリア濃度層160に対応する部分には、マスクにより、除去から逃れる。マスクパターンは、
図3(A)示すパターンをなす。
【0038】
それから、第2n型半導体層142の左側部分および残した右側部分の低キャリア濃度層160に、第3n型半導体層143、発光層140、第1p型半導体層144、反射層170、第2p型半導体層145を、順次成膜する。
【0039】
さらに、半導体層140~145、低キャリア濃度層160および反射層170に、スルーホール152を、開設する。このスルーホール152中および第2p型半導体層145の右側大部分に、絶縁層153を成膜する。
【0040】
そして、スルーホール152中の絶縁層153にn電極層150を形成すると共に、絶縁層153にn電極層150を成膜する。さらに、露出している第2p型半導体層145にp電極層151を成膜する。これにより、積層部120が製造される。
【0041】
(車両用発光素子100の作用の説明)
この実施形態にかかる車両用発光素子100は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。
【0042】
電極層150、151を介して半導体層140~145に電力を供給する。すると、電流は、n電極層150のnロッド154から、第1n型半導体層141、第2n型半導体層142に流れる。電流は、第2n型半導体層142から、左側部分において第3n型半導体層143に直接に流れ、または、右側部分において低キャリア濃度層160を介して第3n型半導体層143に流れる。電流は、第3n型半導体層143から、発光層140、第1p型半導体層144、反射層170、第2p型半導体層145を経てp電極層151に流れる。
【0043】
これにより、発光層140において光が発生する。発光層140の一面(上面)において発生した光は、第3n型半導体層143から、直接第2n型半導体層142を透過して、低キャリア濃度層160を介して第2n型半導体層142透過して、かつ、第1n型半導体層141および基板110を透過して、発光面130から出射する。
【0044】
一方、発光層140の他面(下面)において発生した光は、第1p型半導体層144を透過して反射層170で発光面130側に反射して、再び、第1p型半導体層144を透過して、発光層140から、前記の発光層140の一面からの光路と同様に進んで、発光面130から出射する。これにより、発光面130は、発光する。
【0045】
この時、発光面130の左側部分は、低キャリア濃度層160が無いので、高輝度領域130Aが形成される。一方、発光面130の右側部分は、低キャリア濃度層160が存在するので、低輝度領域130Bが形成される。このように、発光面130において、高輝度領域130Aと低輝度領域130Bとの輝度分布が形成される。
【0046】
(車両用発光素子100の効果の説明)
この実施形態にかかる車両用発光素子100は、
図1、
図3(D)に示すように、電流制御層として、電気伝導率が半導体層140~145の電気伝導率より低い低キャリア濃度層160を使用し、この低キャリア濃度層160を発光層140に対して部分的に形成して、低キャリア濃度層160の分布に基づいて、発光面130に高輝度領域130Aと低輝度領域130Bの輝度分布を形成する。
【0047】
このように、この実施形態にかかる車両用発光素子100は、発光層140における電流を制御して発光面130に輝度分布を形成する。この結果、この実施形態にかかる車両用発光素子100は、波長変換材料の密度分布、波長変換材料の平均粒径、波長変換材料の種類又はその組み合わせ、波長変換層に積層された透明層の表面粗さなどにより、半導体発光装置の輝度分布を形成する特許文献1の半導体発光装置及びそれを用いた車両用灯具と比較して、輝度分布を高精度に形成することができる。
【0048】
この実施形態にかかる車両用発光素子100は、低キャリア濃度層160の結晶の材料として、低キャリア濃度層160の前後に成膜される第2n型半導体層142、第3n型半導体層143半導体層の結晶の材料GnN、AlGnNあるいはInGnNと同一の材料を使用する。
【0049】
この結果、この実施形態にかかる車両用発光素子100は、低キャリア濃度層160を発光層140の成膜前に製膜しても、発光層140の成膜の際に、低キャリア濃度層160が存在していても、発光層140において結晶欠陥や歪の発生を抑制することができる。これにより、この実施形態にかかる車両用発光素子100は、低キャリア濃度層160を発光層140の成膜前または成膜後に製膜することができ、製造工程の自由度が増して、製造コストを安価にすることができる。
【0050】
この実施形態にかかる車両用発光素子100は、積層部120に反射層170を設けたので、反射層170で発光層140において発生した光を発光面130側に反射させることができ、発光面130において、高い発光効率を得ることができる。
【0051】
(車両用発光素子100の実施形態以外の例の説明)
なお、前記の実施形態においては、低キャリア濃度層160に添加する添加物の量によりキャリア濃度を調整する。すなわち、低キャリア濃度層160における電気伝導率を調整する。ここで、キャリア濃度が一定の低キャリア濃度層160の場合は、低キャリア濃度層160の厚さが薄くなるほど電気伝導率が大きくなる。すなわち、電気伝導率は、低キャリア濃度層160の厚さに依存しているので、低キャリア濃度層160の厚さを調整することにより、電気伝導率を調整することができる。また、低キャリア濃度層160に添加する添加物の量と低キャリア濃度層160の厚さを調整して、電気伝導率を調整しても良い。
【0052】
また、前記の実施形態においては、発光面130における輝度分布は、高輝度領域130Aと低輝度領域130Bの2段階である。しかしながら、低キャリア濃度層160の添加物の量または低キャリア濃度層160の厚さの少なくともいずれか一方の調整により、3段階以上の輝度分布を得ることができる。しかも、後記の車両用発光素子100Aの変形例のように、開口部の開口率の調整により、複数段の輝度分布を得ることができる。
【0053】
また、前記の実施形態においては、発光面130における輝度分布の高輝度領域130Aと低輝度領域130Bの境が直線である。しかしながら、境を曲線、曲線と直線との組み合わせであっても良い。
【0054】
(変形例の車両用発光素子100Aの構成の説明)
以下、変形例の車両用発光素子100Aの構成ついて、
図4から
図7を参照して、説明する。図中、
図1から
図3と同符号は、同一のものを示す。
【0055】
前記の実施形態にかかる車両用発光素子100は、電流制御層として、低キャリア濃度層160を使用したものである。この変形例にかかる車両用発光素子100Aは、電流制御層として、この例では、絶縁層(SiO2など)からなる絶縁性電流狭窄層180を使用するものである。絶縁性電流狭窄層180は、絶縁層(SiO2など)以外の物であっても良い。たとえば、無添加Si層、あるいは、絶縁層に低濃度の金属元素を添加した高抵抗層(電気伝導率が低い層)であっても良い。
【0056】
絶縁性電流狭窄層180は、半導体層140~145における電流の流れを狭めるものである。絶縁性電流狭窄層180は、反射層170と第2p型半導体層145との間に成膜されている。すなわち、絶縁性電流狭窄層180は、絶縁層(SiO2など)を使用する場合、発光層140の成膜後に成膜されている。すなわち、絶縁性電流狭窄層180は、発光層140に重ねて成膜されている。
【0057】
図5(B)、
図6に示すように、絶縁性電流狭窄層180には、開口部181が網目状に設けられている。以下、開口部181が設けられている絶縁性電流狭窄層180の製造について説明する。
【0058】
発光層140の成膜後であって、反射層170の成膜後に、反射層170に絶縁性電流狭窄層180を全面に亘って成膜する(
図5(A)を参照)。つづいて、絶縁性電流狭窄層180のうち、開口部181に対応する部分を、一般的なエッチングにより、除去する。この除去工程においては、開口部181以外の部分には、マスクにより、除去から逃れる。マスクパターンは、
図5(B)、
図6に示すパターンをなす。この結果、絶縁性電流狭窄層180には、開口部181が網目状に設けられる(
図5(B)、
図6を参照)。
【0059】
図4に示すように、開口部181中には、第2p型半導体層145が充填されている。このため、開口部181に対応する反射層170と第2p型半導体層145との間においては、電流が流れる。一方、開口部181が設けられていない絶縁性電流狭窄層180に対応する反射層170と第2p型半導体層145との間においては、電流が流れない。
【0060】
これにより、絶縁性電流狭窄層180における開口部181の開口率が大きいと、半導体層140~145における電気伝導率が高く、逆に、絶縁性電流狭窄層180における開口部181の開口率が小さいと、半導体層140~145における電気伝導率が低い。すなわち、半導体層140~145における電気伝導率は、絶縁性電流狭窄層180における開口部181の開口率に依存する。この結果、発光面130における輝度分布130C~130Fは、絶縁性電流狭窄層180における開口部181の開口分布に基づいて形成されている。
【0061】
ここで、絶縁性電流狭窄層180における開口部181の開口率の1例について説明する。この例における開口率は、最高輝度領域である100%の部分(
図5(B)中の破線で示されている左側約半分の部分)182と、75%の部分183と、50%の部分184と、25%の部分185と、を有する。100%の部分182、75%の部分183、50%の部分184、25%の部分185は、この例は、左側から右側に順に形成されている。なお、開口率が100%の部分182には、絶縁性電流狭窄層180は存在しない。
【0062】
開口率は、開口部181の横寸法a、縦寸法b、あるいは、開口部181の間隔の横寸法c、縦寸法dの少なくともいずれか一方に基づいて、調整されている。
【0063】
(変形例の車両用発光素子100Aの作用の説明)
この変形例の車両用発光素子100Aは、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。
【0064】
電極層150、151を介して半導体層140~145に電力を供給する。すると、電流は、n電極層150のnロッド154から、第1n型半導体層141、第2n型半導体層142、第3n型半導体層143、発光層140、第1p型半導体層144、反射層170に流れる。電流は、反射層170から直接第2p型半導体層145に、また、反射層170から開口部181中の第2p型半導体層145に、流れ、第2p型半導体層145を経てp電極層151に流れる。
【0065】
これにより、発光層140において光が発生する。この発光層140における発光により、発光面130が、輝度分布130C~130Fで発光する。発光面130における輝度分布開口率が100%の部分182に対応する部分の輝度を100%は、絶縁性電流狭窄層180における開口部181の開口率に基づいて形成されている。
【0066】
すなわち、開口率が100%の部分182に対応する部分130Cの輝度を100%とすると、開口率が75%の部分183に対応する部分130Dの輝度が75%であり、開口率が50%の部分184に対応する部分130Eの輝度が50%であり、開口率が25%の部分185に対応する部分130Fの輝度が25%である。
【0067】
(変形例の車両用発光素子100Aの効果の説明)
この変形例の車両用発光素子100Aは、以上のごとき構成、作用からなるものであるから、前記の車両用発光素子100とほぼ同様の効果を達成することができる。
【0068】
この変形例の車両用発光素子100Aは、発光層140の成膜後に、反射層170に絶縁性電流狭窄層180を成膜するものであるから、絶縁性電流狭窄層180として、絶縁層(SiO2など)を使用しても、発光層140において結晶欠陥や歪の発生を抑制することができる。これにより、この変形例の車両用発光素子100Aは、発光層140における発光効率を前記の車両用発光素子100における発光効率とほぼ同様に得ることができる。
【0069】
この変形例の車両用発光素子100Aは、絶縁性電流狭窄層180に開口部181を網目状に設けて、この開口部181の開口分布に基づいて、発光面130における輝度分布130C~130Fを形成するものである。この結果、この変形例の車両用発光素子100Aは、開口部181の開口分布を調整することにより、発光面130における輝度分布を任意に調整することができる。
【0070】
特に、この変形例の車両用発光素子100Aは、nロッド154の分布(nロッド154の表面積分布)の調整により、半導体層140~145における電流分布を調整して発光面130における輝度分布を調整する技術と比較して、スルーホール152を必要最低限少なくすることができる。この結果、この変形例の車両用発光素子100Aは、微細加工のスルーホール152の本数、スルーホール152中の絶縁層153の本数を低減することができ、その分、製造コストを安価にすることができる。しかも、この変形例の車両用発光素子100Aは、スルーホール152の本数を少なくすることにより、スルーホール152による半導体層140~145における電流の低減を抑制することができ、その分、高い発光効率を維持することができる。
【0071】
(車両用発光素子100、100Aの使用例の説明)
車両用発光素子100、100Aは、
図8から
図11に示すように、車両用発光素子パッケージ200、200A、200Bに使用される。
【0072】
(車両用発光素子パッケージ200の構成の説明)
車両用発光素子パッケージ200は、前記の変形例の車両用発光素子100Aと、パッケージ基板201と、蛍光体202と、封止部材203と、電極204、205と、保護素子206と、を備える。
【0073】
この車両用発光素子パッケージ200に使用される車両用発光素子100Aは、
図10に示すように、絶縁性電流狭窄層180に開口部181を設けたものである。開口部181は、この例では、半円形、円弧形をなしている。この例における開口率は、上辺の中央部分の100%の部分と、その100%の部分の周囲の部分の80%の部分と、その80%の部分の周囲の部分の60%の部分と、その60%の部分の周囲の部分の40%の部分と、その40%の部分の周囲の部分の20%の部分と、を有する。開口率は、前記の変形例の車両用発光素子100Aと同様に、開口部181の横寸法a、縦寸法b、あるいは、開口部181の間隔の横寸法c、縦寸法dの少なくともいずれか一方に基づいて、調整されている。車両用発光素子100Aの発光面130(
図9において左側の面)には、輝度分布が、絶縁性電流狭窄層180に開口部181の開口分布に対応して形成される。
【0074】
車両用発光素子100Aのうち、車両用発光素子100Aの発光面130(
図9において左側の面)に対して反対側の面(
図9において右側の面)が、パッケージ基板201の一面(
図9において左側の面)に、接合材207を介して固定されている。
【0075】
車両用発光素子100Aのうち、車両用発光素子100Aの発光面130には、蛍光体202の一面(
図9において右側の面)が、光透過性の接着剤208を介して接着されている。蛍光体202は、例えば、車両用発光素子100Aの発光面130から出射した青色光により励起されて黄色光を発するものであって、その青色光と黄色光とを合わせることで白色光とする。蛍光体202は、一面から入射した光を他面(
図9において左側の面)の光出射面209から外部に出射する。なお、車両用発光素子100Aの発光面130と蛍光体202の一面とを、接着剤208による接着の手段の他に、両方の面を鏡面研磨して温度を上げて押し付けることにより、直接接合(物理的な力で接合)する固着の手段がある。
【0076】
パッケージ基板201の他面(
図9において右側の面)には、電極204、205が設けられている。電極204、205は、車両用発光素子100Aのn電極層、p電極層に電気的に接続されている。パッケージ基板201の一面には、車両用発光素子100Aを保護する保護素子206が、接合材207を介して固定されている。保護素子206は、この例では、ツェナーダイオードであって、車両用発光素子100Aに過大な電圧印加がかかるのを防止して、車両用発光素子100Aの素子破壊や性能劣化を防止する。
【0077】
車両用発光素子100Aのうち、パッケージ基板201および蛍光体202が覆われていない露出面は、封止部材203により封止されている。封止部材203は、この例では、白色の樹脂材料であり、光不透過性である。封止部材203は、車両用発光素子100Aの発光面130からの光(青色光)の漏洩を防ぐ。
【0078】
(車両用発光素子パッケージ200の作用の説明)
電極204、205に電力を供給する。すると、車両用発光素子100Aにおいて発生した光が発光面130から蛍光体202を透過して蛍光体202の光出射面209から外部に出射する。この時、
図8(B)に示すように、光出射面209には、輝度分布209A~209Eが、車両用発光素子100Aの発光面130に形成された輝度分布に基づいて形成されている。車両用発光素子100Aの発光面130に形成された輝度分布は、絶縁性電流狭窄層180の開口部181の開口分布に対応している
【0079】
この結果、蛍光体202の光出射面209における輝度分布は、上辺の中央部分209Aと、その部分209Aの周囲の部分209Bと、その部分209Bの周囲の部分209Cと、その部分209Cの周囲の部分209Dと、その部分209Dの周囲の部分209Eと、を有する。
【0080】
上辺の中央部分209Aを最高輝度領域である100%の部分とすると、その100%の部分209Aの周囲の部分209Bは、80%の部分となり、その80%の部分209Bの周囲の部分209Cは、60%の部分となり、その60%の部分209Cの周囲の部分209Dは、40%の部分となり、その40%の部分209Dの周囲の部分209Eは、20%の部分となる。このように、蛍光体202の光出射面209には、輝度分布209A~209Eが、絶縁性電流狭窄層180の開口部181の開口分布を介して、車両用発光素子100Aの発光面130の輝度分布に対応して形成される。
【0081】
(変形例の車両用発光素子パッケージ200A、200Bの説明)
図11(A)に示す車両用発光素子パッケージ200Aは、右辺中央部分が最高輝度領域である輝度分布209A~209Eを有する。
図11(B)に示す車両用発光素子パッケージ200Bは、左辺中央部分が最高輝度領域である輝度分布209A~209Eを有する。
【0082】
(車両用発光素子パッケージ200、200A、200Bの効果の説明)
この実施形態にかかる車両用発光素子パッケージ200、200A、200Bは、この発明の車両用発光素子100Aを備えるものであるから、蛍光体202の光出射面209における輝度分布209A~209Eは、絶縁性電流狭窄層180の開口部181の開口分布を介して、車両用発光素子100Aの発光面130の輝度分布に対応して形成される。この結果、この実施形態にかかる車両用発光素子パッケージ200、200A、200Bは、輝度分布209A~209Eを高精度に形成することができる。
【0083】
この実施形態にかかる車両用発光素子パッケージ200、200A、200Bは、保護素子206を備えるものであるから、車両用発光素子100Aに過大な電圧印加がかかるのを防止して、車両用発光素子100Aの素子破壊や性能劣化を防止できる。
【0084】
(車両用発光素子パッケージ200、200A、200Bの実施形態以外の例の説明)
なお、前記の実施形態において、蛍光体202の光出射面209における輝度分布209A~209Eは、最高輝度領域を上辺の中央部分、右辺の中央部分、左辺の中央部分に、設け、また、境界線を半円形形状に形成したものである。しかしながら、この発明においては、最高輝度領域を上辺の中央部分、右辺の中央部分、左辺の中央部分以外の部分、例えば、中央部分に、設けても良いし、また、境界線を楕円形状、矩形形状その他の形状に形成しても良い。
【0085】
(車両用発光素子パッケージ200、200A、200Bの使用例の説明)
前記の車両用発光素子パッケージ200、200A、200Bは、
図12から
図18に示すように、車両用光源ユニット500に使用され、また、車両用光源ユニット500を介して車両用灯具ユニット400、400A、400B、400CL、400CRに使用され、さらに、車両用灯具ユニット400(400A、400B、400CL、400CR)を介して車両用灯具300L、300Rに使用される。
【0086】
(車両用光源ユニット500の構成の説明)
この実施形態にかかる車両用光源ユニット500は、
図13に示すように、車両用発光素子パッケージ200(200A、200B)と、点灯回路基板501と、点灯回路502と、電力供給路503と、を備える。
【0087】
点灯回路基板501の実装面には、車両用発光素子パッケージ200のパッケージ基板201、点灯回路502および電力供給路503が、それぞれ、実装されている。点灯回路502は、車両用発光素子パッケージ200への電力供給を制御する。電力供給路503は、車両用発光素子パッケージ200および点灯回路502に電力を供給する。
【0088】
(車両用灯具300L、300Rの構成の説明)
この実施形態にかかる車両用灯具300L、300Rは、
図12に示すように、この例では、フロントコンビネーションランプであって、車両300の前部の左右にそれぞれ装備されている。
【0089】
車両300の左側に装備されている左側の車両用灯具300L、車両300の右側に装備されている右側の車両用灯具300Rは、それぞれ、灯室303を形成するランプハウジング301およびランプレンズ302(素通しのアウターカバー)と、灯室303内に配置されている車両用灯具ユニット400(400A、400B、400CL、400CR)と、を備える。
【0090】
(車両用灯具ユニット400の構成の説明)
この実施形態にかかる車両用灯具ユニット400は、ロービーム用の車両用灯具ユニット400であって、
図13、
図14に示すように、車両用光源ユニット500と、コネクタ部材401と、放熱部材402と、光学部材としてのレンズ403と、を備える。
【0091】
コネクタ部材401は、車両用光源ユニット500の点灯回路基板501に着脱可能に取り付けることにより、車両用光源ユニット500の電力供給路503を、車両300に搭載の電力供給源(図示せず)に、電気的に接続する。
【0092】
放熱部材402は、円板形状の取付部と、フィン形状の放熱部と、を有する。放熱部材402の取付部の実装面には、車両用光源ユニット500の点灯回路基板501が取り付けられている。この時、車両用灯具ユニット400のレンズ光軸Zは、車両用光源ユニット500の車両用発光素子パッケージ200の最高輝度領域に位置する。
【0093】
レンズ403は、車両用光源ユニット500から出射した光を、車両用配光パターンこの例としてはロービーム配光パターンLPとして、外部に出射させる。レンズ403は、
図14(A)に示すように、この例では、正面視円形形状をなす。レンズ403は、円形形状の中央部分と円環形状の外周部分408とを有する。
【0094】
レンズ403の中央部分の入射面には、斜めライン404と水平ライン405とが設けられている。斜めライン404は、ロービーム配光パターンLPの斜めカットオフラインCL1を形成する。水平ライン405は、ロービーム配光パターンLPの水平カットオフラインCL2を形成する。
【0095】
レンズ403の中央部分の入射面は、第1中央入射面406と第2中央入射面407とを有する。第1中央入射面406は、ロービーム配光パターンLPの斜めカットオフラインCL1および水平カットオフラインCL2を含む高輝度領域の中央部分の第1配光パターンSPを形成する。第2中央入射面407は、ロービーム配光パターンLPの斜めカットオフラインCL1および水平カットオフラインCL2を含まない中輝度領域の中央部分の第2配光パターン(図示せず)を形成する。第2配光パターンは、第1配光パターンSPよりも少し下方にずれて配光されている。
【0096】
レンズ403の外周部分408は、ロービーム配光パターンLPの低輝度領域の拡散部分の第3配光パターンWPを形成する。第1配光パターンSPと、第2配光パターンと、第3配光パターンWPとは、重畳されて、ロービーム配光パターンLPを形成する。
【0097】
(車両用灯具300L、300R、車両用灯具ユニット400、車両用光源ユニット500の作用の説明)
車両用灯具ユニット400のコネクタ部材401から車両用光源ユニット500の電力供給路503を介して車両用発光素子パッケージ200および車両用灯具ユニット400の点灯回路502に電力を供給する。すると、車両用発光素子パッケージ200の蛍光体202の光出射面209から光が、光出射面209に形成された輝度分布209A~209Eに基づいて出射する。
【0098】
車両用発光素子パッケージ200の蛍光体202の光出射面209すなわち車両用光源ユニット500から出射した光は、車両用灯具ユニット400のレンズ403を経て、ロービーム配光パターンLPとして外部に出射される。車両用灯具ユニット400のレンズ403から外部に出射されたロービーム配光パターンLPは、車両用灯具300L、300Rのランプレンズ302を経て車両300の前方に照射される。
【0099】
(車両用灯具300L、300R、車両用灯具ユニット400、車両用光源ユニット500の効果の説明)
車両用光源ユニット500は、車両用発光素子パッケージ200の蛍光体202の光出射面209から光を、光出射面209に形成された輝度分布209A~209Eに基づいて出射させるものであるから、光出射面209から出射される光の輝度分布を高精度に形成することができる。
【0100】
車両用灯具300L、300R、車両用灯具ユニット400は、車両用光源ユニット500から出射した光を、ロービーム配光パターンLPとして外部に出射させ、しかも、そのロービーム配光パターンLPを車両用光源ユニット500の車両用発光素子パッケージ200の蛍光体202の光出射面209に形成された輝度分布209A~209Eに基づいて形成する。この結果、車両用灯具300L、300R、車両用灯具ユニット400は、ロービーム配光パターンLPの輝度分布を高精度に形成することができる。
【0101】
また、車両用灯具300L、300R、車両用灯具ユニット400は、上辺中央部分が最高輝度領域である輝度分布209A~209Eを有する車両用発光素子パッケージ200(
図8(B)を参照)を使用するものであるから、配光パターンの上縁に斜めカットオフラインCL1、水平カットオフラインCL2を有するロービーム配光パターンLPを形成するのに適している。
【0102】
さらに、車両用灯具300L、300R、車両用灯具ユニット400は、ロービーム配光パターンLPの配光制御を、車両用光源ユニット500の車両用発光素子パッケージ200の輝度分布209A~209Eに基づいて、行うことができるので、光学部材としてのレンズ403の配光設計を簡便にすることができ、その分、製造コストを安価にすることができる。
【0103】
(車両用灯具ユニットの変形例1の説明)
ロービーム配光パターンLPにおいては、斜めカットオフラインCL1と水平カットオフラインCL2との交点(エルボー点)における光度が6400cd以上であると規定されている。前記の車両用灯具ユニット400に使用されている車両用発光素子パッケージ200では、エルボー点における光度が規定を満たすことができない場合がある。
【0104】
このような場合には、
図15に示すように、前記の車両用灯具ユニット400に追加用の車両用灯具ユニット400Aを追加する。この追加用の車両用灯具ユニット400Aは、輝度分布が均一の車両用発光素子パッケージ200Cを使用する。また、この追加用の車両用灯具ユニット400Aは、斜めライン404と水平ライン405とが設けられていないレンズ403Aを使用するものである。なお、斜めライン404と水平ライン405とが設けられているレンズ403を使用しても良い。この追加用の車両用灯具ユニット400Aにより、ロービーム配光パターンLP全体の光度を上げて、エルボー点における光度の規定を満たすことができる。
【0105】
(車両用灯具ユニットの変形例2の説明)
前記の車両用灯具ユニット400、変形例1の車両用灯具ユニット400Aは、ロービーム配光パターンLPを照射する車両用灯具ユニットである。この変形例2の車両用灯具ユニット400Bは、
図16に示すように、ハイビーム配光パターンHPを照射する車両用灯具ユニットである。
【0106】
変形例2の車両用灯具ユニット400Bは、前記の車両用発光素子パッケージ200を上下逆さにして使用する。すなわち、輝度分布209A~209Eの最高輝度領域が下辺中央部分に位置する。
【0107】
また、変形例2の車両用灯具ユニット400Bは、レンズ403Bを使用する。すなわち、レンズ403Bの円形形状の中央部分は、ハイビーム配光パターンHPの全体の拡散部分(
図16(B)中の5個の楕円全部を含む部分)を形成する。レンズ403Bの円環形状の外周部分は、ハイビーム配光パターンHPの中央の高輝度領域部分(たとえば、
図16(B)中の5個の楕円のうち、中央の1個の部分)を形成する。
【0108】
これにより、この変形例2の車両用灯具ユニット400Bは、
図16に示すように、車両用発光素子パッケージ200の輝度分布209A~209Eに基づいている輝度分布のハイビーム配光パターンHPを照射する。
図16に示すハイビーム配光パターンHPの輝度分布は、楕円形状の5段階の輝度分布が描かれている。
【0109】
この変形例2の車両用灯具ユニット400Bにおいて、楕円形状の輝度分布を有する車両用発光素子パッケージを使用することにより、光学部材としてのレンズ403Bの配光設計を簡便にすることができ、その分、製造コストを安価にすることができる。
【0110】
(車両用灯具ユニットの変形例3の説明)
この変形例3の車両用灯具ユニット400CL、400CRは、
図17、
図18に示すように、配光可変タイプのハイビーム配光パターンLADBP、RADBPを照射する車両用灯具ユニットである。
【0111】
変形例3の車両用灯具ユニット400CL、400CRは、前記の車両用発光素子パッケージ200A、200Bを使用する。左側の車両用灯具ユニット400CLは、
図11(A)に示す車両用発光素子パッケージ200Aを、車両300の右側に、5個左右方向に配置し、かつ、
図11(B)に示す車両用発光素子パッケージ200Bを、車両300の左側に、4個左右方向に配置し、
図17(B)に示すように、合計9個の車両用発光素子パッケージ200A、200Bを配置する。右側の車両用灯具ユニット400CLは、
図11(A)に示す車両用発光素子パッケージ200Aを、車両300の右側に、4個左右方向に配置し、かつ、
図11(B)に示す車両用発光素子パッケージ200Bを、車両300の左側に、5個左右方向に配置し、
図17(A)に示すように、合計9個の車両用発光素子パッケージ200A、200Bを配置する。
【0112】
変形例3の車両用灯具ユニット400CL、400CRに使用されるレンズ403Cは、投影レンズである。レンズ403Cは、9個の車両用発光素子パッケージ200A、200Bの光出射面209における輝度分布の像(
図17(A)(B)を参照)を、拡大して、配光可変タイプのハイビーム配光パターンLADBP、RADBP(
図18(A)(B)を参照)として、車両300の前方に照射する。
【0113】
左側の車両用灯具ユニット400CLの右側の5個の車両用発光素子パッケージ200Aは、
図18(A)の左側の配光可変タイプのハイビーム配光パターンLADBPのうち、左側(HL側)5個の部分配光パターン(分割配光パターン)を形成する。左側の車両用灯具ユニット400CLの左側の4個の車両用発光素子パッケージ200Bは、
図18(A)の左側の配光可変タイプのハイビーム配光パターンLADBPのうち、右側(HR側)4個の部分配光パターンを形成する。左側の車両用灯具ユニット400CLの9個の車両用発光素子パッケージ200A、200Bは、
図18(A)の左側の配光可変タイプのハイビーム配光パターンLADBPの9個の部分配光パターンを形成する。
【0114】
右側の車両用灯具ユニット400CRの左側の5個の車両用発光素子パッケージ200Bは、
図18(B)の右側の配光可変タイプのハイビーム配光パターンRADBPのうち、右側(HR側)5個の部分配光パターンを形成する。右側の車両用灯具ユニット400CRの右側の4個の車両用発光素子パッケージ200Aは、
図18(B)の右側の配光可変タイプのハイビーム配光パターンRADBPのうち、左側(HL側)4個の部分配光パターンを形成する。右側の車両用灯具ユニット400CRの9個の車両用発光素子パッケージ200A、200Bは、
図18(B)の右側の配光可変タイプのハイビーム配光パターンRADBPの9個の部分配光パターンを形成する。
【0115】
変形例3の車両用灯具ユニット400CL、400CRは、いわゆる、ADB(Adaptive Driving Beam)タイプのランプユニットである。変形例3の車両用灯具ユニット400CL、400CRは、対向車や先行車などの前方車両が存在しない時には、
図18(A)(B)に示すように、全体のハイビーム配光パターンLADBP、RADBPを照射する。
【0116】
一方、変形例3の車両用灯具ユニット400CL、400CRは、前方車両が存在する時には、前方車両が存在する領域をその周囲の領域よりも暗くなるように制御する。たとえば、
図18(C)(D)に示すように、右側(HR側)から2個目の部分配光パターンと3個目の部分配光パターンとを、消灯(減光)する。これにより、前方車両に幻惑光を照射するのを抑制することができる。
【0117】
このように、変形例3の車両用灯具ユニット400CL、400CRは、車両用発光素子パッケージ200A、200Bの点灯消灯増光減光を制御装置で制御することにより、前方車両が存在する部分配光パターンを消灯または減光させて、全体のハイビーム配光パターンLADBP、RADBPを変化させる。
【0118】
制御装置は、図示されていないが、車両300に装備されている。制御装置は、検出部と、検出制御部と、点灯消灯制御部と、を有する。検出部は、たとえば、撮像装置(カメラ)、ミリ波レーダなどから構成されている。検出制御部は、検出部からの検出信号に基づいて、対向車や先行車の位置や距離を演算し、演算信号をインターフェースを介して点灯消灯制御部に出力する。点灯消灯制御部は、検出制御部からの演算信号に基づいて、車両用発光素子パッケージ200A、200Bの点灯消灯増光減光を制御する。
【0119】
ここで、前方車両が存在する領域をその周囲の領域よりも暗くする変形例3の車両用灯具ユニット400CL、400CRにおいては、前方車両への幻惑光の照射抑制の観点から、暗い領域と明るい領域との境(
図18(C)(D)中のスクリーンの上下の垂直線VU-VDと平行な線)を高精度に制御する必要がある。
【0120】
そこで、この変形例3の車両用灯具ユニット400CL、400CRにおいては、右辺中央部分に輝度分布209A~209Eの最高輝度領域を有する車両用発光素子パッケージ200A、および、左右辺中央部分に輝度分布209A~209Eの最高輝度領域を有する車両用発光素子パッケージ200Bを、使用することにより、暗い領域と明るい領域との境を高精度に制御することができる。
【0121】
また、この変形例3の車両用灯具ユニット400CL、400CRにおいては、車両用発光素子パッケージ200A、200Bを、組み合わせて使用することにより、
図18に示すように、スクリーンの中央部分(上下の垂直線VU-VDと左右の水平線HL-HRとの交点の部分)を高輝度領域とすることができる。
【0122】
さらに、この変形例3の車両用灯具ユニット400CL、400CRにおいては、左右の水平方向の寸法が上下の垂直方向の寸法よりも小さい車両用発光素子パッケージ200A、200Bを、使用するので、複数個、この例では、9個の車両用発光素子パッケージ200A、200Bを左右に水平方向に配置しても、9個の車両用発光素子パッケージ200A、200Bを左右の水平方向の寸法を小さく抑えることができる。
【0123】
このように、この変形例3の車両用灯具ユニット400CL、400CRは、配光可変タイプのハイビーム配光パターンLADBP、RADBPを照射する車両用灯具ユニットに適している。
【符号の説明】
【0124】
100 車両用発光素子
100A 変形例の車両用発光素子
110 基板
120 積層部
130 発光面
130A 高輝度領域
130B 低輝度領域
130C 輝度が100%の部分
130D 輝度が75%の部分
130E 輝度が50%の部分
130F 輝度が25%の部分
140 発光層
141 第1n型半導体層
142 第2n型半導体層
143 第3n型半導体層
144 第1p型半導体層
145 第2p型半導体層
150 n電極層
151 p電極層
152 スルーホール
153 絶縁層
154 nロッド
160 低キャリア濃度層(電流制御層)
170 反射層
180 絶縁性電流狭窄層(電流制御層)
181 開口部
182 開口率が100%の部分
183 開口率が75%の部分
184 開口率が50%の部分
185 開口率が25%の部分
200 車両用発光素子パッケージ
200A 車両用発光素子パッケージ
200B 車両用発光素子パッケージ
200C 車両用発光素子パッケージ
201 パッケージ基板
202 蛍光体
203 封止部材
204 電極
205 電極
206 保護素子(ツェナーダイオード)
207 接合材
208 接着剤
209 光出射面
209A 輝度が100%の部分
209B 輝度が80%の部分
209C 輝度が60%の部分
209D 輝度が40%の部分
209E 輝度が20%の部分
300 車両
300L 左側の車両用灯具
300R 右側の車両用灯具
301 ランプハウジング
302 ランプレンズ
303 灯室
400 車両用灯具ユニット
401 コネクタ部材
402 放熱部材
403 レンズ(光学部材)
404 斜めライン
405 水平ライン
406 第1中央入射面
407 第2中央入射面
408 外周部分
400A 車両用灯具ユニット
403A レンズ(光学部材)
400B 車両用灯具ユニット
403B レンズ(光学部材)
400CL 左側の車両用灯具ユニット
400CR 右側の車両用灯具ユニット
403C レンズ(光学部材)
500 車両用光源ユニット
501 点灯回路基板
502 点灯回路
503 電力供給路
a 開口部の横寸法
b 開口部の縦寸法
c 開口部の間隔の横寸法
d 開口部の間隔の縦寸法
CL1 斜めカットオフライン
CL2 水平カットオフライン
LP ロービーム配光パターン
SP 第1配光パターン
WP 第3配光パターン
HP ハイビーム配光パターン
LADBP 左側の配光可変タイプのハイビーム配光パターン
RADBP 右側の配光可変タイプのハイビーム配光パターン
Z レンズ光軸