(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161576
(43)【公開日】2023-11-07
(54)【発明の名称】可動エンドレス支持部材を備えるフラットベルトテスタ
(51)【国際特許分類】
G01M 17/02 20060101AFI20231030BHJP
【FI】
G01M17/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023070833
(22)【出願日】2023-04-24
(31)【優先権主張番号】63/334,380
(32)【優先日】2022-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/135,554
(32)【優先日】2023-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】505383383
【氏名又は名称】エムティーエス システムズ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【弁理士】
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】ズデニェク メステンハウザー
(57)【要約】
【課題】試験機、及び、回転のために試験試料を支持する方法の提供。
【解決手段】試験試料を回転させる試験機は、フレームと車道組立体とを備える。車道組立体は、試験試料に係合する面を提供し、ローラによって支持され、ローラ上で転動するエンドレスベルトを備える。フレームによって支持されるエンドレス支持部材は、ローラの間に配置され、エンドレスベルトに下から係合する。エンドレス支持部材は、エンドレスベルトと同じ速度になるように一緒に動くか又は同期される。エンドレス支持部材は、エンドレスベルト上に配置された試験試料からの負荷に対する平坦反作用構造体を提供し、エンドレスベルトに対する試験試料の接地面が必要とするサイズに対応するサイズである。エンドレス支持部材がエンドレスベルトと同じ速度で動くため、エンドレス支持部材とエンドレスベルトとの間に力は発生しない。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験機であって、
フレームと、
車道組立体であって、
前記フレームに接合される第1のローラと、
前記フレームに接合される第2のローラと、
前記第1のローラ及び前記第2のローラによって支持され、該第1のローラ及び該第2のローラ上で転動するエンドレスベルトと、
前記フレームによって支持され、前記第1のローラと前記第2のローラとの間に配置され、前記エンドレスベルトに下から係合し、前記エンドレスベルトとともに動く、エンドレス支持部材と、
を備える、車道組立体と、
を備える、試験機。
【請求項2】
第1の回転可能部材及び第2の回転可能部材を更に備え、前記エンドレス支持部材は、回転のために前記第1の回転可能部材及び前記第2の回転可能部材によって支持される、請求項1に記載の試験機。
【請求項3】
前記第1のローラと前記第2のローラとの間に配置される固定支持体を更に備え、前記固定支持体は、前記エンドレス支持部材を下から支持する、請求項1又は2に記載の試験機。
【請求項4】
前記固定支持体と該固定支持体に面する前記エンドレス支持部材の面との間に配置されるベアリングを更に備え、前記ベアリングは、好ましくは、複数の支持ローラ、又は前記エンドレス支持部材と前記固定支持体との間に配置される流体のうちの一方を備え、前記固定支持体は、加圧流体源に流体的に結合される複数の出口であって、前記流体を放出するように構成される複数の出口を備え、前記流体は、好ましくは、液体又は気体を含み、前記加圧流体源はポンプを含む、請求項3に記載の試験機。
【請求項5】
前記第1の回転可能部材に結合されて該第1の回転可能部材を駆動する駆動装置を更に備え、更なる実施形態において、前記第1のローラに動作可能に結合されて該第1のローラを駆動する第2の駆動装置を更に備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の試験機。
【請求項6】
前記エンドレス支持部材の速度が前記エンドレスベルトの速度に合致するように、前記駆動装置に動作可能に結合される制御装置を更に備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の試験機。
【請求項7】
前記エンドレス支持部材は、複数の相互接続要素を備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の試験機。
【請求項8】
前記相互接続要素は、相互接続プレートを含む、請求項7に記載の試験機。
【請求項9】
前記相互接続要素は、相互接続プレートを含み、各プレートは、前記エンドレスベルトの移動方向を横断する方向に拡がる、請求項8に記載の試験機。
【請求項10】
回転のために試験試料を支持する方法であって、
前記試験試料の下方で回転するエンドレスベルトを用いて前記試験試料を支持することと、
前記エンドレスベルトの前記試験試料に係合する側とは反対側においてエンドレス支持部材を用いて前記エンドレスベルトを支持することであって、前記試験試料の下方の前記エンドレス支持部材の速度は、前記試験試料の下方の前記エンドレスベルトの速度に合致している、前記エンドレスベルトを支持することと、
を含む、方法。
【請求項11】
前記エンドレス支持部材を用いて前記エンドレスベルトを支持することは、前記試験試料の下方の前記エンドレス支持部材の速度が前記試験試料の下方の前記エンドレスベルトの速度に合致するように、前記エンドレス支持部材を駆動することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記エンドレス支持部材は、複数の相互接続要素を備えている、請求項10又は11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
背景
下記の論考は、概略的な背景情報のために提供されるにすぎず、請求される主題の範囲を決定する際の補助として使用されることを意図していない。
【0002】
車道面を模擬したエンドレスベルトを有する試験機が既知であり、様々なタイヤ及びホイール組立体を試験するために使用されている。試験機は、試験試料をエンドレスベルト上で支持するフレームを備える。エンドレスベルトは、一対のドラム又はローラ上で支持され、その周りに回転する。典型的には、一対のドラム又はローラのうちの一方が駆動される。ベルトが可撓性であるため、ベルトを平坦に維持するために、ドラムの間でエンドレスベルトの下に位置決めされる中央支持体が、試験試料の反対側にあり、反作用構造体を提供する。一般に、中央支持体の上面は、流体力学的原理を使用して、試験試料からベルトにかかる負荷に反作用する潤滑油を含む。試験機は、高速道路の速度でタイヤ及びホイール及び組立体を試験するのに好適ではあるが、全ての試験試料に対しては適していない。
【発明の概要】
【0003】
概要
本明細書におけるこの概要及び要約は、詳細な説明において下記に更に説明される選り抜きの概念を、簡略化された形態で紹介するために提供される。この概要及び要約は、請求される主題の重要となる特徴又は不可欠な特徴を識別することを意図せず、請求される主題の範囲を決定する際の補助として使用されることも意図していない。請求される主題は、背景技術に記載される任意又は全ての欠点を解決する実装に限定されるものではない。
【0004】
第1の開示される態様は、回転する試験試料を試験する試験機である。試験機は、フレームと車道組立体とを備える。車道組立体は、それぞれフレームに接合される第1のローラ及び第2のローラを備える。エンドレスベルトは、試験試料に係合する面を提供し、第1のローラ及び第2のローラによって支持され、第1のローラ及び第2のローラ上で転動する。フレームによって支持されるエンドレス支持部材は、第1のローラと第2のローラとの間に配置され、エンドレスベルトに下から係合する。エンドレス支持部材は、エンドレスベルトと同じ速度になるように一緒に動くか又は同期される。エンドレス支持部材は、エンドレスベルト上に配置された試験試料からの負荷に対する平坦反作用構造体を提供し、エンドレスベルトに対する試験試料の接地面が必要とするサイズに対応するサイズである。エンドレス支持部材がエンドレスベルトと同じ速度で動くため、エンドレス支持部材とエンドレスベルトとの間に力は発生しない。
【0005】
試験機は、以下の特徴のうちの1つ以上を備えることができる。エンドレス支持部材は、回転のためにエンドレス支持部材を支持するために、第1の回転可能部材及び第2の回転可能部材を備えることができる。典型的には、第1の駆動装置が、少なくとも第1の回転可能部材に結合され、第1の回転可能部材を駆動する。概して、試験機は、第1のローラに動作可能に結合され、第1のローラ、ひいてはエンドレスベルトを駆動する第2の駆動装置を備える。エンドレス支持部材の速度がエンドレスベルトの速度に合致するように、制御装置が第1の駆動装置に動作可能に結合される。適切な速度センサが、エンドレスベルト及びエンドレス支持部材の速度に対応する入力信号を提供する。
【0006】
固定支持体を、第1のローラと第2のローラとの間に配置することができる。固定支持体は、必要に応じてエンドレス支持部材を下から支持する。摩擦を低減するために、ベアリングを、固定支持体と固定支持体に面するエンドレス支持部材の面との間に配置することができる。ベアリングは、エンドレス支持部材の移動方向に対して横断して延在するローラ等、複数の回転可能支持要素を備えることができる。ベアリングは、エンドレス支持部材と固定支持体との間に配置される流体を備えることもできる。固定支持体は、加圧流体源に流体的に結合され、流体をエンドレス支持部材に放出するための複数の出口を備えることができる。流体は液体又は気体を含むことができる。加圧気体源はポンプを含むことができる。
【0007】
エンドレス支持部材は、複数の相互接続要素を備えることができる。1つの実施の形態において、相互接続要素は、相互接続プレートを含むことができる。相互接続要素は、相互接続プレートを含むことができ、各プレートは、エンドレスベルトの移動方向に対して横断する方向において延在する。
【0008】
別の包括的な態様は、回転のために試験試料を支持する方法を含む。また、本方法は、試験試料の下で回転するエンドレスベルトを用いて試験試料を支持することと、エンドレスベルトの試験試料に係合する側とは反対側においてエンドレス支持部材を用いてエンドレスベルトを支持することであって、試験試料の下のエンドレス支持部材の速度は、試験試料の下のエンドレスベルトの速度に合致することとを含む。エンドレス支持部材について上述した上記の特徴は、回転中の試験試料を支持するために組み込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【0010】
【0011】
【発明を実施するための形態】
【0012】
図示される実施態様の詳細な説明
図1から
図3は、車両上の従来のタイヤ及びホイール組立体よりも遅い速度で動く及び/又は車両の従来のタイヤよりも大きい路面の接地面を有する試料を試験するのに適した試験機10を示す。試験機10は、フレーム11と、フレーム11によって支持される可動車道組立体13とを備える。
【0013】
車道組立体13は、回転のためにエンドレスベルト12をローラ14、16上で支持する第1のローラ14及び第2のローラ16を備える。概して、エンドレスベルト12は、鋼から作製されるが、行われる試験に適した任意の材料から作製することができる。同様に、エンドレスベルト12は、平滑とすることができ、又は試験対象の試験試料用に構成される面を有することができる。概して、ローラ14、16のうちの少なくとも一方は、適切な駆動装置15によって駆動される。駆動装置15は、電気的に又は作動液等によって動力供給を受けることができる。エンドレスベルト12の設置を可能にするため等、アクチュエータ17を設けてローラ14、16の回転可能軸の間の距離を変更することができる。
【0014】
本明細書に記載の試験機10は、典型的なタイヤ及びホイール組立体よりも大きい接地面を有する及び/又は従来のタイヤ及びホイール組立体よりも遅い速度でエンドレスベルト12上において回転する試験試料を試験するのに好適である。例として、
図1は、試験試料を備えるトラクタ、スキッドステアローダ、タンク等の車両上で使用されるトラック組立体20を概略的に示す。トラック組立体20は、トラック組立体20をエンドレスベルト12上の適所に保持するために、フレーム11の支持構造体22に取り付けられる。概して、支持構造体22は、様々なアクチュエータを備え、アクチュエータのうちの1つが24で示されており、例として、トラック組立体20に下向きの力を提供する。支持構造体22は、試験中の試験試料に応じて数多くの形態をとることができ、試験機10には関係ないため更に記載することはしない。
【0015】
試験試料24は、エンドレスベルト12がエンドレス支持部材26によって回転するときに、エンドレスベルト12上に支持される。エンドレス支持部材は、フレーム11によって支持され、第1のローラ14と第2のローラ16との間に配置される。エンドレス支持部材26は、エンドレスベルト12に下から係合し、エンドレスベルト12を平坦面として構成するように、少なくとも試験試料24に係合するエンドレスベルト12の部分についてエンドレスベルト12とともに動く。エンドレス支持部材26は、試験試料24の大きい接地面によって呈される力に反作用するために、エンドレスベルト12に対して支持を提供する。また、エンドレス支持部材26は、背景技術において記載したように、潤滑膜及び流体力学的原理を使用して、潤滑流体を介してエンドレスベルトの支持を生み出す従来のフラットベルトテスタの直線速度よりも遅いエンドレスベルト12の直線速度でそのような支持を提供する。トラック組立体20等の試験試料を試験するために必要なより低速では、潤滑膜及び流体力学的原理は、必要な支持を提供しない。
【0016】
典型的には、エンドレス支持部材26は、支持プレート等の剛性相互接続要素30を備える。相互接続要素30は、例えば、旋回可能リンクによってともに接続することもできるし、又は、要素30は、ベルト又はチェーン等の要素支持部材31に固定することができる。第1の回転可能部材32及び第2の回転可能部材34が、エンドレス支持部材26の連続的な回転を可能にするために設けられる。第1の回転可能部材32及び第2の回転可能部材34は、エンドレス支持部材26に係合し、駆動装置33によってエンドレス支持部材26を駆動するように構成される。第1の回転可能部材32及び第2の回転可能部材34は、要素30を相互接続するために使用される要素支持部材31の構造に左右され得る。例えば、第1の回転可能部材32及び第2の回転可能部材34は、要素支持部材31がエンドレスベルトを含む場合、要素支持部材31に摩擦係合して駆動するために、実質的に円筒形の面をそれぞれ有するドラムを含むことができる。同様に、第1の回転可能部材32及び第2の回転可能部材34は、例えば、要素支持部材31がチェーンを含む場合、要素支持部材31における開口に係合する歯を有する歯車を含むことができる。
図2及び
図3においては、第1の回転可能部材32及び第2の回転可能部材34に対するエンドレス支持部材26の傾斜部分は削除されている。
【0017】
固定支持体38が、典型的には、第1の回転可能部材32と第2の回転可能部材34との間に配置され、試験試料24の下にあるエンドレスベルト12及びエンドレス支持部材26の部分を通じて試験試料24によって発生する負荷に反作用する。概して、ベアリング40が、固定支持体38の上面42と、回転時のエンドレス支持部材26の下面44との間に配置される。ベアリング40は、数多くの形態をとることができる。例えば、
図1において、ベアリング40は、エンドレス支持部材26に下から接触するローラ等の回転可能要素46を備え、回転可能要素46は、固定支持体38又はフレーム11によって回転のために支持される。回転可能要素46は、例えば、幅と、試験試料の下にあるエンドレス支持部材26の直線運動に対して横断する長手方向軸とを有するローラを含むことができる。回転可能要素46は、エンドレス支持部材26の全幅又はその一部のみにわたって延在することができる。
【0018】
図2に示す実施形態において、ベアリング40は、試験試料の下にあるエンドレス支持部材26の部分に接触して、この部分を上向きに駆動するために、固定支持体38から放出される加圧流体によって形成される。固定支持体38は、流体が放出される開口又は出口48を備えることができる。適切な流体導管50は、典型的にはポンプである加圧流体源52から開口48のそれぞれに設けられる。流体は、所望に応じて空気等の気体又は液体を含むことができ、ポンプ52は、流体が気体であるか又は液体であるかに応じて流体を加圧するように構成される。
【0019】
エンドレス支持部材26は、試験試料24の下のエンドレスベルト12の速度と同期するように駆動される。このようにして、試験試料の支持が、試験試料が動いている速度で所望の接地面にわたって提供される。しかしながら、エンドレス支持部材26がエンドレスベルト12と同じ直線速度でエンドレスベルト12とともに動くため、エンドレスベルトとエンドレス支持部材との間の摩擦が、実質的に最小限になるか又は皆無になる。それゆえ、エンドレス支持部材26は、試験試料24に望ましくない力を発生させることなく、支持を提供する。エンドレス支持部材26は、適切な電気又は流体駆動装置によって駆動することができる。速度センサが、エンドレスベルト12及び/又はエンドレス支持部材26の速度を、光学的に等、直接、又は第1のローラ14及び第2のローラ16及び/又は第1の回転可能部材30及び第2の回転可能部材32の回転を介して間接的に監視する。制御装置54は、エンドレスベルト12及びエンドレス支持部材26の速度を示す入力を、速度センサを介して受信し、エンドレスベルト12の速度に合致するようにエンドレス支持部材26の駆動装置を制御する。
【0020】
具体的な環境、構造的特徴及び/又は方法論的行為に関する言葉で主題を説明してきたが、添付の請求項に定義される主題は、法廷によって判断されているように、上述の環境、具体的な特徴又は行為に限定されないことを理解されたい。むしろ、上述の環境、具体的な特徴及び行為は、請求項を実装する例示的な形態として開示される。
【外国語明細書】