(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161627
(43)【公開日】2023-11-08
(54)【発明の名称】画像読取装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20231031BHJP
H04N 1/04 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
H04N1/00 L
H04N1/00 519
H04N1/12 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022072071
(22)【出願日】2022-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000136136
【氏名又は名称】株式会社PFU
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】張 健
【テーマコード(参考)】
5C062
5C072
【Fターム(参考)】
5C062AA05
5C062AB17
5C062AB32
5C062AB33
5C062AB49
5C062AD06
5C062BA07
5C072AA01
5C072DA25
5C072EA07
5C072NA01
(57)【要約】
【課題】媒体が写る画像を読み取るための電子部品を冷却するペルチェ素子が過熱されることを抑制する。
【解決手段】画像読取装置1は、複数の搬送ローラ3と、複数の搬送ローラ3が回転することにより搬送される媒体が写る画像を読み取る読取部6と、複数の搬送ローラ3の回転を用いて発電する発電機11と、発電機11により発電された直流電力を用いて、画像が読み取られるときに発熱する電子部品を冷却するペルチェ素子とを備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送ローラと、
前記搬送ローラが回転することにより搬送される媒体が写る画像を読み取る読取部と、
前記搬送ローラの回転を用いて発電する発電機と、
前記発電機により発電された電力を用いて発熱対象を冷却する半導体冷却素子
とを備える画像読取装置。
【請求項2】
前記発熱対象の温度を計測するセンサと、
前記温度が高温閾値より低いときに、前記半導体冷却素子に前記電力が供給されることを中断する制御回路
とをさらに備える請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記制御回路は、前記高温閾値より高い他の高温閾値より前記温度が高くなったときに、前記半導体冷却素子に前記電力を供給する
請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記制御回路は、前記半導体冷却素子に前記電力が供給されることが中断された時間が時間閾値より長いときに、前記半導体冷却素子に前記電力を供給する
請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記制御回路は、
前記半導体冷却素子に印加される電圧の極性を反転させる極性逆転回路を有し、
前記温度が低温閾値より低いときに、前記発熱対象が加熱されるように、前記極性逆転回路により極性が反転された反転電力を前記半導体冷却素子に供給する
請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記制御回路は、前記低温閾値より高い他の低温閾値より高くなったときに、前記半導体冷却素子に前記反転電力が供給されることを中断する
請求項5に記載の画像読取装置。
【請求項7】
ファンと、
前記ファンが回転するように前記搬送ローラの回転を前記ファンに伝達する回転伝達機構とをさらに備え、
前記半導体冷却素子の放熱面には、前記ファンが回転することにより流れる空気が当たる
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
搬送路に沿って搬送される媒体が写る画像を読み取るための電子部品を冷却するペルチェ素子が設けられた画像読取装置が知られている(特許文献1、2)。このような画像読取装置は、電子部品の温度が高まることを防止することができ、電子部品が異常な動作を実行することを防止し、媒体の画像を適切に読み取ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平09-046487号公報
【特許文献2】特開昭61-161782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ペルチェ素子が電子部品を過度に冷却するときに、ペルチェ素子が過熱され、ペルチェ素子の寿命が短縮するという問題がある。
【0005】
開示の技術は、かかる点に鑑みてなされたものであって、媒体が写る画像を読み取るための電子部品を冷却するペルチェ素子が過熱されることを抑制する画像読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様による画像読取装置は、搬送ローラと、前記搬送ローラが回転することにより搬送される媒体が写る画像を読み取る読取部と、前記搬送ローラの回転を用いて発電する発電機と、前記発電機により発電された電力を用いて発熱対象を冷却する半導体冷却素子とを備えている。
【発明の効果】
【0007】
開示の画像読取装置は、媒体が写る画像を読み取るための電子部品を冷却するペルチェ素子が過熱されることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施例の画像読取装置を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、筐体の内部の一部を示す側面図である。
【
図3】
図3は、プリント回路板に形成される制御装置を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願が開示する実施形態にかかる画像読取装置について、図面を参照して説明する。なお、以下の記載により本開示の技術が限定されるものではない。また、以下の記載においては、同一の構成要素に同一の符号を付与し、重複する説明を省略する。
【実施例0010】
実施例の画像読取装置1は、
図1に示されているように、筐体2と複数の搬送ローラ3とモータ5と読取部6とを備えている。
図1は、実施例の画像読取装置1を示す斜視図である。筐体2の内部には、搬送路8が形成されている。筐体2には、さらに、図示されていない載置部が形成されている。載置部は、搬送路8の一端の近傍に配置されている。複数の搬送ローラ3は、搬送路8に供給された媒体が複数の搬送ローラ3に接触するように、それぞれ、筐体2の内部のうちの搬送路8の近傍に配置されている。複数の搬送ローラ3は、回転可能に筐体2に支持されている。モータ5は、複数の搬送ローラ3を回転させる。読取部6は、筐体2の内部のうちの搬送路8の近傍に配置されている。読取部6は、搬送路8に沿って搬送される媒体が写る画像を撮影する。
【0011】
画像読取装置1は、発電機11とプリント回路板12と温度センサ14と板金15とをさらに備えている。発電機11は、筐体2の内部のうちの複数の搬送ローラ3の1つの搬送ローラの近傍に配置されている。発電機11は、複数の搬送ローラ3が回転するときに、複数の搬送ローラ3のうちの1つの搬送ローラの回転を用いて発電し、直流電力を生成する。プリント回路板12は、筐体2の内部に配置されている。温度センサ14は、筐体2の内部のうちのプリント回路板12の近傍に配置されている。板金15は、筐体2の内部のうちのプリント回路板12の近傍に配置されている。
【0012】
筐体2には、開口部16が形成されている。筐体2の内部は、開口部16を介して、筐体2の外部に接続されている。画像読取装置1は、ファン17と回転伝達機構18とをさらに備えている。ファン17は、筐体2の開口部16の近傍に配置され、回転伝達機構18を介して回転可能に筐体2に支持されている。回転伝達機構18は、複数の軸21と複数の歯車22とを備えている。複数の軸21は、それぞれ、棒状に形成され、回転可能に筐体2に支持されている。複数の軸21のうちの1つの軸は、複数の搬送ローラ3のうちの1つの搬送ローラに固定され、回転可能に筐体2に支持されている。複数の軸21のうちの他の1つの軸は、ファン17に固定され、回転可能に筐体2に支持されている。複数の軸21の各々には、複数の歯車22のうちのいずれかの歯車が固定されている。回転伝達機構18は、複数の歯車22が互い噛み合うことにより、複数の搬送ローラ3が回転するときにファン17が回転するように、複数の搬送ローラ3のうちの1つの搬送ローラの回転をファン17に伝達する。
【0013】
プリント回路板12は、
図2に示されているように、プリント配線板24と複数の電子部品25とを備えている。
図2は、筐体2の内部の一部を示す側面図である。プリント配線板24は、板状に形成されている。プリント配線板24の表面には、プリントにより形成された配線が形成されている。複数の電子部品25は、プリント配線板24に固定され、プリント配線板24に形成された配線に電気的に接続されている。すなわち、プリント回路板12には、複数の電子部品25がプリント配線板24に実装されることにより、電子回路が形成されている。
【0014】
板金15は、熱伝導率が比較的高い金属から形成され、板状に形成されている。板金15は、板金15が沿う平面が、プリント配線板24が沿う平面に平行であるように、配置されている。板金15は、複数の電子部品25のうちのいくつかの発熱部品26に接触し、発熱部品26に熱的に接触している。発熱部品26としては、表面に微細な電子回路が形成された半導体がケーシングに封入された集積回路(IC:Integrated Circuit)が例示される。温度センサ14は、プリント回路板12の温度を計測し、発熱部品26の温度を計測する。
【0015】
画像読取装置1は、ペルチェ素子31をさらに備えている。ペルチェ素子31は、板状に形成されている。ペルチェ素子31には、吸熱面32と放熱面33とが形成されている。放熱面33は、ペルチェ素子31のうちの吸熱面32が形成されている側の反対側に形成されている。ペルチェ素子31は、吸熱面32が板金15に対向するように配置され、板金15に固定されている。ペルチェ素子31は、板金15に熱的に接触し、板金15を介して発熱部品26に熱的に接触している。
【0016】
ファン17は、回転することにより、風を発生させ、開口部16を介して外気を筐体2の内部に送風し、開口部16を介して筐体2の内部に流入した外気をペルチェ素子31の放熱面33に当てる。
【0017】
プリント回路板12には、
図3に示されているように、制御装置41が形成されている。
図3は、プリント回路板12に形成される制御装置41を示すブロック図である。制御装置41は、スキャナ制御回路42とペルチェ素子制御回路43とを備えている。スキャナ制御回路42は、モータ5と読取部6とを制御する。このとき、発熱部品26は、複数の電子部品25のうちのスキャナ制御回路42を構成するいくつかの電子部品の1つである。
【0018】
ペルチェ素子制御回路43は、極性逆転回路44と電力供給回路45と定電流回路46とタイマー回路47とを備えている。極性逆転回路44は、発電機11により発電された直流電力の極性を反転させ、反転直流電力を生成する。電力供給回路45は、発電機11により発電された直流電力をペルチェ素子31に供給したり、極性逆転回路44により生成された反転直流電力をペルチェ素子31に供給したり、ペルチェ素子31に電力を供給することを中断したりする。定電流回路46は、ペルチェ素子31に流れる電流の絶対値が電流閾値(たとえば、数十mA)より小さくなるように、ペルチェ素子31に流れる電流を制限する。タイマー回路47は、予め定められたイベントが発生した時刻から経過した経過時間を計測する。ペルチェ素子制御回路43は、温度センサ14と電力供給回路45とタイマー回路47とを制御する。
【0019】
[画像読取装置1の動作]
ユーザは、画像読取装置1を用いて複数の媒体の画像を読み取りたいときに、筐体2の載置部に複数の媒体を載置し、画像読取装置1を操作して画像読取装置1を起動させる。スキャナ制御回路42は、画像読取装置1が起動すると、スキャン動作を実行する。スキャン動作では、スキャナ制御回路42は、モータ5を制御し、複数の搬送ローラ3を正回転させる。複数の媒体のうちの1つの媒体は、複数の搬送ローラ3が正回転することにより、搬送路8に供給される。搬送路8に供給された媒体は、複数の搬送ローラ3が正回転することにより、搬送路8に沿って搬送される。スキャナ制御回路42は、読取部6を制御し、搬送路8に沿って搬送される媒体の両面の画像を撮像する。読取部6により撮像された媒体は、複数の搬送ローラ3が正回転することにより、搬送路8に沿ってさらに搬送され、画像読取装置1から排紙される。スキャナ制御回路42は、さらに、読取部6により撮像された画像を画像処理し、搬送路8に沿って搬送された媒体が写る画像を示すスキャンデータを作成する。
【0020】
画像読取装置1は、載置部に載置された複数の媒体から分離された1つの媒体を搬送路8に沿って搬送して媒体のスキャンデータを作成する動作を繰り返し実行する。このような動作が繰り返される回数は、載置部に載置された複数の媒体の枚数に等しい。スキャナ制御回路42は、載置部に載置された複数の媒体の画像をそれぞれ示す複数のスキャンデータが作成された後に、モータ5を制御し、複数の搬送ローラ3の回転を停止させる。
【0021】
発熱部品26は、スキャン動作が実行されているときに、発熱する。スキャナ制御回路42は、発熱部品26の温度が上限温度(たとえば、75℃)より高いときに、異常動作をすることがあり、スキャンデータを適切に作成しないことがある。スキャナ制御回路42は、さらに、発熱部品26の温度が下限温度(たとえば、0℃)より低いときに、異常動作をすることがあり、スキャンデータを適切に作成しないことがある。
【0022】
発電機11は、複数の搬送ローラ3が正回転しているときに、直流電力を生成する。極性逆転回路44は、発電機11により生成された直流電力の極性を反転させ、発電機11により生成された直流電力から極性が反転している反転直流電力を生成する。ファン17は、複数の搬送ローラ3が正回転しているときに、複数の搬送ローラ3から回転伝達機構18を介して回転が伝達され、回転する。外気は、ファン17が回転することにより、開口部16を介してペルチェ素子31の放熱面33に当たる。
【0023】
ペルチェ素子制御回路43は、スキャナ制御回路42がスキャナ動作を実行している最中に、ペルチェ素子制御動作を実行する。ペルチェ素子制御動作では、ペルチェ素子制御回路43は、画像読取装置1が起動すると、タイマー回路47を制御し、画像読取装置1が起動した起動時刻を記録する。ペルチェ素子制御回路43は、さらに、温度センサ14を用いて、発熱部品26の温度を計測する。
【0024】
ペルチェ素子制御回路43は、タイマー回路47を制御し、起動時刻に基づいて、起動時刻からスキャナ動作が連続して実行された連続スキャン時間が、予め定められた第1スキャン時間閾値(たとえば、1分)より長くなったか否かを判定する。ペルチェ素子制御回路43は、さらに、温度センサ14により計測された温度が、予め定められた第1低温閾値より低いか否かを判定する。第1低温閾値は、下限温度より高く、たとえば、5℃に等しい。ペルチェ素子制御回路43は、連続スキャン時間が第1スキャン時間閾値より長いときで、かつ、温度センサ14により計測された温度が第1低温閾値より低いときに、電力供給回路45を制御し、極性逆転回路44により生成された反転直流電力をペルチェ素子31に供給する。
【0025】
ペルチェ素子31に反転直流電力が供給されるときに、ペルチェ素子31の吸熱面32が発熱し、放熱面33が冷却される。すなわち、ペルチェ素子31は、反転直流電力が供給されるときに、板金15を加熱し、板金15を介して発熱部品26を加熱する。画像読取装置1は、発熱部品26が加熱されることにより、発熱部品26の温度が下限温度より低くなることを防止することができ、スキャナ制御回路42が異常動作をすることを防止することができ、スキャンデータを適切に作成することができる。画像読取装置1は、ファン17がペルチェ素子31の放熱面33に外気を当てることにより、ペルチェ素子31が発熱部品26を加熱する効率を向上させ、さらに、ペルチェ素子31が過熱されることを防止することができる。
【0026】
ペルチェ素子制御回路43は、ペルチェ素子31が発熱部品26を加熱しているときに、温度センサ14により計測された温度が、予め定められた第2低温閾値より高いか否かを判定する。第2低温閾値は、第1低温閾値より高く、たとえば、15℃に等しい。ペルチェ素子制御回路43は、ペルチェ素子31が発熱部品26を加熱しているときで、かつ、温度センサ14により計測された温度が第2低温閾値より高いときに、電力供給回路45を制御し、反転直流電力がペルチェ素子31に供給されることを停止する。
【0027】
ペルチェ素子31に反転直流電力が供給されなくなったときに、ペルチェ素子31の吸熱面32が発熱することが中断され、放熱面33が冷却されることが中断される。すなわち、発熱部品26は、ペルチェ素子31に反転直流電力が供給されなくなったときに、ペルチェ素子31により加熱されることが中断される。画像読取装置1は、このような制御により、ペルチェ素子31に不要に電力が供給されることを防止することができ、ペルチェ素子31が過熱されることを防止することができ、ペルチェ素子31の寿命が短縮することを抑制することができる。
【0028】
ペルチェ素子制御回路43は、ペルチェ素子31に電力が供給されていないときに、連続スキャン時間が、予め定められた第2スキャン時間閾値(たとえば、30分)より長いか否かを判定する。ペルチェ素子制御回路43は、連続スキャン時間が第2スキャン時間閾値より長いときに、電力供給回路45を制御し、発電機11により発電された直流電力をペルチェ素子31に供給する。ペルチェ素子制御回路43は、ペルチェ素子31に電力が供給されていないときに、さらに、温度センサ14により計測された温度が、予め定められた第1高温閾値より高いか否かを判定する。第1高温閾値は、上限温度より低く、たとえば、70℃に等しい。ペルチェ素子制御回路43は、温度センサ14により計測された温度が第1高温閾値より高いときに、電力供給回路45を制御し、発電機11により発電された直流電力をペルチェ素子31に供給する。
【0029】
ペルチェ素子31に直流電力が供給されるときに、ペルチェ素子31の吸熱面32が冷却され、放熱面33が発熱する。すなわち、ペルチェ素子31は、直流電力が供給されるときに、板金15を冷却し、板金15を介して発熱部品26を冷却する。画像読取装置1は、発熱部品26が冷却されることにより、発熱部品26の温度が上限温度より高くなることを防止することができ、スキャナ制御回路42が異常動作をすることを防止することができ、スキャンデータを適切に作成することができる。画像読取装置1は、ファン17がペルチェ素子31の放熱面33に外気を当てることにより、ペルチェ素子31が発熱部品26を冷却する効率を向上させ、さらに、ペルチェ素子31が過熱されることを防止することができる。
【0030】
ペルチェ素子制御回路43は、ペルチェ素子31に直流電力が供給されると、タイマー回路47を制御し、ペルチェ素子31に電力の供給が開始された冷却開始時刻を記録する。ペルチェ素子制御回路43は、冷却開始時刻に基づいて、冷却開始時刻からペルチェ素子31がスキャナ制御回路42を連続して冷却した連続冷却時間が、予め定められた冷却時間閾値(たとえば、2分)より長いか否かを判定する。ペルチェ素子制御回路43は、さらに、温度センサ14により計測された温度が、予め定められた第2高温閾値より低いか否かを判定する。第2高温閾値は、第1高温閾値より低く、たとえば、60℃に等しい。ペルチェ素子制御回路43は、連続冷却時間が冷却時間閾値より長いときで、かつ、温度センサ14により計測された温度が第2高温閾値より低いときに、電力供給回路45を制御し、ペルチェ素子31に直流電力を供給することを中断する。
【0031】
ペルチェ素子31に直流電力が供給されなくなったときに、ペルチェ素子31の吸熱面32が冷却されることが中断され、放熱面33が発熱することが中断される。すなわち、発熱部品26は、ペルチェ素子31に直流電力が供給されなくなったときに、ペルチェ素子31により冷却されることが中断される。画像読取装置1は、このような制御により、ペルチェ素子31に不要に電力が供給されることを防止することができ、ペルチェ素子31が過熱されることを防止することができ、ペルチェ素子31の寿命が短縮することを抑制することができる。
【0032】
ペルチェ素子制御回路43は、冷却が中断されたときに、タイマー回路47を制御し、ペルチェ素子31に直流電力の供給が中断された冷却中断時刻を記録する。ペルチェ素子制御回路43は、冷却が中断された後に、冷却中断時刻に基づいて、冷却中断時刻からペルチェ素子31が連続して冷却を中断している冷却中断時間が、予め定められた冷却中断時間閾値(たとえば、15分)より長いか否かを判定する。ペルチェ素子制御回路43は、冷却中断時間が冷却中断時間閾値より長いときに、電力供給回路45を制御して、発電機11により発電された直流電力をペルチェ素子31に供給する。ペルチェ素子制御回路43は、冷却が中断された後に、さらに、温度センサ14により計測された温度が第1高温閾値より高いか否かを判定する。ペルチェ素子制御回路43は、温度センサ14により計測された温度が第1高温閾値より高いときに、電力供給回路45を制御して、発電機11により発電された直流電力をペルチェ素子31に供給する。
【0033】
ペルチェ素子31に直流電力が供給されるときに、ペルチェ素子31の吸熱面32が冷却され、放熱面33が発熱する。すなわち、ペルチェ素子31は、直流電力が供給されるときに、板金15を冷却し、板金15を介して発熱部品26を冷却する。画像読取装置1は、発熱部品26が冷却されることにより、発熱部品26の温度が上限温度より高くなることを防止することができ、スキャナ制御回路42が異常動作をすることを防止することができ、スキャンデータを適切に作成することができる。実施例の画像読取装置1は、さらに、ペルチェ素子31が連続して冷却を中断している冷却中断時間が長くなりすぎることが防止されることにより、発熱部品26の温度が上限温度より高くなることをより確実に防止することができる。画像読取装置1は、ファン17がペルチェ素子31の放熱面33に外気を当てることにより、ペルチェ素子31が発熱部品26を冷却する効率を向上させ、さらに、ペルチェ素子31が過熱されることを防止することができる。
【0034】
ペルチェ素子制御回路43または電力供給回路45は、不具合が発生することにより、異常動作することがある。たとえば、電力供給回路45は、既述のタイミングと異なるタイミングで直流電力または反転直流電力をペルチェ素子31に供給したり、温度センサ14により計測された温度に無関係に直流電力または反転直流電力をペルチェ素子31に供給したりすることがある。画像読取装置1は、複数の搬送ローラ3が回転していないときに発電機11が発電しないことにより、スキャン動作が実行されていないときに、ペルチェ素子31に不要に直流電力または反転直流電力が供給されることを防止することができる。このため、画像読取装置1は、ペルチェ素子31が不要に過熱されることを防止することができ、ペルチェ素子31の寿命が短縮することを抑制することができる。
【0035】
[実施例の画像読取装置1の効果]
実施例の画像読取装置1は、複数の搬送ローラ3と読取部6と発電機11とペルチェ素子31とを備えている。読取部6は、複数の搬送ローラ3が回転することにより搬送される媒体が写る画像を読み取る。発電機11は、複数の搬送ローラ3の回転を用いて発電する。ペルチェ素子31は、発電機11により発電された直流電力を用いて発熱部品26を冷却する。
【0036】
実施例の画像読取装置1は、媒体が搬送されているときに、発熱部品26がペルチェ素子31に冷却されることにより、発熱部品26の温度が上限温度より高くなることを防止することができ、発熱部品26が異常な動作を実行することを防止するができる。実施例の画像読取装置1は、さらに、媒体が搬送されていないときにペルチェ素子31に直流電力が供給されないことにより、発熱部品26の冷却が不要であるときに、ペルチェ素子31が過熱されることを抑制することができる。
【0037】
また、実施例の画像読取装置1は、発熱部品26の温度を計測する温度センサ14と、温度センサ14により計測された温度が第2高温閾値より低いときに、ペルチェ素子31に直流電力が供給されることを中断するペルチェ素子制御回路43とをさらに備えている。実施例の画像読取装置1は、発熱部品26の冷却が不要であるときに、ペルチェ素子31が動作することを防止することができ、ペルチェ素子31が過熱されることを抑制することができる。
【0038】
また、実施例の画像読取装置1のペルチェ素子制御回路43は、第2高温閾値より高い第1高温閾値より、温度センサ14により計測された温度が高くなったときに、発電機11により発電された直流電力をペルチェ素子31に供給する。実施例の画像読取装置1は、ペルチェ素子31に直流電力が供給されることをペルチェ素子制御回路43が中断した後でも、ペルチェ素子31が発熱部品26を再度冷却することにより、発熱部品26の温度が上限温度より高くなることを防止することができる。
【0039】
また、実施例の画像読取装置1のペルチェ素子制御回路43は、ペルチェ素子31に直流電力が供給されることが中断された冷却中断時間が冷却中断時間閾値より長いときに、ペルチェ素子31に直流電力を供給する。実施例の画像読取装置1は、ペルチェ素子31が連続して冷却を中断している冷却中断時間が長くなりすぎることが防止されることにより、発熱部品26の温度が上限温度より高くなることをより確実に防止することができる。
【0040】
また、実施例の画像読取装置1のペルチェ素子制御回路43は、ペルチェ素子31に印加される直流電圧の極性を反転させる極性逆転回路44を備えている。ペルチェ素子制御回路43は、温度センサ14により計測された温度が第1低温閾値より低いときに、発熱部品26が加熱されるように、極性逆転回路44により極性が反転された反転直流電力をペルチェ素子31に供給する。実施例の画像読取装置1は、発熱部品26の温度が下限温度より低くなることを防止することができる。
【0041】
また、実施例の画像読取装置1のペルチェ素子制御回路43は、第1低温閾値より高い第2低温閾値より高くなったときに、ペルチェ素子31に反転直流電力が供給されることを中断する。実施例の画像読取装置1は、発熱部品26の加熱が不要であるときに、ペルチェ素子31が動作することを防止することができ、ペルチェ素子31が過熱されることを抑制することができる。
【0042】
また、実施例の画像読取装置1は、ファン17と、ファン17が回転するように複数の搬送ローラ3の回転をファン17に伝達する回転伝達機構18とをさらに備えている。ペルチェ素子31の放熱面33には、ファン17が回転することにより流れる空気が当たる。実施例の画像読取装置1は、ファン17により送風される空気がペルチェ素子31の放熱面33に当たっていないときに、ペルチェ素子31に直流電力または反転直流電力が供給されないことにより、ペルチェ素子31が過熱されることをより確実に抑制することができる。
【0043】
ところで、既述の実施例の画像読取装置1は、ファン17と回転伝達機構18とを備えているが、ファン17と回転伝達機構18とが省略されてもよい。このとき、ペルチェ素子31は、放熱面33に外気が当たるように、筐体2の開口部16を介して筐体2の外部に露出している。画像読取装置1は、ファン17と回転伝達機構18とが省略された場合でも、複数の搬送ローラ3の回転を用いて発電機11により発電された直流電力を用いてペルチェ素子31が動作することにより、ペルチェ素子31が不要に過熱されることを抑制することができる。
【0044】
ところで、既述の実施例の画像読取装置1は、極性逆転回路44を備えているが、極性逆転回路44が省略されてもよい。このとき、ペルチェ素子制御回路43は、ペルチェ素子31を用いて発熱部品26を加熱する動作を実行しない。画像読取装置1は、極性逆転回路44が省略された場合でも、複数の搬送ローラ3の回転を用いて発電機11により発電された直流電力を用いてペルチェ素子31が動作することにより、ペルチェ素子31が不要に過熱されることを抑制することができる。
【0045】
ところで、既述の実施例の画像読取装置1は、タイマー回路47を備えているが、タイマー回路47が省略されてもよい。このとき、ペルチェ素子制御回路43は、起動時刻と冷却開始時刻と冷却中断時刻とに無関係にペルチェ素子31を用いて発熱部品26を加熱したり冷却したりする。画像読取装置1は、タイマー回路47が省略された場合でも、複数の搬送ローラ3の回転を用いて発電機11により発電された直流電力を用いてペルチェ素子31が動作することにより、ペルチェ素子31が不要に過熱されることを抑制することができる。
【0046】
ところで、既述の実施例の画像読取装置1は、温度センサ14を備えているが、温度センサ14が省略されてもよい。このとき、ペルチェ素子制御回路43は、発熱部品26の温度に無関係にペルチェ素子31を用いて発熱部品26を冷却する。画像読取装置1は、温度センサ14が省略された場合でも、複数の搬送ローラ3の回転を用いて発電機11により発電された直流電力を用いてペルチェ素子31が動作することにより、ペルチェ素子31が不要に過熱されることを抑制することができる。
【0047】
ところで、既述の実施例の画像読取装置1は、複数の搬送ローラ3が回転しているときに、ペルチェ素子31に直流電力を供給することを中断することがあるが、直流電力の供給を中断しなくてもよい。画像読取装置1は、ペルチェ素子31への直流電力の供給を中断しない場合でも、複数の搬送ローラ3の回転を用いて発電機11により発電された直流電力を用いてペルチェ素子31が動作することにより、ペルチェ素子31が不要に過熱されることを抑制することができる。
【0048】
以上、実施例を説明したが、前述した内容により実施例が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、実施例の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換及び変更のうち少なくとも1つを行うことができる。