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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161640
(43)【公開日】2023-11-08
(54)【発明の名称】管継手
(51)【国際特許分類】
   F16L 15/04 20060101AFI20231031BHJP
   F16L 15/06 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
F16L15/04 Z
F16L15/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022072092
(22)【出願日】2022-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000229737
【氏名又は名称】日本ピラー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087653
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 正二
(72)【発明者】
【氏名】飯田 俊英
(72)【発明者】
【氏名】大西 健士
(72)【発明者】
【氏名】田邉 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】南原 翔平
(72)【発明者】
【氏名】上村 尚三
【テーマコード(参考)】
3H013
【Fターム(参考)】
3H013JC01
3H013JC04
3H013JC05
(57)【要約】
【課題】多条ねじが誤った締結完了位置に到達することを確実に防ぐことにより、配管の接続の作業性を向上させることが可能な管継手を提供する。
【解決手段】管継手は雄部品と雌部品とを備える。雄部品は多条の雄ねじを含み、雌部品は多条の雌ねじを含む。両ねじの一方は座面の周方向の一部に軸方向の突起を含み、他方は座面の周方向の一部に座面除去部を含む。雄部品と雌部品との締結作業において雄ねじと雌ねじとが互いへ向かって同軸に近づけられる際、両ねじ間の周方向の角度が誤った締結開始位置での値である場合には、両ねじが誤った締結完了位置に到達する前に、突起が他方のねじの座面と衝突し、両ねじ間の周方向の角度が正しい締結開始位置での値である場合には、両ねじが正しい締結完了位置に到達する前に突起が座面除去部に進入して他方のねじの座面との衝突を避ける。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状であり、軸方向の一端部には第1配管との接続部を含み、他端部には多条の雄ねじを含む雄部品と、
筒状であり、軸方向の一端部には前記雄ねじに噛み合い可能な多条の雌ねじを含み、他端部には第2配管との接続部を含む雌部品と
を備えた管継手であって、
前記雄ねじと前記雌ねじとのうち、
一方は座面の周方向の一部に、軸方向へ延びる突起を含み、
他方は座面の周方向の一部に、周方向に連続した領域が除去された跡である座面除去部を含み、
前記雄部品と前記雌部品との締結作業において前記雄ねじと前記雌ねじとが互いへ向かって同軸に近づけられる際、
両ねじ間の周方向の角度が誤った締結開始位置での値である場合には、両ねじが誤った締結完了位置に到達する前に前記突起が前記他方のねじの座面と衝突し、
両ねじ間の周方向の角度が正しい締結開始位置での値である場合には、両ねじが正しい締結完了位置に到達する前に前記突起が前記座面除去部に進入し、前記他方のねじの座面との衝突を避ける
ように、前記突起と前記座面除去部とが構成されている
ことを特徴とする管継手。
【請求項2】
前記雄ねじと前記雌ねじとが正しい締結開始位置から正しい締結完了位置までの移動に必要とする回転角であるはめあい角は180°以下であり、
前記突起の長さは、前記雄ねじと前記雌ねじとが正しい締結開始位置で噛み合わされたときの両ねじの座面間の距離以上であり、
前記座面除去部の周方向の幅は前記はめあい角以上であり、かつ、360°を両ねじの条数で割った値以下であり、
前記雄ねじと前記雌ねじとが正しい締結開始位置から正しい締結完了位置へ移動するのに伴って前記突起が両ねじの周方向において移動する範囲が、両ねじの周方向における前記座面除去部の範囲に含まれる、
請求項1に記載の管継手。
【請求項3】
前記雄部品と前記雌部品とのそれぞれが、周方向の一部から外周方向へ延びる突出部を含み、
前記雄部品と前記雌部品との突出部は、前記雄ねじと前記雌ねじとが正しい締結完了位置に到達すると前記雄部品と前記雌部品との周方向における位置を一致させるように構成されている、
請求項1に記載の管継手。
【請求項4】
前記雄部品と前記雌部品との突出部は、前記雄部品と前記雌部品とのそれぞれの軸方向から見える輪郭が等しい、請求項3に記載の管継手。
【請求項5】
前記雄部品と前記雌部品との突出部は、前記雄ねじと前記雌ねじとが正しい締結完了位置に到達すると互いにスナップフィット方式で引っ掛かるように構成されている、請求項3に記載の管継手。
【請求項6】
前記雄部品と前記雌部品との突出部は、前記雄ねじと前記雌ねじとが正しい締結完了位置に到達すると互いに引っ掛かり、両ねじの逆転を妨げるように構成されている、請求項3に記載の管継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は管継手に関し、特に多条ねじを備えたものに関する。
【背景技術】
【0002】
「多条ねじ」とは、螺旋状に連なるねじ山の数、すなわち条数が2以上のねじをいう。多条ねじは、ねじ山を1条しか含まないねじ、すなわち1条ねじと比べ、軸方向におけるねじ山の間隔(ピッチ)が等しければ、ねじが1回転する間に軸方向へ進む距離(リード)が長い。したがって、多条ねじは1条ねじよりも容易に、締結開始位置から締結完了位置への移動に必要な回転数を抑えることができる。ここで、「締結開始位置」とは、雄ねじのねじ山が雌ねじのねじ溝へ進入し始めるとき、すなわち両ねじが噛み合い始めるときの両ねじの相対位置をいう。一方、「締結完了位置」とは、両ねじが噛み合わされている状態において雄ねじのねじ山が雌ねじのねじ溝の内側に存在する範囲の軸方向の長さ、すなわち両ねじのはめあい長さが必要な値に達したときの両ねじの相対位置をいう。なお、両ねじが同軸に配置されている状態におけるそれらの相対位置は一般に、一方に対する他方の周方向の角度と軸方向の距離(両ねじが噛み合わされている場合は、その距離が負値で表されてもよい。)との組み合わせで特定される。
【0003】
この利点から多条ねじは、締結に必要な作業時間を短縮させる目的で多用される(たとえば特許文献1参照)。特に多条ねじが管継手に利用される場合、その管継手で配管同士を接続する作業が迅速化される。したがって、多条ねじを備えた管継手は、たとえば、半導体、医療品、薬品、または食品等の製造に利用される配管設備、特にその中で、配管が頻回に着脱される部位において有用である。配管の着脱に必要な時間の短縮は、洗浄等のメンテナンスを行う作業者の負担の軽減に効果的だからである。多条ねじを備えた管継手はまた、自動車に搭載される、ガソリン、冷却水、または排ガス等を流す配管設備にも有用である。これらの配管設備に対しては、自動車の安全性を確保する目的で、特に高い信頼性が要求される。配管設備の組み立ての作業性を高く維持したままでこの要求を満たすには、管継手に多条ねじを利用することにより、配管の確実な接続を手早く実現させることが効果的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-169581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
多条ねじでは一般に、雄ねじのねじ山が雌ねじのねじ溝のいずれへも進入可能である。したがって、締結開始位置は条数と同じ数だけ存在する。締結開始位置が異なれば、そこから到達可能な締結完了位置も異なるので、締結完了位置の数も条数に等しい。しかし、締結完了位置が複数存在することは多条ねじの用途によっては好ましくない。たとえば特許文献1に開示された多条ねじは、締結すべき2本の鋼管の各開口端に設けられている。これらの開口端には更に、ねじが締結完了位置に到達すると互いの位置を一致させるマークの対も付されている。鋼管の締結作業では、これらのマークが互いの位置を一致させたことにより、ねじが締結完了位置へ到達したことが確認される。この場合、いずれの締結完了位置への到達についても同様な確認を可能にするには、締結完了位置ごとに異なるマークの対を両鋼管に付す必要がある。しかし、そのようなマーキングは煩雑である。その他に、いずれも回転非対称な形状である2つの部品の締結に多条ねじが利用される場合、特定の締結完了位置でしか両部品の形状が合わないことがある。
【0006】
これらの用途では、複数の締結完了位置の中から特定のもの(以下、「正しい締結完了位置」と呼ぶ。)を予め選択し、それら以外(以下、「誤った締結完了位置」と呼ぶ。)にねじが到達する可能性を抑える工夫が望ましい。たとえば特許文献1に開示された工夫では、締結対象の2本の鋼管に、それらのねじが正しい締結完了位置に到達したときに位置を一致させるマークの対に加え、それらのねじが正しい締結開始位置で噛み合わされるときに位置を一致させるマークの対も付される。「正しい締結開始位置」とは、複数の締結開始位置のうち、そこからであればねじが正しい締結完了位置に到達可能であるものをいう。したがって、鋼管の締結作業では、ねじが締結開始位置で噛み合わされる時点ですでに、その後にねじが到達するはずの締結完了位置の正誤が判別可能である。
【0007】
しかし、特許文献1に開示された多条ねじを、正しい締結開始位置以外の締結開始位置(以下、「誤った締結開始位置」と呼ぶ。)で噛み合わせることも、誤った締結開始位置から誤った締結完了位置へ移動させることも、物理的には可能である。したがって、マークの対が位置を一致させていないことを作業者が誤って見落とし、ねじを誤った締結開始位置で噛み合わせ、更に誤った締結完了位置まで移動させてしまう可能性がある。その結果、締結の作業性が損なわれかねないので、特許文献1に開示された工夫では不十分な場合もありうる。
【0008】
本発明の目的は上記の課題を解決することであり、特に、多条ねじが誤った締結完了位置に到達することを更に確実に防ぐことにより、配管の接続の作業性が更に高い管継手を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の1つの観点による管継手は雄部品と雌部品とを備えている。雄部品は筒状であり、軸方向の一端部には第1配管との接続部を含み、他端部には多条の雄ねじを含む。雌部品は筒状であり、軸方向の一端部には雄部品の雄ねじに噛み合い可能な多条の雌ねじを含み、他端部には第2配管との接続部を含む。雄ねじと雌ねじとのうち、一方は座面の周方向の一部に突起を含み、他方は座面の周方向の一部に座面除去部を含む。突起は軸方向へ延びている。座面除去部は、周方向に連続した領域が除去された跡である。突起と座面除去部とは次のように構成されている。雄ねじと雌ねじとが互いへ向かって同軸に近づけられる際、両ねじ間の周方向の角度が誤った締結開始位置での値である場合には、両ねじが誤った締結完了位置に到達する前に突起が他方のねじの座面と衝突する。一方、両ねじ間の周方向の角度が正しい締結開始位置での値である場合には、両ねじが正しい締結完了位置に到達する前に突起が座面除去部に進入し、他方のねじの座面との衝突を避ける。
【0010】
この管継手は、次の条件(A)、(B)、(C)、(D)をすべて満たしてもよい。(A)雄ねじと雌ねじとが正しい締結開始位置から正しい締結完了位置までの移動に必要とする回転角(以下、「はめあい角」と呼ぶ。)が180°以下である。(B)突起の長さは、雄ねじと雌ねじとが正しい締結開始位置で噛み合わされたときの両ねじの座面間の距離以上である。(C)座面除去部の周方向の幅は雄ねじと雌ねじとのはめあい角以上であり、かつ、360°を両ねじの条数で割った値以下である。(D)雄ねじと雌ねじとが正しい締結開始位置から正しい締結完了位置へ移動するのに伴って突起が両ねじの周方向において移動する範囲が、両ねじの周方向における座面除去部の範囲に含まれる。
【発明の効果】
【0011】
本発明による上記の管継手では、雄部品と雌部品との締結作業において雄ねじと雌ねじとが互いへ向かって同軸に近づけられる際、両ねじ間の周方向の角度が誤った締結開始位置での値である場合には、両ねじが誤った締結完了位置に到達する前に突起が他方のねじの座面と衝突する。これにより、両ねじの相互の更なる接近が妨げられるので、両ねじを誤った締結完了位置に到達させることは物理的に不可能である。一方、両ねじ間の周方向の角度が正しい締結開始位置での値である場合には、両ねじが正しい締結完了位置に到達する前に突起が座面除去部に進入し、他方のねじの座面との衝突を避ける。その後は突起が座面除去部の中を移動するので、両ねじが正しい締結完了位置に到達可能である。こうして、両ねじが誤った締結完了位置に到達することが更に確実に防止されるので、この管継手は配管の接続の作業性が更に高い。
【0012】
この管継手が上記の条件(A)-(D)をすべて満たす場合、雄ねじと雌ねじとを誤った締結開始位置で噛み合わせることすら、物理的に不可能である。実際、両ねじが噛み合わされる際、両ねじ間の周方向の角度が正しい締結開始位置での値である場合には、突起が座面除去部に進入して他方のねじの座面との衝突を避けるので、両ねじが正しい締結開始位置に到達する。その後は突起が座面除去部の中を移動するので、両ねじが正しい締結完了位置に到達する。一方、両ねじ間の周方向の角度が誤った締結開始位置での値である場合には、両ねじが誤った締結開始位置に到達する前に、またはその到達と同時に、突起が他方のねじの座面と衝突する。これにより、両ねじを誤った締結開始位置で噛み合わせることが物理的に不可能である。したがって、当然、両ねじが誤った締結完了位置に到達することも物理的に不可能であるので、この管継手は配管の接続の作業性が更に高い。
【0013】
雄部品と雌部品とのそれぞれは、周方向の一部から外周方向へ延びる突出部を含んでもよい。両部品の突出部は、雄ねじと雌ねじとが正しい締結完了位置に到達すると両ねじの周方向における位置を一致させるように構成されている。突出部により、両部品はいずれの形状も回転非対称である。したがって、作業者は、両部品の突出部が周方向の位置を一致させたことを見ることにより、両ねじが正しい締結完了位置に到達したことを目で確認できる。したがって、本発明による管継手は配管の接続の作業性が更に高い。
【0014】
雄部品と雌部品との突出部は、各部品の軸方向から見える輪郭が等しくてもよい。作業者は、両部品の突出部の輪郭が完全に重なって見えることから、両ねじが正しい締結完了位置に到達したことを一目で確認できる。したがって、本発明による管継手は配管の接続の作業性が更に高い。
【0015】
雄部品と雌部品との突出部は、雄ねじと雌ねじとが正しい締結完了位置に到達するとスナップフィット方式で互いに引っ掛かるように構成されていてもよい。これにより、突出部が互いに引っ掛かるときには音または振動の少なくともいずれかが生じる。作業者はその音を聞き、またはその振動を感じることにより、両ねじが正しい締結完了位置へ到達したことを耳または手でも確認できる。したがって、本発明による管継手は配管の接続の作業性が更に高い。
【0016】
雄部品と雌部品との突出部は、雄ねじと雌ねじとが正しい締結完了位置に到達すると互いに引っ掛かり、両ねじの逆転、すなわち緩む方向への回転を妨げるように構成されていてもよい。これにより、外部からの振動衝撃または形状の経年変化に起因する両ねじの緩みが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態による管継手の外観を示す斜視図である。
図2図1が示す管継手の分解図である。
図3図1が示す直線III-IIIに沿った断面図である。
図4図2が示す雄部品と雌部品とが同軸に配置され、雄ねじと雌ねじとの間の周方向の角度が正しい締結開始位置での値であるときの両部品の外観を示す平面図(a)と側面図(b)である。
図5図2が示す雄ねじと雌ねじとが正しい締結完了位置に到達したときの管継手の外観を示す平面図(a)と側面図(b)である。
図6図2が示す雄部品と雌部品とが同軸に配置され、雄ねじと雌ねじとの間の周方向の角度が誤った締結開始位置での値であるときの両部品の外観を示す平面図(a)と側面図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明の実施形態による管継手100の外観を示す斜視図であり、図2は、管継手100の分解図であり、図3は、図1が示す直線III-IIIに沿った断面図である。管継手100は、好ましくは自動車内において、第1ホース510を第2ホース520へ接続するのに利用される(図3参照)。第1ホース510と第2ホース520とは高密度ポリエチレン(HDPE)等の樹脂から成り、好ましくは電気自動車(EV)のバッテリーパックの冷却ラインに含まれ、冷却水(LLC)を通す配管として利用される。
【0019】
管継手100は雄部品200と雌部品300との組み合わせである。両部品200、300はいずれも、ポリアミド(PA)またはガラス繊維強化ポリアミド(PA-GF)等の樹脂から成る円筒部品であり、それぞれの中心軸201、301に対して垂直な断面では内周面が円形であり(図2参照。)、内径が等しい(図3参照)。図3が示すように、雄部品200は第1ホース510に接続され、雌部品300は第2ホース520に接続される。さらに、両部品200、300が互いに同軸に締結されると、それらの内部空間を通して第1ホース510の内部空間が第2ホース520の内部空間に連通する。すなわち両部品200、300の内部空間が、2本のホース510、520の間を繋ぐLLCの流路として機能する。
[雄部品の構造]
【0020】
雄部品200の軸方向の一端部210(図2図3では左端部。以下、「第1端部」という。)は第1ホース510との接続部であり、第1ホース510の中に同軸に配置される(図3参照)。第1端部210の外径は第1ホース510の内径よりも大きいので、第1端部210が第1ホース510の中へ圧入されると、第1ホース510の開口端が押し広げられる。これに伴うその開口端の復元力が第1端部210を内周方向へ締め付けるので、第1ホース510が第1端部210に固定され、第1ホース510の内周面と第1端部210の外周面との間がシールされる。
【0021】
雄部品200の軸方向の他端部220(図2図3では右端部。以下、「第2端部」という。)は雌部品300との接続部であり、開口部221、環状溝230、フランジ240、および、雄ねじ250を含む。開口部221は、雄部品200の内部空間の出入口を仕切る円筒状の壁である。環状溝230は、開口部221を同軸に囲む円環形状の溝であり、好ましくは雄部品200の軸方向において第1端部210と第2端部220との間の境界付近まで延びている(図3参照)。その軸方向における環状溝230の深さは開口部221の壁厚よりも十分に大きい。フランジ240は、第2端部220の外周部のうち周方向の一部(図2図3では上部)のみを囲む円弧形状の部分であり、雄部品200の軸方向では第1端部210に隣接する。雄ねじ250は第2端部220の外周部のうち、雄部品200の軸方向においてフランジ240に隣接する領域(図2図3ではフランジ240の右側の領域)に設けられ、環状溝230を同軸に囲む。
[雌部品の構造]
【0022】
雌部品300の軸方向の一端部310(図2図3では左端部。以下、「第1端部」という。)は雄部品200との接続部であり、開口部311、環状突起330、フランジ340、および、雌ねじ350を含む。開口部311は、雌部品300の内部空間の出入口を仕切る円筒状の壁であり、雄部品200の開口部221と内径が等しい。環状突起330は開口部311の周囲から同軸に(図2図3では左方へ)突出しており、自身の軸方向に対して垂直な断面が円環状である。さらに、環状突起330は雄部品200の環状溝230へ圧入可能であるように、内径と外径とが設計されている(詳細については後述参照)。フランジ340は、環状突起330を同軸に囲む円環部材であり、雌部品300の軸方向における一端部(図2図3では右端部)が開口部311に同軸に接続され、その軸方向における反対側の端面341(図2図3では左端面)が環状突起330の先端331(図2図3では左端)を越えて張り出ている。雌ねじ350はフランジ340の内周面に設けられ、環状突起330を同軸に囲む。
【0023】
雌部品300の軸方向の他端部320(図2図3では右端部。以下、「第2端部」という。)は第2ホース520との接続部であり、第2ホース520の中に同軸に配置される(図3参照)。第2端部320の外径は第2ホース520の内径よりも大きいので、第2端部320が第2ホース520の中へ圧入されると、第2ホース520の開口端が押し広げられる。これに伴うその開口端の復元力が第2端部320を内周方向へ締め付けるので、第2ホース520が第2端部320に固定され、第2ホース520の内周面と第2端部320の外周面との間がシールされる。
[雄ねじと雌ねじ]
【0024】
雄ねじ250は多条ねじ、たとえば2条の右ねじであり、第1ねじ山251と第2ねじ山252とを含む(図2図3参照)。これらのねじ山251、252は、断面がたとえば台形状であり、雄部品200の中心軸201のまわりで、同じ形状、同じサイズの右巻きの螺旋を描いており、各螺旋の両端部を除き、形状とサイズとが等しい。それらの螺旋の先端、すなわち第1ねじ山251の先端253と第2ねじ山252の先端254とは、雄ねじ250の周方向における位置が互いに、360°を雄ねじ250の条数“2”で割った値、すなわち180°異なる。
【0025】
雌ねじ350は、雄ねじ250に噛み合い可能な多条ねじ、たとえば2条の右ねじであり、第1ねじ溝351と第2ねじ溝352とを含む(図2図3参照)。これらのねじ溝351、352は、断面がたとえば台形状であり、雌部品300の中心軸301のまわりで、同じ形状、同じサイズの右巻きの螺旋を描いており、各螺旋の両端部を除き、形状とサイズとが等しい。それらの螺旋の先端、すなわち第1ねじ溝351の先端353と第2ねじ溝352の先端(図示せず。)とは、雌ねじ350の周方向における位置が互いに、360°を雌ねじ350の条数“2”で割った値、すなわち180°異なる。
【0026】
雄ねじ250と雌ねじ350とはいずれも右ねじであるので、互いに同軸に噛み合わされた際、それぞれの中心軸201、301に沿って相手のねじへ向かう方向に対して時計回りが正転方向、すなわちねじが締まる方向であり、反時計回りが逆転方向、すなわちねじが緩む方向である。図2では、雄ねじ250については、その中心軸201に沿った右方に対し、時計回りMCLが正転方向であり、反時計回りMCCが逆転方向である。雌ねじ350については、その中心軸301に沿った左方に対し、時計回りFCLが正転方向であり、反時計回りFCCが逆転方向である。
【0027】
雄ねじ250と雌ねじ350とはいずれも条数が“2”であるので、締結開始位置が2つ存在する。一方(以下、「正しい締結開始位置」と呼ぶ。)は、第1ねじ山251の先端253が第1ねじ溝351の先端353へ進入し始め、第2ねじ山252の先端254が第2ねじ溝352の先端354へ進入し始めるときの両ねじ250、350の相対位置である。他方(以下、「誤った締結開始位置」と呼ぶ。)は、第1ねじ山251の先端253が第2ねじ溝352の先端354へ進入し始め、第2ねじ山252の先端254が第1ねじ溝351の先端353へ進入し始めるときの両ねじ250、350の相対位置である。
【0028】
締結開始位置と同様に締結完了位置も2つ存在する。以下、正しい締結開始位置から到達可能な締結完了位置を「正しい締結完了位置」と呼び、誤った締結開始位置から到達可能な締結完了位置を「誤った締結完了位置」と呼ぶ。締結完了位置では雄ねじ250と雌ねじ350とのはめあい長さが目標値に達する。この目標値は、雄部品200と雌部品300との間の締結が外力に十分に耐え、かつ、雄部品200の環状溝230へ雌部品300の環状突起330が必要な深さまで圧入されるように設計される(詳細については後述参照)。さらに、両ねじ250、350が締結開始位置から締結完了位置までの移動に必要とする回転角、すなわち、はめあい角が、好ましくは180°以下、更に好ましくは90°であるように、両ねじ250、350のリードが設計される。
[フランジ]
【0029】
図4図6は、同軸に配置された雄部品200と雌部品300とを雄部品200の第1端部210の側から見たときの両部品200、300の外観を示す平面図(a)と側面図(b)である。特に図4は、雄ねじ250と雌ねじ350との間の周方向の角度が正しい締結開始位置での値であるときの外観を示す。図5は、両ねじ250、350が正しい締結完了位置に到達したときの外観を示す。図6は、両ねじ250、350間の周方向の角度が誤った締結開始位置での値であるときの外観を示す。
-ねじの座面、座面除去部、突起-
【0030】
図2図4図6が示すように、雄部品200のフランジ240は円弧形状であり、雄ねじ250よりも外径が大きい。一方、雄部品200の第2端部220のうちフランジ240に囲まれていない部分242の外径RRはフランジ240の外径RFよりも小さく、好ましくは雄ねじ250の外径と等しい。これにより、雄部品200の軸方向におけるフランジ240の端面のうち雄ねじ250に近い方241は、外縁の一部に切り欠き242を含む円環面である(図2参照)。雄部品200の周方向に沿った切り欠き242の幅WRは、中心軸201まわりの回転角に換算されると、好ましくは、雄ねじ250と雌ねじ350とのはめあい角=90°以上であり、かつ、360°を両ねじ250、350の条数“2”で割った値=180°以下である:90°≦WR≦180°。更に好ましくは、幅WRは120°である:WR=120°。
【0031】
図2図4図6が示すように、雌部品300のフランジ340は円環形状であり、その端面341は全周にわたって切れ目のない円環面である。好ましくは図4図6の(a)が示すように、フランジ340の外径RFは雄部品200のフランジ240の外径RFと等しい。端面341の周方向の一部(図1図6では下部)からは突起342が雌部品300の軸方向(図1図3図4図6の(b)では左方、図4図6の(a)では手前)へ突出している。図4図6では突起342がハッチで強調されている。図4の(a)が示すように、突起342の断面は、たとえば端面341と同心の円弧形状であり、その内径RPが雄部品200のフランジ240のうち、切り欠き242によって狭められた部分の外径RR以上であり、残りの部分の外径RF以下である:RR≦RP≦RF。突起342の外径は、好ましくは雌部品300のフランジ340の外径RFと等しい。雌部品300の周方向における突起342の幅WPは、中心軸301まわりの回転角に換算されると、好ましくは30°よりもやや小さい:WP≒30°。さらに、突起342の幅WPと切り欠き242の幅WRとの間の差WR-WPは、好ましくは雄ねじ250と雌ねじ350とのはめあい角=90°以上である:WR-WP≧90°。
【0032】
図2図4図6の(b)が示すように、雄部品200のフランジ240の端面241と雌部品300のフランジ340の端面341とはいずれも軸方向に対して垂直である。両端面241、341は、図5の(b)が示すように雄ねじ250と雌ねじ350とが正しい締結完了位置に到達すると互いに接触し、両ねじ250、350の軸力で押し合う。この意味で、以下、各端面241、341を各ねじ250、350の「座面」と呼ぶ。さらに、雄部品200のフランジ240の切り欠き242は、雄ねじ250の座面241の周方向の一部が除去された跡であるので、以下では、切り欠き242を「座面除去部」と呼ぶ。
【0033】
図2図4の(b)が示すように、雌ねじ350の第1ねじ溝351の先端353と第2ねじ溝352の先端354とはいずれも、雌ねじ350の座面341よりも軸方向の奥側(図2図4の(b)では右側)に位置する。したがって、図4の(b)が2点鎖線で示すように、両ねじ250、350が正しい締結開始位置で噛み合わされたときの座面241、341間の距離LSは、雄ねじ250の長さLMよりも短い:LS<LM。好ましくは、この距離LS以上であるように、雌ねじ350の軸方向における突起342の長さLPは設計される:LP≧LS。
-突出部-
【0034】
図1図6が示すように、雄部品200のフランジ240の周方向の一部からは突出部243が雄部品200の外周方向(図1図3図5では上方、図4の(a)では左方、図6の(a)では右方)へ延びている。これにより、好ましくは図1図2図4図6の(a)が示すように、雄部品200は回転非対称な形状であり、特にその軸方向から見える輪郭が涙滴形状である。好ましくは図2図4図6の(a)が示すように、雄部品200の外周方向における突出部243の先端244(図2図5の(a)では上端、図4の(a)では左端、図6の(a)では右端)が雄部品200の周方向におけるフランジ240の中央に位置する。すなわち、その周方向における突出部243の先端244の位置が座面除去部242の周方向の各端とは120°異なる。さらに、その位置は、好ましくは図2図6の(b)が示すように、第1ねじ山251の先端253の位置と等しい。
【0035】
図2図6の(b)が示すように、雄部品200の突出部243の先端244(図2では上端)から雄ねじ250の正転方向MCLへ(図2では右方に対して時計回りに、図6の(b)では下方へ)段部248が広がっている。段部248は、雄ねじ250の座面241と同じ側(図2図6の(b)では右側)に位置する突出部243の端面から隆起した部分である。雄部品200の軸方向(図2図6の(b)では右方)における段部248の先端面249(図2図6の(b)では右端面)はその軸方向に対して垂直であり、その軸方向において雄ねじ250の座面241と同じ場所、または、それよりも外側(図2図6の(b)では右側)に位置する。
【0036】
図1図6が示すように、雌部品300のフランジ340の周方向の一部(図1図6では上部)からは突出部343が雌部品300の外周方向(図1図6では上方)へ延びている。これにより、好ましくは図1図2図4図6の(a)が示すように、雌部品300は回転非対称な形状であり、特にその軸方向から見える輪郭が涙滴形状である。更に好ましくは図5の(a)が示すように、雄部品200の突出部243と雌部品300の突出部343とは各部品200、300の軸方向から見える輪郭が等しい。好ましくは図2が示すように、雌部品300の外周方向における突出部343の先端344(図2では上端)は、第1ねじ溝351の先端353からは雌ねじ350の逆転方向FCCへ(図2では左方に対して反時計回りに)雄ねじ250と雌ねじ350とのはめあい角=90°回転した場所に位置し、突起342からは雌ねじ350の正転方向FCLへ(図2では左方に対して時計回りに)120°回転した場所に位置する。
【0037】
図1図3図4図6の(b)が示すように、雌部品300の突出部343は薄板部345と厚板部346とを含む。薄板部345と厚板部346とはいずれの板面も雌部品300の軸方向(図1図3図4図6の(b)では左右方向)に対して垂直であり、互いに隙間GPを隔てて対向している。雌部品300の軸方向において薄板部345は厚板部346よりも薄い。薄板部345の板面のうち、厚板部346から遠い方347(図2図3図4図6の(b)では左側の板面)は、雌部品300の軸方向において雌ねじ350の座面341と同じ場所に位置する。
【0038】
図2図4図6が示すように、雌部品300の突出部343の先端344(図2図4図6では上端)から雌ねじ350の正転方向FCLへ(図2では左方に対して時計回りに、図4の(a)、図6の(a)では左方へ)段部348が広がっている。段部348は、薄板部345の板面347(図2図3図4の(b)、図6の(b)では左側の板面)から隆起した部分である。雌部品300の径方向における段部348の範囲(図2図4参照。)は、雄部品200の径方向における段部248の範囲(図2図5の(b)参照。)と少なくとも一部が重なる。好ましくは、雌部品300の軸方向における段部348の先端面349(図2図3図4の(b)、図6の(b)では左端面)が雌部品300の軸方向と周方向との両方に対して傾斜しており、突出部343の先端344(図2図4図6では上端)から雌ねじ350の正転方向FCLへ(図2では左方に対して時計回りに、図4の(a)、図6の(a)では左方へ)離れた部分ほど薄板部345の板面347に近い。
[管継手を用いたホースの接続作業]
【0039】
管継手100を用いて第1ホース510に第2ホース520を接続する作業は、好ましくは以下の手順で行われる。まず、第1ホース510の開口端の中へ雄部品200の第1端部210が圧入され、第2ホース520の開口端の中へ雌部品300の第2端部320が圧入される。すなわち各部品200、300がホース510、520に接続される。次に、雄部品200の第2端部220と雌部品300の第1端部310とが同軸に突き合わされ、雄ねじ250と雌ねじ350との締結開始位置が探られる。
-ねじが正しい締結開始位置に近い場合-
【0040】
図4が示す雄部品200と雌部品300との配置では、雄ねじ250と雌ねじ350との間の周方向の角度が正しい締結開始位置での値である。すなわち、両ねじ250、350の周方向において第1ねじ山251の先端253が第1ねじ溝351の先端353と同じ場所に位置し、第2ねじ山252の先端254が第2ねじ溝352の先端354と同じ場所に位置する。このとき、その周方向では雄部品200の座面除去部242の範囲内、特にその周方向の一端部245(図4では下端部)の範囲内に雌部品300の突起342が位置する。突起342の内径RPは座面除去部242の外径RR以上である(RP≧RR)ので、両ねじ250、350が互いに近づけられると、突起342が座面除去部242の一端部245に進入し、雄部品200のフランジ240との衝突を避ける。したがって、両ねじ250、350が正しい締結開始位置に到達する。すなわち、第1ねじ山251の先端253が第1ねじ溝351の先端353に到達し、第2ねじ山252の先端254が第2ねじ溝352の先端354に到達する。
【0041】
雄ねじ250と雌ねじ350とが正しい締結開始位置に到達した後、雄部品200が雄ねじ250の正転方向MCLへ(図4の(a)では時計回りに)回転させられ、または雌部品300が雌ねじ350の正転方向FCLへ(図4の(a)では反時計回りに)回転させられる。座面除去部242は一端部245から雌ねじ350の正転方向DCLへ(図4の(a)では反時計回りに)広がっているので、両ねじ250、350の正転に従って突起342が座面除去部242の中を移動する。したがって、第1ねじ山251が第1ねじ溝351へ進入し、第2ねじ山252が第2ねじ溝352へ進入する。すなわち両ねじ250、350が噛み合い始める。座面除去部242と突起342との間での幅の差WR-WPが両ねじ250、350のはめあい角=90°以上であるので、突起342は座面除去部242の反対側の端部246(図5では右端部)に到達するまで、雄部品200のフランジ240には妨げられることなく移動する。したがって、両ねじ250、350が正しい締結完了位置に到達し、雄部品200と雌部品300との締結が完了する。
-ねじが誤った締結開始位置に近い場合-
【0042】
図6が示す雄部品200と雌部品300との配置では、雄ねじ250と雌ねじ350との間の周方向の角度が誤った締結開始位置での値である。すなわち、両ねじ250、350の周方向において第1ねじ山251の先端253が第2ねじ溝352の先端354と同じ場所に位置し、第2ねじ山252の先端254が第1ねじ溝351の先端353と同じ場所に位置する。このとき、その周方向では、雄ねじ250の座面241の範囲内に雌部品300の突起342が位置する。一方、突起342の内径RPがフランジ240の外径RF以下であり(RP≦RF)、突起342の長さLPが、正しい締結開始位置で噛み合わされた両ねじ250、350の座面241、341間の距離LS以上である(LP≧LS)。したがって、両ねじ250、350が互いに近づけられると、ねじ山251、252の先端253、254がねじ溝351、352の先端353、354に到達する前に、またはその到達と同時に突起342が雄ねじ250の座面241と衝突する。こうして、両ねじ250、350の相互の更なる接近が妨げられるので、両ねじ250、350を誤った締結開始位置で噛み合わせること、すなわち第1ねじ山251の先端253を第2ねじ溝352の先端354に進入させ、第2ねじ山252の先端254を第1ねじ溝351の先端353に進入させることは物理的に不可能である。
[はめあい角が180°以下であることの意義]
【0043】
雄部品200では第1端部210と第2端部220とが一体化され、雌部品300では第1端部310と第2端部320とが一体化されているので、雄ねじ250と雌ねじ350とを噛み合わせるには、雄部品200の全体と雌部品300の全体とを相対的に回転させる必要がある。ホース510、520の接続作業では、両ねじ250、350を噛み合わせる前に、各部品200、300をホース510、520に接続する。したがって、両ねじ250、350を噛み合わせる段階では両部品200、300の相対回転に伴い、ホース510、520の少なくとも一方をねじらざるを得ない。それ故、そのときのねじれとは反対方向のねじれを、ホース510、520のいずれかに対して予め加えておくことが好ましい。これにより、両ねじ250、350を締結完了位置に到達させたときにはホース510、520のいずれにもねじれが残らないようにできる。両ねじ250、350のはめあい角が180°以下である場合、ホース510、520のいずれかに対して予め加えられるべき反対方向のねじれも180°以下である。したがって、この反対方向のねじれを加えるのに必要な雄部品200または雌部品300の回転を、作業者に片手で行わせることができる。
[環状溝への環状突起の圧入]
【0044】
雌部品300の環状突起330は、壁厚が雄部品200の環状溝230の径方向の幅よりもわずかに大きい一方、内径が環状溝230の内周側の表面の直径と等しく、またはそれよりもわずかに小さく、外径が環状溝230の外周側の表面の直径と等しく、またはそれよりもわずかに大きい。したがって、雄ねじ250と雌ねじ350とが正しい締結開始位置から正しい締結完了位置へ移動する際、両ねじ250、350の軸力によって環状溝230へ環状突起330が圧入され、環状溝230の内周側の表面には環状突起330の内周面が密着し、環状溝230の外周側の表面には環状突起330の外周面が密着する(図3参照)。これらの密着領域、すなわちシール領域SRにより、雄部品200の開口部221と雌部品300の開口部311との隙間がシールされる。この隙間に対するシール性が十分に高いように、両部品200、300の軸方向におけるシール領域SRの広さ、すなわち環状突起330のうち環状溝230へ圧入されるべき部分の長さが設計される。さらに、その長さに基づいて両ねじ250、350のはめあい長さの目標値が設計され、締結完了位置が決定される。
【0045】
環状溝230への環状突起330の圧入には雄ねじ250と雌ねじ350との軸力が利用されるので、両ねじ250、350の締め付けトルクを素手で加えることが可能な程度に抑えるには、圧入に必要な力を抑える必要がある。そこで、圧入に伴う開口部221の壁の歪みが十分に小さいように、開口部221の壁厚、環状溝230の幅と深さ、および環状突起330の厚さと長さが設計される。具体的には、開口部221の壁厚に対して環状溝230の深さが十分に大きく、好ましくは3倍以上に設計され、圧入に伴う環状溝230の幅の増加量に対し、シール領域SRから環状溝230の底231までの軸方向の距離が十分に大きく、好ましくは10倍を超えるように設計される。
[突出部の役割]
【0046】
好ましくは図3図5が示すように、雄ねじ250と雌ねじ350とが正しい締結完了位置に到達すると両ねじ250、350の座面241、341が互いに接触するように、雄ねじ250の長さLMが設計される。しかし、実際には、座面241、341間の接触だけでは両ねじ250、350の正しい締結完了位置への到達が確認しにくい。その上、雄部品200と雌部品300とが互いに締結される度に、両ねじ250、350の最終的な相対位置と正しい締結完了位置との間のずれが大きくばらつきやすい。
【0047】
雄部品200の突出部243と雌部品300の突出部343とは、以下に説明されるように、雄ねじ250と雌ねじ350とが正しい締結完了位置に到達したことを作業者に容易に確認させることができる。これにより、管継手100はホース510、520の接続の作業性が高い。さらに、両ねじ250、350の最終的な相対位置と正しい締結完了位置との間のずれが確実に許容範囲内に抑えられる。したがって、両ねじ250、350のはめあい長さの不足に起因するシール領域SRの面積の不足も、両ねじ250、350の過剰な締め付けトルクに起因する両部品200、300の過大なクリープ変形も生じにくい。それらの結果、管継手100はその高いシール性に対する信頼性が高い。
【0048】
雄部品200では、その周方向において突出部243が第1ねじ山251の先端253と同じ場所に位置する。雌部品300では、突出部343が第1ねじ溝351の先端353から雌ねじ350の逆転方向FCCへ、雄ねじ250と雌ねじ350とのはめあい角=90°回転した場所に位置する(図2参照)。両ねじ250、350が正しい締結開始位置にあるときには第1ねじ山251の先端253が第1ねじ溝351の先端353に位置するので、雄部品200の突出部243が雌部品300の突出部343から雌ねじ350の正転方向FCLへ90°回転した場所に位置する(図4の(a)参照)。したがって、両ねじ250、350が正しい締結完了位置に到達すると初めて両部品200、300の突出部243、343が先端244、344の周方向の位置を一致させ、軸方向からはそれらの輪郭が完全に重なって見える(図5の(a)参照)。それ故、作業者は、両ねじ250、350が正しい締結完了位置に到達したことを一目で確認できる。さらに、突出部243、343の先端244、344間の位置ずれ、および突出部243、343間の輪郭のずれはわずかでも目立つので、それらのずれを視認できない程度に小さく抑えることが容易である。その結果、両ねじ250、350の最終的な相対位置と正しい締結完了位置との間のずれが確実に許容範囲内に抑えられる。
【0049】
雄部品200の突出部243では、その軸方向において段部248の先端面249が雄ねじ250の座面241と同じ場所、またはそれよりも外側(図2では右側)に位置し、雌部品300の突出部343では、その軸方向において段部348の先端面349が雌ねじ350の座面341よりも外側(図2では左側)に位置する。したがって、両ねじ250、350が正しい締結完了位置に到達すると段部248、348が、以下に説明されるように、スナップフィット方式で互いに引っ掛かる。
【0050】
両ねじ250、350が正しい締結完了位置に到達する直前、雄部品200の段部248の先端面249が雌部品300の段部348の先端面349と衝突する。雌部品300の先端面349はその傾斜により、雄部品200の先端面249から軸方向の圧力を受ける。これにより、雌部品300の薄板部345が厚板部346へ向かってしなる。その結果、両ねじ250、350の正転が更に進むと、段部248、348が互いを乗り越え、両ねじ250、350が正しい締結完了位置に到達する。それと同時に、薄板部345のしなりが元へ戻るので、雄部品200の突出部243の表面に雌部品300の先端面349が打ち付けられる。そのときの音が薄板部345と厚板部346との隙間GPで反響する。この反響音を聞くことによって作業者は、両ねじ250、350が正しい締結完了位置に到達したことを耳でも確認できる。作業者は更に、雌部品300の傾斜面349が打ち付けられることで生じる振動を感じることにより、両ねじ250、350が正しい締結完了位置へ到達したことを手でも確認できる。
【0051】
上記の役割に加え、突出部243、343は雄部品200と雌部品300とを素手で回転させやすくする。これにより、管継手100を用いたホース510、520の接続は作業性が高い。実際、作業者は両部品200、300を相対的に回転させる際、突出部243、343に指を掛けることができるので、両部品200、300に対して周方向の力を加えやすい。また、突出部243、343は同じ部品200、300の他の部分よりもその部品200、300の中心軸201、301からの距離が遠いので、周方向に同じ大きさの力を受けても、それに伴って各部品200、300にはより大きいトルクを作用させる。したがって、作業者は周方向の力を各突出部243、343に対して加えることにより、各部品200、300に十分に大きなトルクを容易に作用させることができる。
【0052】
さらに、突出部243、343は、正しい締結完了位置に到達した後の雄ねじ250と雌ねじ350との緩みを防ぐ。これにより、管継手100は外部からの振動衝撃または形状の経年変化に対する信頼性が高い。実際、上記のとおり、両ねじ250、350が正しい締結完了位置に到達すると、両部品200、300の段部248、348が互いに引っ掛かる。その後、外部からの振動衝撃等によって両ねじ250、350が、逆転を促すトルクを受けたとしても、段部248、348が互いに周方向の側面を接触させて両ねじ250、350の逆転を妨げる。こうして、突出部243、343は両ねじ250、350の緩みを防ぐことができる。特に段部248、348は突出部243、343の先端244、344(図2図3では上端)に隣接するので、同じ部品200、300の他の部分よりもその部品200、300の中心軸201、301からの距離が遠い。したがって、両ねじ250、350の逆転を促すトルクが大きくても、それに伴って段部248、348が押し合う力は十分に弱いので、段部248、348の相互の引っ掛かりによる両ねじ250、350の緩み止めの効果は十分に高い。
[実施形態の利点]
【0053】
管継手100は、次の条件(A)、(B)、(C)、(D)をすべて満たす。(A)雄ねじ250と雌ねじ350とのはめあい角=90°が180°以下である。(B)雌部品300の突起342の長さLPは、両ねじ250、350が正しい締結開始位置で噛み合わされたときの両ねじ250、350の座面241、341間の距離LS以上である:LP≧LS。(C)座面除去部242の周方向の幅WRは両ねじ250、350のはめあい角=90°以上であり、かつ、360°を両ねじの条数“2”で割った値=180°以下である:90°≦WR≦180°。(D)両ねじ250、350が正しい締結開始位置から正しい締結完了位置へ移動するのに伴って突起342が両ねじ250、350の周方向において移動する範囲が、両ねじ250、350の周方向における座面除去部242の範囲に含まれる。
【0054】
管継手100が上記の条件(A)-(D)をすべて満たすので、雄ねじ250と雌ねじ350とを誤った締結開始位置で噛み合わせることすら、物理的に不可能である。実際、両ねじ250、350が噛み合わされる際、両ねじ250、350間の周方向の角度が正しい締結開始位置での値である場合には、突起342が座面除去部242に進入して雄ねじ250の座面241との衝突を避けるので、両ねじ250、350が正しい締結開始位置に到達する(図4参照)。その後は突起342が座面除去部242の中を雄部品200のフランジ240には妨げられることなく移動する(図4参照。)ので、両ねじ250、350が正しい締結完了位置に到達する(図5参照)。一方、両ねじ250、350間の周方向の角度が誤った締結開始位置での値である場合には、両ねじ250、350が誤った締結開始位置に到達する前に、またはその到達と同時に、突起342が雄ねじ250の座面241と衝突する(図6参照)。したがって、両ねじ250、350を誤った締結開始位置で噛み合わせることが物理的に不可能である。それ故、当然、両ねじ250、350が誤った締結完了位置に到達することも物理的に不可能である。こうして、その到達が確実に防止されるので、管継手100はホース510、520の接続の作業性が高い。
[変形例]
【0055】
(1)管継手100の樹脂材料は、PA、PA-GFには限られない。その他に、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエーテルエテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリイミド等、種々の樹脂が使用可能である。これらは、管継手100の使用分野または用途、ホース510、520の材質等に応じて適宜に選択されればよい。
【0056】
(2)管継手100では、雄部品200が環状溝230を含み、その中へ雌部品300の環状突起330が圧入される。逆に、雌部品300が環状溝を含み、その中へ雄部品200の環状突起が圧入されてもよい。
【0057】
(3)雄部品200では、その周方向において座面除去部242が第1ねじ山251の先端253から120°離れている。雌部品300では、突起342が第1ねじ溝351の先端353から雌ねじ350の逆転方向FCCへ、雄ねじ250と雌ねじ350とのはめあい角=90°に120°を加えた角度=210°離れている。しかし、これらの配置に本発明は限定されない。両ねじ250、350が締結完了位置に到達するまでに座面除去部242に突起342が進入するか否かは、両ねじ250、350が噛み合わされた際の座面除去部242と突起342との相対位置で決まり、座面除去部242と第1ねじ山251の先端253との相対位置にも、突起342と第1ねじ溝351の先端353との相対位置にも、直接には依存しないからである。
【0058】
(4)雄ねじ250のねじ山251、252と雌ねじ350のねじ溝351、352とはいずれも断面が台形状であるが、三角形、矩形、鋸歯形等の他の多角形状であっても、頂上または谷底が丸みを帯びた形状であってもよい。また、両ねじ250、350の条数は“2”であるが、“3”またはそれ以上であってもよい。締結開始位置は条数と同数、すなわち3以上存在するので、正しい締結開始位置が2以上選択されてもよい。これに合わせて雄部品200の座面除去部242が正しい締結開始位置と同数まで追加され、各幅WRの上限が各ねじ250、350の周方向におけるねじ山、ねじ溝の先端の間隔、すなわち360°/条数(≧3)まで狭められればよい。これにより、両ねじ250、350が噛み合わされる際に突起342を、両ねじ250、350間の周方向の角度が正しい締結開始位置での値である場合には座面除去部242に進入させ、誤った締結開始位置での値である場合には座面241と衝突させることができる。なお、隣接する2つ以上の座面除去部242が1つに統合されてもよい。
【0059】
(5)管継手100では、雄部品200が座面除去部242を含み、雌部品300が突起342を含む。逆に、雌部品300が座面除去部を含み、雄部品200が突起を含んでもよい。突起342の断面は円弧形状であるが、多角形、円形等、他の形状であってもよい。座面除去部242は雄ねじ250の座面241の外縁の切り欠きである。しかし、座面除去部は、周方向に連続した領域が座面から除去された跡であればよい。たとえば、雄ねじの座面が全周にわたって切れ目のない円環面であり、その中に、周方向へ延びる溝または凹みが形成され、座面除去部として利用されてもよい。この場合、座面除去部の径方向の広がりと軸方向の深さとが、内側に突起を収容可能な程度に設計されればよい。
【0060】
(6)管継手100が上記の条件(A)-(D)をすべて満たすので、雄ねじ250と雌ねじ350とを誤った締結開始位置で噛み合わせることが物理的に不可能である。しかし、条件(A)-(D)をすべて満たすことは本発明にとって必須ではない。いずれかが緩和されれば、両ねじ250、350を正誤いずれの締結開始位置でも噛み合わせることが物理的に可能になりうる。しかし、本発明にとっては、両ねじ250、350を誤った締結完了位置に到達させることが、物理的に不可能でありさえすればよい。具体的には、雄部品200と雌部品300との締結作業において両ねじ250、350が互いに同軸に近づけられる際、両ねじ250、350間の周方向の角度が誤った締結開始位置での値である場合には、両ねじ250、350が誤った締結完了位置に到達する前に突起342が雄ねじ250の座面241と衝突すればよい。一方、両ねじ250、350間の周方向の角度が正しい締結開始位置での値である場合には、両ねじ250、350が正しい締結完了位置に到達する前に突起342が座面除去部242に進入し、雄ねじ250の座面241との衝突を避ければよい。
【0061】
たとえば、雌部品300の突起342の長さLPが条件(B)の規定する下限LSを下回ってもよい(LP<LS)。この場合、雄ねじ250と雌ねじ350とを誤った締結開始位置で噛み合わせることが物理的に可能である。しかし、座面241の周方向の幅が両ねじ250、350のはめあい角よりも十分に広いので、両ねじ250、350が誤った締結開始位置から正転しても、それらが誤った締結完了位置に到達する前に突起342が雄ねじ250の座面241と衝突する。したがって、両ねじ250、350を誤った締結完了位置に到達させることは物理的に不可能である。
【0062】
条件(C)が緩和され、雄部品200の座面除去部242の周方向の幅WRが雄ねじ250と雌ねじ350とのはめあい角未満であってもよい。この場合、座面除去部242と雌部品300の突起342とが、条件(B)、(D)に代えて、次の条件(E)、(F)を満たせばよい。(E)突起342の長さLPは、両ねじ250、350が正しい締結開始位置から所定の角度DFだけ正転した際の両ねじ250、350の座面241、341間の距離以下である。(F)両ねじ250、350が同軸に配置された際、それらの間の周方向の角度が正しい締結開始位置での値である場合、突起342が座面除去部242から雄ねじ250の逆転方向MCCへ角度DFだけ離れている。
【0063】
条件(E)の規定する上限は条件(B)の規定する下限LSよりも短い。したがって、条件(E)が満たされる場合、条件(F)の規定する状態では突起342が雄ねじ250の座面241にまで届かない。それ故、両ねじ250、350を正しい締結開始位置で噛み合わせることができる。さらに、条件(F)が満たされる場合、両ねじ250、350が正しい締結開始位置から少なくとも角度DFだけ正転すると、突起342が座面除去部242に進入する。その後は突起342が座面除去部242の中を移動するので、突起342が雄部品200のフランジ240と衝突する前に、両ねじ250、350が正しい締結完了位置に到達する。
【0064】
条件(E)が満たされる場合、両ねじ250、350を誤った締結開始位置で噛み合わせることも物理的には可能である。しかし、条件(F)が更に満たされる場合、両ねじ250、350が誤った締結開始位置で噛み合わされた際に、突起342が座面除去部242から雄ねじ250の逆転方向MCCへ、角度DFと360°/条数との和に等しい角度だけ離れている。この角度よりも両ねじ250、350のはめあい角が狭ければ、両ねじ250、350が誤った締結開始位置から正転しても、それらが誤った締結完了位置に到達する前に突起342が雄ねじ250の座面241と衝突する。したがって、両ねじ250、350を誤った締結完了位置に到達させることは物理的に不可能である。
【0065】
条件(A)が緩和され、雄ねじ250と雌ねじ350とのはめあい角が180°、更に360°=1回転を超えてもよい。この場合、突起342が条件(B)の規定する下限LSよりも十分に短ければ、両ねじ250、350を正しい締結開始位置で噛み合わせることができる。また、条件(C)を満たすことはできないので、座面除去部242の幅WRは360°/条数以下、たとえば360°/2=180°以下に設計されればよい。さらに、突起342と座面除去部242とは次のように設計されればよい。両ねじ250、350が正しい締結開始位置から正転して、正しい締結完了位置までの残りの回転角を座面除去部242の幅WRまで減少させると、突起342が座面除去部242に進入する。その後は突起342が座面除去部242の中を移動するので、両ねじ250、350を正しい締結完了位置に到達させることができる。
【0066】
一方、突起342の長さLPが下限LSを下回るので、両ねじ250、350を誤った締結開始位置で噛み合わせることも物理的には可能である。しかし、両ねじ250、350が誤った締結開始位置から正転して、誤った締結完了位置までの残りの回転角を座面除去部242の幅WRまで減少させると、突起342が雄ねじ250の座面241と衝突する。したがって、両ねじ250、350を誤った締結完了位置に到達させることは物理的に不可能である。
【0067】
(7)管継手100では、雄部品200の突出部243が雌部品300の突出部343の薄板部345を押し退けることにより、段部248、348が互いに乗り越えて引っ掛かる。段部248、348の他にも、スナップフィット方式で互いに引っ掛かる構造は多様に変形可能である。たとえば、突出部243、343の一方に爪部が設けられ、他方に爪受け部が設けられていてもよい。爪部は突出部243、343の一方から軸方向へ突出しており、外周方向へしなることができる。雄ねじ250と雌ねじ350とが正しい締結完了位置に到達する際、爪部がしなってその先端を爪受け部に引っ掛ける。作業者は、爪部が爪受け部に引っ掛かっている状態を目で確認し、爪部の先端が爪受け部を叩く音または振動を耳または手で確認することにより、両ねじ250、350が正しい締結完了位置に到達したことを容易に確認できる。さらに、爪部と爪受け部との相互の引っ掛かりにより、両ねじ250、350の逆転が妨げられる。これにより、外部からの振動衝撃または形状の経年変化に起因する両ねじ250、350の緩みが防止される。
【0068】
(8)管継手100では、雄部品200と雌部品300とが突出部243、343の存在によって回転非対称な形状である。これにより、両部品200、300の締結作業では雄ねじ250と雌ねじ350とが締結完了位置に到達したことが容易に確認可能であり、両ねじ250、350の最終的な相対位置と締結完了位置との間のずれが確実に許容範囲内に抑えられる。しかし、その反面、両ねじ250、350が多条ねじであるので、複数の締結完了位置の中から少なくとも1つを、突出部243、343の周方向の位置が一致する正しいものとして選択する必要がある。これが、両ねじ250、350の締結完了位置に正誤がある理由である。しかし、この理由は本発明にとって必須の前提ではない。いかなる理由であっても、多条ねじの複数の締結完了位置のうち特定のもの以外が不要である場合には、本発明が有効である。
【符号の説明】
【0069】
100 管継手
200 雄部品
201 雄部品の中心軸
210 雄部品の第1端部
220 雄部品の第2端部
221 雄部品の開口部
230 環状溝
231 環状溝の底
240 雄部品のフランジ
241 雄ねじの座面
242 雄部品の座面除去部
243 雄部品の突出部
244 雄部品の突出部の先端
245 雄部品の座面除去部の一端部
246 雄部品の座面除去部の反対側の端部
248 雄部品の段部
249 雄部品の段部の先端面
250 雄ねじ
251、252 雄ねじのねじ山
253、254 雄ねじのねじ山の先端
300 雌部品
301 雌部品の中心軸
310 雌部品の第1端部
311 雌部品の開口部
320 雌部品の第2端部
330 環状突起
331 環状突起の先端
340 雌部品のフランジ
341 雌ねじの座面
342 雌部品の突起
343 雌部品の突出部
344 雌部品の突出部の先端
345 薄板部
346 厚板部
347 薄板部の外側の板面
348 雌部品の段部
349 雌部品の段部の先端面
350 雌ねじ
351、352 雌ねじのねじ溝
353 雌ねじのねじ溝の先端
510 第1ホース
520 第2ホース
図1
図2
図3
図4
図5
図6