(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023001616
(43)【公開日】2023-01-06
(54)【発明の名称】管理システム、照明装置および無線タグ
(51)【国際特許分類】
H05B 47/19 20200101AFI20221226BHJP
H05B 47/17 20200101ALI20221226BHJP
G01S 5/14 20060101ALI20221226BHJP
【FI】
H05B47/19
H05B47/17
G01S5/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021102447
(22)【出願日】2021-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】391001457
【氏名又は名称】アイリスオーヤマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【弁理士】
【氏名又は名称】小淵 景太
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 智和
(72)【発明者】
【氏名】尾形 大輔
(72)【発明者】
【氏名】平間 美香
【テーマコード(参考)】
3K273
5J062
【Fターム(参考)】
3K273PA04
3K273QA31
3K273RA16
3K273SA11
3K273SA31
3K273SA57
3K273SA60
3K273TA03
3K273TA05
3K273TA15
3K273TA28
3K273TA40
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3K273UA13
3K273UA15
3K273UA17
3K273UA22
3K273UA27
3K273UA29
5J062AA08
5J062CC15
5J062HH05
(57)【要約】
【課題】 無線信号を削減することが可能な管理システム、照明装置および無線タグを提供すること。
【解決手段】 制御装置Ctと、各々が固有の識別情報を有する複数の照明装置Lと、複数の無線タグWtと、を備える管理システムA1であって、制御装置Ctと複数の照明装置Lとは、第1無線電波を用いた第1無線通信によって相互に通信し、無線タグWtは、第2無線電波を用いた第2無線通信によって固有の無線タグ情報Wsを送信し、複数の照明装置Lは、第1無線通信を行い且つ第2無線通信を行わない第1状態と、第2無線通信を行い且つ第1無線通信を行わない第2状態と、を切り替える切替モードに設定された照明装置Lを含む。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御装置と、
各々が固有の識別情報を有する複数の中継ユニットと、
複数の無線タグと、を備える管理システムであって、
前記制御装置と複数の前記中継ユニットとは、第1無線電波を用いた第1無線通信によって相互に通信し、
前記無線タグは、第2無線電波を用いた第2無線通信によって固有の無線タグ情報を送信し、
複数の前記中継ユニットは、前記第1無線通信を行い且つ前記第2無線通信を行わない第1状態と、前記第2無線通信を行い且つ前記第1無線通信を行わない第2状態と、を切り替える切替モードに設定された前記中継ユニットを含む、管理システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記切替モードに設定される前記中継ユニットの前記識別情報を含む設定信号を複数の前記中継ユニットに一斉に送信し、
複数の前記中継ユニットのうち、前記設定信号に含まれる前記識別情報と自ユニットの前記識別情報とが一致する前記中継ユニットは、前記切替モードに設定される、請求項1に記載の管理システム。
【請求項3】
複数の前記中継ユニットは、光源部と、前記光源部を制御する照明装置側制御部と、前記第1無線通信を行う第1無線通信部および前記第2無線通信を行う第2無線通信部を含む無線通信モジュールと、を備える照明装置によって構成された前記中継ユニットを含み、
前記照明装置によって構成された前記中継ユニットは、前記切替モードに設定された場合に、前記照明装置側制御部が、前記第1状態において前記無線通信モジュールの前記第1無線通信部を用い、前記第2状態において前記無線通信モジュールの前記第2無線通信部を用い、
前記制御装置は、前記照明装置の点灯状態を制御する照明制御信号を前記第1無線通信によって送信する、請求項1または2に記載の管理システム。
【請求項4】
請求項3に記載の管理システムに用いられる照明装置であって、
前記識別情報を記憶する照明装置側記憶部をさらに備え、
前記照明装置側制御部は、前記無線タグから前記第2無線通信によって受信した前記無線タグ情報とタイムスタンプとを含む転送データを作成し、前記第1無線通信部から前記第1無線通信によって前記転送データを送信する、照明装置。
【請求項5】
請求項1ないし3のいずれかに記載の管理システムに用いられる無線タグであって、
ユーザに携帯される携帯品に組み込まれており、
無線通信部、無線タグ側制御部、無線タグ側記憶部および電源部を有し、
前記電源部は、
電波を受信するアンテナ部を有し、且つ前記アンテナ部による電波受信によって生じる電磁誘導による発電、または、
光電変換機能を有する受光部を有し、且つ前記受光部の受光による発電、
を行う自己発電部により構成されており、
前記電源部の発電による電力を用いて、前記無線タグ側制御部は、前記無線タグ側記憶部に記憶された前記無線タグ情報を、前記無線通信部から前記第2無線通信によって送信する、無線タグ。
【請求項6】
前記無線タグ側制御部は、前記電源部の前記受光部を用いた発電による電力が、第1電力範囲であるか、前記第1電力範囲よりも低電力の範囲である第2電力範囲であるか、を判断し、
前記無線タグ側制御部は、前記受光部を用いた発電による電力が前記第2電力範囲内である場合に、前記受光部を用いた発電による電力が前記第1電力範囲内である場合よりも、前記無線タグ情報の送信頻度を低下させる、請求項5に記載の無線タグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管理システム、照明装置および無線タグに関する。
【背景技術】
【0002】
複数のデバイスを遠隔的な手段によって管理システムが種々に提案されている。特許文献1には、従来の管理システムの一例が開示されている。同文献に開示された管理システムは、複数の照明器具とデバイスとを備えており、複数のデバイスの位置を検出する。複数の照明器具とデバイスとは、ビーコンを用いた双方向無線通信を行う。これにより、複数の照明器具に対するデバイスの位置検出が可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開2017/213808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記システムにおいては、複数の照明装置のそれぞれとデバイスとが、送信および受信を行う。このため、照明器具やデバイスの個数が多くなると、干渉や輻輳等が生じ、位置検出の精度が低下するおそれがある。
【0005】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、無線信号を削減することが可能な管理システム、照明装置および無線タグを提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の側面によって提供される管理システムは、制御装置と、各々が固有の識別情報を有する複数の中継ユニットと、複数の無線タグと、を備える管理システムであって、前記制御装置と複数の前記中継ユニットとは、第1無線電波を用いた第1無線通信によって相互に通信し、前記無線タグは、第2無線電波を用いた第2無線通信によって固有の無線タグ情報を送信し、複数の前記中継ユニットは、前記第1無線通信を行い且つ前記第2無線通信を行わない第1状態と、前記第2無線通信を行い且つ前記第1無線通信を行わない第2状態と、を切り替える切替モードに設定された前記中継ユニットを含む。
【0007】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記制御装置は、前記切替モードに設定される前記中継ユニットの前記識別情報を含む設定信号を複数の前記中継ユニットに一斉に送信し、複数の前記中継ユニットのうち、前記設定信号に含まれる前記識別情報と自ユニットの前記識別情報とが一致する前記中継ユニットは、前記切替モードに設定される。
【0008】
本発明の好ましい実施の形態においては、複数の前記中継ユニットは、光源部と、前記光源部を制御する照明装置側制御部と、前記第1無線通信を行う第1無線通信部および前記第2無線通信を行う第2無線通信部を含む無線通信モジュールと、を備える照明装置によって構成された前記中継ユニットを含み、前記照明装置によって構成された前記中継ユニットは、前記切替モードに設定された場合に、前記照明装置側制御部が、前記第1状態において前記無線通信モジュールの前記第1無線通信部を用い、前記第2状態において前記無線通信モジュールの前記第2無線通信部を用い、前記制御装置は、前記照明装置の点灯状態を制御する照明制御信号を前記第1無線通信によって送信する。
【0009】
本発明の第2の側面によって提供される照明装置は、本発明の第1の側面によって提供される管理システムに用いられる照明装置であって、前記識別情報を記憶する照明装置側記憶部をさらに備え、前記照明装置側制御部は、前記無線タグから前記第2無線通信によって受信した前記無線タグ情報とタイムスタンプとを含む転送データを作成し、前記第1無線通信部から前記第1無線通信によって前記転送データを送信する。
【0010】
本発明の第3の側面によって提供される無線タグは、本発明の第1の側面によって提供される管理システムに用いられる無線タグであって、ユーザに携帯される携帯品に組み込まれており、無線通信部、無線タグ側制御部、無線タグ側記憶部および電源部を有し、前記電源部は、電波を受信するアンテナ部を有し、且つ前記アンテナ部による電波受信によって生じる電磁誘導による発電、または、光電変換機能を有する受光部を有し、且つ前記受光部の受光による発電、を行う自己発電部により構成されており、前記電源部の発電による電力を用いて、前記無線タグ側制御部は、前記無線タグ側記憶部に記憶された前記無線タグ情報を、前記無線通信部から前記第2無線通信によって送信する。
【0011】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記無線タグ側制御部は、前記電源部の前記受光部を用いた発電による電力が、第1電力範囲であるか、前記第1電力範囲よりも低電力の範囲である第2電力範囲であるか、を判断し、前記無線タグ側制御部は、前記受光部を用いた発電による電力が前記第2電力範囲内である場合に、前記受光部を用いた発電による電力が前記第1電力範囲内である場合よりも、前記無線タグ情報の送信頻度を低下させる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、無線信号を削減することができる。
【0013】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る管理システムを示すシステム構成図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る管理システムの照明装置を示すブロック図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係る管理システムの無線タグを示すブロック図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係る管理システムの制御装置を示すブロック図である。
【
図5】本発明の第1実施形態に係る管理システムの設定装置を示すブロック図である。
【
図6】本発明の第1実施形態に係る管理システムを示す概略配置図である。
【
図7】本発明の第1実施形態に係る管理システムを示す概略配置図である。
【
図8】本発明の第1実施形態に係る管理システムの照明装置のモードを示す説明図である。
【
図9】本発明の第1実施形態に係る管理システムのシーケンスダイアグラムである。
【
図10】本発明の第1実施形態に係る管理システムのシーケンスダイアグラムである。
【
図11】本発明の第2実施形態に係る管理システムのシーケンスダイアグラムである。
【
図12】本発明の第3実施形態に係る管理システムを示す概略配置図である。
【
図13】本発明の第3実施形態に係る管理システムの無線タグを示すブロック図である。
【
図14】本発明の第3実施形態に係る管理システムのセンサ装置を示すブロック図である。
【
図15】本発明の第3実施形態に係る管理システムのシーケンスダイアグラムである。
【
図16】本発明の第3実施形態に係る管理システムのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0016】
本開示における「第1」、「第2」、「第3」等の用語は、単に識別のために用いたものであり、それらの対象物に順列を付することを意図していない。
【0017】
<第1実施形態>
図1~
図10は、本発明の第1実施形態に係る管理システムを示している。
図1に示すように、本実施形態の管理システムA1は、複数の照明装置L、制御装置Ctおよび複数の無線タグWtを備える。また、管理システムA1は、これらの構成要素に加えて、設定装置Md、外部記憶装置Sdおよび時計ユニットUtを備えている。なお、管理システムA1は、設定装置Md、外部記憶装置Sdおよび時計ユニットUtのすべて、またはいずれかを備えていない構成であってもよい。管理システムA1は、複数の無線タグWtを用いた管理を行うシステムである。
【0018】
〔照明装置L(中継ユニット)〕
照明装置Lは、本発明における中継ユニットの具体例である。中継ユニットの具体例としては、照明装置Lに限定されない。たとえば、以降に説明する照明装置Lから光源部11を除いた専用の構成の中継ユニットを用いてもよい。
【0019】
複数の照明装置Lは、たとえば屋内の照明に用いられ、天井、壁面、床面等の種々の箇所に設置される。また、照明装置Lは、屋外の照明に用いられる構成であってもよい。照明装置Lの具体的な形態は何ら限定されず、直管形照明や高天井照明、シーリングライト、ダウンライト、ベースライト、スポットライト等の種々の形態を適宜採用可能である。以降の説明においては、照明装置Lの一般的な構成を述べる場合に照明装置Lと称するとともに、複数の照明装置Lを区別する場合に照明装置L1、・・・照明装置Ln等の符号を適宜用いる場合がある。
図1における複数の照明装置L1~Lnは、それぞれの構成が同一であってもよいし、互いの一部が共通していてもよいし、互いに異なる構成、異なる形態であってもよい。以降の説明においては、特段の記載がない限り、複数の照明装置L1~Lnが同一の構成である場合を例に説明する。
【0020】
図2は、照明装置Lのブロック図である。照明装置Lは、光源部11、制御部12、記憶部13、無線通信モジュール14および電源部15を備える。
【0021】
光源部11は、照明装置Lにおいて発光機能を果たす部位である。光源部11の具体的構成は何ら限定されず、たとえば、基板と当該基板に列をなして搭載された複数のLEDとからなる。また、照明装置Lは、光源部11からの光を透過させる透明または半透明のカバー(図示略)を適宜有する。
【0022】
制御部12は、制御装置Ctからの制御信号等に基づいて、照明装置Lの各部を制御するためのものである。制御部12は、本発明における照明装置側制御部に相当する。制御部12の具体的構成は特に限定されず、たとえばCPUからなる。記憶部13は、制御部12の制御に必要な情報を記憶するためのものであり、たとえば半導体メモリからなる。記憶部13は、本発明における照明装置側記憶部に相当する。なお、記憶部13は、照明装置Lの筐体(図示略)に内蔵されるものに限定されず、照明装置Lの筐体の外部に着脱可能に設けられるものであってもよい。
【0023】
無線通信モジュール14は、制御装置Ctおよび通信ネットワークを構成する他の照明装置Lと、複数の無線タグWtの少なくともいずれかと無線通信を行うための通信部であり、無線信号を送信および受信するモジュールである。無線通信モジュール14は、たとえば、UART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)通信によって制御部12と接続されているが、これに限定されない。本実施形態の無線通信モジュール14は、第1無線通信部141および第2無線通信部142を有する。
【0024】
無線通信モジュール14の機能を例示すると、制御装置Ctからのデータを受信し、受信したデータに含まれる信号(たとえば指定信号)を制御部12に送信する。また、データを受信したことを示すアクノリッジ信号を制御装置Ctに送信する。また、照明装置Lの動作状況を示すステータス情報信号を制御装置Ctに送信してもよい。
【0025】
本実施形態においては、複数の照明装置Lの各々が有する固有の照明装置ID等の識別情報が、無線通信モジュール14に記憶されている。識別情報の具体例は特に限定されず、たとえばMAC(Media Access Control)アドレスや位置情報である。なお、照明装置IDは、第1無線通信部141および第2無線通信部142のいずれか、もしくはこれら以外の無線通信モジュール14の構成要素に記憶されていてもよいし、たとえば記憶部13に記憶されていてもよい。無線通信モジュール14は、受信した信号のうち、自装置の照明装置ID(識別情報)に対する信号であると認識した場合に、当該信号を制御部12に伝達する。
【0026】
第1無線通信部141は、制御装置Ctおよび他の照明装置Lと第1無線電波を用いた第1無線通信を行うためのものである。第1無線電波を用いた第1無線通信は何ら限定されず、本実施形態においては、第1プロトコルを用いた無線通信として説明する。第1プロトコルを用いた無線通信の通信周波数は何ら限定されず、たとえ920MHz帯、2.4GHz帯、5GHz帯等が例示される。また、第1プロトコルの具体例は特に限定されず、たとえば、BLE(Bluetooth Low Energy)を含むBluetooth(登録商標)、Zigbee(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、あるいは独自規格のプロトコルなどが例示される。本実施形態においては、第1無線通信部141を有する複数の照明装置Lと制御装置Ctとが、たとえば2.4GHz帯の第1無線電波を用いた独自プロトコルにより、
図1に示すメッシュネットワークである第1無線通信ネットワークCn1を構築している。第1プロトコルは、後述のように複数の照明装置L間で各種データの転送に用いられるため、それらのデータ転送に必要となる転送速度や、信頼性を確保した上で、メッシュネットワークを構築できるプロトコルが選択される。
【0027】
なお、本実施形態においては、制御装置Ctは、第1無線通信ネットワークCn1のルートノード(root node)である。複数の照明装置Lのいずれかは、GM(ゲートモジュール)として機能してもよい。ゲートモジュールは、クラスタのルートノードであり、制御装置Ctに接続する。このとき、ゲートモジュールは、他のゲートモジュールとともにメッシュネットワークを構築し、制御装置Ctに通信接続する。ゲートモジュールは、他のゲートモジュールや制御装置Ctとの通信品質を常に評価しており、通信品質が最も良い相手に自動的に接続する。同様に、照明装置Lも他の照明装置Lまたはゲートモジュールとの通信品質を常に評価しており、通信品質が最も良い相手に自動的に接続する。通常の照明装置Lもゲートモジュールとして機能する照明装置Lも、ハードウェア構成は同じである。照明装置Lが搭載するソフトウエアを異なるようにするか、モード切替によって通常の照明装置Lとして動作するか、ゲートモジュールとして動作するかを切り替えてもよい。
【0028】
第2無線通信部142は、無線タグWtと第2無線電波を用いた第2無線通信を行うためのものである。第2無線電波は、第1無線電波と異なる無線電波であり、周波数帯やプロトコルが互いに異なる。第2無線電波を用いた第2無線通信は何ら限定されず、本実施形態においては、第2プロトコルを用いた無線通信として説明する。第2プロトコルを用いた無線通信の通信周波数は何ら限定されず、たとえ920MHz帯、2.4GHz帯、5GHz帯等が例示される。また、第2プロトコルの具体例は特に限定されず、たとえば、BLE(Bluetooth Low Energy)を含むBluetooth(登録商標)、Zigbee(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、あるいは独自規格のプロトコルなどが例示される。第2プロトコルとしては、たとえば近距離に位置する無線タグWtと無線通信を行うことを意図した場合に、たとえば、Bluetooth(登録商標)が選択される。
【0029】
また、第1無線通信部141および第2無線通信部142のいずれかまたは双方は、ビーコン信号を送信してもよい。ビーコン信号は、所定間隔毎に送信される。ビーコン信号の送信間隔は、たとえば制御装置Ctからの設定信号等によって設定され、たとえば、100~500msである。出力間隔を長くすることで、電力消費を抑えることができる。
【0030】
ビーコン信号は、照明装置Lの自器具の識別情報(照明装置ID)を含んでいてもよい。また、ビーコン信号は、タイムスタンプを含んでいてもよい。この識別情報は、照明装置Lの位置を直接示す位置情報であってもよいし、MACアドレス等であってもよい。
【0031】
電源部15は、光源部11、制御部12および無線通信モジュール14等に動作に必要な電力を供給するためのものである。電源部15は、たとえば商用の交流100Vまたは200V電力を直流電力に変換するAC/DCコンバータとしての機能や、変圧機能等を有する。
【0032】
照明装置Lを含む中継ユニットは、切替モードに設定可能である。切替モードは、第1状態と第2状態とを切り替えるモードである。第1状態は、第1無線電波を用いた第1無線通信を行い、且つ第2無線電波を用いた第2無線通信を行わない状態である。第2状態は、第2無線電波を用いた第2無線通信を行い、且つ第1無線電波を用いた第1無線通信を行わない状態である。第1状態と第2状態との切り替えは、時間軸において、それぞれを交互に有効/無効とすることで設定される。
【0033】
本実施形態の照明装置Lの場合、制御部12が無線通信モジュール14の第1無線通信部141を有効とし、第2無線通信部142を無効とする制御を行うことにより、第1状態が実現される。また、制御部12が無線通信モジュール14の第2無線通信部142を有効とし、第1無線通信部141を無効とする制御を行うことにより、第2状態が実現される。
【0034】
管理システムA1を構成する複数の照明装置L(中継ユニット)は、すべての照明装置Lが切替モードに設定可能な構成であってもよいし、いずれかの照明装置Lのみが切替モードに設定可能な構成であってもよい。
【0035】
さらに、本実施形態の照明装置Lは、固定モードに設定可能である。固定モードは、第1無線電波を用いた第1無線通信を行い、且つ第2無線電波を用いた第2無線通信を行わない状態、すなわち第1状態に固定されたモードである。固定モードの照明装置Lは、第1無線電波を用いた第1無線通信を行うため、第1無線通信ネットワークCn1を構成するノードとして機能するが、無線タグWtとの通信は行わない。
【0036】
管理システムA1を構成する複数の照明装置Lのうち、いずれかの照明装置Lが固定モードである場合、この照明装置Lは、切替モードと固定モードとが設定可能である構成であって、固定モードに設定されたものであってもよいし、切替モードを有さず固定モードのみに設定可能なものであってもよい。すなわち、固定モードのみに設定可能な照明装置Lは、上述の第2無線通信部142を有さない構成であってもよい。
【0037】
〔無線タグWt〕
無線タグWtは、本実施形態の管理システムA1において管理対象となるデバイスである。
図3は、無線タグWtのブロック図である。本実施形の無線タグWtは、制御部42、記憶部43、無線通信部44および電源部45を備える。なお、無線タグWtの具体的構成は何ら限定されず、チップ状の専用のタグデバイスとして構成されていてもよい。あるいは、無線タグWtは、ユーザに携帯される携帯品に組み込まれていてもよい。携帯品の具体的構成は、何ら限定されない。携帯品としては、たとえば、カード、タグ、ウエアラブル端末等が挙げられる。カードの具体例としては、たとえば交通系ICカードが挙げられる。あるいは、社員等が所有するIDカードに内蔵されたもの、店舗等のカートに外付け配置されたもの、巡回ロボットおよびクリーナーなどの電化製品に内蔵されたもの、会議室内の椅子や机および掃除用具などに取り付けられたもの、などが例示される。
【0038】
以降の説明においては、無線タグWtの一般的な構成を述べる場合に無線タグWtと称するとともに、複数の無線タグWtを区別する場合に無線タグWt1、・・・、無線タグWtn等の符号を適宜用いる場合がある。複数の無線タグWt1~Wtnは、それぞれの構成が同一であってもよいし、互いの一部が共通していてもよいし、互いに異なる構成であってもよい。以降の説明においては、特段の記載がない限り、複数の無線タグWt1~Wtnが同一の構成である場合を例に説明する。
【0039】
制御部42は、無線タグWtの各部を制御するためのものである。制御部42は、本発明における無線タグ側制御部に相当する。制御部42の具体的構成は特に限定されず、たとえばCPUからなる。記憶部43は、制御部42の制御に必要なプログラムや設定条件等の情報を記憶するためのものであり、たとえば半導体メモリ等からなる。記憶部43は、本発明における無線タグ側記憶部に相当する。本実施形態においては、記憶部43には、無線タグWt毎に固有の無線タグ情報が記憶されている。無線タグ情報の具体例は何ら限定されず、たとえばタグIDであってもよい。
【0040】
無線通信部44は、対応する照明装置Lと上述した第2無線電波(第2プロトコル)を用いた第2無線通信を行うためのものである。
【0041】
電源部45は、制御部42および無線通信部44等に動作に必要な電力を供給するためのものである。電源部45は、たとえば乾電池あるいは充電可能なバッテリーである。バッテリーの充電方式は、接触式の充電器を利用するものでも、非接触式の充電器を利用するものでもよい。また、電源部45は、商用の交流100Vまたは200V電力を直流電力に変換するAC/DCコンバータとしての機能や、変圧機能等を有するものであってもよい。
【0042】
本実施形態においては、電源部45は、自己発電部により構成されている。この電源部45は、アンテナ部451を有しており、第1無線電波や第2無線電波等の無線電波をアンテナ部451によって受信すると、自己発電を行う。この自己発電は、無線電波をエネルギー変換することによって実行するものであり、たとえば、無線電波の受信によって生じる誘導電流を利用する。誘導電流の起電のための無線電波の電力は、5dBm以上が好ましく、更に10dBm以上の無線電波を受信することにより無線タグWtの各部を制御することが十分な誘導電流を起電することができる。電源部45が自己発電した電力は、制御部42および無線通信部44等に供給される。
【0043】
〔制御装置Ct〕
制御装置Ctは、複数の中継ユニット(照明装置L)および複数の無線タグWtを用いた管理制御や、複数の照明装置L1~Lnの点灯制御を行うものである。制御装置Ctは、本実施形態の場合には、複数の中継ユニット(複数の照明装置L1~Ln)が設置されている部屋と同じ部屋に設置されていてもよいし、同じ建物の別の部屋や別のフロアに設置されていてもよいし、別の建物に設置されていてもよい。制御装置Ctと複数の中継ユニット(複数の照明装置L1~Ln)とがある程度離れている場合、制御装置Ctと複数の中継ユニット(複数の照明装置L1~Ln)とは、無線通信だけでなく、有線通信と無線通信とを利用して互いに通信する構成であってもよい。なお、管理システムA1は、少なくとも1つの制御装置Ctを備えていればよく、他の構成において複数の制御装置Ctを備えていてもよい。
【0044】
図4は、制御装置Ctのブロック図である。本実施形態においては、制御装置Ctは、表示部21、制御部22、記憶部23、無線通信部24および電源部25を備える。
【0045】
表示部21は、後述する管理システムA1の管理処理においては、必ずしも必要ではないが、制御装置Ctの初期設定やメンテナンス等に用いられる。表示部21は、たとえば液晶ディスプレイ等であり、さらにタッチパネル機能を有してもよい。また、表示部21がタッチパネルとして機能することに代えて、制御装置Ctは、たとえばキーボードやマウス等の操作デバイスを別途備えていてもよい。
【0046】
制御部22は、複数の中継ユニット(照明装置L)および複数の無線タグWtを用いた管理制御や、複数の照明装置L1~Lnの点灯制御を行う主要な構成要素であり、制御装置Ctの各部を制御するためのものである。たとえば、制御部22は、対象とする中継ユニット(照明装置L)へ制御データを送信するように、無線通信部24に制御信号を伝達する。制御部22の具体的構成は特に限定されず、たとえばCPUからなる。記憶部23は、制御部22の制御に必要なプログラムや設定条件等の情報を記憶するためのものであり、たとえば半導体メモリやハードディスクドライブ等からなる。
【0047】
無線通信部24は、複数の中継ユニット(複数の照明装置L1~Ln)の無線通信モジュール14の第1無線通信部141と無線通信を行うためのものである。無線通信部24の周波数帯や準拠する無線通信の規格は、上述の第1プロトコルを用いた第1無線通信である。
図1に示す例においては、制御装置Ctは、複数の中継ユニット(複数の照明装置L1~Ln)とともに第1無線通信ネットワークCn1を構成する。無線通信部24は、たとえば、制御部22から複数の中継ユニット(複数の照明装置L1~Ln)への制御データを第1無線通信ネットワークCn1を介して送信する。なお、制御装置Ctは、無線通信部24に加えて、インターネットに接続する有線または無線の通信回路を有していてもよい。
【0048】
電源部25は、表示部21、制御部22および無線通信部24等に動作に必要な電力を供給するためのものである。電源部25は、たとえば商用の交流100Vまたは200V電力を直流電力に変換するAC/DCコンバータとしての機能や、変圧機能等を有する。
【0049】
制御装置Ctは、複数の中継ユニット(複数の照明装置L1~Ln)の照明装置ID等の識別情報や複数の無線タグWtの無線タグ情報を保有しており、これらがたとえば記憶部23に記憶されている。制御装置Ctが保有する識別情報は、たとえば照明装置Lが保有する照明装置IDとしてのMACアドレスや無線タグWtが保有するタグIDまたは識別アドレスであってもよい。
【0050】
〔設定装置Md〕
設定装置Mdは、管理システムA1における複数の中継ユニットの識別アドレスおよび動作条件の設定を行うための装置である。設定装置Mdの具体的構成は何ら限定されない。設定装置Mdの具体的構成は、何ら限定されず、たとえば、デスクトップPC、ノートPC、タブレット端末等が挙げられる。
【0051】
図5に示すように、本実施形態の設定装置Mdは、表示部51、制御部52、記憶部53、無線通信部54、電源部55および操作部58を備える。
【0052】
表示部51は、設定装置Mdの操作等に必要な情報や画像を表示するためのものである。表示部51は、たとえば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイである。
【0053】
無線通信部54は、複数の中継ユニットおよび制御装置Ctと無線通信する機能を果たす。無線通信部54は、たとえば後述の識別信号を複数の中継ユニットに送信し、また後述の設定信号を制御装置Ctに送信する。無線通信部54は、所定のプロトコルを用いた無線通信を行うためのものである。所定のプロトコルを用いた無線通信の通信周波数は何ら限定されず、たとえ920MHz帯、2.4GHz帯、5GHz帯等が例示される。また、所定のプロトコルの具体例は特に限定されず、たとえば、BLE(Bluetooth Low Energy)を含むBluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)などが例示される。なお、無線通信部54が複数の中継ユニットおよび制御装置Ctと無線通信する際に用いるプロトコルは、管理システムA1が構築された後の第1無線通信ネットワークCn1で用いられるプロトコルと同じであることが好ましいが、異なるプロトコルであってもよい。
【0054】
制御部52は、設定装置Mdの各部を制御するためのものである。制御部52の具体的構成は特に限定されず、たとえばCPUからなる。記憶部53は、制御部52の制御に必要なプログラムや設定条件等の情報を記憶するためのものであり、たとえば半導体メモリ等からなる。
【0055】
電源部55は、表示部51、制御部52および無線通信部54等の動作に必要な電力を供給するためのものである。電源部55は、たとえば商用の交流100Vまたは200V電力を直流電力に変換するAC/DCコンバータとしての機能や、変圧機能等を有するもの、あるいは充電可能なバッテリーである。バッテリーの充電方式は、接触式の充電器を利用するものでも、非接触式の充電器を利用するものでもよい。
【0056】
操作部58は、設定装置Mdを操作するためのものである。操作部58は、たとえばキーボードおよびマウス等である。なお、表示部51がタッチパネルとして機能する場合、設定装置Mdは、操作部58を備えていなくてもよい。
【0057】
設定装置Mdは、複数の中継ユニットの固有情報を保有しており、これらがたとえば記憶部53に記憶されている。設定装置Mdが保有する固有情報は、たとえば照明装置Lが保有するMACアドレスであってもよい。
【0058】
〔外部記憶装置Sd〕
外部記憶装置Sdは、第1無線通信ネットワークCn1の外部に設置されており、たとえばサーバ、商用クラウド等である。外部記憶装置Sdと制御装置Ctとの通信は、たとえば商用インターネット回線や専用回線等が利用される。外部記憶装置Sdは、管理システムA1を構成する複数の照明装置L(中継ユニット)が設置された場所から離れた場所において、外部使用者が随時アクセス可能とされている。制御装置Ctは、たとえば収集した測定データを外部記憶装置Sdに保存してもよい。外部使用者は、外部記憶装置Sdに保存された情報をそのまま、または任意に加工して、種々に利用可能である。たとえば、外部使用者は、これらのデータをデジタルサイネージなどの電光掲示板、大型スクリーン(いずれも図示略)、移動端末に表示してもよい。
【0059】
〔時計ユニットUt〕
時計ユニットUtは、たとえばFM電波を受信することにより、時刻情報を取得する機能と、時刻情報をたとえばWi-Fi(登録商標)によって制御装置Ctに送信する機能とを有する。
【0060】
次に、管理システムA1の動作について、以下に説明する。
【0061】
図6および
図7は、管理システムA1の概略配置の一例を示している。図示された例の管理システムA1においては、複数の中継ユニットとして、複数の照明装置L(照明装置L1~L18)が備えられている。複数の照明装置L1~L18は、たとえば室内の天井に、図示されたようにマトリクス状に配置されている。
【0062】
図9に示すように、まず設定装置Mdを用いて複数の照明装置L(中継ユニット)の識別アドレスを決定する(ステップS1-1~S1-3)。ステップS1-1では、複数の中継ユニットとしての複数の照明装置L1~Lnが設置される場所である建物等の情報を取得する。そして、たとえば設定装置Mdで実行する画像処理ソフトウエアなどを利用して、店舗の配置図を作成する。
【0063】
次いで、ステップS1-2では、設定装置Md上に作成された配置図上に、複数の中継ユニットとしての複数の照明装置L1~Lnについて、アイコン等を用いて配置場所を決定する。たとえば、照明装置L1には、グループ番号「A」、グループ内アドレス「01」を割り当て、識別アドレスを「A-01」と決定する。これと同様に、複数の照明装置Lについて、グループ番号「A,B,C・・・」およびグループ内アドレス「01,02,03・・・」を適宜割り当て、各中継ユニットの識別アドレスを決定する。グループ番号およびグループ内アドレスの決定手法は、何ら限定されない。たとえば、配置図に基づいて、所定の半径内に位置するもの同士に同じグループ番号を割り当ててもよい。
【0064】
設定装置Mdは、複数の照明装置L(中継ユニット)毎に、固有情報であるMACアドレスおよび識別アドレスを含む識別信号を生成し、各照明装置L(中継ユニット)に向けて無線通信部54から送信する。
【0065】
次いで、ステップS1-3では、各照明装置L(中継ユニット)において、無線通信モジュール14の第1無線通信部141が識別信号を受信し、制御部12に識別信号を転送する。識別信号を受けた制御部12は、識別アドレスを各々の記憶部13に記憶する。
【0066】
次いで、複数の照明装置L(中継ユニット)のモードを決定する(ステップS2)。たとえば、設定装置Mdの表示部51に表示された配置図(たとえば、
図6および
図7に示す配置図)に、複数の照明装置L(中継ユニット)を表示させる。次いで、各照明装置L(中継ユニット)の配置状況等を考慮して、モードを決定する。
図6および
図7に示す例においては、照明装置L1,L11,L16が切替モードに設定される照明装置Lとして選択されている(図中において太字矩形で表された照明装置L)。また、照明装置L2~L10,L12~L15,L17,L18が、固定モードに設定される照明装置Lとして選択されている。
【0067】
次いで、第1無線通信ネットワークCn1の構築と複数の照明装置L(中継ユニット)のモード設定を行う(ステップS3-1~S3-3およびステップS4-1~S4-4)。ステップS3-1では、ステップS1-1~S1-3で決定した複数の照明装置L(中継ユニット)の識別アドレスと、ステップS2で決定した複数の照明装置L(中継ユニット)のモード条件とを含む設定信号を、制御装置Ctに転送する。設定信号の転送は、Wi-Fi(登録商標)などの無線通信のほか、USBケーブルを用いた有線通信によって行ってもよい。設定信号のデータ形式としては、たとえばCSVデータ形式が挙げられる。
【0068】
次いで、ステップS3-2では、たとえば無線通信で設定信号が転送された場合、制御装置Ctの無線通信部54が、設定信号を受信する。制御部52は、設定信号に含まれる識別アドレスおよびモード条件を、複数の照明装置L(中継ユニット)毎に記憶部53に記憶する。各照明装置L(中継ユニット)の区別には、設定信号に含まれる複数の中継ユニットの固有情報(MACアドレス等)を用いる。
【0069】
次いで、ステップS3-3では、複数の照明装置L(中継ユニット)の識別アドレスを用いて、制御装置Ctが
図1に示す第1無線通信ネットワークCn1を構築する。第1無線通信ネットワークCn1は、たとえば所定のプロトコルによるメッシュネットワークである。これにより、制御装置Ctと複数の中継ユニット(複数の照明装置L1~Ln)は、第1無線通信ネットワークCn1を介したブロードキャスト通信が可能となる。なお、第1無線通信ネットワークCn1における無線通信は、電波干渉による信号の欠落を抑えるために、複数の周波数による送信を行うことが好ましい。たとえば、2.40GHz、2.44GHz、2.48GHzの3種類の周波数でブロードキャスト通信を順次実行する。
【0070】
次に、第1無線通信ネットワークCn1を介して、制御装置Ctから複数の照明装置L(中継ユニット)に各々のモード条件を含む設定信号を送信する(ステップS4-1)。制御装置Ctの制御部22が、複数の照明装置L(中継ユニット)の識別アドレスおよびモード条件を含む設定信号を生成する。次いで、制御部22は、無線通信部24から第1無線通信ネットワークCn1を介して設定信号をブロードキャスト通信によって送信する。なお、ブロードキャスト通信における電波干渉による信号の欠落を抑えるために、複数の周波数による送信を行ってもよい。例えば、2.40GHz、2.44GHz、2.48GHzの3種類の周波数で送信する。全ての周波数を送信したら終了となる。
【0071】
複数の照明装置L(中継ユニット)は、無線通信モジュール14の第1無線通信部141によって設定信号を受信する。制御部12は、設定信号に含まれる識別アドレスと、自ユニットの識別アドレスとを比較照合する。設定信号に含まれる識別アドレスが自ユニットの識別アドレスとは異なる場合、各照明装置L(中継ユニット)は、次の照明装置L(中継ユニット)に設定信号を転送する。
【0072】
次いで、ステップS4-2では、設定信号に含まれる識別アドレスが自ユニットの識別アドレスと一致した場合に、制御部12が、設定信号に含まれるモード条件を記憶部13に記憶する。すでに、記憶部13にモード条件が記憶されている場合、制御部12は、記憶部13のモード条件を受信した設定信号に含まれるモード条件に書き換える。
【0073】
各照明装置L(中継ユニット)の制御部12は、ステップS4-2で記憶したモード条件に従い、自装置を切替モードか固定モードかに設定する。図示された例においては、すべての照明装置Lが切替モードまたは固定モードに設定可能な構成である。照明装置L2~L10,L12~L15,L17,L18では、固定モードに設定される(ステップS4-3)。すなわち、照明装置L2~L10,L12~L15,L17,L18の制御部12は、無線通信モジュール14の第1無線通信部141を有効とし、第2無線通信部142を無効とする。また、照明装置L1,L11,L16では、切替モードに設定される(ステップS4-4)。
【0074】
図8は、複数の照明装置L(中継ユニット)の動作モード時系列で示す図である。固定モードに設定された照明装置L2~L10,L12~L15,L17,L18は、モード条件の設定が変更されるまで、切替モードの第1状態に相当する状態に維持される。このため、照明装置L2~L10,L12~L15,L17,L18は、第1無線通信を行い、第2無線通信は行わない。
【0075】
切替モードに設定された照明装置L1,L11,L16は、第1状態と第2状態とに交互に切り替えられる。第1状態においては、第1無線通信を行い、第2無線通信は行わない。第2状態においては、第2無線通信を行い、第1無線通信を行わない。第1状態と第2状態との切替頻度は、たとえば0.1S~100Sである。一例として、たとえば第1状態が60Sの間維持され、第2状態が0.5Sの間維持される。
【0076】
図6の配置図は、照明装置L1,L11,L16が第1状態に切り替えられた場合を示している。この場合、すべての照明装置Lが第1無線通信を行い、メッシュネットワークである第1無線通信ネットワークCn1内で相互に通信を行う。図中の実線矢印は、各照明装置Lおよび制御装置Ctの第1無線通信の信号送受を示している。
【0077】
図7の配置図は、照明装置L1,L11,L16が第2状態に切り替えられた場合を示している。この場合、照明装置L2~L10,L12~L15,L17,L18が第1無線通信を行い、メッシュネットワークである第1無線通信ネットワークCn1内で相互に通信を行う。一方、照明装置L1,L11,L16は、第2無線通信を行う。図中の点線矢印は、照明装置L1,L11,L16と各無線タグWtとの第2無線通信の信号送受を示している。
【0078】
図10に示すステップS4-3,S4-4の後は、複数のWtからの情報が、複数の照明装置L(中継ユニット)を介して制御装置Ctに送られる(ステップS5-1~S6-7)。
【0079】
まず、ステップS5-1では、照明装置L1,L11,L16が第2状態に切り替えられる。すなわち、照明装置L1,L11,L16の制御部12が無線通信モジュール14の第1無線通信部141を無効とし、第2無線通信部142を有効とする。これにより、
図7に示す状態となる。この場合、
図10のステップS5-2で、固定モードのいずれかの照明装置Lから第1無線通信を用いて信号が送信されても、第2状態にある照明装置L1,L11,L16は、この第1無線通信による信号を受信しない。第2無線通信部142を無効にすることと同時に、またはこれに代えて、第1無線通信による信号を受信しないようにフィルタ設定されていてもよい。
【0080】
複数の無線タグWtは、たとえば、複数の照明装置Lおよび制御装置Ctから送信される第1無線電波を電源部45のアンテナ部451が受信することにより、電源部45が自己発電を行う。無線タグWtの制御部42は、電源部45から電力供給を受けると、電源部45からの電力を利用して、記憶部43に含まれる無線タグ情報を含む無線タグ情報信号Wsを生成する。そして、制御部42は、無線通信部44から照明装置L1,L11,L16のいずれかに、第2無線通信によって無線タグ情報信号Wsを定期的に送信する(ステップS5-4)。
【0081】
次に、無線タグ情報信号Wsを受信した照明装置L1,L11,L16の制御部12は、無線タグ情報信号Wsに含まれる無線タグ情報と自装置の識別情報とを含む転送データ信号Tsを生成する(ステップS5-5)。なお、照明装置L1,L11,L16の制御部12は、タイムスタンプを転送データ信号Tsにふくめてもよい。さらに、照明装置L1,L11,L16の制御部12は、無線通信モジュール14の第2無線通信部142で受信した無線タグ情報信号Wsの受信強度(RSSI)を、転送データ信号Tsに含めてもよい。
【0082】
次に、照明装置L1,L11,L16の制御部12は、自装置を第1状態に切り替える(ステップS6-1)。すなわち、制御部12は、無線通信モジュール14の第1無線通信部141を有効とし、第2無線通信部142を無効とする。これにより、
図8に示す状態となる。次いで、照明装置L1,L11,L16の制御部12は、第1無線通信部141から第1無線通信を用いて、すなわち第1無線通信ネットワークCn1を介して、転送データ信号Tsを制御装置Ctに送信する(ステップS6-2)。
【0083】
照明装置L1,L11,L16からの無線タグWtを受信した複数の照明装置Lは、第1無線通信ネットワークを介して無線タグWtを制御装置Ctへと転送する(ステップS6-3)。
【0084】
次に、ステップS6-4では、制御装置Ctが、第1無線通信ネットワークCn1において転送された転送データ信号Tsを順次受信する。これにより、制御装置Ctの制御部22は、複数の無線タグWtについての転送データ信号Tsの各々に含まれた照明装置Lの識別情報と無線タグWtの無線タグ情報とを取得する。また、制御装置Ctの制御部22は、転送データ信号Tsに含まれるタイムスタンプおよびRSSIを取得する。制御部22は、取得した識別情報、無線タグ情報、タイムスタンプ、RSSI等を記憶部23に記憶する(ステップS6-4)。
【0085】
次に、制御装置Ctは、取得した情報に基づいて、所定の管理処理を行う。本実施形態においては、制御装置Ctは、所定の管理処理として無線タグWtの位置検出を行う(ステップS6-5)。無線タグWtの位置検出の手法は何ら限定されず、たとえば三点測量方式が用いられる。たとえば、無線タグWtに含まれる識別情報、無線タグ情報、タイムスタンプ、RSSI等から、ある無線タグWtと複数の照明装置L(本実施形態においては切替モードに設定された照明装置L1,L11,L16)との距離を推定し、三点測量方式によってこの無線タグWtの位置情報を算出する。
【0086】
なお、この位置情報の算出は、第1無線通信ネットワークCn1の外部に設置されている外部記憶装置Sdで行ってもよい。外部記憶装置Sdと制御装置Ctとの通信は、たとえば商用インターネット回線や専用回線等が利用される。あるいは、第1無線通信ネットワークCn1の外部に設置されているサーバやクラウド上において、位置情報の算出を行ってもよい。
【0087】
照明装置L1,L11,L16が、第1状態である場合、たとえば無線タグWtから第2無線通信によって無線タグ情報信号Wsが送信されても(ステップS6-6)、照明装置L1,L11,L16は、この無線タグ情報信号Wsを受信しない。
【0088】
次に、管理システムA1、照明装置Lおよび無線タグWtの作用について説明する。
【0089】
本実施形態によれば、
図6~
図8に示すように、切替モードに設定された照明装置L(中継ユニット)は、第1状態と第2状態とに切り替えられる。第1状態においては、照明装置L(中継ユニット)は、第1無線通信を行い、第2無線通信を行わない。一方、第2状態においては、照明装置L(中継ユニット)は、第2無線通信を行い、第1無線通信を行わない。したがって、切替モードに設定された照明装置L(中継ユニット)については、無線タグWtからの無線タグ情報信号Wsを受信するための第2無線電波と第1無線通信ネットワークCn1で用いられる第1無線電波とが、別々のタイミングで送受信される。したがって、無線信号を削減することが可能であり、第1無線電波と第2無線電波とのトラフィックを分散することができる。これは、管理対象である複数の無線タグWtを多く備える場合に特に有利である。
【0090】
図9および
図10に示すように、本実施形態においては、制御装置Ctからの設定信号に基づいて、複数の照明装置L(中継ユニット)のそれぞれを固定モードおよび切替モードのいずれかに設定する。これにより、複数の照明装置L(中継ユニット)のうち必要な個数の照明装置L(中継ユニット)のみを切替モードに設定することが可能であり、無線信号の削減に有利である。また、
図6および
図7に示すような配置図を用いて、設定装置Mdによって複数の照明装置L(中継ユニット)を固定モードおよび切替モードのいずれに設定するかを決定すれば、複数の照明装置L(中継ユニット)の配置に応じて、適切なモード設定を行うことができる。
【0091】
本実施形態によれば、無線タグWtの動作は、電源部45の自己発電によって得られた電力を利用して行われる。このため、無線タグWt内に、電池等を備える必要がない。また、無線タグWtからの無線タグ情報信号Wsは、第2無線通信を用いて、中継ユニットとしての照明装置Lに送信される。このため、無線タグWtの無線タグ情報を読み取るための専用の読み取り装置を設ける必要がない。複数の中継ユニットを広い範囲に設置しておけば、より広い範囲に存在する無線タグWtの無線タグ情報信号Wsを制御装置Ctへと転送することが可能である。したがって、無線タグWtに電池を備えることを不要とし、且つ無線タグWtの配置範囲を広げることができる。第1無線電波および第2無線電波等が送受信される環境に無線タグWtが存在するため、無線電波の受信によって自己発電する方式は、より確実に自己発電するのに好ましい。
【0092】
本実施形態の管理システムA1は、中継ユニットを構成する照明装置Lを備えている。照明装置Lは、室内をくまなく照らす等の目的を果たすための器具であり、広い範囲に満遍なく設置されることが一般的である。このため、複数の照明装置Lが設置された広い範囲において、無線タグWtの無線タグ情報信号Wsを受信することができる。
【0093】
無線タグWtが、携行品に組み込まれている場合、ユーザや移動機器等に無線タグWtを支障なく付随させることができる。また、電源部45によって自己発電する構成は、無線タグWtが組み込まれた携行品が、過度に大型になったり、過度に重くなったりすることを回避するのに適している。
【0094】
図11~
図16は、本発明の他の実施形態を示している。なお、これらの図において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付している。
【0095】
<第2実施形態>
図11は、本発明の第2実施形態に係る管理システムを示すシーケンスダイアグラムである。本実施形態の管理システムA2は、上述の管理システムA1と同様の装置構成であって、複数の照明装置L(中継ユニット)のモード設定が上述した実施形態と異なっている。
【0096】
本実施形態においては、ステップS7-1において、すべての照明装置Lが切替モードに設定される。この設定は、上述のステップS4-1,S4-2に示すように、制御装置Ctからの設定信号によって行ってもよいし、たとえば各照明装置Lについて個別の作業によって設定してもよい。
【0097】
次いで、各照明装置L(中継ユニット)は、自装置を第2状態に切り替える(ステップS7-2)。第2状態への切替タイミングは、すべての照明装置Lにおいて同時でもよいし、各照明装置Lにおいて異なっていてもよい。
【0098】
次いで、無線タグWtが第2無線通信によって無線タグ情報信号Wsを定期的に送信する(ステップS7-3)。無線タグ情報信号Wsが送信されたタイミングで第2状態である照明装置L(図示された例においては、照明装置Ln)が、無線タグ情報信号Wsを受信し、上述の転送データ信号Tsを生成する(ステップS7-4)。
【0099】
次いで、無線タグ情報信号Wsを受信した照明装置L(図示された例においては、照明装置Ln)が第1状態に切り替わる(ステップS8-1)。この切替は、第1状態への切替タイミングは、ステップS7-2と同様に、すべての照明装置Lにおいて同時でもよいし、各照明装置Lにおいて異なっていてもよい。照明装置Lnは、第1無線通信により転送データ信号Tsを送信する(ステップS8-2)。この転送データ信号Tsは、第1状態に切り替わった他の照明装置Lを介して転送される(ステップS8-3,S8-4)。
【0100】
制御装置Ctは、第1無線通信ネットワークCn1を介して転送された転送データ信号Tsを受信すると、制御部22が、転送データ信号Tsに含まれる識別情報、無線タグ情報、タイムスタンプ、RSSI等を記憶部23に記憶する(ステップS8-5)。そして、上述のステップS6-5と同様に、無線タグWtの位置情報の算出等の管理処理を行う(ステップS8-6)。
【0101】
本実施形態によっても、無線信号を削減することが可能であり、第1無線電波と第2無線電波とのトラフィックを分散することができる。また、複数の照明装置Lが、切替モードであることにより、第2無線通信が可能な中継ユニットの個数を増加させつつ、無線電波の増大を抑制することができる。なお、本実施形態においては、複数の照明装置Lのすべてを切替モードとしたが、このような構成に限定されない。たとえば、切替モードに設定された複数の照明装置Lに加えて、固定モードに設定された照明装置Lや、第1無線通信のみを行う照明装置L(第2無線通信部142を備えない照明装置L)をさらに設置してもよい。
【0102】
<第3実施形態>
図12~
図16は、本発明の第3実施形態に係る管理システムを示している。本実施形態の管理システムA3は、無線タグWtの電源部45の構成が、上述した実施形態と異なる。また、管理システムA3は、センサ装置Esを含んでいる。なお、
図12においては、説明の便宜上、1つのセンサ装置Esを示しているが、管理システムA3の各所に複数のセンサ装置Esが配置されていてもよい。
【0103】
図13は、本実施形態の無線タグWtを示すブロック図である。本実施形態の無線タグWtの電源部45は、受光部452を有する。受光部452は、光電変換機能を果たすものであり、たとえばフォトトランジスタやフォトダイオード等である。受光部452が光を受光すると、受光部452の光電変換機能により電力が生じる。電源部45は、この電力を制御部42および無線通信部44等に供給する。受光部452の発電によって生じる単位時間あたりの電力は、受光部452が受ける光の照度(強弱)に依存する。
【0104】
図14は、センサ装置Esを示すブロック図である。センサ装置Esは、設置された環境に関する物理量を測定し、その測定結果を無線通信によって送信する機器である。センサ装置Esは、測定部41、制御部42、記憶部43、無線通信部44および電源部45を備える。すなわち、センサ装置Esには、制御部42、記憶部43、無線通信部44および電源部45からなる無線タグWtが組み込まれている。センサ装置Esの具体的構成は何ら限定されない。
【0105】
測定部41は、センサ装置Esの環境に関する物理量を測定する機能を果たすものである。測定部41の機能は特に限定されず、たとえば温度センサ、湿度センサ、照度センサ、人感センサ、風量センサ、二酸化炭素センサ等の種々の機能が挙げられる。また、測定部41の測定原理は何ら限定されず、光学的手法や電磁的手法を用いた非接触方式や、接触方式、あるいは測定部41内に内蔵した特定部位の状態監視によって測定する方式等、様々な方式を採用できる。
【0106】
本変形例の制御部42は、上述した無線タグWtの制御部42としての機能に加えて、測定部41を制御する機能を果たす。制御部42の具体的構成は特に限定されず、たとえばCPUからなる。記憶部43は、制御部42の制御に必要なプログラムや測定部41に関する設定条件等の情報を記憶するためのものであり、たとえば半導体メモリ等からなる。
【0107】
次に、管理システムA3の動作について、
図15および
図16を参照して以下に説明する。
【0108】
管理システムA3における複数の照明装置L(中継ユニット)のモード設定は、管理システムA1におけるモード設定であってもよいし、管理システムA2におけるモード設定であってもよい。図示された例においては、複数の照明装置Lのモード設定は、管理システムA2と同様に行われる場合を例に説明する。
【0109】
ステップS9-1において、複数の照明装置L(中継ユニット)の第1状態と第2状態とが適宜切り替えられる。センサ装置Esは、測定部41による測定データを含む無線タグ情報信号Wsを第2無線通信によって送信する(ステップS9-2)。測定データは、たとえば温度データ、湿度データ、照度データ、人体の有無、風量データ、二酸化炭素濃度等である。測定データが人体の有無である場合、たとえばセンサ装置Esが設けられた領域における人の有無を検出する。
【0110】
センサ装置Esから送信された無線タグ情報信号Wsを、第2状態であるいずれかの照明装置Lが受信する。
図12に示す例では、理解の便宜上、照明装置L11が第2状態に切り替えられており、照明装置L11がセンサ装置Esからの無線タグ情報信号Wsを受信する。無線タグ情報信号Wsを受信した照明装置L11の制御部12は、無線タグ情報信号Wsに含まれる識別情報、無線タグ情報、タイムスタンプ、RSSI、測定データ等に基づいて、転送データ信号Tsを作成する。照明装置L11は、転送データ信号Tsを第1無線通信で送信する(ステップS9-3)
【0111】
第1無線通信ネットワークCn1を転送された転送データ信号Tsを制御装置Ctが受信すると、制御装置Ctの制御部22は、照明制御信号Lsを作成する。照明制御信号Lsは、複数の中継ユニットの動作条件を含む制御信号の一例であり、複数の照明装置Lの各々の光源部11の点灯状態を制御する信号である。各照明装置Lの点灯状態の設定手法は何ら限定されない。本実施形態においては、センサ装置Esが人感センサとして機能する場合、センサ装置Esの周辺に人体が存在するか否かを判断基準に反映されてもよい。センサ装置Esの周辺に人体が存在する場合、センサ装置Esの周辺の照明装置Lを、作業等に適した明るい調光や自然光および昼光色等の調色に点灯状態を設定する。一方、センサ装置Esの周辺に人体が存在しない場合、センサ装置Esの周辺の照明装置Lを、消灯または微点灯等の調光や電球色および温白色等の調色に点灯状態を設定する。制御装置Ctは、第1無線通信ネットワークを介して、照明制御信号Lsを複数の照明装置Lに送信する(ステップS9-4)。
【0112】
照明制御信号Lsを受信した照明装置Lの制御部12は、照明制御信号Lsに含まれる識別情報が、自装置の識別信号と一致する場合、照明制御信号Lsに含まれる点灯状態に光源部11を設定制御する(ステップS9-5)。これにより、複数の照明装置Lの点灯状態は、制御装置Ctからの照明制御信号Lsに基づいた点灯状態となる。上述した照明制御信号Lsの設定例の場合、人体が存在する領域の照明装置Lは、たとえば作業に適した明るさに設定され、人体が存在しない領域の照明装置Lは、消灯または微点灯に設定される。
【0113】
点灯状態が設定された複数の照明装置Lからの光を、複数の無線タグWtの受光部452が受光する。これにより、各無線タグWtの電源部45が自己発電を行い(ステップS9-6)、無線タグ情報信号Wsの送信頻度を設定する(ステップS9-7)。
【0114】
図16に示すように、電源部45が自己発電を行い(ステップS9-6-1)、照明装置Lからの光を受光部452で受光し、照明装置Lからの照明光の状態に応じた発電を行う(ステップS9-6-2)。無線タグWtの制御部42は、電源部45の発電による電力が、第1電力範囲内であるか、第2電力範囲内であるかを判断する(ステップS9-7-1)。第1電力範囲および第2電力範囲は、電源部45による単位時間あたりの電力を規定する範囲である。第2電力範囲は、第1電力範囲よりも低電力の範囲である。たとえば、電源部45による発電の電圧が一定である場合、電源部45による単位時間あたりの電力の大小は、電流の大小によって決定される。したがって、電源部45の発電による電力が、第1電力範囲内であるか、第2電力範囲内であるかを判断は、電源部45の発電による電流が、第1電力範囲に相当する第1電流範囲内であるか、第2電力範囲に相当する第2電流範囲内であるか、によって判断してもよい。
【0115】
無線通信部24は、電源部45による電力が第1電力範囲内である場合(ステップS9-7-1:Yes)、制御部42は、無線タグ情報信号Wsの送信頻度を第1送信頻度に設定する(ステップS9-7-2)。一方、電源部45による電力が第1電力範囲内でない場合(ステップS9-7-1:No)、制御部42は、電源部45による電力が第2電力範囲内であるかを判斷する。電源部45による電力が第2電力範囲内である場合(ステップS9-7-3)、制御部42は、無線タグ情報信号Wsの送信頻度を第2送信頻度に設定する(ステップS9-7-4)。第1送信頻度と第2送信頻度とは、互いの頻度が異なっており、第2送信頻度の方が第1送信頻度よりも低い。たとえば、第1送信頻度が5Sに1回の頻度に設定される場合、第2送信頻度は、たとえば60Sに1回に設定される。
【0116】
図15に示すように、各無線タグWtが、第1送信頻度または第2送信頻度で無線タグ情報信号Wsを送信し、第2状態の照明装置L(図示された例においては、照明装置L11)が、無線タグ情報信号Wsを受信する。照明装置L11は、無線タグ情報信号Wsに基づいて転送データ信号Tsを作成し、この転送データ信号Tsを第1無線通信ネットワークCn1を介して制御装置Ctに送信する(S9-8)。転送データ信号Tsを受信した制御装置Ctは、転送データ信号Tsに含まれる情報を記憶部23に記憶し(S9-9)、位置情報の算出等の所定の管理処理を行う(S9-10)。
【0117】
本実施形態によっても、無線信号を削減することが可能であり、第1無線電波と第2無線電波とのトラフィックを分散することができる。また、無線タグWtが受光によって自己発電するため、発電電力が第1電力範囲内であるか第2電力範囲内であるかを判断することにより、各無線タグWtが存在する場所の明るさを、無線タグWtの制御部42が推測することが可能である。そして、この明るさに応じて、無線タグ情報信号Wsの送信頻度を第1送信頻度および第2送信頻度のいずれかに設定する。したがって、相対的に暗い場所、すなわち人体が存在する可能性が低い場所に存在する無線タグWtからの送信頻度を合理的に低下させることが可能であり、無線信号の低減に好ましい。
【0118】
本発明に係る管理システム、照明装置および無線タグは、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る管理システム、照明装置および無線タグの各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【符号の説明】
【0119】
A1,A2,A3:管理システム
L,L1,L10,L11,L12,L13,L14,L15,L16,L17,L18,L2,L3,L4,L5,L6,L7,L8,L9,Ln:照明装置(中継ユニット)
Wt :無線タグ
11 :光源部
12 :制御部
13 :記憶部
14 :無線通信モジュール
15 :電源部
21 :表示部
22 :制御部
23 :記憶部
24 :無線通信部
25 :電源部
41 :測定部
42 :制御部
43 :記憶部
44 :無線通信部
45 :電源部
51 :表示部
52 :制御部
53 :記憶部
54 :無線通信部
55 :電源部
58 :操作部
141 :第1無線通信部
142 :第2無線通信部
451 :アンテナ部
452 :受光部
Cn1 :第1無線通信ネットワーク
Ct :制御装置
Es :センサ装置
Ls :照明制御信号
Md :設定装置
Sd :外部記憶装置
Ts :転送データ信号
Ut :時計ユニット
Ws :無線タグ情報信号