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特開2023-161566軸受ローラを有するケージフリーホイール
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  • 特開-軸受ローラを有するケージフリーホイール 図1
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  • 特開-軸受ローラを有するケージフリーホイール 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161566
(43)【公開日】2023-11-07
(54)【発明の名称】軸受ローラを有するケージフリーホイール
(51)【国際特許分類】
   F16D 41/07 20060101AFI20231030BHJP
   F16C 33/46 20060101ALI20231030BHJP
【FI】
F16D41/07 B
F16C33/46
F16D41/07 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023068350
(22)【出願日】2023-04-19
(31)【優先権主張番号】10 2022 109 860.5
(32)【優先日】2022-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】591073924
【氏名又は名称】リングシュパン・ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】RINGSPANN GESELLSCHAF MIT BESCHRANKTER HAFTUNG
【住所又は居所原語表記】SCHABERWEG 30-34,D-61348 BAD HOMBURG,BUNDESREPUBLIK DEUTSCHLAND
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】アウグスティン・ブルツス
【テーマコード(参考)】
3J701
【Fターム(参考)】
3J701AA13
3J701AA24
3J701AA32
3J701AA42
3J701AA52
3J701AA62
3J701BA35
3J701BA44
3J701FA04
3J701GA01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ケージフリーホイールのシャフト/ハブ連結への取り付け、設置が容易になり、また、機能性を改良する。
【解決手段】特に電動自転車の駆動部においてクランプギャップに設置するためのケージフリーホイールであって、ケージには周方向に連続して、ハブとシャフトとを互いに支持するための軸受ローラと、回転可能に配置されたクランプ体とが設けられており、クランプ体はシャフトとハブとの間の相対動作を一方の回転方向へは摩擦係止的にロックし、他方へは許容し、半径方向外側の面におけるスリットにおいて、列の周りを延伸するリング状ばねによってクラッチイン方向へばね付勢されており、軸受ローラは、それぞれ対毎にリング状ばねの両側において、ケージの関連するポケット内に配置されているケージフリーホイールにおいて、軸受ローラは、関連するポケット内において半径方向において相補係合的に収容されるように設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトとハブとの間のクランプギャップの間に設置するための、リング状のケージ(2)を有するケージフリーホイール(1)であって、前記ケージ(2)には周方向に連続して、前記ハブと前記シャフトとを互いに支持するための軸受ローラ(6)と、前記ケージ(2)内に回転可能に配置されたクランプ体(3)とが設けられており、前記クランプ体(3)は、前記シャフトと前記ハブとの間の相対動作を一方の回転方向へは摩擦係止的にロックし、他方へは許容し、当該クランプ体(3)の半径方向外側の面におけるスリット(4)において当該クランプ体(3)の列の周りを延伸するリング状ばね(5)によってクラッチイン方向へばね付勢されており、前記軸受ローラ(6)は、それぞれ対毎に前記リング状ばね(5)の両側において、前記ケージ(2)の関連するポケット(7)内に配置されているケージフリーホイールにおいて、
前記軸受ローラ(6)は、前記関連するポケット(7)内において半径方向において相補係合的に収容されていることを特徴とするケージフリーホイール。
【請求項2】
前記ケージ(2)は、弾性的に変形可能なプラスチックを用いて製造され、前記軸受ローラ(6)は、前記ケージ(2)の弾性的変形によって自身のポケット(7)内にクリップ止めされることを特徴とする、請求項1に記載のケージフリーホイール。
【請求項3】
前記軸受ローラ(6)のための前記ポケット(7)は、前記ケージ(2)の少なくとも一つの周面において少なくとも前記軸受ローラ(6)の円周に相当する幅を有し、少なくとも一対の前記ポケット内に突出する突起(13)を有し、当該突起を介して前記ポケット(7)内に前記軸受ローラ(6)が半径方向において相補係合的に保持されることを特徴とする、請求項1または2に記載のケージフリーホイール。
【請求項4】
少なくとも三対の前記軸受ローラ(6)が関連するポケット(7)内において前記ケージ(2)の円周に亘って分散されて配置されており、前記軸受ローラ(6)が入った前記ポケット(7)の間に周方向においてそれぞれクランプ体(3)が入った複数のポケット(8)が設けられていることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のケージフリーホイール。
【請求項5】
周方向において少なくとも二つクランプ体(3)が連続し、その後に周方向において再び一つの軸受ローラ(6)が続くことを特徴とする、請求項4に記載のケージフリーホイール。
【請求項6】
前記各軸受ローラ(6)は、自身のポケット(7)内においてそれぞれ対毎に共通の軸を介して互いに連結されていることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のケージフリーホイール。
【請求項7】
前記クランプ体(3)のための前記ポケット(8)は、バー(10)によって互いに分離されており、前記バー(10)間の自由な間隔は、それぞれ当該間隔が前記クランプ体(3)の周方向に配向された、半径方向内側の幅よりも大きいものの半径方向外側の幅よりも小さいように決定されることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載のケージフリーホイール。
【請求項8】
前記軸受ローラ(6)は、前記ケージ(2)のケージ側面縁(9a、9b)の内側の面と、前記対毎に配置された前記ポケット(7)を互いに分離する中央バー(11)とによって軸方向に位置付けされることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載のケージフリーホイール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念による、特に電動自転車の駆動部においてシャフト/ハブ連結の間のクランプギャップに設置するためのケージフリーホイールに関する。
【背景技術】
【0002】
ケージフリーホイールは、多数の実施形態において公知であり、例えば同一出願人による独国特許出願公開第102009030614号明細書および独国特許出願公開第102011108413号明細書を参照されたい。
【0003】
フリーホイールにおいてはシャフトとハブ(当該シャフトとハブとの間のクランプギャップ内に前記フリーホイールを設置することになる)が半径方向において可能な限り遊びがないように互いに対して支持される必要があることが重要である。通常、これは付加的な、前記フリーホイールとは別個のころ軸受によって実施される。しかしながらこのことは前記シャフト/ハブ連結の軸方向の構造寸法を増加させる。様々な適用、特に電気自動車の駆動部のボトムブラケットにおいては可能な限り小さい軸方向の構造寸法が所望される。
【0004】
独国特許出願公開第1020192018785号明細書より周方向に連続して軸受ローラとクランプ体とが設けられているケージフリーホイールが公知である。ここで前記軸受ローラは、シャフトとハブとを互いに対して支持するために使用される。前記クランプ体は、回転可能に配置されているため、当該クランプ体はシャフトとハブとの間の相対動作を一方の回転方向へは摩擦係止的にロックし、他方へは許容する。前記クランプ体の半径方向外側の面におけるスリットにおいてクランプ体の列の周りを延伸するリング状ばねは、前記クランプ体のクラッチイン方向へのばね付勢を保証する。前記軸受ローラは、それぞれ対毎にリング状ばねの両側における、ケージリングの関連するポケット内に配置されている。よって前記軸受ローラによりころ軸受機能が前記ケージフリーホイール内に一体化されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許出願公開第102009030614号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第102011108413号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第1020192018785号明細書
【特許文献4】米国特許第6,279,708号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このようなケージフリーホイールにおける欠点は、当該ケージフリーホイールの手間がかかり複雑な取り付けにある。前記クランプ体が外側から前記ケージフリーホイールの周りに沿う前記リング状ばねによって保持されて落下から守られている反面、前記リング状ばねの両側に配置されている前記軸受ローラは、ケージを取り付ける時に落下しやすい。加えて前記ローラの軸方向の位置が固定されていないため、前記リング状ばねの取り付けが困難になり前記ローラと前記リング状ばねとが衝突し得る。前記衝突は、前記ケージフリーホイールの機能不全を引き起こし得る。よって本発明の課題は、シャフト/ハブ連結への取り付けおよび設置が容易になりおよび/または前記ケージフリーホイールの機能性を改良するケージフリーホイールを提案することにある。
【0007】
米国特許第6,279,708号明細書において一体化されたボールベアリングを有するフリーホイールが示されており、当該フリーホイールにおいては内輪と外輪との間にボールベアリングの列とクランプ体の列とが隣接して配置されている。ボールとクランプ体は一つのケージ内に配置されており、当該ケージはボールを軸方向において内輪と外輪との間において相補係合的に収容する。取り付け時あるいは内輪と外輪とが取り外される場合、ここでも前記ボールが半径方向に落下する可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本課題は、請求項1の特徴によって解消される。有利である実施態様は、各従属請求項より得られる。
【0009】
冒頭で述べた類のケージフリーホイールにおいて本発明では軸受ローラがリング状のケージにおける自身の関連する(第一の)ポケット内に半径方向において相補係合的に収容されるように設けられている。このことが一方では前記ケージフリーホイールの製造時におけるケージの設置だけではなく他方では後に前記ケージフリーホイールのシャフトとハブとの間への設置をも容易にするのは、前記軸受ローラがもはや落下して損失する可能性がないからである。これによりユーザは、シャフトとハブの間のリングギャップに容易に挿入され得るアッセンブリを得る。
【0010】
前記ローラのフリーホイールケージ内への相補係合的収容は、取り付け時に互いにラッチされる、複数のケージ部分を用いて前記フリーホイールケージを組み立てることによっても得られる。しかしながら特に有利な構造が得られるのは、前記フリーホイールケージが弾性的に変形可能なプラスチック、特に射出成形体として製造されて前記軸受ローラが前記ケージの弾性的変形によって自身のポケット内にクリップ止めされる場合である。これにより前記ケージは一体的に構成され得る。前記軸受ローラの設置は、前記軸受ローラを簡単に外側または内側から自身の関連するポケットに押し入れることにより、前記クランプ体の設置および前記リング状ばねの装入の前でも後でも実施され得る。
【0011】
好ましい実施形態例において前記軸受ローラのための前記ポケットは、前記ケージの周面において少なくとも前記軸受ローラの円周に相当する幅を有し、少なくとも一対、好ましくは二対の前記ポケット内に突出する突起を有し、当該突起を介して前記ポケット内の前記軸受ローラが半径方向において相補係合的に保持される。よって前記フリーホイールケージが前記軸受ローラの全長に亘ってではなく前記突起の領域においてのみ変形するだけでよいため、必要な取り付け力が軽減される。前記突起の間における空所が大きければ大きいほど且つ前記突起の半径方向長さが小さければ小さいほど、必要な変形力は小さくなる。前記ポケットが前記ケージの外周側面だけではなく当該ケージの内側側面においても相応する突起を有する場合、前記軸受ローラは選択的に内側からも外側からも自身のポケット内に押し入れられ得る。
【0012】
軸方向において前記軸受ローラは、ケージの側面縁の内側の面と、前記対毎に配置された前記ポケットを互いに分離する中央バーとによって位置づけられることが好ましい。前記ポケットの間の前記バーの幅は、前記リング状ばねの直径または幅よりも大きいことが好ましい。
【0013】
前記ケージフリーホイールにおいて少なくとも三対、好ましくは五対の前記軸受ローラが関連するポケット内において前記ケージの円周に亘って分散されて配置されていることが好ましい。ここで前記軸受ローラが入った前記(第一の)ポケットの間に周方向においてそれぞれクランプ体が入った複数の(第二の)ポケットが設けられている。少なくとも三対、好ましくは五対のローラ対がシャフト構成要素とハブ構成要素との互いに対する確実な半径方向への位置合わせを保証する。周方向において余った空間は、前記クランプ体のために利用することが可能であるため、シャフトとハブとの間でロック方向に生じる力を伝達するのに十分に高いクランプ面が利用可能となる。ここで周方向において少なくとも二つ、さらに好ましくは少なくとも四つのクランプ体が連続して配置されてその後に周方向において再び一つの軸受ローラが続くことが好ましい。よって前記ケージフリーホイールは、前記軸受ローラよりも少なくとも二倍、好ましくは少なくとも四倍の数のクランプ体を有する。基本的にはより多くのクランプ体が利用可能であればあるほど前記フリーホイールのロック方向に伝達され得るトルクが高くなるといえる。
【0014】
選択的に前記軸受ローラは、自身のポケット内においてそれぞれ対毎に共通の軸を介して互いに連結されている、あるいは共通の軸と一体的に構成され得る。前記軸受ローラを外側から設置する時、この場合は前記リング状ばねの取り付け前に前記軸受ローラを自身のポケットにクリップ止めする必要がある。前記リング状ばねの両側に前記軸受ローラを一体的に連結することによりシャフトとハブとの間におけるより高い回動トルクを吸収することが可能である。
【0015】
前記各クランプ体のためのポケットは、バーによって互いに分離されており、前記バー間の自由な間隔は、それぞれ当該間隔が前記クランプ体の周方向に配向された、半径方向内側の横方向延伸よりも大きいものの半径方向外側の横方向延伸よりも小さいように決定されることが好適である。よって前記クランプ体が前記バーの間から内側に落下することができないため、前記クランプ体を外側から自身のポケットに嵌め込んだ後、前記クランプ体を前記フリーホイールケージ内において保持する前記リング状ばねを取り付けることが可能となる。よって前記クランプ体は、前記リング状ばねによって前記フリーホイールケージに保持される一方、前記軸受ローラは相補係合によって半径方向への落下から守られている。
【0016】
さらなる利点と実施様態とは、図面を用いて以下に説明される実施形態例より明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】クランプ体と軸受ローラを有するケージフリーホイールの等角図である。
図2図1に図示されるケージフリーホイールのフリーホイールケージの拡大図である。
図3図2における切断線A-Aに沿った断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1に図示されているケージフリーホイール1は、リング状のケージ2(ケージリング)と当該ケージ内にそれ自体公知である方法で回転可能に嵌め込まれたクランプ体3を含んでなる。前記クランプ体3は、中央にスリット4を有し、当該スリット4内にクランプ体の列の全周面に亘って前記クランプ体3をクラッチイン方向にばね付勢するリング状ばね5、例えば渦巻きばねが嵌め込まれている。前記ケージフリーホイールは、シャフト構成要素とハブ構成要素との間におけるリングギャップ内に設置するために使用されて、前記ハブ構成要素の内周面と前記シャフト構成要素の外周面がそれぞれ前記クランプ体3のための円筒状の走路として形成されている。シャフト構成要素またはハブ構成要素における内側または外側の走路に配向された、前記クランプ体3の縁面は、クランプくさびとして機能し、当該クランプくさびは、回転方向、すなわち前記フリーホイールのロック方向において前記シャフト構成要素を前記ハブ構成要素に対して動かなくすることで相対回転をブロックする。反対の回転方向、すなわち自由走行方向においては例えば前記ハブ構成要素が固定されるのに対して前記シャフト構成要素は自由に回転され得る。
【0019】
基本的に本発明によるケージフリーホイール1をシャフト構成要素とハブ構成要素との間に直接ではなく代わりにフリーホイール内輪とフリーホイール外輪との間に嵌め込むことが可能であり、その後当該内輪と外輪とがそれぞれ前記シャフト構成要素上に押圧または前記ハブ構成要素内に圧入されて前記クランプ体3のための前記円筒状の走路を形成する。
【0020】
前記シャフト/ハブ連結内において前記シャフト構成要素を前記ハブ構成要素に対してセンタリングするために、前記ケージフリーホイール1は、付加的な軸受ローラ6を有し、当該軸受ローラは、それぞれ対毎に前記リング状ばね5の両側において前記フリーホイールケージ2の相応するポケット7内に嵌め込まれてころ軸受の機能を担う。二つのローラ対6の間にはそれぞれ四つの連続するクランプ体3が存在するため、円周に亘って分散されて前記ローラ対の四倍の数のクランプ体が配置されている。
【0021】
多くの場合クランプピースとも称される、クランプ体フリーホイールの前記クランプ体3は、構造上、非円形に構成されているため、長い横方向延伸方向と短い横方向延伸方向とを有する。自身の長い横方向延伸方向において前記クランプ体3は、前記軸受ローラ6の直径よりも少し幅が大きいため、当該クランプ体はクラッチイン時に前記シャフト部分の外面と前記ハブ部分の内側すべり面とによって形成されるリングギャップに挟まれる。自身の短い横方向延伸方向において前記クランプ体3は、前記軸受ローラ6の直径よりも少し幅が狭いため、当該クランプ体はクラッチイン方向に前記リングギャップのすべり面に対してばね付勢されて当該すべり面に沿って摺動する。
【0022】
前記ケージ2は、図2において詳しく図示されている。当該ケージは、ケージの側面縁を形成し、軸方向に延伸するバー10を介して互いに連結されている、二つのリング状の縁帯9a、9bを有する。バー10の間において前記クランプ体3のための収容ポケット8が形成されている。それぞれ前記クランプ体3のための四つのポケット8の後は前記軸受ローラ6のための一つのポケット対7が続く。ケージフリーホイールが完全に取り付けられた場合、中央バー11の上を前記リング状ばね5が延伸する。
【0023】
前記ポケット7は、当該ポケットが前記軸受ローラ6をそれぞれ相補係合的に(positive-locking)収容するように形成されている。このため前記ポケット7の側面における区切りバー12においてそれぞれ半径方向内側および外側に前記ポケットの内部に突出する突起またはカム13が配置されている。二つのカム13の周方向における距離aは、一つの軸受ローラ6の外径よりも小さい。一つの区切りバー12の内側および外側の前記突起13の間には丸い輪郭14が形成されており、当該輪郭は前記軸受ローラ6の周方向延伸に適合されている。ここで二つの対向する丸い輪郭14の間の中央における距離aは、前記軸受ローラ6の直径よりも少し大きいように選択される。
【0024】
前記ケージ2は、所定の弾性特性を有するポリアミドやポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの高級プラスチック材料を用いて製造される。これにより前記軸受ローラ6が取り付けのために内側または外側から該当する前記ポケット7内に押し入れられ得る。前記軸受ローラ6上への圧力によって関連する前記ポケット7が前記突起13の弾性的変形によって拡張される。前記軸受ローラ6が自身の半径方向中央の位置に到達した後、前記変形が緩和され、前記軸受ローラ6が前記突起13と湾曲した前記輪郭14とによって前記ポケットの中央に保持される。
【0025】
軸方向において前記軸受ローラ6は前記ポケット7内において前記縁帯9aまたは前記縁帯9bの内側の面と前記中央バー11とによって位置付けされる。前記中央バー11の幅は、前記リング状ばねの外径よりも大きい。これにより前記軸受ローラが取り付け時と後の作動時とにおいて前記リング状ばねと接触することがないことが保証される。
【0026】
前記ケージフリーホイールの取り付けには、前記ケージ2にまずは前記クランプ体3を外側から前記ポケット8内に半径方向に挿入することによって当該クランプ体を設置することが可能である。二つのバー10間の周方向における間隔は、当該間隔が前記クランプ体3の半径方向内側の側面の周方向に配向された幅よりも大きくなるように決定される。しかしながら前記クランプ体3の半径方向外側の幅は、二つの区切りバー8間の間隔よりも大きいため、前記クランプ体3が自身のポケット8を通って内側に落下することは不可能である。その後、前記リング状ばね5が前記クランプ体3の周りに配置され、最終的に前記軸受ローラ6は自身の関連するポケット7内に押し入れられ得る。同様に前記ポケット7にまずは前記軸受ローラ6を配置し、その後前記クランプ体3を前記ポケット8内に嵌め込んで前記リング状ばね5を前記クランプ体の列の外周の周りに沿わせることも可能である。
【0027】
よって完全に取り付けられたケージフリーホイールにおいては、前記クランプ体3が前記リング状ばね5によって保持されるのに対して前記軸受ローラ6は自身のポケット内において相補係合的且つ損失しないように保持される。よって前記完全に取り付けられたケージフリーホイールは、フリーホイールを製造するためにシャフト構成要素上にスライドされて当該シャフト構成要素とともに関連するハブ構成要素内に挿入される、あるいは逆にハブ構成要素内に挿入されてその後にシャフト構成要素を押し通すことも可能である。
【0028】
実施形態例において図示された前記ケージフリーホイールについては様々な変形例が可能であり、本発明の範囲に含まれるものである。よって例えば五対の軸受ローラの代わりにこれより多いあるいは少ない数の軸受ローラ対を使用することが可能である。例えば最低三つの軸受ローラ対を120°の角度において前記フリーホイールケージの円周に亘って分散して配置することによってさらなるクランプ体のためにより広い残余空間が生まれる。一つの軸受ローラ対の前記軸受ローラ6を共通の中央軸を介して互いに連結することも可能である。この場合、中央バー11を省略するか当該中央バーに前記軸受ローラ対6の共通の軸のための相応する空所を設けることが可能である。前記縁帯9aおよび9bの軸方向内側の前面には、前記クランプ体の回転動作を制限する、付加的なガイド面が形成され得る。同様に前記縁帯9aおよび9bの軸方向内側の前面には、ピンが設けられ得て、当該ピンは前記クランプ体の前面側の相応する凹部内に係止することで前記クランプ体のための回転軸を画定する。この場合、前記クランプ体の取り付けも前記ピンが前記クランプ体の前記前面側の凹部に嵌合するまで軽い圧力とこれに伴う前記ケージ2の弾性的変形とによって実施され得る。同様に相応するピンを前記クランプ体に、また前記ピンのための凹部を前記縁帯9aおよび9bの内側の前記前面に設けることも可能である。しかしながらさらには独国実用新案第202017106205号明細書において示されるように前記ケージを二つ割状に構成して例えば前記バー10、12の領域においてラッチ接続(latching connection)を介して互いにラッチされる、二つの部分リングを用いて構成することも可能である。
図1
図2
図3
【外国語明細書】