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特開2023-161549有用成分包含タウリン結晶を配合した皮膚外用剤組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161549
(43)【公開日】2023-11-07
(54)【発明の名称】有用成分包含タウリン結晶を配合した皮膚外用剤組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/46 20060101AFI20231030BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20231030BHJP
【FI】
A61K8/46
A61Q19/00
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022204969
(22)【出願日】2022-12-21
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-08-16
(31)【優先権主張番号】P 2022071711
(32)【優先日】2022-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】501296380
【氏名又は名称】コスメディ製薬株式会社
(72)【発明者】
【氏名】村山 智洋
(72)【発明者】
【氏名】田中 弘
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 純也
(72)【発明者】
【氏名】権 英淑
(72)【発明者】
【氏名】神山 文男
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA112
4C083AA122
4C083AB432
4C083AC012
4C083AC022
4C083AC112
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC352
4C083AC422
4C083AC442
4C083AC492
4C083AC582
4C083AC712
4C083AC791
4C083AC792
4C083AC842
4C083AC852
4C083AC932
4C083AD022
4C083AD092
4C083AD112
4C083AD212
4C083AD392
4C083AD532
4C083AD622
4C083AD632
4C083AD642
4C083AD662
4C083BB51
4C083CC04
4C083CC05
4C083DD23
4C083DD27
4C083DD30
4C083DD31
4C083DD32
4C083DD33
4C083DD41
4C083EE05
4C083EE12
4C083FF01
4C083FF04
4C083FF05
(57)【要約】
【課題】有用成分の皮内への新たな送達手段を提供する。
【解決手段】結晶中に有用成分を包含するタウリンの微細針状結晶を含有することを特徴とする皮膚外用剤組成物;タウリンが溶解した水溶液(A)を、タウリンの溶解性の低い液体物質(B)に混合、又は接触させた環境下で結晶成長させる工程を含み、ここで、該水溶液(A)中又は該液体物質(B)中に有用成分が溶解又は分散していることにより、該有用成分は、結晶成長に伴って該結晶に包含されることを特徴とする、結晶中に有用成分を包含するタウリンの微細針状結晶の製造方法。
【選択図】なし

【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶中に有用成分を包含するタウリンの微細針状結晶を含有することを特徴とする皮膚外用剤組成物。
【請求項2】
前記タウリンの微細針状結晶が少なくとも一部分散されて含有していることを特徴とする、請求項1に記載の皮膚外用剤組成物。
【請求項3】
前記タウリンの微細針状結晶中に空間を有し、該空間中に有用成分が内包されていることを特徴とする、請求項1に記載の皮膚外用剤組成物。
【請求項4】
前記タウリンの微細針状結晶の太さ150マイクロメートル以下、長さ3000マイクロメートル以下である、請求項1に記載の皮膚外用剤組成物。
【請求項5】
前記有用成分が、ビタミン類及びビタミン誘導体、ハイドロキノン及びその誘導体、美白成分、抗炎症成分、抗酸化成分、血行促進成分、細胞賦活成分、補酵素及びその中間代謝物、糖類、植物抽出成分、ペプチド、タンパク質、並びに色素からなる群より選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする、請求項1又は3に記載の皮膚外用剤組成物。
【請求項6】
前記タウリンの微細針状結晶中の空間容積が、タウリン結晶体積中の0.001%~30%を占めることを特徴とする、請求項3に記載の皮膚外用剤組成物。
【請求項7】
前記タウリンの微細針状結晶中の有用成分の包含率が0.001%~30%であることを特徴とする、請求項3に記載の皮膚外用剤組成物。
【請求項8】
さらに、皮膚外用剤組成物媒体中にも前記有用成分が溶解ないし分散している、請求項1に記載の皮膚外用剤組成物。
【請求項9】
タウリンが溶解した水溶液(A)を、タウリンの溶解性の低い液体物質(B)に混合、又は接触させた環境下で結晶成長させる工程を含み、ここで、該水溶液(A)又は該液体物質(B)中に有用成分が溶解又は分散していることにより、該有用成分は、結晶成長に伴って該結晶に包含されることを特徴とする、結晶中に有用成分を包含するタウリンの微細針状結晶の製造方法。
【請求項10】
前記液体物質(B)が水溶性有機溶媒であることを特徴とする、請求項9に記載の製造方法。
【請求項11】
前記有用成分の濃度が、前記水溶液(A)又は前記液体物質(B)中、0.001質量%以上であることを特徴とする、請求項9に記載の製造方法。
【請求項12】
前記水溶液(A)中のタウリンの濃度が3~28質量%であることを特徴とする、請求項9に記載の製造方法。
【請求項13】
前記液体物質(B)が、前記水溶液(A)の全量に対して50質量%以下であることを特徴とする、請求項9に記載の製造方法。
【請求項14】
前記水溶性有機溶媒が、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、イソプレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、シクロヘキシルグリセリン、及びn-ヘキシルグリセリンからなる群より選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする、請求項10に記載の製造方法。
【請求項15】
結晶中に有用成分を包含するタウリンの微細針状結晶を含有する皮膚外用剤組成物の製造方法であって、下記工程:
タウリンが溶解した水溶液(A)を、タウリンの溶解性の低い液体物質(B)に混合、又は接触させた環境下で結晶成長させる工程、ここで、該水溶液(A)中又は該液体物質(B)中に有用成分が溶解又は分散していることにより、該有用成分は、結晶成長に伴って該結晶に包含される、及び、
前記結晶成長させる工程で得られた、結晶中に有用成分を包含するタウリンの微細針状結晶を皮膚外用剤組成物に配合する工程、
を含む、製造方法。
【請求項16】
前記有用成分の濃度が、前記水溶液(A)又は前記液体物質(B)中、0.001質量%以上であることを特徴とする、請求項15に記載の製造方法。
【請求項17】
前記水溶液(A)中のタウリン濃度が3~28質量%であることを特徴とする、請求項15に記載の製造方法。
【請求項18】
前記液体物質(B)が、前記水溶液(A)全量に対して50質量%以下であることを特徴とする、請求項15に記載の製造方法。
【請求項19】
前記液体物質(B)が水溶性有機溶媒であり、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、イソプレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、シクロヘキシルグリセリン、及びn-ヘキシルグリセリンからなる群より選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする、請求項15~18のいずれか1項に記載の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有用成分包含タウリン結晶を配合した皮膚外用剤組成物に関する。タウリン再結晶時に有用成分を取り込ませる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
タウリンは、化学名が2-アミノエタンスルホン酸であり、生体細胞内の含有量が最も多い硫黄含有遊離アミノ酸である。タンパク質を構成するアミノ酸とは異なり、ビタミン類やホルモンのような作用、さらには脳神経系、循環系、肝胆系をはじめとした様々な薬理作用を示すことが知られているが、近年皮膚の保湿性にとって重要な役割を担っていることが分かってきている。
【0003】
タウリンの製法としては、水産物からの抽出や複数の有機合成法が既に知られ、多数の製造方法が知られており、例えば、特許文献1には高純度にタウリンを得るための製造方法が記載されており、また、特許文献2には、高収率でタウリンを得るための製造方法が記載されている。
【0004】
タウリンを精製する技術としては、特許文献3には、タウリンと無機塩を含有する溶解液を分子ふるい効果を示す多孔性固体物質と接触させて、分子ふるい効果を示す多孔性固体物質にタウリンを吸着させて無機塩と分離し、次いで水を含んでいてもよい有機溶媒を用いて分子ふるい効果を示す多孔性固体物質に吸着したタウリンを脱離させることを特徴とするタウリンの精製方法が記載されている。また、タウリンを高収率で精製する手段としては、従来より、アルコールを添加して晶析を行う技術が知られている。すなわち、天然物(水産物等)の熱水または温水抽出溶液や合成反応終了液よりタウリンを精製する際に、アルコール水溶液中でタウリンの結晶を析出させ、濾過・乾燥により最終的なタウリン結晶を得る方法であり、特許文献4には製造工程を通して得られるタウリン含有反応液に、アルコールを添加し処理することで不純物を分離または除去するタウリンの精製法が記載されている。得られた結晶の精製方法としては、特許文献5では晶析により析出させた結晶を晶析母液から分離した後に、その結晶を、塩酸を含むアルコール水溶液で処理し、さらに引き続いて塩酸を含まないアルコール水溶液で処理するタウリンの精製法が記載されている。
【0005】
一方で、結晶に他の成分を含有させる技術としては、ビタミン類、アミノ酸類、ペプチド類などの、水溶液の状態では不安定で、酸化や温度の影響で分解しやすく、安定的に配合することが難しい成分について、それぞれ安定化できるように工夫しながら使用することが検討されてきた。特許文献6では、パントテン酸カルシウムとアスコルビン酸とを結晶化させて混合させておくと、結晶化していないパントテン酸カルシウムと混合したものと比較して、安定性が向上することが示されている。また、特許文献7には、水溶性ビタミン類を結晶状態でヒマワリ油、トウモロコシ油、綿実油のような食用油に添加して、安定的な液体製剤を得る方法が記載されている。さらに、特許文献8には、結晶性ビタミンB3化合物を含有するリップスティック組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2021-172652号公報
【特許文献2】特開2021-063060号公報
【特許文献3】特開2005-232026号公報
【特許文献4】特開平06-192209号公報
【特許文献5】特開平07-017943号公報
【特許文献6】特開2005-325080号公報
【特許文献7】特表2004-500392号公報
【特許文献8】特表2002-536391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
高純度、高収率でタウリンの結晶を得るための製造方法や精製方法が知られているが、逆に、タウリンの結晶に他の活性成分又は皮膚有用成分を意図的に含有させることは、これまで知られていない。
また、結晶に他の成分を含有させる技術については、これらの組成物は水が存在しない状態での粉末の混合物であったり、油類の中に分散状態で存在するものであり、非水系での利用に用途が限定されるものであった。
水溶性結晶内に、有用な有機化合物、ペプチド、色素などを安定的に含有することができれば、結晶に着色をすることや、様々な製剤中に安定的に有用成分を配合することが可能となる。本発明の目的は、有用成分の皮内への新たな送達手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、タウリンを溶解した水溶液を、タウリンの溶解度の低いアルコールやポリオールなどの水溶性有機溶媒に添加すること、又は、前記水溶液に前記水溶性有機溶媒を静かに注ぐことで、タウリン水溶液と水溶性有機溶媒の二相に分離した界面を形成させること、の何れかで、極端にタウリンの溶解度の低い状態を作り出し、そこで再結晶を進行させることでタウリンの微細針状結晶を製造することが可能となり、再結晶の際に中空の結晶が生成することを見いだした。この再結晶の際に、タウリン水溶液、または使用する水溶性有機溶媒のどちらか、または両方にビタミン類や色素など有用成分を溶解、または分散させておくことで、それらの有用成分を結晶表面に担持、または中空部分に内包したタウリンの微細針状結晶を製造することが可能であることを見いだした。さらに、得られた結晶を含有させた皮膚外用剤組成物では、結晶のザラザラとした感触がなく、微細針状結晶のさらさらとした塗布感を付与した製剤を提供することが可能であることが見いだされた。
本発明は、以下に示す通りである。
〔1〕 結晶中に有用成分を包含するタウリンの微細針状結晶を含有することを特徴とする皮膚外用剤組成物。
〔2〕 前記タウリンの微細針状結晶が少なくとも一部分散されて含有していることを特徴とする、〔1〕に記載の皮膚外用剤組成物。
〔3〕 前記タウリンの微細針状結晶中に空間を有し、該空間中に有用成分が内包されていることを特徴とする、〔1〕に記載の皮膚外用剤組成物。
〔4〕 前記タウリンの微細針状結晶の太さ150マイクロメートル以下、長さ3000マイクロメートル以下である、〔1〕に記載の皮膚外用剤組成物。
〔5〕 前記有用成分が、ビタミン類及びビタミン誘導体、ハイドロキノン及びその誘導体、美白成分、抗炎症成分、抗酸化成分、血行促進成分、細胞賦活成分、補酵素及びその中間代謝物、糖類、植物抽出成分、ペプチド、タンパク質、並びに色素からなる群より選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする、〔1〕又は〔3〕に記載の皮膚外用剤組成物。
〔6〕 前記タウリンの微細針状結晶中の空間容積が、タウリン結晶体積中の0.001%~30%を占めることを特徴とする、〔3〕に記載の皮膚外用剤組成物。
〔7〕 前記タウリンの微細針状結晶中の有用成分の包含率が0.001%~30%であることを特徴とする、〔3〕に記載の皮膚外用剤組成物。
〔8〕 さらに、皮膚外用剤組成物媒体中にも前記有用成分が溶解ないし分散している、〔1〕に記載の皮膚用外用剤組成物。
〔9〕 タウリンが溶解した水溶液(A)を、タウリンの溶解性の低い液体物質(B)に混合、又は接触させた環境下で結晶成長させる工程を含み、ここで、該水溶液(A)中又は該液体物質(B)中に有用成分が溶解又は分散していることにより、該有用成分は、結晶成長に伴って該結晶に包含されることを特徴とする、結晶中に有用成分を包含するタウリンの微細針状結晶の製造方法。
〔10〕 前記液体物質(B)が水溶性有機溶媒であることを特徴とする、〔9〕に記載の製造方法。
〔11〕 前記有用成分の濃度が、前記水溶液(A)中又は前記液体物質(B)中、0.001質量%以上であることを特徴とする、〔9〕に記載の製造方法。
〔12〕 前記水溶液(A)中のタウリンの濃度が3~28質量%であることを特徴とする、〔9〕に記載の製造方法。
〔13〕 前記液体物質(B)が、前記水溶液(A)全量に対して50質量%以下であることを特徴とする、〔9〕に記載の製造方法。
〔14〕 前記水溶性有機溶媒が、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、イソプレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、シクロヘキシルグリセリン、及びn-ヘキシルグリセリンからなる群より選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする、〔10〕に記載の製造方法。
〔15〕 結晶中に有用成分を包含するタウリンの微細針状結晶を含有する皮膚外用剤組成物の製造方法であって、下記工程:
タウリンが溶解した水溶液(A)を、タウリンの溶解性の低い液体物質(B)に混合、又は接触させた環境下で結晶成長させる工程、ここで、該水溶液(A)中又は該液体物質(B)中に有用成分が溶解又は分散していることにより、該有用成分は、結晶成長に伴って該結晶に包含される、及び、
前記結晶成長させる工程で得られた、結晶中に有用成分を包含するタウリンの微細針状結晶を皮膚外用剤組成物に配合する工程、
を含む、製造方法。
〔16〕 前記有用成分の濃度が、前記水溶液(A)中又は前記液体物質(B)中、0.001質量%以上であることを特徴とする、〔15〕に記載の製造方法。
〔17〕 前記水溶液(A)中のタウリン濃度が3~28質量%であることを特徴とする、〔15〕に記載の製造方法。
〔18〕 前記液体物質(B)が、前記水溶液(A)全量に対して50質量%以下であることを特徴とする、〔15〕に記載の製造方法。
〔19〕 前記液体物質(B)が水溶性有機溶媒であり、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、イソプレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、シクロヘキシルグリセリン、及びn-ヘキシルグリセリンからなる群より選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする、〔15〕~〔18〕のいずれかに記載の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明の皮膚外用剤組成物は、有用成分を包含するタウリン微細針状結晶を含むため、組成物中で安定して有用成分を保持することができる。本発明におけるタウリン結晶は、再結晶により微細な針状結晶に成型されているので、使用時に結晶のザラザラとした感触を感じることなく角質層に結晶を刺し、直接皮内へ有用成分を運んだ後、結晶が肌内部の水分で溶解することで包含成分を皮内へ供給することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例14で得られたタウリン微細針状結晶のX線回折パターンを示す。上のグラフがアスタキサンチン包含タウリン微細針状結晶であり、下のグラフがタウリン微細針状結晶である。
図2】実施例3で得られたタウリン微細針状結晶の光学顕微鏡写真。
図3】原料タウリン結晶の光学顕微鏡写真。
図4】実施例17で得られたタウリン微細針状結晶の光学顕微鏡写真(倍率50倍)。
図5】実施例17で得られたタウリン微細針状結晶の顕微鏡写真(蛍光下、倍率50倍)。
図6】実施例17で得られたタウリン微細針状結晶の光学顕微鏡写真(倍率200倍)。
図7】実施例17で得られたタウリン微細針状結晶の顕微鏡写真(蛍光下、倍率200倍)
図8】塗布5分後の皮膚断面の蛍光写真(倍率50倍)。
図9】塗布30分後の皮膚断面の蛍光写真(倍率50倍)。
図10】実施例19及び比較例7の測定結果を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の皮膚外用剤組成物は、結晶中に有用成分を包含するタウリンの微細針状結晶を含有する。前記皮膚外用剤組成物は、前記タウリンの微細針状結晶が少なくとも一部分散されて含有していることが好ましい。
本発明におけるタウリンの微細針状結晶は、タウリンが溶解した水溶液(A)を、タウリンの溶解性の低い液体物質(B)(例えば、水溶性有機溶媒)と混合すること、または、タウリンが溶解した水溶液(A)とタウリンの溶解性の低い液体物質(B)(例えば、水溶性有機溶媒)とを接触させること(例えば、水溶液(A)に液体物質(B)を静かに注ぐことで界面を形成させること)、等により、タウリンの極端に溶解度の低い状態を作り出し、そこで再結晶を進行させること(結晶成長させること)で製造することが可能である。得られるタウリンの微細針状結晶は、結晶形が制御されている。また、結晶を製造する際にタウリンの微細針状結晶中に中空部分が形成されるが、この中空部分を空間容積と定義する。
したがって、前記タウリンの微細針状結晶は、該タウリンの微細針状結晶中に空間を有する 。前記タウリンの微細針状結晶の前記空間容積は、タウリン結晶体積中の0.001%~30%を占めることが好ましく、0.1%~30%を占めることがより好ましい。ここで、タウリン微細針状結晶の空間容積の大きさは、結晶の顕微鏡写真を解析することにより算定される。
【0012】
前記結晶中に有用成分を包含するタウリン微細針状結晶は、上記タウリンの再結晶の際に、水溶液(A)又は液体物質(B)に、有用成分(任意の有機化合物成分、ペプチド、蛋白質、又は色素等)(を溶解、あるいは分散しておくことで製造することが可能である。再結晶時に有用成分を内包、または担持させることにより、製造することが可能である。ここで、内包とは、タウリン結晶格子の中に入り込むことと、タウリン結晶の中空部分(空間中)に有用成分を含むこととの少なくともいずれかをいう。前者においては、タウリン結晶が広がることに対応して格子定数が大きくなる。後者においては、格子定数は内包によって広がらない。担持とは、タウリン結晶の表面に吸着ないしは結合していることをいう。本発明においては、有用成分を内包、または担持させたタウリン微細針状結晶を、すなわち、結晶中に有用成分を包含するタウリンの微細針状結晶を、有用成分包含タウリン微細針状結晶ということがある。タウリンの微細針状結晶中に空間を有し、該空間中に有用成分が内包されていることが好ましい。
【0013】
本発明に使用する原料のタウリンは、従来から医薬品、医薬部外品、化粧品に使用されているものであれば特に限定されるものではなく、合成品、天然物からの抽出物のいずれをも含む。
本発明における有用成分包含タウリンの微細結晶は、針状結晶であるが、柱状結晶であってもよい。ここで、針状結晶とは、結晶の長径が短径の3倍以上の形状をいい、柱状結晶とは、結晶の長径が短径の3倍未満の形状をいう。本発明におけるタウリンの微細針状又は柱状結晶は、原料タウリンの塊状結晶とは顕微鏡観察により区別できる結晶形である。微細針状結晶の一例を図2に示し、塊状結晶の一例を図3に示す。以下、本発明に使用するタウリン再結晶を、タウリン微細針状結晶と称する。
タウリン微細針状結晶の大きさは、皮膚外用剤組成物に含有させて使用する時にザラザラとした感触が残らず、さらさらとした塗布感を付与する観点から、太さが150マイクロメートル以下、長さが3000マイクロメートル以下であることが好ましく、太さ5~150マイクロメートル、長さ100~3000マイクロメートルであることがより好ましく、太さ10~100マイクロメートル、長さ100~2000マイクロメートルであることがさらに好ましく、太さ10~60マイクロメートル、長さ150~2000マイクロメートルであることが最も好ましい。
ここで、結晶の太さ、長さについては、デジタルマイクロスコープ(株式会社キーエンス製デジタルマイクロスコープ VHX-7000)を用いて計測を行った際の、太さとは結晶の短辺の長さであり、長さとは結晶の長辺の長さである。
太さ150マイクロメートル、長さ3000マイクロメートルを超える結晶形(例えば、原料として市販されている、タウリン結晶及びタウリン結晶性粉末)は、塗布時にザラザラとした異物感が肌上に残るため好ましくない。
【0014】
本発明においては、タウリンの微細針状結晶中に、太さ5マイクロメートル未満、長さ100マイクロメートル未満の微粒子状の結晶が含まれてもよいが、特に、太さ150マイクロメートルを超える結晶を含まないことが望ましい。本発明においては、太さ150マイクロメートルを超える針状結晶が生成されないように再結晶の条件を設定することができる。
具体的な再結晶(結晶成長)条件とは、タウリンが溶解した水溶液(A)を、タウリンの溶解性の低い液体物質(B)に混合、又は接触させた環境下で結晶成長させる工程である。
【0015】
再結晶(結晶成長)に使用される、タウリンの溶解性の低い液体物質(B)としては、有機溶媒があげられ、特に限定されないが、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、酢酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、ラウリン酸メチルへプチル、ホホバ油などの極性有機溶媒、ドデカン、イソドデカン、流動パラフィン、スクワラン、水添ポリイソブテン、オレフィンオリゴマーのような無極性有機溶媒、エタノール、1-プロパノールのようなアルコール類、1,3-ブタンジオール、グリセリン、1,2-ペンタンジオールのような多価アルコール類などが挙げられる。中でも、添加によりタウリンの溶解度を下げる効果が高いことから、液体物質(B)は、25℃における水への溶解度が1質量%以上の液体物質(水溶性有機溶媒)であることが好ましく、具体的には、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、イソプレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、シクロヘキシルグリセリン、n-ヘキシルグリセリンの使用が好ましく、得られた微細針状結晶を皮膚外用剤の成分として使用する観点から、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、イソプレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、シクロヘキシルグリセリン、n-ヘキシルグリセリンの使用が最も好ましく、このうちの1種を用いること、または2種以上の混合溶媒を使用することができる。
【0016】
液体物質(B)を使用しない場合は、結晶形が微細針状結晶とならず、皮膚外用剤組成物に配合した際にザラザラとした使用感となるため、好ましくない。
【0017】
再結晶に用いるタウリンが溶解した水溶液(A)中のタウリンの濃度としては、タウリンの溶解性の低い溶媒と混合した際に微細針状結晶を形成させる観点から3質量%以上であることが好ましく、タウリンの水への溶解度の観点から28質量%以下であることが好ましい。3質量%未満では、液体物質(B)を水溶液(A)に対して100質量%以上加えなければ結晶が析出されないことと、十分な量の結晶が得られないため、コスト、収率の点で現実的ではない。28質量%を超えると、80℃以上に加温した場合にもタウリンの溶解が困難となるため、再結晶の工程が現実的ではない。このことから、水溶液(A)中のタウリンの濃度は、5~20質量%であることが好ましく、6~18質量%であることがより好ましく、7~15質量%であることが最も好ましい。
【0018】
再結晶に用いるタウリンが溶解した水溶液(A)には、飽和濃度を低下させることを目的として、液体物質(B)として、タウリンの溶解性の低い水溶性有機溶媒を1種または2種以上添加することが可能である。この場合の水溶性有機溶媒としては、グリセリン、1,3-プロパンジオール、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、イソプレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、シクロヘキシルグリセリン、n-ヘキシルグリセリン等が好ましい。液体物質(B)(水溶性有機溶媒)の濃度は、水溶液(A)の全量に対して、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下、最も好ましくは25質量%以下である。50質量%を超えると、タウリンの溶解度が低くなりすぎてしまい、十分な量の結晶が得られないため、コスト、収率の点で現実的ではない。
【0019】
本発明においてタウリンの微細針状結晶に包含させる有用成分は、特に限定されないが、ビタミン類およびビタミン誘導体、ハイドロキノンおよびその誘導体、美白成分、抗炎症成分、抗酸化成分、血行促進成分、細胞賦活成分、補酵素およびその中間代謝物、糖類、植物抽出成分、ペプチド、タンパク質、色素、などが挙げられる。
前記ビタミン類およびビタミン誘導体、ハイドロキノンおよびその誘導体、美白成分、抗炎症成分、抗酸化成分、血行促進成分、細胞賦活成分、補酵素およびその中間代謝物には、例えば、ニコチン酸アミド、グリチルリチン酸塩、トラネキサム酸、L-アスコルビン酸-2-グルコシド、アスコルビルリン酸ナトリウム、グリセリルアスコルビン酸、ビスグリセリルアスコルビン酸、3-グリセリルアスコルビン酸、ヘキシル3-グリセリルアスコルビン酸、ミリスチル3-グリセリルアスコルビン酸、3-ラウリルグリセリルアスコルビン酸、アルブチン、コウジ酸、アラントイン、シアノコバラミン、リボフラビン、ピリドキシン塩、グルコシルヘスペリジン、テトラヘキシルデカン酸アスコルビル、3-O-エチルアスコルビン酸、酢酸トコフェロール、銅クロロフィリンナトリウム、葉酸、ハイドロキノン、ユビキノン、ピロロキノリンキノン、トパキノン、トリプトファン-トリプトフィルキノン、リシンチロシルキノン、システニル-トリプトファンキノン、チアミン二リン酸、パントテン酸、ビオチン、アデノシン三リン酸、ウリジン二リン酸グルコース、リボヌクレオチド、デオキシヌクレオチド、ニコチンアミドモノヌクレオチド、β-カロテン、アスタキサンチンが含まれる。
前記糖類には、D-グリセリルアルデヒド、ジヒドロキシアセトン、D-エリトロ-ス、D-エリトルロ-ス、Dートレオ-ス、エリスリトール、L-アラビノ-ス、D-キシロ-ス、L-リキソ-ス、D-アラビノ-ス、D-リボ-ス、D-リブロ-ス、D-キシルロ-ス、L-キシルロ-ス、D-グルコ-ス、D-タロ-ス、D-ブシコ-ス、D-ガラクト-ス、D-フルクト-ス、L-ガラクト-ス、L-マンノ-ス、D-タガト-ス、アルドヘプト-ス、ヘプロ-ス、オクツロ-ス等、2-デオキシ-D-リボ-ス、6-デオキシ-L-ガラクト-ス、6-デオキシ-L-マンノ-ス、D-グルコサミン、D-ガラクトサミン、シアル酸、アミノウロン酸、ムラミン酸等、D-グルクロン酸、D-マンヌロン酸、L-グルロン酸、D-ガラクツロン酸、L-イズロン酸ソルビトール、スクロース、マンニトール、フルクトース、ラフィノース、マルトース、キシリトール、マルチトール、パラチノース、アラビノース、マルトトリオ-ス、ショ糖、エリトリトール、グルコ-ス、デンプン分解糖、グンチアノース、ウンベリフェロース、ラクトース、プランテオース、イソリクノース類、トレハロース、リクノース類、ウンビリシン、スタキオースベルバスコース、加水分解水添デンプン、グリセルグルコシドが含まれる。
前記植物抽出成分には、例えば、オタネニンジン、アシタバ、アルニカ、イチョウ、ウイキョウ、ウコン、エンメイソウ、オランダカシ、カミツレ、ローマカミツレ、カロット、ゲンチアナ、ゴボウ、コメ、サンザシ、シイタケ、ショウガ、セイヨウサンザシ、セイヨウネズ、センキュウ、センブリ、タイム、チョウジ、チンピ、トウガラシ、トウキ、トウニン、トウヒ、ニンジン、ニンニク、ブッチャーブルーム、ブドウ、ボタン、マロニエ、メリッサ、ユズ、ヨクイニン、リョクチャ、ローズマリー、ローズヒップ、チンピ、トウキ、トウヒ、モモ、アンズ、クルミ、トウモロコシ、ゴールデンカモミール、イクタモール、カンタリスチンキ、セファランチンが含まれる。
前記ペプチドには、(アルギニン/リシン)ポリペプチド、3-アスコルビルカルボニルジペプチド、アセチルシクロヘキサペプチド、アセチルテトラペプチド、アセチルテトラペプチド、アセチルテトラペプチド、アセチルテトラペプチド、アセチルヘキサペプチド、アセチルヘキサペプチド、アセチルヘプタペプチド、アセチルペンタペプチド、オリゴペプチド、カフェオイルトリペプチド、カプリロイルジペプチド、カプリロイル合成ヒトノナペプチド、ジペプチド、ジ酢酸ジペプチドジアミノブチロイルベンジルアミド、デカペプチド、テトラペプチド、トリフルオロアセチルトリペプチド、トリペプチド、トリペプチド-1銅、ノナペプチド、パルミチン酸ヘプタペプチド、パルミトイルオクタペプチド、パルミトイルオリゴペプチド、パルミトイルジペプチド、パルミトイルジペプチド-5ジアミノヒドロキシ酪酸、パルミトイルジペプチド-5ジアミノブチロイルヒドロキシトレオニン、パルミトイルテトラペプチド、ヒト遺伝子組換オリゴペプチド、ヒト遺伝子組換ポリペプチド、合成ヒトノナペプチド、酢酸N-プロリルパルミトイルトリペプチド、酢酸ヘキサノイルジペプチド-3ノルロイシンが含まれる。
前記タンパク質には、アーモンドタンパク、コメタンパク、コムギタンパク、コムギ胚芽タンパク、ダイズタンパク、トウモロコシグルテンタンパク、真珠層タンパクが含まれる。
前記色素には、天然色素と合成色素が含まれ、天然色素としては、例えば、クチナシ黄色素、ベニバナ黄色素、ウコン色素、ベニコウジ黄色素、マリーゴールド色素、ベニコウジ色素、クチナシ赤色素、ベニバナ赤色素、トマト色素、コチニール色素、シソ色素、アカキャベツ色素、アカダイコン色素、ムラサキイモ色素、ブドウ果皮色素、カカオ色素、カラメル色素、クチナシ青色素、など、合成色素としては、例えば、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色228号、赤色405号、橙色203号、橙色204号、黄色205号、黄色401号、及び青色404号等の有機顔料、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色227号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、緑色3号及び青色1号などが挙げられる。
タウリンの微細針状結晶に、上記有用成分を、1種または2種以上を包含させることが可能である。
【0020】
上記有用成分は、水溶性成分に限らず、油溶性成分でも可能である。また、酸化されやすい成分、特に、経時的に変臭、変色によりこれまで配合できなかった成分でも、タウリン微細針状結晶中に内包させて配合が可能なため、安定的に存在させることが可能である。また、皮膚外用剤組成物中のタウリンの微細針状結晶は、皮膚外用剤組成物を皮膚に塗布後、結晶が溶解して包含成分が溶解するため、新鮮な状態で内包成分を皮膚に適用することができる。さらに、皮膚浸透しにくい高分子多糖類やグロースファクターのようなペプチド、タンパク質など生体由来成分をタウリンの結晶に包含させ、組成物中の針状タウリン結晶を皮膚に直接刺して浸透させることができる。
包含する有用成分の量は、結晶全体の重量に占める有用成分の包含量を包含率として示した際に、0.001~30質量%であることが好ましく、0.001~25質量%がより好ましく、0.001~20質量%が最も好ましい。
0.001質量%未満では包含する有用成分の効果が十分に得られないため、好ましくない。
【0021】
包含する有用成分は、水溶液(A)又は液体物質(B)に溶解又は分散した状態で使用することができ、その濃度の上限はないが、タウリンの結晶内に取り込まれる内包成分の量の観点から、0.001質量%以上であることが好ましい。0.001質量%未満では内包成分が含有されていることが確認できないため、好ましくない。
【0022】
本発明で得られた有用成分包含タウリンの微細針状結晶は、ろ過、乾燥したものを皮膚外用剤組成物に配合してもよく、結晶を析出させた溶液をそのまま配合することもできる。また、有用成分は、タウリンの微細針状結晶中に存在するのみならず皮膚外用剤組成物媒体中にも溶解ないしは分散してもよい。その場合、タウリン結晶中の有用成分と異なった有用成分を外用剤組成部物中に含んでもよい。
【0023】
本発明の皮膚外用組成物は、主に化粧品や医薬部外品の皮膚外用組成物として使用可能である。本発明の皮膚外用組成物の剤型は特に限定されないが、例えば液剤、ローション剤、化粧油剤、乳液剤、クリーム剤、水性ゲル剤、軟膏剤、等が挙げられる。これら製剤は、常法により調製可能である。
【0024】
液剤、ローション剤、乳液剤、クリーム剤、水性ゲル剤については、水相中のタウリン濃度を飽和濃度以上に保つことで、有用成分包含タウリン微細針状結晶を保ったまま製剤を調製することが可能である。
化粧油剤、軟膏剤については、有用成分包含タウリン微細針状結晶は、ろ過、乾燥したものを配合することで調製することが可能である。
【0025】
また、本発明の皮膚外用剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、通常、化粧料や医薬部外品、外用医薬品等の製剤に使用される成分、すなわち、水、油剤、界面活性剤、ゲル化剤、粉体、アルコール類、水溶性高分子、皮膜形成剤、樹脂、紫外線防御剤、包接化合物、抗菌剤、香料、消臭剤、塩類、pH調整剤、清涼剤、動物・微生物由来抽出物、植物抽出物、血行促進剤、収斂剤、抗脂漏剤、美白剤、抗炎症剤、保湿剤、抗糖化剤、角質溶解剤、酵素、ホルモン類、ビタミン類等を適宜1種又は2種以上添加することができる。
【0026】
本発明の皮膚外用剤組成物に含まれる水は特に限定されず、例えば、精製水、イオン交換水、水道水等が挙げられる。
【0027】
水溶性アルコールとしては、例えば、低級アルコール、多価アルコール、多価アルコール重合体、2価のアルコールアルキルエーテル類、2価アルコールアルキルエーテル類、2価アルコールエーテルエステル、グリセリンモノアルキルエーテル、糖アルコール、単糖、オリゴ糖、多糖及びそれらの誘導体等が挙げられる。
【0028】
低級アルコールとしては、例えば、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、イソブチルアルコール、t-ブチルアルコール等が挙げられる。
【0029】
多価アルコールとしては、例えば、2価アルコール(例えば、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、エチレングリコール、トリメチレングリコール、1,2-ブチレングリコール、テトラメチレングリコール、2,3-ブチレングリコール、ペンタメチレングリコール、2-ブテン-1,4-ジオール、ヘキシレングリコール、オクチレングリコール等)、3価アルコール(例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン等)、4価アルコール(例えば、ジグリセリン、1,2,6-ヘキサントリオール等のペンタエリスリトール等)、5価アルコール(例えば、キシリトール、トリグリセリン等)、6価アルコール(例えば、ソルビトール、マンニトール等)、多価アルコール重合体(例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコールートリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、ジグリセリンートリグリセリン、テトラグリセリン、ポリグリセリン等)、2価のアルコールアルキルエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ2-メチルヘキシルエーテル、エチレングリコールイソアミルエーテル、エチレングリコールベンジルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル等)、2価アルコールアルキルエーテル類(例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテルトリエチレングリコールモノメチルエーテルトリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコールブチルエーテル等)、2価アルコールエーテルエステル(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、エチレングリコールジアジベート、エチレングリコールジサクシネート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノフェニルエーテルアセテート等)、グリセリンモノアルキルエーテル(例えば、キシルアルコール、セラキルアルコール、バチルアルコール等)、糖アルコール(例えば、マルトトリオ-ス、マンニトール、ショ糖、エリトリトール、グルコ-ス、フルクト-ス、デンプン分解糖、マルト-ス、デンプン分解糖還元アルコール等)、グリソリッド、テトラハイドロフルフリルアルコール、POE-テトラハイドロフルフリルアルコール、POP-ブチルエーテル、POP・POE-ブチルエーテルトリポリオキシプロピレングリセリンエーテル、POP-グリセリンエーテル、POP-グリセリンエーテルリン酸、POP・POE-ペンタンエリスリトールエーテル、ポリグリセリン等が挙げられる。
【0030】
単糖としては、例えば、三炭糖(例えば、D-グリセリルアルデヒド、ジヒドロキシアセトン等)、四炭糖(例えば、D-エリトロ-ス、D-エリトルロ-ス、Dートレオ-ス、エリスリトール等)、五炭糖(例えば、L-アラビノ-ス、D-キシロ-ス、L-リキソ-ス、D-アラビノ-ス、D-リボ-ス、D-リブロ-ス、D-キシルロ-ス、L-キシルロ-ス等)、六炭糖(例えば、D-グルコ-ス、D-タロ-ス、D-ブシコ-ス、D-ガラクト-ス、D-フルクト-ス、L-ガラクト-ス、L-マンノ-ス、D-タガト-ス等)、七炭糖(例えば、アルドヘプト-ス、ヘプロ-ス等)、八炭糖(例えば、オクツロ-ス等)、デオキシ糖(例えば、2-デオキシ-D-リボ-ス、6-デオキシ-L-ガラクト-ス、6-デオキシ-L-マンノ-ス等)、アミノ糖(例えば、D-グルコサミン、D-ガラクトサミン、シアル酸、アミノウロン酸、ムラミン酸等)、ウロン酸(例えば、D-グルクロン酸、D-マンヌロン酸、L-グルロン酸、D-ガラクツロン酸、L-イズロン酸等)等が挙げられる。
【0031】
オリゴ糖としては、例えば、ショ糖、グンチアノース、ウンベリフェロース、ラクトース、プランテオース、イソリクノース類、α,α-トレハロース、ラフィノース、リクノース類、ウンビリシン、スタキオースベルバスコース類等が挙げられる。
【0032】
多糖としては、例えば、セルロース、クインスシード、デンプン、ガラクタン、デルマタン硫酸、グリコーゲン、アラビアガム、ヘパラン硫酸-トラガントガム、ケラタン硫酸、コンドロイチン、キサンタンガム、グアガム、デキストラン、ケラト硫酸、ローカストビーンガム、サクシノグルカン等が挙げられる。
【0033】
抗炎症剤としては、例えば、植物に由来する成分、アラントイン及びその誘導体、グリチルレチン酸及びその誘導体、グリチルリチン酸及びその塩又は誘導体、サリチル酸誘導体、アミノカプロン酸、アズレン及びその誘導体、等が挙げられる。
【0034】
ゲル化剤(増粘剤)としては、例えば、アラビアガム、カラギーナン、カラーヤガム、トラガカントガム、キャロブガム、クインスシード(マルメロ)、カゼイン、デキストリン、ゼラチン、ペクチン酸ナトリウム、アラギン酸ナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロース、CMC、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、PVA、PVM、PVP、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、ローカストビーンガム、グアガム、タマリントガム、ジアルキルジメチルアンモニウム硫酸セルロース、キサンタンガム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ベントナイト、ヘクトライト、ケイ酸A1Mg(ビーガム)、ラポナイト、無水ケイ酸等が挙げられる。
【0035】
天然の水溶性高分子としては、例えば、植物系高分子(例えば、アラビアガム、トラガカントガム、ガラクタン、グアガム、キャロブガム、カラーヤガム、カラギーナン、ペクチン、カンテン、クインスシード(マルメロ)、アルゲコロイド(カッソウエキス)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、グリチルリチン酸)、微生物系高分子(例えば、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、プルラン等)、動物系高分子(例えば、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等)等が挙げられる。
【0036】
半合成の水溶性高分子としては、例えば、デンプン系高分子(例えば、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等)、セルロース系高分子(メチルセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、セルロース末等)、アルギン酸系高分子(例えば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等)等が挙げられる。
【0037】
合成の水溶性高分子としては、例えば、ビニル系高分子(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー等)、ポリオキシエチレン系高分子(例えば、ポリエチレングリコール20,000、40,000、60,000等)、アクリル系高分子(例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド等)、ポリエチレンイミン、カチオンポリマー等が挙げられる。
【0038】
保湿剤としては、例えば、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ムコイチン硫酸、カロニン酸、アテロコラ-ゲン、コレステリル-12-ヒドロキシステアレート、乳酸ナトリウム、胆汁酸塩、DL-ピロリドンカルボン酸塩、短鎖可溶性コラーゲン、ジグリセリン(EO)PO付加物、イザヨイバラ抽出物、セイヨウノコギリソウ抽出物、メリロート抽出物等が挙げられる。
【0039】
美白剤(美白成分)としては、例えば、トラネキサム酸、アスコルビン酸とその塩、アスコルビン酸誘導体等のビタミンC類(アスコルビン酸リン酸エステルナトリウム、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム、テトラ2-ヘキシルデカン酸アスコルビル、2-O-エチルアスコルビン酸、3-O-エチルアスコルビン酸、アスコルビン酸グルコシドなど)、アルブチン、コウジ酸、プラセンタ、エラグ酸、ニコチン酸アミド、ハイドロキノン、リノール酸及びその誘導体、等が挙げられる。
【0040】
角質溶解剤(角質柔軟成分)としては、例えば、乳酸、サリチル酸、グルコン酸、グリコール酸、クエン酸、リンゴ酸、フルーツ酸、フィチン酸、尿素、イオウ等が挙げられる。
【0041】
老化防止成分としては、例えば、加水分解大豆タンパク、レチノイド(レチノール及びその誘導体、レチノイン酸、及びレチナール等)、カイネチン、アデノシン、NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)、AMP(アデノシン一リン酸)、ADP(アデノシン二リン酸)、ATP(アデノシン三リン酸)、ウルソール酸、ウコンエキス、スフィンゴシン誘導体、メバロノラクトン等が挙げられる。
【0042】
抗糖化剤(抗糖化成分)としては、例えば、ブドレジャアキシラリス葉エキス等の植物エキス、月見草油、アムラーの果実、果汁又はそれらの抽出物、L-アルギニン、L-リジン、加水分解カゼイン、加水分解性タンニン、カルノシン等が挙げられる。
【0043】
血行促進剤(血行促進作用成分)としては、例えば、オタネニンジン、アシタバ、アルニカ、イチョウ、ウイキョウ、エンメイソウ、オランダカシ、カミツレ、ローマカミツレ、カロット、ゲンチアナ、ゴボウ、コメ、サンザシ、シイタケ、ショウガ、セイヨウサンザシ、セイヨウネズ、センキュウ、センブリ、タイム、チョウジ、チンピ、トウガラシ、トウキ、トウニン、トウヒ、ニンジン、ニンニク、ブッチャーブルーム、ブドウ、ボタン、マロニエ、メリッサ、ユズ、ヨクイニン、リョクチャ、ローズマリー、ローズヒップ、チンピ、トウキ、トウヒ、モモ、アンズ、クルミ、トウモロコシ、ゴールデンカモミール、イクタモール、カンタリスチンキ、セファランチン等植物に由来する成分:ガンマーオリザノール、ニコチン酸トコフェロール、グルコシルヘスペリジン等が挙げられる。
【0044】
ポリフェノール類には、クルクミノイド、フラバノン、スチルペノイド、ポリメトキシフラボノイド類、フラボノール、キサントノイド、カルコン、リグノイド、フラバノール、イソフラボン等のフラボノイド系ポリフェノール類があげられる。
【0045】
金属イオン封鎖剤としては、例えば、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジフォスホン酸、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジフォスホン酸四ナトリウム塩、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、コハク酸、エデト酸、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸3ナトリウム等が挙げられる。
【0046】
紫外線防御剤(水溶性紫外線吸収剤)としては、例えば2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-4’-メチルベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸塩、4-フェニルベンゾフェノン、2-エチルヘキシル-4’-フェニル-ベンゾフェノン-2-カルボキシレート、2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノン、4-ヒドロキシ-3-カルボキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、フェニルベンズイミダゾール-5-スルホン酸及びその塩、フェニレン-ビス-ベンゾイミダゾール-テトラスルホン酸及びその塩等のベンゾイミダゾール系紫外線吸収剤、3-(4’-メチルベンジリデン)-d,l-カンファー、3-ベンジリデン-d,l-カンファー、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチルエステル等が挙げられる。
【0047】
粉体(粉末成分)としては、例えば、無機粉末(例えば、タルク、カオリン、雲母、絹雲母(セリサイト)、白雲母、金雲母、合成雲母、紅雲母、黒雲母、パーミキュライト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、マグネシウム、シリカ、ゼオライト、硫酸バリウム、焼成硫酸カルシウム(焼セッコウ)、リン酸カルシウム、弗素アパタイト、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー、金属石鹸(例えば、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム)、窒化ホウ素等)、有機粉末(例えば、ポリアミド樹脂粉末(ナイロン粉末)、ポリエチレン粉末、ポリメタクリル酸メチル粉末、ポリスチレン粉末、スチレンとアクリル酸の共重合体樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、ポリ四弗化エチレン粉末、セルロース粉末等)、無機白色顔料(例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛等)、無機赤色系顔料(例えば、酸化鉄(ベンガラ)、チタン酸鉄等)、無機褐色系顔料(例えば、γ-酸化鉄等)、無機黄色系顔料(例えば、黄酸化鉄、黄土等)、無機黒色系顔料(例えば、黒酸化鉄、低次酸化チタン等)、無機紫色系顔料(例えば、マンゴバイオレット、コバルトバイオレット等)、無機緑色系顔料(例えば、酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト等)、無機青色系顔料(例えば、群青、紺青等)、パール顔料(例えば、酸化チタンコ-テッドマイカ、酸化チタンコーテッドオキシ塩化ビスマス、酸化チタンコーテッドタルク、着色酸化チタンコーテッドマイカ、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔等)、金属粉末顔料(例えば、アルミニウムパウダー、カッパーパウダー等)、ジルコニウム、バリウムまたはアルミニウムレ-キ等の有機顔料(例えば、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色228号、赤色405号、橙色203号、橙色204号、黄色205号、黄色401号、及び青色404号等の有機顔料、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色227号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、緑色3号及び青色1号等)、天然色素(例えば、クロロフィル、β-カロチン等)等が挙げられる。
【0048】
ビタミン類としては、例えば、ビタミンA、B1、B2、B6、C、E及びその誘導体、パントテン酸及びその誘導体、ビオチン等が挙げられる。
【0049】
酸化防止剤としては、例えば、トコフェロール類、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸エステル類等が挙げられる。
【0050】
pH調整剤としては、例えば、乳酸-乳酸ナトリウム、クエン酸-クエン酸ナトリウム、コハク酸-コハク酸ナトリウム等の緩衝剤等が挙げられる。
【0051】
上記油剤(油相成分)としては、化粧品や医薬部外品に通常用いられる液体油脂、固体油脂、ロウ類、炭化水素油、高級脂肪酸、合成エステル油、シリコーン油等が挙げられる。これら油相成分と上記記載の水相成分を、適当な界面活性剤を組み合わせて皮膚組成物とすることができる。
【0052】
液体油脂としては、例えば、アボガド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン等が挙げられる。
【0053】
固体油脂としては、例えば、カカオ脂、ヤシ油、馬脂、硬化ヤシ油、パーム油、牛脂、羊脂、硬化牛脂、パーム核油、豚脂、牛骨脂、モクロウ核油、硬化油、牛脚脂、モクロウ、硬化ヒマシ油等が挙げられる。
【0054】
ロウ類としては、例えば、ミツロウ、カンデリラロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、鯨ロウ、モンタンロウ、ヌカロウ、ラノリン、カポックロウ、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、ジョジョバロウ、硬質ラノリン、セラックロウ、ポリオキシエチレンラノリンアルコールエーテル、ポリオキシエチレンラノリンアルコールアセテート、ポリオキシエチレンコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレン水素添加ラノリンアルコールエーテル、パルミチン酸セチルらが挙げられる。
【0055】
炭化水素油としては、例えば、流動パラフィン、オゾケライト、スクワラン、プリスタン、パラフィン、セレシン、スクワレン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。
【0056】
高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、トール酸、リノール酸、リノレイン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)等が挙げられる。
【0057】
合成エステル油としては、例えば、オクタン酸セチル、ミリスチン酸ミリスチル、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリトリット、コハク酸ジオクチル、ジネオペンタン酸トリプロピレングリコール等が挙げられる。
【0058】
シリコーン油としては、例えば、鎖状ポリシロキサン(例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等);環状ポリシロキサン(例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等)、3次元網目構造を形成しているシリコーン樹脂、シリコーンゴム、各種変性ポリシロキサン(アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等)、アクリルシリコーン類等が挙げられる。
【0059】
アミノ酸としては、中性アミノ酸であるグリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、脂肪族アミノ酸であり、オキシアミノ酸であるセリン、トレオニン、脂肪族アミノ酸であり、イオウを含むアミノ酸であるシステイン、シスチン、メチオニン、酸性アミノ酸であるグルタミン酸、アスパラギン酸、アミド基をもつアミノ酸であるグルタミン、アスパラギン、塩基性アミノ酸であるアルギニン、芳香族アミノ酸であるフェニルアラニン、チロシン、イミノ基をもつプロリン、オキシプロリンが挙げられる。
【0060】
本発明の皮膚外用剤組成物の製造方法は、下記工程を含むことを特徴とする:
タウリンが溶解した水溶液(A)を、タウリンの溶解性の低い液体物質(B)に混合、又は接触させた環境下で結晶成長させる工程、ここで、該水溶液(A)中又は該液体物質(B)中に有用成分が溶解又は分散していることにより、該有用成分は、結晶成長に伴って該結晶に包含される、及び、
前記結晶成長させる工程で得られた、結晶中に有用成分を包含するタウリンの微細針状結晶を皮膚外用剤組成物に配合する工程。
【0061】
個々の皮膚外用剤組成物は、製造工程中の水相中のタウリン濃度を飽和濃度以上に保つことで、有用成分包含タウリン微細針状結晶を保ったまま製剤を調製したり、別途再結晶させて得られた有用成分包含タウリン微細針状結晶をろ過、乾燥したものを配合することで調製したり、様々な製造方法により調製可能である。詳細は、下記実施例の処方例を参照することができる。
【実施例0062】
以下、本発明を下記実施例によりさらに詳しく説明する。これら実施例は、単に本発明を具体的に説明するための例であり、本発明の範囲がこれら実施例に限定されるものではない。以下実施例等における配合量は、特に断らない限り、質量%であり、太さ、長さの単位はマイクロメートルである。
【0063】
比較例1
タウリン10%、シアノコバラミン0.1%を含む水溶液100mLを50℃に加温し均一溶解後、室温まで放冷し、24時間静置後析出した結晶を濾別、乾燥し、桃色結晶物を得た。
【0064】
比較例2
タウリン10%、シアノコバラミン0.1%、エタノール15mLを含む水溶液100mLを50℃に加温し均一溶解後、室温まで放冷し、24時間静置後析出した結晶を濾別、乾燥し、桃色結晶物を得た。
【0065】
比較例3
タウリン10%、ニコチン酸アミド5.0%、エタノール15mLを含む水溶液100mLを50℃に加温し均一溶解後、室温まで放冷し、24時間静置後析出した結晶を濾別、乾燥し、無色透明の結晶を得た。得られた結晶を高速液体クロマトグラフィーで分析し、ニコチン酸アミドが含有されていることを確認した。
【0066】
比較例4
タウリン10%、ニコチン酸アミド5.0%、エタノール15mLを含む水溶液100mLを50℃に加温し均一溶解後、スパチュラで攪拌しながら30℃まで冷却し、析出した結晶を濾別、乾燥し、無色透明の結晶を得た。得られた結晶を高速液体クロマトグラフィーで分析し、ニコチン酸アミドが含有されていることを確認した。
【0067】
比較例5
タウリン10%、グリセリン10%、ニコチン酸アミド0.0008%を含む水溶液100mLを50℃に加温し均一溶解後、攪拌しながら30℃まで冷却し、エタノール15mLをゆっくりと注ぎ、二相に分離した界面で析出した結晶を濾別、エタノールで洗浄後、乾燥させた。得られた結晶を高速液体クロマトグラフィーで分析したところ、ニコチン酸アミドは検出されなかった。
【0068】
比較例6
タウリン2.5%を含む水溶液100mLを50℃に加温し均一溶解後、攪拌しながら30℃まで冷却し、静置後、ニコチン酸アミド5%含有エタノール溶液80mLをゆっくりと注いだが、結晶は得られなかった。
【0069】
実施例1
タウリン10%、シアノコバラミン0.1%を含む水溶液100mLを60℃に加温し均一溶解後、攪拌しながら30℃まで冷却し、15mLの1,3-ブタンジオールをディスパーで強攪拌しながら添加し、析出した結晶を濾別、エタノールで洗浄後、乾燥し、桃色結晶物を得た。
【0070】
実施例2
タウリン10%、グリセリン10%を含む水溶液100mLを50℃に加温し均一溶解後、攪拌しながら30℃まで冷却し、シアノコバラミン1.0%含有エタノール溶液15mLをディスパーで強攪拌しながら添加し、析出した結晶を濾別、エタノールで洗浄後、乾燥し、桃色結晶物を得た。
【0071】
実施例3
タウリン15%を含む水溶液100mLを50℃に加温し均一溶解後、攪拌しながら40℃まで冷却し、静置後、40℃に加温したシアノコバラミン1%含有エタノール溶液15mLをゆっくりと注ぎ、二相に分離した界面で析出した結晶を濾別、エタノールで洗浄後、乾燥し、桃色結晶物を得た。
【0072】
実施例4
タウリン10%を含む水溶液100mLを50℃に加温し均一溶解後、攪拌しながら30℃まで冷却し、静置後、ニコチン酸アミド5%含有エタノール溶液15mLをゆっくりと注ぎ、二相に分離した界面で析出した結晶を濾別、エタノールで洗浄後、乾燥し、無色透明の結晶を得た。得られた結晶を高速液体クロマトグラフィーで分析し、ニコチン酸アミドが含有されていることを確認した。
【0073】
実施例5
タウリン5%を含む水溶液100mLを50℃に加温し均一溶解後、攪拌しながら30℃まで冷却し、静置後、3-O-エチルアスコルビン酸5%含有エタノール溶液15mLをゆっくりと注ぎ、二相に分離した界面で析出した結晶を濾別、エタノールで洗浄後、乾燥し、無色透明の結晶を得た。得られた結晶を高速液体クロマトグラフィーで分析し、3-O-エチルアスコルビン酸が含有されていることを確認した。
【0074】
実施例6
タウリン20%、グリチルリチン酸ジカリウム3%を含む水溶液100mLを70℃に加温し均一溶解後、攪拌しながら50℃まで冷却し、静置後、50℃に加温した1,3-プロパンジオール15mLをゆっくりと注ぎ、二相に分離した界面で析出した結晶を濾別、50%エタノール水溶液で洗浄後、乾燥し、無色透明の結晶を得た。得られた結晶を高速液体クロマトグラフィーで分析し、グリチルリチン酸ジカリウムが含有されていることを確認した。
【0075】
実施例7
タウリン8%を含む水溶液100mLを50℃に加温し均一溶解後、攪拌しながら30℃まで冷却し、静置後、L-アスコルビン酸-2-グルコシド5%含有エタノール溶液15mLをゆっくりと注ぎ、二相に分離した界面で析出した結晶を濾別、エタノールで洗浄後、乾燥し、無色透明の結晶を得た。得られた結晶を高速液体クロマトグラフィーで分析し、L-アスコルビン酸-2-グルコシドが含有されていることを確認した。
【0076】
実施例8
タウリン25%およびアルブチン5%を含む水溶液100mLを80℃に加温し均一溶解後、静置し、80℃に加温した1,3-ブチレングリコール15mLをゆっくりと注ぎ、二相に分離した界面で析出した結晶を濾別、エタノールで洗浄後、乾燥し、無色透明の結晶を得た。得られた結晶を高速液体クロマトグラフィーで分析し、アルブチンが含有されていることを確認した。
【0077】
実施例9
タウリン10%を含む水溶液100mLを50℃に加温し均一溶解後、攪拌しながら30℃まで冷却し、静置後、テトラヘキシルデカン酸アスコルビル10%含有エタノール溶液15mLをゆっくりと注ぎ、二相に分離した界面で析出した結晶を濾別、エタノールで洗浄後、乾燥し、無色透明の結晶を得た。得られた結晶を高速液体クロマトグラフィーで分析し、テトラヘキシルデカン酸アスコルビルが含有されていることを確認した。
【0078】
実施例10
タウリン15%、アラントイン0.01%を含む水溶液100mLを60℃に加温し均一溶解後、攪拌しながら40℃まで冷却し、静置後、エタノール15mLをゆっくりと注ぎ、二相に分離した界面で析出した結晶を濾別、50%エタノール水溶液で洗浄後、乾燥し、無色透明の結晶を得た。得られた結晶を高速液体クロマトグラフィーで分析し、アラントインが含有されていることを確認した。
【0079】
実施例11
タウリン12%を含む水溶液100mLを50℃に加温し均一溶解後、攪拌しながら30℃まで冷却し、静置後、酢酸トコフェロール0.1%含有エタノール溶液15mLをゆっくりと注ぎ、二相に分離した界面で析出した結晶を濾別、エタノールで洗浄後、乾燥し、無色透明の結晶を得た。得られた結晶を高速液体クロマトグラフィーで分析し、酢酸トコフェロールが含有されていることを確認した。
【0080】
実施例12
タウリン10%、銅クロロフィリンナトリウム0.5%を含む水溶液100mLを50℃に加温し均一溶解後、攪拌しながら30℃まで冷却し、静置後、エタノール15mLをゆっくりと注ぎ、二相に分離した界面で析出した結晶を濾別、50%エタノール水溶液で洗浄後、乾燥し、緑色結晶物を得た。
【0081】
実施例13
タウリン10%、クチナシ青1%を含む水溶液100mLを50℃に加温し均一溶解後、攪拌しながら30℃まで冷却し、静置後、エタノール15mLをゆっくりと注ぎ、二相に分離した界面で析出した結晶を濾別、50%エタノール水溶液で洗浄後、乾燥し、青色結晶物を得た。
【0082】
実施例14
タウリン12%を含む水溶液100mLを50℃に加温し均一溶解後、攪拌しながら35℃まで冷却し、静置後、40℃に加温したユビデカレノン5%含有エタノール溶液15mLをゆっくりと注ぎ、二相に分離した界面で析出した結晶を濾別、40℃に加温したエタノールで洗浄後、乾燥し、ユビデカレノンを含む淡黄色の針状結晶を得た。
【0083】
実施例15
タウリン10%を含む水溶液100mLを50℃に加温し均一溶解後、攪拌しながら35℃まで冷却し、静置後、β-カロテンの懸濁液(β-カロテン30%懸濁液:DSM株式会社)3%含有エタノール溶液15mLをゆっくりと注ぎ、二相に分離した界面で析出した結晶を濾別、40℃に加温したエタノールで洗浄後、乾燥し、β-カロテンを含む淡桃色の針状結晶を得た。
【0084】
実施例16
タウリン8%を含む水溶液100mLを50℃に加温し均一溶解後、攪拌しながら35℃まで冷却し、静置後、アスタキサンチン溶解液(アスタキサンチン-5C:オリザ油化株式会社)3%含有エタノール溶液15mLをゆっくりと注ぎ、二相に分離した界面で析出した結晶を濾別、40℃に加温したエタノールで洗浄後、乾燥し、アスタキサンチンを含む橙色の針状結晶を得た。
【0085】
比較例1-5及び実施例1-16で得られた結晶物の顕微鏡観察を行った。結晶形、結晶の太さ及び長さを確認した。次に、各結晶物を表1に示す乳液剤処方、及び表2に示す化粧油剤処方に配合した際の使用感を、表3に記載の評点で評価した。結果を表4-6に示す。
【0086】
乳液剤に関しては、25℃においてA相中のタウリン濃度が飽和濃度となるように設定し、80℃に加温したA相にB相をホモミキサーで混合しながら添加し、25℃まで冷却後、C相を混合し、得られた組成物にD層のタウリン結晶物を混合することで結晶を含有した乳液剤を調製した。
化粧油剤については、A相を100℃に加熱し混合後、25℃まで冷却し、B層のタウリン結晶物を混合することで結晶を含有した化粧油剤を調製した。
【0087】
【表1】
【0088】
【表2】
【0089】
【表3】
【0090】
【表4】
【0091】
【表5】
【0092】
【表6】
【0093】
表4-6に示したように、本発明の製造方法で得られた結晶は、微細な針状又は柱状結晶を形成しており、また、結晶サイズの制御により、配合品の使用感にザラザラ感がみられず、明らかに使用感が向上していることが確認された。
【0094】
実施例17
タウリン10質量%、グリセリン10質量%を含む水溶液100mLを50℃に加温し均一溶解後、攪拌しながら40℃まで冷却し、静置後、40℃に加温したウラニン(蛍光性物質)5質量%含有エタノール溶液15mLをゆっくりと注ぎ、二相に分離した界面で析出した結晶を濾別、エタノールで洗浄後、乾燥し、橙黄色結晶物を得た。得られた結晶物の顕微鏡写真を図4-7に示す。
図4-7に示すように、得られたタウリンの微細結晶の形状は針状であった。微細針状結晶は、最大太さ30マイクロメートル、最大長さ230マイクロメートルであった。
図5及び7に示すように、得られた結晶を蛍光顕微鏡で観察したところ、ウラニンが結晶内に内包されていることが確認された。
【0095】
実施例18
実施例17で得られた結晶を配合した下記の組成物を調製し、内包成分の皮内への浸透について評価を行った。
【0096】
〔組成物〕
〔A〕
精製水 81.60質量%
タウリン 8.00質量%
カルボキシビニルポリマー 0.20質量%
〔B〕
アルギニン 0.20質量%
〔C〕
実施例17で得られた微細針状結晶 10.0質量%
【0097】
80℃に加温し、均一溶解したA相を35℃まで冷却し、攪拌しながらB相を加え、35℃で10分間攪拌した。これにC相を加え、10分間攪拌し均一混合し、水性ゲル組成物を得た。
得られた組成物をヒト摘出皮膚(厚み700マイクロメートル)(米国組織バンクから提供)に塗布し、5分後の皮膚断面の蛍光観察を行ったところ、ウラニンを含む微細針状結晶が刺さり、角層、表皮、真皮に到達していることが確認された(図8)。
さらに、30分後の状態を観察したところ、皮膚に刺さった結晶が溶解し、皮膚内にウラニンが拡散していることが確認された(図9)。
【0098】
実施例19及び比較例7
グリチルリチン酸ジカリウムを内包した微細針状結晶を調製し、グリチルリチン酸ジカリウムの皮内への浸透量について測定を行った。
タウリン10質量%、グリチルリチン酸ジカリウム3質量%を含む水溶液100mLを60℃に加温し均一溶解後、攪拌しながら40℃まで冷却し、静置後、エタノール15mLをゆっくりと注ぎ、二相に分離した界面で析出した結晶を濾別、エタノールで洗浄後、乾燥し、結晶物を得た。
得られたタウリンの微細結晶の形状は針状であった。微細針状結晶は、最大太さ30マイクロメートル、最大長さ180マイクロメートルであった。
また、得られた結晶を液体クロマトグラフィーで分析したところ、0.101質量%のグリチルリチン酸ジカリウムが含有されていることが確認された。
この微細針状結晶10質量%を含む下表の組成物、および、これと同濃度となるようにグリチルリチン酸ジカリウムを溶解した比較例の組成物を調製し、得られた組成物をヒト皮膚に塗布した際のグリチルリチン酸ジカリウムの皮内への浸透量を比較した。
【0099】
【表7】
【0100】
皮膚への浸透量の評価は、有効直径 2.0センチメートル、面積 3.14平方センチメートル、レセプター液容積2.4mLの垂直型フランツ型拡散セルを用い、各試料を10.0mg/平方センチメートルでヒト摘出皮膚に塗布した。
6時間後、試料皮膚よりテープストリッピングにより角質層と表皮・真皮を分離し、角質層、表皮・真皮、レセプター溶液のそれぞれに含まれているグリチルリチン酸ジカリウムを高速液体クロマトグラフにより定量を行った。
【0101】
図10に示すように、実施例19の組成物については、比較例7の組成物と比較し、皮内全体のグリチルリチン酸ジカリウムの浸透量は約2.5倍であり、微細針状結晶内に有用成分を含有させることにより、該有用成分が表皮・真皮、およびレセプター液まで浸透していることが確認された。
【0102】
以下に処方例を示すが、本願発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0103】
〔化粧水〕
〔A〕
精製水 71.60質量%
タウリン 7.80質量%
グリセリン 5.00質量%
ジグリセリン 0.50質量%
ベタイン 0.50質量%
フェノキシエタノール 0.30質量%
〔B〕
ジプロピレングリコール 10.00質量%
1,2-ペンタンジオール 2.50質量%
〔C〕
(アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス-20)コポリマー 0.45質量%
精製水 1.05質量%
〔D〕
実施例1で得られた結晶 0.30質量%
80℃に加温し、均一溶解したA相を35℃まで冷却し、攪拌しながらB相に加え、35℃で10分間攪拌した。これにC相を加え、ホモミキサーで10分間攪拌し均一混合後、D相の結晶を加え、5分間攪拌し、化粧水組成物を得た。
得られた組成物中のタウリンの微細結晶の形状は針状で、最大太さ30マイクロメートル、最大長さ300マイクロメートルであり、組成物の使用感は滑らかで、使用感の良好な組成物が得られた。
【0104】
〔水性ゲル〕
〔A〕
精製水 71.40質量%
タウリン 8.00質量%
グリセリン 5.00質量%
ラフィノース 0.50質量%
フェノキシエタノール 0.30質量%
〔B〕
ジプロピレングリコール 10.00質量%
1,2-ペンタンジオール 2.50質量%
〔C〕
ポリアクリレートクロスポリマー-6 2.00質量%
〔D〕
実施例14で得られた結晶 0.30質量%
80℃に加温し、均一溶解したA相を35℃まで冷却し、攪拌しながらB相に加え、35℃で10分間攪拌し、タウリンの微細針状結晶を析出させた。これにC相を加え、ホモミキサーで10分間攪拌し均一混合後、D相の結晶を加え、5分間攪拌し、水性ゲル組成物を得た。
得られた組成物中のタウリンの微細結晶の形状は針状で、最大太さ30マイクロメートル、最大長さ230マイクロメートルであった。得られた組成物の使用感は滑らかで、使用感の良好な組成物が得られた。
【0105】
〔乳液〕
〔A〕
精製水 60.20質量%
タウリン 8.00質量%
グリセリン 5.00質量%
〔B〕
1,3-プロパンジオール 15.00質量%
3-O-エチルアスコルビン酸 3.00質量%
ペンチレングリコール 1.50質量%
フェノキシエタノール 0.30質量%
〔C〕
(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー 0.75質量%
イソヘキサデカン 0.45質量%
ポリソルベート80 0.15質量%
精製水 0.65質量%
〔D〕
スクワラン 5.00質量%
80℃に加温し、均一溶解したA相を35℃まで冷却し、攪拌しながらB相に加え、35℃で10分間攪拌し、タウリンの微細針状結晶を析出させた。これにC相の混合物を加え、ホモミキサーで5分間攪拌し均一混合後、D相を加え10分間ホモミキサーで攪拌して乳化し、乳液組成物を得た。
得られた組成物中のタウリンの微細結晶の形状は針状で、最大太さ30マイクロメートル、最大長さ250マイクロメートルであり、高速液体クロマトグラフィーの分析により、3-O-エチルアスコルビン酸が含有されていることが確認された。得られた組成物の使用感は滑らかで、使用感の良好な組成物が得られた。
【0106】
〔O/W型クリーム〕
〔A〕
精製水 63.00質量%
タウリン 8.00質量%
グリセリン 5.00質量%
ニコチン酸アミド 5.00質量%
〔B〕
1,3-プロパンジオール 15.00質量%
ペンチレングリコール 1.50質量%
フェノキシエタノール 0.30質量%
〔C〕
(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー 0.75質量%
ポリソルベート80 0.15質量%
精製水 0.65質量%
〔D〕
スクワラン 0.65質量%
80℃に加温し、均一溶解したA相を35℃まで冷却し、攪拌しながらB相に加え、35℃で10分間攪拌し、タウリンの微細針状結晶を析出させた。これにC相の混合物を加え、ホモミキサーで5分間攪拌し均一混合後、D相を加え10分間ホモミキサーで攪拌して乳化し、O/W型クリーム組成物を得た。
得られた組成物中のタウリンの微細結晶の形状は針状で、最大太さ30マイクロメートル、最大長さ250マイクロメートルであり、高速液体クロマトグラフィーの分析により、ニコチン酸アミドが含有されていることが確認された。得られた組成物の使用感は滑らかで、使用感の良好な組成物が得られた。
【0107】
〔W/O型クリーム〕
〔A〕
精製水 32.30質量%
タウリン 7.00質量%
グリセリン 5.00質量%
L-アスコルビン酸-2-グルコシド 2.00質量%
〔B〕
1,3-プロパンジオール 9.00質量%
1,2-ヘキサンジオール 0.70質量%
フェノキシエタノール 0.30質量%
〔C〕
ミリスチン酸イソプロピル 33.70質量%
ホホバ油 5.00質量%
ポリリシノレイン酸ポリグリセリル-6 3.25質量%
イソステアリン酸ポリグリセリル-2 1.00質量%
ジステアルジモニウムヘクトライト 0.75質量%
80℃に加温し、均一溶解したA相を35℃まで冷却し、攪拌しながらB相に加え、35℃で10分間攪拌し、タウリンの微細針状結晶を析出させた。この混合液を均一混合したC相にホモミキサーをかけながらで5分間かけて加えたのち、10分間ホモミキサーで攪拌して乳化し、W/O型クリーム組成物を得た。
得られた組成物中のタウリンの微細結晶の形状は針状で、最大太さ25マイクロメートル、最大長さ200マイクロメートルであり、高速液体クロマトグラフィーの分析により、L-アスコルビン酸-2-グルコシドが含有されていることが確認された。得られた組成物の使用感は滑らかで、使用感の良好な組成物が得られた。
【0108】
〔化粧油〕
〔A〕
2-エチルヘキサン酸セチル 63.40質量%
水添ポリデセン 29.00質量%
水添(スチレン/イソプレン)コポリマー 7.00質量%
トコフェロール 0.10質量%
〔B〕
実施例11で得られたタウリン微細針状結晶 0.50質量%
A相を100℃に加温し、均一になるまで攪拌した。これを35℃まで冷却しB相を加え、攪拌して均一に分散し、化粧油組成物を得た。
得られた組成物中のタウリンの微細結晶の形状は針状で、最大太さ40マイクロメートル、最大長さ520マイクロメートルであった。得られた組成物の使用感は滑らかで、使用感の良好な組成物が得られた。
【0109】
試験例1
以上において製造した各種有用成分入りタウリンにおいて、有用成分がタウリン結晶中に包含されていることを実証する試験を実施した。以下に記載するのは実施例14において製造したアスタキサンチン入りタウリン針状結晶のX線回折の結果である。
対照として、タウリン単独の針状結晶を以下の工程により製造した。
タウリン10%を含む水溶液100mLを50℃に加温し均一溶解後、攪拌しながら30℃まで冷却し、静置後、エタノール15mLをゆっくりと注ぎ、二相に分離した界面で析出した結晶を濾別、エタノールで洗浄後、乾燥し、無色透明の結晶を得た。
株式会社リガク社製X線回折装置、型番 SmartLabを用いてタウリン針状結晶及びアスタキサンチン含有タウリン針状結晶のX線回折を実施した。X線はCuKα線(波長=0.154nm)を用い、出力45kV、200mA、検出器にHyPix-3000を使用し、2θ/θ測定法で、走査速度10°/分で、2θが10~80°の範囲について測定を行った。
得られたX線回折パターンを図1に示す。上がアスタキサンチン含有タウリン結晶、下がタウリン結晶からの回折パターンである。
上記の結果からアスタキサンチン入りタウリン結晶とタウリン結晶とは同一の回折パターンを示さない。111面と200面の回折角を下記表8にまとめる。具体的には、111面と200面の広がりをBraggの式を用いて下記のデータから格子定数を計算した(2θが小さくなることは面間隔の広がりを示す)。
【0110】
【表8】
【0111】
本発明によって得られた結晶の光学顕微鏡写真の1例を図2に示す。本結晶は、実施例3によって得られたものである。原料タウリンの結晶の顕微鏡写真の例を図3に示す。原料タウリンは、日本薬局方タウリン(小華薬品株式会社製)を使用した。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2023-06-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶中に有用成分を包含するタウリンの微細針状結晶を含有することを特徴とする皮膚外用剤組成物。
【請求項2】
前記タウリンの微細針状結晶が少なくとも一部分散されて含有していることを特徴とする、請求項1に記載の皮膚外用剤組成物。
【請求項3】
前記タウリンの微細針状結晶中に空間を有し、該空間中に有用成分が内包されていることを特徴とする、請求項1に記載の皮膚外用剤組成物。
【請求項4】
前記タウリンの微細針状結晶が、太さ150マイクロメートル以下、長さ3000マイクロメートル以下である、請求項1に記載の皮膚外用剤組成物。
【請求項5】
前記有用成分が、ビタミン類及びビタミン誘導体、ハイドロキノン及びその誘導体、美白成分、抗炎症成分、抗酸化成分、血行促進成分、細胞賦活成分、補酵素及びその中間代謝物、糖類、植物抽出成分、ペプチド、タンパク質、並びに色素からなる群より選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする、請求項1又は3に記載の皮膚外用剤組成物。
【請求項6】
前記タウリンの微細針状結晶中の空間容積が、タウリン結晶体積中の0.001%~30%を占めることを特徴とする、請求項3に記載の皮膚外用剤組成物。
【請求項7】
前記タウリンの微細針状結晶中の有用成分の包含率が0.001%~30%であることを特徴とする、請求項3に記載の皮膚外用剤組成物。
【請求項8】
さらに、皮膚外用剤組成物媒体中にも前記有用成分が溶解ないし分散している、請求項1に記載の皮膚外用剤組成物。
【請求項9】
タウリンが溶解した水溶液(A)を、タウリンの溶解性の低い液体物質(B)に混合、又は接触させた環境下で結晶成長させる工程を含み、ここで、該水溶液(A)又は該液体物質(B)中に有用成分が溶解又は分散していることにより、該有用成分は、結晶成長に伴って該結晶に包含されることを特徴とする、結晶中に有用成分を包含するタウリンの微細針状結晶の製造方法であって、
該液体物質(B)は水溶性有機溶媒であり、該水溶性有機溶媒は、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、イソプレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、シクロヘキシルグリセリン、及びn-ヘキシルグリセリンからなる群より選ばれる1種又は2種以上であり、
該有用成分の濃度は、該水溶液(A)又は該液体物質(B)中、0.001質量%以上であり、
該水溶液(A)中のタウリンの濃度は、3~28質量%である、製造方法
【請求項10】
前記液体物質(B)が、前記水溶液(A)の全量に対して50質量%以下であることを特徴とする、請求項9に記載の製造方法。
【請求項11】
結晶中に有用成分を包含するタウリンの微細針状結晶を含有する皮膚外用剤組成物の製造方法であって、下記工程:
タウリンが溶解した水溶液(A)を、タウリンの溶解性の低い液体物質(B)に混合、又は接触させた環境下で結晶成長させる工程、ここで、該水溶液(A)中又は該液体物質(B)中に有用成分が溶解又は分散していることにより、該有用成分は、結晶成長に伴って該結晶に包含される、及び、
前記結晶成長させる工程で得られた、結晶中に有用成分を包含するタウリンの微細針状結晶を皮膚外用剤組成物に配合する工程、
を含み、
該液体物質(B)は水溶性有機溶媒であり、該水溶性有機溶媒は、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、イソプレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、シクロヘキシルグリセリン、及びn-ヘキシルグリセリンからなる群より選ばれる1種又は2種以上であり、
該有用成分の濃度は、該水溶液(A)又は該液体物質(B)中、0.001質量%以上であり、
該水溶液(A)中のタウリン濃度は3~28質量%である、製造方法。
【請求項12】
前記液体物質(B)が、前記水溶液(A)全量に対して50質量%以下であることを特徴とする、請求項11に記載の製造方法。