IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 斉藤 幹雄の特許一覧

<>
  • 特開-粘着ロール 図1
  • 特開-粘着ロール 図2
  • 特開-粘着ロール 図3
  • 特開-粘着ロール 図4
  • 特開-粘着ロール 図5
  • 特開-粘着ロール 図6
  • 特開-粘着ロール 図7
  • 特開-粘着ロール 図8
  • 特開-粘着ロール 図9
  • 特開-粘着ロール 図10
  • 特開-粘着ロール 図11
  • 特開-粘着ロール 図12
  • 特開-粘着ロール 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023016149
(43)【公開日】2023-02-02
(54)【発明の名称】粘着ロール
(51)【国際特許分類】
   A47L 25/00 20060101AFI20230126BHJP
【FI】
A47L25/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021120270
(22)【出願日】2021-07-21
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-11-17
(71)【出願人】
【識別番号】594113517
【氏名又は名称】斉藤 幹雄
(74)【代理人】
【識別番号】100180415
【弁理士】
【氏名又は名称】荒井 滋人
(74)【代理人】
【識別番号】100097205
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 正樹
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 幹雄
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 さち子
(57)【要約】
【課題】比較的大きな固形状のゴミを保持した場合でもこれが離脱又は落下し難く、更に転がしや易い粘着ロールを提供するものである。
【解決手段】芯ロール体11と、芯ロール体11に巻かれた粘着シート12とを有する粘着ロールであって、芯ロール体11は、芯ロール体11の表面に、軸方向に交互に連続的に並ぶとともに、それぞれが前記軸方向に直交する向きに形成された凸状環条部111と凹状環条部112とを有し、粘着シート12は、芯ロール体11の凸状環条部111と凹状環条部112とに対応するように、粘着シート12の幅方向に交互に連続するとともにそれぞれが粘着シート12の長手方向に延びる凸部分121と凹部分122とによる凸凹形状CCに形成され、凸状環条部111に凸部分121が巻かれるとともに凹状環条部112に前記凹部分122が巻かれるように、粘着シート12が芯ロール体11に巻かれた構成となる。
【選択図】 図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の軸に対して回転可能な円筒形状の芯ロール体と、基材シートに粘着層が形成されてなり、前記粘着層を表側にして前記芯ロール体に巻かれた粘着シートとを有する粘着ロールであって、
前記芯ロール体は、
当該芯部材の表面に、軸方向に交互に連続的に並ぶとともに、それぞれが前記軸方向に直交する向きに形成された凸状環条部と凹状環条部とを有し、
前記粘着シートは、
前記芯ロール体の前記凸状環条部と前記凹状環条部とに対応するように、前記粘着シートの幅方向に交互に連続するとともにそれぞれが前記粘着シートの長手方向に延びる凸部分と凹部分とによる凸凹形状に形成され、
前記凸状環条部に前記凸部分が巻かれるとともに前記凹状環条部に前記凹部分が巻かれるように、前記粘着シートが前記芯ロール体に巻かれた、粘着ロール。
【請求項2】
前記粘着シートの前記基材シートは、当該基材シートの長手方向に所定の間隔にて配列されるとともに、それぞれが幅方向に延びるように形成された複数のミシン目を有する、請求項1または2記載の粘着ロール。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床面等の清掃に用いられる粘着ロールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
除塵を目的とした粘着ロールとして、粘着テープを略円筒形状の芯材に巻回したものが知られている。この粘着ロールを床面等の被清掃面に対して転がすことで、粘着テープにより被清掃面に存する塵埃等が粘着テープに保持される。これにより、被清掃面が清掃される。この粘着ロールは、上述した芯材及び粘着テープの他、芯材の中心軸を通る軸部と、この軸部から連続して延びていて利用者が把持する把持部とで形成されている。具体的には、軸部の一方の端部は芯材から突出し、折り返されて芯材の外側であって長手方向略中央部分まで延び、ここから直角に折り曲げられて把持部として延びている。軸部は芯材に対して自由に回転可能に保持されているため、利用者が把持部を介して軸部を被清掃面に沿って移動させることで、芯材及び粘着テープが被清掃面に押圧されながら回転する。ある程度粘着テープに塵埃が保持された際は、最も外側の粘着テープを剥がすことで未使用の粘着テープを露出させる。
【0003】
このような従来の粘着ロールは、表面が平滑な芯材に対してシート状の粘着テープが巻回されているだけなので、大きな塵埃が粘着テープに保持された場合にこの大きな塵埃が突出してしまう。このまま粘着ロールを転がして清掃を続けると、被清掃面にこの大きな塵埃が必ず衝突するので、一度保持されたとしても再び粘着テープから離脱してしまうおそれがある。また、粘着テープから離脱しなかったとしても、大きな塵埃はある程度の大きさを有する塊であるため、粘着されている面積が狭く、またその自重により粘着テープを剥がす際に落下してしまうおそれがある。また、粘着テープの全面が被清掃面に粘着しながら転がるため、これが抵抗となって転がしにくいことがある。
【0004】
したがって、粘着テープの表面に凹凸形状を設けることが考えられる(例えば特許文献1参照)。特許文献1では、粘着テープの表面に凹凸を具備させることで、粘着テープの剥がしやすさを実現しようとしている。しかしながら、特許文献1が示すエンボス形状に代表される部分的に盛り上がるような凸部を設けただけでは、上述したような大きな塵埃が粘着テープに対して粘着されている面積は狭いままであり、やはり外側の粘着テープを剥がしたときにこれが落下してしまうおそれがある。また、特許文献1に代表されるように粘着テープの表面に凹凸形状を設けるものは、巻回されて粘着テープが重なった際に、あえてこれら凹凸形状が重ならないようにしている。これは、粘着テープが巻回された際に径が大きくなってしまい、保管スペースの増大及び輸送コストの増加を招く。
【0005】
一方で、芯材の表面に凹凸形状を設けたものも知られている(例えば特許文献2参照)。特許文献2では、粘着テープと芯材とを噛合させ、粘着テープの芯材からの脱落を防止するものである。しかしながら、粘着テープの表面は平坦であるため、上述した大きな塵埃を保持した際の問題点は残ったままである。
【0006】
このように粘着テープ及び芯材単体で凹凸形状を設けるものは知られているが、上記課題を掲げてこの凹凸形状をこの課題に沿って解決しようとする技術はまだ知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2019-171052号公報
【特許文献2】実開昭64-1669号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記従来技術を考慮したものであり、比較的大きな固形状のゴミを保持した場合でもこれが離脱又は落下し難く、更に転がしや易い粘着ロールを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る粘着ロールは、所定の軸に対して回転可能な円筒形状の芯ロール体と、基材シートに粘着層が形成されてなり、前記粘着層を表側にして前記芯ロール体に巻かれた粘着シートとを有する粘着ロールであって、前記芯ロール体は、当該芯ロール体の表面に、軸方向に交互に連続的に並ぶとともに、それぞれが前記軸方向に直交する向きに形成された凸状環条部と凹状環条部とを有し、前記粘着シートは、前記芯ロール体の前記凸状環条部と前記凹状環条部とに対応するように、前記粘着シートの幅方向に交互に連続するとともにそれぞれが前記粘着シートの長手方向に延びる凸部分と凹部分とによる凸凹形状に形成され、前記凸状環条部に前記凸部分が巻かれるとともに前記凹状環条部に前記凹部分が巻かれるように、前記粘着シートが前記芯ロール体に巻かれた、構成となる。
【0010】
このような構成により、芯ロール体の凸状環条部に粘着シートのその長手方向に延びる凸部分が巻かれるとともに、芯ロール体の凹状環条部に粘着シートのその長手方向に延びる凹部分が巻かれるように、前記粘着シートが粘着層を表側にして前記芯ロール体に巻かれているので、粘着シートの凸部分がつぶれることなく、当該粘着シートの凸部分の先端が被清掃面に押さえつけられながら、粘着ロールは、芯ロール体の軸を中心にして転がり得る。この状態で転がる粘着ロールでは、その最外周の粘着シート(粘着層)に埃、ゴミ等が付着する。比較的大きい固形状のゴミは、粘着シートの凹部分内に嵌まり込んでその粘着層に付着し得る。
【0011】
本発明に係る粘着ロールは、前記粘着シートの前記基材シートは、当該基材シートの長手方向に所定の間隔にて配列されるとともに、それぞれが幅方向に延びるように形成された複数のミシン目を有する、構成とすることができる。
【0012】
このような構成により、最外周の粘着シート(粘着層)部分に埃、ゴミが付着した状態において、その最外周の粘着シート部分を、基材シートに形成されたミシン目に沿って容易に切り取ることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、粘着シートの凸部分がつぶれることなく、当該粘着シートの凸部分の先端が被清掃面に押さえつけられながら、粘着ローラが芯ロール体の軸を中心にして転がり得るので、粘着シート(粘着層)の被清掃面への接触面積が少ない分、抵抗感が少なく転がしや易いものとなり得る。
【0014】
また、本発明によれば、比較的大きい固形状のゴミは、粘着シートの凹部分内に嵌まり込んでその粘着層に付着し得るので、そのような固形状のゴミを保持した場合でもこれが離脱又は落下し難いものとなり得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る粘着ローラを示す斜視図である。
図2図2は、図1に示す粘着ロールに用いられる芯ロール体を示す斜視図である。
図3図3は、図2に示す芯ロール体の軸(中心軸)を含む面Aでの断面を示す断面図である。
図4図4は、芯ロール体表面に交互に連続して並ぶ凸状環条部と凹状環条部とを形成する機構の一例を示す斜視図である。
図5図5は、粘着シートを図1のB方向から見た断面形状を示す断面図である。
図6図6は、芯ロール体に粘着シートが巻かれた粘着ロールの部分的な構造を拡大して示す断面図である。
図7図7は、粘着ロールの使用状態の一例を示す図である。
図8図8は、使用された粘着ロールを拡大して部分的に示す断面図である。
図9図9は、本発明の実施の形態に係る粘着ロールを製造する製造装置を概略的に示す図である。
図10図10は、図9に示す製造装置に設けられる、粘着シートを交互に連続的に並ぶ凸部分と凹部分とによって凸凹形状に形成する機構の一例を拡大して示す斜視図である。
図11図11は、図9に示す製造装置における粘着ロールの製造手順を示すフローチャートである。
図12図12は、粘着ロールに形成される切取り線の一例を示す斜視図である。
図13図13は、図12に示す切取り線が形成された粘着ロールを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0017】
本発明の実施の一形態に係る粘着ロールは、図1に示すように構成される。
【0018】
図1において、粘着ロール10は、所定の軸に対して回転可能な円筒形状の芯ロール体11に粘着シート12が巻かれた構造となっている。芯ロール体11は、例えば紙製であって、中心部分が中空(中空部11a)の円筒形状に形成されている。芯ロール体11の表面には、図2とともに図3に拡大して示すように、その軸方向に交互に連続的に並ぶとともにそれぞれが軸方向に直交する向きに凸状環条部111と凹状環条部112とが形成されている。軸方向に交互に並ぶ凸状環条部111と凹状環条部112とによって芯ロール体11の表面はその軸方向に凸凹形状CC(例えば、波形形状)になっている。
【0019】
芯ロール体11の凸凹形状CCの表面は、例えば、図4に示す機構によって形成することができる。
【0020】
図4において、この機構は、金属製の型ローラ20と、天然ゴムや合成ゴム等の適度な弾性を有する弾性部材で形成された軸ロール21とを備えている。型ローラ20と軸ロール21とはそれぞれの回転軸が平行となるように配置されている。型ローラ20には、その軸方向に交互に連続的に並ぶとともにそれぞれが軸方向に直交する向きに凹状環条部と凸状環条部とが形成されており、型ローラ20の表面がその軸方向に凹凸形状CC(例えば、波形形状)になっている。紙製の円筒ロール体1の中空部1aに軸ロール21を通すようにして当該円筒ロール体1が軸ロール21にセットされる。型ローラ20(金属製)が円筒ロール体1を軸ロール21(弾性部材)に押し付けるように型ローラ20と軸ロール21とが円筒ロール体1を挟み込み、この状態で、型ローラ20と軸ロール21とが逆方向に回転する。
【0021】
このように円筒ロール体1を挟み込んだ状態での型ローラ20と軸ロール21との逆方向の回転により、型ローラ20(金属製)の表面の凹凸形状(例えば、波形形状)が弾性部材(軸ロール21)で支持される円筒ロール体1の表面に転写されるように当該円筒ロール体1の表面が成形される。これにより、円筒ロール体1の表面には、型ローラ20の表面の前記凹凸形状CCに対応して軸方向に交互に連続的に並ぶとともにそれぞれが軸方向に直交する向きに凸状環条部111と凹状環条部とが形成され、その円筒ロール体1が上述した構造の芯ロール体11(図2及び図3参照)となる。
【0022】
図1を参照するとともに図5において、粘着シート12は、基材シートとしての剥離シート12aと、その表面に形成された粘着層12b(例えば、合成ゴム系粘着剤)とを有している(図5参照)。粘着シート12は、前述した芯ロール体11の凸状環条部111と凹状環条部112とに対応するように、その幅方向に交互に連続するとともにそれぞれがその長手方向に延びる凸部分121と凹部分122とによる凸凹形状CC(例えば、波形形状:図1参照)に形成されている。なお、粘着シート12の剥離シート12aには、図1に示すようにその幅方向に延びるミシン目13が、その長手方向に所定の間隔をもって連続的に形成されている。
【0023】
粘着ロール10は、上述したように凸凹形状CCの粘着シート12が凸凹形状CCの表面を有する芯ロール体11に巻かれた構造となる。具体的には、図1とともに、図6に示すように、芯ロール体11の凸状環条部111に粘着シート12の凸部分121が巻かれるとともに、芯ロール体11の凹状環条部112に粘着シート12の凹部分122が巻かれるように、粘着層12bを表側にして、粘着シート12が芯ロール体11に巻かれる。このような巻き方により、表面が凸凹形状となる芯ロール体11に凸凹形状となる粘着シート12を、その凸凹形状を崩すことなく、かつ隙間なく巻くことができる。
【0024】
なお、芯ロール体11の凸状環条部111の頂点と凹状環条部112の底点との距離H(深さ:図3参照)及び粘着シート12の凸部分121の頂点と凹状部122の底点との距離h(深さ:図5参照)それぞれは、特に限定されないが、例えば、2mm程度に設定することができる。
【0025】
上述したような構造の粘着ロール10は、次のようにして使用される。
【0026】
図7に示すように、握りを有するハンドル部15に前述した構造の粘着ロール10が装着される。ハンドル部15を握る利用者は、被清掃面50に粘着ロール10を押し付けるようにしてそのハンドル部15を前後方向(点線矢印参照)に移動させて粘着ロール10を被清掃面50上で転がす。粘着ロール10が被清掃面50を転がる際に、その被清掃面50に存在するゴミD、埃Dが粘着ロール10における最外周の粘着シート12(粘着層12b)に付着し、被清掃面50から除去される。
【0027】
更に詳細にみると、図8に示すように、粘着ロール10では、芯ロール体11の凸状線条部111に粘着シート12の凸部分121が巻かれるとともに、芯ロール体11の凹状線条部112に粘着シート12の凹部分122が巻かれるように、粘着シート12が芯ロール11に隙間なく巻かれている。このため、芯ロール体11の凸状線条部111が支えとなって、粘着シート12の凸部分121がつぶれることなく、その粘着シート12の凸部分121の先端が被洗浄面50に押さえつけられながら、粘着ロール10は芯ロール体11とともに転がり得る。このように転がる粘着ロールでは、その最外周の粘着シート12(粘着層12b)にゴミ等が付着する。比較的小さいゴミや埃は、粘着シート12の凸部分121及びその近傍部分に多く付着し得る一方、比較的大きい固形状のゴミ(図8におけるD1、D2、D3参照)は、粘着シート12の凹部分122嵌まり込んでその部分に付着し得る。
【0028】
上述したような粘着ロールによれば、粘着シート12の凸部分121がつぶれることなく、当該粘着シート12の凸部分121の先端が被清掃面50に押え付けられながら、粘着ローラ10が芯ロール体11の軸を中心にして転がり得るので、粘着シート12(粘着層12b)の被清掃面50への接触面積が比較的少なく、その分抵抗感が少なく転がしや易いものとなり得る。
【0029】
また、比較的大きい固形状のゴミD1、D2、D3(図8参照)は、粘着シート12の凹部分112内に嵌まり込んでその粘着層12bに付着し得るので、粘着ローラ10を転がしている際に、粘着シート12面(粘着層12b)から離脱し難い。更に、粘着ローラ10を被清掃面50から持ち上げて、粘着シート12の最外周部分をミシン目13に沿って切り剥がす際にも、その比較的大きい固形状のゴミがその切り剥がす際の振動によって落下してしまうことも防止することができる。
【0030】
更に、粘着シート12が凸凹形状CC(例えば、波形形状)となって、粘着シート12の表面積が平坦な粘着シートの表面積に比べて大きくなるので、全体としてより多くの比較的大きい固形状のゴミや細かいゴミや埃を付着させることができるようになる。
【0031】
次に、前述した粘着ロール10の製造方法の一例について説明する。
【0032】
前述した粘着ロール10は、例えば、図9に示す製造装置を用いて製造することができる。この製造装置は、駆動ローラ31と従動ローラ32とに巻きかけられるとともに、これら駆動ローラ31と従動ローラ32との間に配置される複数のローラによって支えられる環状ベルト33を備えている。環状ベルト33は、駆動ローラ31の回転によりその上側面が所定の方向D(図9において左から右に向う方向)に移動するように回動する。繰出しローラ30から繰り出される剥離シート12aは、移動する環状ベルト31の上側面に押えローラ37、38等によって押さえつけられながら前述した環状ベルト31の移動とともに移動して、後述するように粘着層12bが形成された粘着シート12として芯ロール体11に巻き取られるようになっている。なお、剥離シート12aには、その長手方向に所定の間隔に配列されるとともに、それぞれが幅方向に延びる複数のミシン目13が形成されている。
【0033】
押えローラ37の近傍下流側には剥離シート12aを凸凹形状(例えば、波形形状)に成形するための、上下に配置される型ローラ33と受けローラ34とが設けられている。これら型ローラ33及び受けローラ34は、前述した芯ロール体11を形成するために使用する型ローラ20及び軸ロール21(図4参照)と同様に、型ローラ33が金属製であって、受けローラ34が天然ゴムや合成ゴム等の適度な弾性を有する弾性部材にて形成されている。図9とともに更に図10に拡大して示すように、型ローラ33及び受けローラ34のそれぞれは剥離シート12aの幅方向(長手方向に直交する方向)に延びるように配置されている。型ローラ33には、前述した型ローラ20と同様に(図4参照)、その軸方向に交互に連続的に並ぶとともにそれぞれが軸方向に直交する向きに凹状環条部と凸状環条部とが形成されており、型ローラ34の表面がその軸方向に凹凸形状CC(例えば、波形形状)になっている。上側の型ローラ33が剥離シート12aを下側の受けローラ34に押し付けるようにして、型ローラ33と受けローラ34とが剥離シート12aを挟みこんでいる。そして、この状態で、型ローラ33と受けローラ34とが剥離シート12aを引き込むように逆方向に回転する。
【0034】
上述したように繰出しローラ30から繰り出される剥離シート12aがそれぞれ回転する型ローラ33と受けローラ34との間を通過することにより、型ローラ33(金属製)の表面の凹凸形状(例えば、波形形状)が剥離シート12aを連続的に受けローラ34(弾性部材)に対して押し付けるようになる。その結果、剥離シート12aは、型ローラ33の表面の前記凹凸形状CCに対応して、図5に示すように、幅方向に交互に連続するとともにそれぞれが長手方向に延びる凸部分121と凹部分122とによる凸凹形状CCに成形される(図10参照)。
【0035】
図9に戻って、上下に配置される型ローラ33と受けローラ34との下流側に配置される押えローラ38の更に近傍下流側には塗布器35が設けられている。塗布器35は、上述したように凸凹形状CCに成形された剥離シート12a(図10参照)が当該塗布器35の直下を通過する際に、その剥離シート12aの表面に粘着剤を一様の厚さに塗布する。
【0036】
塗布器35の更に下流側には、乾燥機36が配置されている。塗布器35によって表面に一様の厚さの粘着剤が塗布された剥離シート12aが乾燥機36内を通過する際に、表面の粘着剤が乾燥する。これにより、剥離シート12aの表面に粘着層12b(粘着剤)が形成された粘着シート12が形成される。
【0037】
乾燥機36を通過して剥離シート12aの表面に粘着層12bが形成された構造となる粘着シート12は、環状ベルト33とともに移動して、順次芯ロール体11に巻き取られる。芯ロール体11の凸状環条部111に粘着シート12の凸部分121が巻かれるとともに、芯ロール体11の凹状環条部112に粘着シート12の凹部分122が巻かれるように、芯ロール体11と粘着シート12との位置調整がなされている。これにより、粘着シート12は、表面が凸凹形状となる芯ロール体11にその凸凹形状を崩すことなく、かつ隙間なく芯ロール体11に巻かれていく。
【0038】
上述したような製造装置では、結局、図11に示すような手順に従って粘着ロール10が製造される。
【0039】
繰出しローラ30にセットされてその繰出しローラ30から繰り出される剥離シート12aが、上下に配置される型ローラ33と受けローラ34とによって凸凹形状CCに成形される(S1)。凸凹形状CCに成形された剥離シート12の表面に塗布器35によって粘着剤が塗布され(S2)、その剥離シート12aの表面の粘着剤が乾燥機36によって乾燥される(S3)。これにより、剥離シート12aの表面に粘着層12bが形成される。剥離シート12aの表面に粘着層12bが形成された構造の粘着シート12が芯ロール体11に巻き取られ(S4)、粘着ロール10が完成する。
【0040】
上述したような製造装置によれば、剥離シート12aを繰出しローラ30にセットするとともに表面が凸凹形状となる芯ロール体11をセットした状態での一連の工程(図11参照)により、凸凹形状CCの粘着シート12が、その凸凹形状が崩されることなく、かつ隙間なく、凸凹形状CCの表面を有する芯ロール体11に巻かれた構造の粘着ロール10を製造することができる。
【0041】
上述したような粘着ロール10において、粘着シート12の形状及び芯ロール体11の表面の形状のそれぞれは、図6等に示すような波形形状のような凸凹形状に限られず、半円形によって凸凹形状とするものであっても、半楕円形によって凸凹形状とするものであっても、概ね三角形によって凸凹形状とするものであっても、更に他の形による凹凸形状であっても特に限定されない。
【0042】
芯ロール体11の表面を凸凹形状に成形する方法は、図4に示す方法に限定されず、他の方法、例えば、表面が凸凹形状となる芯ロール体11を成型機(例えば、プレス成型機)によって成形するようにしてもよい。また、芯ロール体11の材質は、紙に限定されることなく、他の材質、例えば、樹脂であってもよい。更に粘着シート12を凸凹形状に成形する方法についても前述した方法(図9参照)に限定されない。
【0043】
前述した実施の形態では、剥離シート12aにミシン目13が形成されるものであったがこれに限定されない。例えば、図12及び図13に示すように、芯ロール体11に粘着シート12が巻かれた構造の粘着ロール10に対して、その表面(最外周の粘着シート12a)から芯ロール体11至る切れ込みをレーザカッタ等によって順次軸方向に延びるように形成することにより、粘着シート12の幅方向に延びる切取り線14を、粘着シート12の長手方向にある間隔をもって連続的に形成することもできる。
【0044】
また、粘着ロールの製造方法も、図9に示す製造装置を用いる方法に限定されず、他の構造の装置を用いる方法であってもよい。
【0045】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、この実施の形態は、一例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上述したこれら新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明に係る粘着ロールは、比較的大きな固形状のゴミを保持した場合でもこれが離脱又は落下し難く、更に転がしや易いという効果を有し、床面等の清掃に用いられる粘着ロールとして有用である。
【符号の説明】
【0047】
10:粘着ロール、11:芯ロール体、11a:中空部、12:粘着シート、12a:剥離シート(基材シート)、12b:粘着層、13:ミシン目、14:切取り線、15:ハンドル部、20:型ローラ、21:軸ロール、30:繰出しローラ、31:駆動ローラ、32:従動ローラ、33:型ローラ、34:受けローラ、35:塗布器、36:乾燥機、37、38:押えローラ、111:凸部分、112:凹部分、121:凸状環条部、122:凹状環条部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13