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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161605
(43)【公開日】2023-11-08
(54)【発明の名称】送風装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 13/06 20060101AFI20231031BHJP
   F24F 7/007 20060101ALI20231031BHJP
   A63B 26/00 20060101ALI20231031BHJP
   F24F 7/06 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
F24F13/06 A
F24F13/06 B
F24F7/007 D
A63B26/00
F24F7/06 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022072025
(22)【出願日】2022-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】吉川 翔太
(72)【発明者】
【氏名】末広 善文
(72)【発明者】
【氏名】須藤 良太
(72)【発明者】
【氏名】矢野 宏
【テーマコード(参考)】
3L058
3L080
【Fターム(参考)】
3L058BG01
3L080BB02
(57)【要約】
【課題】一壁面に所定の間隔を設けて配置された各ノズルから気流を吹き出す場合において、各ノズルから吹出す気流が本来の意図と異なる位置で衝突(合流)することを抑制可能な送風装置を提供する。
【解決手段】送風装置は、居室空間とは異なる空間から搬送された空気を居室空間を構成する一壁面から居室空間へ向けて吹き出す矩形の第一ノズルと、居室空間とは異なる空間から搬送された空気を一壁面から居室空間へ向けて吹き出す矩形の第二ノズルと、を備える。第一ノズル及び第二ノズルは、一壁面の所定の中央部を中心にして一壁面上に対称に且つ所定の間隔を設けて矩形における長辺方向を並行に配置され、長辺方向における中央近傍に搬送された空気の通過を遮断する分流生成部を有する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
居室空間とは異なる空間から搬送された空気を前記居室空間を構成する一壁面から前記居室空間へ向けて吹き出す矩形の第一ノズルと、
前記居室空間とは異なる空間から搬送された空気を前記一壁面から前記居室空間へ向けて吹き出す矩形の第二ノズルと、を備え、
前記第一ノズル及び前記第二ノズルは、
前記一壁面の所定の中央部を中心にして前記一壁面上に対称に且つ所定の間隔を設けて前記矩形における長辺方向を並行に配置され、
前記長辺方向における中央近傍に前記搬送された空気の通過を遮断する分流生成部を有する、送風装置。
【請求項2】
前記一壁面上に対称に配置されとは、
前記所定の中央部を中心にして水平方向に所定の間隔を設けて配置されることを指し、
前記矩形における長辺方向を並行に配置されとは、
前記矩形における長辺方向を鉛直上下に配置されることを指す、請求項1記載の送風装置。
【請求項3】
前記一壁面上に対称に配置されとは、
前記所定の中央部を中心にして鉛直上下方向に所定の間隔を設けて配置されることを指し、
前記矩形における長辺方向を並行に配置されとは、
前記矩形における長辺方向を水平に配置されることを指す、請求項1記載の送風装置。
【請求項4】
前記第一ノズルの吹出方向と前記第二ノズルの吹出方向とは、互いに近接する方向である請求項2乃至3のいずれかに記載の送風装置。
【請求項5】
前記第一ノズル及び前記第二ノズルは、
前記第一ノズルの送風と前記第二ノズルの送風とが合流する合流辺と、前記一壁面上であって前記第一ノズルと前記第二ノズルとに挟まれた狭面と、で負圧領域を生成し、
前記分流生成部は、
前記遮断により前記負圧領域へ流れ込む誘引気流を引き込むための誘引空間を生成する、請求項4記載の送風装置。
【請求項6】
前記第一ノズル及び前記第二ノズルは、前記一壁面に配置される表示装置を中心に対称に配置される、請求項5記載の送風装置。
【請求項7】
前記第一ノズルから吹出す気流の風速と前記第二ノズルから吹出す気流の風速とは等しい、請求項6記載の送風装置。
【請求項8】
前記第一ノズル及び前記第二ノズルは、前記吹出方向に配置される運動器具へ向かう気流を前記合流により生成する、請求項7記載の送風装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、送風装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、画像表示部の画面周辺に複数個設けられた吹出し口より、画面の中心に対して互いに寄り集まる方向に吹出した風が互いに衝突することで、画面から前方に向かって風を送出させることが出来る画像表示装置を開示する。
【0003】
図11に示すように、画像表示装置900は、筐体910に装着され、筐体910前面に画像が表示される画面921を有する画像表示部920と、筐体910内部に配設される図示しない送風手段と、送風手段からの風の吹出し方向を画面921の中央に向けて傾斜させた吹出口(931、941)を画像表示部920の画面921周辺に複数有する送風路(930,940)と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-352424号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
吹出口931から吹き出す気流と吹出口941から吹き出す気流と画面921とにより囲われる空間の空気は、吹出口931から吹き出す気流と吹出口941から吹き出す気流とに引き寄せられる(誘引される)。そのため、吹出口931から吹き出す気流と吹出口941から吹き出す気流と画面921とにより囲われる空間は、その周囲に比べて気圧が低い状態(負圧、または陰圧とも呼ぶ)になる。負圧は、その周りの空気を引き寄せる作用を有するため、出口931から吹き出す気流および吹出口941から吹き出す気流は、負圧空間へ引き寄せられることになる。その結果、本来の意図とは異なる位置において吹出口931から吹き出す気流と吹出口941から吹き出す気流とが衝突し、所望する気流を画面から前方に向けて送出することができないということがわかってきた。
【0006】
本開示の目的のひとつは、一壁面に所定の間隔を設けて配置された各ノズルから気流を吹き出す場合において、各ノズルから吹出す気流が本来の意図と異なる位置で衝突(合流)することを抑制可能な送風装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示における送風装置は、居室空間とは異なる空間から搬送された空気を居室空間を構成する一壁面から居室空間へ向けて吹き出す矩形の第一ノズルと、居室空間とは異なる空間から搬送された空気を一壁面から居室空間へ向けて吹き出す矩形の第二ノズルと、を備える。第一ノズル及び第二ノズルは、一壁面の所定の中央部を中心にして一壁面上に対称に且つ所定の間隔を設けて矩形における長辺方向を並行に配置され、長辺方向における中央近傍に搬送された空気の通過を遮断する分流生成部を有する。
【発明の効果】
【0008】
本開示における送風装置は、第一ノズルと第二ノズルと一壁面とにより囲われる空間が負圧になることを抑制する。そのため、第一ノズルから吹出す気流と第二ノズルから吹出す気流とが本来の意図とは異なる位置で衝突することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施の形態1における送風装置の構成を示す斜視図である。
図2図2は、実施の形態1における送風装置の構成を図1と異なる角度から示す斜視図である。
図3図3は、実施の形態1における送風装置の構成を示す正面図および平面断面図である。
図4図4は、実施の形態1におけるノズルの構成を示す断面図である。
図5図5は、実施の形態1における送風装置により生成される気流を模式的に示す平面断面図である。
図6図6は、実施の形態1における送風装置により生成される気流を模式的に示す斜視図である。
図7図7は、実施の形態2における送風装置の構成を示す斜視図である。
図8図8は、実施の形態2における送風装置の構成を示す正面図である。
図9図9は、実施の形態2における送風装置により生成される気流を模式的に示す平面断面図である。
図10図10は、実施の形態2における送風装置により生成される気流を模式的に示す斜視図である。
図11図11は、先行例における画像表示装置の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が必要以上に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0011】
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0012】
(実施の形態1)
以下、図1~6を用いて、実施の形態1を説明する。
【0013】
[1-1.構成]
送風装置1は、ディスプレイ200とエルゴメータ300とが設置された居室空間400へ向けて吹き出す気流を生成する。エルゴメータ300の使用者であるユーザーUは、居室空間400を構成する一壁面である壁面401に配置されたディスプレイ200に表示される映像等の情報を視聴しながら運動を行うと共に、送風装置1により生成された気流を浴びることができる。
【0014】
図1~2に示すように、送風装置1は、空調ユニット10と、ダクト20と、第一ノズル30と、第二ノズル40と、を備える。
【0015】
空調ユニット10は、居室空間400へ吹き出す気流の温度と湿度の少なくとも一方を調節する。空調ユニット10は、空気調和機11と、加湿器12と、空調室13と、送風機14と、を有する。
【0016】
空気調和機11は、冷凍サイクルを用いて空調室13の空気の温度と湿度の少なくとも一方を調節する。
【0017】
加湿器12は、空調室13の湿度を空気調和機11により調節可能な範囲よりも高い値へ調節したい場合などに使用する。
【0018】
空調室13は、居室空間400と異なる図示しない空間から搬送されてきた空気を一時的に貯留する空間であり、空気調和機11と、加湿器12と、送風機14と、を内包する。
【0019】
送風機14は、居室空間400へ吹き出す気流を生成する。送風機14は、例えば、軸流送風機よりも高い静圧を得ることが可能な遠心送風機を採用することが、ダクト20を介して空調室13から各ノズル(第一ノズル30、第二ノズル40)へ空気を搬送する点で好ましい。
【0020】
ダクト20は、二方向へ分岐した円筒状の空気搬送路であり、空調室13と第一ノズル30とを連通すると共に、空調室13と第二ノズル40とを連通する。
【0021】
図3~4を用いて、第一ノズル30および第二ノズル40を説明する。図3(a)は、壁面401に対向した正面図である。図3(b)は、図3(a)におけるA-A´断面図であり、空調ユニット10およびエルゴメータ300の図示は省略している。図4(a)は、図3(b)におけるB-B´断面図である。図4(b)は、図3(b)におけるC-C´断面図である。
【0022】
第一ノズル30および第二ノズル40は、その吹出口が長辺方向と短辺方向とを有する矩形に形成され、ダクト20を介して空調室13から搬送されてきた空気を居室空間400向けて吹き出す。第一ノズル30および第二ノズル40は、ディスプレイ200の水平方向(X軸)および鉛直方向(Z軸)の中心にあたる中央部(原点O)を中心にして、壁面401上に水平方向に所定の間隔を設けると共に、それぞれの吹出口の長辺方向が並行となるように配置される。所定の間隔は、第一ノズル30と第二ノズル40との間にディスプレイ200を設置できる程度の空間である。
【0023】
第一ノズル30は、Z軸を中心に第二ノズル40と対称に配置されると共に、その矩形の吹出口における長辺方向が鉛直上下となるように配置される。第一ノズル30は、その吹出口を壁面401における居室空間400側の面と同一平面上に配置する。第一ノズル30は、分流生成部31を有する。
【0024】
分流生成部31は、第一ノズル30側へ搬送された空気のうち第一ノズル30の長辺方向における中央近傍に搬送された空気の通過を遮断し、分流生成部31の上方を通過する気流AF1と分流生成部31の下方を通過する気流AF2とを生成する。なお、気流AF1と気流AF2とを含む第一ノズル30から吹き出す気流を「気流AF」と表記する場合がある。分流生成部31は、第一ノズル30の吹出口の長辺方向における中央近傍であって、気流AF1が通過する吹出口の開口面積と気流AF2が通過する吹出口の開口面積とが等しくなるように配置する。分流生成部31は、上流側から下流側へ向けて、気流AF1が通過する吹出口の開口面積と気流AF2が通過する吹出口の開口面積とが連続的に小さくなるように形成される。言い換えると、分流生成部31は、第一ノズル30の吹出口の一端側短辺から他端側短辺に向けての長さが上流側から下流側に向けて連続的に大きくなるように形成され、その長さは下流側端部において第一ノズル30の吹出口の長辺方向の長さの1/5程度にする。
【0025】
第二ノズル40は、Z軸を中心に第一ノズル30と対称に配置されると共に、その矩形の吹出口における長辺方向が鉛直上下となるように配置される。第二ノズル40は、その吹出口を壁面401における居室空間400側の面と同一平面上に配置する。第二ノズル40は、分流生成部41を有する。
【0026】
分流生成部41は、第二ノズル40側へ搬送された空気のうち第二ノズル40の長辺方向における中央近傍に搬送された空気の通過を遮断し、分流生成部41の上方を通過する気流BF1と分流生成部41の下方を通過する気流BF2とを生成する。なお、気流BF1と気流BF2とを含む第二ノズル40から吹き出す気流を「気流BF」と表記する場合がある。分流生成部41は、第二ノズル40の吹出口の長辺方向における中央近傍であって、気流BF1が通過する吹出口の開口面積と気流BF2が通過する吹出口の開口面積とが等しくなるように配置する。分流生成部41は、上流側から下流側へ向けて、気流BF1が通過する吹出口の開口面積と気流BF2が通過する吹出口の開口面積とを連続的に小さくするように形成される。言い換えると、分流生成部41は、第二ノズル40の吹出口の一端側短辺から他端側短辺に向けての長さが上流側から下流側に向けて連続的に大きくなるように形成され、その長さは下流側端部において第二ノズル40の吹出口の長辺方向の長さの1/5程度にする。
【0027】
第一ノズル30により生成される気流AFの吹出方向と第二ノズル40により生成される気流BFの吹出方向とは、互いに近接する方向である。ここで「近接する」とは、「衝突する」または「合流する」という意味も含むことを明記しておく。気流AFの風速と気流BFの風速とは等しい。
【0028】
[1-2.動作]
以上のように構成された送風装置1について、その動作を図5~6を用いて説明する。図5は、図3におけるA-A´断面図であり、空調ユニット10の図示は省略している。
【0029】
送風装置1の運転が開始されると、空調室13の空気は、送風機14の運転によりダクト20を介して第一ノズル30および第二ノズル40へ搬送される。第一ノズル30へ搬送された空気は、分流生成部31の上方を流通する気流AF1と分流生成部31の下方を流通する気流AF2とを含む気流AFとして居室空間400へと吹出す。第二ノズル40へ搬送された空気は、分流生成部41の上方を流通する気流BF1と分流生成部41の下方を流通する気流BF2とを含む気流BFとして居室空間400へと吹出す。気流AFと気流BFとは、鉛直上下に広がる気流となり、ディスプレイ200を中心とした原点Oからディスプレイ200に対して法線方向に延びるY軸と鉛直方向に交わる合流辺Lにおいて互いに近接する。気流AFと気流BFとが近接することで、合流辺Lを起点として鉛直上下に広がると共に、Y軸上に配置されたエルゴメータ300へ向かう気流CFが生成される。なお、気流AFの吹出方向と気流BFの吹出方向とは互いに近接する方向であり且つそれぞれの角度を等しくすることが、Y軸上において気流AFと気流BFとを近接する点で好ましい。また、気流AFの風速と気流BFの風速とを等しくすることが、Y軸上を流通する気流CFを生成する点で好ましい。
【0030】
このとき、合流辺Lと壁面401上であって第一ノズル30と第二ノズル40とに挟まれる面(狭面)との間の空間には、その空間の空気が気流AFと気流BFへ引き寄せられるため、周囲の空間に対して気圧の低い領域(負圧領域S1)が生成される。負圧領域S1が生成されると、負圧は、その周りの空気を引き寄せる作用を有するため、負圧領域S1の上方の空間から負圧領域S1へ流れ込む誘引気流DFと負圧領域S1の下方の空間から負圧領域S1へ流れ込む誘引気流EFとが生成される。
【0031】
さらに、気流AF1と気流AF2との間の空間を介して負圧領域S1へ流れ込む誘引気流GFが生成される。すなわち、分流生成部31は、誘引気流GFを流通する誘引空間S2を生成する。
【0032】
またさらに、気流BF1と気流BF2との間の空間を介して負圧領域S1へ流れ込む誘引気流HFが生成される。すなわち、分流生成部41は、誘引気流HFを流通する誘引空間S3を生成する。
【0033】
誘引気流DFおよび誘引気流EFに加えて、誘引気流GFおよび誘引気流HFが負圧領域S1へ流れ込むことにより、負圧となる領域が小さくなる。
【0034】
[1-3.効果等]
送風装置1は、分流生成部31および分流生成部41を備えない場合と比較して気流AFおよび気流BFが負圧領域S1に引き寄せられる力を小さくすることができる。そのため、送風装置1は、気流AFと気流BFとが負圧領域S1へ引き寄せられることで目的の位置(合流辺L)とは異なる位置において近接することを抑制し、目的と異なる気流CFが生成されることを抑制することができる。
【0035】
比較の例として送風装置1が分流生成部31および分流生成部41を備えない場合を考える。その場合、分流生成部31および分流生成部41を備える場合と同程度にまで負圧領域S1の大きさを抑えるためには、第一ノズル30と第二ノズル40との間の間隔をさらに広げる必要がある。第一ノズル30と第二ノズル40との間の間隔を広げると、各ノズルを設置するためにより大きな壁面401が必要となり、送風装置1の施工に対して制約が大きくなるという課題の発生が想定される。さらに、各ノズル(第一ノズル30、第二ノズル40)と合流辺Lとの間の距離が大きくなるので、気流AFと気流BFを合流辺Lに目的の風速で到達させるためには、送風機14の運転出力をさらに大きくする必要がある。送風機14の運転出力を大きくすると、ランニングコストの増加や送風機14の運転に起因する騒音の増加という課題の発生も想定される。気流AFと気流BFとが意図と異なる位置において近接することを抑制する上で解決すべき上記の課題に対して、流生成部31および分流生成部41を備えることは、上記の課題の発生を抑える点で有利に働くことが理解できる。
【0036】
また、気流AFの吹出角度と気流BFの吹出角度とを等しくすると共に、気流AFの風速と気流BFの風速とを等しくすることにより、ディスプレイ200の中央において合流した気流CFをディスプレイ200の法線方向へ向けることができる。そのため、ディスプレイ200に正対した状態でエルゴメータ300を運転した場合、ユーザーUは、ディスプレイ200から風が吹き出しているかのような感覚を得ることができる。
【0037】
(実施の形態2)
以下、図7~10を用いて、実施の形態2を説明する。
【0038】
[2-1.構成]
図7~8において、実施の形態2に係る送風装置101は、少なくとも、第一ノズル30および第二ノズル40を鉛直上下方向に所定の間隔を設けて配置する点で、実施の形態1に係る送風装置と異なる。
【0039】
第一ノズル30および第二ノズル40は、ディスプレイ200の水平方向(X軸)および鉛直方向(Z軸)の中心にあたる中央部(原点O)を中心にして、壁面401上に鉛直上下方向に所定の間隔を設けると共に、それぞれの吹出口の長辺方向が並行となるように配置される。所定の間隔は、第一ノズル30と第二ノズル40との間にディスプレイ200を設置できる程度の空間である。
【0040】
第一ノズル30は、X軸を中心に第二ノズル40と対称に配置されると共に、その矩形の吹出口における長辺方向が水平となるように配置される。
【0041】
第二ノズル40は、X軸を中心に第一ノズル30と対称に配置されると共に、その矩形の吹出口における長辺方向が水平となるように配置される。
【0042】
[2-2.動作]
以上のように構成された送風装置101について、その動作を図9~10を用いて説明する。図9は、図8におけるD-D´断面図であり、ダクト20および空調ユニット10の図示は省略している。
【0043】
送風装置101の運転が開始されると、空調室13の空気は、送風機14の運転によりダクト20を介して第一ノズル30および第二ノズル40へ搬送される。第一ノズル30へ搬送された空気は、分流生成部31の一端側を流通する気流AF1aと分流生成部31の他端側を流通する気流AF2aとを含む気流AFaとして居室空間400へと吹出す。第二ノズル40へ搬送された空気は、分流生成部41の一端側を流通する気流BF1aと分流生成部41の他端側を流通する気流BF2aとを含む気流BFaとして居室空間400へと吹出す。気流AFaと気流BFaとは、水平に広がる気流となり、ディスプレイ200を中心とした原点Oからディスプレイ200に対して法線方向に延びるY軸と水平方向に交わる合流辺Laにおいて互いに近接する。気流AFaと気流BFaとが近接することで、合流辺Laを起点として水平に広がると共に、Y軸上に配置されたエルゴメータ300へ向かう気流CFaが生成される。なお、気流AFaの吹出方向と気流BFaの吹出方向とは互いに近接する方向であり且つそれぞれの角度を等しくすることが、Y軸上において気流AFaと気流BFaとを近接する点で好ましい。また、気流AFaの風速と気流BFaの風速とを等しくすることが、Y軸上を流通する気流CFaを生成する点で好ましい。
【0044】
このとき、合流辺Laと壁面401上であって第一ノズル30と第二ノズル40とに挟まれる面(狭面)との間の空間には、その空間の空気が気流AFaと気流BFaへ引き寄せられるため、周囲の空間に対して気圧の低い領域(負圧領域S101)が生成される。負圧領域S101が生成されると、負圧は、その周りの空気を引き寄せる作用を有するため、負圧領域S101の一端側の空間から負圧領域S101へ流れ込む誘引気流DFaと負圧領域S101の他端側の空間から負圧領域S101へ流れ込む誘引気流EFaとが生成される。
【0045】
さらに、気流AF1aと気流AF2aとの間の空間を介して負圧領域S101へ流れ込む誘引気流GFaが生成される。すなわち、分流生成部31は、誘引気流GFaを流通する誘引空間S102を気流AF1aと気流AF2aとの間に生成する。
【0046】
またさらに、気流BF1aと気流BF2aとの間の空間を介して負圧領域S101へ流れ込む誘引気流HFaが生成される。すなわち、分流生成部41は、誘引気流HFaを流通する誘引空間S103を気流BF1aと気流BF2aとの間に生成する。
【0047】
誘引気流DFaおよび誘引気流EFaに加えて、誘引気流GFaおよび誘引気流HFaが負圧領域S101へ流れ込むことにより、負圧となる領域が小さくなる。
【0048】
[2-3.効果等]
送風装置101は、分流生成部31および分流生成部41を備えない場合と比較して気流AFaおよび気流BFaが負圧領域S101に引き寄せられる力を小さくすることができる。そのため、送風装置101は、気流AFaと気流BFaとが負圧領域S101に引き寄せられることで目的の位置(合流辺La)とは異なる位置において近接することを抑制し、目的と異なる気流が生成されることを抑制することができる。つまり、実施の形態2に係る送風装置101は、実施の形態1に係る送風装置1と同様の効果等を得ることができる。
【0049】
[変形例]
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態1および2を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用できる。また、上記実施の形態1および2で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
【0050】
そこで、以下、変形例を例示する。
【0051】
送風装置1および送風装置101は、空調ユニット10により空調された空気を用いて各気流を生成したが、これに限定されない。例えば、送風装置1および送風装置101は、未空調の空気を用いて各気流を生成してもよい。
【0052】
送風装置1および送風装置101は、居室空間400の空気を空調室13へ搬送する風路を備え、居室空間400の空気を循環させることで各気流を生成してもよい。
【0053】
なお、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【0054】
(発明の概要)
本出願における発明の概要を以下に記載する。
【0055】
送風装置1(送風装置101)は、居室空間400とは異なる空間(空調室13)から搬送された空気を居室空間400を構成する一壁面(壁面401)から居室空間400へ向けて吹き出す矩形の第一ノズル30と、居室空間400とは異なる空間(空調室13)から搬送された空気を一壁面(壁面401)から居室空間400へ向けて吹き出す矩形の第二ノズル40と、を備える。第一ノズル30及び第二ノズル40は、一壁面(壁面401)の所定の中央部(原点O)を中心にして一壁面(壁面401))上に対称に且つ所定の間隔を設けて矩形における長辺方向を並行に配置され、長辺方向における中央近傍に搬送された空気の通過を遮断する分流生成部(31,41)を有する。
【0056】
送風装置1において、「一壁面(壁面401)上に対称に配置され」とは、所定の中央部(原点O)を中心にして水平方向に所定の間隔を設けて配置されることを指す。送風装置1において、「矩形における長辺方向を並行に配置され」とは、矩形における長辺方向を鉛直上下に配置されることを指す。
【0057】
送風装置101において、一壁面(壁面401)上に対称に配置されとは、所定の中央部(原点O)を中心にして鉛直上下方向に所定の間隔を設けて配置されることを指す。送風装置101において、「矩形における長辺方向を並行に配置され」とは、矩形における長辺方向を水平に配置されることを指す。
【0058】
第一ノズル30の吹出方向と第二ノズル40の吹出方向とは、互いに近接する方向である。
【0059】
第一ノズル30及び第二ノズル40は、第一ノズル30の送風と第二ノズル40の送風とが合流する合流辺L(合流辺La)と、一壁面(壁面401)上であって第一ノズル30と第二ノズル40とに挟まれた狭面と、で負圧領域を生成する。分流生成部(31、41)は、遮断により負圧領域(S1、S101)へ流れ込む誘引気流(GF、HF、GFa、HFa)を引き込むための誘引空間(S2、S3、S102、S103)を生成する。
【0060】
第一ノズル30及び第二ノズル40は、一壁面(壁面401)に配置される表示装置(ディスプレイ200)を中心に対称に配置される。
【0061】
第一ノズル30から吹出す気流の風速と第二ノズル40から吹出す気流の風速とは等しい。
【0062】
第一ノズル30及び第二ノズル40は、吹出方向に配置される運動器具(エルゴメータ300)へ向かう気流(CF、CFa)を合流により生成する。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本開示は、一壁面に所定の間隔を設けて配置された各ノズルから気流を吹き出す場合において、各ノズルから吹出す気流が本来の意図と異なる位置で衝突(合流)し得る送風装置に適用可能である。本発明に係る送風装置は、気流の直進性を向上することができる送風装置に利用できる。
【符号の説明】
【0064】
1 送風装置
10 空調ユニット
11 空気調和機
12 加湿器
13 空調室
14 送風機
20 ダクト
30 第一ノズル
31 分流生成部
40 第二ノズル
41 分流生成部
101 送風装置
200 ディスプレイ
300 エルゴメータ
400 居室空間
401 壁面
図1
図2
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図5
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