(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161658
(43)【公開日】2023-11-08
(54)【発明の名称】廃棄物処理用ボックス
(51)【国際特許分類】
B65F 1/00 20060101AFI20231031BHJP
B65F 1/06 20060101ALI20231031BHJP
B65F 1/14 20060101ALI20231031BHJP
B65F 1/16 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
B65F1/00 D
B65F1/06
B65F1/14 Z
B65F1/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022072128
(22)【出願日】2022-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】505378563
【氏名又は名称】まいにち株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086346
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 武信
(72)【発明者】
【氏名】勘米良 和則
【テーマコード(参考)】
3E023
【Fターム(参考)】
3E023AA09
3E023GA01
3E023GB02
3E023GC01
3E023MA01
(57)【要約】
【課題】排便その他の廃棄物を回収して適正に処理することに用いることができる廃棄物処理用ボックス、特に避難所などで生ずる可能性がある水濡れに対しても強度を保つことに有利な廃棄物処理用ボックスの提供を図る。
【解決手段】側壁部10と底部20とを備えた組み立て式の廃棄物処理用ボックスであり、さらに蓋40を備える。側壁部10の底辺から底折り目線25を介して複数の底面部が延設されている。各底面部は、互いに係合する噛み合わせ部を備える。組み立て状態において、噛み合わせ部が側壁部10の底辺よりも高い位置で係合していることにより、底面部が側壁部10に対して鋭角に傾斜している。設置状態において、底折り目線25が接地して、底面部全体は接地しない。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の側面部が折り目線を介して連設された側壁部と、前記側壁部の底に設けられた底部とを備えた組み立て式の廃棄物処理用ボックスにおいて、
前記側壁部の底辺から底折り目線を介して延設された複数の底面部を備え、
それぞれの前記底面部は、互いに係合する噛み合わせ部を備え、
組み立て状態において、前記噛み合わせ部が前記側壁部の底辺よりも高い位置で係合していることにより、前記底面部が前記側壁部に対して鋭角に傾斜し、
設置状態において、前記底折り目線が接地して、前記底面部全体が接地しないように構成された廃棄物処理用ボックス。
【請求項2】
前記側壁部が4つの前記側面部を備えた四角柱を構成し、
前記噛み合わせ部が前記底面部の先端側に形成されて地獄底を構成していることを特徴とする請求項1に記載の廃棄物処理用ボックス。
【請求項3】
前記底面部の上に内底シートが載置されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の廃棄物処理用ボックス。
【請求項4】
前記側壁部の上に配置された蓋を備え、
前記蓋は、投入部を有する天板と、前記天板から垂下された蓋側部とを備え、
前記天板は、廃棄物を投入するための投入部を備え、
前記側壁部は持ち運び用の指挿入部を備え、
前記側壁部の外側に前記蓋を装着した状態で、前記蓋側部の下端と前記指挿入部の上端とが一致するように構成されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の廃棄物処理用ボックス。
【請求項5】
前記側壁部と前記底部は、外側に撥水加工が施されたダンボール紙製であり、
前記側壁部は、内部に配置される合成樹脂製袋を止めるための袋止め部をその上部に備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の廃棄物処理用ボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄物処理用ボックス、特に災害などの緊急時における簡易トイレに溜まる排泄物の廃棄処理に好適に用いることができる廃棄物処理用ボックスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
断水などによって水洗トイレが使用できない場合、特許文献1のような簡易トイレが用いられる。この種の簡易トイレでは、排便を合成樹脂製の廃棄袋の中に行い、凝固剤を投入して固化させた上で、廃棄袋と共に廃棄される。災害時の避難所にあってもこの種の簡易トイレは利用され、備蓄されている。この凝固剤が投入された排便などの廃棄を適正に行うことが衛生上や環境上の観点から求められるものであるが、有効で現実的な解決手段が示されていないのが現状である。
【0003】
一方、一般的なダンボール紙製などの組み立て可能な廃棄物処分用の箱としては、特許文献2、3に示すものが知られているが、何れも底面の全体を接地させた状態で使用するものであった。そのため、防水処理を施しておいたり合成樹脂製袋を装着しておいたりしても、床などの接地面からの水濡れが生じた場合にはダンボール紙の強度が落ちやすく座屈なども生じやすいものとなっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6218907号公報
【特許文献2】特開2010-132450号公報
【特許文献3】登録実用新案第3108769号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、排便その他の廃棄物を回収して適正に処理することに用いることができる廃棄物処理用ボックスの提供を課題とする。
また本発明は、被災地の避難所などで生ずる可能性がある水濡れに対しても強度を保つことに有利な廃棄物処理用ボックスの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、複数の側面部が折り目線を介して連設された側壁部と、前記側壁部の底に設けられた底部とを備えた組み立て式の廃棄物処理用ボックスにおいて、次の手段を備えたものを提供する。
前記側壁部の底辺から底折り目線を介して延設された複数の底面部を備える。それぞれの前記底面部は、互いに係合する噛み合わせ部を備え、
組み立て状態において、前記噛み合わせ部が前記側壁部の底辺よりも高い位置で係合していることにより、前記底面部が前記側壁部に対して鋭角に傾斜する。よって、設置状態において、前記底折り目線が接地して、前記底面部全体が接地しない。
【0007】
本発明の実施に際しては、前記側壁部が4つの前記側面部を備えた四角柱を構成し、前記噛み合わせ部が前記底面部の先端側に形成されて地獄底を構成しているものとして実施することができる。
【0008】
また本発明の実施に際しては、前記底面部の上に内底シートが載置されたものとして実施することができる。これによって、廃棄物の荷重を内底シートの全体に分散し、底面部の一部に集中して荷重が加わることを抑制することができる。
【0009】
さらにまた本発明の実施に際しては、前記側壁部の上に蓋が被せられており、前記蓋は、投入部を有する天板と、前記天板から垂下された蓋側部とを備え、前記側壁部は持ち運び用の指挿入部を備え、前記側壁部の外側に前記蓋を装着した状態で、前記蓋側部の下端と前記指挿入部の上端とが一致するように構成して実施することによって、ボックスを楽に持ち上げて運ぶことができる。
【0010】
また、前記側壁部と前記底部は、外側に撥水加工が施されたダンボール紙製であり、前記側壁部は、内部に配置される合成樹脂製袋を止めるための袋止め部をその上部に備えたものとして実施することによって、防水性をさらに強化することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、排便その他の廃棄物を回収して適正に処理することに用いることができる廃棄物処理用ボックスを提供することができたのである。
本発明は、被災地の避難所などで生ずる可能性がある水濡れに対しても強度を保つことに有利な廃棄物処理用ボックスを提供することができたのである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施の形態に係る廃棄物処理用ボックスの斜視図。
【
図3】同廃棄物処理用ボックスの底部をボックス内から見た斜視図。
【
図4】同廃棄物処理用ボックスの本体に合成樹脂製袋を装着した状態の上端付近の観図。
【
図5】(A)同廃棄物処理用ボックスの本体の展開図、(B)廃棄物処理用ボックスの内底シートの展開図。
【
図6】本発明の実施の形態に係る廃棄物処理用ボックスの蓋の展開図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する
【0014】
(概要)
図1~
図6に示す実施の形態にかかる廃棄物処理用ボックスは、ダンボール紙製の側壁部10と底部20を備えた本体と、本体内に配置されるダンボール紙製の内底シート30と、本体に被せられるダンボール紙製の蓋40とを備える。
さらに本体内部には合成樹脂製の袋50が装着されて用いられる。
この廃棄物処理用ボックスは床などの適宜の設置面上に置かれて用いられるもので、固化させた排便を封入した合成樹脂製の廃棄袋が蓋40の投入部42から適宜投入され、廃棄物処理用ボックスごと適正廃棄処分場に運搬されて廃棄される
【0015】
(本体の側壁部10について)
本体は
図1、
図2、
図3、
図5(A)に示すように、側壁部10と底部20を備える。この本体は、外側に撥水加工が施されたダンボール紙製であり、その段目は縦方向に伸びるものである。本体の全体は略直方体状をなしており、
図5(A)に示すように、左右横幅の大きな2つの長方形状の側面部11(L)と横幅の比較的小さな2つの側面部11(S)との合計4つの長方形状の側面部11が、折り目線を介して連設されている。さらに左方端の側面部11には折り目線を介して糊代部14が連設されており、糊代部14は右方端の側面部11に糊付けされる。なお、展開図(
図5、
図6)では折り目線を点線で示している。
【0016】
それぞれの側面部11には、運搬の際に指を差し入れる指挿入部15が形成されている。この例では、指挿入部15は、上端辺が繋がった状態で実施されており、左右両側の切り目と下側の切り目とを、ボックスの内側に押し込んで、指が挿入される開口が形成される。
組立状態で対向する2つの側面部11(L)には、指挿入部15より少し上に袋止め部16が形成されている。この袋止め部16は
図3に示すように、内部に装着された合成樹脂製の袋50の端を折り返して挿入してクリップのように止めるようにしたものであって、略U字状のクリップとして実施されている。
【0017】
(本体の底部20について)
本体の底部20は、
図2、
図3、
図5(A)に示すように、第1底面部21(A)、第2底面部21(B)及び第3底面部21(C)の4つの底面部が組み合わせられることにより形成される。横幅の比較的大きい側面部11(L)からは底折り目線25を介して第1底面部21(A)と第2底面部21(B)が延設され、横幅の比較的小さな側面部11(S)からは、底折り目線25を介して第3底面部21(C)がそれぞれ延設されている。
【0018】
それぞれの底面部21の先端には噛み合わせ部27、28、29が形成されている。詳しくは第1底面部21(A)の先端には第1噛み合わせ部27が形成され、第2底面部21(B)の先端には第2噛み合わせ部28が形成され、第3底面部21(C)の先端には第3噛み合わせ部29が形成されている。これらの噛み噛み合わせ部27、28、29は、互いに係合してそれ以上は下へは下がらない地獄底を構成する。
【0019】
具体的には、それぞれの底面部21を底折り目線25から内側に折り曲げて、側面部11の内側に沿わせるように一旦上方へ回動させた後、順次下方へ回動させる。
まず第1底面部21(A)が、下方へ回動させられる。この第1底面部21(A)の第1噛み合わせ部27は、第1底面部21(A)の先端中央に設けられた凹部として実施されている。
次に、第1底面部21(A)が途中まで回動させられた段階で、第2底面部21(B)が下方へ回動させられる。この第2底面部21(B)は全体が先細りのほぼ二等辺三角形状をなしており、第2噛み合わせ部28は、第2底面部21(B)の先端中央に設けられた差し込み片として実施されている。この第2噛み合わせ部28は第1噛み合わせ部27の凹部とほぼ同じ幅を備えており、最終的には第2噛み合わせ部28の先端側が、第1噛み合わせ部27から第1底面部21(A)の上に乗り上げるようにして係合する。
次に、第1噛み合わせ部27と第2噛み合わせ部28とが途中まで係合させられた段階で、2つの第3底面部21(C)が下方へ回動させられる。この第3底面部21(C)は全体が先細りのほぼ直角三角形状をなしており、第3噛み合わせ部29は、第3底面部21(C)の一方に偏った先端に設けられた差し込み片として実施されている。この第3噛み合わせ部29は第2底面部21(B)の上に乗り上げるようになり、最終的には第1底面部21(A)の第1噛み合わせ部27の左右両側の先端部が、第3底面部21(C)の上に乗り上げるようになって、第3噛み合わせ部29が第1噛み合わせ部27の左右両側の第1底面部21(A)の先端の下に入り込むようにして係合する。
【0020】
この係合状態においては、
図5(A)に「●」で示した各噛み合わせ部27、28、29の角部分の係合点が、互いに合致して噛み合わされた地獄底となる。
この地獄底の構造自体は従来の紙箱に採用されている構造ではあるが、この実施の形態では、それぞれの底面部21は、係合点が噛み合った状態において、係合点を含む各噛み噛み合わせ部27、28、29が側壁部10の底折り目線25よりも高い位置で係合していることにより、底面部21が側面部11に対して鋭角に傾斜した状態で固定される。言い換えれば従来の地獄底では、展開状態における一方の側面部11(L)の底折り目線25と第1底面部21(A)の係合点との間の距離a1と、他方の側面部11(L)の底折り目線25と第2底面部21(B)の係合点との間の距離a2との和が、隣り合う側面部11(S)の底辺である底折り目線25の長さbと略等しくなっていた。
a1+a2=b
これに対して、この実施の形態の地獄底では、展開状態における一方の側面部11(L)の底折り目線25と第1底面部21(A)の係合点との間の距離a1と、他方の側面部11(L)の底折り目線25と第2底面部21(B)の係合点との間の距離a2との和が、隣り合う側面部11(S)の底折り目線25の長さbよりも長くなっている。
a1+a2>b
【0021】
これにより、上記の傾斜した状態が保たれる。
その結果、廃棄物処理用ボックスを床などの接地面に立てて置いた設置状態において、底折り目線25が接地して、底面部21全体が接地しないものとなる。しかも、一般にダンボール紙は切断面から水の侵入が特に激しいものであるが、この実施の形態の底折り目線25は表面に撥水加工が施されたダンボール紙の折り目であるため、水の侵入が抑制される構造となっている。
なお、地獄底の実施の形態は、他の構造で実施しても構わないが、底面部の噛み噛み合わせ部が側壁部10の底折り目線25よりも高い位置で係合しているものとして実施することが適当である
【0022】
(内底シート30について)
廃棄物を貯めておくための内部の底を平坦にして、その荷重を分散させるために、内底シート30を底面部21の上に配置することも望ましい。この実施の形態に係る内底シート30は、
図5(B)に示すように、本体の内法の大きさとほぼ同じ大きさの内底面部31と、内底面部31の対向する2辺から折り目線を介して垂下された内底側面部32とを備えている。内底面部31が底面部21の上に接するように置かれた状態で、内底側面部32の下端は底折り目線25に達する状態になるため、安定した設置状態が保たれる。なお、内底側面部32は他の2辺にも設けても構わない。
【0023】
(蓋40について)
蓋40は、
図1、
図6に示すように、投入部42を備えた天板41と、天板41の4辺から折り目線を介して垂下された蓋側部とを備えているもので、本体の開口した上端に被せられるものである。この実施の形態では、合成樹脂製の袋50の上端を外側に折り返して袋止め部16に係止した
図4の状態のボックス本体の外側に、
図1に示すように蓋40を被せるものである。
蓋側部は様々な形態で実施することができるものであるが、この実施の形態では、蓋内側面部44と蓋外側面部45とで二重になっているもので、蓋内側面部44と蓋外側面部45とは2本の折り目線が折り曲げられることにより厚みのある蓋側部を構成している。
図6に示すように、前後それぞれの蓋内側面部44と蓋外側面部45の左右両側辺からは折り目線を介して差し込みフラップが延設されており、左右それぞれの蓋内側面部44と蓋外側面部45の間に挿入されることにより前後左右の蓋側部が結合される。
【0024】
蓋側部の上下長さは、側面部11の上端から指挿入部15の上端辺までの距離とほぼ等しい長さとされている。これによって本体の側壁部10の外側に内底シート30を装着した状態で、内底側面部32の下端と指挿入部15の上端とが一致し、運搬に際して手指を挿入して持ち上げる際に、荷重が分散されて指触りが良く楽に持ち上げることができる。
なお、廃棄物処理用ボックスの大きさは様々に変更して実施することができるが、満杯状態で重労働を強いることなく運搬できる程度の大きさとすることが望ましい。
【符号の説明】
【0025】
10 側壁部
11 側面部
11(L) 側面部
11(S) 側面部
14 糊代部
15 指挿入部
16 袋止め部
20 底部
21(A) 第1底面部
22(B) 第2底面部
23(C) 第3底面部
25 底折り目線
27 第1合わせ部
28 第2合わせ部
29 第3合わせ部
30 内底シート
31 内底面部
32 内底側面部
40 蓋
41 天板
42 投入部
44 蓋内側面部
45 蓋外側面部
50 合成樹脂製の袋