IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 太陽誘電株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-振動発生装置及び電子機器 図1
  • 特開-振動発生装置及び電子機器 図2
  • 特開-振動発生装置及び電子機器 図3
  • 特開-振動発生装置及び電子機器 図4
  • 特開-振動発生装置及び電子機器 図5
  • 特開-振動発生装置及び電子機器 図6
  • 特開-振動発生装置及び電子機器 図7
  • 特開-振動発生装置及び電子機器 図8
  • 特開-振動発生装置及び電子機器 図9
  • 特開-振動発生装置及び電子機器 図10
  • 特開-振動発生装置及び電子機器 図11
  • 特開-振動発生装置及び電子機器 図12
  • 特開-振動発生装置及び電子機器 図13
  • 特開-振動発生装置及び電子機器 図14
  • 特開-振動発生装置及び電子機器 図15
  • 特開-振動発生装置及び電子機器 図16
  • 特開-振動発生装置及び電子機器 図17
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161626
(43)【公開日】2023-11-08
(54)【発明の名称】振動発生装置及び電子機器
(51)【国際特許分類】
   B06B 1/06 20060101AFI20231031BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
B06B1/06 Z
G06F3/041 480
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022072070
(22)【出願日】2022-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000204284
【氏名又は名称】太陽誘電株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 文久
(72)【発明者】
【氏名】松井 幸弘
(72)【発明者】
【氏名】浜田 浩
【テーマコード(参考)】
5D107
【Fターム(参考)】
5D107AA16
5D107BB08
5D107CC02
(57)【要約】
【課題】指接触音及び指摩擦音を抑制しながら、良好な触感を提示することが可能な振動発生装置及び電子機器を提供すること。
【解決手段】本発明に係る振動発生装置は、振動体と、圧電アクチュエータとを具備する。上記振動体は、基材と、上記基材の表面上に形成された粒子含有層を含み、上記粒子含有層の表面である第1の主面と、上記第1の主面とは反対側の第2の主面を有する振動体であって、上記粒子含有層は、無機材料からなり、メディアン径が8μm以上30μm以下である複数の粒子と、上記基材の表面を被覆し、上記複数の粒子を上記基材の表面に固定する樹脂材料とを含み、上記第1の主面に上記複数の粒子が露出し、上記第1の主面に垂直な方向から見て上記複数の粒子の面積比率が2%以上45%以下である。上記圧電アクチュエータは、上記第2の主面に接合されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、前記基材の表面上に形成された粒子含有層を含み、前記粒子含有層の表面である第1の主面と、前記第1の主面とは反対側の第2の主面を有する振動体であって、前記粒子含有層は、無機材料からなり、メディアン径が8μm以上30μm以下である複数の粒子と、前記基材の表面を被覆し、前記複数の粒子を前記基材の表面に固定する樹脂材料とを含み、前記第1の主面に前記複数の粒子が露出し、前記第1の主面に垂直な方向から見て前記複数の粒子の面積比率が2%以上45%以下である振動体と、
前記第2の主面に接合された圧電アクチュエータと
を具備する振動発生装置。
【請求項2】
請求項1に記載の振動発生装置であって、
前記振動体は、パネルと前記パネルの表面に貼付されたフィルムを含み、前記基材と前記粒子含有層は前記フィルムを構成し、前記第1の主面は前記フィルムの表面である
振動発生装置。
【請求項3】
請求項2に記載の振動発生装置であって、
前記フィルムは、30μm以上200μm以下の厚みを有する
振動発生装置。
【請求項4】
請求項1に記載の振動発生装置であって、
前記振動体は、前記基材であるパネルと、前記パネルの表面上に形成された前記粒子含有層を含む
振動発生装置。
【請求項5】
請求項2又は4に記載の振動発生装置であって、
前記パネルは樹脂又はガラスからなる
振動発生装置。
【請求項6】
請求項1から4のうちいずれか1項に記載の振動発生装置であって、
前記振動体は光透過性を有する
振動発生装置。
【請求項7】
基材と、前記基材の表面上に形成された粒子含有層を含み、前記粒子含有層の表面である第1の主面と、前記第1の主面とは反対側の第2の主面を有する振動体であって、前記粒子含有層は、無機材料からなり、メディアン径が8μm以上30μm以下である複数の粒子と、前記基材の表面を被覆し、前記複数の粒子を前記基材の表面に固定する樹脂材料とを含み、前記第1の主面に前記複数の粒子が露出し、前記第1の主面に垂直な方向から見て前記複数の粒子の面積比率が2%以上45%以下である振動体と、前記第2の主面に接合された圧電アクチュエータとを備える振動発生装置
を具備する電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動による触覚提示に係る振動発生装置及び電子機器及に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンやカーナビゲーション等のタッチパネルでは、入力がなされたことを振動により通知する技術(フォースフィードバック)が用いられている。また、近年では通知だけではなく、パネルの振動にさまざまなバリエーションをもたせることで表示物の感触を表現したり、操作位置を認識させたりするような触覚技術が検討されている。
【0003】
触覚技術として、圧電アクチュエータをパネルへ貼り付け、超音波帯域の振動を生じさせることによりパネル表面に定在波を発生させることができる。その表面を指などで触れるとユーザは触感を感じることができる。そして信号パターンを変えることで、様々なバリエーションの触感を表現することができる。
【0004】
しかしながら、このような触感を発生させているパネル表面に指を触れる際、指とパネルの接触による異音(以下、接触音)が発生する場合がある。これに対し、特許文献1には、パネル表面の表面粗さを粗くすることで指の接触音を低減する技術が開示されている。また、特許文献2には、パネル表面に幅1mm~10mm、深さ0.01mm~0.1mmの凹凸を設けることによって指接触音を抑える方法を提示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-16111号公報
【特許文献2】特開2021-137735号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、特許文献1及び2にはパネル表面の性状によって指接触音を抑制する技術について開示されている。一方、パネル表面の性状によっては、触感を発生させていないパネル表面に指を触れる際、指とパネル表面の摩擦による異音(以下、指摩擦音)が発生する。また、パネル表面の性状によってはパネル表面にザラザラとした好ましくない触感が生じる場合がある。
【0007】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、指接触音及び指摩擦音を抑制しながら、良好な触感を提示することが可能な振動発生装置及び電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る振動発生装置は、振動体と、圧電アクチュエータとを備える。
上記振動体は、基材と、上記基材の表面上に形成された粒子含有層を含み、上記粒子含有層の表面である第1の主面と、上記第1の主面とは反対側の第2の主面を有する振動体であって、上記粒子含有層は、無機材料からなり、メディアン径が8μm以上30μm以下である複数の粒子と、上記基材の表面を被覆し、上記複数の粒子を上記基材の表面に固定する樹脂材料とを含み、上記第1の主面に上記複数の粒子が露出し、上記第1の主面に垂直な方向から見て上記複数の粒子の面積比率が2%以上45%以下である。
上記圧電アクチュエータは、上記第2の主面に接合されている。
【0009】
上記振動体は、パネルと上記パネルの表面に貼付されたフィルムを含み、上記基材と上記粒子含有層は上記フィルムを構成し、上記第1の主面は上記フィルムの表面であってもよい。
【0010】
上記フィルムは、30μm以上200μm以下の厚みを有してもよい。
【0011】
上記振動体は、上記基材であるパネルと、上記パネルの表面上に形成された上記粒子含有層を含んでもよい。
【0012】
上記パネルは樹脂又はガラスからなるものであってもよい。
【0013】
上記振動体は光透過性を有するものであってもよい。
【0014】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る電子機器は、振動発生装置を備える。
上記振動発生装置は、基材と、上記基材の表面上に形成された粒子含有層を含み、上記粒子含有層の表面である第1の主面と、上記第1の主面とは反対側の第2の主面を有する振動体であって、上記粒子含有層は、無機材料からなり、メディアン径が8μm以上30μm以下である複数の粒子と、上記基材の表面を被覆し、上記複数の粒子を上記基材の表面に固定する樹脂材料とを含み、上記第1の主面に上記複数の粒子が露出し、上記第1の主面に垂直な方向から見て上記複数の粒子の面積比率が2%以上45%以下である振動体と、上記第2の主面に接合された圧電アクチュエータとを備える。
【発明の効果】
【0015】
以上のように本発明によれば、指接触音及び指摩擦音を抑制しながら、良好な触感を提示することが可能な振動発生装置及び電子機器を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係る振動発生装置の模式図である。
図2】上記振動発生装置の斜視図である。
図3】上記振動発生装置の側面図である。
図4】上記振動発生装置が備える振動体の断面図である。
図5】上記振動発生装置が備える振動体を分解して示す断面図である。
図6】上記振動体が備える粒子含有層の平面図である。
図7】比較例に係る振動体の音圧特性を示すグラフである。
図8】本発明の実施形態に係る振動発生装置が備える振動体の音圧特性を示すグラフである。
図9】上記振動発生装置が備える粒子含有層の、粒子の面積比率と音圧の関係を示すグラフである。
図10】上記粒子含有層の、粒子の粒径と指接触音の関係を示すグラフである。
図11】上記粒子含有層の、粒子の粒径と指摩擦音の関係を示すグラフである。
図12】上記粒子含有層の、粒子の粒径と触感の関係を示すグラフである。
図13】上記振動発生装置が備えるフィルムの厚みと変位量の関係を示すグラフである。
図14】本発明の実施形態に係る、他の構成を有する振動体の断面図である。
図15】本発明の実施形態に係る、他の構成を有する振動体の断面図である。
図16】本発明の実施形態に係る、他の構成を有する振動体の断面図である。
図17】本発明の実施形態に係る、他の構成を有する振動体の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態に係る振動発生装置について説明する。なお、以下の各図においてX方向、Y方向及びZ方向を相互に直交する3方向とする。
【0018】
[振動発生装置の構成]
図1は、本実施形態に係る振動発生装置100の模式図である。同図に示すように、振動発生装置100は、振動体101、圧電アクチュエータ102及び駆動装置103を備える。図2は振動発生装置100の斜視図であり、図3は振動発生装置100の側面図である。なお、図2及び図3では駆動装置103の図示は省略する。
【0019】
振動体101は、振動体101に触れるユーザに触覚を提示する。振動体101はパネル状の部材であり、例えば、液晶パネルや電子機器の筐体等である。振動体101の形状やサイズは特に限定されない。図2及び図3に示すように、振動体101の一方の主面を第1の主面101aとし、第1の主面101aの反対側の主面を第2の主面とする。振動体101の詳細な構成については後述する。
【0020】
圧電アクチュエータ102は、振動体101の第2の主面101bに接合され、振動を生じる。圧電アクチュエータ102は、正極、負極及び圧電材料層を備え、正極と負極の間に電圧を印加すると、逆圧電効果により圧電材料層に変形が生じ、振動が発生する。図1において、正極に接続された正極端子102aと、負極に接続された負極端子102bを示す。
【0021】
正極端子102aには正極配線104が接続され、負極端子102bには負極配線105が接続されている。図1に示すように正極配線104及び負極配線105は、駆動装置103に接続され、駆動装置103から駆動信号が供給されると圧電アクチュエータ102に振動が生じる。
【0022】
圧電アクチュエータ102は正極と負極を、圧電材料層を介して交互に積層した積層構造を有するものであってもよく、他の構造を有するものであってもよい。圧電アクチュエータ102はエポキシ樹脂等によって第2の主面101bに接合されたものとすることができる。また、図15乃至図17に示すように、圧電アクチュエータ102は対や並列などの配置で2つ以上が第2の主面101bに接合されてもよい。
【0023】
図3に示すように、振動発生装置100では、ユーザの指Fが第1の主面101aに接触して用いられる。この際、第2の主面101bに接合された圧電アクチュエータ102が超音波振動を発生させることにより、振動体101に定在波が生じ、ユーザは指Fに触感を感知することができる。また、圧電アクチュエータ102に印加する駆動信号の信号パターンを変えることで、振動体101に様々なバリエーションの触感を発生させることができる。
【0024】
駆動装置103は、例えばアンプであり、正極配線104及び負極配線105を介して圧電アクチュエータ102と接続され、圧電アクチュエータ102に駆動信号を供給する。駆動信号の周波数は特に限定されないが、60kHz以上が好適である。
【0025】
[振動体について]
振動体101の詳細な構成について説明する。図4は振動体101の断面図であり、図5は、振動体101を分解して示す断面図である。これらの図に示すように振動体101は、パネル111、フィルム112及び接着層113を備える。
【0026】
パネル111はガラス又は樹脂材料からなる板状部材である。パネル111が樹脂材料からなる場合、曲げ弾性率が3.0GPa以上の樹脂材料が好適である。図5に示すようにパネル111は表面111a及び裏面111bを有する。裏面111bは振動体101の第2の主面101bを構成し、圧電アクチュエータ102が接合される面である。
パネル111の厚みは0.3mm~数mm程度とすることができる。
【0027】
フィルム112は、接着層113によってパネル111の表面111aに貼付される。フィルム112は図5に示すように基材114及び粒子含有層115を含む。フィルム112の厚みは30μm以上200μm以下が好適である。
【0028】
基材114はPET(Polyethylene Terephthalate)等の樹脂材からなるフィルム状の部材である。図5に示すように基材114は表面114a及び裏面114bを有する。裏面114bは接着層113側の面であり、表面114aはその反対側の面である。
【0029】
粒子含有層115は複数の粒子116と樹脂材料117とを含む。粒子116は無機材料からなる粒子であり、具体的にはシリカ、ガラスビーズ、ガラスフレーク、炭酸カルシウム、タルク又は酸化マグネシウム等からなる。粒子116はメディアン径が8μm以上30μm以下であり、粒径の範囲はメディアン径±20%である。メディアン径は「D50」とも呼ばれ、粒子を特定の粒径で分けたときに、同粒径より大きい粒子と小さい粒子が等量となる粒径を意味する。樹脂材料117は基材114の表面114aを被覆し、粒子116を表面114aに固定する。樹脂材料117はシリコン系樹脂やアクリル系樹脂等の樹脂材料である。
【0030】
図5に示すように、粒子含有層115は表面115aを有する。表面115aは基材114とは反対側の反対側の面である。粒子含有層115は振動体の最表面に位置し、第1の主面101aを構成する。
【0031】
図4に示すように、粒子含有層115では粒子116が樹脂材料117から突出し、第1の主面101aに露出する。図6は粒子含有層115を第1の主面101aに垂直な方向(Z方向)から見た平面図である。同図に示すように、同方向から見ると第1の主面101aは樹脂材料117中に粒子116が分散して露出している。粒子含有層115の表面115aにおいて一辺227μmの正方形範囲を測定範囲とすると、測定範囲において表面115aに占める粒子116の面積比率は2%以上45%以下である。
【0032】
粒子含有層115の形成方法は特に限定されないが、基材114の表面114aに流動性を有する状態の樹脂材料117を塗布し、その上に粒子116を散布し、樹脂材料117を硬化させることにより粒子含有層115を形成可能である。
【0033】
接着層113はパネル111とフィルム112の間に配置され、これらを接着する。接着層113の材料はパネル111とフィルム112を接着できるものであればよい。接着層113の厚みは10μm以上50μm以下が好適である。
【0034】
振動体101は以上のような構成を有する。振動体101は液晶パネル等の表示装置に装着され、または表示装置の一部を構成する場合、光透過性を有するものが好適である。
【0035】
[粒子含有層について]
振動発生装置100ではユーザの指Fが触れる第1の主面101aに粒子含有層115を形成することにより、指接触音と指摩擦音を共に低減することができる。指接触音は圧電アクチュエータ102に超音波振動を発生させ、振動体101に定在波が生じているときに指Fを第1の主面101a上で動かすと発生する音である。指摩擦音は圧電アクチュエータ102を駆動していないときに指Fを第1の主面101a上で動かすと発生する音
である。
【0036】
図7は、比較として、フィルム112が貼付されず、表面が平坦な振動体を超音波帯域で振動させたときの音圧特性を示すグラフである。図中「指なし」は振動体へ指を触れていないときの音圧特性を示し、「指接触」は振動体へ指を触れているときの音圧特性を示す。同図に示すように、振動体への指の接触時に、圧電アクチュエータへの入力周波数とその1/4の周波数にピークがあり、1/4周波数のピークが可聴域であるため、指接触音として聞こえる。
【0037】
一方、図8は、本実施形態に係る、フィルム112を備える振動体101を超音波帯域で振動させたときの音圧特性を示すグラフである。図中「指なし」は振動体へ指を触れていないときの音圧特性を示し、「指接触」は振動体へ指を触れているときの音圧特性を示す。同図に示すように、振動体への指の接触時に、圧電アクチュエータへの入力周波数の1/4の周波数にはピークがほとんど生じず、指接触音が抑制されている。
【0038】
図9は粒子含有層115を第1の主面101aに垂直な方向(Z方向)から見たとき(図6参照)の、表面115aの測定範囲に占める粒子116の面積比率と音圧の関係を示すグラフである。同図に示すように面積比率0%(粒子なし)では指接触音が大きく、2%以上で指接触音が小さくなり、45%以上になると0%と同等レベルになる。よって上記の面積比率は2%以上45%以下が好適である。
【0039】
図10は粒子116の粒径(D50)と指接触音の関係を示すグラフであり、図11は粒子116の粒径(D50)と指摩擦音の関係を示すグラフである。図10に示すように、粒子116の粒径(D50)が大きいほど指接触音が低減し、8μm以上から指接触音が閾値未満となり、15μm以上だと指接触音が発生しない。一方、図11に示すように粒子116の粒径(D50)が大きいほど指摩擦音が増大し、30μm以上から指摩擦音が閾値を超える。
【0040】
図12は、粒子116の粒径(D50)と第1の主面101aの触感の関係を示すグラフである。グラフの縦軸は、第1の主面101aがツルツルとした状態を「良」とし、ザラザラとした状態を「悪」としている。同図に示すように、粒子116の粒径(D50)が30μm以上だと第1の主面101aの触感が低下する。
【0041】
以上から、表面115aの測定範囲に占める粒子116の面積比率を2%以上45%以下、かつ粒子116の粒径(D50)を8μm以上30μm以下とすることにより、指接触音及び指摩擦音を抑制し、第1の主面101aの触感を良好とすることができる。
【0042】
[フィルムの厚みについて]
フィルム112の厚みについて説明する。図13は、フィルム112の厚みと第1の主面101aの変位量の関係を示すグラフである。同図に示すようにフィルム112が薄いほど第1の主面101aの変位量は大きいが、フィルム112の厚みが30μm以下では第1の主面101aを所望の粗面にするのが難しく、フィルム112の厚みが200μm以上では超音波振動による第1の主面101aの変位量が小さくなってしまう。したがってフィルム112の厚みは30μm以上200μm以下が好適である。
【0043】
[振動体の他の構成について]
上述のように振動体101は、パネル111上に粒子含有層115を含むフィルム112が接着されたものとして説明したが、粒子含有層115はパネル111上に直接、積層されたものであってもよい。図14はこの構成を有する振動体101の断面図である。同図に示すように振動体101はパネル111及びパネル111上に積層された粒子含有層115を備える。
【0044】
パネル111は上記のようにガラス又は樹脂材料からなる板状部材であり、表面111a及び裏面111bを有する。裏面111bは振動体101の第2の主面101bを構成し、圧電アクチュエータ102が接合される面である。この構成においてはパネル111が粒子含有層115の基材である。
【0045】
粒子含有層115は上述した構成を有し、複数の粒子116と樹脂材料117とを含む。樹脂材料117は基材であるパネル111の表面111aを被覆し、粒子116を表面111aに固定する。粒子116の粒径及び面積比率はフィルム112における粒子含有層115と同様である。この構成においても、表面115aの測定範囲に占める粒子116の面積比率を2%以上45%以下、かつ粒子116の粒径(D50)を8μm以上30μm以下とすることにより、指接触音及び指摩擦音を抑制し、第1の主面101aの触感を良好とすることができる。
【0046】
振動発生装置100は以上のような構成を有する。振動発生装置100は、スマートフォンや触覚機能デバイス等の各種電子機器に搭載することが可能である。
【符号の説明】
【0047】
100…振動発生装置
101…振動体
102…圧電アクチュエータ
103…駆動装置
111…パネル
112…フィルム
113…接着層
114…基材
115…粒子含有層
116…粒子
117…樹脂材料
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17