(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161579
(43)【公開日】2023-11-07
(54)【発明の名称】給紙装置
(51)【国際特許分類】
B65H 3/48 20060101AFI20231030BHJP
【FI】
B65H3/48 320A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070927
(22)【出願日】2023-04-24
(31)【優先権主張番号】P 2022071645
(32)【優先日】2022-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000208743
【氏名又は名称】キヤノンファインテックニスカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097043
【弁理士】
【氏名又は名称】浅川 哲
(74)【代理人】
【識別番号】100197996
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 武彦
(72)【発明者】
【氏名】西沢 聖児
(72)【発明者】
【氏名】畑川 和義
【テーマコード(参考)】
3F343
【Fターム(参考)】
3F343FA02
3F343FB01
3F343FC01
3F343GA01
3F343GB01
3F343GC01
3F343GD01
3F343HA17
3F343JD28
3F343KB03
3F343LA14
3F343LB08
3F343LC02
3F343LD10
3F343MA33
3F343MB12
3F343MC13
3F343MC17
(57)【要約】
【課題】 送出ローラがシートに当接した状態でエアーを吹き付ける第1のシート捌きモードと、送出ローラがシートから離間した状態でエアーを吹き付ける第2のシート捌きモードとを有し、給紙するシートの紙質や坪量等の属性に応じて前記第1及び第2のシート捌きモードを切り換えることで、給紙の安定性及びシート捌きの効率性の双方の向上効果を得ることのできる給紙装置を提供することである。
【解決手段】 送出ローラが給紙位置に移動した状態で、積載トレイ上に積載されたシートにエアーを吹き付ける第1のシート捌きモード及び送出ローラが離間位置に移動した状態で、積載トレイ上に積載されたシートにエアーを吹き付ける第2のシート捌きモードのいずれかを選択するモード選択手段と、を備え、前記送出ローラがシートを送り出す前に、前記モード選択手段によって選択されたシート捌きモードを実行する。
【選択図】
図5B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを積載する積載トレイと、
該積載トレイに積載されたシートを順次送り出す送出ローラと、
該送出ローラを、前記積載トレイに積載された最上位のシートの上面に当接させる給紙位置と前記シートの上面から離間させる離間位置との間で移動させる移動手段と、
前記積載トレイ上に積載されたシートの側面にエアーを吹き付ける送風手段と、
前記移動手段によって前記送出ローラが前記給紙位置に移動した状態で、前記送風手段によって前記積載トレイ上に積載されたシートにエアーを吹き付ける第1のシート捌きモード及び前記移動手段によって前記送出ローラが前記離間位置に移動した状態で、前記送風手段によって前記積載トレイ上に積載されたシートにエアーを吹き付ける第2のシート捌きモードのいずれかを選択するモード選択手段と、を備え、
前記送出ローラがシートを送り出す前に、前記モード選択手段によって選択されたシート捌きモードを実行する給紙装置。
【請求項2】
前記モード選択手段は、前記積載トレイに積載されるシートの属性に応じて、前記第1のシート捌きモード及び第2のシート捌きモードのいずれか一方を選択する請求項1に記載の給紙装置。
【請求項3】
前記シートの属性は、紙質、坪量によって規定される請求項2に記載の給紙装置。
【請求項4】
シートを積載する積載トレイと、
該積載トレイに積載されたシートを順次送り出す送出ローラと、
該送出ローラを、前記積載トレイに積載された最上位のシートの上面に当接させる給紙位置と前記シートの上面から離間させる離間位置との間で移動させる移動手段と、
前記積載トレイ上に積載されたシートの側面にエアーを吹き付ける送風手段と、
前記移動手段によって前記送出ローラが前記給紙位置に移動した状態で、前記送風手段によって前記積載トレイ上に積載されたシートにエアーを吹き付ける第1のシート捌きモード及び前記移動手段によって前記送出ローラが前記離間位置に移動した状態で、前記送風手段によって前記積載トレイ上に積載されたシートにエアーを吹き付ける第2のシート捌きモードのいずれかを選択するモード選択手段と、を備え、
前記送出ローラによる先行のシートの送り出し動作が終了した後から後続のシートの送り出し動作を開始するまでの間、前記モード選択手段によって選択されたシート捌きモードを実行する給紙装置。
【請求項5】
前記モード選択手段は、前記送出ローラによって送り出されるシートの設定枚数に基づいて前記第1のシート捌きモード及び第2のシート捌きモードのいずれか一方を選択する請求項4に記載の給紙装置。
【請求項6】
前記モード選択手段は、前記送出ローラによって送り出される設定枚数までのシートに対して前記第1のシート捌きモードを選択し、
前記設定枚数を越えたシートに対して前記第2のシート捌きモードを選択する請求項5に記載の給紙装置。
【請求項7】
前記送風手段は、前記送出ローラによって送り出されるシートが所定枚数を越えることで風速を低速から高速に切り換える送風ファンを備えている請求項4に記載の給紙装置。
【請求項8】
前記モード選択手段は、前記積載トレイに積載されるシートの属性に応じて、前記第1のシート捌きモード及び第2のシート捌きモードのいずれか一方を選択する請求項4に記載の給紙装置。
【請求項9】
前記シートの属性は、紙質、坪量によって規定される請求項8に記載の給紙装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートの紙質や坪量等の属性に応じて選択可能なシート捌きモードを備えた給紙装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタや複写機等の画像形成装置には、多数のシートが積載可能な積載トレイを有し、積載トレイから連続して給紙することができる給紙装置が備えられている。このような給紙装置は、積載トレイ上に積載されている複数枚のシートの最上位のシートの上面に当接して繰り出す繰出手段(送出ローラ)と、送出ローラから繰り出されたシートを1枚に分離して給紙する分離手段(分離ローラ)と、分離ローラから画像形成装置に向けてシートを搬送する搬送手段(搬送ローラ)とが備わっている。
【0003】
上記給紙装置においては、積載トレイに積載されているシートの紙質や坪量等の属性や積載枚数によっては、分離ローラを介しても分離が不十分な場合があった。これを改善するため、積載トレイに積載されているシートにエアーを吹き付けることによって、積載トレイ上のシートを捌き、シートの分離を容易にする機能を給紙装置に備えたものが知られている。このようなエアーによってシート捌きを行う給紙装置にあっては、エアーを吹き付ける際に、シートの属性や積載枚数によって、シートが浮遊したり、位置ずれが生じたりするなどして給紙不良が生じる場合があった。これに対して、エアーを吹き付ける際に、シートの繰り出しを行う送出ローラによってシートを押えることで、シートの浮遊や位置ずれを防止することは可能であるが、シートの属性や状態、あるいはエアーの吹き付け時間等によっては十分なシート捌き効果を得ることができない場合があった。
【0004】
特許文献1には、エアーによるシート捌き時には送出ローラをシートから離間させ、給紙開始の直前にエアーを停止又は風速を低減させた状態で送出ローラをシートに当接させるといったシートの捌き手段を備えた給紙装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の給紙装置によれば、積載トレイに積載されている全てのシートに対して、エアーによるシート捌き時には送出ローラをシートから離間させ、給紙開始の直前にエアーを停止又は風速を低減させた状態で送出ローラをシートに当接させるといった制御を繰り返すだけであるので、薄紙や厚紙等のシートの属性や積載枚数が異なるとシート捌きに差が生じる。また、給紙中はエアー捌きが停止しているため、シートの搬送は安定するが、エアー捌きが不十分となり重送等の発生確率が高まるおそれがある。
【0007】
そこで本発明は、送出ローラがシートに当接した状態でエアーを吹き付ける第1のシート捌きモードと、送出ローラがシートから離間した状態でエアーを吹き付ける第2のシート捌きモードとを有し、給紙するシートの紙質や坪量等の属性に応じて前記第1及び第2のシート捌きモードを切り換えることで、給紙の安定性及びシート捌きの効率性の双方の向上効果を得ることのできる給紙装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1に記載の給紙装置は、
シートを積載する積載トレイと、
該積載トレイに積載されたシートを順次送り出す送出ローラと、
該送出ローラを、前記積載トレイに積載された最上位のシートの上面に当接させる給紙位置と前記シートの上面から離間させる離間位置との間で移動させる移動手段と、
前記積載トレイ上に積載されたシートの側面にエアーを吹き付ける送風手段と、
前記移動手段によって前記送出ローラが前記給紙位置に移動した状態で、前記送風手段によって前記積載トレイ上に積載されたシートにエアーを吹き付ける第1のシート捌きモード及び前記移動手段によって前記送出ローラが前記離間位置に移動した状態で、前記送風手段によって前記積載トレイ上に積載されたシートにエアーを吹き付ける第2のシート捌きモードのいずれかを選択するモード選択手段と、を備え、
前記送出ローラがシートを送り出す前に、前記モード選択手段によって選択されたシート捌きモードを実行する。
【0009】
本発明の請求項4に記載の給紙装置は、
シートを積載する積載トレイと、
該積載トレイに積載されたシートを順次送り出す送出ローラと、
該送出ローラを、前記積載トレイに積載された最上位のシートの上面に当接させる給紙位置と前記シートの上面から離間させる離間位置との間で移動させる移動手段と、
前記積載トレイ上に積載されたシートの側面にエアーを吹き付ける送風手段と、
前記移動手段によって前記送出ローラが前記給紙位置に移動した状態で、前記送風手段によって前記積載トレイ上に積載されたシートにエアーを吹き付ける第1のシート捌きモード及び前記移動手段によって前記送出ローラが前記離間位置に移動した状態で、前記送風手段によって前記積載トレイ上に積載されたシートにエアーを吹き付ける第2のシート捌きモードのいずれかを選択するモード選択手段と、を備え、
前記送出ローラによる先行のシートの送り出し動作が終了した後から後続のシートの送り出し動作を開始するまでの間、前記モード選択手段によって選択されたシート捌きモードを実行する。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の給紙装置によれば、送出ローラがシートを送り出す前に、モード選択手段によって選択された第1及び第2のシート捌きモードのいずれかを実行するので、シートの属性に応じた最適な給紙及びシート捌きを行うことができる。
【0011】
請求項4に記載の給紙装置によれば、送出ローラによる先行のシートの送り出し動作が終了した後から後続のシートの送り出し動作を開始するまでの間、前記モード選択手段によって選択された第1及び第2のシート捌きモードのいずれかを実行するので、連続して給紙されるシートごとに最適なシート捌きを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係る給紙装置を備えた画像形成システムの全体構成図である。
【
図2】給紙装置の内部構成を示す概略断面図である。
【
図3】給紙装置の分離給紙機構を示す断面図である。
【
図4】給紙装置を中心とした制御構成を示すブロック図である。
【
図5A】給紙装置における給紙及びシート捌き動作を示すフローチャートである。
【
図5B】給紙装置における給紙及びシート捌き動作を示すフローチャートである。
【
図6】通常シートに好適な給紙及びシート捌き動作を示すタイミングチャートである。
【
図7】特定シートに好適な給紙及びシート捌き動作を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照しつつ本発明の実施の形態を詳細に説明する。最初に、
図1を参照して、本発明の給紙装置5を含む画像形成システム1の概要について説明する。画像形成システム1は、原稿読取部3及び原稿給送部4を有する画像形成装置2と、この画像形成装置2に接続される給紙装置5とから構成されている。画像形成装置2は、原稿読取部3によって原稿画像から読み取られた画像データに基づいて、給紙カセット7又は給紙装置5の何れか一つから供給されたシート上に画像形成を行い、画像形成されたシートを集積部6に集積する。原稿読取部3には、原稿給送部4によって原稿シートを給送することもできる。ここで、画像形成システム1において扱われるシートには、普通紙の他、OHPシート、トレーシングペーパ、コート紙などを含むものとする。また、シートのサイズについても特に限定するものではなく、複数種類のサイズに対応していてよい。
【0014】
画像形成装置2は、帯電器12、投光器(レーザヘッド)8、感光ドラム9、現像器10、転写チャージャ11、定着ローラ13aを備えている。帯電器12で帯電された感光ドラム9の表面に投光器8で静電潜像(静止画像)が形成され、現像器10によって静電潜像にトナーが付着させられる。そして、感光ドラム9上に付着されたトナーが給紙カセット7又は給紙装置5から供給されたシートに転写チャージャ11によって転写される。トナーが転写されたシートは、下流側に配置される定着ローラ13aに送られて、シート上のトナーを加熱定着させた後、排紙ローラ対13bによって集積部6へ排出される。
【0015】
給紙カセット7には、収納されているシートの最上位面に当接してシートを送り出す送出ローラ14と、送り出されたシートを一枚ずつに分離して給送する分離ローラ対15とが設けられている。シートは、給紙カセット7から送出ローラ14によって送り出されて分離ローラ対15によって一枚ずつに分離される。分離されたシートは、駆動ローラ及び従動ローラからなる搬送ローラ対16によって、給紙装置5に面する側部に沿って延びるカセット搬送路17を通って搬送される。そして、シートは、給紙装置5の搬出口18に連通する搬入路19に合流した後、搬送路20に沿って転写チャージャ11へと送られる。
【0016】
原稿読取部3の上部には、透明なガラスで形成された第1のプラテン30と第2のプラテン31とが水平方向に並設されている。第1のプラテン30は、手置きでセットされる原稿の読み取りに用いられ、対応可能な最大サイズの原稿が載置できるようなサイズに形成されている。また、第2のプラテン31は、原稿給送部4から給送され所定速度で移動する原稿の読み取りに用いられる。
【0017】
原稿読取部3の内部には、第1の読取キャリッジ32及び第2の読取キャリッジ33と、集光レンズ34及び光電変換素子35を有する光電変換手段が設けられている。第1の読取キャリッジ32及び第2の読取キャリッジ33は、キャリッジモータ(図示せず)によって駆動されて、第1のプラテン30の下方において副走査方向に往復移動する。第1の読取キャリッジ32には、光を原稿へ向けて照射するランプと、原稿から反射された光を反射するミラーとが設けられている。また、第2の読取キャリッジ33には、第1の読取キャリッジ32のミラーからの光を集光レンズ34及び光電変換素子35に案内する二つのミラーが設けられている。第1のプラテン30上の原稿の読み取りを行う際には、第1の読取キャリッジ32及び第2の読取キャリッジ33を移動させながら、第1の読取キャリッジ32から第1のプラテン30上に載置された原稿の画像へ光を照射させる。そして、原稿からの反射光を第1の読取キャリッジ32及び第2の読取キャリッジ33を介して光電変換素子35に案内する。光電変換素子35は、受け付けた光を電気信号に変換することによって、原稿から画像データを生成させる。このようにして生成された画像データは画像形成装置2の投光器8に画像信号として送信される。
【0018】
原稿給送部4は、固定式の積載トレイ36と、シート搬送機構37と、排出トレイ38とを備え、前記積載トレイ36上に載置された原稿をシート搬送機構37によって一枚ずつ搬送して、第2のプラテン31上を通過させながら排出トレイ38に排出する。
【0019】
図2及び
図3は給紙装置5の内部構造を示したものである。収納庫51は、
図1に示されるように、スライドレール54を介して引き出し可能となるように、筐体50に支持されている。分離給紙手段52は、給紙モータMOT1によって駆動される送出ローラ55、給紙ローラ56、分離ローラ57を備えており、最初に送出ローラ55によって、可動式の積載トレイ53に積載されている最上位のシートをピックアップし、このピックアップされたシートを給紙ローラ56及び分離ローラ57の回転によって1枚ずつ分離された状態で画像形成装置2へ向けて給紙する。
【0020】
収納庫51内には、昇降自在な積載トレイ53が設けられている。この積載トレイ53は、平面状のプレートによって形成され、このプレート上にシートPを複数枚束ねた状態で積載できるようになっている。また、収納庫51の上部には、積載トレイ53上に積載されたシートPの最上位面の位置を検出する上面センサSE3が設けられている。積載トレイ53は、昇降機構70に備わる昇降モータMOT2によって、前記上面センサSE3にシートが接するような位置に昇降駆動される。
【0021】
前記給紙装置5内にはシートの奥行き方向の位置を規制するためのサイド規制板60が設けられている。これらはシートの奥行き方向のサイズに合わせて給紙装置5内でシート幅方向に移動可能な構成になっている。また、シートの長さ方向(シート搬送方向)の位置を規制するための後端規制板61が設けられている。これはシートの長さ方向のサイズに合わせて給紙装置5内でシート長さ方向に移動可能な構成になっている。
【0022】
前記サイド規制板60には、シート搬送方向の下流側に配置される第1送風部62と、シート搬送方向の上流側に配置される第2送風部63とからなる送風手段(送風ユニット)80が設けられている。第1送風部62は、吸入口64と吹出口65aとを有する送風路(ダクト)66と、このダクト66内に配置される送風ファンF及びヒータHEとを備え、前記吹出口65aが積載トレイ53に積載されている最上位のシートPの搬送方向の下流側に向けられている。第2送風部63は、第1送風部62のヒータHEを除いた構成となっており、シートPの搬送方向の上流側に吹出口65bが配置されている。前記送風ファンFは、それぞれ独立に回転制御される。本実施形態では、分離給紙手段52によるシートの分離給紙をより確実に行うため、送出ローラ55の近傍に開口する吹出口65aを有する第1送風部62にヒータHEを設けている。このように、少なくとも分離給紙手段52側に近い方にヒータHEを備えた送風部が一つあればよく、さらにシート搬送方向の上流側に少なくとも送風ファンFを備えた送風部があればA3以上の長尺シートに対するシート捌きが容易となる。
【0023】
また、前記吹出口65a,65bにはエアーの向きが可変可能なルーバ(図示せず)を設けることができる。このようなルーバを設けることによって、シートに吹き付けるエアーが上下するので、シートの捌き効果をさらに高めることができる。
【0024】
図4は
図2に示した給紙装置5を中心とした制御構成を示したものである。シートの検出及び搬送を制御するための制御部CONには、第1シートセンサSE1、第2シートセンサSE2、上面センサSE3、下限センサSE4、温度センサ(サーミスタ)THからなる検出部Sと、給紙モータMOT1、昇降モータMOT2、搬送モータMOT3、ソレノイドSOL、送風ファンF、ヒータHEからなる動作部Mとが接続されている。制御部CONは、前記検出部Sによって検出された信号に基づいて、動作部Mを制御して給紙装置5の各種の動作を実行する。また、制御部CONには、積載トレイ53からの給紙枚数をカウントするシートカウンタや後述する第1及び第2のシート捌きモードを選択するためのシートの属性やシートの設定枚数等を記憶及び読み出すためのROM/RAMを備えている。
【0025】
給紙動作を開始する際には、先ずシートの紙質、紙厚(坪量)等のシートの属性に関するシート情報を取得する。これらのシート情報は、1ジョブ単位での給紙を開始する前に操作パネルPAを介して入力される。また、シートの属性が変更された際には、その都度、操作パネルPAを操作して新たなシート情報を入力する。
【0026】
分離給紙手段52は、積載トレイ53上に積載された最上位のシートの上面に当接させてシートを順次送り出す送出ローラ55と、送り出されたシートを一枚ずつ分離して画像形成装置2へ搬送する分離手段とを備えている。分離給紙手段52は、給紙ローラ56と、該給紙ローラ56に圧接して2枚目以降のシートの供給を阻止する分離ローラ57とによって構成される。前記分離給紙手段52の下流側には、シートを画像形成装置2の搬送路19内に送り出すための搬送ローラ対58が設けられている。
【0027】
また、分離給紙手段52には、送出ローラ55をシートの上面に当接する給紙位置Pa(
図3(a)参照)と、シートの上面から離れた位置に離間させる離間位置Pc(
図3(b)参照)との間で移動可能な移動手段を備えている。この移動手段は、例えば、給紙ローラ56の回転軸56aと送出ローラ55の回転軸55aとを連結するブラケット59と、このブラケット59を揺動可能に保持するソレノイドSOLとによって構成することができる。前記給紙ローラ56の回転軸56aを支点として前記ブラケット59をソレノイドSOLのON/OFFによって上下方向に揺動させることによって、前記送出ローラ55を前記給紙位置Paと離間位置Pcとの間を移動させることができる。前記ソレノイドSOLがOFFの状態では、
図3(a)に示したように、積載トレイ53上に積載されている最上位のシートPの上面に当接するように付勢されており、ソレノイドSOLがONとなることで、
図3(b)に示したように、前記シートPの上面から離間する。
【0028】
前記送出ローラ55は、給紙モータMOT1によって回転駆動され、積載トレイ53から最上位のシートPを送り出す。給紙ローラ56は、同様に給紙モータMOT1によって、図示されていない複数のギアやタイミングベルトを介して駆動されて回転し、送出ローラ55によって積載トレイ53上から送り出されたシートを給紙方向に送り出す。搬送ローラ対58は、搬送モータMOT3によって回転駆動され、給紙ローラ56から送り出されたシートを画像形成装置2へ供給する。
【0029】
分離ローラ57は、その回転軸にトルクリミッタ(図示せず)が取り付けられている。これにより、給紙ローラ56と分離ローラ57との圧接部でシートが2枚以上重なってニップされたとき、分離ローラ57が停止して上から2枚目以降のシートの供給を阻止するようになっている。例えば複数のシートが重なって給紙ローラ56と分離ローラ57との圧接部に進入すると、給紙ローラ56の駆動力が最上位のシートに伝達される一方、分離ローラ57の回転が停止されるので、最上位のシートとそれより下のシートとの間で滑りが生じ、最上位のシートだけがそれより下のシートから分離して送り出される。なお、分離ローラ57に代えて分離パッドなど他の部材を用いてもよい。
【0030】
給紙装置5は、積載トレイ53及びシートの昇降方向の位置を検出するために、下限センサSE4と上面センサSE3とを備える。
図2に示したように、下限センサSE4は、積載トレイ53の昇降範囲における下限位置Pbに配置されている。上面センサSE3は、積載トレイ53上の最上位のシートが、分離給紙手段52によって画像形成装置2に向けて給送可能な高さ位置即ち給紙位置Paに到達したことを検出する。
【0031】
また、給紙装置5は、給紙ローラ56のシート出口付近即ち給紙方向の直ぐ下流側に配置された第1シートセンサSE1を有する。第1シートセンサSE1は、後述するように、給紙ローラ56から搬送ローラ対58へ送り出されるシートの後端を検出する。
【0032】
給紙装置5は、電源ONによる起動時又は筐体50から引き出された収納庫51が筐体50内に収容されたことを検知センサ(図示せず)によって検出すると、昇降モータMOT2を駆動して積載トレイ53を上昇させる。上面センサSE3によって積載トレイ53上の最上位のシートの上面が給紙位置Paに到達したことを検出すると、昇降モータMOT2を制御して積載トレイ53の上昇を停止させる。
【0033】
さらに、送出ローラ55を前記給紙位置Paに移動させて、積載トレイ53上の最上位のシートを繰り出し可能な状態にする。また、給紙装置5は、積載トレイ53から送出ローラ55によって所定枚数のシートが繰り出される毎に、積載トレイ53を上昇させて、最上位のシートの上面が給紙位置Paとなるように制御する。
【0034】
例えば、給紙装置5内の温度や湿度等の影響で積載トレイ53の上下シート間に摩擦係数の変化が生じたり、シート辺縁に残った裁断バリによって上下シートが密着している等の場合には、分離給紙手段52を用いても、最上位のシートに次のシートが重なり合って給送される重送が発生し得る。このような重送を防止するために、積載トレイ53に積載されているシートの側面にエアーを吹き付ける送風ユニット80を備えている。
【0035】
送風ユニット80は、
図2に示したように、画像形成装置2側の第1送風部62と、その上流側の第2送風部63とによって構成され、それぞれ送風ファンFを有し、第1送風部62には、送風ファンFの上流側にヒータHEが設けられている。
【0036】
送風ファンFは、回転速度の切り換えが可能であり、送り出す風速を変更することができる。ヒータHEは、任意の温度に設定可能であり、それにより第1送風部62は、所望の温度に加熱したエアーを送り出すことができる。例えば、給紙装置5を設置した雰囲気の湿度が高い場合、乾燥したエアーが送り出される。
【0037】
図3に示したように、前記第1及び第2の送風部62,63に設けられるそれぞれの吹出口65a,65bは、その上端が積載トレイ53に積載されているシート束の最上位のシートPよりも幾分上方に位置し、その下端が前記最上位のシートPよりも下側の複数シートを含むような寸法及び形状に形成されている。吹出口65aからは積載トレイ53上のシートの給紙方向の先端側(下流側側面)にエアーが吹き付けられ、吹出口65bからは積載トレイ53上のシートの前記給紙方向とは反対の後端側(上流側側面)にエアーが吹き付けられるように、給紙方向に対して所定の間隔離隔して配置されている。
【0038】
送風ユニット80は、後述する制御部CONによって認識されるシート情報に基づいて、送風ファンFを駆動し、吹出口65a,65bからエアーを所定の風速で送り出す。前記シート情報には、例えばシートのサイズ、坪量、種類、表面状態(表面粗さ等)、送りの向き等が含まれる。また、送風ユニット80は、給紙装置5の設置環境(温度、湿度等)に対応して、エアーの風速(送風ファンFの回転速度)及び/又はヒータHEのオンオフ並びに加熱温度を適宜設定、調整することができる。さらに、必要に応じて吹出方向変更機構(図示せず)を駆動し、吹出口65a,65bからのエアー吹出方向を上下方向に変更し又は上下に揺動させることもできる。
【0039】
上述したように、給紙装置5が起動され、又は引き出された収納庫51が筐体50内に戻されると、積載トレイ53は昇降モータMOT2によって、最上位のシートの上面が給紙位置Paに到達する位置まで上昇する。本実施形態では、このとき、送風ファンFを駆動し、かつ必要に応じてヒータHEを加熱して、吹出口65a,65bから上位シートの側面にエアーを吹き付ける。このように上位シートの先端側及び後端側で同時にエアーを吹き付けることにより、積載トレイ53の上位のシートを捌いてシート同士の密着状態を効果的に解消することができる。
【0040】
積載トレイ53の最上位のシートPの上面に送出ローラ55が当接した状態で、上面センサSE3がシートを検知すると、給紙モータMOT1が正転駆動する。これによって、最上位のシートが給紙方向に繰り出される。このようにして繰り出されたシートは、給紙ローラ56及び分離ローラ57からなる分離搬送手段によって1枚ずつ分離した状態で搬送される。
【0041】
本発明の給紙装置5は、
図2及び
図3に示したように、前記送出ローラ55を揺動させる移動手段(ソレノイドSOL)と、送風ユニット80に備わる吹出口65a,65bからのエアーの吹き出しによる送風手段とによって、積載トレイ53に積載されているシートを効率よく捌きながら安定した給紙制御を行うように構成されている。このような給紙制御を行う手段として、前記移動手段及び送風手段の組み合わせによる第1のシート捌きモード(第1の動作)と、第2のシート捌きモード(第2の動作)とを有している。第1のシート捌きモードは、前記移動手段によって前記送出ローラ55が給紙位置Paに移動した状態で、前記送風ユニット80によって積載トレイ53上に積載されているシートにエアーを吹き付けるモードである。第2のシート捌きモードは、前記移動手段によって前記送出ローラ55が離間位置Pcに移動した状態で、前記送風ユニット80によって前記積載トレイ53上に積載されているシートにエアーを吹き付けるモードである。前記第1のシート捌きモード及び第2のシート捌きモードは、制御部CONで選択され、送出ローラ55が正回転してシートを送り出す前に、いずれかのモードに切り換えられる。また、連続して給紙されるシートに対しては、前記送出ローラ55による先行のシートの送り出し動作が終了した後から後続のシートの送り出し動作を開始するまでの間にモードの切り換えが実行される。
【0042】
以下、
図5A及び5Bに示すフローチャートを用いて、給紙装置5の給紙及びシート捌き動作について説明する。使用するシートは、通常シートと特定シートとに分けられる。ここで、特定シートとは、普通紙よりも薄く、腰の弱いコート紙等を想定している。また、通常シートとは、特定シート以外のシートであり、例えばコピー紙として一般に使用されるシート等である。
【0043】
最初に、操作パネルPAを介して画像形成装置2から給紙指示を受信(ST01)すると、制御部CONは、給紙前に一定時間の間、シートにエアーを吹き付けて捌く、いわゆる給紙前エアー捌き動作を実行する。この給紙前エアー捌き動作では、積載トレイ53上のシートが特定シートであれば、ソレノイドSOLをOFFして送出ローラを給紙位置に移動し、送風ユニット80に備わる送風ファンFを第1の風速WS1となるように高速(60rps)で回転させる(ST02、ST04、ST05)。すなわち、ここでは上述した第1のシート捌きモードが実行される。一方、通常シートであれば、ソレノイドSOLをONして送出ローラを離間位置に移動し、送風ファンFを第1の風速WS1となるように高速(60rps)で回転させる(ST02、ST03、ST05)。すなわち、ここでは上述した第2のシート捌きモードが実行される。
【0044】
前捌き動作では、送風ユニット80に備わる送風ファンFを高速(60rps)で回転させ、積載トレイ53に積載されているシート束の上位の複数枚のシートの側面に向けてエアーを第1の風速WS1で吹き付ける。このとき、制御部CONは、積載トレイ53に積載されているシートが操作パネルPAからのシートの属性(紙質、紙厚(坪量))の情報から通常シートまたは特定シートのいずれかであるかを判別し、特定シートであれば、移動機構のソレノイドSOLをOFFし、送出ローラ55を給紙位置Paに移動させ、第1のシート捌きモード(第1の動作)を実行する(
図6のタイミングチャートを参照)。一方、通常シートであれば、移動機構のソレノイドSOLをONし、送出ローラ55を離間位置Pcに移動させ、第2のシート捌きモード(第2の動作)を実行する(
図7のタイミングチャートを参照)。
【0045】
その後、送風ファンFの回転開始から所定時間経過(ST06)し、給紙されるシートが通常シートである場合は、第1の風速WS1を維持したままの状態で給紙モータMOT1を正転駆動して給紙が開始される(ST07-ST08)。
【0046】
一方、ステップ(ST07)において、給紙されるシートが特定シートである場合、制御部CONは、送風ファンFの回転速度を高速(60rps)から低速(40rps)に切り換える(ST21)。これにより、積載トレイ53に積載されているシート束の上位の複数枚のシートの側面に向けて吹き付けられるエアーの風速が第1の風速WS1から第1の風速WS1よりも低い第2の風速WS2に変更される。そして、所定時間経過(ST22)した後、給紙モータMOT1を正転駆動して給紙が開始される(ST08)。なお、ステップ(ST22)における所定時間は、送風ファンFの回転数の減速を開始した直後から低速(40rps)に到達するまでに要する時間に基づいて設定される。
【0047】
そして、給紙モータMOT1の正転駆動は、第2シートセンサSE2によって送出ローラ55にて送り出され、給紙ローラ56にて給紙されるシートが検出され、さらに所定時間経過した後に停止する(ST09-ST11)。これによって、シートの先端が搬送ローラ対58による圧接部に突き当り、ループした状態でレジストされる。
【0048】
ステップ(ST08)にて給紙モータMOT1が停止した後、搬送モータMOT3が駆動することで、1枚目のシートが下流側に搬送される(ST12)。
【0049】
次に、後続シートが通常シートであれば、第2のシート捌き動作が実行される。つまり、ソレノイドSOLをONにして送出ローラ55をシートから離間した離間位置Pcに移動し、引き続き送風ファンFを高速(60rps)で回転させ、積載トレイ53に積載されたシートに第1の風速WS1でエアーを吹き付ける(ST13、ST14-1、ST14-2)。
【0050】
一方、ステップ(ST13)において、給紙されるシートが特定シートであれば、送出ローラ55によって送り出されるシートの枚数が予め設定された設定枚数以上か否かを判定する(ST23)。このとき、制御部CONは、前記送出ローラ55によって送り出されるシートの設定枚数に基づいて第1のシート捌きモード及び第2のシート捌きモードのいずれか一方を選択する。前記送出ローラ55によって送り出されるシートが前記設定枚数よりも少ない場合は、第1のシート捌きモードが選択され、設定枚数以上であれば、第2のシート捌きモードが選択される。
【0051】
第1のシート捌きモードは、ソレノイドSOLをOFFし、送出ローラ55がシートの上面に当接した状態で、引き続き送風ファンFを低速(40rps)で回転させ、積載トレイ53に積載されたシートに第2の風速WS2でエアーを吹き付ける(ST25-1、ST25-2)。第2のシート捌きモードは、ソレノイドSOLをONにして送出ローラ55がシートから離間した離間位置Pcに移動し、送風ファンFを高速(60rps)に切り換えて回転させ、積載トレイ53に積載されたシートに第1の風速WS1でエアーを吹き付ける(ST24-1、ST24-2)。
【0052】
給紙中のシートが搬送ローラ対58によって下流側に送られ、第2シートセンサSE2がOFFし、シートの後端が検出されると、ソレノイドSOLをOFFに切り換える(ST15-ST16)。これによって、送出ローラ55が給紙位置に移動し、積載トレイ53上のシートが給紙可能な状態となる。そして、シートのカウント値をアップ(ST17)し、1ジョブの最終シートか否かを判別する(ST18)。ここで、1ジョブの最終シートでなければ、ステップ(ST08)に戻り、1ジョブの最終シートに到達するまで給紙動作を継続する。1ジョブの最終シートと判別されると、送風ファンFを停止(ST16)し、シートカウンタ値をリセット(ST17)して給紙動作を終了する。
【0053】
図6及び
図7は、上述した給紙装置5の給紙及びエアーによるシートの捌き動作を実行した際の送風ファンF、ソレノイドSOL、給紙モータMOT1の駆動状態を示すタイミングチャートである。
図6及び
図7のタイミングチャートに基づいて、通常シート及び特定シートごとの給紙動作について説明する。
図6は第2のシート捌きモード(第2の動作)が実行される通常シートに対する給紙動作、
図7は第1のシート捌きモード(第1の動作)が実行される特定シートに対する給紙動作を示したものである。
図6及び
図7において、横軸tを時間軸とし、縦軸を(a)送風ファンFの回転数(rps)、(b)ソレノイドSOLのON/OFF、(c)給紙モータMOT1の駆動による送出ローラ55の駆動/停止の状態を示す。なお、ここでは一連の給紙単位(1ジョブ)に対するシート枚数を5枚とする。
【0054】
まず、
図6のタイミングチャートに基づき通常シートの場合の給紙動作について説明する。
(1)給紙装置5が給紙の指令を受けると、送風ファンFが高速(60rps)で回転し、第1の風速WS1でシートにエアーを吹き付ける。このとき、送出ローラ55が退避位置に維持される。
(2)その後に、所定時間が経過するまでシートに第1の風速WS1を吹き付けることで、通常シートに対する給紙前のシート捌き動作が行われる。
(3)続いて、1ジョブに対する給紙動作が開始される。風速は第1の風速WS1のままの状態で、給紙中は、送出ローラ55は給紙位置Paにあり、給紙が停止すると送出ローラ55は退避位置に移動する。これを1ジョブの最終シートとなる5枚目まで繰り返して実行する。
【0055】
このように、通常シートの場合は、坪量が高いので、送出ローラ55が離間位置Pcにある場合であっても、高速の第1の風速WS1を一定してシートに吹き付けることで、シート捌きを効率よく行うことができる。
【0056】
次に
図7のタイミングチャートに基づき特定シートの場合の給紙動作について説明する。特定シートの場合は、制御部CONによって、1ジョブの最初の設定枚数までは第1のシート捌きモードで給紙が実行され、前記設定枚数を超えるシート以降は第2のシート捌きモードで給紙が実行される。本実施形態では、1ジョブの総枚数を5枚とし、設定枚数を2枚としている。
(1)給紙装置5が給紙の指令を受けると、送風ファンFは第1の風速WS1でエアーを吹き付けるように高速(60rps)で回転する。これと同時に、送出ローラ55が離間位置(
図3(b)参照)から給紙位置Pa(
図3(a)参照)に移動する。
(2)所定時間後、送風ファンFの回転を高速(60rps)から低速(40rps)に切り換える。これによって、シートに吹き付けられるエアーが第1の風速SW1から第2の風速WS2に切り換わり、特定シートに対するシートの捌きは、第2の風速WS2によって行われる。
(3)第2の風速WS2になった後、第1のシート捌きモードによる給紙が開始される。
(4)1枚目のシート後端が第2シートセンサSE2によって検出されると、2枚目のシートの給紙が開始される。
(5)2枚目のシート後端が第2シートセンサSE2によって検出されると、制御部CONによって第1のシート捌きモードから第2のシート捌きモードに切り替わる。この第2のシート捌きモードでは、送出ローラ55が離間位置に移動した後、送風ファンFの回転を低速(40rps)から高速(60rps)に切り換える。これによって、シートに吹き付けられるエアーが第2の風速SW2から第1の風速WS1に切り換わり、3枚目以降の特定シートに対するシートの捌きは、第1の風速WS1によって行われる。
(6)シートに吹き付けられるエアーの風速が第1の風速WS1になった後、3枚目のシートの給紙が開始される。
(7)第2シートセンサSE2によって3枚目のシート先端が検出され、レジスト動作が終了すると、給紙動作が終了し、送出ローラ55が退避位置に移動する。
(8)その後、4枚目から5枚目のシートの給紙がされ、最終(5枚目)のシート後端が第1シートセンサSE1によって検出されると、1ジョブの給紙動作が終了し、送風ファンFを停止する。
【0057】
このように、所定の坪量以下の腰の弱い特定シートに対しては、最初の設定枚数までは送出ローラ55が給紙位置Paに移動した状態で、低速の第2の風速WS2でシートを吹き付けるので、シートが位置ずれすることなく、安定性を重視した給紙動作を行うことができる。一方、給紙枚数が設定枚数以上になると給紙が安定するので、送出ローラ55を給紙位置Paと離間位置Pcとに切り換えながら、高速の第1の風速WS1をシートに吹き付けるので、シート捌きの効率性を重視した給紙動作を行うことができる。
【0058】
表1は、本発明の給紙装置における給紙動作の推奨パターンをシートの属性(紙質、坪量)毎に示したものである。 パターンAでは、シートの給紙時以外は送出ローラを離間位置に移動してエアーを吹き付ける(
図6参照)。パターンBでは、1ジョブの最初の設定枚数までは、送出ローラを給紙位置に固定したままエアーを吹き付けながら給紙し、設定枚数を越えた段階でパターンAに移行する(
図7参照)。
【0059】
【0060】
通常シート(普通紙)の場合は、シートの坪量に関わらずパターンAが適している。一方、特定シート(コート紙)の場合は、坪量が106g以上であれば、普通紙と同様なパターンAが適しているが、坪量が105g以下の場合は、パターンBが適している。
【0061】
上述の実施形態では、一例としてシートの坪量と紙質から特定される特定シートの場合には第1のシート捌きモードを実行し、特定シート以外の通常シートの場合に第2の捌きモードを実行するものについて説明したが、本発明はこれに限るものでなく、シートのサイズ、シートの坪量、シートの紙質や給紙装置5内の温度、湿度等のいずれかに基づいて、第1のシート捌きモードと第2のシート捌きモードのいずれか一方を選択し、実行するようにすることもできる。例えば、所定のサイズ以下のシートは第1のシート捌きモードを実行し、所定のサイズよりも大きいシートは第2の捌きモードを実行したり、また所定の坪量以下のシートは第1のシート捌きモードを実行し、所定の坪量よりも大きいシートは第2の捌きモードを実行することができる。
【0062】
すなわち、本発明を好適な実施形態に関連して説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものでなく、その技術的範囲において、様々な変更又は変形を加えて実施し得ることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0063】
CON 制御部
F 送風ファン
HE ヒータ
TH サーミスタ
P シート
Pa 給紙位置
Pb 下限位置
Pc 離間位置
PA 操作パネル
MOT1 給紙モータ
MOT2 昇降モータ
MOT3 搬送モータ
SE1 第1シートセンサ
SE2 第2シートセンサ
SE3 上面センサ
SE4 下限センサ
SOL ソレノイド
WS1 第1の風速
WS2 第2の風速
1 画像形成システム
2 画像形成装置
5 給紙装置
50 筐体
51 収納庫
52 分離給紙手段
53 積載トレイ
54 スライドレール
55 送出ローラ
55a 回転軸
56 給紙ローラ
56a 回転軸
57 分離ローラ
58 搬送ローラ対
59 ブラケット
60 サイド規制板
61 後端規制板
62 第1送風部
63 第2送風部
64 吸入口
65a,65b 吹出口
66 ダクト
70 昇降機構
80 送風ユニット(送風手段)