(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161690
(43)【公開日】2023-11-08
(54)【発明の名称】蓋体、及び蓋付き容器
(51)【国際特許分類】
B65D 47/06 20060101AFI20231031BHJP
C08J 5/00 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
B65D47/06 ZAB
C08J5/00 CES
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022072169
(22)【出願日】2022-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100169063
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100226023
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 崇仁
(72)【発明者】
【氏名】岡澤 博
【テーマコード(参考)】
3E084
4F071
【Fターム(参考)】
3E084AA04
3E084AA12
3E084AA24
3E084AA32
3E084AA39
3E084AB01
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3E084CC04
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3E084KB01
3E084LB02
3E084LB07
3E084LD01
4F071AA18
4F071AA19
4F071AA82
4F071AF20Y
4F071AH05
4F071BC07
(57)【要約】
【課題】
より小さい力で口部に取り付けることが可能な蓋体を提供することを目的とする。
【解決手段】
樹脂製の蓋体であって、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂と、低密度ポリエチレン樹脂とを含み、蓋体に含まれる樹脂の総量に対して低密度ポリエチレン樹脂の含有量が5質量%以上である、蓋体。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂製の蓋体であって、
直鎖状低密度ポリエチレン樹脂と、低密度ポリエチレン樹脂とを含み、
前記蓋体に含まれる樹脂の総量に対して低密度ポリエチレン樹脂の含有量が5質量%以上である、蓋体。
【請求項2】
前記蓋体に含まれる樹脂の総量に対して低密度ポリエチレン樹脂の含有量が30質量%以上である、請求項1に記載の蓋体。
【請求項3】
前記蓋体に含まれる樹脂の総量に対する直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の含有量が5~30質量%である、請求項1又は2に記載の蓋体。
【請求項4】
前記低密度ポリエチレン樹脂の曲げ弾性率が500MPa以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載の蓋体。
【請求項5】
バイオマス由来のポリエチレン樹脂を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の蓋体。
【請求項6】
外蓋と螺合可能な雄ネジ部を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の蓋体。
【請求項7】
樹脂製の容器と、当該容器の口部に取り付けられた蓋体とを有し、
前記蓋体が、請求項1~6のいずれか一項に記載の蓋体である、蓋付き容器。
【請求項8】
前記樹脂製の容器が、ポリエチレンテレフタレート樹脂を含む、請求項7に記載の蓋付き容器。
【請求項9】
前記ポリエチレンテレフタレート樹脂が、バイオマス由来のポリエチレンテレフタレート樹脂を含む、請求項8に記載の蓋付き容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓋体、及び蓋付き容器に関する。
【背景技術】
【0002】
液体又は液状の内容物を収容する容器の口部に取り付けるキャップ(蓋体)としてポリエチレン樹脂を含むキャップが広く使用されている(例えば、特許文献1)。ポリエチレン樹脂としては、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)がベース樹脂として幅広く用いられ、その一部を高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)等の他のポリエチレン樹脂で置き換えたものなども知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の樹脂製の蓋体は硬いため、口部に取り付ける際に大きな力が必要となり、取り付けにくい場合がある。また、取り付けた場合に、例えば、打栓式キャップでは口部に斜めに嵌って浮きを生じたり、スクリュー式キャップでは螺子同士が適切に螺合せずに取り付けられてしまうことがあり、製品の歩留まりに問題を生じうる。
【0005】
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、より小さい力で口部に取り付けることが可能な蓋体、及びそのような蓋体を有する蓋付き容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の蓋体は、樹脂製の蓋体であって、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂と、低密度ポリエチレン樹脂とを含み、前記蓋体に含まれる樹脂の総量に対して低密度ポリエチレン樹脂の含有量が5質量%以上である。
【0007】
蓋体に含まれる樹脂の総量に対して低密度ポリエチレン樹脂の含有量が30質量%以上であってよい。
【0008】
蓋体に含まれる樹脂の総量に対する直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の含有量が5~80質量%であってよい。
【0009】
上記低密度ポリエチレン樹脂の曲げ弾性率が500MPa以下であってよい。
【0010】
上記低密度ポリエチレン樹脂がバイオマス由来のポリエチレン樹脂であってよい。
【0011】
上記蓋体は、外蓋と螺合可能な雄ネジ部を有していてよい。
【0012】
本発明の蓋付き容器は、樹脂製の容器と、当該容器の口部に取り付けられた上記蓋体とを有する。
【0013】
上記樹脂製の容器が、ポリエチレンテレフタレート樹脂を含んでいてよい。
【0014】
上記ポリエチレンテレフタレート樹脂が、バイオマス由来のポリエチレンテレフタレート樹脂を含んでいてよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、より小さい力で口部に取り付けることが可能な蓋体、及びそのような蓋体を有する蓋付き容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態に係る打栓式キャップの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の一実施形態に係る蓋体は、樹脂製の蓋体であって、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂と、低密度ポリエチレン樹脂とを含み、前記蓋体に含まれる樹脂の総量に対して低密度ポリエチレン樹脂の含有量が5質量%以上である。従来、蓋体の材質としては、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、及び高密度ポリエチレン樹脂が知られているが、高密度ポリエチレンを添加すると蓋体が硬くなり、容器の口部に取り付けにくくなり、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂のみを含む蓋体であっても蓋体の柔軟性が不十分である。本実施形態の蓋体によれば、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂に加えて5質量%以上の低密度ポリエチレン樹脂を含むため、蓋体の柔軟性を改善でき、より小さい力で口部に取り付けることができる。蓋体の柔軟性が低い場合、蓋体が不適切な角度又は嵌合の途中で引っ掛かる等により蓋体が容器の口部に対して浮いた状態で完全には嵌合されていない、いわゆる浮きという状態が発生しやすい。浮きが生じた場合、輸送中、使用中などに蓋体が外れやすく、また口部と蓋体との間に隙間を生じている場合に内容物が漏れる虞もある。一方、本実施形態の蓋体は、柔軟性が高いため、不適切な角度又は引っ掛かりを生じた場合でも蓋体が適切に変形し、正常な嵌合状態に達することができる。
【0018】
蓋体に含まれる樹脂の総量に対して低密度ポリエチレン樹脂の含有量が10質量%以上、15質量%以上、20質量%以上、30質量%以上、40質量%以上、50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上、75質量%以上、又は80質量%以上であってよい。また、蓋体に含まれる樹脂の総量に対して低密度ポリエチレン樹脂の含有量は、95質量%以下、93質量%以下、90質量%以下、88質量%以下、又は85質量%以下であってもよい。また、蓋体に含まれる樹脂の総量に対して低密度ポリエチレン樹脂の含有量が5~95質量%、40~95質量%、50~90質量%であってよい。
【0019】
本明細書において、低密度ポリエチレン樹脂とは、JIS K6748:1995において定義される密度が0.910~0.930g/cm3以上のポリエチレン樹脂を意味する。低密度ポリエチレン樹脂は、エチレンの単独重合体及びエチレンとオレフィン化合物との共重合体のいずれであってもよい。また、低密度ポリエチレン樹脂に含まれるポリエチレン分子は、分岐構造を有していてもよい。低密度ポリエチレン樹脂の密度は、0.912~0.925g/cm3であってよく、0.915~0.921g/cm3であってよく、0.916~0.920g/cm3であってよい。低密度ポリエチレン樹脂の密度は、ASTM D 1505若しくはJIS K6922-1若しくは2の方法又はそれに準拠した方法により測定することができる。
【0020】
上記オレフィン化合物としては、例えば、1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン等のα-オレフィンなどが挙げられる。低密度ポリエチレン樹脂におけるオレフィン化合物に由来する構造単位の含有量は、15質量%以下であってよく、10質量%以下であってよく、1~8質量%であってよい。
【0021】
190℃、2.16kgにおける低密度ポリエチレン樹脂のメルトフローレート(MFR)は、2~50g/10minであってよく、3~45g/10minであってよく、4~40g/10minであってよく、5~35g/10minであってよい。低密度ポリエチレン樹脂のMFRは、ASTM D1238若しくはJIS K6922-1の方法又はそれに準拠した方法により測定することができる。樹脂のMFRは、樹脂の硬さに相関があり、上記範囲とすることにより、得られる樹脂組成物の硬さを適切に調整することができる。
【0022】
低密度ポリエチレン樹脂の破断伸びは、25μm厚の押出成形されたフィルムについて、押出機の機械方向について、150~600%であってよく、200~550%であってよく、250~500%であってよく、300~450%であってよい。また、低密度ポリエチレン樹脂の破断伸びは、25μm厚の押出成形されたフィルムについて、押出機の機械方向に垂直な方向について、500~1100%であってよく、600~1050%であってよく、700~1000%であってよく、800~950%であってよく、830~930%であってよい。
【0023】
低密度ポリエチレン樹脂の引張破断強度は、25μm厚の押出成形されたフィルムについて、押出機の機械方向について、10~40MPaであってよく、15~35MPaであってよく、20~30MPaであってよい。また、低密度ポリエチレン樹脂の引張破断強度は、25μm厚の押出成形されたフィルムについて、押出機の機械方向に垂直な方向について、5~35MPaであってよく、10~30MPaであってよく、15~25MPaであってよい。
【0024】
低密度ポリエチレン樹脂の破断伸び及び引張破断強度は、ASTM D882の方法又はそれに準拠した方法により測定することができる。破断伸び及び引張破断強度の測定に使用する25μm厚のフィルムは、例えば、75mm押出機から、2:1のブローアップ比、1mmのダイギャップ、及び1.75kg/h・cmのダイレートで得られたものであってよい。
【0025】
また、低密度ポリエチレン樹脂の破断伸びは、圧縮成形体(ASTM D4703によるa)2mm×b)3mm×c)6mmのプラークであってよい。)について、ASTM D638の方法又はそれに準拠した方法により測定した場合に、150~600%であってよく、200~550%であってよく、250~500%であってよく、300~450%であってよい。また、低密度ポリエチレン樹脂の引張破断強度は、上記圧縮成形体について、ASTM D638の方法又はそれに準拠した方法により測定した場合に、1~20MPaであってよく、3~15MPaであってよく、5~12MPaであってよい。また、低密度ポリエチレン樹脂の引張降伏強度は、上記圧縮成形体について、ASTM D638の方法又はそれに準拠した方法により測定した場合に、1~20MPaであってよく、3~15MPaであってよく、5~12MPaであってよい。破断伸び、引張破断強度又は降伏強度は、上記圧縮成形体のa)方向について測定したものであってよい。
【0026】
低密度ポリエチレン樹脂の曲げ弾性率は、500MPa以下、10~400MPa、30~350MPa、50~300MPa、又は100~250MPaであってよい。低密度ポリエチレン樹脂の曲げ弾性率は、JIS K 6922-2又はASTM D790の方法又はそれに準拠した方法により測定できる。
【0027】
直鎖状低密度ポリエチレン樹脂としては、特に制限はないが、密度が0.942未満の樹脂であってよい。直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の密度は、0.800~0.945g/cm3であってよく、0.820~0.940g/cm3であってよく、0.880~0.935g/cm3であってよく、0.900~0.930g/cm3であってよい。直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の密度は、ASTM D1505若しくはJIS K6922-1、2の方法又はそれに準拠した方法により測定することができる。
【0028】
直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の曲げ弾性率は、30~700MPa、50~550MPa、60~500MPa、又は65~450MPaであってよい。直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の曲げ弾性率は、JIS K 6922-2又はASTM D790の方法又はそれに準拠した方法により測定できる。
【0029】
190℃、2.16kgにおける直鎖状低密度ポリエチレン樹脂のMFRは、6g/10min以上であってよく、3g/10min以上であってよく、5~45g/10minであってよく、7~35g/10minであってよい。直鎖状低密度ポリエチレン樹脂のMFRは、ASTM D1238若しくはJIS K6922-2の方法又はそれに準拠した方法により測定することができる。
【0030】
直鎖状低密度ポリエチレン樹脂のビカット軟化温度は、125℃以下、60~125℃、63~120℃又は、65~115℃であってよい。直鎖状低密度ポリエチレン樹脂のビカット軟化温度は、ASTM D1525若しくはJIS K7206の方法又はそれに準拠した方法により測定することができる。
【0031】
市販の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂としては、LUMITAC(登録商標)43-1(東ソー株式会社製)、ノバテック(登録商標) LL UJ580(日本ポリエチレン株式会社製)、ノバテック(登録商標) LL UJ990(日本ポリエチレン株式会社製)、UL814(LOTTE CHEMICAL社製)等が挙げられる。
【0032】
本実施形態の蓋体は、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂を含むため、油などの内容物に対する耐ストレスクラッキング性が高い傾向にある。ここで、耐ストレスクラッキング性とは、プラスチックを長時間、一定の応力がかかる状態で内容物中に放置し、さらにこの状態で荷重をかけ、クラックや破壊される限界の応力のことを言う。
【0033】
蓋体に含まれる樹脂の総量に対する直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の含有量は30質量%以下であってよく、5~30質量%であってよく、10~25質量%であってよく、13~22質量%であってよい。蓋体が樹脂として直鎖状低密度ポリエチレン樹脂を含むことにより、蓋体に柔軟性を付与することができる。
【0034】
本実施形態の蓋体は、高密度ポリエチレン樹脂を含まなくてもよいが、少量であれば含んでいてもよい。なお、本明細書において、高密度ポリエチレン樹脂とは、JIS K6748:1995において定義される密度が0.942g/cm3以上のポリエチレン樹脂を意味する。蓋体に含まれる樹脂の総量に対する高密度ポリエチレン樹脂の含有量は、10質量%以下、5質量%以下、3質量%以下、1質量%以下、0.5質量%以下、又は0.1質量%以下であってよい。また、高密度ポリエチレン樹脂を含む場合、蓋体に含まれる樹脂の総量に対する高密度ポリエチレン樹脂の含有量は、0.01~10質量%であってよく、0.05~5質量%であってよい。
【0035】
蓋体に含まれるポリエチレン樹脂は、バイオマス由来のポリエチレン樹脂(バイオマスポリエチレン樹脂)を含んでいてもよい。バイオマス由来のポリエチレン樹脂は、高密度ポリエチレン樹脂、低密度ポリエチレン樹脂、及び直鎖状低密度ポリエチレン樹脂のいずれであってもよく、低密度ポリエチレン樹脂であってよい。ポリエチレン樹脂がバイオマス由来のポリエチレン樹脂を含む場合、化石燃料由来のポリエチレン樹脂の使用料が減少するため、環境負荷を低減することができる。
【0036】
バイオマスポリエチレン樹脂である高密度ポリエチレン樹脂としては、SHA7260(Braskem社製、バイオマスプラスチック度:94.5%、密度:0.955g/cm3、MFR:20g/10分)、SHC7260(Braskem社製、バイオマス度:94%、密度:0.959g/cm3、MFR:7.2g/10分)等が挙げられる。バイオマスポリエチレン樹脂である直鎖状低密度ポリエチレン樹脂としては、SLL318(Braskem社製、バイオマス度:87%、密度:0.918g/cm3、MFR:2.7g/10分)等が挙げられる。バイオマスポリエチレン樹脂である低密度ポリエチレン樹脂としては、SBC818(Braskem社製、バイオマス度:95%、密度:0.918g/cm3、MFR:8.3g/10分、曲げ弾性率:200MPa)、SPB608(Braskem社製、バイオマス度:95%、密度:0.915g/cm3、MFR:30.0g/10分、曲げ弾性率:150MPa)等が挙げられる。なお、樹脂のバイオマス度は、ASTM D6866の方法により測定することができる。低密度ポリエチレン樹脂がバイオマス由来のポリエチレン樹脂である場合、蓋体により柔軟性を与える傾向にある。また、バイオマス由来のポリエチレン樹脂が低密度ポリエチレン樹脂であるとバイオマス由来のポリエチレン樹脂を蓋体の柔軟性を向上させつつ、蓋体のバイオマス度を上げることができるため好ましい。
【0037】
蓋体に含まれる樹脂全体のバイオマス度は、10%以上であってよく、15%以上であってよく、20%以上であってよい。
【0038】
本実施形態の蓋体は、容器の口部に取り付けられるためのキャップである。容器の口部への取り付け方としては特に制限されず、打栓式(すなわち、打栓式キャップである)、スクリュー式等のいずれであってもよい。
【0039】
本実施形態の蓋体は、開口を有していてよい。開口は、ノズル等の注出口であってよい。蓋体は、容器の中栓であってもよい。容器としては、特に制限はないが、樹脂製の容器であってよい。容器の材質である樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂などが挙げられる。容器に収容される内容物としては、ドレッシング等の液状の調味料、飲料などが挙げられる。
【0040】
図1は、本実施形態の打栓式キャップ1の一例を示す斜視図である。打栓式キャップ1は、容器の口部に嵌合されるための嵌合部2を有する。嵌合部2は、打栓式キャップが打栓された際に容器の口部を閉塞する閉塞部2Aと、嵌合部2の側壁を構成し、打栓された際に容器の口部と当接するフランジ部2Bとを有する。閉塞部2A上には雄ネジ部3が設けられており、外蓋と螺合可能である。雄ネジ部3の上端中央には注出筒部4が設けられており、注出筒部4から容器の内容物を注出することが可能である。また、嵌合部は、容器の口部に係止するための詰めを有していてもよい。
【0041】
蓋体がスクリュー式の蓋体である場合、蓋体は、容器の口部に螺合するための雌ネジ部を有していてよい。このような蓋体としては、例えば、
図1の蓋体の嵌合部の内壁に雌ネジを形成したものが挙げられる。この場合、容器は、蓋体の雌ネジ部に対応する雄ネジ部を有していてよい。
【0042】
本実施形態の蓋体は、ヒンジキャップであってもよい。例えば、ヒンジキャップは、キャップ本体と、上蓋と、キャップ本体と上蓋を連結しているヒンジ部とを備えていてよい。ヒンジキャップがヒンジ部を有することにより、上蓋が開閉自在である。
【0043】
本実施形態の蓋体は、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂と、低密度ポリエチレン樹脂とを含む樹脂組成物から形成される。樹脂組成物は、樹脂として、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂と、低密度ポリエチレン樹脂以外のその他の樹脂を含んでいてもよい。その他の樹脂としては、例えば、高密度ポリエチレン樹脂等が挙げられる。蓋体の形成方法は、特に制限されないが、押出成形等が挙げられる。
【0044】
樹脂組成物は、必要に応じて、酸化防止剤、粘着付与剤、充填剤、着色剤、滑り材、各種フィラーなどの各種添加剤を配合してもよい。樹脂組成物に含まれる添加剤の含有量は、樹脂100質量部に対して15質量部以下であってよく、10質量部以下であってよく、5質量部以下であってよい。蓋体の開栓トルクを下げる目的の場合、樹脂組成物における滑り材の含有量は、5質量部以下であってよく、0.01~3質量部であってよく、0.05~2.5質量部であってよく、0.5~2.5質量部であってよい。滑り材は、シリコーンを含むと好ましく、樹脂と樹脂に充填されたシリコーンを含んでいてよい。
【0045】
樹脂組成物の曲げ弾性率は、500MPa以下、10~400MPa、30~350MPa、50~300MPa、又は100~250MPaであってよく、150~230MPaであってよい。樹脂組成物の曲げ弾性率は、JIS K 6922-2又はASTM D790の方法又はそれに準拠した方法により測定できる。
【0046】
本実施形態の蓋体を装着する容器としては、特に限定されないが、樹脂製、ガラス製等であってよく、樹脂製の容器であってよい。つまり、本実施形態の蓋付き容器は容器と、当該容器の口部に取り付けられた蓋体を有していてよい。容器に含まれる樹脂としては、樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂などのポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂などが挙げられる。樹脂は、機械強度などの点から、PETを含むことが好ましい。ポリエチレンテレフタレート樹脂は、バイオマス由来のポリエチレンテレフタレート樹脂であってよく、バイオマス由来のものと石油由来のものを併用してもよい。
PETとしては、化石燃料由来のPET、及び、植物由来のPETが挙げられる。これらはそれぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。PETが植物由来のPETを含む場合、ボトルの機械的強度の低下及び外観の劣化を抑制することができる。PETが植物由来のPETを含む場合、化石燃料由来のPETの使用量が減少するため、環境負荷を低減することができる。
【0047】
本実施形態の蓋付き容器は、更に容器の口部に装着された蓋体を覆う外蓋を有していてよい。外蓋は容器に装着されていてもよく、蓋体が雄ネジ部を有する場合、当該雄ネジ部と螺合可能な雌ネジ部により蓋体に螺合されていてもよい。外蓋は樹脂製であってよい。外蓋に含まれる樹脂としては、特に制限はないが、熱可塑性樹脂であってよく、ポリオレフィン樹脂であってよく、ポリプロピレン樹脂及びポリエチレン樹脂の少なくとも一方であってよく、ポリプロピレン樹脂及びポリエチレン樹脂の混合物であってもよい。ポリエチレン樹脂としては、バイオマス由来のポリエチレン樹脂であってよく、高密度ポリエチレン樹脂であってよい。
【符号の説明】
【0048】
1…打栓式キャップ、2…嵌合部、2A…閉塞部、2B…フランジ部、3…雄ネジ部、4…注出筒部。