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特開2023-161583サプレッサー故障のモニタリング及び軽減
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161583
(43)【公開日】2023-11-07
(54)【発明の名称】サプレッサー故障のモニタリング及び軽減
(51)【国際特許分類】
   G01N 30/02 20060101AFI20231030BHJP
   G01N 30/86 20060101ALI20231030BHJP
   G01N 30/72 20060101ALI20231030BHJP
   G01N 30/64 20060101ALI20231030BHJP
   G01N 30/26 20060101ALI20231030BHJP
【FI】
G01N30/02 E
G01N30/86 V
G01N30/72 C
G01N30/64 A
G01N30/26 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】23
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023071222
(22)【出願日】2023-04-25
(31)【優先権主張番号】63/363,535
(32)【優先日】2022-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
2.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】591025358
【氏名又は名称】ダイオネックス コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】ヨンジン チェン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン リウ
(57)【要約】
【課題】周期的なサプレッサー故障によるシステム損傷及びダウンタイムを回避することができるサプレッサー及びシステムが非常に望ましい。
【解決手段】1つ以上のチャネルと、チャネルの各々のための流路と、流路内に位置付けられた1つ以上の測定プローブとを備えるサプレッサーが記載される。各チャネルは、入口及び出口を含む。各流路は、入口への上流経路、チャネルを通り入口を出口に接続するチャネルストリーム経路、及び出口からの下流経路を含む。サプレッサーを含むシステム、並びにサプレッサーを実装する方法も記載される。
【選択図】図3D
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上のチャネル(303)であって、各チャネル(303)は入口(310)及び出口(312)を含む、1つ以上のチャネル(303)と、
前記チャネル(303)の各々のための流路(314)であって、各流路(314)は、前記入口(310)への上流経路(316)、前記チャネル(303)を通って前記入口(310)を前記出口(312)に接続するチャネルストリーム経路(318)、及び前記出口(312)からの下流経路(320)を含む、流路(314)と、
前記流路(314)内に位置付けられた1つ以上の測定プローブ(222)と、を備える、サプレッサー。
【請求項2】
前記1つ以上のチャネル(303)は、試料入口(210)及び試料出口(212)を有する、試料チャネル(208)と、再生剤入口(260)及び再生剤出口(262)を有する、再生剤チャネル(258)と、を備え、イオン交換膜(104)が、前記試料チャネル(208)と前記再生剤チャネル(258)とを分離し、第1の導管(311)が、溶離剤源(204)と前記試料入口(210)との間に流体接続を提供し、第2の導管(313)が、再生剤源(254)と前記再生剤入口(260)との間に流体接続を提供し、
前記流路(314)は、試料経路(214)と、再生剤経路(264)と、を含み、前記試料経路(214)は、前記溶離剤源(204)を前記試料入口(210)に接続する試料上流経路(216)と、前記試料チャネル(208)を通る試料ストリーム経路(218)と、前記試料出口(212)からの試料下流経路(220)と、を含み、前記再生剤経路(264)は、再生剤源(254)を前記再生剤入口(260)に接続する再生剤上流経路(266)と、前記再生剤チャネル(258)を通る再生剤ストリーム経路(268)と、前記再生剤出口(262)からの再生剤下流経路(270)と、を含み、
1つ以上の測定プローブ(222)が独立して、前記試料経路(214)内、前記再生剤経路(264)内、又は前記試料経路(214)内及び前記再生剤経路(264)内に位置付けられている、請求項1に記載のサプレッサー。
【請求項3】
前記1つ以上の測定プローブ(222)は独立して、温度プローブ、圧力センサ、及び流量計から選択される、請求項1に記載のサプレッサー。
【請求項4】
前記測定プローブ(222)のうちの少なくとも1つは、前記チャネル(303)のうちの1つの中に位置付けられている、請求項1に記載のサプレッサー。
【請求項5】
前記測定プローブ(222)は、前記出口(312)に近接して位置付けられている、請求項4に記載のサプレッサー。
【請求項6】
前記測定プローブ(222)は、前記入口(310)に近接して位置付けられている、請求項4に記載のサプレッサー。
【請求項7】
前記測定プローブは、第1の測定プローブ(222)及び第2の測定プローブ(222)を含み、前記第1の測定プローブ(222)は、前記出口(312)に近接して位置付けられ、前記第2の測定プローブ(222)は、前記入口(310)に近接して位置付けられている、請求項4に記載のサプレッサー。
【請求項8】
前記測定プローブ(222)のうちの少なくとも1つは、前記チャネル(303)のうちの1つの前記下流経路(320)内に位置付けられている、請求項1に記載のサプレッサー。
【請求項9】
前記測定プローブ(222)のうちの少なくとも1つは、前記チャネル(303)のうちの1つの前記上流経路(316)内に位置付けられている、請求項1に記載のサプレッサー。
【請求項10】
前記測定プローブ(222)に結合されたモニタリング回路(332)を更に含み、前記モニタリング回路(332)は、前記測定プローブ(222)によって測定される前記流路(314)内の流体の特性を示す信号を提供する、請求項1に記載のサプレッサー。
【請求項11】
前記モニタリング回路(332)に結合され、前記信号に応答して前記下流経路(320)を制御するように構成された流量コントローラ(226)を更に備える、請求項10に記載のサプレッサー。
【請求項12】
前記チャネル(303)は、試料チャネル(208)を含み、前記下流経路(320)は、前記信号が所定の範囲内に維持されるときは、前記流体を前記試料チャネル(208)から検出器(206)の中に方向付け、前記下流経路(320)は、前記信号が前記所定の範囲外にあるときは、前記流体が前記検出器(206)に入ることを阻止する、請求項11に記載のサプレッサー。
【請求項13】
前記検出器(206)は質量分析計である、請求項12に記載のサプレッサー。
【請求項14】
前記プローブ(222)は、前記流路(314)内の流体と接触する作業端(307)を含み、前記作業端(307)は、前記流体経路(314)を画定する導管の壁(305)と同一平面に位置付けられている、請求項1に記載のサプレッサー。
【請求項15】
水性イオン流量をモニタリング及び制御するためのシステム(200)であって、
試料入口(210)及び試料出口(212)を有する、試料チャネル(208)と、再生剤入口(260)及び再生剤出口(262)を有する、再生剤チャネル(258)と、を含む、サプレッサー(202)と、
前記試料入口(210)に流体接続された溶離剤源(204)、及び前記再生剤入口(260)に流体接続された再生剤源(254)と、
前記溶離剤源(204)を前記試料入口(210)に接続する試料上流経路(216)、前記試料チャネル(208)を通る試料ストリーム経路(218)、及び前記試料出口(212)からの試料下流経路(220)を含む、試料経路(214)と、
前記再生剤源(254)を前記再生剤入口(260)に接続する再生剤上流経路(266)、前記再生剤チャネル(258)を通る再生剤ストリーム経路(268)、及び前記再生剤出口(262)からの再生剤下流経路(270)を含む、再生剤経路(264)と、
前記試料経路(214)、前記再生剤経路(264)、又は前記試料経路(214)及び前記再生剤経路(264)内に位置付けられた1つ以上の測定プローブ(222)と、
前記測定プローブ(222)に結合されたモニタリング回路(224)であって、前記測定プローブ(222)によって測定された流体の特性を示す信号を提供する、モニタリング回路(224)と、
前記モニタリング回路(224)に接続され、前記試料下流経路(220)を制御するように構成された流量コントローラ(226)と、を備える、システム(200)。
【請求項16】
前記流量コントローラ(226)は、前記信号が所定の範囲内に維持される場合、前記試料下流経路(220)を検出器(206)に提供する、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記流量コントローラ(226)は、前記信号が前記所定の範囲外である場合、前記再生剤源(254)から前記試料下流経路(220)及び前記検出器(206)に再生剤を提供する、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記流量コントローラ(226)は、前記モニタリング回路(224)からの前記信号が前記所定の範囲外である場合に停止され、それによって前記検出器への溶離剤の流れを防止する溶離剤ポンプ(404)を含む、請求項16に記載のシステム。
【請求項19】
前記所定の範囲は、上限、下限、又は上限及び下限を有する、請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
前記溶離剤源(204)は、クロマトグラフィカラムからの出力である、請求項15に記載のシステム。
【請求項21】
サプレッサー(202)を制御するための方法(500)であって、
溶離剤を前記サプレッサー(202)に提供すること(502)と、
モニタリングされた特性を提供するために、前記サプレッサー(504)のチャネル(303)の流路(314)内の流体の特性をモニタリングすること(504)と、
モニタリングされた特性が所定の範囲内にある場合(506、508)、前記サプレッサー(202)からの前記溶離剤の試料下流経路(220)を検出器(206)に方向付けるか、又は前記モニタリングされた特性が前記所定の範囲外にある場合(506、510)、前記試料下流経路(220)が前記検出器(206)に到達するのを防止することと、を含む、方法(500)。
【請求項22】
前記モニタリングされた特性は、前記流路(314)の温度、圧力、又は流量である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記モニタリングされた特性は、前記流路(314)内の測定プローブ(222)によってモニタリングされ、前記測定プローブは、前記モニタリングされた特性を示す測定データ入力をコンピュータ(228)に提供し、前記コンピュータ(228)は、前記コンピュータ(228)のメモリ(232)に書き込まれたアルゴリズムを含み、前記アルゴリズムが前記コンピュータ(228)のCPU(230)によって実行されるときに、前記アルゴリズムは、前記測定データ入力を前記所定の範囲と比較し、前記コンピュータ(228)は、流量コントローラ(226)に出力信号を送信して、前記試料下流経路(220)を方向付ける、請求項22に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、故障に関してサプレッサーをモニタリングし、故障の下流の影響を軽減することを対象にする。具体的には、サプレッサーの正常動作からの逸脱を検出し、それに応じて、検出器への水性イオン流量を調整するモニタリングシステムが記載される。
【背景技術】
【0002】
イオンクロマトグラフィ(ion chromatography、IC)は十分に確立された分析手法であり、過去40年ほどにわたり、無機アニオン及び小さな有機アニオンの定量に好適な方法である。ICは、無機カチオン、並びに炭水化物及びアミノ酸の定量にも広く使用されている。
【0003】
サプレッサーは、ICシステムの重要な構成要素のうちの1つである。サプレッサー技術は数十年にわたって進化してきたが、サプレッサーの基本的機能、すなわち、イオン交換プロセスを介して溶離剤のバックグラウンド電気伝導度を低下させ、分析物の電気伝導度を増加させることは同じままである。溶離剤の脱塩は、その後の電気伝導度検出における分析物の応答を増大させる。図1は、市販のサプレッサー100の3チャネルサンドイッチ型設計を示す。試料チャネル102は、試料チャネル102に流入する(107)溶離剤中の試料を運ぶ導管として機能する。イオン交換樹脂103が、2つのフリット105の間の導管に充填されて、溶離剤と相互作用してイオンを交換し、それによって溶離剤を抑制する。試料チャネル102は、2つのイオン交換膜104によって、DI水などの再生剤ストリーム111を運ぶ隣接する再生剤チャネル106から分離される。平板電極108が、再生剤チャネル106の各々に配置される。定電流が2つの電極108の間に流され、再生剤チャネル106内の水の電気分解を引き起こし、電極108の一方でヒドロニウムイオンを生成し、他方の電極108で水酸化物イオンを生成する。ヒドロニウムイオン又は水酸化物イオンは、溶離剤を抑制する連続プロセスにおいてイオン交換樹脂103を再生し、溶離剤塩を含有する廃棄物が再生剤チャネル106から流出し(109)、脱塩された溶離剤が試料チャネル102から流出する(110)。再生剤チャネル106での再生剤111の継続的な供給は、サプレッサー100の性能の安定性にとって重要である。
【0004】
近年、質量分析法(mass spectrometry、MS)は、大分子及び小分子の分析における選択的かつ高感度な検出のために広く受け入れられるようになってきた。イオンクロマトグラフ(IC)を含む液体クロマトグラフィと結合されると、大気圧イオン化(atmospheric pressure ionization、API)MS(主にエレクトロスプレイイオン化(electrospray ionization、ESI)の形をとる)は、分析物の分子量又は特徴的な断片化の定量を介して、化合物を同定するための強力なツールである。MSと連動したICは、無機アニオン及び有機アニオンの微量分析、スペシエーション分析及びメタロミクス、イオン種の質量同位体異性体測定、並びに、グリカン及び他の複合糖質の分析を含む、様々な用途で主要な役割を果たす。
【0005】
IC分離で使用される溶離剤は、ESI-MSと互換性のない不揮発性塩を含むことが多い。サプレッサーは、不揮発性塩を水又は揮発性酸形態(すなわち、酢酸)に変換するために使用される、重要なデバイスである。グリアン(glyan)及び他の複合糖質の分析では、高濃度の酢酸ナトリウム(NaOAc)/水酸化ナトリウム(NaOH)溶離剤を使用した、様々な複雑なグラジエントが必要な場合が多い。サプレッサーが故障すると、最大350mMの濃度を有する不揮発性塩がESI-MSに入り、質量分析計のクリーニング及びメンテナンスのための大規模な停止の原因となる。サプレッサーの故障は、水リザーバの涸渇又はポンプ停止又は破損した接続管からの再生剤チャネル106内の水供給の消失を伴うことが多い。別の一般的な故障モードは、ESI-MS検出器のエレクトロスプレキャピラリ中の塩及び試料成分などによる閉塞及び詰まりによって引き起こされる下流の過剰な背圧に起因するサプレッサーのリークである。
【0006】
したがって、改良されたサプレッサーが依然として必要とされている。周期的なサプレッサー故障によるシステム損傷及びダウンタイムを回避することができるサプレッサー及びシステムが非常に望ましい。
【発明の概要】
【0007】
これら及び他の必要性に対処するシステム、方法、及び製品は、例示的、非限定的な実装に関して本明細書に説明される。様々な代替、変更、及び等価物が可能である。
【0008】
第1の態様によれば、サプレッサーが記載されている。サプレッサーは、1つ以上のチャネルを含む。各チャネルは、入口及び出口を含む。サプレッサーはまた、チャネルの各々のための流路を含む。各流路は、入口への上流経路、チャネルを通り入口を出口に接続するチャネルストリーム経路、及び出口からの下流経路を含む。測定プローブの1つ以上が、流路内に位置付けられる。
【0009】
第2の態様によれば、水性イオン流量をモニタリング及び制御するためのシステムが記載されている。このシステムは、試料入口及び試料出口を有する、試料チャネルと、再生剤入口及び再生剤出口を有する、再生剤チャネルと、を含む、サプレッサーを備える。溶離剤源が試料入口に流体接続され、再生剤源が再生剤入口に流体接続される。システムはまた、試料経路及び再生剤経路を備える。試料経路は、溶離剤源を試料入口に接続する試料上流経路、試料チャネルを通る試料ストリーム経路、及び試料出口からの試料下流経路を含む。再生剤経路は、再生剤源を再生剤入口に接続する再生剤上流経路、再生剤チャネルを通る再生剤ストリーム経路、及び再生剤出口からの再生剤下流経路を含む。1つ以上の測定プローブが、試料経路、再生剤経路、又は試料経路及び再生剤経路内に位置付けられる。モニタリング回路が測定プローブに結合される。モニタリング回路は、測定プローブによって測定された流体の特性を示す信号を提供する。流量コントローラがモニタリング回路に接続され、試料下流経路を制御するように構成される。
【0010】
第3の態様によれば、サプレッサーを制御するための方法が記載されている。この方法は、溶離剤をサプレッサーに提供することと、サプレッサーの特性をモニタリングすることと、を含む。この方法はまた、モニタリングされた特性が所定の範囲内にある場合、サプレッサーからの溶離剤の試料下流経路を検出器に方向付けるか、又はモニタリングされた特性が所定の範囲外にある場合、試料下流経路が検出器に到達するのを防止することを含む。
【0011】
本明細書に記載されるサプレッサー、システム、及び方法は、サプレッサー故障による、サプレッサーに結合する検出器などの要素への損傷又はダウンタイムを回避することができる。
【0012】
本実施形態の前述の及び他の特徴及び利点は、添付の図面と併せて理解される例示的な実施形態の以下の詳細な説明からより十分に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】サプレッサーの拡大図を示す。
図2】いくつかの実装態様による、検出器への水性イオン流量をモニタリング及び制御するためのシステムを示す図である。
図3A】いくつかの実装態様によるサプレッサーの線図である。出口に近接する測定プローブを示す図である。
図3B】いくつかの実装態様によるサプレッサーの線図である。出口における狭窄部に近接する測定プローブを示す図である。
図3C】いくつかの実装態様によるサプレッサーの線図である。出口に近接する第1の測定プローブと、入口に近接する第2の測定プローブとを示す図である。
図3D】いくつかの実装態様によるサプレッサーの線図である。サプレッサーの拡大図である。
図4】いくつかの実装態様によるクロマトグラフィシステムを示す。
図5】いくつかの実装態様による、サプレッサーを制御するための方法を示すフロー図である。
図6】サプレッサーをモニタリングするための実装態様を示す図である。
図7図6のモニタリングされたサプレッサーからのプロットされたデータを示す。
図8】サプレッサーをモニタリングするための別の実装態様を示す図である。
図9A図8のモニタリングされたサプレッサーを使用する第1の実験からのプロットされたデータを示す。
図9B図8のモニタリングされたサプレッサーを使用する第2の実験からのプロットされたデータを示す。
図10】サプレッサーをモニタリングするための別の実装態様を示す図である。
図11図10のサプレッサーを使用する実験からのプロットされたデータを示す。
図12】サプレッサーをモニタリングするための別の実装態様を示す図である。
図13図12のサプレッサーを使用する実験からのデータを示すプロットである。
図14】いくつかの実装態様による、サプレッサーを使用する実験からのプロットされたデータを示す。
【0014】
上記で参照される図は、必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではなく、特定の実施形態の表現を提供するように理解されるべきであり、本質的に概念的であり、関与する校長の例示に過ぎない。様々な代替的な実施形態に示される類似又は同一の構成要素及び特徴に対して図面で、同じ参照番号が使用される。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書中の本発明の説明において、別段、暗黙的又は明示的に理解又は記載しない限り、単数で現れる語は、その複数の同等のものを包含し、複数で現れる語は、その単数の同等のものを包含することが理解される。更にまた、別段、暗黙的又は明示的に理解又は記載しない限り、本明細書において説明される任意の所与の構成要素又は実施形態について、その構成要素について列挙された可能な候補又は代替物のいずれかが、一般に個々に又は互いに組み合わせて使用され得ることが理解される。更に、本明細書で示した図は、必ずしも縮尺通りに描画されておらず、要素のいくつかは、単に本発明を明確にするために描画されている場合があることが理解されるべきである。また、対応するか又は類似する要素を示すために、様々な図の中で参照符号が繰り返されている場合がある。追加的に、別段、暗黙的又は明示的に理解又は記載されない限り、かかる候補又は代替物のいかなる列挙も、単なる図示であり、限定ではないことが理解されよう。加えて、別段の表示がない限り、明細書及び特許請求の範囲中に使用された材料、成分、反応状態等の分量を明示する数は、「約」という用語により修飾されるものとして理解されるべきである。
【0016】
それに応じて、矛盾して示されない限り、明細書及び添付の特許請求の範囲において記載された数値パラメータは、本明細書中に提示された主題によって得られることが求められる、所望の特性に応じて変化することがある近似値である。最低でも、かつ特許請求の範囲に対する均等の原則の塗布を限定することを企図しないように、各数値パラメータは、少なくとも、報告された有意な数字の数に照らして、かつ通常の丸め技術を塗布することによって解釈されるべきである。本明細書中に提示された主題の広範な範囲を記載している数値範囲及びパラメータは近似値であるにも関わらず、特定の例に記載された数値は、可能な限り正確に報告される。しかしながら、いかなる数値も、本質的に、それぞれの試験的測定において見られた標準偏差から必然的に生じる一定の誤差を含有する。
【0017】
図2は、いくつかの実装態様による、水性イオン流量をモニタリング及び制御するためのシステム200の構成要素を示す。システム200は、サプレッサー202、溶離剤源204、再生剤源254、及び検出器206を含む。サプレッサー202は、溶離剤のための試料チャネル208、試料入口210、及び試料出口212を含む。サプレッサー202はまた、水などの再生剤のための再生剤チャネル258、再生剤入口260、及び再生剤出口262を含む。溶離剤源204は試料入口210に流体接続され、再生剤源254は再生剤入口260に流体接続される。検出器206は、試料出口212又は再生剤源254に流体接続される。
【0018】
システム200はまた、試料経路214、再生剤経路264、及び1つ以上の測定プローブ222を含む。試料経路214は、溶離剤源204を試料入口210に接続する試料上流経路216、試料チャネル208を通る試料ストリーム経路218、及び試料出口212からの試料下流経路220を含む。再生剤経路264は、再生剤源254を再生剤入口260に接続する再生剤上流経路266、再生剤チャネル258を通る再生剤ストリーム経路268、及び再生剤出口262からの再生剤下流経路270を含む。1つ以上の測定プローブ222は、試料経路214内、再生剤経路264、又は試料経路214及び再生剤経路264の両方の中に位置付けられる。
【0019】
システム200はまた、モニタリング回路224及び流量コントローラ226を含む。モニタリング回路224は、測定プローブ222に結合され、測定プローブ222によって測定された流体の特性を示す信号を提供する。例えば、測定プローブ222は、試料経路214内の溶離剤を示す測定信号、又は再生剤経路264内の再生剤を示す信号を提供することができる。流量コントローラ226もまた、モニタリング回路224に結合又は接続され、試料下流経路220を制御するように構成される。信号は平均信号であってもよい。例えば、信号をある期間にわたって平均化することができる。信号はまた、0.1ミリ秒以上のサンプリング周期などで周期的にサンプリングすることもできる。
【0020】
いくつかの実装態様では、流量コントローラ226は、溶離剤の測定プローブ222によって測定されている流体の特性を示す信号が所定の範囲内に維持される場合、試料下流経路220を検出器206に提供する。例えば、流量コントローラ226は、試料経路214内に溶離剤の流れを提供するポンプであってもよく、信号が所定の範囲内に維持される場合、脱塩された溶離剤110(図1)を検出器206に提供する。流量コントローラ226は、信号が所定の範囲外である場合、上記ポンプを停止する。いくつかの実装態様では、流量コントローラ226は、信号が所定の範囲外である場合に、再生剤源254から試料下流経路220及び検出器206に再生剤を提供するバルブである。いくつかの実装態様では、流量コントローラ226は、再生剤経路264内に位置付けられたバルブを含む。流量コントローラ226は、信号が所定の範囲内にあるときに再生剤入口260に再生剤を提供する第1のバルブ位置に構成され、流量コントローラ226は、信号が所定の範囲外にあるときに検出器206に再生剤を提供する第2のバルブ位置に構成される。
【0021】
いくつかの実装態様では、システム200はまた、コンピュータ又はコンピュータサブシステム228を含む。コンピュータ228は、CPU230などの1つ以上のプロセッサ、メモリ232、及びユーザーインターフェイス234を含む。メモリ232は、例えば、ランダムアクセスメモリ(random-access memory、RAM)、読取り専用メモリ(read-only memory、ROM)、プログラマブル読取り専用メモリ(programmable read-only memory、PROM)、電気的消去可能プログラマブル読取り専用メモリ(electrically erasable programmable read only memory、EEPROM)、及びフラッシュメモリなどの電子メモリデバイスを含み得る。メモリ232はまた、磁気ディスクドライブ、テープドライブ、サムドライブ、及び光ディスクドライブなどの電気機械メモリを含んでもよい。ユーザーインターフェイス234は、例えば、キーボード、タッチコントロールスクリーン、モニタ、マウス、スピーカ、マイクロフォンなどを含むことができる。コンピュータ228は、システム200の他の構成要素に接続することができる。コンピュータは、単一のユニットに収容されるなど、システム200の物理的に統合された部分であってもよく、又は構成要素若しくはシステム200の構成要素を収容するユニットに直接物理的に取り付けられてもよい。物理的な取り付けには、コンピュータ228とシステム200の残りの部分の電気的構成要素との間のデータ及び信号伝達のための電気的ワイヤ接続などが含まれる。コンピュータはまた、クラウドなどの他のコンピュータ又はサーバへの物理的又はリモート(例えば、Wi-Fi、Zigbee、Bluetooth)接続を含むことができる。コンピュータ228はまた、検出器206、測定プローブ222、及び流量コントローラ226などのシステム200の電気的構成要素に部分的又は全体的にワイヤレスで接続されることができる。
【0022】
所定の範囲は、メモリ232に保存され、コンピュータ228のCPU230によって実行されるアルゴリズムで使用されるパラメータであってもよい。所定の範囲は、ユーザーインターフェイス234を介した入力としてユーザーによって提供され得るか、又はアルゴリズムに書き込まれたデフォルト値であり得る。いくつかの実装態様では、所定の範囲は上限を有する。いくつかの実装態様では、所定の範囲は下限を有する。いくつかの実装態様では、所定の範囲は、上限及び下限を有する。いくつかの実装態様では、所定の範囲は除外範囲であり、信号が除外範囲内に維持される場合、流量コントローラ226は試料下流経路220を検出器206に提供しない。
【0023】
システム200は、他の構成要素及びサブシステムを含むことができる。例えば、電源236である。電源236は、壁コンセントへのプラグ、バッテリ、非接触誘導電源、又はこれらの組み合わせなどの物理的電源であり得る。システム200の構成要素及びサブ構成要素は、独立した電源236を有することができる。システム200はまた、アクチュエータ、ポンプ、マイクロコントローラ、ヒータ、チラー、管類、ポンプ、ケーブル、カラム(例えば、分離又はクロマトグラフカラム)、及びこれらの組み合わせを含むことができる。
【0024】
いくつかの実装態様では、システム200は、液体クロマトグラフィシステムとして実装される。そのような実装態様では、溶離剤源204は、クロマトグラフィカラムからの出力である。いくつかの実装態様では、検出器206は、ESI質量分析計などの質量分析計である。いくつかの実装態様では、検出器206は電気伝導度検出器である。いくつかの実装態様では、電気伝導度検出器及び質量分析計など、2つ以上の検出器206が使用される。いくつかの実装態様では、システム200は液体クロマトグラフィシステムとして実装され、サプレッサー202は、水性液体クロマトグラフィシステム(例えば、アルコール、アセトニトリル、アセトン、テトラヒドロフラン及びジメチルスルホキシドなどの極性溶媒と混合された水)で使用される緩衝液(例えば、リン酸緩衝液)などの塩を除去する。
【0025】
図3A図3Dは、いくつかの実装態様によるサプレッサー202を示す。サプレッサー202は、1つ以上のチャネル303と、各チャネル303のための流路314と、破線矢印によって示される、流路314内に位置付けられる測定プローブ222のうちの1つ以上とを含む。各チャネル303は、入口310及び出口312を含む。流路314は、入口310への上流経路316と、チャネル303を通るチャネルストリーム経路318と、出口312からの下流経路320とを含む。
【0026】
いくつかの実装態様では、1つ以上のチャネル303は、試料入口210及び試料出口212を有する、試料チャネル208と、再生剤入口260及び再生剤出口262を有する、再生剤チャネル258と、を含む(図3D)。この実装態様では、入口310は、試料入口210及び再生剤入口260を含み、出口312は、試料出口212及び再生剤出口262を含む。イオン交換膜104は、試料チャネル208と再生剤チャネル258とを分離する。第1の導管311は、溶離剤源204と試料入口210との間の流体接続を提供し、第2の導管313は、再生剤源254と再生剤入口260との間の流体接続を提供する。流体経路314は、試料経路214及び再生剤経路264を含む。試料経路214は、溶離剤源204を試料入口210に接続する試料上流経路216、試料チャネル208を通る試料ストリーム経路218、及び試料出口212を検出器206に接続する試料下流経路220を含む。再生剤経路264は、再生剤源254を再生剤入口260に接続する再生剤上流経路266、再生剤チャネル258を通る再生剤ストリーム経路268、及び再生剤出口262からの再生剤下流経路270を含む。いくつかの実装態様では、再生剤下流経路270は、再生剤出口262を検出器206に接続し、試料下流経路220は、検出器206に接続されないか、又は試料下流経路220は、検出器206にいかなる流体も提供しない。測定プローブ222のうちの1つ以上は、試料経路214内、再生剤経路266内、又は試料経路214内及び再生剤経路264内に位置付けられる。
【0027】
いくつかの実装態様では、測定プローブ222は、熱電対又は熱IRセンサなどの温度プローブである。いくつかの実装態様では、測定プローブ222は圧力センサである。いくつかの実装態様では、測定プローブ222は流量計である。2つ以上の測定プローブ222を使用する実装態様では、測定プローブ222は、両方とも温度プローブであるなど、同じ種類であり得る。2つ以上の測定プローブ222を使用するいくつかの他の実装態様では、測定プローブ222は、温度プローブ及び圧力センサなどの異なる種類であり得る。いくつかの実装態様では、測定プローブは、試料経路214及び再生剤経路264内に位置付けられる。いくつかの実装態様では、測定プローブ222は、試料経路214内にのみ位置付けられる。いくつかの実装態様では、測定プローブ222は、再生剤経路266内にのみ位置付けられる。いくつかの実装態様では、測定プローブは、試料経路214及び再生剤経路264の外側に位置付けられてもよい。
【0028】
図3A図3Dに示すように、いくつかの実装態様では、測定プローブ222のうちの少なくとも1つが、チャネル303/208/258のうちの1つの中に位置付けられる。いくつかの実装態様では、測定プローブ222は、入口310に近接して位置付けられる(図3C)。いくつかの実装態様では、測定プローブ222は、出口312に近接して位置付けられる(図3A図3B)。いくつかの実装態様では、測定プローブ222は、狭窄部330において、かつチャネル303、208の出口312、212に近接して位置付けられる(図3B図3D)。いくつかの実装態様では、第1の測定プローブ222が入口310に近接して位置付けられ、第2の測定プローブ222が出口312の隣に位置付けられる(図3C)。
【0029】
いくつかの実装態様では、入口310に近接する位置は、入口310からチャネル303の全長の49%以下(例えば、40%以下、30%以下、20%以下、10%以下)の距離にある位置であり、出口312に近接する位置は、出口312からチャネル303の全長の49%以下(例えば、40%以下、30%以下、20%以下、10%以下)の距離にある位置である。図では、チャネル303の全長はチャネルストリーム経路318に対応する。
【0030】
いくつかの実装態様では、測定プローブ222のうちの少なくとも1つは、試料下流経路220又は再生剤下流経路270などの下流経路320内に位置付けられる。いくつかの実装態様では、測定プローブ222のうちの少なくとも1つは、上流試料経路216又は上流再生剤経路266などの上流経路316内に位置付けられる。いくつかの実装態様では、少なくとも1つの測定プローブ222が、試料下流経路220又は下流再生剤経路270などの下流経路320内に位置付けられ、少なくとも1つの測定プローブ222が、試料上流経路216又は上流再生剤経路266などの上流経路316内に位置付けられる。いくつかの実装態様では、測定プローブ222のうちの少なくとも1つは、出口312に近接して下流経路320内に位置付けられる。いくつかの実装態様では、測定プローブ222のうちの少なくとも1つは、出口212に近接して試料下流経路220内に位置付けられる。いくつかの実装態様では、測定プローブ222のうちの少なくとも1つは、出口262に近接して下流再生剤経路270内に位置付けられる。いくつかの実装態様では、測定プローブ222のうちの少なくとも1つは、入口310に近接して上流経路316内に位置付けられる。いくつかの実装態様では、測定プローブ222のうちの少なくとも1つは、入口210に近接して上流試料経路216内に位置付けられる。いくつかの実装態様では、測定プローブ222のうちの少なくとも1つは、入口260に近接して上流再生剤経路266内に位置付けられる。
【0031】
いくつかの実装態様では、サプレッサー202は、モニタリング回路332に結合された流量コントローラ226を更に含み、流量コントローラ226は、信号に応答して下流経路320を制御するように構成されている。いくつかの実装態様では、チャネル303は、試料チャネル208を含み、下流経路/試料下流経路320、220は、信号が所定の範囲内に維持されるときは、流体を試料チャネル208から検出器206の中に方向付け、下流経路320/試料下流経路220は、信号が所定の範囲外にあるときは、流体が検出器206に入ることを防止する。いくつかの実装態様では、検出器206は質量分析計である。
【0032】
いくつかの実装態様では、プローブ222は、流体経路314内の流体と接触する作業端307を含み、作業端307は、流体経路を画定する導管の壁と同一平面に位置付けられる(図3A)。例えば、導管は、壁305を有するチャネル303を含む。測定プローブ222の端307は、壁305と同一平面である。この位置付けは、端307をチャネル303内に位置付けることと比較して、チャネル303内の任意のデッドボリューム及び流れの中断を低減する。
【0033】
図4は、いくつかの実装態様によるクロマトグラフィシステム400を示す。リザーバ402は、溶離剤ポンプ404によって試料注入ポート408を通してクロマトグラフィカラム406に供給される溶離剤を形成するために混合される水溶液を提供する。サプレッサー202は、電気伝導度検出器206a及び質量分析計206bの上流に配置されている。この実装様態には、電気伝導度検出器206aが含まれている。溶離剤は、試料入口210でサプレッサー202に入り、試料出口212でサプレッサーから出る。再生剤源254は、再生剤ポンプ410によって再生剤入口260に供給される。再生剤は、再生剤出口262を通ってサプレッサー202から出る。測定プローブ222は、試料出口212の近くでサプレッサー202内に位置付けられる。
【0034】
この実装態様では6ポート注入バルブとして構成されている流量コントローラ226は、サプレッサー202(又は任意選択の電気伝導度検出器206a)と質量分析計206bとの間に設置される。流量コントローラ226がA位置にあるとき、溶離剤はサプレッサー202を通って質量分析計206bに流れ、再生剤はサプレッサー202を通って流れる。図はまた、B位置(図の右下)にあるバルブを示す。流量コントローラ226がB位置にあるとき、再生剤ポンプ410は、再生剤を質量分析計206bに送達し、溶離剤は質量分析計206bに流入しない。
【0035】
モニタリング回路224からの信号が所定の範囲内にあるとき、流量コントローラ226はA位置にある。モニタリング回路224からの信号が所定の範囲外にあるとき、流量コントローラ226はB位置にある。流量コントローラ226はまた、溶離剤ポンプ404を含むことができるか、又は代替的に溶離剤ポンプ404である。例えば、溶離剤ポンプ404は、モニタリング回路224からの信号が所定の範囲内にあるときに正常に動かすことができ、溶離剤ポンプ404は、モニタリング回路224からの信号が所定の範囲外にあるときに停止することができる。
【0036】
図5は、いくつかの実装態様による、サプレッサー202を制御するための方法500を示すフロー図である。第1のステップ502において、溶離剤がサプレッサー202(図3A図3C)に提供される。サプレッサー202の流路314内の流体の特性が、第2のステップ504においてモニタリングされ、モニタリングされた特性を提供する。前述したように、流路314は、試料経路214又は再生剤経路264であり得る。第3のステップ506において、モニタリングされた特性が所定の範囲と比較される。モニタリングされた特性が所定の範囲内にある場合、第4のステップ508において、試料下流経路220は検出器206に方向付けられる。モニタリングされた特性が所定の範囲外である場合、第4のステップ508において、試料下流経路220は遮断される。いくつかの実装態様では、モニタリングされた特性は、サプレッサー202のチャネル303の流路314内の流体の温度、圧力、又は流量である。いくつかの実装態様では、特性は、試料経路214内の測定プローブによってモニタリングされる。いくつかの実装態様では、特性は、再生剤経路264内の測定プローブによってモニタリングされる。測定プローブは、モニタリングされた特性を示す測定データ入力をコンピュータ228(図2)に提供する。コンピュータ228は、コンピュータ228のメモリ232に書き込まれたアルゴリズムを含む。アルゴリズムがコンピュータ228のCPU230によって実行されるときに、アルゴリズムは、測定データ入力を所定の範囲と比較し、コンピュータ228は、出力信号を流量コントローラに送信して、下流の流れを方向付ける。いくつかの実装様態では、所定の範囲は、ユーザーによってコンピュータへのデータ入力として入力され、ユーザーによって変更又は選択され得る。いくつかの実装態様では、所定の範囲は、アルゴリズムの1つ以上のデフォルト値である。
【0037】
サプレッサー202を使用して、サプレッサーに結合された検出器に対する損傷又はダウンタイムを軽減することができる。例えば、サプレッサーは、本明細書に記載される液体クロマトグラフシステムに含めることができる。例示の目的で、また、使用を限定することなく、いくつかの更なる実施例について以下に論じる。
【実施例0038】
ラベル付けされた要素は、前述の通りであり、追加の詳細が以下に記載される。
【0039】
実施例1:高性能アニオン交換クロマトグラフィ(high-performance anion exchange chromatography、HPAE)システム上での中断された再生剤の流れの効果的な温度センシング。
【0040】
図6は、サプレッサー202をモニタリングするための実装態様を示す。熱電対(Omega 1-1/2インチ長の中空管TC、HTTC36-K-116G-1.5)として構成された2つの測定プローブ222を使用して、溶離剤の流れの温度を測定した。一方の熱電対をサプレッサー202の入口に配置し、他方を出口に配置した。正常の再生剤の流量を1.5mL/分に設定した。10mM NaOAc/100mM NaOHから100mM NaOAc/100mM NaOHへのグラジエントの間、再生剤の流れを10分で停止し、20分で再開した。デジタルマルチメータ(Digital multimeter、DMM)を使用して、熱電対(例えば、各々がモニタリング回路332を含む)をモニタリングした。下流電気伝導度検出器206aをサプレッサー202に接続した。
【0041】
図7は、モニタリングされたサプレッサー202からのプロットされたデータを示す。コンパートメント温度及びサプレッサー入口温度は両方とも、ラン全体を通して30℃で安定したままであった。サプレッサー出口温度は、再生剤の流れの中断に迅速に応答し、中断された流れの終了時に2℃だけ増加し、次いで再生剤の流れが再開された後に正常レベルに低下することが示された。
【0042】
実験条件。
【0043】
ICシステム:Thermo Scientific Dionex ICS-6000。
【0044】
溶離剤:0~5分間10mM NaOAc/100mM NaOH、5~30分間10mM NaOAc/100mM NaOH~100mM NaOAc/100mM NaOH、30~60分間10mM NaOAc/100mM NaOH。
【0045】
溶離剤流量:0.25mL/分。
【0046】
サプレッサー:Thermo Scientific Dionex ERD 500 2-mm。
【0047】
サプレッサー電流:150mA。
【0048】
再生剤流量:0~10分間1.5mL/分、10~20分間0mL/分、20~60分間1.5mL/分。
【0049】
コンパートメント温度:30℃。
【0050】
マルチメータ:Fluke 289 True-RMS Data Logging Multimeter。
【0051】
検出器:電気伝導度。
【0052】
データ記録:Thermo Scientific Dionex Chromeleon7。
【0053】
実施例2. 高性能アニオン交換クロマトグラフィ(HPAE)システム上での様々な中断された再生剤の流れの効果的な温度センシング。
【0054】
図8は、サプレッサー202をモニタリングするための別の実装態様を示す。熱電対(Omega 1-1/2インチ長の中空管TC、HTTC36-K-116G-1.5)として構成された1つの測定プローブ222を、サプレッサーの出口に配置した。正常の再生剤の流量を1.5mL/分に設定した。DMMを使用して熱電対(モニタリング回路332)をモニタリングした。下流電気伝導度検出器206aをサプレッサー202に接続した。
【0055】
図9Aは、再生剤の流れが10分で停止され、25分で再開された第1の実験からのプロットされたデータを示す。サプレッサー出口温度は、再生剤の流れの中断に迅速に応答し、中断された流れの終了時に2℃を超えて増加し、次いで再生剤の流れが再開された後に正常レベルに低下することが示された。
【0056】
図9Bは、再生剤の流量が10~20分間に1.5mL/分から0mL/分に低減された第2の実験からのプロットされたデータを示し、再生剤の流量の漸進的な消失をシミュレートしている。再生剤の流量の漸進的な消失に応答して、サプレッサー出口温度は、中断された流れの終了時に2℃だけ漸進的に上昇し、次いで再生剤の流れが再開された後に正常レベルに低下することが示された。
【0057】
実験条件。
【0058】
ICシステム:Thermo Scientific Dionex ICS-6000。
【0059】
溶離剤:50mM NaOAc/100 NaOH。
【0060】
溶離剤流量:0.25mL/分。
【0061】
サプレッサー:Thermo Scientific Dionex ERD 500 2-mm。
【0062】
サプレッサー電流:150mA。
【0063】
再生剤流量:(A)0~10分間1.5mL/分、10~25分間0mL/分、20~30分間1.5mL/分;(B)0~10分間1.5mL/分、10~20分間1.5~0mL/分、20~25分間0mL/分、20~30分間1.5mL/分。
【0064】
コンパートメント温度:25℃。
【0065】
マルチメータ:Fluke 289 True-RMS Data Logging Multimeter。
【0066】
検出器:電気伝導度。
【0067】
データ記録:Thermo Scientific Dionex Chromeleon 7。
【0068】
実施例3. 試薬フリーイオンクロマトグラフィ(regent-free ion chromatography、RFIC)システムにおける、中断された再生剤の流れの効果的な温度センシング。
【0069】
図10は、サプレッサー202をモニタリングするための別の実装態様を示す。熱電対(Omega 1-1/2インチ長の中空管TC、HTTC36-K-116G-1.5)として構成された2つの測定プローブ222を使用して、溶離剤の流れの温度を測定した。一方の熱電対をサプレッサーの入口に配置し、他方を出口に配置した。正常の再生剤の流量を0.25mL/分に設定した。10mMから100mMへのKOHグラジエントの間、再生剤の流れを15分で停止し、25分で再開した。
【0070】
図11は、実験からのプロットされたデータを示す。コンパートメント温度及びサプレッサー入口温度は両方とも、ラン全体を通して25℃で安定したままであった。サプレッサー出口温度は、再生剤の流れの中断に迅速に応答し、22.5分まで1℃だけ上昇することが示され、サプレッサー電圧は予め設定された安全値を超え、ランを停止した。
【0071】
実験条件。
【0072】
ICシステム:Thermo Scientific Dionex ICS-6000。
【0073】
溶離剤:0~10分間10mM KOH、10~30分間10~100mM KOH、30~60分間100mM KOH。
【0074】
溶離剤流量:0.25mL/分。
【0075】
サプレッサー:Thermo Scientific Dionex ADRS 600 2-mm。
【0076】
サプレッサー電流:62mA。
【0077】
再生剤流量:0~15分間0.25mL/分、15~25分間0mL/分、25~60分間1.5mL/分。
【0078】
コンパートメント温度:25℃。
【0079】
マルチメータ:Fluke 289 True-RMS Data Logging Multimeter。
【0080】
検出器:電気伝導度。
【0081】
データ記録:Thermo Scientific Dionex Chromeleon 7。
【0082】
実施例4. 試薬フリーイオンクロマトグラフィ(RFIC)システムにおける溶離剤の流れの閉塞の効果的な温度センシング。
【0083】
図12は、サプレッサー202をモニタリングするための別の実装態様を示す。熱電対(Omega 1-1/2インチ長の中空管TC、HTTC36-K-116G-1.5)として構成された1つの測定プローブ222を、サプレッサー202の出口に配置した。流量制限器(Idex Adjustable BPR、P-880)を電気伝導度検出器206aの出口に配置して、図13に示されるシステム圧力トレースに示されるように、それぞれ6.5分及び21分で890psiの背圧をサプレッサーに印加した。流量制限の継続時間は、各印加において約3分であった。サプレッサー出口温度は、背圧の増加に応答して応答して約1℃低下し、制限が除去された後にベースラインに回復することが示された。
【0084】
実験条件。
【0085】
ICシステム:Thermo Scientific Dionex ICS-6000。
【0086】
溶離剤:100mM KOH。
【0087】
溶離剤流量:0.25mL/分。
【0088】
サプレッサー:Thermo Scientific Dionex ADRS 600 2-mm。
【0089】
サプレッサー電流:62mA。
【0090】
再生剤流量:0.25mL/分。
【0091】
コンパートメント温度:25℃。
【0092】
マルチメータ:Fluke 289 True-RMS Data Logging Multimeter。
【0093】
検出器:電気伝導度。
【0094】
データ記録:Thermo Scientific Dionex Chromeleon 7。
【0095】
実施例5:圧力センサ
【0096】
ICS-5000+DPポンプからの圧力変換器を、サプレッサーDionex ERD 500 2-mmの溶離剤出口に接続した。一連の背圧管を電気伝導度検出器の出口に接続して、サプレッサーの下流における溶離剤の流れの閉塞をシミュレートするために様々な背圧を加えた。電気伝導度検出器を使用して、抑制効率(どれだけの塩が破過したかを直接示すものではない)に対する上昇した背圧の影響をモニタリングした。0.25mL/分の流量で300、400、500、及び600psiを加える背圧管を、各圧力値で約1分間、各圧力印加の間に約4分の間隔を置いて、電気伝導度検出器の出口に接続した。図14のプロットされたデータによって示されるように、電気伝導度、システム圧力、及び変換器の読み取り値は、すべて、圧力印加に応答した。電気伝導度の読み取り値は、いくらかの塩の破過の結果として増加した。圧力は、サプレッサーが背圧管のi.d.及び長さに基づいて計算された理論圧力値に適度に近い読み取り値を示した後に、システム圧力及び変換器から増加する。加えられる背圧が増加するにつれて、測定された圧力増加は、サプレッサーの溶離剤チャネルから再生剤チャネルに吸収される圧力(チャネル間リーク)の結果として、理論値からの偏差の増加を示す。
【0097】
実験条件。
【0098】
ICシステム:Thermo Scientific Dionex ICS-6000。
【0099】
溶離剤:10mM NaOAc/100 NaOH。
【0100】
溶離剤流量:0.25mL/分。
【0101】
サプレッサー:Thermo Scientific Dionex ERD 500 2-mm。
【0102】
サプレッサー電流:150mA。
【0103】
再生剤流量:1.5mL/分。
【0104】
コンパートメント温度:30℃。
【0105】
検出器:電気伝導度。
【0106】
圧力センサ:ICS-5000+DPからの変換器。
【0107】
データ記録:Thermo Scientific Dionex Chromeleon 7。
【0108】
本開示から得られる知識を有する当業者は、本開示の範囲から逸脱することなく、これらの及び他の利点を達成する際に、開示された装置及び方法に様々な変更がなされ得ることを認識するであろう。したがって、本明細書に記載の特徴は、修正、改変、変更、又は置換が可能であることを理解されたい。例えば、同じ結果を達成するために実質的に同じ機能を実質的に同じ方法で実行する要素及び/又はステップのすべての組み合わせが、本明細書に記載される実施形態の範囲内にあることが明確に意図される。記載された一実施形態から別の実施形態への要素の置換もまた、完全に意図及び企図されている。本明細書に示され記載される特定の実施形態は、例示的な目的のみであり、添付の特許請求の範囲に記載されるものを限定するものではない。他の実施形態は、当業者には明らかであろう。前述の説明は、明確にするためだけに提供され、単に例示的なものであることを理解されたい。本開示の趣旨及び範囲は、上記の実装態様及び実施例に限定されるのではなく、以下の特許請求の範囲によって包含される。上記で引用したすべての出版物及び特許出願は、あたかも各個々の出版物又は特許出願が参照によりそのように組み込まれることが具体的かつ個別に示される場合と同程度に、あらゆる目的で参照により全体として組み込まれる。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13
図14
【外国語明細書】