(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161534
(43)【公開日】2023-11-07
(54)【発明の名称】携帯式オープナー
(51)【国際特許分類】
B67B 7/44 20060101AFI20231030BHJP
B67B 7/40 20060101ALN20231030BHJP
B67B 7/18 20060101ALN20231030BHJP
【FI】
B67B7/44
B67B7/40
B67B7/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022081911
(22)【出願日】2022-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】512258540
【氏名又は名称】株式会社ウエルスジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100071892
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 隆一
(72)【発明者】
【氏名】渡部 紳一郎
【テーマコード(参考)】
3E081
【Fターム(参考)】
3E081AA06
3E081AA14
3E081AB06
3E081AC02
3E081AC07
3E081BB14
3E081BB25
3E081BB29
3E081BB56
3E081BC06
3E081BC08
3E081DD01
3E081DD03
3E081EE21
(57)【要約】
【課題】筋力の低下した者が不得意とするプルタブ缶の缶蓋の開口と、ボトルキャップの開栓及び密着したポリ袋の開口の3つの作業を補助するコンパクト化可能な携帯式オープナーを提供する。
【解決手段】プルタブオープナー本体1の周縁に波形弾性薄片よりなるキャップオープナー本体7を連設している。プルタブオープナー本体1の下面略中央にプルタブ把持部引っ掛け用突起5が設けられている。プルタブ差し入れ口2からプルタブ把持部引っ掛け用突起5の先端部に亘り傾斜面6に形成されている。キャップオープナー本体7は切込み溝9が設けられ、切込み溝9の両側は他の部分よりも長く形成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定硬度及び所定肉厚を有する略円形板状体のプルタブオープナー本体と、弾性薄片よりなりプルタブオープナー本体の周縁に連設され下方になるに従い外方に傾斜し下方が開放されたスカート形状のキャップオープナー本体とよりなり、
プルタブオープナー本体とキャップオープナー本体で囲まれる内側にボトルキャップを配設可能な径の空間部を設け、
プルタブオープナー本体は、下面の略中央にプルタブ把持部引っ掛け用突起を設け、側面には空間部と連通するプルタブ差し入れ口が開設され、該プルタブ差し入れ口からプルタブ把持部引っ掛け用突起の先端部に亘る下面は傾斜され、
キャップオープナー本体は周方向に沿って交互に設けられた凹凸が上端から下端に亘り延設され、上下方向中途位置まで切り込まれ下端周縁に開口する切込み溝が設けられたことを特徴とする携帯式オープナー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、キャップオープナーとプルタップオープナー及びポリ袋の開口補助の3つの機能を有する携帯式オープナーに関する。
【背景技術】
【0002】
筋力の低下した者、特に高齢者がペットボトル等のボトルの開栓のためにキャップを回転しようとすると握力不足で手が滑り開栓に手間取ることがあり、また、プルタブ缶のプルタブを引き起こして開蓋しようとすると指の筋力不足でプルタブを引き起こすことができない場合がある。また、近年、爪を伸ばし爪に装飾を施した者にとってもプルタブの引き起こしは爪に傷を付けることがあるため容易に開蓋できない。又、手指が乾燥した者等はレジ袋やポリ袋の口を開けることが困難である場合があった、
【0003】
ボトルキャップを開く為の補助具としては軟質合成樹脂或はゴムよりなる薄片を用いて上下両端方を開放し周面を外傾させた筒状体のもの(例えば、特許文献1参照)や、内周面にローレット目を有する環状体(例えば、特許文献2参照)が提案されている。
プルタブオープナーとしては、プルタブの下にもぐり込ませてプルタブを20~30度起き上がらせるための長尺板状体からなるオープナー(例えば、特許文献3又は4参照)や、缶蓋から90度程度引き起こすことも可能な偏平筒状のプルタブ挿入部を有する缶開け具(例えば、特許文献5参照)が提案されている。
ところで、ミネラルウオーター、ジュース、紅茶、コーヒー、ビールを始めとする飲料の大半は、ペットボトル若しくは缶ボトル若しくはプルタブ付きの缶に納められている。これらの飲料は、車中等の外出先で飲むことが殆どである。特許文献1~5に開示のオープナーは、ボトルキャップ又はプルタブの何れかの用途に限定されているため、オープナーを携帯して外出しても、容器の種類により購入する飲料が決定される。
そこで、ボトルキャップやプルタブ缶の何れも開栓することができる携帯式オープナーが提案されている。例えば、ボトルキャップを開栓するための開口部を設けた環状体の内周面にローレット目群を上下互い違いに設け、外周縁の一部は半径外方向に板状部が延設され先端にプルタブを引き起こすための突起部を設けたものや(例えば、特許文献6参照)、本体部の中央に設けた開口部の内周面に一方向に傾斜するノコギリ刃状凹凸を設け、外周面には外方に彎曲状に張出した凸部と凹部を周方向に交互に設け、外周の一部には板状部を連設し、該板状部の先端部を上方に彎曲させてプルタブオープナーとしたもの(例えば、特許文献7参照)が提案されている。特許文献6又は7に開示のオープナーであると、外周面の一部に設けた板状部をプルタブ把持部と缶蓋間に差し込んで先端部を支点としてプルタブを引き起こすようにしているので、全体が硬度を有する材料からなる必要性があり、開口部の直径の調整ができず開栓可能なボトルキャップの径が1種類のものに限定され汎用性がないという問題点があった。ボトルキャップオープナーの機能を有する部分とは重複しない部分に、2枚の板状片をスリットを介して上下平行に設け、スリットにプルタブを差し入れ、下の板状片を支点としてプルタブを引き上げる構成のものが提案されている(例えば、特許文献8又は9参照)。特許文献8又は9に開示の発明は、何れも使用するボトルキャップの径が限定的であり、展開されて大きさを有しコンパクト化できず携帯に場所を要するという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-93605号公報
【特許文献2】実用新案登録第3119832号の登録実用新案公報
【特許文献3】実用新案登録第3046761号の登録実用新案公報
【特許文献4】実用新案登録第3028839号の登録実用新案公報
【特許文献5】実用新案登録第3034003号の登録実用新案公報
【特許文献6】実用新案登録第3166990号の登録実用新案公報
【特許文献7】実用新案登録第3189637号の登録実用新案公報
【特許文献8】特開2001-158500号公報
【特許文献9】特許第6383902号の特許公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする課題は、キャップオープナーと、プルタブオープナーに加えてポリ袋の開口補助の3つの機能を1つのものに兼ね備えたものがない点である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本願発明のうち請求項1に記載の発明は、所定硬度及び所定肉厚を有する略円形板状体のプルタブオープナー本体と、弾性薄片よりなりプルタブオープナー本体の周縁に連設され下方になるに従い外方に傾斜し下方が開放されたスカート形状のキャップオープナー本体とよりなり、プルタブオープナー本体とキャップオープナー本体で囲まれる内側にボトルキャップを配設可能な径の空間部を設け、プルタブオープナー本体は、下面の略中央にプルタブ把持部引っ掛け用突起を設け、側面には空間部と連通するプルタブ差し入れ口が開設され、該プルタブ差し入れ口からプルタブ把持部引っ掛け用突起の先端部に亘る下面は傾斜され、キャップオープナー本体は周方向に沿って交互に設けられた凹凸が上端から下端に亘り延設され、上下方向中途位置まで切り込まれ下端周縁に開口する切込み溝が設けられたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
ボトルキャップの平面積とほぼ同程度の面積を有する板状物の内部にプルタブを引き起こす機能を設け、且つ板状物周縁に連設された波状弾性薄片を下方になるに従い空間部内径が大になるスカート状にすることで大小異なる径のボトルキャップであっても波状弾性薄片でキャップを掴み回し開栓可能にした。
切込み溝を中心として両側の波状弾性薄片でポリ袋の口部周辺の両外面を擦り、内面が密着重合したポリ袋の口を開口可能にし、高齢者が日常不便を感じているキャップボトルの開栓とプルタブの引き起こし及びポリ袋の開口補助という3つの作業の補助が軽量でコンパクトな1つの補助具で簡単にできるという効果がある。
硬度を有するプルタブオープナー本体と弾性薄片よりなるキャップオープナー本体よりなるので、キャップオープナー本体をプルタブオープナー本体に折り返す等、自由に折ることでポケット等にコンパクトに収納することができ、ポケット等から出すとキャップオープナー本体は元の形状に復元して使用に供することができ携帯に便利であるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】携帯式オープナーの底面斜視図である。(実施例1)
【
図2】携帯式オープナーの正面図である。(実施例1)
【
図3】携帯式オープナーの背面図である。(実施例1)
【
図4】携帯式オープナーの右側面図である。(実施例1)
【
図5】携帯式オープナーの平面図である。(実施例1)
【
図6】携帯式オープナーの底面図である。(実施例1)
【
図7】携帯式オープナーの縦断面図である。(実施例1)
【
図8】プルタブの把持部をプルタブ把持部引っ掛け用突起に引っ掛けて引き起こそうとする使用状態を示す説明図である。(実施例1)
【
図9】プルタブオープナー本体とキャップオープナー本体で囲まれる空間部にボトルキャップをいれて、ボトルキャップを開栓しようとする使用状態を示す説明図である。(実施例1)
【
図10】切込み溝にポリ袋の開口縁部を挟み込んで内面が密着重合したポリ袋の開口をしている使用状態説明図である。(実施例1)
【
図11】携帯式オープナーの平面図である。(実施例2)
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明はプルタブオープナー本体が所定硬度及び所定肉厚を有する板状体よりなるので、プルタブ引き起こしの際に力を作用させやすく、プルタブオープナー本体の周縁に弾性薄片を材料とし下方になるに従い外傾させてスカート状に設けることで、プルタブオープナー本体下面と弾性薄片で囲まれる空間部を断面台形状にし、異なる径や長さのボトルキャップであっても弾性薄片を介してキャップを掴み回すことができ、スカート状に設けられた弾性薄片の一部に下端に開口する切込み溝を設けることで、該切込み溝により分断される2枚の弾性薄片でポリ袋の両外面を擦り摩擦力で開口することをができるようにし、キャップオープナーとプルタブオープナー及びポリ袋開口補助の3つの機能を有することを実現した。
【実施例0010】
図1~
図10に基づいて実施例1を説明する。プルタブオープナー本体1は所定の硬度及び所定肉厚を有する平視が円形状の板状体よりなる。プルタブオープナー1の側面には、下面側を開放したプルタブ差し入れ口2が開口されている。プルタブ差し入れ口2の開口幅は、市販のプルタブ缶3のプルタブ把持部4の横幅より長く設定されて、プルタブ把持部4がスムーズにプルタブ差し入れ口2に入り込むことができるようにしている。プルタブオープナー本体1の下面中心には、プルタブ把持部引っ掛け用突起5が設けられている。プルタブ把持部引っ掛け用突起5はプルタブオープナー本体1の下面に三角柱体の一側面が連設され、プルタブ差し入れ口2とは反対側の面とプルタブオープナー本体1の下面とが鋭角をなすように一体的に設けられている。プルタブオープナー本体1の下面のうちプルタブ差し入れ口2からプルタブ把持部引っ掛け用突起5の先端にかけては、傾斜面6に形成されている。傾斜面6は一面状に傾斜させてものであっても、プルタブ差し入れ口2から段差を設けて階段状に厚みを厚くしたのであってもよい。
【0011】
プルタブオープナー本体1の全周縁には、弾性薄片よりなるキャップオープナー本体7を下方になるに従い外方に傾斜するスカート状に設けている。プルタブオープナー本体1とキャップオープナー本体7とで囲まれる空間部8は下方になるに従い内径が大きくなる縦断面が台形状にされている。キャップオープナー本体7は周方向に沿って交互に所定ピッチで設けられた凹凸が上端から下端に亘り延び全体として波状に形成されている。キャップオープナー本体7の下端周縁には、プルタブ差し入れ口2の開口位置と反対側に開口し、キャップオープナー本体7の上下方向中途位置まで切り込まれる切込み溝9を凹設している。プルタブオープナー本体1は、切込み溝9を中心として両側部分を他の部分よりも上下方向の長さを長く設定している。
実施例1の携帯式オープナーはエラストマーよりなることが好適であり、具体的にはプルタブオープナー本体1の肉厚を約3mm~5mmで、キャップオープナー本体7を構成する弾性薄片の肉厚を約0.5mm程度にし、プルタブオープナー本体1の径を約3cm、プルタップ差し入れ口2の真下に設けられたキャップオープナー本体7の上下方向長さを約2.5cm、切込み溝9の両側に設けられたキャップオープナー本体7の上下方向長さを約3.0cm、切込み溝9の開口幅を0.5mmにすることが考えられる。キャップオープナー本体7は柔軟性、復元性を有すれば足り、シリコン樹脂製であってもよい。
【0012】
作用について説明する。
図8に示すように、プルタブオープナー本体1の上面をプルタブ缶3の缶蓋に沿わせてプルタブ把持部4をプルタブ差し入れ口2に差し込み、プルタブ把持部4をプルタブ把持部引っ掛け用突起5に引っ掛ける。プルタブ把持部引っ掛け用突起5の切込み溝9の側面と、プルタブオープナー本体1の下面とのなす角度は90度未満であるので、プルタブ把持部4はプルタブ把持部引っ掛け用突起5に安定的に引っ掛かることができる。プルタブ把持部4とプルタブ缶3の缶蓋との間に、プルタブ把持部4を傾斜面6に接触させてもぐり込ませると、プルタブ把持部4はリベットを支点として引き上げられ、さらにプルタブオープナー本体1を上方に傾斜させるとプルタブ把持部4は立上り、プルタブ缶3のスコアを切断し開蓋する。
【0013】
図9に示すように、プルタブオープナー本体1とキャップオープナー本体7との間に設けた空間部8に未開封のキャップ10付きのボトルの頭部を配設する。キャップオープナー本体7の外側から掴みこんで捩じり回すと、キャップオープナー本体7の摩擦力でキャップ10を回転させて開封する。
【0014】
図10に示すように、切込み溝9の両側部分の内面でポリ袋11の外面を挟み込んだ状態で指を擦り合わせると、キャップオープナー本体7の摩擦力でポリ袋11の密着重合して2枚の片が離れ開口する。