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2023-161526寿司の製造方法、寿司の提供方法およびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161526
(43)【公開日】2023-11-07
(54)【発明の名称】寿司の製造方法、寿司の提供方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   A23L 7/10 20160101AFI20231030BHJP
【FI】
A23L7/10 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022071988
(22)【出願日】2022-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】518362502
【氏名又は名称】一心株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128886
【弁理士】
【氏名又は名称】横田 裕弘
(72)【発明者】
【氏名】中村 導昌
【テーマコード(参考)】
4B023
【Fターム(参考)】
4B023LC05
4B023LE17
4B023LP15
4B023LP20
4B023LT60
(57)【要約】
【課題】シャリを意図した硬さにし易い寿司の製造方法等を提供する。
【解決手段】寿司の製造方法は、酢飯を用いてシャリを作るシャリ工程と、作られた前記シャリを冷凍する第1冷凍工程と、寿司ネタと冷凍された状態の前記シャリとを合わせる合わせ工程と、前記シャリに合わせられた前記寿司ネタを冷凍する第2冷凍工程と、を備えることを特徴とする。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酢飯を用いてシャリを作るシャリ工程と、
作られた前記シャリを冷凍する第1冷凍工程と、
寿司ネタと冷凍された状態の前記シャリとを合わせる合わせ工程と、
前記シャリに合わせられた前記寿司ネタを冷凍する第2冷凍工程と、
を備えることを特徴とする寿司の製造方法。
【請求項2】
前記合わせ工程で用いられる前記寿司ネタは、前記シャリと対向する側に切込みを有している、ことを特徴とする請求項1に記載の寿司の製造方法。
【請求項3】
前記合わせ工程において、前記寿司ネタおよび冷凍された前記シャリの少なくとも一方に水分を付着させる、ことを特徴とする請求項1に記載の寿司の製造方法。
【請求項4】
前記合わせ工程において、前記寿司ネタおよび冷凍された前記シャリの少なくとも一方にワサビを付ける、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の寿司の製造方法。
【請求項5】
前記合わせ工程では、複数の前記寿司ネタを保持する保持体を用いて、冷凍された複数の前記シャリに対して前記寿司ネタを合わせる、ことを特徴とする請求項1に記載の寿司の製造方法。
【請求項6】
前記合わせ工程では、前記保持体に保持された前記寿司ネタの上に、冷凍された前記シャリを載せる、ことを特徴とする請求項5に記載の寿司の製造方法
【請求項7】
前記第2冷凍工程では、前記寿司ネタが下に設けられ、冷凍された前記シャリが前記寿司ネタの上に設けられた状態で冷凍が行われる、ことを特徴とする請求項6に記載の寿司の製造方法。
【請求項8】
前記第2冷凍工程にて冷凍された寿司を自然解凍させる解凍工程を、
備えることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項9】
酢飯を用いてシャリを作るステップと、
作られた前記シャリを冷凍するステップと、
寿司ネタと冷凍された状態の前記シャリとを合わせるステップと、
前記シャリに合わせられた前記寿司ネタを冷凍するステップと、
前記シャリと前記寿司ネタとが合わせられた寿司を解凍するステップと、
備えることを特徴とする寿司の提供方法。
【請求項10】
シャリと寿司ネタとが一体となって冷凍された寿司を解凍して寿司を提供する方法であって、
冷凍された状態の前記シャリに合わせられた前記寿司ネタを冷凍することで作成される寿司を解凍する、ことを特徴とする寿司の提供方法。
【請求項11】
作成する寿司の寿司ネタに関する情報を受け付ける受付手段と、
種類の異なる冷凍されたシャリを管理する管理手段と、
前記受付手段が受け付けた前記寿司ネタに組み合わせる、冷凍された前記シャリの種類を表示する表示手段と、
を備えることを特徴とするシステム。
【請求項12】
前記管理手段は、少なくともサイズおよび硬さに応じて定められた識別情報を用いて、冷凍された前記シャリの種類を管理する、
ことを特徴とする請求項11に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、寿司の製造方法、寿司の提供方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、冷凍食品を収容するための凹所を有した冷凍食品用トレーにおいて、冷凍食品用トレーは、合成樹脂製の表面層と、合成樹脂製の裏面層と、これら表面層及び裏面層の間に介在し、マイクロ波を吸収して発熱する発熱層とを含むことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-131923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば寿司を握る職人は、例えば寿司ネタに応じてシャリの硬さを異ならせるなど、シャリの硬さにもこだわりがある。ここで、寿司を作る際、シャリを作成する際と、寿司ネタと合わせる際とにシャリに力が加わることになる。そして、例えば意図した硬さのシャリを作ったのにも関わらず、シャリと寿司ネタとを組み合わせる際にシャリが意図しない硬さになってしまうおそれがあった。
本発明は、シャリを意図した硬さにし易い寿司の製造方法等を提供することを目的する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる目的のもと、本明細書に開示される技術は、酢飯を用いてシャリを作るシャリ工程と、作られた前記シャリを冷凍する第1冷凍工程と、寿司ネタと冷凍された状態の前記シャリとを合わせる合わせ工程と、前記シャリに合わせられた前記寿司ネタを冷凍する第2冷凍工程と、を備えることを特徴とする寿司の製造方法である。
【0006】
ここで、前記合わせ工程で用いられる前記寿司ネタは、前記シャリと対向する側に切込みを有しているとよい。
また、前記合わせ工程において、前記寿司ネタおよび冷凍された前記シャリの少なくとも一方に水分を付着させるとよい。
また、前記合わせ工程において、前記寿司ネタおよび冷凍された前記シャリの少なくとも一方にワサビを付けるとよい。
また、前記合わせ工程では、複数の前記寿司ネタを保持する保持体を用いて、冷凍された複数の前記シャリに対して前記寿司ネタを合わせるとよい。
また、前記合わせ工程では、前記保持体に保持された前記寿司ネタの上に、冷凍された前記シャリを載せるとよい。
また、前記第2冷凍工程では、前記寿司ネタが下に設けられ、冷凍された前記シャリが前記寿司ネタの上に設けられた状態で冷凍が行われるとよい。
また、前記第2冷凍工程にて冷凍された寿司を自然解凍させる解凍工程を備えるとよい。
【0007】
また、かかる目的のもと、本明細書に開示される技術は、酢飯を用いてシャリを作るステップと、作られた前記シャリを冷凍するステップと、寿司ネタと冷凍された状態の前記シャリとを合わせるステップと、前記シャリに合わせられた前記寿司ネタを冷凍するステップと、前記シャリと前記寿司ネタとが合わせられた寿司を解凍するステップと、備えることを特徴とする寿司の提供方法である。
また、シャリと寿司ネタとが一体となって冷凍された寿司を解凍して寿司を提供する方法であって、冷凍された状態の前記シャリに合わせられた前記寿司ネタを冷凍することで作成される寿司を解凍する、ことを特徴とする寿司の提供方法である。
【0008】
また、かかる目的のもと、本明細書に開示される技術は、作成する寿司の寿司ネタに関する情報を受け付ける受付手段と、種類の異なる冷凍されたシャリを管理する管理手段と、前記受付手段が受け付けた前記寿司ネタに組み合わせる、冷凍された前記シャリの種類を表示する表示手段と、を備えることを特徴とするシステムである。
ここで、前記管理手段は、少なくともサイズおよび硬さに応じて定められた識別情報を用いて、冷凍された前記シャリの種類を管理するとよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、シャリを意図した硬さにし易い寿司の製造方法等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態の冷凍寿司セットの全体斜視図である。
図2】本実施形態の冷凍寿司セットの説明図である。
図3】本実施形態の寿司の製造方法の説明図である。
図4】本実施形態のネタが冷凍される際の説明図である。
図5】本実施形態の合わせ工程で用いられるネタの説明図である。
図6】本実施形態の冷凍寿司セットの製造方法の説明図である。
図7】複数の冷凍寿司を作成するためのトレーの説明図である。
図8】本実施形態の注文システムの概要図である。
図9】種類の異なるシャリを管理するための管理番号の説明図である。
図10】冷凍寿司セットの注文を受けた際に表示される画面の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【0012】
図1は、本実施形態の冷凍寿司セット1の全体斜視図である。
【0013】
図1に示すように、冷凍寿司セット1は、複数の寿司10と、複数の寿司10が載せられる器30と、複数の寿司10を覆うとともに複数の寿司10を器30に保持させる包装フィルム50と、を備える。
【0014】
(寿司10)
本実施形態の寿司10は、例えば職人が一貫一貫丁寧に握ったものを例示できる。例えば職人は、寿司10の味や触感のみならず、外観にもこだわり見た目に美しい寿司10を握る。
寿司10は、酢などで調味した米である酢飯を握って作られるシャリ11と、食材であるネタ13とを含んで構成される。寿司10は、シャリ11上にネタ13が載せられる。なお、ネタ13には、魚や貝などの生食材、魚や卵などを調理した加工食材などが用いられる。
【0015】
そして、本実施形態においてシャリ11とネタ13とを冷凍することで冷凍寿司が作成される。なお、本実施形態において、冷凍された寿司10であることを明確にする場合には、「冷凍寿司100」と称する。同様に、冷凍されたシャリ11であることを明確にする場合には、「冷凍シャリ110」と称する。冷凍されたネタ13でああることを明確にする場合には、「冷凍ネタ130」と称する。
また、以下の説明において、冷凍前、冷凍後および解凍後などの状態を特に区別する必要がない場合には寿司10、シャリ11およびネタ13とそれぞれ表現する。
【0016】
冷凍寿司セット1において、複数の寿司10は、予め定められた位置関係で並べられる。複数の寿司10は、矩形状の器30の縁部331(図1参照)に対して斜めに配置される。本実施形態の冷凍寿司セット1は、複数の寿司10を斜めに配置することで、見た目に美しくするとともに、例えば箸などの食器や指などによって寿司10を掴みやすくしている。
また、図1に示す複数の寿司10は、相互の寿司10同士が隣り合うようにして、全体としてまとまって配置される。
【0017】
(器30)
図1に示すように、本実施形態の器30は、矩形状の平皿である。また、本実施形態の器30の材料には、例えばポリスチレン(PS)などの合成樹脂を用いることができる。
【0018】
そして、器30は、上面30Aと、上面30Aとは反対側の面である下面30Bとを有する。
上面30Aは、器30がテーブルなどに置かれた状態で鉛直上側を向く面である。上面30Aは、複数の寿司10を載せる側の面となる。
一方、下面30Bは、器30が載る面であるテーブル面に置かれた状態で鉛直下側を向く面である。すなわち、下面30Bは、テーブル面と対向する側の面である。
【0019】
そして、本実施形態の器30は、上面30Aの触感がザラザラしており、下面30Bの触感がツルツルしている。すなわち、本実施形態の器30は、上面30Aの表面粗さが、下面30Bの表面粗さよりも粗くなっている。なお、表面粗さとは、表面の粗さを規定するものである。例えば日本工業規格(JIS)に規定される粗さ曲線の算術平均粗さ(Ra)を用いることができる。
【0020】
また、器30は、器30における下側に設けられる底部31と、底部31の周囲に設けられる壁部33とを有する。
本実施形態の底部31は、矩形状であって、全体として略平面状に形成される。また、底部31は、器30における中央部に設けられる。そして、底部31には、複数の寿司10が配置される。
【0021】
(包装フィルム50)
図2は、本実施形態の冷凍寿司セット1の説明図である。
【0022】
包装フィルム50には、合成樹脂であって、透明なシートを用いることができる。包装フィルム50の合成樹脂としては、熱可塑性樹脂を用いることができる。
そして、包装フィルム50は、後述する工程を経ることによって複数の寿司10および器30を覆う。
また、包装フィルム50は、各々の寿司10の上部および側部を覆うことで寿司10を全体的に包み込む。特に、本実施形態の包装フィルム50は、寿司10の外形に沿ってぴたりと寿司10に接触する。
【0023】
例えば図2に示す寿司10は、シャリ11の上にネタ13が載っている。さらに、ネタ13は、例えばイカであって飾り切りの細工が施されている。そのため、ネタ13の表面は、滑らかではなく、突出した部分や窪んだ部分がある複雑な形状をしている。そして、包装フィルム50は、図2中の矢印IIで指し示すように、米粒一つ一つの外形に沿ってシャリ11に密着する。また、包装フィルム50は、ネタ13の凹凸に沿うようにネタ13の外形に沿って密着する。このように、包装フィルム50は、寿司10に対して全体的に密着する。
【0024】
そして、上述したように器30の下面30Bは、上面30Aよりも表面粗さが小さくなっている。包装フィルム50は、接触対象面の表面粗さが小さいほど、接触対象面に対する密着度が高まる。したがって、包装フィルム50は、器30の下面30Bに対する密着度が、例えば表面粗さが比較的大きい上面30Aに対する密着度よりも高い。これによって、包装フィルム50は、下面30Bにて器30に対して強固に吸着している。
【0025】
また、包装フィルム50は、器30の上面30Aにおいて寿司10が載っていない領域に密着する。上述のとおり、包装フィルム50は、寿司10を全体的に包むように寿司10に密着している(図1参照)。したがって、包装フィルム50は、器30に複数の寿司10を保持させる。このように、本実施形態の包装フィルム50は、寿司10を覆うことで寿司10の品質の維持や保護をするとともに、寿司10が器30上で動かないように固定する機能も果たしていている。特に、包装フィルム50が寿司10を器30に保持させることで、本実施形態の冷凍寿司セット1では、寿司10の形が崩れずに見た目の美しさが保たれる。
【0026】
本実施形態の器30の底部31は平面状に形成されている。そして、底部31上に載せられる寿司10は、器30上にて上側に向けて突出した状態になっている(図1参照)。すなわち、本実施形態の冷凍寿司セット1において、寿司10は、器30に隠れないようになっている。また、本実施形態の包装フィルム50は、透明であって、寿司10を全体的に覆っている。したがって、本実施形態の冷凍寿司セット1は、包装フィルム50を通して寿司10を全体的に見せることができる(図1参照)。このように、本実施形態の冷凍寿司セット1は、寿司10を綺麗に美味しく見せるようになっている。
【0027】
図3は、本実施形態の寿司10の製造方法の説明図である。
【0028】
図3に示すように、本実施形態の寿司10の製造方法は、シャリ11を作成する「シャリ工程」と、作成したシャリ11を冷凍する「第1冷凍工程」とを備える。また、寿司10の製造方法は、冷凍シャリ110にネタ13を組み合わせる「合わせ工程」と、冷凍シャリ110に載せられたネタ13を冷凍する「第2冷凍工程」と、冷凍寿司100を解凍して寿司10を得る「解凍工程」とを備える。
【0029】
-シャリ工程-
まず、炊いた米に酢などを合わせて酢飯を作成する。そして、予め定められたサイズ(大きさ)のシャリ11を握る。本実施形態のシャリ11は、人(職人)の手で酢飯を握ったものである。なお、シャリ11は、酢飯を所定の形に成型する成型装置を用いて作成してもよい。また、シャリ11は、複数の種類を準備する。シャリ11の種類は、シャリ11のサイズと、シャリ11の硬さとを例示できる。
【0030】
本実施形態の冷凍寿司セット1を構成する複数の寿司10では、サイズの異なる複数のシャリ11が用いられる。本実施形態の寿司10は、ネタ13の大きさに応じて、組み合わせるシャリ11のサイズを定めている。例えば比較的大きいネタ13を用いて握る寿司10には、シャリ11のサイズを比較的小さくする。一方で、例えば比較的小さいネタ13を用いる場合には、シャリ11のサイズを比較的大きくする。そして、本実施形態の冷凍寿司セット1では、ネタ13の大きさに関わらず、複数の寿司10同士の関係で寿司10全体のサイズを同様にしている。
【0031】
また、本実施形態の冷凍寿司セット1を構成する複数の寿司10では、硬さの異なる複数のシャリ11が用いられる。本実施形態の寿司10は、ネタ13の種類に応じて、組み合わせるシャリ11の硬さを定めている。例えばネタ13がマグロのトロである場合、シャリ11を弱く握って柔らかくする。例えばネタ13がコハダである場合、シャリ11を強く握って硬くする。例えばネタ13がイカである場合、シャリ11を中程度の強さで握って比較的硬くする。このように、本実施形態の冷凍寿司セット1では、ネタ13の旨さを引き出すために、シャリ11の硬さをネタ13に応じて異ならせている。
【0032】
-第1冷凍工程-
シャリ工程で作成した複数のシャリ11を予め定められた間隔を設けてトレーに並べる。なお、トレーは、アルミニウムなど熱伝導性が比較的高い材料によって構成されたものを用いる。また、隣り合う複数のシャリ11の間隔は、例えばシャリ11の幅(短辺)1個分とすることができる。
そして、トレーに載せた複数のシャリ11を冷凍装置(不図示)の装置内に設置する。冷凍装置では、例えば-35℃の温度で約20分間の条件下で複数のシャリ11を冷凍する。これによって、複数の冷凍シャリ110が作成される。
【0033】
-合わせ工程-
次に、冷凍装置から冷凍シャリ110を取り出して、冷凍シャリ110とネタ13とを組み合わせる。このとき、冷凍シャリ110は、解凍せずに冷凍された状態が保たれている。また、ネタ13は、冷凍されていない状態である。そして、冷凍シャリ110の上にネタ13を載せ、冷凍シャリ110とネタ13とを握る。
【0034】
また、本実施形態では、冷凍シャリ110にネタ13を載せるときに、冷凍シャリ110にワサビを付けるようにしている。そして、冷凍シャリ110にワサビを付けてから、ネタ13を載せて握る。この場合、ワサビがいわゆる糊のような役割も果たすことで、冷凍シャリ110とネタ13との密着性が高められる。
なお、冷凍シャリ110にネタ13を合わせるときに、ネタ13にワサビを付けてから、ワサビの付いたネタ13を冷凍シャリ110に載せても良い。このように、本実施形態では、ネタ13および冷凍シャリ110の少なくとも一方であって、他方に対向する側にワサビを付けるようにしている。
【0035】
また、冷凍シャリ110とネタ13との密着性を高めるという点で、冷凍シャリ110とネタ13とが対向する箇所に例えば刷毛などを用いて水分を塗っても良い。水分は、冷凍シャリ110におけるネタ13が載せられる領域に塗ってもよく、ネタ13における冷凍シャリ110に対向する面に塗ってもよい。また、水分は、冷凍シャリ110とネタ13との両方にそれぞれ塗ってもよい。このように、冷凍シャリ110およびネタ13の少なくとも一方であって、他方に対向する側に水分を付着させればよい。
【0036】
水分は、例えば通常の水、酢を混ぜた水、すだちなどの柑橘類の果汁を混ぜた水などを例示できる。水分の種類は、ネタ13に応じて使い分けるようにしてもよい。例えばネタ13がイカである場合には柑橘類の果汁を混ぜた水を塗ったり、ネタ13がマグロである場合には酢を混ぜた水を塗ったりすることを例示できる。
【0037】
-第2冷凍工程-
合わせ工程にて冷凍シャリ110にネタ13を組み合わせて作成された複数の寿司10を予め定められた間隔を設けてトレーに並べる。トレーは、第1冷凍工程と同様に、アルミニウムなど熱伝導性が比較的高い材料によって構成されたものを用いる。また、隣り合う複数の寿司10の間隔は、例えば寿司10の幅(短辺)1個分とすることができる。
【0038】
そして、トレーに載せた複数の寿司10を冷凍装置(不図示)の装置内に設置する。冷凍装置では、例えば-35℃の温度で約15分間の条件下で複数の寿司10を冷凍する。寿司10における冷凍シャリ110は既に冷凍されているため、ここでは、主にネタ13の冷凍が行われる。これによって、シャリ11とネタ13とが一体となって冷凍され、冷凍シャリ110と冷凍ネタ130とが合わされた冷凍寿司100が作成される。
【0039】
本実施形態の冷凍寿司100の製造方法において、合わせ工程では、冷凍シャリ110に対してネタ13が合わせられる。このとき、ネタ13を冷凍シャリ110に組み合わせる際に冷凍シャリ110に力がかかるが、冷凍シャリ110は冷凍されている状態であるためほぼ変形しない。これによって、例えば予め意図した硬さで握られているシャリ11の硬さが変わることが抑制される。
【0040】
-解凍工程-
次に、本実施形態の解凍工程について具体的に説明する。本実施形態では、冷凍寿司100の解凍方法について2つの方法を例示できる。
【0041】
(自然解凍)
冷凍寿司100をより美味しく食べられるという観点で、冷凍寿司セット1を常温の室内に置いて自然解凍させる解凍方法を例示できる。
【0042】
この場合、冷凍寿司100が載る器30に対して包装フィルム50を剥がす。そして、剥がした包装フィルム50は、冷凍寿司100の上に載せておく。剥がした包装フィルム50を冷凍寿司100の上に被せておくことによって、冷凍寿司100、特にネタ13の乾燥が抑制される。
【0043】
そして、自然解凍による解凍時間は、常温(例えば25℃)で、約3~4時間であることが好ましい。
なお、例えば夏場など常温よりも室温が高い場合、解凍時間は、3時間以下にすることができる。一方、例えば冬場など常温よりも室温が低い場合、解凍時間は、4時間以上にすることができる。
【0044】
上述した自然解凍の時間が経過することで冷凍寿司100が解凍され、見た目も美しく、味も旨い寿司10を提供することができる。
【0045】
(時短解凍)
冷凍寿司100をより早く解凍させるという観点で、冷凍寿司100に対して流水による解凍を行った後、冷凍寿司100を自然解凍させる方法を例示できる。これによって、例えば流水による解凍を行わない場合と比較して、冷凍寿司100の解凍時間を短縮することができる。
【0046】
まず、包装フィルム50を剥がさない状態で、冷凍寿司セット1に対して水道の蛇口を用いて流水を注ぐ。このとき、器30において水位の高さは、縁部331の高さとなる。この縁部331は、シャリ11の中央部(例えば半分)の高さ以上であって、冷凍シャリ110の上端部の高さよりも下側となる。すなわち、器30に溜まる水の水位は、主に冷凍シャリ110が水に浸かり、冷凍ネタ130が水に浸かりにくい位置になる。これによって、本実施形態の冷凍寿司セット1では、冷凍ネタ130と比較して冷凍シャリ110の方が解凍されやすくしている。
【0047】
ここで、例えば冷凍ネタ130の解凍が早すぎると、解凍に時間を要する冷凍シャリ110の解凍が完了するまでにネタ13の味が落ちてしまう可能性がある。そこで、冷凍寿司セット1では、器30の縁部331の高さを予め定められた位置に設定することで、冷凍ネタ130の解凍を抑制しながら、冷凍シャリ110の解凍を促進するようにしている。
【0048】
本実施形態の冷凍寿司セット1では、冷凍寿司100に対する流水による解凍を約5分間行う。この5分の時間が経過した後に、器30および冷凍寿司100に対して包装フィルム50を剥がす。そして、剥がした包装フィルム50を冷凍寿司100の上に載せた状態で、冷凍寿司100を自然解凍させる。時短解凍の場合には、冷凍寿司100の自然解凍を約40分間行う。このように、時短解凍の場合には、例えば自然解凍のみの場合と比較して、トータルの解凍時間が短縮される。
【0049】
上述した流水による解凍と自然解凍の時間が経過することで冷凍寿司100が解凍され、見た目に美しい寿司10を提供することができる。
【0050】
図4は、本実施形態のネタ13が冷凍される際の説明図である。
なお、図4(A)は、第2冷凍工程における寿司10を示し、図4(B)は、図4(A)に矢印IVBで示す箇所の拡大図を示す。
【0051】
図4(A)に示すように、第2冷凍工程では、冷凍シャリ110に載せられた状態でネタ13に対する冷凍が行われる。なお、ネタ13は、図中下側の面が冷凍シャリ110に対向する第1面13Aであり、図中上側の面が外側となる第2面13Bである。
【0052】
ここで、比較のために、冷凍されていない状態のシャリ11にネタ13が載せられた寿司10を冷凍する場合について説明する。寿司10の冷凍が行われる際、寿司10の外側から内側に向けて冷凍が進行する。そのため、まずシャリ11の外側およびネタ13の外側が凍り始める。そして、シャリ11の内部や、ネタ13とシャリ11とが対向する部分が比較的遅れて冷凍されることになる。
【0053】
これに対して、図4(B)に示すように、本実施形態の冷凍寿司100は、冷凍シャリ110にネタ13が載った状態でネタ13だけが冷凍される。そして、ネタ13は、冷気に晒されることによって、外側となる第2面13Bが凍り易くなっている。さらに、ネタ13は、冷凍シャリ110に接している第1面13Aも凍り易くなっている。このように、ネタ13は、第1面13Aと第2面13Bとの両面から冷凍が促進される。これによって、ネタ13は、比較的早く冷凍される。その結果、ネタ13の旨みが損なわれにくくなっている。
【0054】
そして、本実施形態の冷凍寿司100の製造方法によれば、冷凍寿司100は、ネタ13およびシャリ11が凍った状態になるため、各々の鮮度が維持される。さらに、冷凍寿司100は、凍った状態であることによって、例えば搬送される場合など外部から力が加わったとしてもほぼ変形しない。したがって、冷凍寿司100は、寿司の形をも綺麗に維持することができる。
【0055】
図5は、本実施形態の合わせ工程で用いられるネタ13の説明図である。
【0056】
上述したとおり、合わせ工程では冷凍シャリ110に対してネタ13が組み合わされる。そのため、冷凍されていない状態のシャリ11とネタ13とを組み合わせる場合と比較して、冷凍シャリ110とネタ13との密着度が低下するおそれがある。
【0057】
図5(A)に示すネタ13は、ネタ13を横から見たものである。図中下側の面が冷凍シャリ110に対向する第1面13Aであり、図中上側の面が反対側の第2面13Bである。
そして、本実施形態のネタ13は、第1面13Aに加工を行うことで冷凍シャリ110との密着性を高めるようにしている。
【0058】
図5(B)に示すように、例えばネタ13がイカである場合、第1面13Aに切込み13Cを複数設ける。この例では、ネタ13の長手方向に沿って、3本の切込み13Cが略平行に設けられている。
【0059】
また、図5(C)に示すように、例えばネタ13がアワビである場合、第1面13Aに切込み13Cを複数設ける。この例では、ネタ13の長手方向に沿って3本の切込み13Cが略平行に設けられ、かつ、ネタ13の短手方向に沿って3本の切込み13Cが略平行に設けられている。すなわち、ネタ13は、十字型の切込み13Cを有している。
例えばアワビなどのネタ13は、他のネタ13と比較して硬く変形しにくい。そこで、切込み13Cを互いに交差するように設けることで、ネタ13を変形しやすくし、冷凍シャリ110に密着しやすくしている。
【0060】
なお、切込み13Cは、ネタ13の第1面13Aに形成するとともに、第2面13Bに形成してもよい。このように、ネタ13の第1面13Aおよび第2面13Bの両面にそれぞれ切込み13Cを設けることで、冷凍シャリ110との密着性を更に高めてもよい。
【0061】
図6は、本実施形態の冷凍寿司セット1の製造方法の説明図である。
【0062】
図6(A)に示すように、器30に複数の冷凍寿司100を配置する。このとき、複数の冷凍寿司100(寿司10)は、予め定められた位置関係で配置される(図1参照)。
そして、図6(B)に示すように、複数の冷凍寿司100が配置された器30を真空包装機400にセットする。
ここで、本実施形態の真空包装機400は、開閉可能なチャンバ410と、包装対象物を置くための台420と、台420に設けられる空気穴420Hと、チャンバ410における上側に設けられるヒータ430と、チャンバ410における下側に設けられる真空ポンプ440とを備えている。
そして、複数の冷凍寿司100が配置された器30を台420に置く。さらに、複数の冷凍寿司100が載る器30に包装フィルム50を被せる。
【0063】
さらに、図6(C)に示すように、真空包装機400に設けられるヒータ430によって包装フィルム50を加熱するとともに、真空ポンプ440を用いて器30の下側からチャンバ410内の空気を抜く。本実施形態の真空包装機400では、約110℃から115℃の温度で包装フィルム50を加熱する。また、真空包装機400は、約20秒間、チャンバ410内の脱気を行う。
【0064】
ここで、本実施形態の包装フィルム50は、熱可塑性樹脂を材料としている。したがって、包装フィルム50は、加熱されることで比較的柔らかくなる。すなわち、包装フィルム50は、変形しやすくなる。
なお、本実施形態では、冷凍寿司100に包装フィルム50が被せられた状態で包装フィルム50を加熱する。このとき、冷凍寿司100は、まさに冷凍された状態である。そのため、包装フィルム50を加熱したとしても、加熱に伴って冷凍寿司100が受ける熱の影響は例えば冷凍されていない寿司と比較して抑制される。
【0065】
そして、包装フィルム50と冷凍寿司100と器30との間に空気を抜くことで、包装フィルム50は、器30および冷凍寿司100の外形に沿って張り付く。これによって、包装フィルム50は、器30および冷凍寿司100に対して密着する。
【0066】
その後、包装フィルム50が密着する冷凍寿司100および器30を真空包装機400から取り出す。このとき、包装フィルム50自体の温度が下がることで、包装フィルム50が収縮する。この包装フィルム50の収縮によって、冷凍寿司100および器30に対する包装フィルム50の密着度はさらに高まる。
【0067】
以上のようにして、図6(D)に示すように、器30に複数の冷凍寿司100が配置され、包装フィルム50によって複数の冷凍寿司100が包装された冷凍寿司セット1が得られる。
このようにして得られた冷凍寿司セット1は、透明な包装フィルム50が冷凍寿司100の外形に沿って密着しているため、あたかも包装フィルム50によって覆われていないように見える。したがって、冷凍寿司セット1では、包装フィルム50に覆われた状態であっても、冷凍寿司100の美観が損なわれず、例えば職人が握った綺麗な寿司を見せることができる。
【0068】
次に、本実施形態の冷凍寿司100の製造システムについて説明する。
図7は、複数の冷凍寿司100を作成するためのトレーの説明図である。
【0069】
図7(A)に示すトレー70は、複数(例えば16個)の寿司10を載せることが可能になっている。トレー70は、熱伝導率が比較的高いアルミニウムによって構成されている。そして、トレー70は、それぞれ窪んで形成される凹部71を複数備えている。
図7(B)に示すように、凹部71は、下側に向けて湾曲して窪んでいる。この凹部71は、上側から見て略楕円形状をしており、寿司10よりも一回り大きく形成されている。そして、凹部71は、寿司10の外形に沿う形状になっている。
【0070】
そして、図7(C)に示すように、凹部71には、底側にネタ13が配置され、その上に冷凍シャリ110が載せられる。これは、トレー70に設けられた複数の凹部71の各々についても同様である。
【0071】
複数の凹部71の各々にネタ13よび冷凍シャリ110が設置された状態で、トレー70を冷凍装置にセットし、複数の寿司10(ネタ13)に対して一括して冷凍を行う。これによって、複数の冷凍寿司100を作成する。なお、冷凍寿司100を作る際の詳細は、上述した実施形態の内容と同様である。
特に、トレー70を用いて冷凍寿司100を作成する場合には、冷凍シャリ110とネタ13とを握ることが必須にならない。すなわち、冷凍シャリ110がネタ13よりも上方に位置しているため、冷凍シャリ110の自重によって冷凍シャリ110がネタ13に押し付けられた状態で冷凍が行われる。そして、冷凍シャリ110とネタ13との密着性が高められる。このように、トレー70を用いることで冷凍寿司100の工程を簡易にすることができる。
【0072】
なお、複数の冷凍シャリ110に対してネタ13を組み合わせる方法については上記の例に限定されない。例えば複数のネタ13を格子状の保持部材に保持させる。保持部材の格子の大きさは、ネタ13のサイズより小さく、冷凍シャリ110よりは大きくなっている。すなわち、各々の格子は、ネタ13を保持できるが、冷凍シャリ110を通すことができるようになっている。
そして、複数のネタ13に対応するように複数の冷凍シャリ110を並べる。そして、並べられた複数の冷凍シャリ110の上から、複数のネタ13を保持する保持部材を位置合わせしながら通す。これによって、複数の冷凍シャリ110に対して複数のネタ13を一動作で載せることができる。
【0073】
次に、冷凍寿司100の注文を受け付ける際の注文システム2について説明する。
図8は、本実施形態の注文システム2の概要図である。
図9は、種類の異なるシャリ11を管理するための管理番号の説明図である。
図10は、冷凍寿司セット1の注文を受けた際に表示される画面の一例である。
【0074】
図8に示すように、本実施形態の注文システム2は、冷凍寿司セット1の注文者が利用する注文端末装置20と、注文を受けた寿司の製造者(作業者)が利用する製造端末装置40と、冷凍寿司の提供を行う管理サーバ装置60と、を備える。そして、注文システム2において、注文端末装置20、製造端末装置40、および管理サーバ装置60は、ネットワークを介して相互に情報通信が可能になっている。
【0075】
また、ネットワークは、各装置の間のデータ通信に用いられる通信ネットワークであれば特に限定されず、例えばLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等として良い。データ通信に用いられる通信回線は、例えば有線や無線を用いることができる。また、各装置は、ゲートウェイ装置やルータ等の中継装置を用い、複数のネットワークや通信回線を介して接続されても良い。
【0076】
そして、本実施形態の注文システム2では、注文端末装置20を介して冷凍寿司セット1の注文を管理サーバ装置60が受け付ける。管理サーバ装置60は、受け付けた注文内容に基づいて、製造端末装置40に対して冷凍寿司セット1(寿司10)の作成に関する指示を送る。作業者は、製造端末装置40を介して受け付けた指示に応じて、冷凍寿司セット1を製造する。さらに、作業者は、受け付けた指示に基づいて、その冷凍寿司セット1が注文者に届くように手配する。
【0077】
注文端末装置20は、冷凍寿司セット1を注文する消費者が利用する端末装置である。注文端末装置20は、スマートフォンなどの携帯型端末装置や、デスクトップPCなどの固定型端末装置を例示できる。そして、注文者は、注文端末装置20を用いて、冷凍寿司セット1や寿司10の具体的な組合せなどの注文を行う。
【0078】
製造端末装置40は、冷凍寿司セット1を製造する店舗や食品工場などに設置される端末装置である。製造端末装置40には、注文端末装置20から注文された冷凍寿司セット1の注文内容に関する情報が管理サーバ装置60を介して表示される。冷凍寿司セット1を製造する作業者は、製造端末装置40の表示画面に表示される注文内容に基づいて冷凍寿司セット1を製造する。
【0079】
管理サーバ装置60は、注文端末装置20を介して注文者から注文された情報を用いて、製造端末装置40に対して冷凍寿司セット1の製造に関する指示を行う。また、管理サーバ装置60は、冷凍された冷凍シャリ110の種類と、種類ごとの個数などを管理している。さらに、管理サーバ装置60は、各々のネタ13に対応付けられた冷凍シャリ110のサイズや硬さに関する情報を有している。そして、管理サーバ装置60は、注文者から注文に基づいて、ネタ13および冷凍シャリ110の組合せと、冷凍寿司100の製造個数に関する情報を製造端末装置40に送信する。
【0080】
なお、管理サーバ装置60は、管理している冷凍シャリ110の在庫数に基づいて、注文端末装置20を介して受け付ける注文を制御する。例えば、管理サーバ装置60は、注文者が注文するネタ13に対応付けられた冷凍シャリ110の在庫数が足りない場合には、そのネタ13の注文を受け付けないように注文端末装置20の注文画面を制御する。
【0081】
続いて、管理サーバ装置60が管理する冷凍シャリ110の種類について説明する。
図9に示すように、本実施形態のシステムでは、種類の異なる複数の冷凍シャリ110を管理番号600によって管理している。作成された冷凍シャリ110は、種類ごとに、例えば管理番号600が記載された包装材により包まれていたり、管理番号600が付された容器に分別されたりして管理される。
【0082】
図9に示す例では、冷凍シャリ110は、3種類のサイズと、3種類の握りの硬さとによって合計9種類に分類して管理される。そして、冷凍シャリ110は、サイズおよび硬さごとに管理番号600(例えば「01A」)が付されて管理される。
【0083】
そして、管理サーバ装置60は、ネタ13ごとに対応付けられた冷凍シャリ110の種類の情報を備えている。ネタ13に対応付けられた冷凍シャリ110の条件は、上述した実施形態の内容と同様である。管理サーバ装置60は、図示しない管理テーブルを用いて、種類の異なるネタ13ごとに、それぞれ関連付けられた冷凍シャリ110の種類(サイズおよび硬さ)の情報を管理している。管理サーバ装置60は、寿司10の注文内容(ネタ13の種類)に基づいて、ネタ13に対応付けられた種類の冷凍シャリ110の情報を例えば製造端末装置40に対して送信する。
【0084】
そして、図10に示すように、冷凍寿司100の注文を受け付けた場合に、注文管理画面800が製造端末装置40の画面(ディスプレイ)に表示される。
注文管理画面800には、注文を一意に特定可能な注文番号810と、注文内容820とが表示される。そして、注文内容820には、ネタの種類を示すネタ表示821、ネタの数量(個数)を示す数量表示822、およびシャリ11(冷凍シャリ110)の種類を管理する管理表示823がそれぞれネタごとに関連付けて表示される。
ネタ表示821には、マグロなどのネタ13を特定するための具体的な名称が表示される。数量表示822には、ネタ13(寿司10)の個数が数字によって具体的に表示される。そして、管理表示823には、シャリ11の種類を示す管理番号600が例えば英数字を用いて表示される。
【0085】
その後、注文管理画面800に基づいて、例えばトレー70の各凹部71にネタ13と、ネタ13に関連付けられた種類の冷凍シャリ110とを配置する。この配置作業は、注文管理画面800を確認しながら作業者が行ってもよく、マニピュレータを用いた機械によって行っても良い。いずれの方法であっても、注文管理画面800に表示されるネタ13と冷凍シャリ110との組み合わせの情報、および冷凍シャリ110の管理番号600の情報が用いられる。
【0086】
以上のように本実施形態の冷凍寿司100の製造方法によれば、シャリ11の硬さを安定させた状態で寿司10を作成することができる。例えばネタ13のための魚介類が獲れる産地に冷凍シャリ110を予め送っておく。その産地では魚介類が獲れてから時間を空けずにネタ13を準備し、冷凍シャリ110に合わせてすぐに冷凍する。これによって、シャリ11の硬さも良く、鮮度の良い状態のネタ13が組み合わされた冷凍寿司100を作成できる。作成された冷凍寿司100は、冷凍されていることによって形も鮮度も維持されている。したがって、その産地から遠い地域に寿司10を配送することが可能である。
このように、本実施形態の冷凍寿司100の製造技術を用いることで、従来にない柔軟な方法での寿司10を提供できる。
【0087】
ここで、管理サーバ装置60は、演算手段であるCPU(Central Processing Unit)と、BIOS(Basic Input Output System)等のプログラムを記憶する記憶領域であるROM(Read Only Memory)と、プログラムの実行領域であるRAM(Random Access Memory)とを備える。また、管理サーバ装置60は、OS(Operating System)やアプリケーション等の各種プログラム、各種プログラムに対する入力データ、各種プログラムからの出力データ等を記憶する記憶領域であるHDD(Hard Disk Drive)を備える。さらに、管理サーバ装置60は、外部との通信を行うための通信インターフェース(通信I/F)を備える。
なお、管理サーバ装置60は、複数のCPUを有し、複数のCPUが協働して演算処理を行っても良い。そして、ROMやHDD等に記憶されたプログラムが、RAMに読み込まれてCPUに実行されることにより、管理サーバ装置60の機能が実現される。
【0088】
なお、注文端末装置20および製造端末装置40のハードウェア構成は、管理サーバ装置60のハードウェア構成と同様である。
【0089】
ここで、シャリ11は、シャリの一例である。ネタ13は、寿司ネタの一例である。トレー70は、保持体の一例である。管理サーバ装置60は、受付手段および管理手段の一例である。製造端末装置40は、表示手段の一例である。
【0090】
なお、上記では種々の実施形態および変形例を説明したが、これらの実施形態や変形例同士を組み合わせて構成してもよい。
また、本開示は上記の実施形態に何ら限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施することができる。
【符号の説明】
【0091】
1…冷凍寿司セット、2…注文システム、11…シャリ、13…ネタ、50…包装フィルム、70…トレー、71…凹部、100…冷凍寿司、110…冷凍シャリ、130…冷凍ネタ、600…管理番号、800…注文管理画面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10