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特開2023-161650検査用プローブ、及び、該検査用プローブを有する検査用ソケット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161650
(43)【公開日】2023-11-08
(54)【発明の名称】検査用プローブ、及び、該検査用プローブを有する検査用ソケット
(51)【国際特許分類】
   G01R 1/067 20060101AFI20231031BHJP
   G01R 1/073 20060101ALI20231031BHJP
   G01R 31/26 20200101ALI20231031BHJP
【FI】
G01R1/067 C
G01R1/073 B
G01R31/26 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022072106
(22)【出願日】2022-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】390005049
【氏名又は名称】ヒロセ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【弁理士】
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】新井 達也
【テーマコード(参考)】
2G003
2G011
【Fターム(参考)】
2G003AG01
2G003AG03
2G003AH08
2G011AA04
2G011AA16
2G011AB01
2G011AB03
2G011AB04
2G011AB06
2G011AB07
2G011AC31
2G011AE22
2G011AF02
2G011AF07
(57)【要約】
【課題】電流路を大きくした検査用プローブ及びこの検査用プローブを有する検査用ソケットを提供する。
【解決手段】第一の面と第二の面を有する導電性材料から成る支持体と、支持体の第一の面側に設けた第一の接触部材及び支持体の第二の面側に設けた第二の接触部材を備える。第一の接触部材及び第二の接触部材の少なくとも一方が複数設けられており、複数の第一の接触部材と少なくとも1つの第二の接触部材、又は、複数の第二の接触部材と少なくとも1つの第一の接触部材が、支持体を通じて電気的に接続されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の面と第二の面を有する導電性材料から成る支持体と、前記支持体の前記第一の面側に設けた第一の接触部材と前記支持体の前記第二の面側に設けた第二の接触部材を備え、
前記第一の接触部材及び前記第二の接触部材の少なくとも一方が複数設けられており、複数の前記第一の接触部材と少なくとも1つの前記第二の接触部材、又は、複数の前記第二の接触部材と少なくとも1つの前記第一の接触部材が、前記支持体を通じて電気的に接続されている、検査用プローブ。
【請求項2】
前記第一の接触部材、及び/又は、前記第二の接触部材が、前記支持体に対して弾性伸縮可能に設けられている、請求項1に記載の検査用プローブ。
【請求項3】
前記第一の接触部材又は前記第二の接触部材とは別に弾性部材を設けることによって、又は、前記第一の接触部材それ自体又は前記第二の接触部材それ自体を弾性部材とすることによって、少なくとも1つの前記第一の接触部材、及び/又は、少なくとも1つの前記第二の接触部材が、前記支持体に対して弾性伸縮可能に設けられている、請求項2に記載の検査用プローブ。
【請求項4】
前記弾性部材は、前記支持体を貫通させた状態で前記第一の接触部材と前記第二の接触部材の間に、又は、一端を前記支持体に当接させ他端を前記第一の接触部材又は前記第二の接触部材に当接させた状態で設けられている、請求項3に記載の検査用プローブ。
【請求項5】
複数の前記第一の接触部材の中の少なくとも1つと他の少なくとも1つ、及び、複数の前記第二の接触部材の中の少なくとも1つと他の少なくとも1つが、前記支持体に設けた絶縁層によって絶縁されている、及び/又は、前記支持体に設けたキャパシタ層によって容量結合されている、請求項1に記載の検査用プローブ。
【請求項6】
前記支持体が、前記キャパシタ層を形成するためのキャパシタ部品が収容される空間を有する、請求項5に記載の検査用プローブ。
【請求項7】
前記第一の接触部材が前記第一の面において、一列に又は互いに直交させた状態で配列されている、
及び/又は、
前記第二の接触部材が、前記第二の面において、一列に又は互いに直交させた状態で配列されている、請求項1に記載の検査用プローブ。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載の検査用プローブを、前記第一の面及び/又は前記第二の面において、互いに並列に及び/又は互いに補完的に組み合わせた状態で配列した検査用ソケット。
【請求項9】
少なくとも1つの前記第一の接触部材を検査対象の配置側に、複数の前記第二の接触部材を検査装置に対する設置側に設けた、請求項8に記載の検査用ソケット。
【請求項10】
請求項1乃至7のいずれかに記載の複数の検査用プローブを、1つの検査用プローブ要素から成る検査用プローブの周囲に配置した、請求項8に記載の検査用ソケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子デバイス、例えば、パッケージ上に複数の半田ボール、パッド、リード等を配設したICチップ等のアレイ型の電子デバイスの電気検査に用いることができる、検査用プローブ、及び、該検査用プローブを複数配置した検査用ソケットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特許第5960383号公報)に従来の検査用プローブ及び検査用ソケットの一例が開示されている。尚、以下の記載において参照番号は、特許文献1中の参照番号に従う。
検査用プローブとしての接触子3は、検査用ソケットとしての接触子ホルダ2に形成された接触子用孔24に挿入される略円筒状の中空の導電性外殻31と、外殻31内に配置されて外殻31の軸方向に伸縮可能なコイルばね等の弾性部材32と、コイルばね32の一端に配置されかつ外殻31の一端から突出し、検査装置に電気的に接続可能に構成された導電性の第1プランジャ33と、コイルばね32の他端に配置されかつ外殻31の他端から突出し、電子デバイスに電気的に接続可能な導電性の第2プランジャ34を有する。第1プランジャ33及び第2プランジャは、それぞれ外殻31に当接することから、外殻31を介して互いに電気的に接続され、また、コイルばねを導電性材料から構成することによって、弾性部材32を介して電気的に接続され得る。
【0003】
接触子ホルダ2は、複数の接触子3のそれぞれを基体51の厚み方向に貫通させた状態で保持することができる。接触子ホルダ2には、該接触子ホルダ2を支持するガイドボディ4を取り付けることができ、ガイドボディ4には、検査対象である電子デバイスを接触子ホルダ2上の所定位置に配置するためのガイド部又はガイド壁41を設けることもできる。ガイドボディ4は、接触子ホルダ2を支持した状態でプリント回路基板等の検査装置にネジ穴51b等を利用して固定することができる。
【0004】
電子デバイスの検査を行う際、接触子ホルダ2は、検査装置の所定位置に設置され、電子デバイスは、ガイドボディ4のガイド部を利用すること等によって接触子ホルダ2上の所定位置に配置される。検査に必要な電力は、通常、検査装置から検査用プローブを通じて電子デバイスに供給されることになるが、特許文献1等に開示された従来の検査用プローブでは、1つの外殻31に一組のプランジャ、即ち、第1プランジャ33と第2プランジャ33のみを設け、第1プランジャ33と第2プランジャ33の間の電気的な接続は、外殻31との当接を通じて、又は、弾性部材32を通じて行われることになることから、この電流路はそれ程大きなものではない。このため、検査に必要な電力を十分に供給することができないおそれがあり、また、十分な電力を供給しようとすると検査用プローブに大きなジュール熱が生じさせてしまうおそれがあり、この結果、検査を適切に行うことができないおそれがあった。念のため説明しておくが、特許文献1の接触子ホルダ2では、接触子用孔24の内面に形成された導体部分241を、層状の又は配線から構成された接続部26を通じて互いに電気的に接続することにより、複数の接触子3の中の幾つかを導体部分241を介して接続部26に電気的に接続するものとなっているが、これらの接続部26を通じた電気的な接続は、単に、接触子3の信号伝送特性の変化を補償するためのものであって、検査に必要な電力を供給することとは無関係のものであり、また、そのような供給を可能とする程大きな電流路を提供するものではないことから、接続部26を通じた電気的な接続は、上記従来技術の欠点を何ら解消するものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5960383号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、上記従来技術の欠点を解消した検査用プローブ、及び、該検査用プローブを利用した検査用ソケットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明の一態様による検査用プローブは、第一の面と第二の面を有する導電性材料から成る支持体と、前記支持体の前記第一の面側に設けた第一の接触部材及び前記支持体の前記第二の面側に設けた第二の接触部材を備え、前記第一の接触部材及び前記第二の接触部材の少なくとも一方が複数設けられており、複数の前記第一の接触部材と少なくとも1つの前記第二の接触部材、又は、複数の前記第二の接触部材と少なくとも1つの前記第一の接触部材が、前記支持体を通じて電気的に接続されていることを特徴として有し、また、本発明の一態様による検査用ソケットは、そのような検査用プローブを有する。
この態様の検査用プローブ等によれば、支持体それ自体が導電性材料で形成されていることから、複数の第一の接触部材と少なくとも1つの第二の接触部材、又は、複数の第二の接触部材と少なくとも1つの第一の接触部材を、支持体を通じて電気的に接続させることができ、これにより、ジュール熱を抑制しつつ、検査用プローブを通じて、更に言えば、第一の接触部材と第二の接触部材の間に流れる電流量を増やし、例えば、電子デバイスの検査に必要な電力を十分に供給することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、上記従来技術の欠点を解消した検査用プローブ、及び、該検査用プローブを利用した検査用ソケットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の例示的な実施形態による検査用ソケットの概略斜視図である。
図2】本発明の例示的な実施形態による検査用ソケットの基体と検査用プローブの一部部分断面図である。
図3】本発明の例示的な実施形態による検査用プローブの概略斜視図である。
図4図3に示した検査用プローブの変形例を示す図である。
図5図3に示した検査用プローブの変形例を示す図である。
図6図3に示した検査用プローブの変形例を示す図である。
図7図6に示した検査用プローブの概略断面図である。
図8】第二の弾性部材それ自体を弾性部材とした検査用プローブの概略断面図である。
図9】第二の弾性部材それ自体を弾性部材とした検査用プローブの概略断面図である。
図10】絶縁機能又はキャパシタ機能を付加した検査用プローブの概念図である。
図11】絶縁層を付加した検査用プローブの支持体を示す図である。
図12図11に示した支持体の変形例を示す図である。
図13】検査用ソケットにおける検査用プローブの配列方法の一例を示す平面図である。
図14】クロストークの低減を図ることができる、検査用ソケットにおける検査用プローブの配列方法の一例を示す平面図である。
図15】本検査用プローブの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための例示的な実施形態を、図面を参照しつつ詳細に説明する。ただし、以下の実施形態で説明する材料、形状及び構成要素の相対的な位置等は、本発明の課題を解決するために本質的な事項を除き任意であり、本発明が適用される装置の構成又は様々な条件に応じて変更できる。また、特別な記載がない限り、本発明の範囲は、以下に具体的に記載された実施形態に限定されるものではない。
【0011】
図1に、本発明の例示的な実施形態による検査用ソケットの概略斜視図を示す。検査用ソケット5は、本発明の検査用プローブ1及びその他の検査用プローブ(後述する検査用プローブ1A等)を複数設けた樹脂製の基体51と、基体51の外周を取り囲むように設けた基体51を支持する枠体52を含む。
【0012】
図2に、基体51と検査用プローブ1の一部部分断面図を示す。基体51の収容空間55には、本発明の例示的な実施形態による複数の検査用プローブ1が、基体51の厚み方向(垂直方向)に沿って基体51を貫通した状態で複数組み込まれている。検査用プローブ1は、支持体10と、第一の接触部材21及び第二の接触部材22を含む。基体51の表面51aには、これら検査用プローブ1等の第一の面11側に設けた第一の接触部材21が、基体51の上貫通穴55aを通じてそれらの一部を突出させた状態で且つグリッド状に複数配列させた状態で設けられている。基体51の裏面51bにおいても同様に、これら検査用プローブ1等の第二の面12側に設けた第二の接触部材22が、基体51の下貫通穴55bを通じてそれらの一部を突出させた状態で且つグリッド状に複数配列させた状態で設けられている。
【0013】
枠体52は複数のネジ穴52aを含み、これらのネジ穴52aを利用して、プリント回路基板等の検査装置(図示していない)にネジ固定される。検査用ソケット5は、枠体52の固定を通じて検査装置の所定位置に設置される。所定位置に設置された際、検査用ソケット5の基体51に組み込まれた、検査用プローブ1の第二の面12側、即ち、第一の面11とは基体51の厚み方向において反対側に設けた第二の接触部材22が各々、検査装置の所定部分と電気的に接続される。尚、本実施形態では、第二の面12側を、第一の面11側とは基体51の厚み方向において反対側として説明するが、必ずしも、厚み方向において反対側に設ける必要はなく、本発明を実施することに支障が無ければ、例えば、基体51の側面方向等に設けてもよい。
【0014】
検査対象である電子デバイス(図示していない)は、枠体52の内壁面52bと基体51の表面51aによって形成された凹陥状の設置部54内に挿入される。この結果、電子デバイスの所定部分、例えば、IC回路の所定の半田ボール等が、基体51の表面51aに配列された複数の第一の接触部材21の各々と電気的に接続される。検査用ソケット5には、検査対象である複数の電子デバイスが代わる代わる挿抜される。設置部54からの電子デバイスの抜き取りを容易にするため、枠体52の内壁面52bには、抜き取り用の治具を挿入するための窪み52cが設けられている。
【0015】
電子デバイスの検査に必要な電力は、例えば、検査装置から供給することができる。検査装置からの電流は、検査用プローブ1を通じて、更に詳細には、検査装置と第二の接触部材22との間、第二の接触部材22と第一の接触部材21との間、及び、第一の接触部材21と電子デバイスとの間の電気的な接続をこれらの順に通じて、電子デバイスに供給される。後述するように、本構成によれば、この電流路は十分な大きさを有することから、本構成では、検査用プローブ1に生じるジュール熱が問題になることはない。
【0016】
図3に、図2に示した本発明の例示的な実施形態による検査用プローブ1の概略斜視図を示す。これらの図に示すように、第一の接触部材21及び第二の接触部材22それぞれの形状は、特に制限されず、例えば、第一の接触部材21のように複数の鋭い凹凸突起を設けてもよいし、第二の接触部材22のように1つの山状の突起としてもよい。尚、図示の例では、第一の接触部材21及び第二の接触部材22がそれぞれ3つずつ、更に言えば、第一の接触部材21及び第二の接触部材22の組が計3つ設けられているが、後述するように、第一の接触部材21及び第二の接触部材22の数は適宜変更することができ、これらに限られるものではない。
【0017】
図面からは明らかでないが、支持体10は、第一の接触部材21及び第二の接触部材22と同様に、導電性材料から成る。第一の接触部材21及び第二の接触部材22は、例えば、1枚の金属板を打ち抜き折り曲げ加工することにより製造することができ、一方、支持体10は、例えば、金属の塊を切削することにより製造することができる。支持体10は、第一の接触部材21及び第二の接触部材22と同様に、物理的に1つの部材から形成されていることが好ましい。しかしながら、電気的に1つの部材であれば、物理的に複数の部分から形成されてもよい。ここで「電気的に1つの部材」とは、例えば、物理的に複数の部分から成る場合であっても、それらの部分が導通しており、第一の接触部材21及び第二の接触部材22に対しては電気的に1つの部材として機能することを意味する。
【0018】
支持体10は、例えば検査用プローブ1の軸方向「α」に沿って延びており、その一端側に、第一の接触部材21を設けた第一の面11を有し、その他端側に第二の接触部材22を設けた第二の面12を有する。第一の面11側には、第一の接触部材21が支持され、第二の面12側には、第二の接触部材22が支持されている。これら第一の接触部材21と第二の接触部材22は、支持体10に互いに離れた状態で支持されているが、それぞれが支持体10との当接を通じて支持体10と電気的に接続されていることから、支持体10を介して互いに電気的に接続されている。図1図2に示した検査用ソケット5において、支持体10は、第一の接触部材21が電子デバイスの設置部54の側に、一方、第二の接触部材22が検査装置の側に、それぞれ配置されるように取り付けられる。
【0019】
支持体10は、軸方向「α」と直交する断面方向「β-γ」、言い換えれば、支持体10の第一の面11及び第二の面12において、従来の一般的な検査用プローブに相当する検査用プローブ要素を複数個、それらの側面にて互いに連結させた一体形状を有する。図3は、一例として、3つの検査用プローブ要素を断面方向「β-γ」にて一列に連結させた例を示しているが、連結の態様はこれに限られるものではない。例えば、図4に示す検査用プローブ1Aのように、3つの検査用プローブ要素を断面方向「β-γ」にて互いに直交させるように連結してもよいし、また、図5に示す検査用プローブ1Bのように、4つの検査用プローブ要素を断面方向「β-γ」にて矩形状に連結してもよい。このように、従来の一般的な検査用プローブに相当する検査用プローブ要素を複数個、それらの側面にて互いに連結させた一体形状を採用することで、検査用プローブ要素同士の間のスペースに導電性材料を設けることを可能とし、これにより、支持体10の電気的な容量を一般的な検査用プローブのそれよりも大きなものとしている。上に説明したように、例えば電子デバイスの検査に必要な電力は検査装置から検査用プローブ1を通じて供給されることになるが、この際、大きな電気容量を有する支持体10と電気的に接続された第二の接触部材22を使用することによって、また、そのような支持体10を介して第二の接触部材22と第一の接触部材21が電気的に接続されていることによって、更に、そのような支持体10と電気的に接続された第一の接触部材21を使用することによって、検査装置と第二の接触部材22との間の電気的な接続、第二の接触部材22と第一の接触部材21との間の電気的な接続、及び、第一の接触部材21と電子デバイスとの間の電気的な接続がそれぞれ、より大きな電流路を通じて行われることとなり、この結果、ジュール熱を抑制しつつ、第一の接触部材21と第二の接触部材22の間に流れる電流量を増やし、検査に必要な電力を十分に供給することができる。
【0020】
電子デバイスとの接触を容易にするため、第一の接触部材21は、支持体10の第一の面11から突出させた状態で設けられているのが好ましく、同様に、検査装置との接触を容易にするため、第二の接触部材22は、支持体10の第二の面12から突出させた状態で設けられているのが好ましい。但し、必ずしも突出させた状態で設ける必要はなく、電子デバイス、又は、検査装置と電気的に接触させることができれば足り、例えば、電子デバイスまたは検査対象が出っ張りを有する場合には、それらに合わせて、第一の接触部材21又は第二の接触部材22を、支持体10の内部に引っ込めた状態で設けられていてもよい。
【0021】
本検査用プローブ1では、導電性材料で形成された支持体10を利用して、第一の接触部材21及び第二の接触部材22の少なくとも一方が複数設けられている。少なくとも一方を複数設けることにより、第二の接触部材22と第一の接触部材21との間の電気的な接続に加えて、検査装置と第二の接触部材22との間の電気的な接続、及び/又は、第一の接触部材21と電子デバイスとの電気的な接続をも、より大きな電流路とすることができる。尚、第一の接触部材21及び第二の接触部材22の少なくとも一方が複数設けられていれば足り、また、設ける数は限られない。例えば、図3に示した検査用プローブ1や図4に示した検査用プローブ1Aのように、第一の接触部材21及び第二の接触部材22をそれぞれ3つずつ設けてもよいし、図5に示した検査用プローブ1Bのように、第一の接触部材21及び第二の接触部材22をそれぞれ4つずつ設けてもよい。更に、図6に示した検査用プローブ1Cのように、第一の接触部材21を例えば3つとし、第二の接触部材22を例えば5つとし、第一の接触部材21の数と第二の接触部材22の数を変えてもよい。図6に示した検査用プローブ1Cのように、検査装置の設置側に設ける第二の接触部材22の数、即ち、例えば電子デバイスに電力を供給する際に大電流が流れやすい側に設ける第二の接触部材22の数を、電子デバイス側に設ける第一の接触部材21の数に比べて多く設定することによって、第二の接触部材22により形成される供給経路を第一の接触部材21によって形成されるそれより大きく設定して、電子デバイスに十分な電力を供給しつつ、ジュール熱の発生を効果的に抑制してもよい。
【0022】
図7に、図6に示した検査用プローブ1Cの概略断面図を示す。検査用プローブ1Cでは、計3つの第一の接触部材21については、全て同じ大きさ及び形状としているが、一方、計5つの第二の接触部材22については、二種類の接触部材を用いている。即ち、5つの第二の接触部材22の中、3つの第二の接触部材220Cについては、第一の接触部材21と同様に比較的大きなものとし、一方、これら第二の接触部材220Cの間に配置された2つの第二の接触部材221Cについては、比較的小さなものとしている。これらの異なる種類の接触部材を用いることにより、第一の面11と第二の面12の面積は同じ大きさとしつつ、且つ、第二の面12に設けた比較的大きな第二の接触部材220Cについては、第一の面11に設けた第一の接触部材21と電流路を同じ大きさとしつつ、第二の面12側に設ける第二の接触部材22の数を、第一の面11側に設ける第一の接触部材21の数よりも多く設定することを可能としている。
【0023】
第一の接触部材21及び第二の接触部材22はそれぞれ肩部21aを有し、この肩部21aを、支持体10に対応して設けたテーパー13aに引っかけることにより、支持体10の内部に保持されている。第一の接触部材21及び第二の接触部材22は、肩部21a等を利用して支持体10に完全に固定されてもよいが、検査装置又は電子デバイスとの接触を容易に且つ確実にするため、それらの一部又は全部を支持体10に対して弾性伸縮可能としてもよい。
【0024】
弾性伸縮可能とするため、図7の例では、第一の接触部材21及び第二の接触部材22とは別に弾性部材を設けている。例えば、第一の接触部材21と比較的大きな第二の接触部材220Cについては、コイルばね31を軸方向「α」に沿って設けることによって、それらの双方を弾性伸縮可能としている。コイルばね31は、支持体10に設けた貫通穴13を貫通した状態で配置され、コイルばね31の一端は第一の接触部材21に当接させ、他端は第二の接触部材220Cに当接させる。この結果、第一の接触部材21と第二の接触部材220Cの双方を、軸方向「α」において弾性伸縮可能とすることができる。一方、比較的小さな第二の接触部材221Cについては、支持体10に設けた有底の円筒空間14にコイルばね32を軸方向「α」に沿って設けている。コイルばね32の一端を円筒空間14の底部14aに当接させ、他端を第二の接触部材221Cに当接させて、第二の接触部材221Cのみを弾性伸縮可能としている。
【0025】
このように弾性部材を設ける代わりに、第一の接触部材それ自体又は第二の接触部材それ自体を弾性部材としてもよい。図8図9に、第二の弾性部材それ自体を、弾性部材とした例を示す。尚、図8図9において、図7と同様の部材には同じ参照番号を用いる、又は、同じ参照番号の後に「-1」を付している。図8の例は、弾性部材としてコイルばね34を用いたもの、一方、図9は、弾性部材として弾性を有する編組35を用いたものである。これらの図に示すように、第二の接触部材としてのコイルばね34や編組35を水平方向に配置することによって、それらの側面を支持体10や検査装置と接触させることができる。この結果、第二の接触部材と支持体10等との接触面積を増やすことにより電流路を増やして、ジュール熱の発生をより効果的に抑制することができる。
【0026】
図10に、絶縁機能又はキャパシタ機能を付加した検査用プローブの概念図を示す。絶縁機能又はキャパシタ機能を付加するため、第一の接触部材210と第一の接触部材211の間に、且つ、第二の接触部材220と第二の接触部材221の間に、それらを互いに分離する付加的な層2を設けている。付加的な層2は、例えば、絶縁層であってもよいし、また、キャパシタ層であってもよい。いずれの層にも、図10に示す構造を採用することができる。絶縁層(2)を付加した場合、第一の接触部材210及び第二の接触部材220と、第一の接触部材211及び第二の接触部材221のそれぞれに、別々の機能を持たせることができる。例えば、前者の接触部材210、220を信号用端子として、後者の接触部材220、221をグランド端子として、それぞれ用いることができる。また、キャパシタ層(2)を付加した場合、この付加的な層2を、信号ノイズを低減させるために使用することができる。例えば、電子部品の検査の妨げとなるノイズをグランド回路に逃がすために使用することができる。
【0027】
尚、図10に示した例では、第一の接触部材210及び第二の接触部材220を2つずつ、また、第一の接触部材211及び第二の接触部材221を1つずつ設けているが、付加的な層によって隔てた一方の側及び他方の側にそれぞれ、少なくとも1つの第一の接触部材及び第二の接触部材が設けられていれば足り、それらの数は制限されない。例えば、付加的な層の一方の側において、第一の接触部材210と第二の接触部材220の数を異なるものとしてもよいし、同様に、付加的な層の他方の側において、第一の接触部材211と第二の接触部材221の数を異なるものとしてもよい。
【0028】
図11に、絶縁層(2)を付加した検査用プローブの支持体100をより具体的に示す。支持体100は、互いに組み合わせることができる本体部101と片部102の2部分から成る。これらは、絶縁材料(図示していない)によりそれらの外周を覆う等することによって互いに組み合わされた状態を維持する。図11の(a)は、組み合わせ前の本体部101と片部102それぞれの斜視図を、一方、図11の(b)は、組み合わせ後の本体部101と片部102の断面図を、それぞれ示す。図11の(b)は更に、支持体100の内部にキャパシタ部品4を配した状態を示している。
【0029】
本体部101では、3つの検査用プローブ要素が、支持体10の第一の面110及び第二の面120において、それらを互いに直交させた状態で配列されている。一方、片部102では、支持体10の第一の面110及び第二の面120に、1つの検査用プローブ要素のみが設けられている。本体部101及び片部102を構成するこれらの検査用プローブ要素にはそれぞれ、一組の第一の接触部材21及び第二の接触部材22を設置することができる貫通穴104が1つずつ設けられている。互いに組み合わされたとき、本体部101と片部102は、図5に示した検査用プローブ1Bのそれに類似する形状を成す。更に言えば、第一の面110及び第二の面120において、4つの検査用プローブ要素を矩形状に連結させた形状を成す。但し、キャパシタを形成するため、本体部101と片部102が互いに組み合わされたときでも、本体部101と片部102が電気的に直接接触することはなく、例えば、本体部101の一つの面101aと片部102の一つの面102aの間に隙間を形成した状態で、且つ、それらを対面させた状態で、配置されるだけである。
キャパシタを形成するため、本体部101には、コンデンサ等のキャパシタ部品4が収容される収容空間103を設けている。一方、片部102には、本体部101と組み合わされたときに収容空間103の上部を塞ぐ蓋102bを設けている。キャパシタ部品4が、収容空間103の載置部103aに載置され、蓋102bによって上部が塞がれたとき、キャパシタ部品4は、収容空間103に収容されるとともに、本体部101と蓋102bの双方と接触し、本体部101と片部102を容量結合する。
【0030】
図12に、図11に示した支持体の変形例200を示す。支持体200の基本構造は、図11に示した支持体100と同じである。図11と同様の構成部材には、図11と同じ参照番号を付している。図12の変形例では、本体部201と片部202が協働して収容空間203が形成されている。キャパシタ部品4は、この収容空間203に、本体部201の載置部203aと、片部202の載置部202aの双方を跨いで配置され、これらを容量結合している。
【0031】
図13に、図1図2に示した検査用ソケット5における検査用プローブの配列方法の一例を平面図で示す。検査用ソケット5には、上に説明した様々なタイプの検査用プローブ1乃至1C、100、200を 検査用プローブ1の第一の面11及び/又は第二の面12にて、互いに並列に及び/又は互いに補完的に組み合わせた状態で配列することができる。例えば、図3に示した、3つの検査用プローブ要素を一列に連結させた検査用プローブ1を組み込むこともできるし、図4に示した、3つの検査用プローブ要素を互いに直交させた検査用プローブ1Aを組み込むこともできるし、図5に示した、4つの検査用プローブ要素を矩形状に連結させ検査用プローブ1Bを組み込むこともできるし、図6に示した、第一の接触部材21と第二の接触部材22の数に差を設けた検査用プローブ1Cを組み込むこともできる。これら様々な検査用プローブを適宜組み合わせて、所望の配列パターンを形成することができる。尚、各検査用プローブに含まれる検査用プローブ要素はそれぞれ、従来の一般的な検査用プローブに相当するものであるから、本検査用プローブ1乃至1C、100、20は、一回の組み込み作業で、従来の一般的な検査用プローブを実質的に複数個組み込むことができ、この結果、検査用ソケットの製造を簡略化し、また、製造コストを下げるといった効果が期待できる。尚、これらの検査用プローブを検査用ソケットに組み込んだ際に検査用プローブ同士が電気的に接続されてしまうことを防ぐため、各検査用プローブを構成する支持体10の外周を樹脂等の絶縁部材(図示していない)で覆ってもよい。
【0032】
図14に、更に、クロストークの低減を図ることができる、検査用ソケット5における検査用プローブの配列方法の一例を平面図で示す。この図は、図13における一部を拡大した図と考えてよい。図14の(a)では、複数の検査用プローブ1(1C)が、また、図14の(b)では、複数の検査用プローブ1Aが、従来の一般的な検査用プローブ6、更に言えば、本検査用プローブと異なり、1つの検査用プローブ要素から成る検査用プローブ6の周囲を四方から取り囲むように配置されている。このような配置とすることにより、従来の一般的な検査用プローブ6同士を、大容量を有する本検査用プローブ1(1C)等によって分離することができるため、それらの間のクロストークを効果的に低減することができる。この場合、本検査用プローブ1(1C)については、それ自身が大容量を有するため、自身によってクロストークの低減を図ることができる。更に、図15の(a)及び(b)に示すように、本検査用プローブの変形例、即ち、5つの検査用プローブ要素を断面方向にて略C字状に連結した検査用プローブ1D、又は、略S字状に連結した検査用プローブ1Eを、従来の一般的な検査用プローブ6の周囲を取り囲むように配置してもよい。その他、図示しない配列方法が容易に思いつくことは明らかであろう。これらの配列方法も勿論、本発明の概念に含まれる。
【0033】
本発明に関連する分野の当業者であれば、上記の説明で示された教示の助けを借りれば、本発明の多くの修正形態または他の実施形態を思いつくであろうし、当業者には、本発明の範囲または趣旨から逸脱することなく、本発明の変形および修正を行うことができることは明らかであろう。したがって、本発明は、開示されている特有の実施形態に限定されず、修正形態およびその他の実施形態は、添付の特許請求の範囲内に含まれるよう意図されているものと理解されたい。
【符号の説明】
【0034】
1 検査用プローブ
2 付加的な層(絶縁層、キャパシタ層)
4 キャパシタ部品
5 検査用ソケット
10 支持体
11 第一の面
12 第二の面
13 貫通口
13a テーパー
14 円筒空間
21 第一の接触部材
22 第二の接触部材
31 コイルばね
32 コイルばね
40 絶縁部材
51 基体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15