(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161490
(43)【公開日】2023-11-07
(54)【発明の名称】家畜用飼料
(51)【国際特許分類】
A23K 10/37 20160101AFI20231030BHJP
A23K 50/30 20160101ALI20231030BHJP
【FI】
A23K10/37
A23K50/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022071920
(22)【出願日】2022-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】504224153
【氏名又は名称】国立大学法人 宮崎大学
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100204467
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 好文
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【弁理士】
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100195833
【弁理士】
【氏名又は名称】林 道広
(72)【発明者】
【氏名】川島 知之
(72)【発明者】
【氏名】高橋 俊浩
(72)【発明者】
【氏名】河原 聡
(72)【発明者】
【氏名】小林 郁雄
(72)【発明者】
【氏名】林田 良
【テーマコード(参考)】
2B005
2B150
【Fターム(参考)】
2B005EA11
2B150AA03
2B150AB05
2B150CA14
2B150CE16
2B150DD43
2B150DD56
(57)【要約】
【課題】風味の高い食肉を得ることができる適正な繊維質を含有する家畜用飼料を提供する。
【解決手段】カンショデンプン粕を配合した。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カンショデンプン粕が配合されていることを特徴とする家畜用飼料。
【請求項2】
前記カンショデンプン粕は、飼料全体の30重量%未満の割合で配合されていることを特徴とする請求項1に記載の家畜用飼料。
【請求項3】
前記カンショデンプン粕が、カンショデンプン粕と異なる繊維質飼料原料と合わせて飼料全体の30重量%未満の割合で配合されていることを特徴とする請求項2に記載の家畜用飼料。
【請求項4】
総繊維中の高消化性繊維の割合が20~40重量%であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の家畜用飼料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
特に適切な割合で繊維質を含有する家畜用飼料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、家畜を飼育するにあたり、飼育基準に従った配合と分量で作られた配合飼料を与えることで、健康状態の維持と正常な生育が図られている(例えば、特許文献1を参照。)。例えば、養豚の飼料の配合としては、トウモロコシと大豆粕とフスマを主原料とし、各種不足する栄養素を添加しているものが広く用いられている。これら主原料は原価が安く、かつ基準における主要な栄養素の項目で養分要求量を満たすことができる。主原料の中でも特にフスマは、繊維質を多く含有しており、過剰なエネルギー摂取を抑え、過肥になることを防ぐ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-83738号公報(第2頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明者らは、飼料に含まれる繊維質の中で特に高消化性繊維が豚の腸内環境の良化に関与すること、高消化性繊維が腸内での微生物増殖を促進することで食肉の風味が改善することを研究により明らかにした。特にカンショデンプン粕は、繊維質含量がフスマと同程度でありながら、繊維質に占める高消化性繊維の割合がフスマより高く、発明者らはカンショデンプン粕を豚の飼料に配合することで肉質を向上できることを見出した。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、風味の高い食肉を得ることができる適正な繊維質を含有する家畜用飼料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の家畜用飼料は、カンショデンプン粕が配合されていることを特徴としている。
この特徴によれば、大腸内での微生物増殖が促進されるのに十分な高消化性繊維を、飼料の摂食という形で家畜に習慣的に摂取させ、風味の高い食肉を得ることができる。
【0007】
前記カンショデンプン粕は、飼料全体の30重量%未満の割合で配合されていることを特徴としている。
この特徴によれば、飼料全体における養分要求量の基準への影響が少ない。
【0008】
前記カンショデンプン粕が、カンショデンプン粕と異なる繊維質飼料原料と合わせて飼料全体の30重量%未満の割合で配合されていることを特徴としている。
この特徴によれば、総繊維量を確実に確保しながら、高消化性繊維を十分に含有することから、大腸内での微生物増殖を効果的に促進させることができる。
【0009】
総繊維中の高消化性繊維の割合が20~40重量%であることを特徴としている。
この特徴によれば、総繊維量を確実に確保しながら、高消化性繊維を十分に含有することから、大腸内での微生物増殖を効果的に促進させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る家畜用飼料を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例0011】
本実施例の家畜用飼料は、カンショデンプン粕が配合された飼料であり、養分要求量の基準に近似するものである。
【0012】
カンショデンプン粕は、甘藷澱粉の製造工程で排出される食品加工副産物であり、甘藷から澱粉乳を抽出した残留物である。カンショデンプン粕は、その成分のうち澱粉が43.5重量%、食物繊維が49.7重量%を占めており、加えてペクチンが豊富に含まれている。
【0013】
(実証試験)
カンショデンプン粕が配合された飼料の有用性を検証するために、実証試験を行った。実証試験では、カンショデンプン粕が配合された飼料である試験飼料と、カンショデンプン粕が配合されていない飼料である対照飼料を比較対照として用意した。
【0014】
対照飼料としては、トウモロコシ、大豆粕、フスマを主体とし、肥育後期豚の養分要求量を満たすよう配合された飼料を用いた。詳しくは、表1に示されるように、乾燥させたトウモロコシが66.69重量%、大豆粕が14.92重量%、第三リン酸カルシウムが0.60重量%、炭酸カルシウムが0.70重量%、食塩が0.20重量%、プレミックスが0.11重量%で配合されている。なお、体重毎の養分要求量を表2に示す。
【0015】
【0016】
【0017】
試験飼料として、トウモロコシ、大豆粕、カンショデンプン粕を主体とした飼料を用いた。言い換えると、フスマの代替としてカンショデンプン粕を用い、表1に示されるように、乾燥させたトウモロコシが57.99重量%、大豆粕が21.97重量%、カンショデンプン粕が19.10重量%、第三リン酸カルシウムが0.63重量%、食塩が0.20重量%、プレミックスが0.10重量%で配合されている。
【0018】
カンショデンプン粕は鹿児島県産の甘藷から生産されたものを用い、調製前に60°Cの送風低温乾燥機で48時間以上乾燥させた。試験飼料はTDN(可消化養分総量)、CP(粗タンパク質)及びOCW(総繊維)含量が対照飼料と等しくなるよう設計した。飼料設計に際し、カンショデンプン粕のタンパク質、粗脂肪、粗繊維、粗灰分、カルシウム及びリン含量、OCW(総繊維)及びOa(高消化性繊維)は事前に分析された値を用いた。基準となる可消化養分総量であるTDN含量は日本標準飼料成分表(2009年版)の値を用いた。なお、試験飼料で使用したカンショデンプン粕は石灰処理によって脱水してあったため、Ca含量が高く、試験飼料において炭酸カルシウムを配合しなかった。
【0019】
実証試験の供試動物は、LWD交雑種去勢雄豚8頭を用いた。供試豚は2腹から体重の近い個体を選抜し、平均体重が等しくなるように対照区(59.4±7.21kg)、試験区(58.8±12.2kg)に4頭ずつ配置した。供試豚は、おがくずを敷設したコンクリート床の豚房で単独飼育、飽食給与、自由飲水で飼育した。供試豚は平均体重が約60kgに到達した時点から、1週間の馴致期間を設け、肥育試験を開始した。飼料給与時間は対照区、試験区とも1日1回(朝9:00)とした。給与量は、飼料摂取量に応じて増給した。供試豚は体重約110kgで出荷した。
【0020】
出荷後の食肉の理化学分析は食肉の理化学分析及び官能評価マニュアル(独立行政法人家畜改良センター2010)に準じて行った。皮下内層脂肪の脂肪酸組成及び脂肪融点を測定した。皮下内層脂肪の脂肪酸組成及び脂肪融点は、右半丸枝肉の第9-10胸椎間~第13-14胸椎間の胸最長筋を用いて測定した。皮下内層脂肪の脂肪酸組成は、抽出した脂肪を脂肪酸メチルエステル化キットで処理し、ガスクロマトグラフィーを用いて測定した。脂肪融点は上昇融点法により測定した。
【0021】
また、右半丸枝肉の第9-10胸椎間~第13-14胸椎間の皮下内層脂肪を用いて脂肪組織中のインドール及びスカトールを測定した。細断した脂肪組織1.0gをホモジナイザーに精秤し、その後内部標準溶液を3ml加えた。内部標準溶液は2-メチルインドール3.3g/Lをメタノールで100倍に希釈したものとした。磨砕した試料の入ったホモジナイザーを238×g、4℃で5分間遠心分離し、その上清を0.45μmフィルターで濾過した。その後-25℃で一晩保存し、さらに8000×g、4℃で10分間の遠心分離を行った。得られた上清を分析に供した。
【0022】
(結果及び考察)
表3は供試飼料の一般成分、OCW及びOa含量を重量%で示す表である。試験飼料と対照飼料を比較して、Oa含量が多く(60重量%程多い)、また総繊維OCW中の高消化性繊維Oaの割合も70重量%程高くなっている。詳しくは、試験飼料のOa含量は5.4重量%であり、OCWは16.7重量%であり、総繊維OCW中の高消化性繊維Oaの割合は32.2重量%である。
【0023】
【0024】
表4は皮下内層脂肪の脂肪酸組成を示しており、試験区において、皮下内層脂肪の脂肪酸組成に占める18:1(オレイン酸)の割合が増加する傾向があることがわかった。
【0025】
【0026】
表5は皮下脂肪内層のインドール及びスカトールを示している。両区間のスカトール含量について有意差は認められなかった。インドール含量についても有意差は認められなかったものの、P値が0.14であることから、その低減に一定の効果があると考えられる。
【0027】
【0028】
なお、スカトール含量が0.10μg/g以上のものが不快臭の原因となる可能性があり、一部消費者によっては0.05μg/gであっても識別が可能であることを報告されている。したがって、両区のスカトール含量は不快臭を呈すほどの濃度でなかったといえる。
【0029】
(糞中の総窒素(TN)含量及び揮発性塩基態窒素(VBN)含量の測定)
また、非でんぷん多糖類の給与による腸内発酵への影響を調査するため、糞の乾物率、糞中の総窒素(TN)含量及び揮発性塩基態窒素(VBN)含量を測定した。糞サンプルは、出荷前1週間のうちに豚の肛門から直接採取し、分析に供するまで冷凍保存した。60℃で風乾した糞サンプルを水分含量、窒素含量の測定に供した。糞中窒素含量は(NC-220F,島津製作所)を用いた酸素循環燃焼法によって測定した。
【0030】
VBNは、その大部分がアンモニアであり、糞中のインドール、スカトール濃度と相関があることが分かっている。実証試験では、TN及びVBN含量を測定し、腸内における繊維発酵への影響として評価した。また、TNからVBNを差し引いたものを、腸内発酵によって合成された菌体タンパク質含量の指標とした。
【0031】
表6はカンショデンプン粕の給与が去勢雄豚の糞中窒素含有及びVBN(揮発性塩基態窒素)に及ぼす影響を示しており、糞中のVBN含量は両区間に差は見られなかった。試験区において、糞中のTN(全窒素)及びTN-VBNが著しく増加した。カンショデンプン粕はフスマと比較して非でんぷん多糖類を多く含んでおり、カンショデンプン粕と同様、フスマと比較して非でんぷん多糖類を多く含むリンゴジュース粕、ビートパルプ及びカンショ焼酎粕を10重量%配合した低CP飼料を肥育豚に給与した試験においても糞中窒素排泄量を増加させことが報告されており、本研究の結果と一致した。
【0032】
【0033】
ペクチンなどの非でんぷん多糖類は、発酵性炭水化物であり、小腸で分解されずに大腸に流入し、腸内細菌によって分解されるものであり、非でんぷん多糖類を給与することにより、大腸における微生物叢の活動が活発になり菌体タンパク質合成が促進される。その際、血液から大腸に分泌される尿素がタンパク合成に利用されるため、糞に排泄される窒素が増加し、尿に排泄される窒素が減少することが知られている。
【0034】
加えて、試験飼料が対照飼料と比較して、Oa含量が多いことが腸内発酵の促進に大きく貢献し、これにより腸内細菌叢が良化したと考えられる。また、試験飼料中の繊維成分の総量OCWは対照飼料と大差がないように配合されているため、OCWが必要以上に多くなることによる乾物摂取量の減少はない。
【0035】
そして、糞中のVBNに変化がない上でTNが増加したことから、ペクチンなどの非でんぷん多糖類を多く含むカンショデンプン粕が、肥育豚における腸内での微生物の増殖を促進させたことが示唆された。本研究における皮下内層脂肪中インドール含量の低減は、カンショデンプン粕が腸内微生物の増殖を促進し、腸内の窒素化合物が菌体タンパク質合成に利用されたことに関連すると考えられる。
【0036】
(官能評価)
食肉の官能評価ガイドライン、食肉の理化学分析及び官能評価マニュアルに準じて消費者型官能評価を行った。官能評価には左半丸枝肉の第10胸椎~第15胸椎の胸最長筋、右半丸枝肉の第5胸椎~第9胸椎、第14胸椎~第15胸椎の胸最長筋を用いた。各サンプルは官能評価まで-25℃で保存し、5℃で24時間かけて解凍した。そして、厚さ0.5cm幅2.5cmにスライスした胸最長筋を、脂肪1cm、赤身4cmに整形し、評価に供した。
【0037】
調理方法は焼肉法を用い、0.5重量%食塩水にさらし、230℃で表裏をそれぞれ30秒ずつ加熱した。評価法には2点嗜好法を採用し、両区のサンプルにはそれぞれ乱数をつけ、パネルに提供する際にどちらの給与区であるかは伏せた。パネルは10代から50代の男性13人、女性28人を選定したパネル合計41人であった。
【0038】
質問項目は、「食べる前に香りをかいで良いと感じたもの」「よく噛んで柔らかいと感じたもの」「ジューシーであると感じたもの」「うまみが強いと感じたもの」「脂肪が溶けやすいと感じたもの」「総合的に美味しいと感じたもの」「購入したいと感じたもの」の7項目とした。パネリストには、それぞれの設問について「対照区の乱数」「試験区の乱数」から一つ選択させた。
【0039】
表7は官能評価を示す。この結果から「食べる前に香りをかいで良いと感じたもの」「うまみが強いと感じたもの」「総合的に美味しいと感じたもの」「購入したいと感じたもの」の4つの設問において対照区に比べて試験区の豚肉を選んだパネリストが有意に多かった。
【0040】
【0041】
このことから、カンショデンプン粕の給与によって香りがよく、消費者に好まれる豚肉の生産が可能であることが示唆された。最も差がみられた設問は「食べる前に香りをかいで良いと感じたもの」であった。脂肪酸組成と豚肉の「香り」との相関について、パルミチン酸、パルミトレイン酸およびオレイン酸に有意な正の相関があることがわかっており、試験区の豚肉における「香り」の好ましさへの影響は、試験区の豚肉のオレイン酸含量が高いこと、インドールが低い傾向にあったことが関連していると考えられる。
【0042】
また、
図6に示されるようにカンショデンプン粕の給与によって糞中窒素含量が著しく増加ており、腸内での菌体タンパク質の合成量が増加していることが示唆されている。このことは腸内微生物叢も変化している可能性を示しており、腸内での代謝産物の変化を通じて豚肉の香りに影響を与えた可能性がある。加えて表3に示されるように試験飼料では高消化性繊維Oaの含有量が多く、これにより試験区の豚の腸内細菌叢が良化され、大腸内の腐敗物質が低減されている可能性が高く、高消化性繊維Oaの含有量も豚肉における「香り」の好ましさへの影響があると考えられる。
【0043】
このように、肥育豚へのカンショデンプン粕の給与は、皮下内層脂肪中のオレイン酸含量が増加する傾向が見られた。また、高消化性繊維Oaの含有量が多いことから肥育豚の腸内における繊維発酵を促進し、糞中窒素含量を著しく増加させ、皮下脂肪内層におけるインドール含量の低減に一定の効果を示した。さらに、一般消費者を対象とした官能評価の結果、カンショデンプン粕を給与した豚肉を選ぶパネリストが有意に多かった。これらの結果からカンショデンプン粕は特に香りの点で消費者に好まれる食味性のよい豚肉の生産が可能な飼料原料であることが示唆された。
【0044】
カンショデンプン粕は、甘藷澱粉の製造工程で産生される食品加工副産物であり、年間約2万トン発生しており単価が安い。また、適切な利用法が確立されているとは言い難く、その有効な活用法の検討がなされていることからも大量に調達することのハードルも低い。つまり、カンショデンプン粕は、フスマと同様に加工の副産物として生成されるため、フスマの代替としての利用が可能であり、なおかつカンショデンプン粕の代わりにフスマが配合された対照飼料に比べて、消費者に好まれる食味性のよい豚肉の生産が可能である。
【0045】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0046】
例えば、前記実施例における試験飼料は、乾燥させたトウモロコシが57.99重量%、大豆粕が21.97重量%、カンショデンプン粕が19.10重量%、第三リン酸カルシウムが0.63重量%、食塩が0.20重量%、プレミックスが0.11重量%で配合されているが、これは一例であり、養分要求量の基準を満たせば、カンショデンプン粕以外の原料の選定及びそれら比率について限定されるものではない。
【0047】
例えば、トウモロコシは50~65重量%、大豆粕は15~25重量%の間で調整されることが養分要求量の基準を満たし、かつOaが飼料全体における3.5~10重量%であり、OCWが10~20重量%であり、総繊維OCW中の高消化性繊維Oaの割合が20~40重量%となる配合とすることが、官能評価において消費者に好まれる傾向が強く現れるため、好ましい。また、フスマやカンショデンプン粕以外の主要なトウモロコシと大豆粕等の穀物が飼料全体における60~85重量%で配合されることが同様の理由から好ましい。なお、大麦やマイロを配合することで、トウモロコシの配合割合を約20重量%としてもよい。更になお、飼料用アミノ酸を使って、低タンパク質でアミノ酸バランスを整えた飼料では大豆粕の配合が5重量%程度でもよい。
【0048】
また、カンショデンプン粕の飼料全体における割合は19.10重量%に限らないが、25重量%を超えると、繊維質が過多となり、一部の栄養素の数値が養分要求量の基準以下または以上となってしまい、肥育への悪影響が生じる虞もあり、25重量%未満が好ましい。
【0049】
また、前記実施例における試験飼料では、カンショデンプン粕による効果を顕在化させるために、対照飼料におけるフスマをカンショデンプン粕に完全に替えた配合としたが、これに限らず、フスマをはじめとする、比較的繊維含量の多い繊維質飼料原料とカンショデンプン粕とを併用してもよい。
【0050】
また、フスマをはじめとする、比較的繊維含量の多い繊維質飼料原料とカンショデンプン粕とを併用する際にも、これらの合計がカンショデンプン粕の飼料全体における30重量%未満で配合されることが好ましい。