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  • 特開-車載電池用ガス排気装置 図1
  • 特開-車載電池用ガス排気装置 図2A
  • 特開-車載電池用ガス排気装置 図2B
  • 特開-車載電池用ガス排気装置 図2C
  • 特開-車載電池用ガス排気装置 図3
  • 特開-車載電池用ガス排気装置 図4
  • 特開-車載電池用ガス排気装置 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161617
(43)【公開日】2023-11-08
(54)【発明の名称】車載電池用ガス排気装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/35 20210101AFI20231031BHJP
   H01M 50/333 20210101ALI20231031BHJP
   H01M 50/358 20210101ALI20231031BHJP
   H01M 50/249 20210101ALI20231031BHJP
   H01M 50/244 20210101ALI20231031BHJP
   B60K 1/04 20190101ALI20231031BHJP
【FI】
H01M50/35 201
H01M50/333
H01M50/358
H01M50/249
H01M50/244 Z
B60K1/04 Z
H01M50/35 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022072045
(22)【出願日】2022-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】弁理士法人とこしえ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】板垣 豪紀
【テーマコード(参考)】
3D235
5H012
5H040
【Fターム(参考)】
3D235AA01
3D235BB10
3D235CC12
3D235CC14
3D235DD24
3D235FF07
3D235FF12
5H012AA03
5H012BB08
5H012CC09
5H012CC10
5H012GG07
5H040AA33
5H040AA37
5H040AS04
5H040AT04
5H040AY04
5H040AY08
5H040CC59
5H040NN03
(57)【要約】
【課題】電池から複数本の排気管が導出されるガス排気装置において、電池で発生したガスを円滑に車外へ排気できる車載電池用ガス排気装置を提供する。
【解決手段】電池31が収容され、車両1の室内14に搭載された電池パック3から、前記電池で発生したガスを前記車両の室外15へ排気する車載電池用ガス排気装置2において、第1排気管21と、第2排気管22と、前記第1排気管と前記第2排気管とが接続され、内部が密閉空間とされた筐体24と、前記筐体内の前記第1排気管の他端に設けられ、前記電池パックからのガスが前記筐体内へ流入するのを許容する第1バルブ25と、前記筐体内の前記第2排気管の他端に設けられ、前記電池パックからのガスが前記筐体内へ流入するのを許容する第2バルブ26と、を備え、前記第1バルブと前記第2バルブは、前記筐体の内部において対向するように同軸上に設けられている。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池が収容され、車両の室内に搭載された電池パックから、前記電池で発生したガスを前記車両の室外へ排気する車載電池用ガス排気装置において、
一端が前記電池パックの所定部位に接続された第1排気管と、
一端が前記電池パックの他の所定部位に接続された第2排気管と、
前記第1排気管の他端と前記第2排気管の他端とが接続され、内部が密閉空間とされた筐体と、
一端が前記筐体に接続され、他端が前記車両の室外へ導出された第3排気管と、
前記筐体内の前記第1排気管の他端に設けられ、前記電池パックからのガスが前記筐体内へ流入するのを許容する第1バルブと、
前記筐体内の前記第2排気管の他端に設けられ、前記電池パックからのガスが前記筐体内へ流入するのを許容する第2バルブと、を備え、
前記第1バルブと前記第2バルブは、前記筐体の内部において対向するように同軸上に設けられている車載電池用ガス排気装置。
【請求項2】
前記電池パックに収容された複数の電池のうちの一部の電池のガス排出部に接続され、当該ガス排出部からのガスを集める第1ガス集合管と、
前記電池パックに収容された複数の電池のうちの他の一部の電池のガス排出部に接続され、当該ガス排出部からのガスを集める第2ガス集合管と、をさらに備え、
前記第1排気管の一端は、前記第1ガス集合管の出口部に接続され、
前記第2排気管の一端は、前記第2ガス集合管の出口部に接続されている請求項1に記載の車載電池用ガス排気装置。
【請求項3】
前記一部の電池及び前記他の一部の電池は、前記電池パックの内部において、それぞれのガス排出部が前記電池パックの所定の面に向かうように並んで設けられ、
前記第1ガス集合管及び前記第2ガス集合管は、前記電池パックの前記所定の面の外面に設けられている請求項2に記載の車載電池用ガス排気装置。
【請求項4】
前記電池パックは、前記車両のフロアパネルの室内側に固定されたクロスメンバに固定され、
前記筐体は、前記フロアパネルの室内側に固定されている請求項1~3のいずれか一項に記載の車載電池用ガス排気装置。
【請求項5】
前記筐体と前記電池パックは、前記車両の室内において、前記車両の幅員方向に並んで設けられている請求項4に記載の車載電池用ガス排気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載電池用ガス排気装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数の電池を車室内に搭載した車両において、電池で発生したガスを車外に放出するガス排出装置として、電池からの排気を高電圧部品パックから車両ボディのサイドメンバ内へと流通させる排気管を備えたものが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6507751号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術では、複数の電池が収容された高電圧部品パックから1本の排気管しか導出されていない。そのため、高電圧部品パックから複数の排気管を導出したい場合の排気管構造については、改善の余地がある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、電池から複数本の排気管が導出されるガス排気装置において、電池で発生したガスを円滑に車外へ排気できる車載電池用ガス排気装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、電池から第1排気管と第2排気管が導出されるガス排気装置において、第1排気管の他端に設けられた第1バルブと、第2排気管の他端に設けられた第2バルブとを、内部が密閉空間とされた筐体の内部において対向するように同軸上に設けることによって上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、第1排気管からガスが噴出して第1バルブを開放すると、筐体の内部において対向するように同軸上に設けられた第2バルブへその圧力が伝わり当該第2バルブの開放を阻止する。これにより、第1排気管からガスが第2排気管へ侵入して電池パックへ逆流するのを抑制できるので、電池で発生したガスを円滑に車外へ排気できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る車載電池用ガス排気装置を適用する車両の一例を示す側面図である。
図2A】本発明に係る車載電池用ガス排気装置を車両に搭載した状態の一例を示す、車両を正面から見た図であり、一部を断面で示す図である。
図2B図2AのIIB矢視図(車両の平面図)である。
図2C図2AのIIC矢視図であり、一部を断面で示す。
図3図2CのIII-III線に沿う断面図である。
図4】本発明に係る車載電池用ガス排気装置の作用を説明するための断面図(図2CのIII-III線相当)である。
図5】本発明に係る車載電池用ガス排気装置の他の作用を説明するための断面図(図2A相当)である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態例を説明する。本実施形態の車載電池用ガス排気装置2(以下、単にガス排気装置2ともいう。)は、車両の電源装置として使用される電池が車両の室内に搭載される場合に、電池で発生したガスを車両の室外へ排気するために用いられる。図1は、本実施形態に係る車載電池用ガス排気装置2を適用する車両1の一例を示す側面図である。複数の電池を収容した電池パック3は、特に限定はされないが、たとえば、車両1のフロアパネル11の室内14側に固定された2つのクロスメンバ12,12の間に搭載され、これら2つのクロスメンバ12,12に固定される。電池パック3に収容された電池は、車両1の走行駆動用モータや車載電装品へ電力を供給する電源装置として使用され、リチウムイオン二次電池などの電池である。この種の電池からガスが放出された場合、車両1の室内14に充満するのを防止するために、当該ガスを室外15へ排気するのが、本実施形態のガス排気装置2である。
【0010】
図2Aは、本実施形態に係るガス排気装置2を車両1に搭載した状態の一例を示す図、図2Bは、図2AのIIB矢視図(車両の平面図)、図2Cは、図2AのIIC矢視図である。なお、図2Aは、車両1を正面から見た図であり、一部を断面で示し、図2Cも一部を断面で示す。
【0011】
本実施形態の電池パック3は、複数の扁平型の電池31をケースに収容したものであり、図2Cに示すように車両1のフロアパネル11の室内14側に固定された2つのクロスメンバ12,12の間に搭載され、これら2つのクロスメンバ12,12に固定されている。それぞれの電池31は、ガス排出部32を有し、ガス排出部32は、電池31の内部にガスが発生した場合に、当該ガスを排出する通気孔の役割を有する。このような構造を設けることで、ガスの発生による電池31の異常な膨張を抑制することができる。ガス排出部32には、たとえば、電池31の内圧が所定値以上になると開弁して当該ガスを排出する防爆弁や、電池31の内圧が所定値以上になると破断して当該ガスを排出するシール部材を用いることができる。図2Aに示す例では、ガス排出部32を電池パック3の天井面に向けた状態で複数の電池31が2列に並んで設けられている。
【0012】
本実施形態の電池パック3の天井面の外面には、2列に並んで設けられた複数の電池31のうちの一方の列の電池31のガス排出部32のそれぞれに接続され、当該ガス排出部32からのガスを集める第1ガス集合管33と、他方の列の電池31のガス排出部32のそれぞれに接続され、当該ガス排出部32からのガスを集める第2ガス集合管34とが設けられている。これら第1ガス集合管33及び第2ガス集合管34のそれぞれは、内部が空間とされ、一端が閉塞された管体であり、他端が出口部33a,34aとされている。複数の電池31のいずれかでガスが発生すると、当該発生したガスは、その電池31のガス排出部32が接続された第1ガス集合管33又は第2ガス集合管34に流入し、出口部33a又は34aから本実施形態のガス排気装置2に導かれる。
【0013】
本実施形態のガス排気装置2は、図2A図2Cに示すように、第1排気管21、第2排気管22、第3排気管23及び筐体24を備える。第1排気管21は、一端21aが電池パック3の第1ガス集合管33の出口部33aに接続され、他端21bが筐体24に接続されている。第2排気管22は、一端22aが電池パック3の第2ガス集合管34の出口部34aに接続され、他端22bが筐体24に接続されている。第3排気管23は、一端23aが筐体24に接続され、他端23bが、フロアパネル11に形成された通孔を介して車両1の室外15へ導出されている。
【0014】
筐体24は、内部が密閉空間とされた箱状部材であり、第1排気管21の他端21bと、第2排気管22の他端22bと、第3排気管23の一端23aとが接続されている。本実施形態の筐体24は、図2A及び図2Bに示すように、車両1の室内14において、電池パック3と車両1の幅員方向に並んで設けられている。
【0015】
図3は、図2CのIII-III線に沿う断面図である。筐体24の内部において、第1排気管21の他端21bには第1バルブ25が設けられている。この第1バルブ25は、電池パック3からのガスが第1排気管21を介して筐体24内へ流入するのを許容する一方向弁(逆止弁)である。また、同じく筐体24の内部において、第2排気管22の他端22bには第2バルブ26が設けられている。この第2バルブ26は、電池パック3からのガスが第2排気管22を介して筐体24内へ流入するのを許容する一方向弁(逆止弁)である。これら第1バルブ25及び第2バルブ26は、基端に設けられたバネの弾性力を調整することで、電池パック3からのガスが所定圧力を超えたときに開弁することになる。
【0016】
特に本実施形態の第1バルブ25と第2バルブ26は、図3に示すように筐体24の内部において対向するように同軸上に設けられている。図4は、本実施形態に係る車載電池用ガス排気装置2の作用を説明するための断面図(図2CのIII-III線相当)である。このように第1バルブ25と第2バルブ26とを筐体24の内部に設けることで、図4に示すように一方の第2バルブ26が開弁すると、筐体24の内部圧力が上昇し、他方の第1バルブ25の開弁を阻止しようとする。これに加え、第1バルブ25と第2バルブ26とを対向するように同軸上に設けると、第2バルブ26が開弁する際に発生する瞬間的な衝撃波が、同軸上で対向する第1バルブ25の弁頭に衝突するので、他方の第1バルブ25の開弁がより一層阻止される。その結果、電池パック3から第2排気管22を介して筐体24の内部に至ったガスが、第1バルブ25から第1排気管21を介して電池パック3ヘ逆流するのを防止することができる。
【0017】
また、本実施形態の電池パック3は、図2A及び図2Bに示すように、電池パック3に収容された複数の電池31のうちの一部の電池31のガス排出部32に接続され、当該ガス排出部32からのガスを集める第1ガス集合管33と、電池パック3に収容された複数の電池31のうちの他の一部の電池31のガス排出部32に接続され、当該ガス排出部32からのガスを集める第2ガス集合管34とを備えているので、電池パック3の内部においてガスの排気を取り廻す流路が不要となり、これにより電池パック3を可能な限り小型化することができる。また、第1排気管21の一端21aは、第1ガス集合管33の出口部33aに接続し、第2排気管22の一端22aは、第2ガス集合管34の出口部34aに接続すればよいので、電池パック3の外部におけるスペースも可能な限り小さくすることができる。
【0018】
また、本実施形態の電池パック3は、一部の電池31及び他の一部の電池31は、電池パック3の内部において、それぞれのガス排出部32が電池パック3の所定の面、すなわち天井面に向かうように並んで設けられ、第1ガス集合管33及び第2ガス集合管34は、電池パック3の当該天井面の外面に設けられているので、これによっても、電池パック3の外部におけるスペースを可能な限り小さくすることができる。
【0019】
また、本実施形態の電池パック3は、車両1のフロアパネル11の室内側に固定されたクロスメンバ12に固定される一方、筐体24は、フロアパネル11の室内14側に固定されている。図5は、本実施形態に係る車載電池用ガス排気装置2の側突時の作用を説明するための断面図(図2A相当)であり、点線は側突前の状態を示し、実線は側突後の状態を示す。図5に示すように車両1の側面から衝突を受けた場合(いわゆる側突)、本実施形態の筐体24はフロアパネル11に固定されているので、フロアパネル11が下方に折れ曲がるのに従ってシルアッセンブリ13と共に下方に移動する。これに対し、電池パック3はクロスメンバ12に固定されているので、フロアパネル11と共に下方には移動しない。その結果、筐体24が電池パック3に干渉するのを抑制することができ、側突時の電池パック3を保護することができる。
【0020】
また、本実施形態の筐体24と電池パック3は、車両1の室内14において車両1の幅員方向に並んで設けられているので、座席とドア開口部との間のデッドスペースを筐体24の設置場所に有効活用することができる。
【符号の説明】
【0021】
1…車両
11…フロアパネル
12…クロスメンバ
13…シルアッセンブリ
14…室内
15…室外
2…ガス排気装置
21…第1排気管
21a…一端
21b…他端
22…第2排気管
22a…一端
22b…他端
23…第3排気管
23a…一端
23b…他端
24…筐体
25…第1バルブ
26…第2バルブ
27…
28…
3…電池パック
31…電池
32…ガス排出部
33…第1ガス集合管
33a…出口部
34…第2ガス集合管
34a…出口部
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5