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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161539
(43)【公開日】2023-11-07
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20231030BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022114701
(22)【出願日】2022-07-19
(62)【分割の表示】P 2022071927の分割
【原出願日】2022-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100202728
【弁理士】
【氏名又は名称】三森 智裕
(72)【発明者】
【氏名】東 利亮
【テーマコード(参考)】
5H770
【Fターム(参考)】
5H770BA01
5H770QA01
5H770QA06
5H770QA22
5H770QA28
5H770QA33
(57)【要約】
【課題】筐体の大型化に起因して装置が大型化するのを抑制可能な電力変換装置を提供する。
【解決手段】この電力変換装置100は、半導体モジュール1と、コンデンサモジュール2と、半導体モジュールの電力変換の制御を行う制御基板3と、絶縁性樹脂によって形成された板状の固定板4とを備える。また、電力変換装置100は、半導体モジュール1、コンデンサモジュール2および制御基板3を収容する筐体5を備える。コンデンサモジュール2は、平滑コンデンサCを含み、平滑コンデンサCと装置外部のバッテリ300とに電気的に接続される接続端子21、および、半導体モジュール1と電気的に接続される第2接続端子22を有する。そして、固定板4は、コンデンサモジュール2と、制御基板3との間において、第1接続端子21および第2接続端子22のうち、少なくとも一方を覆うように配置される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力変換を行う半導体モジュールと、
平滑コンデンサを含み、前記平滑コンデンサと装置外部の電源とに電気的に接続される第1接続端子、および、前記半導体モジュールと電気的に接続される第2接続端子を有するコンデンサモジュールと、
前記半導体モジュールの電力変換の制御を行う制御基板と、
前記半導体モジュール、前記コンデンサモジュールおよび前記制御基板を収容する筐体と、
前記コンデンサモジュールと前記制御基板との間において、前記第1接続端子および前記第2接続端子のうち、少なくとも一方を覆うように配置されるとともに、絶縁性樹脂によって形成された板状の絶縁板と、を備え、
前記絶縁板が延びる方向において、前記半導体モジュールおよび前記コンデンサモジュールが互いに隣り合うように配置されている、電力変換装置。
【請求項2】
前記制御基板は、前記半導体モジュールおよび前記コンデンサモジュールの上方に配置されており、
前記絶縁板は、前記第1接続端子および前記第2接続端子と、前記制御基板との間において、前記第1接続端子および前記第2接続端子を覆うように配置されている、請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記制御基板は、前記筐体には直接固定されずに、前記絶縁板を介して前記筐体に固定されている、請求項1または2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記筐体は、金属によって形成されており、
前記絶縁板は、前記コンデンサモジュールの前記第1接続端子と前記筐体との間において、前記第1接続端子を覆うように配置されている、請求項1または2に記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記筐体は、前記コンデンサモジュールを取り囲むように設けられる側壁を含み、
前記第1接続端子は、前記側壁に対向する位置に設けられており、
前記絶縁板は、前記筐体の前記側壁と前記第1接続端子との間において、前記側壁に沿って延びるように形成された壁部を有している、請求項4に記載の電力変換装置。
【請求項6】
前記筐体は、前記絶縁板を締結固定するための複数の締結用穴部を有し、
前記コンデンサモジュールは、前記平滑コンデンサを内部に収容するコンデンサケースをさらに含み、
前記コンデンサケースは、前記平滑コンデンサ側に向かって内側にへこむ凹部を有しており、
前記複数の締結用穴部のうちの少なくとも1つが、前記コンデンサケースの前記凹部に対応する位置に設けられている、請求項1または2に記載の電力変換装置。
【請求項7】
前記半導体モジュールは、前記制御基板に接続される制御端子を有し、
前記絶縁板は、前記制御基板に沿って延びるように形成されるとともに、前記制御端子に対応して設けられる開口部を有し、
前記制御端子は、前記開口部を介して、前記制御基板に接続されている、請求項1または2に記載の電力変換装置。
【請求項8】
装置外部の負荷と電気的に接続される複数の導体配線をさらに備え、
前記半導体モジュールは、前記複数の導体配線に対応して設けられ、前記複数の導体配線と前記半導体モジュールとを接続する複数の接続部を有し、
前記絶縁板は、前記複数の接続部と前記制御基板との間において、前記複数の接続部を覆うように配置されている、請求項1または2に記載の電力変換装置。
【請求項9】
前記制御基板は、前記制御基板に沿った方向における前記複数の接続部同士の間において、前記絶縁板と締結固定されるように構成されている、請求項8に記載の電力変換装置。
【請求項10】
前記絶縁板は、前記複数の接続部の各々に対応して設けられ、前記複数の接続部との干渉を回避するようにへこむ凹状の干渉回避部を有する、請求項8に記載の電力変換装置。
【請求項11】
電力変換を行う半導体モジュールと、
平滑コンデンサを含み、前記平滑コンデンサと装置外部の電源とに電気的に接続される第1接続端子、および、前記半導体モジュールと電気的に接続される第2接続端子を有するコンデンサモジュールと、
前記半導体モジュールの電力変換の制御を行う制御基板と、
前記半導体モジュール、前記コンデンサモジュールおよび前記制御基板を収容する筐体と、
前記コンデンサモジュールと前記制御基板との間において、前記第1接続端子および前記第2接続端子のうち、少なくとも一方を覆うように配置されるとともに、絶縁性樹脂によって形成された板状の絶縁板と、を備え、
前記制御基板は、前記絶縁板に直接固定されている、電力変換装置。
【請求項12】
電力変換を行う半導体モジュールと、
平滑コンデンサを含み、前記平滑コンデンサと装置外部の電源とに電気的に接続される第1接続端子、および、前記半導体モジュールと電気的に接続される第2接続端子を有するコンデンサモジュールと、
前記半導体モジュールの電力変換の制御を行う制御基板と、
前記半導体モジュール、前記コンデンサモジュールおよび前記制御基板を収容する筐体と、
前記コンデンサモジュールと前記制御基板との間において、前記第1接続端子および前記第2接続端子のうち、少なくとも一方を覆うように配置されるとともに、絶縁性樹脂によって形成された板状の絶縁板と、
装置外部の負荷と電気的に接続される複数の導体配線と、を備え、
前記半導体モジュールは、前記複数の導体配線に対応して設けられ、前記複数の導体配線と前記半導体モジュールとを接続する複数の接続部を有し、
前記絶縁板は、前記複数の接続部と前記制御基板との間において、前記複数の接続部を覆うように配置されている、電力変換装置。
【請求項13】
前記制御基板は、前記制御基板に沿った方向における前記複数の接続部同士の間において、前記絶縁板と締結固定されるように構成されている、請求項12に記載の電力変換装置。
【請求項14】
前記絶縁板は、前記複数の接続部の各々に対応して設けられ、前記複数の接続部との干渉を回避するようにへこむ凹状の干渉回避部を有する、請求項12に記載の電力変換装置。
【請求項15】
電力変換を行う半導体モジュールと、
平滑コンデンサを含み、前記平滑コンデンサと装置外部の電源とに電気的に接続される第1接続端子、および、前記半導体モジュールと電気的に接続される第2接続端子を有するコンデンサモジュールと、
前記半導体モジュールの電力変換の制御を行う制御基板と、
前記半導体モジュール、前記コンデンサモジュールおよび前記制御基板を収容する筐体と、
前記コンデンサモジュールと前記制御基板との間において、前記第1接続端子および前記第2接続端子のうち、少なくとも一方を覆うように配置されるとともに、絶縁性樹脂によって形成された板状の絶縁板と、を備え、
前記絶縁板は、前記制御基板の表面と直交する方向から見て、略H字状に形成されている、電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電力変換装置に関し、特に、電力変換を行う半導体モジュールと、半導体モジュールの電力変換の制御を行う制御基板とを備える電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電力変換を行う半導体モジュールと、半導体モジュールの電力変換の制御を行う制御基板とを備える電力変換装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、電力変換を行う半導体モジュールと、半導体モジュールの電力変換の制御を行う制御基板と、半導体モジュールおよび制御基板を収容する筐体とを備える電力変換装置が開示されている。
【0004】
ここで、上記特許文献1には明示されていないが、上記特許文献1に記載のような従来の電力変換装置は、装置外部の電源から供給される電力を平滑化する平滑コンデンサを含むコンデンサモジュールを備え、半導体モジュールおよび制御基板とともに、コンデンサモジュールを筐体内に収容する場合がある。このような場合、コンデンサモジュールの端子と、制御基板との間の短絡を防ぐために、筐体内において、コンデンサモジュールの端子と制御基板とを互いに離間させて配置する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-198229号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のように、コンデンサモジュールの端子と制御基板とを互いに離間させて配置する場合、コンデンサモジュールの端子と制御基板との間の短絡を防ぐためには、コンデンサモジュールの端子と制御基板とを気中絶縁距離(空気によって絶縁を行う場合の絶縁距離)分だけ離間させる必要がある。そのため、制御基板およびコンデンサモジュールを収容する筐体が大型化してしまう。その結果、装置が大型化してしまうという問題点がある。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、筐体の大型化に起因して装置が大型化するのを抑制可能な電力変換装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面による電力変換装置は、電力変換を行う半導体モジュールと、平滑コンデンサを含み、平滑コンデンサと装置外部の電源とに電気的に接続される第1接続端子、および、半導体モジュールと電気的に接続される第2接続端子を有するコンデンサモジュールと、半導体モジュールの電力変換の制御を行う制御基板と、半導体モジュール、コンデンサモジュールおよび制御基板を収容する筐体と、コンデンサモジュールと制御基板との間において、第1接続端子および第2接続端子のうち、少なくとも一方を覆うように配置されるとともに、絶縁性樹脂によって形成された板状の絶縁板と、を備え、絶縁板が延びる方向において、半導体モジュールおよびコンデンサモジュールが互いに隣り合うように配置されている。
【0009】
上記第1の局面による電力変換装置では、上記のように、絶縁性樹脂によって形成された板状の絶縁板が、コンデンサモジュールと制御基板との間において、第1接続端子および第2接続端子のうち、少なくとも一方を覆うように配置されている。これにより、絶縁板を、コンデンサモジュールと制御基板との間において、第1接続端子を覆うように配置する場合には、コンデンサモジュールの第1接続端子と制御基板との間を気中絶縁する(空気で絶縁を行う)場合よりも、コンデンサモジュールの第1接続端子と制御基板との間の距離を小さくすることができる。その結果、筐体の大型化を抑制することができるので、筐体の大型化に起因して装置が大型化するのを抑制することができる。また、絶縁板を、コンデンサモジュールと制御基板との間において、第2接続端子を覆うように配置する場合には、コンデンサモジュールの第2接続端子と制御基板との間を気中絶縁する場合よりも、コンデンサモジュールの第2接続端子と制御基板との間の距離を小さくすることができる。その結果、筐体の大型化を抑制することができるので、筐体の大型化に起因して装置が大型化するのを抑制することができる。
【0010】
上記第1の局面による電力変換装置において、好ましくは、制御基板は、半導体モジュールおよびコンデンサモジュールの上方に配置されており、絶縁板は、第1接続端子および第2接続端子と、制御基板との間において、第1接続端子および第2接続端子を覆うように配置されている。このように構成すれば、第1接続端子および第2接続端子と、制御基板との間において、第1接続端子および第2接続端子を覆うように絶縁板が配置されているので、第1接続端子および第2接続端子と制御基板との間を気中絶縁する場合よりも、第1接続端子および第2接続端子と制御基板との間の距離を小さくすることができる。その結果、筐体の大型化を抑制することができるので、筐体の大型化に起因して装置が大型化するのを抑制することができる。
【0011】
上記第1の局面による電力変換装置において、好ましくは、制御基板は、筐体には直接固定されずに、絶縁板を介して筐体に固定されている。ここで、筐体および絶縁板の両方に制御基板を固定する場合、筐体および絶縁板の各々の寸法公差に起因して制御基板の固定が困難になる。上記のように構成すれば、制御基板は、絶縁板を介して筐体に固定されるので、固定の際には、絶縁板の寸法公差にだけ合わせればよい。その結果、制御基板を絶縁板に対して容易に固定することができる。
【0012】
上記第1の局面による電力変換装置において、好ましくは、筐体は、金属によって形成されており、絶縁板は、コンデンサモジュールの第1接続端子と筐体との間において、第1接続端子を覆うように配置されている。このように構成すれば、絶縁板が、コンデンサモジュールの第1接続端子と筐体との間において、第1接続端子を覆うように配置されているので、筐体が外部からの衝撃などによって内側にへこむように変形した場合でも、金属によって形成された筐体がコンデンサモジュールの第1接続端子に接触することを防止することができる。その結果、金属によって形成された筐体が外部からの衝撃などによって内側に凹むように変形した場合において、コンデンサモジュールの第1接続端子と、変形した筐体とが短絡することを防止することができる。
【0013】
この場合、好ましくは、筐体は、コンデンサモジュールを取り囲むように設けられる側壁を含み、第1接続端子は、側壁に対向する位置に設けられており、絶縁板は、筐体の側壁と第1接続端子との間において、側壁に沿って延びるように形成された壁部を有している。このように構成すれば、壁部が、筐体の側壁と第1接続端子との間において、筐体の側壁に沿って延びるように形成されているので、筐体が外部からの衝撃などによって内側にへこむように変形した場合でも、金属によって形成された筐体がコンデンサモジュールの第1接続端子に接触することを防止することができる。その結果、金属によって形成された筐体が外部からの衝撃などによって内側に凹むように変形した場合において、コンデンサモジュールの第1接続端子と、変形した筐体とが短絡することを容易に防止することができる。
【0014】
上記第1の局面による電力変換装置において、好ましくは、筐体は、絶縁板を締結固定するための複数の締結用穴部を有し、コンデンサモジュールは、平滑コンデンサを内部に収容するコンデンサケースをさらに含み、コンデンサケースは、平滑コンデンサ側に向かって内側にへこむ凹部を有しており、複数の締結用穴部のうちの少なくとも1つが、コンデンサケースの凹部に対応する位置に設けられている。このように構成すれば、平滑コンデンサ側に向かって内側にへこむ凹部に対応する位置に、複数の締結用穴部のうちの少なくとも1つが設けられるので、凹部によって設けられるスペースを活用して、締結用穴部を設けることができる。その結果、コンデンサケースの凹部がへこむ方向における筐体の大型化を抑制することができるので、筐体の大型化に起因して装置が大型化するのを抑制することができる。
【0015】
上記第1の局面による電力変換装置において、好ましくは、半導体モジュールは、制御基板に接続される制御端子を有し、絶縁板は、制御基板に沿って延びるように形成されるとともに、制御端子に対応して設けられる開口部を有し、制御端子は、開口部を介して、制御基板に接続されている。このように構成すれば、半導体モジュールと制御基板との間に配置される絶縁板を迂回するように、半導体モジュールの制御端子と制御基板とを互いに接続するための配線を設ける場合に比べて、接続経路をより短くすることができる。その結果、半導体モジュールの制御端子を制御基板に容易に接続することができるので、装置構成の複雑化を抑制することができる。
【0016】
上記第1の局面による電力変換装置において、好ましくは、装置外部の負荷と電気的に接続される複数の導体配線をさらに備え、半導体モジュールは、複数の導体配線に対応して設けられ、複数の導体配線と半導体モジュールとを接続する複数の接続部を有し、絶縁板は、複数の接続部と制御基板との間において、複数の接続部を覆うように配置されている。このように構成すれば、複数の接続部と制御基板との間において、複数の接続部を覆うように絶縁板が配置されているので、複数の接続部と制御基板との間を気中絶縁する場合よりも、複数の接続部と制御基板との間の距離を小さくすることができる。その結果、筐体の大型化を抑制することができるので、筐体の大型化に起因して装置が大型化するのを抑制することができる。
【0017】
上記半導体モジュールが複数の接続部を有する構成において、好ましくは、制御基板は、制御基板に沿った方向における複数の接続部同士の間において、絶縁板と締結固定されるように構成されている。このように構成すれば、複数の接続部のいずれかとオーバーラップする位置において、制御基板を絶縁板と締結固定する場合と異なり、制御基板を締結固定するためのねじなどの部材が、複数の接続部と干渉することを抑制することができる。その結果、複数の接続部のいずれかとオーバーラップする位置において、制御基板を絶縁板と締結固定する場合に比べて、制御基板を締結する部分を半導体モジュールに対してより近づけることができる。これにより、半導体モジュールと対向する方向における絶縁板の大きさを小さくすることができるので、筐体の大型化を抑制することができる。その結果、筐体の大型化に起因して装置が大型化するのを抑制することができる。
【0018】
この場合、好ましくは、絶縁板は、複数の接続部の各々に対応して設けられ、複数の接続部との干渉を回避するようにへこむ凹状の干渉回避部を有する。このように構成すれば、凹状の干渉回避部によって、複数の接続部に対する絶縁板の干渉を回避することができるので、複数の接続部を有する半導体モジュールに対して、絶縁板をより近づけることができる。その結果、半導体モジュールと絶縁板とが対向する方向における筐体の大きさをより小さくすることができる。これにより、筐体の大型化をより抑制することができるので、筐体の大型化に起因して装置が大型化するのをより抑制することができる。
【0019】
この発明の第2の局面による電力変換装置は、電力変換を行う半導体モジュールと、平滑コンデンサを含み、平滑コンデンサと装置外部の電源とに電気的に接続される第1接続端子、および、半導体モジュールと電気的に接続される第2接続端子を有するコンデンサモジュールと、半導体モジュールの電力変換の制御を行う制御基板と、半導体モジュール、コンデンサモジュールおよび制御基板を収容する筐体と、コンデンサモジュールと制御基板との間において、第1接続端子および第2接続端子のうち、少なくとも一方を覆うように配置されるとともに、絶縁性樹脂によって形成された板状の絶縁板と、を備え、制御基板は、絶縁板に直接固定されている。
これにより、絶縁板を、コンデンサモジュールと制御基板との間において、第1接続端子を覆うように配置する場合には、コンデンサモジュールの第1接続端子と制御基板との間を気中絶縁する(空気で絶縁を行う)場合よりも、コンデンサモジュールの第1接続端子と制御基板との間の距離を小さくすることができる。その結果、筐体の大型化を抑制することができるので、筐体の大型化に起因して装置が大型化するのを抑制することができる。また、絶縁板を、コンデンサモジュールと制御基板との間において、第2接続端子を覆うように配置する場合には、コンデンサモジュールの第2接続端子と制御基板との間を気中絶縁する場合よりも、コンデンサモジュールの第2接続端子と制御基板との間の距離を小さくすることができる。その結果、筐体の大型化を抑制することができるので、筐体の大型化に起因して装置が大型化するのを抑制することができる。
【0020】
この発明の第3の局面による電力変換装置は、電力変換を行う半導体モジュールと、平滑コンデンサを含み、平滑コンデンサと装置外部の電源とに電気的に接続される第1接続端子、および、半導体モジュールと電気的に接続される第2接続端子を有するコンデンサモジュールと、半導体モジュールの電力変換の制御を行う制御基板と、半導体モジュール、コンデンサモジュールおよび制御基板を収容する筐体と、コンデンサモジュールと制御基板との間において、第1接続端子および第2接続端子のうち、少なくとも一方を覆うように配置されるとともに、絶縁性樹脂によって形成された板状の絶縁板と、装置外部の負荷と電気的に接続される複数の導体配線と、を備え、半導体モジュールは、複数の導体配線に対応して設けられ、複数の導体配線と半導体モジュールとを接続する複数の接続部を有し、絶縁板は、複数の接続部と制御基板との間において、複数の接続部を覆うように配置されている。
これにより、絶縁板を、コンデンサモジュールと制御基板との間において、第1接続端子を覆うように配置する場合には、コンデンサモジュールの第1接続端子と制御基板との間を気中絶縁する(空気で絶縁を行う)場合よりも、コンデンサモジュールの第1接続端子と制御基板との間の距離を小さくすることができる。その結果、筐体の大型化を抑制することができるので、筐体の大型化に起因して装置が大型化するのを抑制することができる。また、絶縁板を、コンデンサモジュールと制御基板との間において、第2接続端子を覆うように配置する場合には、コンデンサモジュールの第2接続端子と制御基板との間を気中絶縁する場合よりも、コンデンサモジュールの第2接続端子と制御基板との間の距離を小さくすることができる。その結果、筐体の大型化を抑制することができるので、筐体の大型化に起因して装置が大型化するのを抑制することができる。
また、複数の接続部と制御基板との間において、複数の接続部を覆うように絶縁板が配置されているので、複数の接続部と制御基板との間を気中絶縁する場合よりも、複数の接続部と制御基板との間の距離を小さくすることができる。その結果、筐体の大型化を抑制することができるので、筐体の大型化に起因して装置が大型化するのを抑制することができる。
【0021】
上記第3の局面による電力変換装置において、好ましくは、制御基板は、制御基板に沿った方向における複数の接続部同士の間において、絶縁板と締結固定されるように構成されている。このように構成すれば、複数の接続部のいずれかとオーバーラップする位置において、制御基板を絶縁板と締結固定する場合と異なり、制御基板を締結固定するためのねじなどの部材が、複数の接続部と干渉することを抑制することができる。その結果、複数の接続部のいずれかとオーバーラップする位置において、制御基板を絶縁板と締結固定する場合に比べて、制御基板を締結する部分を半導体モジュールに対してより近づけることができる。これにより、半導体モジュールと対向する方向における絶縁板の大きさを小さくすることができるので、筐体の大型化を抑制することができる。その結果、筐体の大型化に起因して装置が大型化するのを抑制することができる。
【0022】
上記第3の局面による電力変換装置において、好ましくは、絶縁板は、複数の接続部の各々に対応して設けられ、複数の接続部との干渉を回避するようにへこむ凹状の干渉回避部を有する。このように構成すれば、凹状の干渉回避部によって、複数の接続部に対する絶縁板の干渉を回避することができるので、複数の接続部を有する半導体モジュールに対して、絶縁板をより近づけることができる。その結果、半導体モジュールと絶縁板とが対向する方向における筐体の大きさをより小さくすることができる。これにより、筐体の大型化をより抑制することができるので、筐体の大型化に起因して装置が大型化するのをより抑制することができる。
【0023】
この発明の第4の局面による電力変換装置は、電力変換を行う半導体モジュールと、平滑コンデンサを含み、平滑コンデンサと装置外部の電源とに電気的に接続される第1接続端子、および、半導体モジュールと電気的に接続される第2接続端子を有するコンデンサモジュールと、半導体モジュールの電力変換の制御を行う制御基板と、半導体モジュール、コンデンサモジュールおよび制御基板を収容する筐体と、コンデンサモジュールと制御基板との間において、第1接続端子および第2接続端子のうち、少なくとも一方を覆うように配置されるとともに、絶縁性樹脂によって形成された板状の絶縁板と、を備え、絶縁板は、制御基板の表面と直交する方向から見て、略H字状に形成されている。
これにより、絶縁板を、コンデンサモジュールと制御基板との間において、第1接続端子を覆うように配置する場合には、コンデンサモジュールの第1接続端子と制御基板との間を気中絶縁する(空気で絶縁を行う)場合よりも、コンデンサモジュールの第1接続端子と制御基板との間の距離を小さくすることができる。その結果、筐体の大型化を抑制することができるので、筐体の大型化に起因して装置が大型化するのを抑制することができる。また、絶縁板を、コンデンサモジュールと制御基板との間において、第2接続端子を覆うように配置する場合には、コンデンサモジュールの第2接続端子と制御基板との間を気中絶縁する場合よりも、コンデンサモジュールの第2接続端子と制御基板との間の距離を小さくすることができる。その結果、筐体の大型化を抑制することができるので、筐体の大型化に起因して装置が大型化するのを抑制することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、上記のように、筐体の大型化に起因して装置が大型化するのを抑制可能な電力変換装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の一実施形態による電力変換装置の構成を説明するための分解斜視図である。
図2】本発明の一実施形態による電力変換装置の筐体を上方(Z1方向側)から見た図である。
図3図2の状態からカバー部材を取り外した状態の電力変換装置を上方(Z1方向側)から見た図である。
図4図3の状態から制御基板を取り外した状態の電力変換装置を上方(Z1方向側)から見た図である。
図5図4の状態から固定板を取り外した状態の電力変換装置を上方(Z1方向側)から見た図である。
図6図3の700―700線に沿った部分断面図である。
図7図6の半導体モジュール周辺を拡大した部分拡大図である。
図8】コンデンサモジュール内部の構成を示した図である。
図9図2の800―800線に沿った部分断面図である。
図10図3の900―900線に沿った部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0027】
図1図10を参照して、本実施形態による電力変換装置100の構成について説明する。
【0028】
(電力変換装置の構成)
電力変換装置100は、モータ200に取り付けられ、装置外部のバッテリ300から供給される電力を変換して、変換した電力を装置外部のモータ200に対して供給(出力)するインバータ装置である。モータ200は、たとえば、電気自動車またはハイブリッド自動車などの車両用のモータである。すなわち、電力変換装置100は、車両用インバータ装置(電力変換装置)である。なお、装置外部のモータ200は、特許請求の範囲の「装置外部の負荷」の一例であり、装置外部のバッテリ300は、特許請求の範囲の「装置外部の電源」の一例である。
【0029】
図1に示すように、電力変換装置100は、電力変換を行う半導体モジュール1と、コンデンサモジュール2と、制御基板3と、固定板4と、筐体5とを備える。なお、固定板4は、特許請求の範囲の「絶縁板」の一例である。なお、本願明細書では、制御基板3が延びる平面における一の方向をX方向(X1方向、X2方向)、上記平面においてX方向と直交する方向をY方向(Y1方向、Y2方向)、制御基板3の表面と直交する方向をZ方向(Z1方向、Z2方向)とする。
【0030】
また、電力変換装置100は、装置外部のモータ200と電気的に接続される複数の導体配線6を備える。導体配線6は、板状の金属製配線である。導体配線6は、たとえば、銅バーである。また、導体配線6は、装置外部のモータ200に対して供給する交流電力の各相(U相、V相およびW相)に対応して、複数(3つ)設けられている。
【0031】
半導体モジュール1は、複数のスイッチング素子を含む。具体的には、半導体モジュール1は、複数のIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)を含むIGBTモジュールである。また、半導体モジュール1は、制御基板3に接続される制御端子11を有している。
【0032】
コンデンサモジュール2は、電力変換装置100の外部のバッテリ300から供給される電力(直流電力)を平滑化するためのモジュールである。コンデンサモジュール2は、後述する平滑コンデンサC(図6参照)を含み、平滑コンデンサCによって、電力変換装置100の外部のバッテリ300から供給される電力(直流電力)を平滑化している。
【0033】
また、コンデンサモジュール2は、平滑コンデンサCと装置外部のバッテリ300とに電気的に接続される接続端子21を有する。また、コンデンサモジュール2は、半導体モジュール1と電気的に接続される接続端子22を有している。接続端子22は、コンデンサモジュール2の半導体モジュール1が配置される側(Y2方向側)に設けられている。そして、接続端子21は、半導体モジュール1とコンデンサモジュール2とが隣り合うY方向と交差するX方向の一方側(X1方向側)に設けられている。なお、接続端子21は、特許請求の範囲の「第1接続端子」の一例であり、接続端子22は、特許請求の範囲の「第2接続端子」の一例である。
【0034】
また、筐体5内には、バッテリ300からの電力をコンデンサモジュール2および半導体モジュール1に供給する電力線400が導入されている。電力線400は、接続端子21に接続される。
【0035】
制御基板3は、半導体モジュール1の電力変換の制御を行うように構成されている。具体的には、制御基板3は、半導体モジュール1内のスイッチング素子のスイッチングを、制御端子11を介して制御するように構成されている。制御基板3は、導体により配線パターンが形成され、電子部品が搭載(実装)されたプリント回路基板(PCB:Printed Circuit Board)である。制御基板3には、図示しないトランス、キャパシタ、および、コネクタなどの電子部品が搭載(実装)されている。
【0036】
固定板4は、コンデンサモジュール2と、制御基板3との間に配置されるとともに、絶縁性樹脂によって形成された板状の部材である。固定板4は、たとえば、PPS(Poly Phenylene Sulfide:ポリフェニレンサルファイド)樹脂によって形成された部材である。また、固定板4は、制御基板3(制御基板3の表面)に沿って延びるように形成されている。なお、固定板4は、PPS樹脂以外の絶縁性樹脂によって形成されてもよい。たとえば、固定板4は、PBT(Polybutylene terephthalate:ポリブチレンテレフタレート)樹脂などの絶縁性樹脂によって形成されてもよい。
【0037】
また、図1に示すように、固定板4は、制御基板3を締結固定するために、後述するねじ72(図3参照)が締結されるボス41を複数有している。ボス41には、後述するねじ72を締結固定するための孔が形成されている。ボス41は、Z方向に沿って延びるように形成されている。本実施形態では、ボス41は、8つ設けられている。
【0038】
筐体5は、半導体モジュール1、コンデンサモジュール2および制御基板3を収容する。さらに、筐体5は、固定板4および導体配線6を収容する。筐体5は、モータ200に取り付けられる。また、本実施形態では、図1に示すように、筐体5内において、Y1方向側から、コンデンサモジュール2、半導体モジュール1、導体配線6が、この順で配置されている。
【0039】
また、図1に示すように、筐体5は、本体部51と、本体部51に取り付けられるカバー部材52を含む。本体部51は、アルミニウムを含む金属製の部材である。そして、カバー部材52は、鉄を含む金属製の部材である。すなわち、筐体5は、金属によって形成されているとともに、導電性を有する。カバー部材52は、複数(8つ)のねじ71(図2参照)によって、本体部51に締結固定されている。
【0040】
また、本実施形態では、図3に示すように、制御基板3は、複数(8つ)のねじ72によって、固定板4に締結固定されている。具体的には、制御基板3の外縁は、複数(6つ)のねじ72によって、締結固定されている。また、制御基板3は、X方向における中央部分においても、複数(2つ)のねじ72によって締結固定されている。これにより、制御基板3の中央部分がたわみ変形することによって、制御基板3が破損することを防止することができる。なお、本実施形態による電力変換装置100は、複数のねじ72のうち、少なくとも1つのねじ72が、ボス41(図4参照)を介して本体部51の後述する締結用穴部51aに電気的に接続することによって、制御基板3のグランドをとるように構成されている。
【0041】
また、図4に示すように、固定板4は、Z1方向側から見て、略H字状に形成されている。固定板4は、複数(6つ)のねじ73によって、本体部51に締結固定されている。また、複数(6つ)のねじ73のうちの一部(2つ)が、固定板4の複数(8つ)のボス41のうち、最もX1方向側に配置されているボス41よりも外側(X1方向側)の位置において本体部51に締結されている。また、複数(6つ)のねじ73のうちの一部(3つ)が、固定板4の複数(8つ)のボス41のうち、最もX2方向側に配置されているボス41よりも外側(X2方向側)の位置において本体部51に締結されている。また、複数(6つ)のねじ73のうちの一部(2つ)が、固定板4の複数(8つ)のボス41のうち、最もY1方向側に配置されているボス41よりも外側(Y1方向側)の位置において本体部51に締結されている。
【0042】
また、図4に示すように、固定板4は、制御端子11に対応して設けられる開口部4aを有している。制御端子11は、開口部4aを介して、制御基板3(図3参照)に接続されている。
【0043】
図5に示すように、接続端子21は、バッテリ300から供給される直流電力の各相(P相およびN相)に対応して、複数(2つ)設けられている。また、接続端子22は、1つの接続端子21に対して、モータ200へ供給する交流電力の各相(U相、V相およびW相)に対応する3つずつ設けられる。すなわち、接続端子22は、6つ設けられている。
【0044】
また、図5に示すように、筐体5の本体部51は、固定板4を締結固定するための複数の締結用穴部51aを有している。本実施形態では、締結用穴部51aは、8つ設けられている。また、固定板4は、前述したねじ73(図4参照)と本体部51に設けられた締結用穴部51aとを用いて、筐体5の本体部51に締結固定されている。
【0045】
図6に示すように、制御基板3は、半導体モジュール1およびコンデンサモジュール2の上方(Z1方向側)に配置されている。そして、固定板4は、接続端子22と、制御基板3との間において、接続端子22を覆うように配置されている。制御基板3は、固定板4のボス41のZ1方向側に載置され、ねじ72によって固定板4に締結固定されている。
【0046】
また、図6に示すように、コンデンサモジュール2は、平滑コンデンサCを含む。コンデンサモジュール2は、平滑コンデンサCを内部に収容するコンデンサケース23を含む。コンデンサケース23は、絶縁性樹脂によって形成されている。コンデンサケース23は、たとえば、固定板4と同様のPPS樹脂によって形成された部材である。
【0047】
そして、コンデンサケース23内には、平滑コンデンサCが収容された状態で、樹脂24が充填されている。樹脂24は、絶縁性を有する樹脂である。樹脂24は、たとえば、エポキシ樹脂である。
【0048】
また、図7に示すように、固定板4は、接続端子22との干渉を避けるようにZ1方向側にへこむ凹部4bを有している。また、固定板4は、Y2方向側から凹部4bに向かって傾斜する傾斜部4cを有している。また、固定板4は、制御端子11のY2方向側に、干渉回避部4dを有する。干渉回避部4dは、開口部4aに隣接して設けられている。なお、干渉回避部4dの詳細な説明は、後述する。
【0049】
図7に示すように、半導体モジュール1は、接続端子22と半導体モジュール1とを接続する入力側接続部12を有している。入力側接続部12は、半導体モジュール1のZ1方向側かつコンデンサモジュール2側(Y1方向側)に設けられている。また、半導体モジュール1は、導体配線6と半導体モジュール1とを接続する出力側接続部13を有している。また、出力側接続部13は、半導体モジュール1のZ1方向側かつ導体配線6側(Y2方向側)に設けられている。
【0050】
また、図7に示すように、半導体モジュール1の入力側接続部12には、コンデンサモジュール2の接続端子22が、ねじ74によって締結固定されている。入力側接続部12は、半導体モジュール1の内部のスイッチング素子に電気的に接続されている。入力側接続部12は、接続端子22を介してバッテリ300から供給される電力を、半導体モジュール1に入力するための端子である。
【0051】
また、図7に示すように、半導体モジュール1の出力側接続部13には、導体配線6が、ねじ75によって締結固定されている。出力側接続部13は、半導体モジュール1の内部のスイッチング素子に電気的に接続されている。出力側接続部13は、半導体モジュール1が変換した電力を、導体配線6を介して出力するための端子である。
【0052】
(コンデンサモジュールの構成)
図8に示すように、コンデンサケース23内には、複数(5つ)の平滑コンデンサCが収容されている。また、コンデンサケース23は、平滑コンデンサC側に向かって内側にへこむ凹部23aを有している。具体的には、Z1方向側から見て、トラック形状を有する平滑コンデンサCの形状に合わせて、凹部23aの外縁が、内側(X1方向側)にへこむように形成されている。
【0053】
そして、図8に示すように、複数の締結用穴部51aのうちの1つが、コンデンサケース23の凹部23aに対応する位置に設けられている。本実施形態では、7つの締結用穴部51aのうちの1つが、凹部23aに対応する位置に設けられている。具体的には、7つの締結用穴部51aのうちの1つが、凹部23aに対向するように、凹部23aの内側の位置に設けられている。
【0054】
また、コンデンサモジュール2の接続端子21および接続端子22は、板状の導体20によって一体的に形成(図8参照)されている。導体20は、たとえば、銅を含む。そして、1つの導体20対して、1つの接続端子21と3つの接続端子22が設けられている。また、導体20は、図9に示すように、2つ設けられており、コンデンサケース23内に収容される平滑コンデンサCをZ方向において挟むように配置されている。そして、2つの導体20は、平滑コンデンサCとともに、コンデンサケース23内において絶縁性の樹脂24によってモールドされている。
【0055】
(筐体の側壁および固定板の壁部に関する構成)
図9に示すように、筐体5は、コンデンサモジュール2を取り囲むように設けられる側壁を含む。具体的には、本体部51は、コンデンサモジュール2を取り囲むように設けられる側壁51bを含む。そして、カバー部材52は、コンデンサモジュール2を取り囲むように設けられる側壁52aを含む。なお、側壁51bおよび52aは、特許請求の範囲の「側壁」の一例である。
【0056】
また、図9に示すように、接続端子21は、側壁51bおよび52aに対向する位置に設けられている。具体的には、接続端子21は、制御基板3に沿ったX方向において、側壁51bおよび52aと対向するように、側壁51bおよび52aのX2方向側に設けられている。
【0057】
また、図9に示すように、固定板4は、接続端子21と、制御基板3との間において、接続端子21を覆うように配置されている。また、固定板4は、コンデンサモジュール2の接続端子21と筐体5との間において、接続端子21を覆うように配置されている。具体的には、固定板4は、筐体5の側壁(側壁51bおよび側壁52a)と接続端子21との間において、側壁51bおよび側壁52aに沿って延びるように形成された壁部4eを有している。壁部4eは、本体部51の側壁51bおよびカバー部材52の側壁52aに沿ってZ2方向側に延びるように形成されている。
【0058】
また、本実施形態では、図9および図10に示すように、制御基板3は、筐体5には直接固定されずに、固定板4を介して筐体5に固定されている。
【0059】
(干渉回避部に関する構成)
半導体モジュール1の出力側接続部13は、複数の導体配線6に対応して設けられている。具体的には、図10に示すように、出力側接続部13は、3つの導体配線6に対応して、3つ設けられている。すなわち、半導体モジュール1は、複数(3つ)の導体配線6に対応して設けられる複数(3つ)の出力側接続部13を有している。そして、図10に示すように、固定板4は、複数の出力側接続部13と制御基板3との間において、複数の出力側接続部13を覆うように配置されている。なお、複数の出力側接続部13は、特許請求の範囲の「複数の接続部」の一例である。
【0060】
また、固定板4は、図10に示すように、複数の出力側接続部13の各々に対応して設けられ、複数の出力側接続部13との干渉を回避するようにへこむ凹状の干渉回避部4dを有する。すなわち、干渉回避部4dは、3つの出力側接続部13に対応して、3つ設けられている。本実施形態では、干渉回避部4dは、出力側接続部13、導体配線6、および、ねじ75を避けるようにZ1方向側にへこむように形成されている。
【0061】
また、図10に示すように、制御基板3は、制御基板3に沿った方向における複数の出力側接続部13同士の間において、固定板4と締結固定されるように構成されている。具体的には、制御基板3は、制御基板3に沿ったX方向における複数の出力側接続部13同士の間、かつ、複数の干渉回避部4d同士の間にボス41が設けられている。そして、制御基板3は、ねじ72と固定板4のボス41を用いて、固定板4に締結固定されている。
【0062】
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0063】
本実施形態では、絶縁性樹脂によって形成された板状の固定板4が、コンデンサモジュール2と、制御基板3との間において、コンデンサモジュール2の接続端子21を覆うように配置されている。これにより、コンデンサモジュール2の接続端子21と制御基板3との間を気中絶縁する(空気で絶縁を行う)場合よりも、コンデンサモジュール2の接続端子21と制御基板3との間の距離を小さくすることができる。その結果、筐体5の大型化を抑制することができるので、筐体5の大型化に起因して電力変換装置100が大型化するのを抑制することができる。また、絶縁性樹脂によって形成された板状の固定板4が、コンデンサモジュール2と、制御基板3との間において、コンデンサモジュール2の接続端子22を覆うように配置されている。これにより、コンデンサモジュール2の接続端子22と制御基板3との間を気中絶縁する場合よりも、コンデンサモジュール2の接続端子22と制御基板3との間の距離を小さくすることができる。その結果、筐体5の大型化を抑制することができるので、筐体5の大型化に起因して電力変換装置100が大型化するのを抑制することができる。
【0064】
また、本実施形態では、上記のように、制御基板3は、半導体モジュール1およびコンデンサモジュール2の上方(Z1方向側)に配置されており、固定板4は、接続端子21および接続端子22と、制御基板3との間において、接続端子21および接続端子22を覆うように配置されている。これにより、接続端子21および接続端子22と、制御基板3との間において、接続端子21および接続端子22を覆うように固定板4が配置されているので、接続端子21および接続端子22と制御基板3との間を気中絶縁する場合よりも、接続端子21および接続端子22と制御基板3との間の距離を小さくすることができる。その結果、筐体5の大型化を抑制することができるので、筐体5の大型化に起因して電力変換装置100が大型化するのを抑制することができる。
【0065】
また、本実施形態では、上記のように、制御基板3は、筐体5には直接固定されずに、固定板4を介して筐体5に固定されている。ここで、筐体5および固定板4の両方に制御基板3を固定する場合、筐体5および固定板4の各々の寸法公差に起因して制御基板3の固定が困難になる。一方、本実施形態では、制御基板3は、固定板4を介して筐体5に固定されるので、固定の際には、固定板4の寸法公差にだけ合わせればよい。その結果、制御基板3を固定板4に対して容易に固定することができる。
【0066】
また、本実施形態では、上記のように、筐体5(本体部51およびカバー部材52)は、金属によって形成されている。そして、固定板4は、コンデンサモジュール2の接続端子21と筐体5との間において、接続端子21を覆うように配置されている。これにより、固定板4が、コンデンサモジュール2の接続端子21と筐体5との間において、接続端子21を覆うように配置されているので、筐体5が外部からの衝撃などによって内側にへこむように変形した場合でも、金属によって形成された筐体5がコンデンサモジュール2の接続端子21に接触することを防止することができる。その結果、金属によって形成された筐体5が外部からの衝撃などによって内側に凹むように変形した場合において、コンデンサモジュール2の接続端子21と、変形した筐体5とが短絡することを防止することができる。
【0067】
また、本実施形態では、上記のように、筐体5(本体部51およびカバー部材52)は、コンデンサモジュール2を取り囲むように設けられる側壁(側壁51bおよび52)を含む。そして、接続端子21は、側壁(側壁51bおよび52)に対向する位置に設けられており、固定板4は、筐体5(本体部51およびカバー部材52)の側壁(側壁51bおよび52)と接続端子21との間において、側壁(側壁51bおよび52)に沿って延びるように形成された壁部4eを有している。これにより、壁部4eが、筐体5(本体部51およびカバー部材52)の側壁(側壁51bおよび52)と接続端子21との間において、筐体5(本体部51およびカバー部材52)の側壁(側壁51bおよび52)に沿って延びるように形成されているので、筐体5が外部からの衝撃などによって内側にへこむように変形した場合でも、金属によって形成された筐体5がコンデンサモジュール2の接続端子21に接触することを防止することができる。その結果、金属によって形成された筐体5が外部からの衝撃などによって内側に凹むように変形した場合において、コンデンサモジュール2の接続端子21と、変形した筐体5とが短絡することを容易に防止することができる。
【0068】
また、本実施形態では、上記のように、筐体5は、固定板4を締結固定するための複数の締結用穴部51aを有している。また、コンデンサモジュール2は、平滑コンデンサCを内部に収容するコンデンサケース23を含み、コンデンサケース23は、平滑コンデンサC側に向かって内側(X1方向側)にへこむ凹部23aを有している。そして、複数の締結用穴部51aのうちの1つが、コンデンサケース23の凹部23aに対応する位置に設けられている。これにより、平滑コンデンサC側に向かって内側にへこむ凹部23aに対応する位置に、複数の締結用穴部51aのうちの1つが設けられるので、凹部23aによって設けられるスペースを活用して、締結用穴部51aを設けることができる。その結果、コンデンサケース23の凹部23aがへこむ方向(X方向)における筐体5の大型化を抑制することができるので、筐体5の大型化に起因して電力変換装置100が大型化するのを抑制することができる。
【0069】
また、本実施形態では、上記のように、半導体モジュール1は、制御基板3に接続される制御端子11を有している。また、固定板4は、制御基板3に沿って延びるように形成されるとともに、制御端子11に対応して設けられる開口部4aを有している。そして、制御端子11は、開口部4aを介して、制御基板3に接続されている。これにより、半導体モジュール1と制御基板3との間に配置される固定板4を迂回するように、半導体モジュール1の制御端子11と制御基板3とを互いに接続するための配線を設ける場合に比べて、接続経路をより短くすることができる。その結果、半導体モジュール1の制御端子11を制御基板3に容易に接続することができるので、装置構成の複雑化を抑制することができる。
【0070】
また、本実施形態では、上記のように、電力変換装置100は、装置外部のモータ200と電気的に接続される複数の導体配線6を備える。また、半導体モジュール1は、複数の導体配線6に対応して設けられ、複数の導体配線6と半導体モジュール1とを接続する複数の出力側接続部13を有している。そして、固定板4は、複数の出力側接続部13と制御基板3との間において、複数の出力側接続部13を覆うように配置されている。これにより、複数の出力側接続部13と制御基板3との間において、複数の出力側接続部13を覆うように固定板4が配置されているので、複数の出力側接続部13と制御基板3との間を気中絶縁する場合よりも、複数の出力側接続部13と制御基板3との間の距離を小さくすることができる。その結果、筐体5の大型化を抑制することができるので、筐体5の大型化に起因して電力変換装置100が大型化するのを抑制することができる。
【0071】
また、本実施形態では、上記のように、制御基板3は、制御基板3に沿ったX方向における複数の出力側接続部13同士の間において、固定板4と締結固定されるように構成されている。これにより、複数の出力側接続部13のいずれかとオーバーラップする位置において、制御基板3を固定板4と締結固定する場合と異なり、制御基板3を締結固定するねじ72が、複数の出力側接続部13と干渉することを抑制することができる。その結果、複数の出力側接続部13のいずれかとオーバーラップする位置において、制御基板3を固定板4と締結固定する場合に比べて、制御基板3を締結する部分(ボス41)を半導体モジュール1に対してより近づけることができる。これにより、半導体モジュール1と対向するZ方向における固定板4の大きさを小さくすることができるので、筐体5の大型化を抑制することができる。その結果、筐体5の大型化に起因して、電力変換装置100全体のサイズの増大を抑制することができる。
【0072】
また、本実施形態では、上記のように、固定板4は、複数の出力側接続部13の各々に対応して設けられ、複数の出力側接続部13との干渉を回避するようにへこむ凹状の干渉回避部4dを有する。これにより、凹状の干渉回避部4dによって、複数の出力側接続部13に対する固定板4の干渉を回避することができるので、複数の出力側接続部13を有する半導体モジュール1に対して、固定板4をより近づけることができる。その結果、半導体モジュール1と固定板4とが対向するZ方向における筐体5の大きさをより小さくすることができる。これにより、筐体5の大型化をより抑制することができるので、筐体5の大型化に起因して電力変換装置100が大型化するのをより抑制することができる。
【0073】
[変形例]
今回開示された実施形態は、全ての点で例示であり制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更(変形例)が含まれる。
【0074】
たとえば、上記実施形態では、固定板4(絶縁板)は、接続端子21(第1接続端子)および接続端子22(第2接続端子)と、制御基板3との間において、接続端子21および接続端子22を覆うように配置されている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、絶縁板は、第1接続端子または第2接続端子のいずれか一方のみを覆うように配置されてもよい。
【0075】
また、上記実施形態では、制御基板3は、半導体モジュール1およびコンデンサモジュール2の上方(Z1方向側)に配置されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御基板は、半導体モジュールおよびコンデンサモジュールの少なくとも一方の下方に配置されてもよい。
【0076】
また、上記実施形態では、制御基板3は、筐体5には直接固定されずに、固定板4(絶縁板)を介して筐体5に固定されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御基板は、筐体および絶縁板の両方に固定されてもよい。
【0077】
また、上記実施形態では、筐体5(本体部51およびカバー部材52)は、金属によって形成されているとともに、導電性を有する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、筐体は、セラミックスまたは樹脂などの金属以外の材料によって形成されてもよい。また、筐体は、非導電性の材料によって形成されてもよい。
【0078】
また、上記実施形態では、固定板4(絶縁板)は、コンデンサモジュール2の接続端子21(第1接続端子)と筐体5との間において、接続端子21を覆うように配置されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、コンデンサモジュールの第1接続端子と筐体との間に絶縁板を設けなくてもよい。
【0079】
また、上記実施形態では、コンデンサケース23は、平滑コンデンサC側に向かって内側にへこむ凹部23aを有している例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、コンデンサケースは、凹部を有さずに、矩形状に形成されてもよい。
【0080】
また、上記実施形態では、複数の締結用穴部51aのうちの1つが、コンデンサケース23の凹部23aに対応する位置に設けられている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、コンデンサケースの凹部に対応する位置以外に複数の締結用穴部の全てが設けられてもよい。また、締結用穴部が、コンデンサケースの凹部に対応する位置に2つ以上設けられてもよい。
【0081】
また、上記実施形態では、半導体モジュール1の制御端子11は、固定板4(絶縁板)の開口部4aを介して、制御基板3に接続されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、絶縁板に開口部を設けずに、絶縁板を迂回するように、半導体モジュール1の制御端子11と制御基板3と互いに接続するための配線を設けてもよい。
【0082】
また、上記実施形態では、固定板4(絶縁板)は、複数の出力側接続部13(複数の接続部)と制御基板3との間において、複数の出力側接続部13を覆うように配置されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、絶縁板は、複数の接続部を覆わずに、第1接続端子および第2接続端子のみを覆うように配置されてもよい。
【0083】
また、上記実施形態では、制御基板3は、制御基板3に沿ったX方向における複数の出力側接続部13(複数の接続部)同士の間において、固定板4(絶縁板)と締結固定されるように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、複数の接続部のいずれかとオーバーラップする位置において、絶縁板と制御基板とを締結固定してもよい。
【0084】
また、上記実施形態では、固定板4(絶縁板)は、複数の出力側接続部13(複数の接続部)の各々に対応して設けられ、複数の出力側接続部13との干渉を回避するようにへこむ凹状の干渉回避部4dを有する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、干渉回避部は、複数の接続部に対して共通に設けられてもよい。
【符号の説明】
【0085】
1 半導体モジュール
2 コンデンサモジュール
3 制御基板
4 固定板(絶縁板)
4a 開口部
4d 干渉回避部
4e 壁部
5 筐体
6 導体配線
11 制御端子
13 出力側接続部
21 接続端子(第1接続端子)
22 接続端子(第2接続端子)
23 コンデンサケース
23a 凹部
51a 締結用穴部
51b 側壁
52a 側壁
100 電力変換装置
200 モータ(負荷)
300 バッテリ(電源)
C 平滑コンデンサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10