(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161620
(43)【公開日】2023-11-08
(54)【発明の名称】情報処理装置、及び三次元造形装置
(51)【国際特許分類】
B29C 64/386 20170101AFI20231031BHJP
B33Y 50/00 20150101ALI20231031BHJP
B29C 64/40 20170101ALI20231031BHJP
B29C 64/106 20170101ALI20231031BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20231031BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20231031BHJP
【FI】
B29C64/386
B33Y50/00
B29C64/40
B29C64/106
B33Y10/00
B33Y30/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022072050
(22)【出願日】2022-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(74)【代理人】
【識別番号】100196058
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 彰雄
(72)【発明者】
【氏名】橋爪 啓太郎
【テーマコード(参考)】
4F213
【Fターム(参考)】
4F213AR07
4F213AR12
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL32
4F213WL85
4F213WL96
(57)【要約】
【課題】焼結工程を伴わずとも、造形体からラフト層、支持体のそれぞれが除去し易くなる三次元造形用データを生成することができる情報処理装置を提供すること。
【解決手段】三次元造形物の形状を有する造形体と、造形体を支持する支持体とのうち、少なくとも造形体を含むオブジェクトを示すオブジェクトデータを記憶する記憶部と、オブジェクトを複数のスライス層にスライスし、スライスした複数のスライス層のそれぞれ毎に、スライス層の造形パスを生成し、生成した複数のスライス層それぞれの造形パスを示す造形パス情報を含む三次元造形用データを生成する生成部と、を備え、生成部は、第2スライス層の造形パスを生成する場合、第1スライス層の種類と、第2スライス層の種類とに基づいて、第2スライス層の造形パスを生成する、情報処理装置。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のスライス層を予め決められた形状の三次元造形物として三次元造形装置に積層させるための三次元造形用データを生成する情報処理装置であって、
前記三次元造形物の形状を有する造形体と、前記造形体を支持する支持体とのうち、少なくとも前記造形体を含むオブジェクトを示すオブジェクトデータを記憶する記憶部と、
前記オブジェクトデータが示す前記オブジェクトを前記複数のスライス層に仮想的にスライスするためのスライス条件を示すスライス条件情報と、前記複数のスライス層それぞれの造形パスを生成するための造形パス生成条件を示す造形パス生成条件情報とに基づいて、前記オブジェクトを前記複数のスライス層に仮想的にスライスし、スライスした前記複数のスライス層のそれぞれ毎に、スライス層の造形パスを生成し、生成した前記複数のスライス層それぞれの造形パスを示す造形パス情報を含む前記三次元造形用データを生成する生成部と、
を備え、
前記スライス条件情報には、前記複数のスライス層のうちの第1スライス層の種類を示す第1スライス層種類情報と、前記複数のスライス層のうち前記第1スライス層の上に積層される第2スライス層の種類を示す第2スライス層種類情報とが含まれており、
前記造形パス生成条件情報には、前記第1スライス層の種類と、前記第2スライス層の種類と、前記第2スライス層の造形パスを生成するための条件を示す情報とが対応付けられた情報を含む対応情報が含まれており、
前記生成部は、前記第2スライス層の造形パスを生成する場合、前記対応情報と、前記第1スライス層の種類と、前記第2スライス層の種類とに基づいて、前記第2スライス層の造形パスを生成する、
情報処理装置。
【請求項2】
前記第1スライス層が造形層であり、且つ、前記第2スライス層が造形層である場合、前記第2スライス層の造形パスを生成するための条件は、前記第1スライス層の造形パスと、前記第2スライス層の造形パスとの接触面積が大きくなるように、前記第2スライス層の造形パスを生成することであり、
前記生成部は、前記第1スライス層が造形層であり、且つ、前記第2スライス層が造形層である場合、前記第1スライス層の造形パスと、前記第2スライス層の造形パスとの接触面積が大きくなるように、前記第2スライス層の造形パスを生成する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第1スライス層がソリッド層であり、且つ、前記第2スライス層がソリッド層である場合、前記第2スライス層の造形パスを生成するための条件は、前記第1スライス層の造形パスと、前記第2スライス層の造形パスとが重なり合う1つ以上の重なり位置毎に、前記第1スライス層の造形パスの向きと、前記第2スライス層の造形パスの向きとが交差するように、前記第2スライス層の造形パスを生成することであり、
前記生成部は、前記第1スライス層がソリッド層であり、且つ、前記第2スライス層がソリッド層である場合、前記第1スライス層の造形パスと、前記第2スライス層の造形パスとが重なり合う1つ以上の重なり位置毎に、前記第1スライス層の造形パスの向きと、前記第2スライス層の造形パスの向きとが交差するように、前記第2スライス層の造形パスを生成する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第1スライス層がラフト層であり、且つ、前記第2スライス層がラフト層である場合、前記第2スライス層の造形パスを生成するための条件は、前記第1スライス層の造形パスと、前記第2スライス層の造形パスとの接触面積が大きくなるように、前記第2スライス層の造形パスを生成することであり、
前記生成部は、前記第1スライス層がラフト層であり、且つ、前記第2スライス層がラフト層である場合、前記第1スライス層の造形パスと、前記第2スライス層の造形パスとの接触面積が大きくなるように、前記第2スライス層の造形パスを生成する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記第1スライス層が支持層であり、且つ、前記第2スライス層が支持層である場合、前記第2スライス層の造形パスを生成するための条件は、前記第1スライス層の造形パスと、前記第2スライス層の造形パスとの接触面積が大きくなるように、前記第2スライス層の造形パスを生成することであり、
前記生成部は、前記第1スライス層が支持層であり、且つ、前記第2スライス層が支持層である場合、前記第1スライス層の造形パスと、前記第2スライス層の造形パスとの接触面積が大きくなるように、前記第2スライス層の造形パスを生成する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記第1スライス層がソリッド層であり、且つ、前記第2スライス層が造形層である場合、前記第2スライス層の造形パスを生成するための条件は、前記第1スライス層の造形パスと、前記第2スライス層の造形パスとの接触面積が大きくなるように、前記第2スライス層の造形パスを生成することであり、
前記生成部は、前記第1スライス層がソリッド層であり、且つ、前記第2スライス層が造形層である場合、前記第1スライス層の造形パスと、前記第2スライス層の造形パスとの接触面積が大きくなるように、前記第2スライス層の造形パスを生成する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記生成部は、前記オブジェクトを前記複数のスライス層にスライスする場合において、前記第1スライス層がソリッド層であり、且つ、前記第2スライス層が造形層である場合、前記第1スライス層を含む複数のソリッド層それぞれの厚みよりも、前記第2スライス層の厚みを厚くする、
請求項1又は6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記生成部は、前記オブジェクトを前記複数のスライス層にスライスする場合において、前記第1スライス層が造形層であり、且つ、前記第2スライス層がソリッド層である場合、前記第1スライス層を含む複数の造形層それぞれの厚みの平均値よりも、前記第2スライス層の厚みを薄くする、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記第1スライス層がラフト層であり、且つ、前記第2スライス層がソリッド層である場合、前記第2スライス層の造形パスを生成するための条件は、前記第1スライス層の造形パスと、前記第2スライス層の造形パスとの接触面積が小さくなるように、前記第2スライス層の造形パスを生成することであり、
前記生成部は、前記第1スライス層がラフト層であり、且つ、前記第2スライス層がソリッド層である場合、前記第1スライス層の造形パスと、前記第2スライス層の造形パスとの接触面積が小さくなるように、前記第2スライス層の造形パスを生成する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記第1スライス層が支持層であり、且つ、前記第2スライス層がソリッド層である場合、前記第2スライス層の造形パスを生成するための条件は、前記第1スライス層の造形パスと、前記第2スライス層の造形パスとの接触面積が小さくなるように、前記第2スライス層の造形パスを生成することであり、
前記生成部は、前記第1スライス層が支持層であり、且つ、前記第2スライス層がソリッド層である場合、前記第1スライス層の造形パスと、前記第2スライス層の造形パスとの接触面積が小さくなるように、前記第2スライス層の造形パスを生成する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項11】
複数のスライス層を予め決められた形状の三次元造形物として三次元造形装置に積層させるための三次元造形用データを生成する情報処理装置を備える三次元造形装置であって、
前記情報処理装置は、
前記三次元造形物の形状を有する造形体と、前記造形体を支持する支持体とのうち、少なくとも前記造形体を含むオブジェクトを示すオブジェクトデータを記憶する記憶部と、
前記オブジェクトデータが示す前記オブジェクトを前記複数のスライス層に仮想的にスライスするためのスライス条件を示すスライス条件情報と、前記複数のスライス層それぞれの造形パスを生成するための造形パス生成条件を示す造形パス生成条件情報とに基づいて、前記オブジェクトを前記複数のスライス層に仮想的にスライスし、スライスした前記複数のスライス層のそれぞれ毎に、スライス層の造形パスを生成し、生成した前記複数のスライス層それぞれの造形パスを示す造形パス情報を含む前記三次元造形用データを生成する生成部と、
を備え、
前記スライス条件情報には、前記複数のスライス層のうちの第1スライス層の種類を示す第1スライス層種類情報と、前記複数のスライス層のうち前記第1スライス層の上に積層される第2スライス層の種類を示す第2スライス層種類情報とが含まれており、
前記造形パス生成条件情報には、前記第1スライス層の種類と、前記第2スライス層の種類と、前記第2スライス層の造形パスを生成するための条件を示す情報とが対応付けられた情報を含む対応情報が含まれており、
前記生成部は、前記第2スライス層の造形パスを生成する場合、前記対応情報と、前記第1スライス層の種類と、前記第2スライス層の種類とに基づいて、前記第2スライス層の造形パスを生成する、
三次元造形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、情報処理装置、及び三次元造形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
少なくとも一部を溶融した造形材料を積層して三次元造形物を造形する三次元造形装置についての研究、開発が行われている。
【0003】
これに関し、金属材料を含む造形材料を積層させて三次元造形物を造形する三次元造形装置として、造形材料が積層されるステージを備え、ステージ上にラフト層を積層させ、そのラフト層の上に造形体及び支持体を形成する三次元造形装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されたような三次元造形装置は、ラフト層、支持体のそれぞれと造形体との間の界面に、焼結によって造形体へ接合し難い材料により構成されるインターフェース層を形成させる。これにより、当該三次元造形装置は、造形材料を焼結させた後に、造形体からラフト層、支持体のそれぞれを除去し易くすることができる。ここで、造形体からラフト層、支持体のそれぞれを除去し易くすることは、樹脂材料の積層による三次元造形物の造形においても求められていることである。しかしながら、このようなインターフェース層を用いた方法は、造形材料を焼結させる焼結工程を必要とする。一方、樹脂材料の積層による三次元造形物の造形には、焼結工程が含まれていない。このため、当該方法を樹脂材料の積層による三次元造形物の造形へ適用することでラフト層または支持体を三次元造形物から容易に除去することが困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明の一態様は、複数のスライス層を予め決められた形状の三次元造形物として三次元造形装置に積層させるための三次元造形用データを生成する情報処理装置であって、前記三次元造形物の形状を有する造形体と、前記造形体を支持する支持体とのうち、少なくとも前記造形体を含むオブジェクトを示すオブジェクトデータを記憶する記憶部と、前記オブジェクトデータが示す前記オブジェクトを前記複数のスライス層に仮想的にスライスするためのスライス条件を示すスライス条件情報と、前記複数のスライス層それぞれの造形パスを生成するための造形パス生成条件を示す造形パス生成条件情報とに基づいて、前記オブジェクトを前記複数のスライス層に仮想的にスライスし、スライスした前記複数のスライス層のそれぞれ毎に、スライス層の造形パスを生成し、生成した前記複数のスライス層それぞれの造形パスを示す造形パス情報を含む前記三次元造形用データを生成する生成部と、を備え、前記スライス条件情報には、前記複数のスライス層のうちの第1スライス層の種類を示す第1スライス層種類情報と、前記複数のスライス層のうち前記第1スライス層の上に積層される第2スライス層の種類を示す第2スライス層種類情報とが含まれており、前記造形パス生成条件情報には、前記第1スライス層の種類と、前記第2スライス層の種類と、前記第2スライス層の造形パスを生成するための条件を示す情報とが対応付けられた情報を含む対応情報が含まれており、前記生成部は、前記第2スライス層の造形パスを生成する場合、前記対応情報と、前記第1スライス層の種類と、前記第2スライス層の種類とに基づいて、前記第2スライス層の造形パスを生成する、情報処理装置である。
【0007】
また、本発明の一態様は、複数のスライス層を予め決められた形状の三次元造形物として三次元造形装置に積層させるための三次元造形用データを生成する情報処理装置を備える三次元造形装置であって、前記情報処理装置は、前記三次元造形物の形状を有する造形体と、前記造形体を支持する支持体とのうち、少なくとも前記造形体を含むオブジェクトを示すオブジェクトデータを記憶する記憶部と、前記オブジェクトデータが示す前記オブジェクトを前記複数のスライス層に仮想的にスライスするためのスライス条件を示すスライス条件情報と、前記複数のスライス層それぞれの造形パスを生成するための造形パス生成条件を示す造形パス生成条件情報とに基づいて、前記オブジェクトを前記複数のスライス層に仮想的にスライスし、スライスした前記複数のスライス層のそれぞれ毎に、スライス層の造形パスを生成し、生成した前記複数のスライス層それぞれの造形パスを示す造形パス情報を含む前記三次元造形用データを生成する生成部と、を備え、前記スライス条件情報には、前記複数のスライス層のうちの第1スライス層の種類を示す第1スライス層種類情報と、前記複数のスライス層のうち前記第1スライス層の上に積層される第2スライス層の種類を示す第2スライス層種類情報とが含まれており、前記造形パス生成条件情報には、前記第1スライス層の種類と、前記第2スライス層の種類と、前記第2スライス層の造形パスを生成するための条件を示す情報とが対応付けられた情報を含む対応情報が含まれており、前記生成部は、前記第2スライス層の造形パスを生成する場合、前記対応情報と、前記第1スライス層の種類と、前記第2スライス層の種類とに基づいて、前記第2スライス層の造形パスを生成する、三次元造形装置である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】三次元造形装置1の構成の一例を示す図である。
【
図2】データ生成装置50のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図3】データ生成装置50の機能構成の一例を示す図である。
【
図4】データ生成装置50が三次元造形用データを生成する処理の流れの一例を示す図である。
【
図5】ある第1スライス層LL1の造形パスP1と、第1スライス層LL1の上に積層される第2スライス層LL2の造形パスP2とが上下方向において完全に重なっている場合における第1スライス層LL1と第2スライス層LL2との間の接触面積の一例を示す図である。
【
図6】
図2に示したA-A’線において第1スライス層LL1及び第2スライス層LL2を切断した場合の断面図の一例を示す図である。
【
図7】ある第1スライス層LL3の造形パスP3と、第1スライス層LL3の上に積層される第2スライス層LL4の造形パスP4とが上下方向において略重なっていない場合における第1スライス層LL3と第2スライス層LL4との間の接触面積の一例を示す図である。
【
図8】
図7に示したB-B’線において第1スライス層LL3及び第2スライス層LL4を切断した場合の断面図の一例を示す図である。
【
図9】制御装置40が三次元造形物を三次元造形装置1に造形させる処理の流れの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<実施形態>
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0010】
<三次元造形装置の概要>
まず、実施形態に係る三次元造形装置の概要について説明する。
【0011】
実施形態に係る三次元造形装置は、複数のスライス層を予め決められた形状の三次元造形物として三次元造形装置に積層させるための三次元造形用データを生成する情報処理装置を備える。そして、情報処理装置は、記憶部と、生成部を備える。記憶部は、三次元造形物の形状を有する造形体と、造形体を支持する支持体とのうち、少なくとも造形体を含むオブジェクトを示すオブジェクトデータを記憶する。生成部は、オブジェクトデータが示すオブジェクトを複数のスライス層に仮想的にスライスするためのスライス条件を示すスライス条件情報と、複数のスライス層それぞれの造形パスを生成するための造形パス生成条件を示す造形パス生成条件情報とに基づいて、オブジェクトを複数のスライス層に仮想的にスライスし、スライスした複数のスライス層のそれぞれ毎に、スライス層の造形パスを生成し、生成した複数のスライス層それぞれの造形パスを示す造形パス情報を含む三次元造形用データを生成する。これにより、三次元造形装置は、焼結工程を伴わずとも、造形体からラフト層、支持体のそれぞれが除去し易くなる三次元造形用データを生成することができる。
【0012】
以下では、実施形態に係る三次元造形装置の構成と、当該三次元造形装置が備える情報処理装置の構成と、当該情報処理装置が行う処理とについて詳しく説明する。
【0013】
<三次元造形装置の構成>
以下、実施形態に係る三次元造形装置の構成について、三次元造形装置1を例に挙げて説明する。
【0014】
図1は、三次元造形装置1の構成の一例を示す図である。
【0015】
ここで、三次元座標系TCは、三次元座標系TCが描かれた図における方向を示す三次元直交座標系である。以下では、説明の便宜上、三次元座標系TCにおけるX軸を、単にX軸と称して説明する。また、以下では、説明の便宜上、三次元座標系TCにおけるY軸を、単にY軸と称して説明する。また、以下では、説明の便宜上、三次元座標系TCにおけるZ軸を、単にZ軸と称して説明する。また、以下では、一例として、Z軸の負方向が重力方向と一致している場合について説明する。このため、以下では、説明の便宜上、Z軸の正方向を上方向又は単に上と称し、Z軸の負方向を下方向又は単に下と称して説明する。
【0016】
三次元造形装置1は、ノズルNzを有する吐出ユニット10と、三次元造形物が造形される造形面21を有するステージ20と、移動部30と、制御装置40と、データ生成装置50を備える。なお、三次元造形装置1において、データ生成装置50は、制御装置40と一体に構成されてもよい。また、三次元造形装置1は、データ生成装置50を備えない構成であってもよい。この場合、データ生成装置50は、三次元造形装置1へ外部から通信可能に接続される。また、三次元造形装置1は、制御装置40とデータ生成装置50とを備えない構成であってもよい。この場合、データ生成装置50は、制御装置40を介して三次元造形装置1と通信可能に接続される。
【0017】
三次元造形装置1は、ステージ20の造形面21上に向かって吐出ユニット10から図示しない造形材料Xを吐出させつつ、吐出ユニット10とステージ20との相対的な位置を変化させる。これにより、三次元造形装置1は、N個のスライス層を積層させて1個の予め決められた形状の三次元造形物を造形する。ここで、Nは、1以上の整数であれば、如何なる整数であってもよい。この場合、N個のスライス層のうち下から数えて1番目のスライス層は、造形面21上に積層される。また、造形面21上に積層されるN個のスライス層のそれぞれは、造形面21と平行な造形パスに沿って吐出された造形材料Xのことである。また、造形パスは、造形材料Xを吐出しながら移動するノズルNzのステージ20に対する走査経路のことである。すなわち、三次元造形装置1は、N個のスライス層のうちのn番目のスライス層の造形パスに沿って造形材料Xを吐出ユニット10によって吐出し、n番目のスライス層をn-1番目のスライス層の上に積層させる。なお、N個のスライス層のそれぞれは、単一の層によって構成されてもよく、積層された複数の層によって構成されてもよい。ここで、nは、1以上N以下のいずれかの整数である。また、あるスライス層の造形パスには、当該スライス層の輪郭に沿ったノズルNzの走査経路であるアウトラインと、当該アウトラインに囲まれた領域内におけるノズルNzの走査経路であるインフィルとが含まれている。すなわち、あるスライス層は、当該スライス層のアウトラインに沿って吐出された造形材料Xと、当該スライス層のインフィルに沿って吐出された造形材料Xとによって構成される。
【0018】
三次元造形装置1は、このような三次元造形物の造形を、三次元造形用データに基づいて行う。ここで、三次元造形装置1は、受け付けた操作に応じて、三次元造形用データを生成する。三次元造形用データは、N個のスライス層を予め決められた形状の三次元造形物として三次元造形装置1に積層させるためのデータである。三次元造形装置1には、当該形状を示す形状データが記憶されている。形状データは、例えば、当該形状を示すデータであれば、如何なるデータであってもよく、例えば、STL(Stereolithography)データである。三次元造形装置1は、受け付けた操作と、形状データとに基づいて、形状データが示す形状を有する仮想的な造形体と、造形体を支持するために造形体に付加される仮想的な支持体とのうち、少なくとも造形体を含む仮想的なオブジェクトを示すオブジェクトデータを生成する。造形体は、積層されるN個のスライス層が有する部分のうち、1個の三次元造形物としてN個のスライス層から切り離される部分のことである。また、支持体は、積層されたN個の材料層が有する部分のうち、造形体を支持する部分のことである。
【0019】
オブジェクトデータを生成した後、三次元造形装置1は、生成したオブジェクトデータを記憶する。オブジェクトデータを記憶した後、三次元造形装置1は、スライス条件情報に基づいて、記憶したオブジェクトデータが示すオブジェクトをN個の層に仮想的にスライスする。このように三次元造形装置1によりオブジェクトが仮想的にスライスされたN個の層のそれぞれは、前述のN個のスライス層のそれぞれに対応する。そこで、以下では、説明の便宜上、これらN個の層のうちn番目の層を、スライス層VLnと称し、前述のN個のスライス層のうちn番目のスライス層を、スライス層Lnと称して説明する。この場合、例えば、1番目のスライス層VL1は、1番目のスライス層L1に対応する。なお、以下では、説明の便宜上、1番目のスライス層VL1~N番目のスライス層VLNのそれぞれを区別する必要が無い限り、単にスライス層VLと称して説明する。また、以下では、説明の便宜上、1番目のスライス層L1~N番目のスライス層LNのそれぞれを区別する必要が無い限り、単にスライス層Lと称して説明する。ここで、スライス条件情報は、三次元造形装置1が記憶したオブジェクトデータが示すオブジェクトをN個のスライス層VLに仮想的にスライスするためのスライス条件を示す情報のことである。スライス条件情報には、N個のスライス層VLの数であるNを示す情報、N個のスライス層VLそれぞれの厚みを示す情報等の情報が含まれている。
【0020】
オブジェクトを仮想的にスライスした後、三次元造形装置1は、造形パス生成条件情報に基づいて、スライスしたN個のスライス層VLのそれぞれ毎に、スライス層VLの造形パスを生成する。造形パスは、造形材料Xを吐出しながら移動するノズルNzのステージ20に対する走査経路のことである。このため、n番目のスライス層VLnの造形パスに沿って吐出された造形材料Xが、スライス層VLnに対応する現実のスライス層Lnのことである。
【0021】
ここで、n番目のスライス層VLnは、オブジェクトに含まれる造形体と支持体とのうちの少なくとも一方がスライスされたスライス層のうちの1つである。このため、n番目のスライス層VLnには、造形体がスライスされた部分と、支持体がスライスされた部分とのうちの少なくとも一方が含まれている。すなわち、n番目のスライス層VLnは、造形体がスライスされた層と、支持体がスライスされた層とのうちの少なくとも一方を含んでいる。そして、造形体がスライスされた層は、第1ソリッド層、造形層の2種類に分類される。第1ソリッド層は、造形体のソリッド層のことである。造形体は、第1ソリッド層と、第1ソリッド層と第1ソリッド層との間に積層される造形層とによって構成される。すなわち、造形体は、第1ソリッド層と、造形層とを積層させることによって造形される。また、支持体がスライスされた層は、第2ソリッド層、支持層、ラフト層の3種類に分類される。第2ソリッド層は、支持体のソリッド層のことである。ラフト層は、第1ソリッド層、造形層、第2ソリッド層、支持層のそれぞれが積層される土台となる層のことである。支持体は、第2ソリッド層と、第2ソリッド層と第2ソリッド層との間に積層される支持層と、ラフト層とによって構成される。すなわち、支持体は、第2ソリッド層と、支持層と、ラフト層とを積層させることによって造形される。例えば、ある造形体の形状がオーバーハングを有する形状である場合、当該造形体が有する部分のうちオーバーハングの部分は、このような支持体により支持される。以上のことから、n番目のスライス層VLnの種類は、n番目のスライス層VLnに含まれる層によって分類される。例えば、n番目のスライス層VLnが第1ソリッド層のみを含んでいる場合、n番目のスライス層VLnの種類は、第1ソリッド層である。また、例えば、n番目のスライス層VLnが第1ソリッド層と第2ソリッド層とを含んでいる場合、n番目のスライス層VLnの種類は、n番目のスライス層VLnに含まれる層のうち造形体がスライスされた層の種類と、支持n番目のスライス層VLnに含まれる層のうち支持体がスライスされた層の種類との組み合わせ、すなわち、第1ソリッド層と第2ソリッド層との組み合わせによって表される。そして、n番目のスライス層VLnの種類は、n番目のスライス層Lnの種類でもある。このため、三次元造形装置1は、スライス条件情報に基づいて、n番目のスライス層VLnの種類を特定することができるとともに、スライス層Lnの種類を特定することができる。
【0022】
造形パス生成条件情報に基づいてN個のスライス層VLのそれぞれ毎にスライス層VLの造形パスを生成した後、三次元造形装置1は、生成したN個のスライス層VLそれぞれの造形パスを示す造形パス情報を含む三次元造形用データを生成する。ここで、造形パス生成条件情報は、N個のスライス層VLそれぞれの造形パスを生成するための造形パス生成条件を示す情報のことである。造形パス生成条件情報には、N個のスライス層VLそれぞれの種類毎の造形パスの形状を示す情報、N個のスライス層VLそれぞれの種類毎の造形パスの幅を示す情報、N個のスライス層VLそれぞれの種類毎の造形パスに沿って造形材料Xを吐出する場合におけるノズルNzの移動速度を示す情報等の情報が含まれている。また、ある造形パスを示す造形パス情報には、当該造形パスの幅を示す情報、当該造形パスに沿って造形材料Xを吐出する場合のノズルNzの移動速度を示す情報等の他の情報が含まれている。
【0023】
また、三次元造形装置1では、スライス条件情報には、N個のスライス層VLのうちのn-1番目のスライス層VLn-1の種類を示すn-1番目スライス層種類情報と、N個のスライス層VLのうちn-1番目のスライス層VLn-1の上に積層されるn番目のスライス層VLnの種類を示すn番目スライス層種類情報とが含まれている。また、三次元造形装置1では、造形パス生成条件情報には、n-1番目のスライス層VLn-1の種類と、n番目のスライス層VLnの種類と、n番目のスライス層VLnの造形パスを生成するための条件を示す情報とが対応付けられた情報を含む対応情報が含まれている。そして、三次元造形装置1は、n番目のスライス層VLnの造形パスを生成する場合、対応情報と、n-1番目のスライス層VLn-1の種類と、n番目のスライス層VLnの種類とに基づいて、n番目のスライス層VLnの造形パスを生成する。これにより、三次元造形装置1は、焼結工程を伴わずとも、造形体からラフト層、支持体のそれぞれが除去し易くなる三次元造形用データを生成することができる。
【0024】
ここで、N個のスライス層Lのうちのラフト層のスライス層Lは、他の層のスライス層Lの土台として造形面21と、他の層との間に形成される層であり、造形材料Xによって塗り潰された層のことである。当該他の層は、N個のスライス層Lのうちラフト層の上に積層される個々のスライス層Lのことであり、具体的には、第1ソリッド層、造形層、第2ソリッド層、支持層のうちの一部又は全部のスライス層Lのことである。当該他の層は、造形面21と接するように造形面21上に積層された場合、造形面21から剥がれ難くなることがある。また、当該他の層は、当該場合、精度よく定着させることができないことがある。また、当該他の層には、当該場合、残存応力が残ってしまうことがある。これらの問題を解決するために当該他の層と造形面21との間に積層される層が、ラフト層のスライス層Lである。また、ソリッド層、造形層、支持層それぞれのスライス層Lは、予め決められた外形状の輪郭に沿って吐出された造形材料Xであるアウトラインと、アウトラインによって囲まれた領域内に吐出される造形材料Xであるインフィルとによって形成される。そして、ソリッド層のスライス層Lは、ソリッド層のスライス層Lのアウトラインによって囲まれた領域内が、インフィルによって略隙間無く塗り潰された層のことである。換言すると、ソリッド層のスライス層Lは、当該領域内におけるインフィルの充填率が100%の層のことである。なお、第1ソリッド層のスライス層Lは、造形体の表面を形成する造形材料Xを含む1個以上の層のことであると換言することもできる。また、造形層のスライス層Lは、造形体の内部を形成する造形材料Xを含む1個以上の層のことである。また、第2ソリッド層のスライス層Lは、支持体の表面を形成する造形材料Xを含む1個以上の層のことであると換言することもできる。一方、造形層のスライス層Lは、造形層のアウトラインによって囲まれた領域内にインフィルが含まれ、当該領域内にインフィルが充填されていない領域が存在する層のことである。換言すると、造形層のスライス層Lは、当該領域内におけるインフィルの充填率が100%未満の層のことである。また、造形層のスライス層Lは、造形体の内部を形成する造形材料Xを含む1個以上の層のことであると換言することもできる。また、支持層のスライス層Lのうちのは、支持層のアウトラインによって囲まれた領域内にインフィルが含まれ、当該領域内にインフィルが充填されていない領域が存在する層のことである。換言すると、支持層のスライス層Lは、当該領域内におけるインフィルの充填率が100%未満の層のことである。また、支持層のスライス層Lnは、支持体の内部を形成する造形材料Xを含む1個以上の層のことであると換言することもできる。
【0025】
三次元造形装置1は、以上のようにして生成した三次元造形用データに基づいて、造形面21上にN個のスライス層Lを積層させる場合、ラフト層、第1ソリッド層、造形層、第2ソリッド層、支持層のうちの一部又は全部によって表される種類のスライス層Lとして、N個のスライス層Lのそれぞれを吐出ユニット10によって造形面21上に吐出し、N個のスライス層Lを積層させて1個の三次元造形物を造形する。これにより、三次元造形装置1は、焼結工程を伴わずとも、ラフト層、支持体のそれぞれを除去し易い造形体を、三次元造形物として造形することができる。換言すると、これにより、三次元造形装置1は、樹脂材料を含む造形材料Xの積層によって、ラフト層、支持体のそれぞれを除去し易い造形体を、三次元造形物として造形することができる。
【0026】
吐出ユニット10は、造形材料Xを造形面31上に吐出する吐出装置である。より具体的には、吐出ユニット10は、前述のノズルNzとともに、1種類以上の材料を溶融させて造形材料Xとする材料溶融部11と、材料供給部12を有する。ここで、吐出ユニット10において、材料供給部12と材料溶融部11との間は、供給路13によって接続される。また、材料溶融部11とノズルNzとの間は、連通孔14によって接続される。このため、ノズルNzには、材料溶融部11に連通されている。ノズルNzは、連通孔14を通って材料溶融部11から供給される造形材料Xを先端から吐出する。
【0027】
ここで、三次元造形装置1は、n-1番目のスライス層Ln-1の上にn番目のスライス層Lnを積層する場合、n-1番目のスライス層Ln-1の上面とノズルNzの先端との距離を変更することにより、n-1番目のスライス層Ln-1の上面に吐出する造形材料Xの幅を変化させる。ただし、三次元造形装置1によりn番目のスライス層Lnの上面に吐出される造形材料Xの幅の最大値は、ノズルNzの先端の外径である。これは、n-1番目のスライス層Ln-1の上面とノズルNzの先端との距離を、ノズルNzの先端の内径Dnよりも短くすると、ノズルNzの先端から吐出される造形材料Xが、ノズルNzの先端によって押し潰されながらn-1番目の造形層の上面に吐出されることになるからである。
【0028】
材料供給部12には、ペレット、粉末等の状態の1種類以上の材料が収容される。以下では、一例として、材料供給部12に収容される材料が、ペレット状のABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)樹脂である場合について説明する。なお、材料供給部12に収容される材料は、ABS樹脂に代えて、1種類以上の他の材料であってもよい。材料供給部12は、例えば、ホッパーによって構成される。材料供給部12に収容された材料は、材料供給部12の下方に設けられた供給路13を介して、材料溶融部11に供給される。
【0029】
材料溶融部11は、スクリューケース111と、スクリューケース111内に収容されたフラットスクリュー112と、フラットスクリュー112を駆動させる駆動モーター113と、スクリューケース111内においてフラットスクリュー112よりも下方に固定されたバレル114を備える。
【0030】
フラットスクリュー112は、扁平な円柱形状を有し、円柱の外周から円柱の中心軸AXに向かう渦状の溝部が円柱の底面に形成されたスクリューである。
【0031】
バレル114には、連通孔14が設けられている。また、バレル114には、ヒーターが内蔵されている。ヒーターの温度は、制御装置40によって制御される。
【0032】
回転しているフラットスクリュー112と、バレル114との間に供給された材料は、フラットスクリュー112の回転と、バレル114に内蔵されたヒーターによる加熱とによって、少なくとも一部が溶融されて、流動性を有するペースト状の造形材料Xとなる。造形材料Xは、フラットスクリュー112の回転によって、バレル114に設けられた連通孔14を介してノズルNzに供給される。そして、ノズルNzに供給された造形材料Xは、ノズルNzの先端からステージ20に向かって吐出される。
【0033】
移動部30は、吐出ユニット10のノズルNzとステージ20との相対的な位置を変化させる。より具体的には、移動部30は、吐出ユニット10とステージ20とのいずれか一方又は両方を移動させることにより、吐出ユニット10のノズルNzとステージ20との相対的な位置を変化させる。以下では、一例として、移動部30が、ステージ20を移動させることにより、吐出ユニット10のノズルNzとステージ20との相対的な位置を変化させる場合について説明する。例えば、移動部30は、3つのモーターの駆動力によって、ステージ20をX軸、Y軸、Z軸のそれぞれと平行な方向に移動させる3軸ポジショナーによって構成される。この場合、これら3つのモーターは、制御装置40により制御される。なお、以下では、説明の便宜上、ステージ20に対する吐出ユニット10の相対的な速度を、単に移動速度と称して説明する。
【0034】
制御装置40は、三次元造形装置1の全体を制御する。制御装置40は、データ生成装置50によって生成された三次元造形用データを、ネットワーク又は記録媒体を介して取得する。制御装置40は、予め記憶された三次元造形用プログラムを実行することによって、三次元造形用データに応じて吐出ユニット10と移動部30との動作を制御する造形制御を行うことにより、三次元造形物を造形する。なお、制御装置40は、コンピューターではなく、複数の回路の組み合わせによって構成されてもよい。
【0035】
造形制御は、吐出ユニット10、移動部30についての制御のことである。具体的には、造形制御は、造形面21上にN個のスライス層Lを積層させて予め決められた形状の1個の三次元造形物を造形する制御のことである。ここで、N個のスライス層Lのうちのn番目のスライス層Lnは、n-1番目のスライス層Ln-1の上に積層される。この際、n番目のスライス層Lnは、n-1番目のスライス層Lnの上に積層された場合、n番目のスライス層Lnの熱によりn-1番目のスライス層Ln-1の一部を溶融させる。このため、n番目のスライス層Lnは、n-1番目のスライス層Ln-1と接合される。その結果、造形面21上において、N個のスライス層Lは、1個の三次元造形物として積層される。このため、実施形態では、0番目のスライス層L0は、造形面21のことを意味する。すなわち、実施形態において、1番目のスライス層L1は、0番目のスライス層L0、すなわち、造形面21の上に積層される。
【0036】
n番目のスライス層Lnをn-1番目のスライス層Ln-1の上に積層させる場合、制御装置40は、吐出ユニット10、移動部30を制御し、n番目のスライス層Lnに対応するn番目のスライス層VLnの造形パスに沿った造形材料Xの吐出を吐出ユニット10によって行う。これにより、制御装置40は、n番目のスライス層Lnをn-1番目のスライス層Ln-1の上に積層させることができる。以上のような制御を造形制御として行うことにより、制御装置40は、造形材料Xの吐出を順に行い、造形面21上にN個のスライス層Lを積層させて、1個の三次元造形物を造形する。
【0037】
ここで、制御装置40は、1以上のプロセッサーと、メモリーと、外部との信号の入出力を行う入出力インターフェースとを備えるコンピューターによって構成されている。制御装置40は、三次元造形装置制御部41を備えている。三次元造形装置制御部41は、データ生成装置50により生成された三次元造形用データを取得し、取得した三次元造形用データに基づいて三次元造形装置1を制御し、ステージ20の造形面21上にN個のスライス層Lを積層させ、1個の三次元造形物を造形する。三次元造形装置制御部41は、制御装置40に備えられたプロセッサーが、メモリーに記憶された所定のプログラムを実行することによって実現される。このプログラムは、コンピューターが読み取り可能な一時的でない有形の記録媒体に記録されてもよい。
【0038】
データ生成装置50は、三次元造形装置1が三次元造形物を造形するために用いる三次元造形用データを生成する装置である。データ生成装置50は、上記において説明した三次元造形装置1が三次元造形用データを生成する方法により、三次元造形用データを生成する。このため、ここでは、当該方法の説明については、省略する。また、データ生成装置50は、受け付けた操作に応じて、前述の形状データを記憶する。なお、データ生成装置50は、形状データを生成可能であってもよく、形状データを生成不可能であってもよい。データ生成装置50が形状データを生成不可能である場合、データ生成装置50は、他の装置からネットワーク又は記憶媒体を介して形状データを取得する。
【0039】
データ生成装置50は、例えば、ワークステーション、デスクトップPC(Personal Computer)、ノートPC、タブレットPC、多機能携帯電話端末(スマートフォン)、携帯電話端末、PDA(Personal Digital Assistant)等の情報処理装置であるが、これらに限られるわけではない。
【0040】
図2は、データ生成装置50のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0041】
データ生成装置50は、プロセッサー51と、記憶部52と、入力受付部53と、通信部54と、表示部55を備える。なお、データ生成装置50は、前述した通り、三次元造形装置1と別体に構成された情報処理装置であってもよい。この場合、三次元造形装置1は、制御装置40を介してこの情報処理装置と通信可能に接続され、この情報処理装置により制御される。
【0042】
プロセッサー51は、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。なお、プロセッサー51は、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の他のプロセッサーであってもよい。また、プロセッサー51は、複数のプロセッサーにより構成されてもよい。プロセッサー51は、記憶部52に記憶された各種のプログラム、各種の命令等を実行することにより、データ生成装置50が有する各種の機能を実現する。
【0043】
記憶部52は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を含む。なお、記憶部52は、データ生成装置50に内蔵されるものに代えて、USB(Universal Serial Bus)等のデジタル入出力ポート等によって接続された外付け型の記憶装置であってもよい。記憶部52は、データ生成装置50が処理する各種のプログラム、各種の命令、各種の情報等を記憶する。例えば、記憶部52は、三次元造形用データ、スライス条件情報、造形パス生成条件情報、対応情報等を記憶する。
【0044】
入力受付部53は、表示部55に表示された画像を見ながら行われるユーザーからの操作を受け付ける。入力受付部53は、例えば、キーボード、マウス、タッチパッド等を含む入力装置である。なお、入力受付部53は、表示部55と一体に構成されたタッチパネルであってもよい。
【0045】
通信部54は、例えば、USB等のデジタル入出力ポート、イーサネット(登録商標)ポート等を含んで構成される。
【0046】
表示部55は、画像を表示する。表示部55は、データ生成装置50が備えるディスプレイとして、例えば、液晶ディスプレイパネル、有機EL(ElectroLuminescence)ディスプレイパネル等を含む表示装置である。
【0047】
図3は、データ生成装置50の機能構成の一例を示す図である。
【0048】
データ生成装置50は、記憶部52と、入力受付部53と、通信部54と、表示部55と、制御部56を備える。
【0049】
制御部56は、データ生成装置50の全体を制御する。制御部56は、表示制御部561と、受付部562と、生成部563を備える。制御部56が備えるこれらの機能部は、例えば、プロセッサー51が、記憶部52に記憶された各種のプログラムを実行することにより実現される。また、当該機能部のうちの一部又は全部は、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェア機能部であってもよい。
【0050】
表示制御部561は、データ生成装置50が表示部55に表示させる各種の画像を生成する。表示制御部561は、生成した画像を表示部55に表示させる。
【0051】
受付部562は、データ生成装置50が入力受付部53を介して受け付けた操作に応じて、各種の情報を受け付ける。当該各種の情報は、例えば、前述の形状データ、スライス条件情報、造形パス生成条件情報、対応情報等のことである。
【0052】
生成部563は、受付部562が受け付けた形状データ、スライス条件情報、造形パス生成条件情報等に基づいて、三次元造形用データを生成する。生成部563は、生成した三次元造形用データを記憶部52に記憶させる。また、生成部563は、生成した三次元造形用データを、通信部54を介して制御装置40等の他の装置に出力する。
【0053】
<データ生成装置が三次元造形用データを生成する処理>
以下、
図4を参照し、データ生成装置50が三次元造形用データを生成する処理について説明する。
図4は、データ生成装置50が三次元造形用データを生成する処理の流れの一例を示す図である。以下では、一例として、
図4に示したステップS110の処理が行われるよりも前のタイミングにおいて、形状データが記憶部52は、記憶されている場合について説明する。また、以下では、一例として、当該タイミングにおいて、記憶部52に予め記憶された形状データに基づく三次元造形用データの生成を開始するデータ生成処理開始操作をデータ生成装置50が受け付けている場合について説明する。
【0054】
データ生成処理開始操作を受け付けた後、表示制御部561は、記憶部52に予め記憶された形状データを記憶部52から読み出す(ステップS110)。
【0055】
次に、表示制御部561は、操作受付画像を生成し、生成した操作受付画像を表示部55に表示させる(ステップS120)。ここで、操作受付画像は、スライス条件情報、造形パス生成条件情報、対応情報それぞれのデータ生成装置50への入力を受け付ける画像のことである。操作受付画像は、スライス条件情報、造形パス生成条件情報、対応情報それぞれのデータ生成装置50への入力を受け付けることが可能な画像であれば、如何なる画像であってもよい。例えば、操作受付画像は、スライス条件情報、造形パス生成条件情報、対応情報それぞれのデータ生成装置50への入力を受け付けるGUI(Graphical User Interface)を含む画像である。また、操作受付画像は、ステップS110において表示制御部561が記憶部52から読み出した形状データが示す形状を有する仮想的な造形体を表示させ、表示させた造形体への編集を受け付ける画像である。当該造形体への編集は、例えば、仮想的な支持体の付加等であるが、これに限られるわけではない。また、操作受付画像は、当該支持体が付加された後の当該造形体をオブジェクトとして示すオブジェクトデータを生成する操作を受け付ける画像である。
【0056】
次に、受付部562は、操作受付画像を介した操作を受け付けるまで待機する(ステップS130)。
【0057】
受付部562は、操作受付画像を介した操作を受け付けたと判定した場合(ステップS130-YES)、操作受付画像におけるデータ生成装置50への情報の入力を終了するか否かを判定する(ステップS140)。ここで、ステップS140において、受付部562は、例えば、ステップS130において受け付けた操作が、当該入力が終了したことを示す操作であった場合、操作受付画像におけるデータ生成装置50への情報の入力を終了すると判定する。一方、ステップS140において、受付部562は、例えば、ステップS130において受け付けた操作が、当該入力が終了したことを示す操作と異なる操作であった場合、操作受付画像におけるデータ生成装置50への情報の入力を終了しないと判定する。
【0058】
表示制御部561、生成部563のそれぞれは、操作受付画像におけるデータ生成装置50への情報の入力を終了しないと受付部562が判定した場合(ステップS140-NO)、ステップS130において受け付けた操作に応じた処理を行う(ステップS150)。当該処理は、例えば、スライス条件情報、造形パス生成条件情報、対応情報等の情報を受け付ける処理、オブジェクトデータを生成部563に生成させる処理等であるが、これに限られるわけではない。ステップS150の処理が行われた後、受付部562は、ステップS130に遷移し、操作受付画像を介した操作を受け付けるまで再び待機する。
【0059】
このように、データ生成装置50は、ステップS130~ステップS150の処理により、スライス条件情報、造形パス生成条件情報、対応情報を受け付けるとともに、オブジェクトデータを生成する。
【0060】
一方、生成部563は、操作受付画像におけるデータ生成装置50への情報の入力を終了すると受付部562が判定した場合(ステップS140-YES)、ステップS130~ステップS150の処理によって生成されたオブジェクトデータと、当該処理によって受け付けたスライス条件情報とに基づいて、当該オブジェクトデータが示すオブジェクトをN個のスライス層VLにスライスする(ステップS160)。
【0061】
次に、生成部563は、ステップS160においてスライスしたN個のスライス層VLの中からスライス層VLをスライス層VL1から順に1つずつ選択し、選択したスライス層VL毎に、ステップS180の処理を繰り返し行う(ステップS170)。
【0062】
生成部563は、ステップS130~ステップS150の処理によって受け付けたスライス条件情報、造形パス生成条件情報、対応情報に基づいて、ステップS170において選択されたスライス層VLの造形パスを生成する(ステップS180)。
【0063】
ここで、ステップS180の処理について詳しく説明する。このため、以下では、説明の便宜上、ステップS170において選択されたスライス層VLを第2スライス層と称し、第2スライス層の直下に位置するスライス層VLを第1スライス層と称して説明する。
【0064】
生成部563は、ステップS180において、第1スライス層が造形層であり、且つ、第2スライス層が造形層である場合、第1スライス層の造形パスと、第2スライス層の造形パスとの接触面積が大きくなるように、第2スライス層の造形パスを生成する。この場合、対応情報には、第1スライス層の種類である造形層を示す情報と、第2スライス層の種類である造形層を示す情報と、第1造形パス生成条件情報とが対応付けられた情報が含まれている。第1造形パス生成条件情報は、第2スライス層の造形パスを生成するための条件を示す情報の一例であり、第1スライス層の造形パスと、第2スライス層の造形パスとの接触面積が大きくなるように、第2スライス層の造形パスを生成することを示す情報のことである。
【0065】
第1スライス層の造形パスと、第2スライス層の造形パスとの接触面積は、第1スライス層に対応するスライス層Lと、第2スライス層に対応するスライス層Lとの接触面積と比例関係にある。このため、第1スライス層の造形パスと、第2スライス層の造形パスとの接触面積を大きくすることは、第1スライス層に対応するスライス層Lと、第2スライス層に対応するスライス層Lとの層間強度を強くすることを意味する。そして、第1スライス層の造形パスと、第2スライス層の造形パスとの接触面積は、例えば、第1スライス層の造形パスと、第2スライス層の造形パスとの重なりの程度に応じて変化する。より具体的には、当該接触面積は、当該重なりの程度が大きいほど大きくなる。一方、当該接触面積は、当該重なりの程度が小さいほど小さくなる。また、当該重なりの程度は、第1スライス層の造形パスの向きと、第2スライス層の造形パスの向きとに応じて決まる。従って、第1スライス層の造形パスと、第2スライス層の造形パスとの接触面積が大きくなるように、第2スライス層の造形パスを生成することは、例えば、第1スライス層の造形パスの向きに対する、第2スライス層の造形パスの向きを調整することにより、実現できる。
【0066】
ここで、あるスライス層VLの造形パスの向きは、当該造形パス上の各位置において定義される。また、ある造形パス上のある位置における当該造形パスの向きは、当該位置においてノズルNzを次の位置へ移動させる方向として定義される。例えば、当該造形パス上の位置のうちの位置X1に位置しているノズルNzを次の位置X2へ移動させる方向がX軸の正方向であった場合、位置X1における当該造形パスの向きは、X軸の正方向を向く向きである。
【0067】
第1スライス層の造形パスと第2スライス層の造形パスとの重なりの程度は、第1スライス層の造形パスと、第2スライス層の造形パスとが重なる1つ以上の重なり位置のそれぞれにおけるこれら2つの造形パスの向きが平行に近いほど、大きくなる。一方、第1スライス層の造形パスと第2スライス層の造形パスとの重なりの程度は、第1スライス層の造形パスと、第2スライス層の造形パスとが重なる1つ以上の重なり位置のそれぞれにおけるこれら2つの造形パスの向きが直交に近いほど、小さくなる。
【0068】
図5は、ある第1スライス層LL1の造形パスP1と、第1スライス層LL1の上に積層される第2スライス層LL2の造形パスP2とが上下方向において完全に重なっている場合における第1スライス層LL1と第2スライス層LL2との間の接触面積の一例を示す図である。
図5に示した矢印は、上下方向において完全に重なり合っている造形パスP1と造形パスP2とのそれぞれを示している。すなわち、造形パスP1及び造形パスP2のそれぞれは、当該矢印の始点から当該矢印の終点へ向かって当該矢印に沿って延伸している。また、
図6は、
図2に示したA-A’線において第1スライス層LL1及び第2スライス層LL2を切断した場合の断面図の一例を示す図である。そして、
図5及び
図6においてドットでハッチングされた領域が、第1スライス層LL1と第2スライス層LL2とが接触している領域を示す。この領域が有する面のうちXY平面と平行な面の面積は、第1スライス層LL1と第2スライス層LL2との間の接触面積を示す。
図5及び
図6に示したように、造形パスP1と、造形パスP2とが上下方向において完全に重なっている場合、すなわち、造形パスP1上の各位置において造形パスP1の向きと造形パスP2の向きとが平行になるように第1スライス層LL1と第2スライス層LL2とが重なっている場合、第1スライス層LL1と第2スライス層LL2とが接触している領域は、造形パスP1と造形パスP2との2つの造形パスに沿って延伸する。このため、当該場合、第1スライス層LL1と第2スライス層LL2との間の造形パスの重なりの程度は、最大となる。その結果、当該場合、
図5及び
図6に示したように、第1スライス層LL1と第2スライス層LL2との間の接触面積は、最大となる。
【0069】
一方、
図7は、ある第1スライス層LL3の造形パスP3と、第1スライス層LL3の上に積層される第2スライス層LL4の造形パスP4とが上下方向において略重なっていない場合における第1スライス層LL3と第2スライス層LL4との間の接触面積の一例を示す図である。
図7に示した実線の矢印は、造形パスP3を示している。すなわち、造形パスP3は、当該矢印の始点から当該矢印の終点へ向かって当該矢印に沿って延伸している。また、
図7に示した点線の矢印は、造形パスP4を示している。すなわち、造形パスP4は、当該矢印の始点から当該矢印の終点へ向かって当該矢印に沿って延伸している。また、
図8は、
図7に示したB-B’線において第1スライス層LL3及び第2スライス層LL4を切断した場合の断面図の一例を示す図である。そして、造形パスP3と造形パスP4とが重なっている複数の重なり位置において、造形パスP3と造形パスP4とは、直交している。また、
図7及び
図8においてドットでハッチングされた領域が、第1スライス層LL3と第2スライス層LL4とが接触している領域を示す。この領域が有する面のうちXY平面と平行な面の面積は、第1スライス層LL3と第2スライス層LL4との間の接触面積を示す。
図7及び
図8に示したように、造形パスP3と造形パスP4とが当該複数の重なり位置において直交している場合、第1スライス層LL3と第2スライス層LL4とが接触している領域は、これら複数の重なり位置のそれぞれに点在する。このため、当該場合、第1スライス層LL3と第2スライス層LL4との間の造形パスの重なりの程度は、最小となる。その結果、当該場合、
図7及び
図8に示したように、第1スライス層LL3と第2スライス層LL4との間の接触面積は、最小となる。
【0070】
以上のように、第1スライス層の造形パスと、第2スライス層の造形パスとの接触面積が大きくなるように、第2スライス層の造形パスを生成することは、例えば、第1スライス層の造形パスの向きに対する、第2スライス層の造形パスの向きを調整することにより、実現できる。このため、生成部563は、ステップS180において、第1スライス層が造形層であり、且つ、第2スライス層が造形層である場合、例えば、第1スライス層の造形パスと、第2スライス層の造形パスとが重なる1つ以上の重なり位置のそれぞれにおけるこれら2つの造形パスの向きが平行に近くなるように、第2スライス層の造形パスを生成する。これにより、生成部563は、当該場合、第1スライス層の造形パスと、第2スライス層の造形パスとの接触面積が大きくなるように、第2スライス層の造形パスを生成することができる。その結果、データ生成装置50は、造形層間の層間強度を強くすることができる三次元造形用データを生成することができる。すなわち、三次元造形装置1は、造形層間の層間強度を強くすることができる。
【0071】
なお、生成部563は、第1スライス層が造形層であり、且つ、第2スライス層が造形層である場合、第2スライス層の造形パスに沿って造形材料Xを吐出する場合のノズルNzの移動速度を遅くすることによっても、第1スライス層の造形パスと、第2スライス層の造形パスとの接触面積が大きくなるように、第2スライス層の造形パスを生成することができる。これは、ノズルNzの移動速度が遅くなると、ノズルNzの先端から単位時間あたり吐出される造形材料Xの体積が多くなるためである。
【0072】
また、生成部563は、第1スライス層が造形層であり、且つ、第2スライス層が造形層である場合、第2スライス層の造形パスの幅を太くすることによっても、第1スライス層の造形パスと、第2スライス層の造形パスとの接触面積が大きくなるように、第2スライス層の造形パスを生成することができる。
【0073】
また、生成部563は、ステップS180において、第1スライス層がソリッド層であり、且つ、第2スライス層がソリッド層である場合、第1スライス層の造形パスと、第2スライス層の造形パスとが重なり合う1つ以上の重なり位置毎に、第1スライス層の造形パスの向きと、第2スライス層の造形パスの向きとが交差するように、第2スライス層の造形パスを生成する。例えば、生成部563は、ステップS180において、当該場合、当該1つ以上の重なり位置毎に、第1スライス層の造形パスの向きと、第2スライス層の造形パスの向きとが直交するように、第2スライス層の造形パスを生成する。これらの場合、対応情報には、第1スライス層の種類であるソリッド層を示す情報と、第2スライス層の種類であるソリッド層を示す情報と、第2造形パス生成条件情報とが対応付けられた情報が含まれている。第2造形パス生成条件情報は、第1スライス層の造形パスと、第2スライス層の造形パスとが重なり合う1つ以上の重なり位置毎に、第1スライス層の造形パスの向きと、第2スライス層の造形パスの向きとが交差するように、第2スライス層の造形パスを生成することを示す情報のことである。この場合、データ生成装置50は、ソリッド層において造形材料Xの濃淡が見えることによって三次元造形物の外観の美しさが低下してしまうことを抑制することができる三次元造形用データを生成することができる。すなわち、三次元造形装置1は、ソリッド層において造形材料Xの濃淡が見えることによって三次元造形物の外観の美しさが低下してしまうことを抑制することができる。
【0074】
また、生成部563は、ステップS180において、第1スライス層がラフト層であり、且つ、第2スライス層がラフト層である場合、第1スライス層の造形パスと、第2スライス層の造形パスとの接触面積が大きくなるように、第2スライス層の造形パスを生成する。この場合、対応情報には、第1スライス層の種類であるラフト層を示す情報と、第2スライス層の種類であるラフト層を示す情報と、前述の第1造形パス生成条件情報とが対応付けられた情報が含まれている。これにより、データ生成装置50は、ラフト層間の層間強度を強くすることができる三次元造形用データを生成することができる。すなわち、三次元造形装置1は、ラフト層間の層間強度を強くすることができる。
【0075】
また、生成部563は、ステップS180において、第1スライス層が支持層であり、且つ、第2スライス層が支持層である場合、第1スライス層の造形パスと、第2スライス層の造形パスとの接触面積が大きくなるように、第2スライス層の造形パスを生成する。この場合、対応情報には、第1スライス層の種類である支持層を示す情報と、第2スライス層の種類である支持層を示す情報と、前述の第1造形パス生成条件情報とが対応付けられた情報が含まれている。これにより、データ生成装置50は、支持層間の層間強度を強くすることができる三次元造形用データを生成することができる。すなわち、三次元造形装置1は、支持層間の層間強度を強くすることができる。
【0076】
また、生成部563は、ステップS180において、第1スライス層がソリッド層であり、且つ、第2スライス層が造形層である場合、第1スライス層の造形パスと、第2スライス層の造形パスとの接触面積が大きくなるように、第2スライス層の造形パスを生成する。この場合、対応情報には、第1スライス層の種類であるソリッド層を示す情報と、第2スライス層の種類である造形層を示す情報と、前述の第1造形パス生成条件情報とが対応付けられた情報が含まれている。これにより、データ生成装置50は、第1ソリッド層と造形層との間の層間強度を強くすることができる三次元造形用データを生成することができる。すなわち、三次元造形装置1は、第1ソリッド層と造形層との間の層間強度を強くすることができる。
【0077】
また、生成部563は、ステップS180において、第1スライス層がラフト層であり、且つ、第2スライス層がソリッド層である場合、第1スライス層の造形パスと、第2スライス層の造形パスとの接触面積が小さくなるように、第2スライス層の造形パスを生成する。この場合、対応情報には、第1スライス層の種類であるラフト層を示す情報と、第2スライス層の種類であるソリッド層を示す情報と、第3造形パス生成条件情報とが対応付けられた情報が含まれている。第3造形パス生成条件情報は、第2スライス層の造形パスを生成するための条件を示す情報の一例であり、第1スライス層の造形パスと、第2スライス層の造形パスとの接触面積が小さくなるように、第2スライス層の造形パスを生成することを示す情報のことである。ここで、生成部563は、ステップS180において、当該場合、例えば、第1スライス層の造形パスと、第2スライス層の造形パスとが重なる1つ以上の重なり位置のそれぞれにおけるこれら2つの造形パスの向きが直交に近くなるように、第2スライス層の造形パスを生成する。これにより、生成部563は、当該場合、第1スライス層の造形パスと、第2スライス層の造形パスとの接触面積が小さくなるように、第2スライス層の造形パスを生成することができる。その結果、データ生成装置50は、ラフト層と第1ソリッド層との間の層間強度を弱くすることができる三次元造形用データを生成することができる。換言すると、データ生成装置50は、焼結工程を伴わずとも、造形体からラフト層が除去し易くなる三次元造形用データを生成することができる。また、すなわち、三次元造形装置1は、ラフト層と第1ソリッド層との間の層間強度を弱くすることができる。換言すると、三次元造形装置1は、焼結工程を伴わずとも、造形体からラフト層を除去し易くすることができる。
【0078】
なお、生成部563は、第1スライス層がラフト層であり、且つ、第2スライス層がソリッド層である場合、第2スライス層の造形パスに沿って造形材料Xを吐出する場合のノズルNzの移動速度を速くすることによっても、第1スライス層の造形パスと、第2スライス層の造形パスとの接触面積が小さくなるように、第2スライス層の造形パスを生成することができる。これは、ノズルNzの移動速度が速くなると、ノズルNzの先端から単位時間あたり吐出される造形材料Xの体積が少なくなるためである。
【0079】
また、生成部563は、第1スライス層がラフト層であり、且つ、第2スライス層がソリッド層である場合、第2スライス層の造形パスの幅を細くすることによっても、第1スライス層の造形パスと、第2スライス層の造形パスとの接触面積が小さくなるように、第2スライス層の造形パスを生成することができる。
【0080】
また、生成部563は、ステップS180において、第1スライス層が支持層であり、且つ、第2スライス層がソリッド層である場合、第1スライス層の造形パスと、第2スライス層の造形パスとの接触面積が小さくなるように、第2スライス層の造形パスを生成する。この場合、対応情報には、第1スライス層の種類である支持層を示す情報と、第2スライス層の種類であるソリッド層を示す情報と、前述の第3造形パス生成条件情報とが対応付けられた情報が含まれている。これにより、生成部563は、当該場合、第1スライス層の造形パスと、第2スライス層の造形パスとの接触面積が小さくなるように、第2スライス層の造形パスを生成することができる。その結果、データ生成装置50は、支持層と第1ソリッド層との間の層間強度を弱くすることができる三次元造形用データを生成することができる。換言すると、データ生成装置50は、焼結工程を伴わずとも、造形体から支持体が除去し易くなる三次元造形用データを生成することができる。また、すなわち、三次元造形装置1は、支持層と第1ソリッド層との間の層間強度を弱くすることができる。換言すると、三次元造形装置1は、焼結工程を伴わずとも、造形体から支持体を除去し易くすることができる。
【0081】
ステップS180の処理が行われた後、生成部563は、現在の第2スライス層を次の第1スライス層として選択してからステップS170に遷移し、次のスライス層VLを第2スライス層として選択する。なお、生成部563は、ステップS170において、未選択のスライス層VLが存在しない場合、ステップS170~ステップS180の繰り返し処理を終了する。
【0082】
ステップS170~ステップS180の繰り返し処理を行った後、生成部563は、当該繰り返し処理によって生成したN個のスライス層VLそれぞれの造形パスに基づいて、前述の三次元造形用データを生成する(ステップS190)。
【0083】
次に、生成部563は、ステップS190において生成した三次元造形用データを制御装置40に出力し(ステップS200)、当該三次元造形用データを制御装置40に記憶させる。
【0084】
次に、生成部563は、ステップS190において生成した三次元造形用データを記憶部52に記憶させ(ステップS210)、
図4に示したフローチャートの処理を終了する。
【0085】
以上のように、データ生成装置50は、ステップS180において、第2スライス層の造形パスを生成する場合、対応情報と、第1スライス層の種類と、第2スライス層の種類とに基づいて、第2スライス層の造形パスを生成する。これにより、データ生成装置50は、焼結工程を伴わずとも、造形体からラフト層、支持体のそれぞれが除去し易くなる三次元造形用データを生成することができる。
【0086】
なお、生成部563は、ステップS160において、すなわち、オブジェクトをN個のスライス層VLにスライスする場合において、上下方向に隣同士で重なり合う2つのスライス層VLのうちの下側に位置する第11スライス層がソリッド層であり、且つ、当該2つのスライス層VLのうちの上側に位置する第12スライス層が造形層である場合、第11スライス層を含む複数のソリッド層それぞれの厚みよりも、第12スライス層の厚みを厚くする構成であってもよい。この場合、生成部563は、例えば、第12スライス層の厚みを厚くした分、第11スライス層を含む複数のソリッド層それぞれの厚みを薄くする。これにより、データ生成装置50は、造形層の形成を速くすることができ、その結果、三次元造形物の造形効率を向上させることができる。
【0087】
また、生成部563は、ステップS160において、すなわち、オブジェクトをN個のスライス層VLにスライスする場合において、上下方向に隣同士で重なり合う2つのスライス層VLのうちの下側に位置する第11スライス層が造形層であり、且つ、当該2つのスライス層VLのうちの上側に位置する第12スライス層がソリッド層である場合、第11スライス層を含む複数の造形層それぞれの厚みの平均値よりも、第12スライス層の厚みを薄くする構成であってもよい。この場合、生成部563は、例えば、第12スライス層の厚みを薄くした分、第11スライス層を含む複数の造形層それぞれの厚みを厚くする。これにより、データ生成装置50は、造形パス同士が接触する箇所の光の透過率を低くすることができ、その結果、三次元造形物の外観の美しさが低下してしまうことを抑制することができる。
【0088】
また、生成部563は、ステップS180において、あるスライス層VLの中にソリッド層と造形層との2種類の層が含まれている場合、ソリッド層と造形層との境界を示すアウトラインが当該スライス層VLの造形パスに含まれるように当該造形パスを生成する構成であってもよい。これにより、データ生成装置50は、当該スライス層VLに対応するスライス層Lにおいて、ソリッド層と造形層との境界におけるソリッド層の捲れ上がりの発生を抑制することができる三次元造形用データを生成することができる。すなわち、三次元造形装置1は、当該スライス層VLに対応するスライス層Lにおいて、ソリッド層と造形層との境界におけるソリッド層の捲れ上がりの発生を抑制することができる。
【0089】
<制御装置が三次元造形物を三次元造形装置に造形させる処理>
以下、
図9を参照し、制御装置40が三次元造形物を三次元造形装置1に造形させる処理について説明する。
図9は、制御装置40が三次元造形物を三次元造形装置1に造形させる処理の流れの一例を示す図である。以下では、一例として、
図9に示したステップS310の処理が行われるよりも前のタイミングにおいて、
図4に示したフローチャートの処理によって生成された三次元造形用データが制御装置40のメモリーに記憶されている場合について説明する。また、以下では、一例として、当該タイミングにおいて、当該処理を開始させる造形開始操作を制御装置40が受け付けている場合について説明する。
【0090】
造形開始操作を受け付けた後、三次元造形装置制御部41は、制御装置40のメモリーに予め記憶された三次元造形用データを当該メモリーから読み出す(ステップS310)。
【0091】
次に、三次元造形装置制御部41は、ステップS310において読み出した三次元造形用データに基づいて、N個のスライス層VLの中からスライス層VLをスライス層VL1から順に1つずつ選択し、選択したスライス層VL毎に、ステップS330の処理を繰り返し行う(ステップS320)。
【0092】
三次元造形装置制御部41は、ステップS320において選択されたスライス層VLの造形パスに沿って造形材料Xを吐出させ、当該スライス層VLに対応するスライス層Lを積層させる(ステップS330)。これにより、三次元造形装置制御部41は、例えば、当該スライス層VLを第4スライス層とし、当該スライス層VLの直下に位置するスライス層VLを第3スライス層とすると、第3スライス層が造形層であり、且つ、第4スライス層が造形層である場合、第4スライス層の造形パスとの接触面積が大きくなるように、第4スライス層を第2スライス層の上に積層することができる。すなわち、三次元造形装置1は、当該場合、造形層間の層間強度を強くすることができる。
【0093】
また、三次元造形装置制御部41は、例えば、第3スライス層がソリッド層であり、且つ、第4スライス層がソリッド層である場合、第3スライス層の造形パスと、第4スライス層の造形パスとが重なり合う1つ以上の重なり位置毎に、第3スライス層の造形パスの向きと、第4スライス層の造形パスの向きとが交差するように、第4スライス層を第3スライス層の上に積層することができる。すなわち、三次元造形装置1は、当該場合、ソリッド層において造形材料Xの濃淡が見えることによって三次元造形物の外観の美しさが低下してしまうことを抑制することができる。
【0094】
また、三次元造形装置制御部41は、例えば、第3スライス層がラフト層であり、且つ、第4スライス層がラフト層である場合、第4スライス層の造形パスとの接触面積が大きくなるように、第4スライス層を第3スライス層の上に積層することができる。すなわち、三次元造形装置1は、当該場合、ラフト層間の層間強度を強くすることができる。
【0095】
また、三次元造形装置制御部41は、例えば、第3スライス層が支持層であり、且つ、第4スライス層が支持層である場合、第4スライス層の造形パスとの接触面積が大きくなるように、第4スライス層を第3スライス層の上に積層することができる。すなわち、三次元造形装置1は、当該場合、支持層間の層間強度を強くすることができる。
【0096】
また、三次元造形装置制御部41は、例えば、第3スライス層がソリッド層であり、且つ、第4スライス層が造形層である場合、第4スライス層の造形パスとの接触面積が大きくなるように、第4スライス層を第3スライス層の上に積層することができる。すなわち、三次元造形装置1は、当該場合、第1ソリッド層と造形層との間の層間強度を強くすることができる。
【0097】
また、三次元造形装置制御部41は、例えば、第3スライス層がラフト層であり、且つ、第4スライス層がソリッド層である場合、第4スライス層の造形パスとの接触面積が小さくなるように、第4スライス層を第3スライス層の上に積層することができる。すなわち、三次元造形装置1は、当該場合、ラフト層と第1ソリッド層との間の層間強度を弱くすることができる。換言すると、三次元造形装置1は、焼結工程を伴わずとも、造形体からラフト層を除去し易くすることができる。
【0098】
また、三次元造形装置制御部41は、例えば、第3スライス層が支持層であり、且つ、第4スライス層がソリッド層である場合、第4スライス層の造形パスとの接触面積が小さくなるように、第4スライス層を第3スライス層の上に積層することができる。すなわち、三次元造形装置1は、当該場合、支持層と第1ソリッド層との間の層間強度を弱くすることができる。換言すると、三次元造形装置1は、焼結工程を伴わずとも、造形体から支持体を除去し易くすることができる。
【0099】
ステップS330の処理が行われた後、三次元造形装置制御部41は、ステップS320に遷移し、次のスライス層VLを選択する。なお、三次元造形装置制御部41は、ステップS320において未選択のスライス層VLが存在しない場合、ステップS320~ステップS330の繰り返し処理を終了し、
図9に示したフローチャートの処理を終了する。
【0100】
なお、上記において説明した内容は、如何様に組み合わされてもよい。
【0101】
以上説明したように、実施形態に係る情報処理装置は、複数のスライス層を予め決められた形状の三次元造形物として三次元造形装置に積層させるための三次元造形用データを生成する情報処理装置であって、三次元造形物の形状を有する造形体と、造形体を支持する支持体とのうち、少なくとも造形体を含むオブジェクトを示すオブジェクトデータを記憶する記憶部と、オブジェクトデータが示すオブジェクトを複数のスライス層に仮想的にスライスするためのスライス条件を示すスライス条件情報と、複数のスライス層それぞれの造形パスを生成するための造形パス生成条件を示す造形パス生成条件情報とに基づいて、オブジェクトを複数のスライス層に仮想的にスライスし、スライスした複数のスライス層のそれぞれ毎に、スライス層の造形パスを生成し、生成した複数のスライス層それぞれの造形パスを示す造形パス情報を含む三次元造形用データを生成する生成部と、を備え、スライス条件情報には、複数のスライス層のうちの第1スライス層の種類を示す第1スライス層種類情報と、複数のスライス層のうち第1スライス層の上に積層される第2スライス層の種類を示す第2スライス層種類情報とが含まれており、造形パス生成条件情報には、第1スライス層の種類と、第2スライス層の種類と、第2スライス層の造形パスを生成するための条件を示す情報とが対応付けられた情報を含む対応情報が含まれており、生成部は、第2スライス層の造形パスを生成する場合、対応情報と、第1スライス層の種類と、第2スライス層の種類とに基づいて、第2スライス層の造形パスを生成する。これにより、情報処理装置は、焼結工程を伴わずとも、造形体からラフト層、支持体のそれぞれが除去し易くなる三次元造形用データを生成することができる。ここで、上記において説明した例では、三次元造形装置1は、当該三次元造形装置の一例である。また、上記において説明した例では、データ生成装置50は、当該情報処理装置の一例である。また、上記において説明した例では、記憶部52は、当該記憶部の一例である。また、上記において説明した例では、N個のスライス層VLは、当該複数のスライス層の一例である。また、上記において説明した例では、生成部563は、当該生成部の一例である。また、上記において説明した例では、第1ソリッド層、造形層、第2ソリッド層、支持層、ラフト層のそれぞれは、第1スライス層の種類の一例であるとともに、第2スライス層の種類の一例でもある。
【0102】
また、情報処理装置では、第1スライス層が造形層であり、且つ、第2スライス層が造形層である場合、第2スライス層の造形パスを生成するための条件は、第1スライス層の造形パスと、第2スライス層の造形パスとの接触面積が大きくなるように、第2スライス層の造形パスを生成することであり、生成部は、第1スライス層が造形層であり、且つ、第2スライス層が造形層である場合、第1スライス層の造形パスと、第2スライス層の造形パスとの接触面積が大きくなるように、第2スライス層の造形パスを生成する、構成が用いられてもよい。
【0103】
また、情報処理装置では、第1スライス層がソリッド層であり、且つ、第2スライス層がソリッド層である場合、第2スライス層の造形パスを生成するための条件は、第1スライス層の造形パスと、第2スライス層の造形パスとが重なり合う1つ以上の重なり位置毎に、第1スライス層の造形パスの向きと、第2スライス層の造形パスの向きとが交差するように、第2スライス層の造形パスを生成することであり、生成部は、第1スライス層がソリッド層であり、且つ、第2スライス層がソリッド層である場合、第1スライス層の造形パスと、第2スライス層の造形パスとが重なり合う1つ以上の重なり位置毎に、第1スライス層の造形パスの向きと、第2スライス層の造形パスの向きとが交差するように、第2スライス層の造形パスを生成する、構成が用いられてもよい。
【0104】
また、情報処理装置では、第1スライス層がラフト層であり、且つ、第2スライス層がラフト層である場合、第2スライス層の造形パスを生成するための条件は、第1スライス層の造形パスと、第2スライス層の造形パスとの接触面積が大きくなるように、第2スライス層の造形パスを生成することであり、生成部は、第1スライス層がラフト層であり、且つ、第2スライス層がラフト層である場合、第1スライス層の造形パスと、第2スライス層の造形パスとの接触面積が大きくなるように、第2スライス層の造形パスを生成する、構成が用いられてもよい。
【0105】
また、情報処理装置では、第1スライス層が支持層であり、且つ、第2スライス層が支持層である場合、第2スライス層の造形パスを生成するための条件は、第1スライス層の造形パスと、第2スライス層の造形パスとの接触面積が大きくなるように、第2スライス層の造形パスを生成することであり、生成部は、第1スライス層が支持層であり、且つ、第2スライス層が支持層である場合、第1スライス層の造形パスと、第2スライス層の造形パスとの接触面積が大きくなるように、第2スライス層の造形パスを生成する、構成が用いられてもよい。
【0106】
また、情報処理装置では、第1スライス層がソリッド層であり、且つ、第2スライス層が造形層である場合、第2スライス層の造形パスを生成するための条件は、第1スライス層の造形パスと、第2スライス層の造形パスとの接触面積が大きくなるように、第2スライス層の造形パスを生成することであり、生成部は、第1スライス層がソリッド層であり、且つ、第2スライス層が造形層である場合、第1スライス層の造形パスと、第2スライス層の造形パスとの接触面積が大きくなるように、第2スライス層の造形パスを生成する、構成が用いられてもよい。
【0107】
また、情報処理装置では、生成部は、オブジェクトを複数のスライス層にスライスする場合において、第1スライス層がソリッド層であり、且つ、第2スライス層が造形層である場合、第1スライス層を含む複数のソリッド層それぞれの厚みよりも、第2スライス層の厚みを厚くする、構成が用いられてもよい。
【0108】
また、情報処理装置では、生成部は、オブジェクトを複数のスライス層にスライスする場合において、第1スライス層が造形層であり、且つ、第2スライス層がソリッド層である場合、第1スライス層を含む複数の造形層それぞれの厚みの平均値よりも、第2スライス層の厚みを薄くする、構成が用いられてもよい。
【0109】
また、情報処理装置では、第1スライス層がラフト層であり、且つ、第2スライス層がソリッド層である場合、第2スライス層の造形パスを生成するための条件は、第1スライス層の造形パスと、第2スライス層の造形パスとの接触面積が小さくなるように、第2スライス層の造形パスを生成することであり、生成部は、第1スライス層がラフト層であり、且つ、第2スライス層がソリッド層である場合、第1スライス層の造形パスと、第2スライス層の造形パスとの接触面積が小さくなるように、第2スライス層の造形パスを生成する、構成が用いられてもよい。
【0110】
また、情報処理装置では、第1スライス層が支持層であり、且つ、第2スライス層がソリッド層である場合、第2スライス層の造形パスを生成するための条件は、第1スライス層の造形パスと、第2スライス層の造形パスとの接触面積が小さくなるように、第2スライス層の造形パスを生成することであり、生成部は、第1スライス層が支持層であり、且つ、第2スライス層がソリッド層である場合、第1スライス層の造形パスと、第2スライス層の造形パスとの接触面積が小さくなるように、第2スライス層の造形パスを生成する、構成が用いられてもよい。
【0111】
また、実施形態に係る三次元造形装置は、複数のスライス層を予め決められた形状の三次元造形物として三次元造形装置に積層させるための三次元造形用データを生成する情報処理装置を備える三次元造形装置であって、情報処理装置は、三次元造形物の形状を有する造形体と、造形体を支持する支持体とのうち、少なくとも造形体を含むオブジェクトを示すオブジェクトデータを記憶する記憶部と、オブジェクトデータが示すオブジェクトを前記複数のスライス層に仮想的にスライスするためのスライス条件を示すスライス条件情報と、複数のスライス層それぞれの造形パスを生成するための造形パス生成条件を示す造形パス生成条件情報とに基づいて、オブジェクトを複数のスライス層に仮想的にスライスし、スライスした複数のスライス層のそれぞれ毎に、スライス層の造形パスを生成し、生成した複数のスライス層それぞれの造形パスを示す造形パス情報を含む三次元造形用データを生成する生成部と、を備え、スライス条件情報には、複数のスライス層のうちの第1スライス層の種類を示す第1スライス層種類情報と、複数のスライス層のうち第1スライス層の上に積層される第2スライス層の種類を示す第2スライス層種類情報とが含まれており、造形パス生成条件情報には、第1スライス層の種類と、第2スライス層の種類と、第2スライス層の造形パスを生成するための条件を示す情報とが対応付けられた情報を含む対応情報が含まれており、生成部は、第2スライス層の造形パスを生成する場合、対応情報と、第1スライス層の種類と、第2スライス層の種類とに基づいて、第2スライス層の造形パスを生成する。これにより、三次元造形装置は、焼結工程を伴わずとも、造形体からラフト層、支持体のそれぞれが除去し易くなる三次元造形用データを生成することができる。
【0112】
以上、この発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない限り、変更、置換、削除等されてもよい。
【0113】
また、以上に説明した装置における任意の構成部の機能を実現するためのプログラムを、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録し、そのプログラムをコンピューターシステムに読み込ませて実行するようにしてもよい。ここで、当該装置は、例えば、三次元造形装置1、制御装置40、データ生成装置50等である。なお、ここでいう「コンピューターシステム」とは、OS(Operating System)や周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD(Compact Disk)-ROM等の可搬媒体、コンピューターシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバーやクライアントとなるコンピューターシステム内部の揮発性メモリーのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0114】
また、上記のプログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピューターシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピューターシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記のプログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上記のプログラムは、前述した機能をコンピューターシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル又は差分プログラムであってもよい。
【符号の説明】
【0115】
1…三次元造形装置、10…吐出ユニット、11…材料溶融部、12…材料供給部、13…供給路、14…連通孔、20…ステージ、21…造形面、30…移動部、31…造形面、40…制御装置、41…三次元造形装置制御部、50…データ生成装置、51…プロセッサー、52…記憶部、53…入力受付部、54…通信部、55…表示部、56…制御部、111…スクリューケース、112…フラットスクリュー、113…駆動モーター、114…バレル、561…表示制御部、562…受付部、563…生成部、Nz…ノズル、TC…三次元座標系、X…造形材料