IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本スピードショア株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-搬送装置 図1
  • 特開-搬送装置 図2
  • 特開-搬送装置 図3
  • 特開-搬送装置 図4
  • 特開-搬送装置 図5
  • 特開-搬送装置 図6
  • 特開-搬送装置 図7
  • 特開-搬送装置 図8
  • 特開-搬送装置 図9
  • 特開-搬送装置 図10
  • 特開-搬送装置 図11
  • 特開-搬送装置 図12
  • 特開-搬送装置 図13
  • 特開-搬送装置 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161527
(43)【公開日】2023-11-07
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
   E02D 29/12 20060101AFI20231030BHJP
   B66C 1/66 20060101ALI20231030BHJP
【FI】
E02D29/12 B
B66C1/66 K
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022071990
(22)【出願日】2022-04-25
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】591267925
【氏名又は名称】日本スピードショア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100073689
【弁理士】
【氏名又は名称】築山 正由
(72)【発明者】
【氏名】山口 優
【テーマコード(参考)】
2D147
3F004
【Fターム(参考)】
2D147BA07
3F004AF06
3F004EA01
(57)【要約】
【課題】開所や立坑・マンホール等での作業における各種危険を伴わずに、開所や立坑・マンホールなどに各種器具を搬送・設置することが可能な搬送装置を提供すること。
【解決手段】開所や立坑・マンホールなどに各種器具を設置する際に使用する搬送装置において、円孔と円孔と連続する長孔を備えた平板状であり、且つ、周縁を立ち上げた板材であり、しかもその底面に円孔と連続する形状の凹溝を備えたマウントと、長手方向長さが、長孔の長手方向長さより短いが円孔の直径よりも長い係止棒と、該係止棒を先端に備えた、その直径が円孔の直径よりも小さい円柱状の棒体と、棒体上部に連設された円孔を通過できない形状の第二棒体であって、この第二棒体下端と係止棒上端との距離を板材の上下方向厚さよりも長く構成した第二棒体とにより成る吊下具とにより構成した。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開所や立坑・マンホールなどに各種器具を設置する際に使用する搬送装置であって、
円孔(11)と円孔(11)と連続する長孔(12)を備えた平板状の板材(13)であるマウント(10)と、
長手方向長さが、長孔(12)の長手方向長さより短いが円孔(11)の直径よりも長い係止棒(23)と、該係止棒(23)を先端に備えた、その直径が円孔(11)の直径よりも小さい円柱状の棒体(21)と、により成る吊下具(20)と、
により成る搬送装置。
【請求項2】
棒体(21)上部に円孔(11)を通過できない形状の第二棒体(22)を連設すると共に、第二棒体(22)下端と係止棒(23)上端との距離を板材(13)の上下方向厚さよりも長く構成した請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
マウント(10)底面に、円孔(11)と連続する形状の凹溝(16)を備えた請求項1又は請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
マウント(10)の周縁を立ち上げた請求項1又は請求項2に記載の搬送装置。
【請求項5】
開所や立坑・マンホールなどに各種器具を設置する際に使用する搬送装置であって、
円孔(11)と円孔(11)と連続する長孔(12)を備えた平板状であり、且つ、周縁を立ち上げた板材(13)であり、しかもその底面に円孔(11)と連続する形状の凹溝(16)を備えたマウント(10)と、
長手方向長さが、長孔(12)の長手方向長さより短いが円孔(11)の直径よりも長い係止棒(23)と、該係止棒(23)を先端に備えた、その直径が円孔(11)の直径よりも小さい円柱状の棒体(21)と、棒体(21)上部に連設された円孔(11)を通過できない形状の第二棒体(22)であって、この第二棒体(22)下端と係止棒(23)上端との距離を板材(13)の上下方向厚さよりも長く構成した第二棒体(22)と、により成る吊下具(20)と、
により成る搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は開所や立坑・マンホールなどに各種器具を設置する際に使用する搬送装置、殊に狭小なマンホールなどに各種器具を設置する際に使用する搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、上下水管等の管渠内に水量センサー等を設置する際や、管敷設工事における勾配設定のためにレーザー装置を管渠内に設置する際など、開所や立坑・マンホールなどに各種器具を設置する際において、マンホール等が狭小な場合には、ロープに前記各種器具を吊り下げて管渠内に設置していた。あるいは、作業者が開所や立坑・マンホール内に立ち入って、前記各種装置等を管渠内に設置していた。
【0003】
特許文献1には立坑を通して地下の坑内へセグメント等の資材を搬入するための装置であって、一対の平行なガイドレールを垂直方向及び水平歩行に敷設した吊持搬送装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6-58100号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の通り、マンホール等が狭小な場合には、ロープに前記各種器具を吊り下げて管渠内に設置していたが、かかる作業は地上にいる作業者が手作業で行うものであり難易度が高いものである。殊にレーザー装置を設置する際などには正確な位置決めが必要であり、地上の作業者がロープを操り、管渠内に正確に設置する作業などは殊更に難易度が高いものである。
【0006】
また、地盤を掘削してできた開所や立坑・マンホールや各種管渠内には二酸化炭素や硫化水素などのガスが溜まることがあり、上記マンホール等の内部での作業のために立ち入った作業員が、酸素欠乏症やガス中毒の症状に陥ることがある。その他マンホール等での作業には落下物による危険や足場の悪さなど様々な危険が伴う。
【0007】
そこで本発明は開所や立坑・マンホール等での作業における前記設置作業の難易度や危険を伴わずに、開所や立坑・マンホールなどに各種器具を搬送・設置することが可能な搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成する本発明の構成は以下の通りである。
【0009】
(1) 請求項1に記載の搬送装置は、円孔と円孔と連続する長孔を備えた平板状の板材であるマウントと、長手方向長さが長孔の長手方向長さより短いが円孔の直径よりも長い係止棒と、該係止棒を先端に備えたその直径が円孔の直径よりも小さい円柱状の棒体とにより成る吊下具と、により構成される。
【0010】
(2) 請求項2に記載の搬送装置は、請求項1記載の発明において、棒体上部に円孔を通過できない形状の第二棒体を連設すると共に、第二棒体下端と係止棒上端との距離を板材のの上下方向厚さよりも長く構成した。
【0011】
(3) 請求項3に記載の搬送装置は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、マウント底面に円孔と連続する形状の凹溝を設けて構成した。
【0012】
(4) 請求項4に記載の搬送装置は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、マウントの周縁を立ち上げて構成した。
【0013】
(5) 請求項5に記載の搬送装置は、開所や立坑・マンホールなどに各種器具を設置する際に使用する搬送装置において、円孔と円孔と連続する長孔を備えた平板状であり、且つ、周縁を立ち上げた板材であり、しかもその底面に円孔と連続する形状の凹溝を備えたマウントと、長手方向長さが、長孔の長手方向長さより短いが円孔の直径よりも長い係止棒と、該係止棒を先端に備えた、その直径が円孔の直径よりも小さい円柱状の棒体と、棒体上部に連設された円孔を通過できない形状の第二棒体であって、この第二棒体下端と係止棒上端との距離を板材の上下方向厚さよりも長く構成した第二棒体とにより成る吊下具とにより構成した。
【発明の効果】
【0014】
上記のように構成される本発明が、如何に作用して課題を解決するかを図面を参照しながら概説する。なお、各図におけるUとは上方を、Sは下方を、Rは右方向を、Lは左方向を意味するものである。
【0015】
図1に示されるように本発明に係る搬送装置1は、マウント10と吊下具20を主な構成要素とする。この吊下具20をマウント10に差し込み、吊下具20とマウント10を固定した状態で搬送対象物をマウント10上に載置して搬送・搬入するものである。
【0016】
具体的には、図12に示すように作業者が地上等の安全な場所から吊下具20を持って開所や立坑・マンホールS内に対象物Gが載ったマウント10を降ろしていき、図13に示すように管渠D内にマウント10及びマウント10上の搬送対象物Oを置く。かかる状態で、図14に示すようにマウント10から吊下具10を取り外し、マウント10と共に搬送対象物Oを管渠D内にセッティングするものである。
【0017】
搬送対象物Oを管渠Dから撤去する際には、上記搬送・搬入工程と逆の手順で搬送対象物Oを管渠Dから地上に搬送・搬出するものである。つまり、図14に示される吊下具20とマウント10が取り外された状態から、吊下具20を下方に降ろしていき、次いで、図13に示されるように吊下具20の係止棒23をマウント10の長孔12に嵌め込むことで、吊下具20とマウント10を固定し、係る状態から図12に示すように吊下具20を地上から引き上げることで、マウント10と共に搬送対象物Oを搬送・搬出するものである。
【0018】
上記の通り、本発明によれば棒体21より成る吊下具20を操作して各種器具の搬送・撤去を行うものであり、揺れが伴う前記ロープによる搬送手段と異なり、はるかに難易度が低いものであり、正確に搬送対象物を管渠内に正確に設置し、あるいは容易に撤去することが可能となるものである。
【0019】
また、地上から吊下具20を操作することで、管渠やその他開所や立坑・マンホール内に各種器具を搬送・設置することが可能となり、つまりは開所や立坑・マンホール内作業員が立ち入らずに各種器具を搬送・設置することが可能となるのである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の斜視図
図2】マウントの正面図
図3】同、背面図
図4】同、左側面図
図5】同、平面図
図6】同、底面図
図7図5におけるA-A線断面図
図8】a 吊下具の正面図 b 同、底面図
図9】マウントに吊下具を装着した状態の正面図
図10】同、左側面図
図11】マウントに吊下具を装着する工程或いは取り外す工程を示す説明図
図12】搬入・搬出工程を示す説明図
図13】搬入・搬出工程を示す説明図
図14】搬入・搬出工程を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0021】
一、 以下、好ましい発明の実施形態につき、図面を参照しながら概説する。 なお、本発明構成要素の実施形態は、下記の実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り、種々の形態を採りうる。
【0022】
二、 マウントの形態
図2乃至図7に示すように、マウント10は平板状の板材13をもって構成してある。この板材13の底部には切り板等で構成した一対の脚部15が設けてある。
【0023】
マウント10の素材としては、その必要とする強度や使用場所等に鑑み、防錆処理加工した鉄材や鋼材・ステンレス材等で形成するのが好ましい。また、鉄材や鋼材を使用する場合には、溶接部や切断部の防錆上、製品の加工形成後にメッキ等の防錆処理を施すのが好ましい。
【0024】
請求項4や請求項5に記載の発明においては、板材13の周縁を立ち上げて立壁14を構成してある。係る構成とすることでマウント10上に載置する搬送対象物が搬送時に落下することを抑制することが可能となるものである。なお、立壁14は必ずしも板材13の全周にわたる縁部に設ける必要性はなく図2図3に示されるように板材13の左右縁部のみを立ち上げて立壁14を形成しても構わない。
【0025】
板材13には、図5図6に示すように、円孔11と円孔11と連続する長孔12が設けてある。図5に示される、長孔12の長手方向長さH1は、図8に示される係止棒23の長手方向長さH3よりも長く形成してある。また、図6に示される円孔11の直径H2は係止棒23の長手方向長さH3よりも短く、且つ、図8に示される棒体21の直径H4よりも長く形成してある。
【0026】
係る構成とすることで、図11に示すように係止棒23及び棒体21を、円孔11と長孔12を通過させて、マウント10の下方に位置せしめることが可能となる。この状態から吊下具20を、棒体21の軸心を中心にして回転させ、図9に示されるような係止棒23を長孔12を通過できない位置に持ってくれば、係止棒12の長手方向長さが円孔11の直径よりも長く形成されていることから、板材13を係止することが可能となる。つまりは吊下具20とマウント10を固定することが可能となるのである。
【0027】
請求項2記載の発明においては、棒体21上部に円孔11を通過できない形状の第二棒体22を連設すると共に、図8に示される第二棒体22下端と係止棒23上端との距離H5を、図7に示される板材13の上下方向厚さH6よりも長く構成した。係る構成とすることで、図11に示すように第二棒体22の下端が板材13の上端面に当接した段階で、係止棒23は確実に板材13より下方に位置することになる。つまりは吊下具20を、棒体21の軸心を中心にして回転させる際に、係止棒23が板材13と当接することで、回転が阻害されることを防ぐことが可能となるものである。係る効果は、搬送対象物を撤去する際に、作業員の地上での操作で吊下具を20をマウント10に容易に固定可能とすることに資するものである。
【0028】
請求項3に記載の発明においては、図2図6に示すように、マウント10底面に円孔11と連続する形状の凹溝16を設けて構成してある。図9に示すように、係止棒23がこの凹溝16に嵌まり込むことで、係止棒23の棒体21の回転に伴う回転運動を抑制することが可能となる。つまりは、吊下具20がマウント10から外れることを可及的に防ぐことが可能となり、搬送時にマウント10と共に搬送物が落下してしまうといった事故を防ぐことが可能となるのである。
【0029】
三、 吊下具の形態
吊下具20は図1図8に示すように、係止棒23と該係止棒を先端に備えた棒体21と、棒体21の上部に連設された第二棒体22とにより成るものである。
【0030】
棒体21は円柱状の棒体であり、その直径はマウント10に設けられた円孔11の直径よりも小さく形成されている。
【0031】
係止棒23は棒体21の下端近傍に設けられた孔部21aに嵌合固定されるものである。係止棒23の長手方向長さは、マウント10に設けられた長孔12の長手方向長さより短いが円孔11の直径よりも長く形成されている。
【0032】
第二棒体22は、円孔11を通過できない形状、すなわち、その直径が円孔11の直径よりも大きい円柱体や、その対角辺の長さが円孔11の直径よりも大きい角柱体等で形成されるものである。なお、請求項1に記載の発明においては、第二棒体22はその構成要素ではない。請求項1記載の発明においては棒体21を長尺なものに形成すれば足りる。
【0033】
上記吊下具10を構成する各部材はその必要とする強度や使用場所等に鑑み、防錆処理加工した鉄材や鋼材・ステンレス材等で形成するのが好ましい。また鉄材や鋼材を使用する場合には、溶接部や切断部の防錆上、製品の加工形成後にメッキ等の防錆処理を施すのが好ましい。
【符号の説明】
【0034】
10・・マウント
11・・円孔
12・・長孔
13・・板材
14・・立壁
15・・脚部
16・・凹溝
20・・吊下具
21・・棒体
21a・・孔部
22・・第二棒体
23・・係止棒
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【手続補正書】
【提出日】2023-03-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開所や立坑・マンホールなどに各種器具を設置する際に使用する搬送装置であって、
円孔(11)と円孔(11)と連続する長孔(12)を備えた平板状であり、且つ、その周縁が立ち上げられて立壁(14)が形成された板材(13)であるマウント(10)と、
長手方向長さが、長孔(12)の長手方向長さより短いが円孔(11)の直径よりも長い係止棒(23)と、該係止棒(23)を先端に備えた、その直径が円孔(11)の直径よりも小さい円柱状の棒体(21)と、により成る吊下具(20)と、
により成る搬送装置。
【請求項2】
棒体(21)上部に円孔(11)を通過できない形状の第二棒体(22)を連設すると共に、第二棒体(22)下端と係止棒(23)上端との距離を板材(13)の上下方向厚さよりも長く構成した請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
マウント(10)底面に、円孔(11)と連続する形状の凹溝(16)を備えた請求項1又は請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
開所や立坑・マンホールなどに各種器具を設置する際に使用する搬送装置であって、
円孔(11)と円孔(11)と連続する長孔(12)を備えた平板状であり、且つ、周縁が立ち上げられて立壁(14)が形成された板材(13)であり、しかもその底面に円孔(11)と連続する形状の凹溝(16)を備えたマウント(10)と、
長手方向長さが、長孔(12)の長手方向長さより短いが円孔(11)の直径よりも長い係止棒(23)と、該係止棒(23)を先端に備えた、その直径が円孔(11)の直径よりも小さい円柱状の棒体(21)と、棒体(21)上部に連設された円孔(11)を通過できない形状の第二棒体(22)であって、この第二棒体(22)下端と係止棒(23)上端との距離を板材(13)の上下方向厚さよりも長く構成した第二棒体(22)と、により成る吊下具(20)と、
により成る搬送装置。