(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161584
(43)【公開日】2023-11-07
(54)【発明の名称】食品組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
A23L 33/105 20160101AFI20231030BHJP
【FI】
A23L33/105
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071387
(22)【出願日】2023-04-25
(31)【優先権主張番号】P 2022071954
(32)【優先日】2022-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】522167434
【氏名又は名称】小林再生研究所合同会社
(71)【出願人】
【識別番号】000126115
【氏名又は名称】エア・ウォーター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100181722
【弁理士】
【氏名又は名称】春田 洋孝
(72)【発明者】
【氏名】小林 英司
(72)【発明者】
【氏名】小林 翔
【テーマコード(参考)】
4B018
【Fターム(参考)】
4B018LB01
4B018LB05
4B018LB06
4B018LB10
4B018LE01
4B018LE02
4B018LE03
4B018LE04
4B018LE05
4B018LE06
4B018MD07
4B018MD08
4B018MD42
4B018MD52
4B018ME06
4B018ME07
4B018ME14
4B018MF06
4B018MF07
4B018MF14
(57)【要約】
【課題】有用な特性を示す食品組成物及びその製造方法を提供する。
【解決手段】実施形態に係る食品組成物は、中枢神経疾患の予防及び改善、酸化抑制、血流改善、体温の維持、体温低下の軽減、血中尿酸値の改善、アレルギー反応の抑制、免疫の賦活化及び調整、免疫機能の向上、並びに、免疫反応の増強からなる群より選択された1以上のための食品組成物であって、ヘスペリジン及びノビレチンを有効成分として含む、食品組成物である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中枢神経疾患の予防及び改善、酸化抑制、血流改善、体温の維持、体温低下の軽減、血中尿酸値の改善、アレルギー反応の抑制、免疫の賦活化及び調整、免疫機能の向上、並びに、免疫反応の増強からなる群より選択された1以上のための食品組成物であって、
ヘスペリジン及びノビレチンを有効成分として含む、食品組成物。
【請求項2】
認知機能低下の予防又は改善のための、請求項1に記載の食品組成物。
【請求項3】
ミカン科植物の皮の粉末を含む、
請求項1又は2に記載の食品組成物。
【請求項4】
食品組成物を製造する方法であって、
粉末状にしたミカン科植物の皮を媒体に担持させて、前記媒体中に固定化することを含む、方法。
【請求項5】
前記媒体は、コラーゲン、ゼラチン、寒天、及びアガーからなる群より選択された1以上を含む、
請求項4に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品組成物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ミカン科植物から抽出したノビレチン及びローヤルゼリーを有効成分として含む認知障害改善剤が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような成分の医薬分野や食品分野への応用は未だ限定的である。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、有用な特性を示す食品組成物及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の態様を含み得る。
[1]中枢神経疾患の予防及び改善、酸化抑制、血流改善、体温の維持、体温低下の軽減、血中尿酸値の改善、アレルギー反応の抑制、免疫の賦活化及び調整、免疫機能の向上、並びに、免疫反応の増強からなる群より選択された1以上のための食品組成物であって、ヘスペリジン及びノビレチンを有効成分として含む、食品組成物。
[2]認知機能低下の予防又は改善のための、[1]に記載の食品組成物。
[3]ミカン科植物の皮の粉末を含む、[1]又は[2]に記載の食品組成物。
[4]食品組成物を製造する方法であって、粉末状にしたミカン科植物の皮を媒体に担持させて、前記媒体中に固定化することを含む、方法。
[5]前記媒体は、コラーゲン、ゼラチン、寒天、及びアガーからなる群より選択された1以上を含む、[4]に記載の方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、有用な特性を示す食品組成物及びその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の
実施形態に限定されるものではない。
【0009】
<食品組成物>
本実施形態に係る食品組成物は、中枢神経疾患の予防及び改善、酸化抑制、血流改善、体温の維持、体温低下の軽減、血中尿酸値の改善、アレルギー反応の抑制、免疫の賦活化及び調整、免疫機能の向上、並びに、免疫反応の増強からなる群より選択された1以上のための食品組成物であって、ヘスペリジン及びノビレチンを有効成分として含む、食品組成物である。
【0010】
[ヘスペリジン]
本明細書において「ヘスペリジン」とは、ヘスペリジン若しくはその塩、又は、それらの水和物若しくは溶媒和物を指す。ヘスペリジンは、例えば、ミカン科植物中に存在する形態であり得るが、これに限定されない。ヘスペリジンは、天然物から分離又は抽出されてもよく、既知の方法で化学的に合成されてもよく、市販品などであってもよい。食品組成物の製造が簡便である点で、ミカン科植物中に存在する形態のヘスペリジンを使用することが好ましい。例えば、上記食品組成物に含まれるヘスペリジンは、ミカン科植物の皮に由来する。なお、メチルヘスペリジンやグリコシルヘスペリジンなどのヘスペリジン誘導体(例えば、水溶性のヘスペリジン誘導体)も使用可能であるが、上記食品組成物は、水溶性のヘスペリジン誘導体を含まなくてもよい。
【0011】
上記食品組成物におけるヘスペリジンの含有量は、例えば、0.1質量%以上、0.5質量%以上、1質量%以上、2質量%以上、3質量%以上、4質量%以上、又は5質量%以上である。上記食品組成物におけるヘスペリジンの含有量は、例えば、90質量%以下、80質量%以下、70質量%以下、60質量%以下、50質量%以下、40質量%以下、30質量%以下、20質量%以下、又は10質量%以下である。
【0012】
[ノビレチン]
本明細書において「ノビレチン」とは、3’,4’,5,6,7,8-ヘキサメトキシフラボン若しくはその塩、又は、それらの水和物若しくは溶媒和物を指す。ノビレチンは、例えば、ミカン科植物中に存在する形態であり得るが、これに限定されない。ノビレチンは、天然物から分離又は抽出されてもよく、既知の方法で化学的に合成されてもよく、市販品などであってもよい。食品組成物の製造が簡便である点で、ミカン科植物中に存在する形態のノビレチンを使用することが好ましい。例えば、上記食品組成物に含まれるノビレチンは、ミカン科植物の皮に由来する。
【0013】
上記食品組成物におけるノビレチンの含有量は、例えば、0.001質量%以上、0.005質量%以上、0.01質量%以上、0.02質量%以上、0.03質量%以上、0.04質量%以上、又は0.05質量%以上である。上記食品組成物におけるノビレチンの含有量は、例えば、90質量%以下、80質量%以下、70質量%以下、60質量%以下、50質量%以下、40質量%以下、30質量%以下、20質量%以下、10質量%以下、5質量%以下、1質量%以下、0.5質量%以下、又は0.1質量%以下である。
【0014】
上記食品組成物におけるヘスペリジンとノビレチンとの含有量の比は、例えば、質量比で300:1~100:1であり、好ましくは250:1~150:1である。
【0015】
[ミカン科植物]
ヘスペリジン及びノビレチンの原料として、ミカン科植物を使用することができる。例えば、上記食品組成物は、ミカン科植物の皮の粉末を含み得る。好ましくは、上記食品組成物に含まれるヘスペリジン及びノビレチンは、このミカン科植物の皮の粉末中に存在する。使用するミカン科植物は、ヘスペリジン及びノビレチンを含有するものであれば特に限定されない。使用可能なミカン科植物の例として、ウンシュウミカン、ナツミカン、イヨカン、ユズ、オレンジ、キシュウミカン、ヒュウガナツ、ポンカン、カボス、スダチ、シトロン、ライム、グレープフルーツ、レモン、シークワーサーなどが挙げられる。
【0016】
このように、上記食品組成物が、ヘスペリジン及びノビレチンの供給源としてミカン科植物の皮を含むことは、別途ヘスペリジン及びノビレチンを抽出などによって取得する必要がない点で好ましい。すなわち、ミカン科植物の皮をそのまま使用することにより、製造工程の簡便化及び製造コストの低減が可能である。特に、十分に熟していないミカン科植物は、ヘスペリジンを多く含む傾向がある点で使用に適している。経済効率的な観点では、間引きされたミカン科植物を上記食品組成物の原料として使用するのが好ましい。
【0017】
[リモネン]
上記食品組成物を、リモネンの分解酵素を持たない動物用のペットフードとして提供する場合には、食品組成物に含まれるリモネンの量は、極力少ないことが好ましい。上記食品組成物におけるリモネンの含有量は、例えば、0質量%以上であって、1質量%以下、0.1質量%以下、0.01質量%以下、又は0.001質量%以下である。好ましくは、上記食品組成物は、リモネンを実質的に含まない。
【0018】
[媒体]
上記食品組成物は、形態を保持する媒体を含み得る。媒体は、少なくとも部分的に可食性であり、好ましくは全体として可食性である。好ましくは、媒体は、生分解性を有する。媒体は、ヘスペリジン及びノビレチンを担持することができる。媒体は、固体、液体、ゲルなどであってよい。好ましくは、媒体は、ヘスペリジン及びノビレチンを担持した状態でゲル化したゲル状媒体である。例えば、媒体は、コラーゲン、ゼラチン、寒天、及びアガーからなる群より選択された1以上を含む。
【0019】
上記食品組成物における上記媒体の含有量は、例えば、1質量%以上、5質量%以上、10質量%以上、20質量%以上、30質量%以上、40質量%以上、又は50質量%以上である。上記食品組成物におけるヘスペリジンの含有量は、例えば、99.9質量%以下、99質量%以下、95質量%以下、90質量%以下、85質量%以下、80質量%以下、70質量%以下、60質量%以下、又は50質量%以下である。
【0020】
[他の添加物]
上記食品組成物は、任意の添加物を含んでよい。添加物の例としては、調味料、防臭剤、着色料、香料、防腐剤、安定剤、酸化防止剤、増粘剤、乾燥材、粘結剤、栄養剤、薬剤などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0021】
[食品組成物の投与対象]
上記食品組成物は、ヒト又は非ヒト動物に投与され得る。非ヒト動物の例として、ペット(例えば、イヌ、ネコ)、家畜(例えば、ウシ、ブタ)、施設での飼育動物(例えば、ウサギ、ライオン)、使役動物(例えば、盲導犬、警察犬)などが挙げられる。
【0022】
[食品組成物の用途]
後述の実施例に示すように、本実施形態に係る食品組成物は、中枢神経疾患として認知機能障害を持つイヌに投与されることにより、当該中枢神経疾患を改善する作用を有する。したがって、上記食品組成物は、中枢神経疾患を予防又は改善するために使用することができる。
【0023】
本明細書において「中枢神経疾患」とは、脳及び脊髄における疾患を意味する。中枢神経疾患の例として、認知機能障害などが挙げられる。「認知機能」とは、理解、判断、論理、知覚、想像、推論、決定、記憶、言語理解、計算、学習、思考などを含む脳の知的機能を意味する。「認知機能障害」とは、認知機能の低下など、認知機能における障害を意味する。例として、アルツハイマー型認知症、血管性認知症、レビー小体型認知症、パーキンソン病に伴う認知症、前頭側頭型認知症などが挙げられる。「認知機能障害の予防又は改善」とは、認知機能の障害を事前に抑制若しくは防止すること、認知機能の低下を軽減、抑制、若しくは防止すること、又は、認知機能を維持若しくは向上させることを意味する。
【0024】
上記食品組成物は、上記作用以外に、構成成分に由来して、活性酸素の過剰発生を抑制することにより酸化を抑制する作用を示し得る。したがって、上記食品組成物は、酸化抑制のために使用することができる。
【0025】
上記食品組成物は、上記作用以外に、構成成分に由来して、血液循環における血流(例えば末梢血流)を改善する作用を示し得る。したがって、上記食品組成物は、血流改善のために使用することができる。
【0026】
上記食品組成物は、上記作用以外に、構成成分に由来して、体温(例えば末梢体温)を維持する作用、又は体温の低下を軽減する作用を示し得る。したがって、上記食品組成物は、体温の維持又は体温低下の軽減のために使用することができる。
【0027】
上記食品組成物は、上記作用以外に、構成成分に由来して、血中尿酸値を改善する作用を示し得る。例えば、上記食品組成物は、血中尿酸値の上昇を抑制又は血中尿酸値を低下させ得る。上記食品組成物は、血中尿酸値を、正常な範囲内の値又は正常な範囲に近い値に調整し得る。したがって、上記食品組成物は、血中尿酸値の改善のために使用することができる。
【0028】
上記食品組成物は、上記作用以外に、構成成分に由来して、アレルギー反応を抑制する作用を示し得る。したがって、上記食品組成物は、アレルギー反応の抑制のために使用することができる。
【0029】
上記食品組成物は、上記作用以外に、構成成分に由来して、免疫を賦活化若しくは調整する作用、免疫機能を向上させる作用、及び/又は、免疫反応を増強する作用を示し得る。作用対象の免疫は特に限定されず、例えば、コロナウイルスなどのウイルスに対する免疫や、細菌に対する免疫であってよい。したがって、上記食品組成物は、免疫の賦活化若しくは調整、免疫機能の向上、及び/又は、免疫反応の増強のために使用することができる。
【0030】
上記食品組成物は、上記効果のうち1以上のための、ヒト又は非ヒト動物用の食品、又はそのような食品の原料として使用され得る。例えば、上記食品組成物は、認知機能低下の予防又は改善のための食品組成物であり得る。例えば、上記食品組成物は、上記効果のうち1以上を表示した食品、ペットフード、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品、栄養補助食品、栄養強化食品、健康食品、サプリメントなどとして提供されてよい。なお、食用以外に、上記組成物は、ヒト又は非ヒト動物用の医薬品若しくは医薬部外品、又はこれらの原料としても使用され得る。
【0031】
上記食品組成物が食品の形態で提供される場合、食品の形態例としては、粒状物、成形体、ゲル状物、粉末、フレーク、ブロック、ペースト、シート、積層体、液状物などが挙げられるが、これらに限定されない。特に、上記食品組成物がペットフードの形態で提供される場合、動物が食べやすいペットフードの形態例としては、粒状物、成形体、ゲル状物、フレーク、ブロック、ペーストなどが挙げられるが、これらに限定されない。なお、上記食品組成物は、飲料として提供されてもよい。上記食品組成物は、任意の食品に配合して提供されてもよい。
【0032】
<食品組成物の製造方法>
本実施形態に係る食品組成物の製造方法は、粉末状にしたミカン科植物の皮を媒体に担持させて、前記媒体中に固定化することを含む。
【0033】
上記方法は、以下のステップを含み得る。
(a)ミカン科植物の皮を粉末化する粉末化ステップ
(b)ミカン科植物の皮に含まれる一部の成分を揮発させる揮発ステップ
(c)粉末状にしたミカン科植物の皮を媒体と混合する混合ステップ
(d)粉末状にしたミカン科植物の皮を媒体中に固定化する固定化ステップ
【0034】
[粉末化ステップ]
粉末化ステップでは、任意の粉砕手段によってミカン科植物の皮を粉砕する。粉砕手段の例として、一般的なミキサーやブレンダー、ディスクミルやボールミルなどのミリング装置、超音波破砕機などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0035】
[揮発ステップ]
揮発ステップでは、任意の揮発手段によってミカン科植物の皮に含まれる成分を揮発させる。揮発手段の例として、加熱乾燥、減圧乾燥などが挙げられるが、これらに限定されない。揮発ステップは、特に、ミカン科植物に含まれるリモネンなどの成分の分解酵素を持たない動物(ネコなど)が投与対象である場合に実行されてよい。この場合、揮発ステップにおいてリモネンを揮発させることが好ましい。なお、揮発ステップは、粉末化ステップの前に実行されてもよい。
【0036】
[混合ステップ]
混合ステップでは、任意の混合手段によって、ミカン科植物の皮を媒体と混合する。混合手段の例として、箸やスプーンなど手動での混合具、ミキサーやブレンダーなどの混合機械などが挙げられるが、これらに限定されない。ミカン科植物の皮及び媒体以外に、水などの液体や任意の添加物が添加されてもよい。混合中及び/又は混合の前後において、加熱を行ってもよい。なお、粉砕前のミカン科植物の皮と固体状の媒体とを混合した後で、混合物全体を粉砕してもよい。
【0037】
[固定化ステップ]
固定化ステップでは、粉末状にしたミカン科植物の皮を媒体に担持させる。これにより、ミカン科植物の皮が媒体中に固定化される。例えば、媒体がゲル化可能又は硬化可能な流動物である場合には、粉末状にしたミカン科植物の皮を流体状の媒体と混合した後、熱や光などの外部刺激を与えて媒体をゲル化又は硬化させることができる。これにより、ゲル化又は硬化した媒体中に、ミカン科植物の皮の粉末が固定化される。あるいは、媒体が固体粉末である場合には、粉末状にしたミカン科植物の皮を、粉末状の媒体と混合した後、混合物を押し固めることができる。これにより、ミカン科植物の皮の粉末を、ブロック状に押し固められた媒体中に固定化することができる。その他、任意の手法が使用可能である。
【0038】
以上のような食品組成物の製造方法によれば、ミカン科植物の皮を粉末化して媒体中に固定化するという簡便な操作によって、上述の用途に適した食品組成物を容易に製造することができる。
【0039】
さらに、本実施形態は、以下の態様を含む。
(1)中枢神経疾患の予防及び改善、酸化抑制、血流改善、体温の維持、体温低下の軽減、血中尿酸値の改善、アレルギー反応の抑制、免疫の賦活化及び調整、免疫機能の向上、並びに、免疫反応の増強からなる群より選択された1以上の用途のための食品組成物におけるヘスペリジン及びノビレチンの使用
(2)中枢神経疾患の予防及び改善、酸化抑制、血流改善、体温の維持、体温低下の軽減、血中尿酸値の改善、アレルギー反応の抑制、免疫の賦活化及び調整、免疫機能の向上、並びに、免疫反応の増強からなる群より選択された1以上の用途のための食品組成物の製造におけるヘスペリジン及びノビレチンの使用
(3)中枢神経疾患の予防及び改善、酸化抑制、血流改善、体温の維持、体温低下の軽減、血中尿酸値の改善、アレルギー反応の抑制、免疫の賦活化及び調整、免疫機能の向上、並びに、免疫反応の増強からなる群より選択された1以上を、その必要のある対象に対して行う方法であって、ヘスペリジン及びノビレチンを含む食品組成物を当該対象に投与することを含む方法
【実施例0040】
[実施例1]
市販の有田みかんの皮粉末を用意した。成分分析の結果、みかんの皮粉末100gに以下の成分が含まれていることがわかった。また、残留農薬(国産柑橘向け200農薬、ジチアノン、ジチオカルバメート)の量を調べた結果、検出結果は基準値を下回った。
・ヘスペリジン:6.4g
・ノビレチン:32mg
・ビタミンC:45mg
・リモネン:23mg
・Β-クリプトキサンチン:5.69mg
・β-カロテン:200μg
【0041】
上記のみかんの皮粉末1gを、ゲル化可能な媒体(ブタコラーゲン、鳥の皮コラーゲン、及び/又は、クッキングゼラチン)とともに約50℃で加熱混合し、1cm×1cm×1cm大のキューブ状に固めた。得られた固形キューブを、1歳のオス柴犬、3歳のメス柴犬、及び14歳のメス柴犬に投与したところ、いずれも好んで食べた。
【0042】
次いで、アルツハイマー症状(食欲低下、怯え、夜泣き、行動力低下)を示す14歳のメス柴犬に、上記固形キューブを1日あたり2個~4個、1ヶ月間投与した(投与第1期)。その結果、投与開始後7日目から上記の4症状が改善し、怯えが消えて飼い主に近づくようになった。また、歩行速度の改善も見られた。便性状などの変化は特に見られなかった。
【0043】
投与開始から約1ヶ月後、同メス柴犬への投与を中止したところ、9日後に徐々に震えや怯え、時計回りの回転などの挙動を示した。そこで、再び固形キューブの投与を開始した(投与第2期)。投与第1期とは異なり、投与する固形キューブにはシーチキンの汁又はクッキングゼラチンを混ぜて作成した。投与再開7日目より、前記のパーキンソン様症状も改善した。10ヶ月の連続投与でも、副作用と思われる所見は認められなかった。投与開始から約1年後、同メス柴犬は、吠える行動などもなく、大人しく永眠した。
【0044】
以下、より具体的な製造プロセスの一例を説明する。みかんの皮粉末15gと、クッキングゼラチン(森永製菓製)1袋(5g入り、コラーゲン4.600mg含有)とを混合し、必要に応じて肉やシーチキンの汁やバタークッキーを添加し、全量が200mLになるように温水を添加して、15個の固形キューブを製造した。なお、固形化を早めるために、冷蔵庫(4℃)内に数時間静置した。
【0045】
[実施例2]
14歳のメスのミニチュアダックスに、実施例1と同様にして、固形キューブを投与した。投与後、吠える行動やボケ症状が軽減し、投与開始から9か月時点で良好な状態である。
【0046】
[実施例3]
19歳のオスのミニチュアダックスに、実施例1と同様にして、固形キューブを投与した。投与後、吠える行動が軽減し、怯えもなくなり、投与開始から9ヶ月時点で、体重が9kgから6kgまで減少したものの、食欲良好である。
【0047】
[実施例4]
市販の和歌山極早生種みかん(10月収穫)の皮を剥き、剥いた皮を乾燥させて数ミリメートル角に砕き、和歌山極早生種みかんの皮を原料とする乾燥チップを得た。成分分析の結果、乾燥チップ100gに以下の成分が含まれていることがわかった。また、実施例1と同様に残留農薬の量を調べた結果、検出結果は基準値を下回った。実施例1の有田みかんの皮粉末に代えて、本実施例の乾燥チップを使用して食品組成物を製造することが可能である。
・ヘスペリジン:11g
・ノビレチン:42mg
・ヘスペレチン:0.6mg
・リモネン:820mg
【0048】
[実施例5]
市販の国産温州みかん(12月収穫)の皮を剥き、剥いた皮を乾燥させて数ミリメートル角に砕き、国産温州みかんの皮を原料とする乾燥チップを得た。成分分析の結果、乾燥チップ100gに以下の成分が含まれていることがわかった。また、実施例1及び実施例2と同様に残留農薬の量を調べた結果、検出結果は基準値を下回った。実施例1の有田みかんの皮粉末に代えて、本実施例の乾燥チップを使用して食品組成物を製造することが可能である。
・ヘスペリジン:7.6g
・ノビレチン:32mg
・ヘスペレチン:0.9mg
・リモネン:1,100mg