(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161646
(43)【公開日】2023-11-08
(54)【発明の名称】スペーサ、ケーシングユニット及びポンプ装置
(51)【国際特許分類】
F04D 13/06 20060101AFI20231031BHJP
F04D 29/60 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
F04D13/06 B
F04D29/60 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022072100
(22)【出願日】2022-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000148209
【氏名又は名称】株式会社川本製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】山下 英吾
(72)【発明者】
【氏名】鷲津 維摩
(72)【発明者】
【氏名】大杉 洋人
(72)【発明者】
【氏名】清水 孝司
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA03
3H130AB22
3H130AB42
3H130AC30
3H130BA16A
3H130BA98A
3H130CA24
3H130DJ06X
3H130EA02Z
3H130EA04A
3H130EA07A
3H130EB01Z
3H130EB02A
3H130EC08A
3H130ED01Z
3H130ED02A
3H130ED02Z
3H130ED04A
3H130ED04Z
(57)【要約】
【課題】簡単な構成で、立形ポンプをベースの有無のいずれにも対応させることができるスペーサ、ケーシングユニット及びポンプ装置を提供すること。
【解決手段】ポンプケーシング21に形成されたケーシングフランジ34、35に締結されるスペーサ13は、ケーシングフランジ34、35に流体的に連結する開口41aが形成されたスペーサ部41と、スペーサ部41に設けられ、設置面にアンカー固定できる脚部42と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプケーシングに形成されたケーシングフランジに締結されるスペーサであって、
前記ケーシングフランジに流体的に連結する開口が形成されたスペーサ部と、
前記スペーサ部に設けられ、設置面にアンカー固定できる脚部と、
を備えるスペーサ。
【請求項2】
前記スペーサ部及び前記脚部は、一体構造である、請求項1に記載のスペーサ。
【請求項3】
前記スペーサ部及び前記脚部の少なくとも一方は、前記ケーシングフランジの中心軸周りで前記ポンプケーシングの一部と当接して、前記ポンプケーシングの前記中心軸周りの位置を規定する凸部を有する、請求項2に記載のスペーサ。
【請求項4】
インペラを収容するケーシング部、前記ケーシング部に設けられたケーシングフランジと、を有するポンプケーシングと、
前記ケーシングフランジにそれぞれ締結され、締結された前記ケーシングフランジと流体的に連続する開口が形成されたスペーサ部、並びに、前記スペーサ部に設けられ、設置面にアンカー固定できる脚部を有するスペーサと、
を備えるケーシングユニット。
【請求項5】
前記スペーサは、前記ケーシングフランジに固定される配管との間に設けられる、請求項4に記載のケーシングユニット。
【請求項6】
前記ケーシングフランジは、複数の第1ボルト孔を有し、
前記スペーサ部は、前記開口の周囲に、複数の第2ボルト孔を有し、
前記第2ボルト孔は、前記第1ボルト孔よりも形状が大きく、且つ、前記複数の第1ボルト孔と同数設けられるか、又は、前記複数の第1ボルト孔よりも多い数であって、且つ、前記第1ボルト孔と同数が前記複数の第1ボルト孔と締結される、請求項5に記載のケーシングユニット。
【請求項7】
前記スペーサ部及び前記脚部の少なくとも一方は凸部を有し、
前記ポンプケーシングは、前記ケーシングフランジの中心軸周りで前記凸部と当接できる、請求項6に記載のケーシングユニット。
【請求項8】
前記ケーシングフランジは、前記ポンプケーシングに二つ設けられ、
前記脚部は、アンカーボルトが挿入されるアンカーボルト孔が形成され、
前記二つのケーシングフランジにそれぞれ締結された前記スペーサの前記脚部にそれぞれ形成された、前記スペーサの並び方向における前記アンカーボルト孔の幅は、前記ポンプケーシングのケーシング面間寸法よりも小さい、請求項7に記載のケーシングユニット。
【請求項9】
前記アンカーボルト孔は、前記脚部に、前記ケーシングフランジの中心軸に直交する方向に並んで二つ形成され、
前記二つのアンカーボルト孔の幅は、前記ポンプケーシング及び前記ポンプケーシングに固定されるモータの最大幅よりも小さい、請求項8に記載のケーシングユニット。
【請求項10】
前記脚部及び前記ケーシングフランジの間に配置され、前記スペーサ及び前記ケーシングフランジの高さ調整を行う調整部材を備える、請求項7に記載のケーシングユニット。
【請求項11】
インペラが収容される請求項5乃至請求項10のいずれか一項に記載のケーシングユニットと、
前記インペラに接続され、前記ケーシングユニットに固定されるモータと、
を備えるポンプ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、立形ポンプに用いられるスペーサ、ケーシングユニット及びポンプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ポンプ装置として、回転軸が重力方向に沿った姿勢で設置される立形ポンプが知られている。このようなポンプ装置は、設置面としてのベースを用いてアンカー固定するタイプやベースを有さないタイプが知られている。また、ベースを用いた場合及びベースを用いない場合で兼用できるポンプ装置も知られている。また、ポンプのフランジ部の強度を向上させるスペーサ等を用いたポンプ装置も知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、ベースの有無を機種(タイプ)によって対応するポンプ装置では、異なる部品を用いる必要があることから、部品製造のための設備投資や製品及び部品の管理が増加する、という問題がある。
【0005】
例えば、ベースの有無の双方に兼用できるポンプ装置とすると、ケーシングに形成されるフランジでボルト孔の有無等の加工違いの対応が必要となり、穴有りケーシングから穴無しケーシングへの転用が困難となる。また、ケーシング座面での加工違い対応となり、製品においてベースを設けるための座が必要となる。ケーシングは、鋳造によって形成されることから、巣穴が生じるリスクや、鋳物重量の増加となる。また、ケーシングは、ベースを用いない場合にも不要な構成が形成されることから、ベース無しのポンプ装置としたときに、製造コストが増加する、という問題がある。
【0006】
そこで本発明は、簡単な構成で、立形ポンプをベースの有無のいずれにも対応させることができるスペーサ、ケーシングユニット及びポンプ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態の一態様に係るスペーサは、ポンプケーシングに形成されたケーシングフランジに締結されるスペーサであって、前記ケーシングフランジに流体的に連結する開口が形成されたスペーサ部と、前記スペーサ部に設けられ、設置面にアンカー固定できる脚部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、簡単な構成で、立形ポンプをベースの有無のいずれにも対応させることができるスペーサ、ケーシングユニット及びポンプ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係るポンプ装置の構成を示す側面図。
【
図3】同ポンプ装置に用いられるポンプケーシング及びスペーサを含むケーシングユニットの構成を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態に係るスペーサ13、ケーシングユニット及びポンプ装置1の例を、
図1乃至
図5を用いて説明する。
【0011】
図1は、本発明の実施形態に係るポンプ装置1の構成を示す側面図である。
図2は、ポンプ装置1の構成を示す上面図である。
図3は、ポンプ装置1に用いられるポンプケーシング21及びスペーサ13を含むケーシングユニットの構成を示す斜視図である。
図4は、スペーサ13の構成を示す斜視図である。
図5は、スペーサ13の変形例を模式的に示す断面図である。
【0012】
図1に示すように、ポンプ装置1は、軸方向が重力方向に沿った姿勢で設置される立形ポンプである。ポンプ装置1は、モータ11と、ポンプ12と、スペーサ13と、パッキン14と、を備える。
【0013】
モータ11は、モータケーシング11aと、モータケーシング11a内に設けられた固定子と、固定子に対して回転可能な回転子と、回転子に固定されたモータ軸11bと、を備える。モータ11は、モータケーシング11aがポンプ12に固定される。
【0014】
ポンプ12は、ポンプケーシング21と、ポンプケーシング21を覆うケーシングカバー22と、ポンプケーシング21内に収容されるインペラ23と、を備える。ポンプ12は、配管100の配管フランジ100aに接続される。
【0015】
ポンプケーシング21は、ポンプ室を形成するケーシング部31と、ポンプ室と連通する吸込部32と、ポンプ室と連通する吐出部33と、吸込部32の端部に形成される吸込フランジ34と、吐出部33の端部に形成される吐出フランジ35と、を備える。
【0016】
ケーシング部31は、インペラ23を収容するボリュート形状等のポンプ室を形成する。ケーシング部31の上面は、インペラ23を挿入可能に開口するとともに、該開口の周囲にケーシングカバー22を固定する締結部材であるボルトが挿入されるボルト孔31aが形成される。なお、ボルト孔31aは、ボルトが挿入される孔であってもよく、ボルトが螺合される雌ねじであってもよい。
【0017】
吸込部32は、例えば、ケーシング部31の下端からケーシング部31の外周面側に延びる。吸込部32は、一次側からケーシング部31のポンプ室までの流路を形成する。吸込部32のケーシング部31とは反対側の端部の開口の中心軸は、ケーシング部31の中心軸(インペラ23の回転軸、モータ11のモータ軸11bの回転軸)に直交する方向に延びる。
【0018】
吐出部33は、例えば、ケーシング部31の外周面の一部から、ケーシング部31の中心軸(インペラ23の回転軸、モータ11のモータ軸11bの回転軸)に直交する方向に延びる。例えば、吸込部32の端部の開口及び吐出部33の端部の開口は、同軸上に配置される。
【0019】
吸込フランジ34は、吸込部32の端部の外周面側に、吸込部32に一体に形成される。吸込フランジ34は、複数形成された締結部材としてのボルトが挿通されるボルト孔(第1ボルト孔)34aを有する。吸込フランジ34は、吸込部32の下端よりも下方に突出する支持脚34bを有する。支持脚34bの下面は、平面状に形成される。支持脚34bは、例えば、吸込部32の端部の開口の中心軸及び重力方向の双方に直交する方向に並んで吸込フランジ34に二つ形成される。支持脚34bは、接地できる。
【0020】
吐出フランジ35は、吐出部33の端部の外周面側に、吐出部33に一体に形成される。吐出フランジ35は、複数形成された締結部材としてのボルトが挿通されるボルト孔(第1ボルト孔)35aを有する。吐出フランジ35は、吸込部32の下端よりも下方に突出する支持脚35bを有する。支持脚35bの下面は、平面状に形成される。支持脚35bは、例えば、吐出部33の端部の開口の中心軸及び重力方向の双方に直交する方向に並んで吐出フランジ35に二つ(一対)形成される。支持脚35bは、接地できる。即ち、吸込フランジ34の支持脚34b及び吐出フランジ35の支持脚35bは、スペーサ13を用いない場合に、接地することで、ポンプ装置1を支持する。
【0021】
これら吸込フランジ34及び吐出フランジ35は、ケーシングフランジであり、例えば、同一形状に形成される。
【0022】
ケーシングカバー22は、ポンプケーシング21のケーシング部31の上部に形成された開口を閉塞する。ケーシングカバー22は、例えば、モータ軸11bを軸封するメカニカルシール等の軸封部材を有する。ケーシングカバー22は、軸方向で下端側がポンプケーシング21に締結されるとともに、上端側がモータケーシング11aに締結される。
【0023】
インペラ23は、例えば、一対のシュラウド及び複数の羽根を有する。インペラ23は、モータ軸11bに固定され、ポンプ室に収容される。インペラ23は、吸込部32と対向する吸込口及び外周部に形成された吐出口を有する。インペラ23は、モータ軸11bの回転に伴って回転することで、吸込口から水を吸い込み、吐出口から増圧した水を吐出する。
【0024】
スペーサ13は、例えば、配管100の配管フランジ100a及びケーシングフランジ(吸込フランジ34、吐出フランジ35)の間に配置され、配管フランジ100a及びケーシングフランジ34、35に締結される。スペーサ13は、ポンプケーシング21とともに、ケーシングユニットを構成する。例えば、スペーサ13、配管フランジ100a及びケーシングフランジ34、35は、ボルトやナット等の締結部材99により締結される。
【0025】
スペーサ13は、スペーサ部41と、スペーサ部41の下方に一体に形成された一対の脚部42と、を備える。スペーサ部41には、配管100及び吸込部32、並びに、配管100及び吐出部33と連通する開口41aと、開口41aの周囲に配置された複数のボルト孔(第2ボルト孔)41bと、が形成される。開口41aは、例えば、異なる口径の配管100、吸込部32及び吐出部33を接続可能に、取り付けが想定される配管100、吸込部32及び吐出部33の最大径以上の内径に形成される。なお、開口41aは、
図5に示すように、内周面に雌ねじを形成し、雄ねじが形成された配管100を螺合可能に形成してもよい。
【0026】
例えば、ボルト孔41bは、口径が異なるポンプケーシング21の吸込フランジ34及び吐出フランジ35であっても、取り付け可能の構成されている。具体例として、ボルト孔41bは、吸込フランジ34のボルト孔34a及び吐出フランジ35のボルト孔35aよりも大きく形成される。なお、ボルト孔41bは、丸穴であるが、長穴等であってもよい。スペーサ13は、例えば、FCにより形成された鋳物である。スペーサ13は、例えば、一対の脚部42がポンプケーシング21側(ポンプ12の中心側に向かう側)となる姿勢で、ポンプケーシング21に固定される。
【0027】
脚部42は、スペーサ部41から重力方向に延びる壁部42aと、壁部42aの下端において水平方向に延びる座部42bと、座部42bに形成され、上方に突出する凸部42cと、を備える。脚部42は、接地される。脚部42は、ベース等の設置面にアンカー固定できる。
【0028】
壁部42aは、スペーサ部41と一体に成形され、スペーサ部41の下方に配置される。一対の脚部42の壁部42aは、下端側から上端側に向かって、間隔が狭くなるように、重力方向に対して傾斜して形成される。
【0029】
座部42bは、下面側に窪み42dを有する。また、座部42bは、脚部42を設置面に固定するアンカーボルトを挿通するボルト孔(アンカーボルト孔)42eを備える。なお、座部42bは、ボルト孔42eを有さず、アンカー固定するための基礎座面を有する構成としてもよい。窪み42dは、例えば、座部42bの下面側から上方に窪む。また、窪み42dは、座部42bの、座部42bの突出方向と反対側に開口する。
【0030】
凸部42cは、座部42bの上面から上方に突出する。一対の脚部42の凸部42c間の距離は、ケーシングフランジ(吸込フランジ34、吐出フランジ35)に形成される一対の支持脚(一対の支持脚34b、一対の支持脚35b)の対向方向における外面間の距離よりも若干大きく形成される。換言すると、一対の凸部42cの間には、一対の支持脚34b、35bが配置可能に形成される。凸部42cは、一対の支持脚34b、35bと当接することで、ケーシングフランジ(吸込フランジ34、吐出フランジ35)及びスペーサ13の幅方向の相対的な位置、及び、ケーシングフランジ(吸込フランジ34、吐出フランジ35)の開口の中心軸周り周方向の位置を案内する。
【0031】
これらケーシングフランジ(吸込フランジ34、吐出フランジ35)及びスペーサ13は、ケーシングフランジ(吸込フランジ34、吐出フランジ35)にスペーサ13を取り付けたときに、支持脚34b、35bの下面と座部42bの上面との間に隙間が生じる。即ち、ケーシングフランジ(吸込フランジ34、吐出フランジ35)の開口の中心から支持脚34b、35bまでの距離よりも、スペーサ13の開口41aの中心から座部42bの上面までの距離が大きい。
【0032】
パッキン14は、ケーシングフランジ(吸込フランジ34、吐出フランジ35)の一対の支持脚34b、35bと、スペーサ13の一対の脚部42の座部42bとの間に設けられる。パッキン14は、ゴム部材等の弾性変形可能な材料で形成される。パッキン14は、一対の支持脚34b、35bを支持するとともに、モータ11又はポンプ12の振動が、支持脚34b、35bを介して座部42b側に伝達することを防止又は抑制する。即ち、パッキン14は、モータ11又はポンプ12で生じる振動を低減又は減衰させる。例えば、パッキン14の厚さは、ケーシングフランジにスペーサ13を取り付けたときの支持脚34b、35bの下面と座部42bの上面との間の間隔よりも厚い。
【0033】
次に、このようなポンプケーシング21及び一対のスペーサ13の寸法関係について、
図2を用いて説明する。なお、以下の説明において、ポンプケーシング21及び一対のスペーサ13は、締結部材99で締結した姿勢で説明する。
【0034】
ポンプケーシング21のケーシング面間の距離である、吸込フランジ34のスペーサ13と対向する主面と吐出フランジ35のスペーサ13と対向する主面間の距離をL1とする。また、一対のスペーサ13の脚部42に形成されたボルト孔42eの距離、例えば、一対のスペーサ13の脚部42のボルト孔42eの中心間の距離をL2とする。距離L2は、距離L1よりも小さい。
【0035】
また、ポンプ装置1のポンプケーシング21及びモータ11の周方向の外面における最大幅である端部間の距離をW1とし、一つのスペーサ13の一対の脚部42に形成された一対のボルト孔42eの距離、例えば、一対のスペーサ13のボルト孔42eの中心間の距離をW2とする。ここで、距離W1は、例えば、距離W2と同方向における端部間の距離である。本実施形態において、距離W1は、例えば、インペラ23の回転中心に直交する方向における、ポンプケーシング21の外周面の一部と、モータ11に設けられる電装ボックスの同方向における端部との距離である。距離W2は、距離W1よりも小さい。
【0036】
このように構成されたポンプ装置1は、例えば、スペーサ13を選択的に用いることで、取り付け方法を任意に選択できる。このため、スペーサ13は、ポンプ装置1の取り付け方法の自由度を向上できる。
【0037】
例えば、スペーサ13を用いない場合においては、ポンプ装置1は、吸込フランジ34及び吐出フランジ35が配管100に接続される。このとき、一例として、設置面から配管100の中心軸までの距離と、吸込フランジ34及び吐出フランジ35の支持脚34b、35bの下端から吐出部33の端部の開口の中心軸までの距離とを同じとすることで、吸込フランジ34及び吐出フランジ35を配管100に接続したときに、支持脚34b、35bが接地する。これにより、ポンプ装置1は、配管100及び吸込フランジ34及び吐出フランジ35に支持される。他の例として、設置面から配管100の中心軸までの距離を、吸込フランジ34及び吐出フランジ35の支持脚34b、35bの下端から吐出部33の端部の開口の中心軸までの距離よりも大きくすることで、ポンプ装置1は、配管100に支持される。
【0038】
また、例えば、スペーサ13を用いる場合においては、ポンプ装置1は、吸込フランジ34及び吐出フランジ35と配管100の配管フランジ100aとを、スペーサ13を介して接続される。そして、スペーサ13は、設置面に接地される。また、選択的に、スペーサ13は、アンカーボルト等によって設置面であるベースにアンカー固定される。これにより、ポンプ装置1は、配管100及びスペーサ13によって支持されるか、又は、配管100及びスペーサ13によって支持され、そして、設置面に固定される。
【0039】
このため、ポンプ装置1は、アンカー固定不要機種及びアンカー固定必要機種の双方に対応することができる。即ち、製品としてポンプ装置1は、アンカー固定の要否(ベースの有無)に対応できる。ポンプ12は、アンカー固定の要否にかかわらず用いることができることから、ポンプケーシング21にベース付きの座を設ける等が不要となり、兼用化が可能、且つ、巣穴リスクの低減やポンプケーシング21の重量(鋳物重量)の低減が可能となる。このため、アンカー固定の要否によってポンプケーシング21の形状を異ならせる必要がなく、また、ポンプケーシング21を鋳物で作る場合の金型やポンプケーシング21に設ける構成品も専用品とする必要がない等、機種の数を増やす必要がないことから、イニシャルコスト等の投資額を低減することができる。
【0040】
また、スペーサ13は、スペーサ部41及び一対の脚部42を一体構造としたことで、鋳物一体構造とすることができ、部品点数の削減とすることができる。また、スペーサ13は、アンカー固定や支持のためでなく、ケーシングフランジ(吸込フランジ34及び吐出フランジ35)と、配管100との距離を調整するために用いることもできる。
【0041】
また、スペーサ13は、吸込フランジ34及び吐出フランジ35の双方に用いることができることから、スペーサ13の兼用化が可能となる。また、スペーサ13は、凸部42cにより、ケーシングフランジに対する幅方向の位置やケーシングフランジの周方向の位置を案内することができる。また、支持脚34b、35b及び凸部42cの当接によって、スペーサ13とポンプ12(ポンプケーシング21)との相対位置を調整できることから、ポンプ装置1は施工性の向上が可能となる。
【0042】
また、ポンプ装置1は、パッキン14をスペーサ13及びポンプケーシング21の間に設けることで、振動の抑制、及び、振動による騒音の抑制が可能となる。
【0043】
また、スペーサ13のボルト孔41bを、吸込フランジ34及び吐出フランジ35のボルト孔34a、35aよりも大きい形状や長穴とすることで、スペーサ13を、口径違いのケーシングフランジに用いることができる。即ち、スペーサ13は、口径が異なるポンプ12に兼用することができる。なお、スペーサ13のボルト孔41bを、吸込フランジ34及び吐出フランジ35の各ボルト孔34a、35aよりも大きい形状や長穴とせずに、口径違いのケーシングフランジにスペーサ13を用いることができる構成とするために、ケーシングフランジの複数のボルト孔34a、35aよりも多い数のボルト孔41bをスペーサ13に形成する構成としてもよい。即ち、スペーサ13に形成された複数のボルト孔41bのうち、締結するケーシングフランジの複数のボルト孔41bと同じ配置となっている吸込フランジ34のボルト孔34aの数(吐出フランジ35のボルト孔35aの数)と同数のボルト孔41bを、ケーシングフランジの複数のボルト孔41bと締結させる構成としてもよい。即ち、ケーシングフランジの一つのボルト孔34a、35aに対して、複数のボルト孔41bをスペーサ13に形成することで、口径違いのケーシングフランジのいずれであっても、スペーサ13の複数のボルト孔41bと、ケーシングフランジの複数のボルト孔34a、35aとが、ボルト等によって締結できるようにしてもよい。
【0044】
また、パッキン14は、厚みや枚数を調整し、スペーサ13及びケーシングフランジの高さ調整に用いることができる。即ち、パッキン14は、スペーサ13及びケーシングフランジの高さ調整を行う調整部材として機能することもできる。なお、ポンプ装置1は、スペーサ13及びケーシングフランジの高さ調整を行う調整部材として、パッキン14に加え、又は、パッキン14に変えて、金属材料で形成されたシム等を用いる構成としてもよい。
【0045】
また、スペーサ13は、座部42bに設けられる窪み42dにより、スペーサ13を鋳造するときに、中子等の抜きやすさを向上させることができる。また、窪み42dは、座部42b、凸部42c等に巣穴やヒケ等が生じることを防止できるとともに、スペーサ13を成形するための材料を低減することができる。
【0046】
また、ポンプ装置1の寸法関係として、各距離をL1>L2、W1>W2とすることで、スペーサ13をポンプケーシング21よりも内側とすることができるため、ポンプ装置1の設置領域をスペーサ13によって大きくすることがない。
【0047】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0048】
1…ポンプ装置、11…モータ、11a…モータケーシング、11b…モータ軸、12…ポンプ、13…スペーサ、14…パッキン、21…ポンプケーシング、22…ケーシングカバー、23…インペラ、31…ケーシング部、31a…ボルト孔、32…吸込部、33…吐出部、34…吸込フランジ(ケーシングフランジ)、34a…ボルト孔(第1ボルト孔)、34b…支持脚、35…吐出フランジ(ケーシングフランジ)、35a…ボルト孔(第1ボルト孔)、35b…支持脚、41…スペーサ部、41a…開口、41b…ボルト孔(第2ボルト孔)、42…脚部、42a…壁部、42b…座部、42c…凸部、42d…窪み、42e…ボルト孔(アンカーボルト孔)、99…締結部材、100…配管、100a…配管フランジ。