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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161697
(43)【公開日】2023-11-08
(54)【発明の名称】電子時計
(51)【国際特許分類】
   G04C 3/14 20060101AFI20231031BHJP
【FI】
G04C3/14 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022072185
(22)【出願日】2022-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】秋山 利一
【テーマコード(参考)】
2F101
【Fターム(参考)】
2F101BA00
2F101BF00
2F101BG16
2F101BH00
(57)【要約】
【課題】モーターや電子時計の仕様に応じたモーターパルスをモータードライバーICに設定することができる電子時計を提供すること。
【解決手段】電子時計は、モーターと、モーターにより駆動される指針と、第1のモーター制御機能を有する第1のICと、第1のモーター制御機能とは異なる第2のモーター制御機能を有する第2のICと、を備え、第1のICは、モーターを制御するモーターパルスの形状に関する設定データを第2のICに出力し、第2のICは、モーターを制御するモーターパルスの形状に関する設定データに基づいてモーターを制御する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モーターと、
前記モーターにより駆動される指針と、
第1のモーター制御機能を有する第1のICと、
前記第1のモーター制御機能とは異なる第2のモーター制御機能を有する第2のICと、を備え、
前記第1のICは、前記モーターを制御するモーターパルスの形状に関する設定データを前記第2のICに出力し、
前記第2のICは、前記設定データに基づいて前記モーターを制御する、
電子時計。
【請求項2】
前記第2のICは、揮発性メモリーを有し、
前記設定データは、前記揮発性メモリーに記憶される、
請求項1に記載の電子時計。
【請求項3】
前記第1のICは、前記第2のICを制御する機能を有し、
前記第1のICは、前記第2のICによる前記指針の駆動が停止したときに、所定の条件に合致するか否かを判断し、前記所定の条件に合致しないと判断した場合に前記第2のICの電源をオフにし、前記所定の条件に合致すると判断した場合に所定時間が経過した後に前記第2のICの電源をオフにする、
請求項2に記載の電子時計。
【請求項4】
前記第2のICは、さらに、前記モーターを駆動する駆動回路を有し、
前記第1のICは、前記第2のICを制御する機能を有し、
前記第1のICは、前記第2のICによる前記指針の駆動が停止したときに、所定の条件に合致しているか否かを判断し、前記所定の条件に合致しないと判断した場合に前記駆動回路の電源および前記揮発性メモリーの電源をオフにし、前記所定の条件に合致すると判断した場合に前記駆動回路の電源をオフにし、所定時間が経過した後に前記揮発性メモリーの電源をオフにする、
請求項2に記載の電子時計。
【請求項5】
前記所定の条件は、前記第2のICによる前記指針の駆動が行われるときの動作モードが所定の動作モードであることである、
請求項3または請求項4に記載の電子時計。
【請求項6】
前記所定の動作モードは、手動時差設定動作を実施させる手動時差設定モードまたはクロノグラフ動作を実施させるクロノグラフモードを含む、
請求項5に記載の電子時計。
【請求項7】
前記所定の条件は、異常を検知したことである
請求項3または請求項4に記載の電子時計。
【請求項8】
前記第1のICと、前記第2のICと、は同じ前記モーターを制御する、
請求項1に記載の電子時計。
【請求項9】
前記第1のICは、定電圧制御で前記モーターを制御し、
前記第2のICは、定電流制御で前記モーターを制御する、
請求項1に記載の電子時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子時計に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、1つのモーターに対してそれぞれモーター制御機能が異なる第1制御回路と第2制御回路とが接続され、第1制御回路は、時、分、秒毎の時間間隔でモーターを制御し、第2制御回路は、時、分、秒よりも短い時間間隔でモーターを制御する電子時計が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-71393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術には改良の余地があった。詳細には、第1制御回路とは異なるモーター制御機能を追加する場合、第1制御回路とは別に第2制御回路としてモータードライバーICを設けることが考えられるが、このような構成とした場合、モータードライバーICにはモーターに応じたモーターパルスを設定する必要があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
電子時計は、モーターと、前記モーターにより駆動される指針と、第1のモーター制御機能を有する第1のICと、前記第1のモーター制御機能とは異なる第2のモーター制御機能を有する第2のICと、を備え、前記第1のICは、前記モーターを制御するモーターパルスの形状に関する設定データを前記第2のICに出力し、前記第2のICは、前記設定データに基づいて前記モーターを制御する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態1に係る電子時計の平面図。
図2】電子時計の機能ブロック図。
図3】秒針、分針、および時針を早送り運針するときの第1のICおよび第2のICの動作を説明するフローチャート。
図4】実施形態2に係る電子時計の秒針、分針、および時針を早送り運針するときの第1のICおよび第2のICの動作を説明するフローチャート。
図5】実施形態3に係る電子時計の秒針、分針、および時針を早送り運針するときの第1のICおよび第2のICの動作を説明するフローチャート。
図6】実施形態4に係る電子時計の秒針、分針、および時針を早送り運針するときの第1のICおよび第2のICの動作を説明するフローチャート。
図7】実施形態5に係る電子時計の平面図。
図8】電子時計の機能ブロック図。
図9】1/500秒CG針を運針するときの第1のICおよび第2のICの動作を説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0007】
次に、図面を参照して、本開示の実施形態を説明する。
【0008】
1.実施形態1
実施形態1に係る電子時計1について、図1図2、および図3を参照して説明する。
電子時計1は、地球の上空を所定の軌道で周回している複数のGPS(Global Positioning System)衛星や準天頂衛星などの位置情報衛星から送信される衛星信号の電波を受信して衛星時刻情報を取得し、時刻情報を修正できるように構成される。
【0009】
図1に示すように、電子時計1は、外装ケース10と、文字板11と、を有する。
外装ケース10には、図1には図示しないムーブメント、アンテナ、電池などが収容される。外装ケース10は、略円筒状であり、金属で形成される。
外装ケース10の表面側の開口には、リング状のベゼル13を介して開口を覆うカバーガラス15が取り付けられる。外装ケース10の裏面側の開口には、図示しない裏蓋が取り付けられる。
文字板11は、外装ケース10の内側で時刻を表示する略円形の板材である。文字板11は、樹脂などの非導電性部材にて円板状に形成される。文字板11の中心には、図示しない指針軸が配置される。この指針軸には、秒針21、分針22、時針23が同軸上かつ回動可能に取り付けられる。このようにして、文字板11とカバーガラス15との間に、秒針21、分針22、時針23が配置される。
文字板11の外周部には、リング状のダイヤルリング25が取り付けられる。ダイヤルリング25の内周側には、内周を60分割にする目盛が表記されている。電子時計1が時刻を表示するとき、この目盛を用いて、秒針21は「秒」を表示し、分針22は「分」を表示し、時針23は「時」を表示する。
【0010】
また、文字板11には、日窓27が設けられる。日窓27は、文字板11を矩形状に開口した開口部である。日窓27は、文字板11の中心に対して3時方向に設けられる。文字板11の裏面側には日車29が配置される。日車29は、日窓27から視認することができる。日窓27から日車29を視認させることで、日車29は、年月日の「日」を表示する。
【0011】
秒針21、分針22、時針23、および日車29は、本開示における指針の一例である。
【0012】
ダイヤルリング25には、内周側の目盛に沿って、協定世界時(UTC)との時差を表す数字を含む記号31が表記される。
また、ダイヤルリング25の外周側に配置されるベゼル13には、ダイヤルリング25に表記される記号31に対応した標準時を使用している代表都市名を表す都市情報32が表記される。都市情報32は、例えば、東京を示す「TYO」のように都市名を3文字のアルファベットで略したスリーレターコードで表示される。
【0013】
また、電子時計1は、りゅうず35と、2つのボタン36,37と、を有する。りゅうず35と、2つのボタン36,37と、は、外装ケース10の側面に配置される。
【0014】
図2に示すように、電子時計1は、第1モーター41と、第2モーター42と、第1のIC45と、第2のIC46と、計時部51と、受信部53と、アンテナ54と、入力部56と、電池58と、を有する。
【0015】
第1モーター41は、図示しないムーブメントが有する輪列を介して、分針22、時針23、および日車29を駆動する。第2モーター42は、図示しないムーブメントが有する輪列を介して、秒針21を駆動する。第1モーター41および第2モーター42は、本開示におけるモーターの一例である。
【0016】
第1モーター41および第2モーター42は、後述するように、第1のIC45または第2のIC46から出力されるモーターパルスによって駆動される。モーターパルスは、モーターを制御するための駆動信号である。
【0017】
第1モーター41および第2モーター42は、コイルが巻かれているステーターと、磁化されているローターと、を有するステッピングモーターである。ローターは、ステッピングモーターの出力軸である。詳細には、第1モーター41および第2モーター42は、電子時計用に用いられる2極単相ステッピングモーターである。2極単相ステッピングモーターが有するローターは、1つのモーターパルスにより1ステップ角度である180°の回転を行う。
【0018】
第1のIC45は、電子時計1を制御するMCU(Micro Controller Unit)である。第1のIC45は、IC(Integrated Circuit)チップである。
第1のIC45は、第1モーター41および第2モーター42を制御する機能を有する。詳細には、第1のIC45は、第1のモーター制御機能を有する。より詳細には、第1のIC45は、秒針21、分針22、および時針23が時刻表示を行うように第1モーター41および第2モーター42を制御する機能を有する。秒針21、分針22、および時針23が時刻表示を行うように第1モーター41および第2モーター42を制御する機能は、第1のモーター制御機能の一例である。
また、第1のIC45は、第2のIC46を制御する機能を有する。
第1のIC45の詳細については、後述する。
【0019】
第2のIC46は、モータードライバーICである。第2のIC46は、ICチップである。
第2のIC46は、第1モーター41および第2モーター42を制御する機能を有する。詳細には、第2のIC46は、第1のモーター制御機能とは異なる第2のモーター制御機能を有する。より詳細には、第2のIC46は、秒針21、分針22、および時針23を早送りするように第1モーター41および第2モーター42を制御する機能を有する。秒針21、分針22、および時針23を早送りするように第1モーター41および第2モーター42を制御する機能は、第2のモーター制御機能の一例である。
第2のIC46の詳細については、後述する。
【0020】
計時部51は、図示しない水晶振動子や発振回路などを有し、水晶振動子の発振信号に基づく基準信号を用いて計時を行い、時計表示用の時刻情報を更新する。
【0021】
受信部53は、アンテナ54を通じて、GPS衛星や準天頂衛星などの位置情報衛星から送信される衛星信号を受信する。受信部53は、衛星信号の受信に成功したときは、取得した軌道情報や衛星時刻情報などの情報を第1のIC45に出力する。受信部53は、衛星信号の受信に失敗したときは、その旨の情報を第1のIC45へ出力する。なお、受信部53は、周知のGPS受信回路と同様の構成であるため、その説明を省略する。
【0022】
入力部56は、りゅうず35と、2つのボタン36,37と、を有する。りゅうず35と、2つのボタン36,37は、入力部56の一例である。
電子時計1のユーザーが入力部56を操作すると、その操作に応じた操作信号が、第1のIC45に出力される。第1のIC45は、操作信号に応じた動作モードで、電子時計1を制御する。
例えば、本実施形態では、ユーザーがりゅうず35を2段引くことにより、手動時差設定動作を実施する手動時差設定モードが実行される。手動時差設定モードについては、後述する。
【0023】
電池58は、第1のIC45や第2のIC46などを含む電子時計1の各部に電力を供給する。電池58は、1次電池または2次電池のどちらでも構わない。
【0024】
ここまで、電子時計1の概略構成について、説明した。
次に、第1のIC45の詳細について、説明する。
【0025】
図2に示すように、第1のIC45は、第1駆動回路61と、第2駆動回路62と、第1記憶回路64と、駆動切換回路66と、電源制御回路68と、第1通信回路71と、を有する。また、第1のIC45は、図示しないCPU(Central Processing Unit)を有し、第1記憶回路64に記憶されるプログラムに基づいて、各回路の制御などを行う。
【0026】
第1駆動回路61と、第2駆動回路62と、はモーターを駆動する駆動回路である。
【0027】
詳細には、第1駆動回路61は、第1モーター41にモーターパルスを出力することにより、第1モーター41を駆動する。第2駆動回路62は、第2モーター42にモーターパルスを出力することにより、第2モーター42を駆動する。
【0028】
第1記憶回路64は、モーターパルスの形状に関する設定データを含む各種の情報を記憶する。第1記憶回路64は、不揮発性メモリーであり、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)である。
【0029】
なお、モーターパルスの形状に関する設定データは、電子時計1の製造時において、第1記憶回路64に予め記憶されている。
【0030】
駆動切換回路66は、電子時計1の動作モードに応じて、第1モーター41および第2モーター42のそれぞれの制御を行う駆動回路を切り換える。
詳細には、駆動切換回路66は、電子時計1の動作モードに応じて、第1モーター41および第2モーター42のそれぞれの制御を行う駆動回路を、第1のIC45が有する駆動回路である第1駆動回路61および第2駆動回路62と第2のIC46が有する駆動回路である第3駆動回路73および第4駆動回路74とのうち、一方から他方に切り換える。第3駆動回路73および第4駆動回路74については、後述する。
【0031】
電源制御回路68は、第2のIC46の電源を制御する。電源制御回路68は、例えば、第2のIC46による第1モーター41および第2モーター42の駆動が開始されるとき、第2のIC46の電源をオンにする。また、電源制御回路68は、例えば、第2のIC46による第1モーター41および第2モーター42の駆動が停止したとき、第2のIC46の電源をオフにする。
電源制御回路68の詳細については、後述する。
【0032】
本実施形態では、第2のIC46は、電源制御回路68を介して、電池58に接続している。つまり、電池58は、電源制御回路68を介して、第2のIC46に電力を供給している。ただし、電源制御回路68が第2のIC46の電源を制御する構成は、このような構成に限定されない。例えば、第2のIC46の内部に図示しない電源スイッチ回路を設け、電池58は、電源制御回路68を介さずに、この電源スイッチ回路を介して、第2のIC46に電源を供給しても構わない。電源制御回路68は、この電源スイッチ回路を制御することにより、第2のIC46の電源を制御することができる。
【0033】
第1通信回路71は、第2のIC46が有する第2通信回路78と接続される。
第1通信回路71と第2通信回路78とは、例えば、SPI(Serial Peripheral Interface)などのシリアル通信インターフェイスである。これにより、第1のIC45と、第2のIC46と、は第1通信回路71と第2通信回路78とを介して、通信可能に接続される。
【0034】
ここまで、第1のIC45の詳細について、説明した。
次に、第2のIC46の詳細について、説明する。
【0035】
図2に示すように、第2のIC46は、第3駆動回路73と、第4駆動回路74と、第2記憶回路76と、第2通信回路78と、を有する。また、第2のIC46は、図示しないCPUを有し、第2記憶回路76に記憶されるプログラムに基づいて、各回路の制御などを行う。
【0036】
第3駆動回路73と、第4駆動回路74と、はモーターを駆動する駆動回路である。
【0037】
詳細には、第3駆動回路73は、第1モーター41にモーターパルスを出力することにより、第1モーター41を駆動する。第4駆動回路74は、第2モーター42にモーターパルスを出力することにより、第2モーター42を駆動する。
【0038】
第2記憶回路76は、モーターパルスの形状に関する設定データを含む各種の情報を記憶する。第2記憶回路76は、揮発性メモリーであり、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)や、SRAM(Static Random Access Memory)である。
【0039】
なお、後述するように、第2記憶回路76に記憶されるモーターパルスの形状に関する設定データは、第1のIC45から第2のIC46へモーターパルスの形状に関する設定データが出力されることによって第2記憶回路76に記憶される。
これにより、モーターや電子時計の仕様に応じたモーターパルスを第2のIC46が有する第2記憶回路76に設定することができる。
【0040】
換言すると、第2のIC46は、第1のIC45から第2のIC46へ出力されるモーターパルスの形状に関する設定データに応じて、多様なモーター制御機能を実行することができる。さらに換言すると、第2のIC46は、複数種類の機能や、複数種類の電子時計に対応させることが容易である。
【0041】
また、第2記憶回路76を揮発性メモリーとすることにより、第2記憶回路76を簡単な回路で構成することができる。そのため、第2のIC46を小型化することができる。
【0042】
なお、第2記憶回路76は、揮発性メモリーであるため、第2のIC46の電源あるいは第2記憶回路76の電源がオフになると、第2記憶回路76に記憶されたモーターパルスの形状に関する設定データを含む全ての情報は消去される。そのため、後述するように、モーターパルスの形状に関する設定データは、必要に応じて、第1のIC45から第2のIC46へ出力され、第2記憶回路76に記憶される。
【0043】
第2通信回路78は、上述したように、第1のIC45が有する第1通信回路71と接続される。
【0044】
ここまで、第2のIC46の詳細について、説明した。
【0045】
ここで、第1のIC45が有する電源制御回路68の詳細について、説明する。
上述したように、電源制御回路68は、第2のIC46の電源を制御する。
さらに、本実施形態では、電源制御回路68は、第2のIC46が有する駆動回路である第3駆動回路73および第4駆動回路74の電源と、第2のIC46が有する第2記憶回路76の電源と、をそれぞれ個別に制御する機能を有している。
【0046】
また、本実施形態では、電源制御回路68は、第3駆動回路73および第4駆動回路74の電源と、第2通信回路78の電源と、を一括して制御する。そのため、電源制御回路68により第3駆動回路73および第4駆動回路74の電源がオンになると、第2通信回路78の電源もオンになる。また、電源制御回路68により第3駆動回路73および第4駆動回路74の電源がオフになると、第2通信回路78の電源もオフになる。
【0047】
なお、電源制御回路68が制御する電源の構成は上述した構成に限らない。
例えば、電源制御回路68は、第3駆動回路73および第4駆動回路74の電源と、第2記憶回路76の電源と、をそれぞれ個別に制御し、第2記憶回路76の電源と、第2通信回路78の電源と、を一括して制御しても構わない。
また、例えば、電源制御回路68は、第3駆動回路73および第4駆動回路74の電源と、第2記憶回路76の電源と、をそれぞれ個別に制御しなくても構わない。例えば、電源制御回路68は、第3駆動回路73および第4駆動回路74の電源と、第2記憶回路76の電源と、第2通信回路78の電源と、を一括して制御しても構わない。
【0048】
次に、電子時計1が有する複数の動作モードについて、説明する。
【0049】
本実施形態では、電子時計1は、3つの動作モードを有する。3つの動作モードは、電子時計1が現在の時刻表示動作を実施する通常時刻表示モードと、電子時計1が自動的に時刻修正動作を実施する自動時刻修正モードと、ユーザーによる手動時差設定動作を実施する手動時差設定モードと、である。
【0050】
通常時刻表示モードでは、秒針21、分針22、および時針23は時計表示用の時刻情報に基づいて時刻表示を行う。
換言すると、通常時刻表示モードでは、第1モーター41および第2モーター42は、第1のモーター制御機能を有する第1のIC45により制御される。
【0051】
自動時刻修正モードでは、電子時計1が所定の時間間隔で自動的に時刻を修正する。詳細には、自動時刻修正モードでは、電子時計1は、所定の時間間隔で、GPS衛星や準天頂衛星などの位置情報衛星から送信される衛星信号を受信して、衛星時刻情報を取得し、この衛星時刻情報に基づき時計表示用の時刻情報を修正する。
修正された時刻情報に基づく時刻の表示は速やかに実行する必要がある。そのため、自動時刻修正モードでは、秒針21、分針22、および時針23は、修正された時刻情報に基づく時刻が表示されるまで早送り駆動される。なお、早送り駆動を早送り運針とも言う。
換言すると、自動時刻修正モードでは、第1モーター41および第2モーター42は、第2のモーター制御機能を有する第2のIC46により制御される。
【0052】
手動時差設定モードでは、ユーザーが入力部56を操作して時差を修正する。詳細には、ユーザーが入力部56を操作してタイムゾーンを設定する。ユーザーにより設定されたタイムゾーンに応じた時差に基づき、電子時計1は、時計表示用の時刻情報を修正する。
修正された時刻情報に基づく時刻の表示は速やかに実行する必要がある。そのため、手動時差設定モードでは、秒針21、分針22、および時針23は、修正された時刻情報に基づく時刻が表示されるまで早送り運針される。
換言すると、手動時差設定モードでは、第1モーター41および第2モーター42は、第2のモーター制御機能を有する第2のIC46により制御される。
【0053】
なお、電子時計1が有する動作モードは、上述した動作モードに限定されず、電子時計1の機能に応じて適宜設定して構わない。
【0054】
ここまで、電子時計1が有する複数の動作モードについて、説明した。
【0055】
次に、それぞれの動作モードにおける第1のIC45および第2のIC46の動作について、説明する。
【0056】
まず、電子時計1が通常時刻表示モードであるときの第1のIC45の動作について、説明する。
【0057】
上述したように、通常時刻表示モードでは、第1モーター41および第2モーター42は、第1のモーター制御機能を有する第1のIC45により制御される。
【0058】
本実施形態では、第1のIC45は、定電圧制御で第1モーター41および第2モーター42を制御する。
つまり、第1駆動回路61は、第1モーター41に、定電圧で予め定められた矩形状のモーターパルスを出力することにより、第1モーター41を駆動する。第2駆動回路62は、第2モーター42に、定電圧で予め定められた矩形状のモーターパルスを出力することにより、第2モーター42を駆動する。
第1駆動回路61および第2駆動回路62は、それぞれ所定の周期に基づいて定期的に第1モーター41および第2モーター42にモーターパルスを出力する。
【0059】
第1駆動回路61および第2駆動回路62がそれぞれ出力するモーターパルスは、第1記憶回路64に記憶されるモーターパルスの形状に関する設定データに基づき、生成される。
定電圧制御でモーターを制御するとき、モーターパルスの形状に関する設定データは、例えば、モーターパルスのパルス幅や電圧などの値を含む。また、1つのモーターパルスが、このモーターパルスを時分割することにより生成される複数のパルスにより構成されるときは、モーターパルスの形状に関する設定データは、例えば、この複数のパルスの数やパルス幅などの値を含む。
【0060】
また、通常時刻表示モードでは、電源制御回路68は、第2のIC46の電源をオフにする。そのため、通常時刻表示モードにおける電子時計1の消費電力を低減することができる。
【0061】
次に、電子時計1が自動時刻修正モードであるときの第1のIC45および第2のIC46の動作について、説明する。
【0062】
本実施形態では、計時部51が計時している時計表示用の時刻情報が所定の時刻になったとき、第1のIC45は、電子時計1を通常時刻表示モードから自動時刻修正モードに遷移させる。
【0063】
自動時刻修正モードでは、第1のIC45は、受信部53を動作させる。受信部53は、少なくとも1つの位置情報衛星を捕捉し、その位置情報衛星から送信される衛星信号を受信して、衛星時刻情報を取得する。取得した衛星時刻情報は、第1のIC45に出力され、第1のIC45は、取得した衛星時刻情報に基づき、時計表示用の時刻情報を修正する。
【0064】
なお、受信部53は、少なくとも3つ、好ましくは4つ以上の位置情報衛星を捕捉し、それぞれの位置情報衛星から送信される衛星信号を受信して、それぞれの位置情報衛星の軌道情報を取得しても構わない。受信部53が少なくとも3つ以上の位置情報衛星の軌道情報を取得することにより、取得した軌道情報に基づき、第1のIC45は電子時計1の位置情報を算出することができる。これにより、電子時計1は、電子時計1が位置するタイムゾーンに応じた時差の設定を行うことができる。
【0065】
取得した衛星時刻情報に基づき時計表示用の時刻情報が修正された後、秒針21、分針22、および時針23は、修正された時刻情報に基づく時刻が表示されるまで早送り運針される。
【0066】
秒針21、分針22、および時針23を早送り運針するときの第1のIC45および第2のIC46の動作について、図3を参照して説明する。
【0067】
図3は、秒針21、分針22、および時針23を早送り運針するときの第1のIC45および第2のIC46の動作を説明するフローチャートである。
図3に示すように、秒針21、分針22、および時針23を早送り運針するときの処理手順は、第2のIC46の電源をオンにする工程S11と、第1のIC45から第2のIC46へモーターパルスの形状に関する設定データを出力する工程S12と、秒針21、分針22、および時針23を早送り運針する工程S13と、第2のIC46の電源をオフにする工程S14と、を有する。
【0068】
工程S11は、第2のIC46の電源をオンにする工程である。
工程S11では、電源制御回路68は、第2のIC46の電源をオンにする。これにより、第3駆動回路73、第4駆動回路74、第2通信回路78、および第2記憶回路76のそれぞれの電源はオンになる。
また、工程S11では、駆動切換回路66は、第1モーター41および第2モーター42の制御を、第1のIC45による制御から第2のIC46による制御に切り換える。つまり、駆動切換回路66は、第1駆動回路61および第2駆動回路62からのモーターパルスの出力を不許可とし、第3駆動回路73および第4駆動回路74からのモーターパルスの出力を許可する。
【0069】
工程S12は、第1のIC45から第2のIC46へモーターパルスの形状に関する設定データを出力する工程である。
工程S12では、まず、第1記憶回路64に記憶されるモーターパルスの形状に関する設定データが読み出される。第1記憶回路64から読み出されるモーターパルスの形状に関する設定データは、第3駆動回路73および第4駆動回路74がモーターパルスを生成するために用いられる。第1記憶回路64から読み出されたモーターパルスの形状に関する設定データは、第1通信回路71を介して、第2のIC46へ出力される。第2のIC46へ出力されたモーターパルスの形状に関する設定データは、第2通信回路78を介して、第2のIC46に受信される。第2のIC46が受信したモーターパルスの形状に関する設定データは、第2記憶回路76に記憶される。
【0070】
工程S13は、秒針21、分針22、および時針23を早送り運針する工程である。
工程S13では、第3駆動回路73および第4駆動回路74は、第2記憶回路76に記憶されるモーターパルスの形状に関する設定データに基づき生成されるモーターパルスを、それぞれ第1モーター41および第2モーター42に出力する。
【0071】
ここで、第3駆動回路73および第4駆動回路74から出力されるモーターパルスについて、説明する。
【0072】
本実施形態では、第2のIC46は、定電流制御で第1モーター41および第2モーター42を制御する。詳細には、第3駆動回路73は、第1モーター41が有するコイルに流れる電流が略一定となるモーターパルスを第1モーター41に出力する。第4駆動回路74は、第2モーター42が有するコイルに流れる電流が略一定となるモーターパルスを第2モーター42に出力する。
【0073】
このように、定電流制御では、ステッピングモーターが有するコイルに流れる電流が略一定となるモーターパルスをモーターに出力する。
詳細には、定電流制御では、コイルに流れる電流が上限電流閾値と下限電流閾値とにより設定される所定の範囲に入るように、モーターを駆動する駆動電圧がオンオフ制御される。
換言すると、定電流制御では、1つのモーターパルスは、コイルに流れる電流が所定の範囲に入るように制御された複数のパルスにより形成される。このパルスは、モーターを駆動する駆動電圧である。このパルスは、コイルに流れる電流が上限電流閾値になるまでオンにされ、コイルに流れる電流が上限電流閾値になるとオフにされる。また、このパルスは、コイルに流れる電流が下限電流閾値になるとオンにされ、コイルに流れる電流が上限電流閾値になるとオフにされる。
【0074】
また、定電流制御では、コイルを流れる電流が上限電流閾値から下限電流閾値になるまでのオフ時間は、ステッピングモーターが有するローターの回転角と相関がある。そのため、このオフ時間を所定の極性切換条件と比較することにより、モーターパルスの極性を適切なタイミングで切り換えることができる。
【0075】
また、定電流制御では、コイルを流れる電流が下限電流閾値から上限電流閾値になるまでのオン時間や、コイルを流れる電流が上限電流閾値から下限電流閾値になるまでのオフ時間をそれぞれ検出することにより、ステッピングモーターが有するローターの回転角を判定することができる。そのため、定電流制御では、ローターの回転角に基づいて、モーターにモーターパルスを出力することができるので、定電圧制御に比べ、モーターを高速に駆動できる。
【0076】
第2のIC46が定電流制御でモーターを制御するとき、モーターパルスの形状に関する設定データは、例えば、上限電流閾値、下限電流閾値、所定の極性切換条件などの値を含む。
【0077】
なお、本実施形態では、第2のIC46は、定電流制御で第1モーター41および第2モーター42を制御しているが、第2のIC46は、定電圧制御で第1モーター41および第2モーター42を制御しても構わない。第2のIC46が、定電圧制御で第1モーター41および第2モーター42を制御するときは、第3駆動回路73および第4駆動回路74は、所定の周期に基づいて定期的にモーターパルスを出力するのではなく、ローターの回転を検出し、ローターの回転が検出されたタイミングでモーターパルスを出力することにより、第1モーター41および第2モーター42を高速に駆動できる。ローターの回転は、例えば、ローターの回転により生じる逆誘起電流を計測することにより、検出できる。
【0078】
第2のIC46が、定電圧制御で第1モーター41および第2モーター42を制御するときは、モーターパルスの形状に関する設定データは、例えば、モーターパルスのパルス幅や電圧などの値を含む。また、1つのモーターパルスが、このモーターパルスを時分割することにより生成される複数のパルスにより構成されるときは、モーターパルスの形状に関する設定データは、例えば、この複数のパルスの数やパルス幅などの値を含む。
【0079】
ここまで、第3駆動回路73および第4駆動回路74から出力されるモーターパルスについて、説明した。
【0080】
工程S13では、秒針21、分針22、および時針23は、修正された時刻情報に基づく時刻が表示されるまで早送り運針される。
秒針21、分針22、および時針23が、修正された時刻情報に基づく時刻を表示したとき、第3駆動回路73および第4駆動回路74は、第1モーター41および第2モーター42の駆動を停止する。これにより、第2のIC46による秒針21、分針22、および時針23の早送り運針が停止する。
第2のIC46による秒針21、分針22、および時針23の早送り運針が停止すると、工程S13は終了する。
【0081】
工程S14は、第2のIC46の電源をオフにする工程である。
工程S14では、電源制御回路68は、第2のIC46の電源をオフにする。これにより、第3駆動回路73、第4駆動回路74、第2通信回路78、および第2記憶回路76のそれぞれの電源はオフになる。
なお、上述したように、第2記憶回路76は揮発性メモリーであるため、第2記憶回路76の電源がオフになると、工程S12において第2記憶回路76に記憶されたモーターパルスの形状に関する設定データは、第2記憶回路76から消去される。
【0082】
また、工程S14では、駆動切換回路66は、第1モーター41および第2モーター42の制御を、第2のIC46による制御から第1のIC45による制御に切り換える。つまり、駆動切換回路66は、第3駆動回路73および第4駆動回路74からのモーターパルスの出力を不許可とし、第1駆動回路61および第2駆動回路62からのモーターパルスの出力を許可する。
工程S14が終了すると、電子時計1の動作モードは、通常時刻表示モードとなる。
【0083】
このように、本実施形態では、第1のIC45が有する第1のモーター制御機能とは異なる第2のモーター制御機能を有する第2のIC46を設けることにより、第1のIC45の大型化や高コスト化を抑制しながら、電子時計1を多機能化することができる。
また、モーターや電子時計の仕様に応じてモーターパルスの適切な形状は異なるため、第2のIC46は、第1モーター41、第2モーター42、および電子時計1のそれぞれ仕様に応じて、適切な形状を有するモーターパルスを生成する必要がある。本実施形態では、モーターパルスの形状に関する設定データは、第1のIC45から第2のIC46に出力されるので、モーターや電子時計の仕様に応じたモーターパルスを第2のIC46に設定することができる。第2のIC46は、この設定データに基づいて適切な形状を有するモーターパルスを生成することができる。
【0084】
また、本実施形態では、第1のIC45は、第1モーター41および第2モーター42を制御し、第2のIC46は、第1モーター41および第2モーター42を制御する。つまり、第1のモーター制御機能を有する第1のIC45と、第2のモーター制御機能を有する第2のIC46と、は同じモーターを制御する。このように、モーター制御機能がそれぞれ異なる第1のIC45および第2のIC46により、第1モーター41および第2モーター42を制御することにより、電子時計1の多機能化を実現できる。
【0085】
また、本実施形態では、第1のIC45は、定電圧制御で第1モーター41および第2モーター42を制御し、第2のIC46は、定電流制御で第1モーター41および第2モーター42を制御する。つまり、第1のモーター制御機能を有する第1のIC45と、第2のモーター制御機能を有する第2のIC46と、はそれぞれ異なる制御方法でモーターを制御する。このように、第1のモーター制御機能および第2のモーター制御機能のそれぞれに適した制御方法でモーターを制御することにより、電子時計1の多機能化を実現できる。
【0086】
次に、電子時計1が手動時差設定モードであるときの第1のIC45および第2のIC46の動作について、説明する。
【0087】
本実施形態では、例えば、ユーザーがりゅうず35を2段引いたとき、第1のIC45は、電子時計1を通常時刻表示モードから手動時差設定モードに遷移させる。
【0088】
手動時差設定モードでは、まず、ユーザーが入力部56を操作してタイムゾーンを選択する。本実施形態では、ユーザーは、例えば、りゅうず35を2段引いた状態で回転させることにより、秒針21を移動させる。そして、ユーザーは、ベゼル13に表記される都市情報32のうち、ユーザーが所望する都市情報32を指し示すように秒針21を移動させることにより、タイムゾーンを選択することができる。
【0089】
第1のIC45は、秒針21が指し示す都市情報32に対応するタイムゾーンに基づき、時計表示用の時刻情報を修正する。
【0090】
ユーザーにより選択されたタイムゾーンに基づき時計表示用の時刻情報が修正された後、秒針21、分針22、および時針23は、修正された時刻情報に基づく時刻が表示されるまで早送り運針される。
【0091】
秒針21、分針22、および時針23を早送り運針するときの第1のIC45および第2のIC46の動作は、自動時刻修正モードと同様である。すなわち、秒針21、分針22、および時針23を早送り運針するときの処理手順は、図3に示すように、第2のIC46の電源をオンにする工程S11と、第1のIC45から第2のIC46へモーターパルスの形状に関する設定データを出力する工程S12と、秒針21、分針22、および時針23を早送り運針する工程S13と、第2のIC46の電源をオフにする工程S14と、を有する。したがって、手動時差設定モードにおける、秒針21、分針22、および時針23を早送り運針するときの第1のIC45および第2のIC46の動作については、説明を省略する。
【0092】
以上述べた通り、本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
電子時計1は、第1モーター41および第2モーター42と、第1モーター41および第2モーター42により駆動される秒針21、分針22、および時針23と、第1のモーター制御機能を有する第1のIC45と、第1のモーター制御機能とは異なる第2のモーター制御機能を有する第2のIC46と、を備え、第1のIC45は、第1モーター41および第2モーター42を制御するモーターパルスの形状に関する設定データを第2のIC46に出力し、第2のIC46は、第1のIC45から出力された第1モーター41および第2モーター42を制御するモーターパルスの形状に関する設定データに基づいて第1モーター41および第2モーター42を制御する。
これにより、モーターや電子時計の仕様に応じたモーターパルスをモータードライバーICである第2のIC46に設定することができる。
【0093】
2.実施形態2
次に、実施形態2に係る電子時計1について、説明する。
本実施形態に係る電子時計1は、実施形態1に比べ、電子時計1が自動時刻修正モードおよび手動時差設定モードであるときの第1のIC45および第2のIC46の動作が異なること以外は、実施形態1と同様である。詳細には、本実施形態では、第1のIC45は、第2のIC46による秒針21、分針22、および時針23の早送り運針が停止したときに、所定の条件に合致するか否かを判断し、所定の条件に合致すると判断した場合に所定時間が経過した後に第2のIC46の電源をオフにする。本実施形態では、所定の条件は、電子時計1の動作モードが所定の動作モードであることである。詳細には、所定の動作モードは、手動時差設定モードである。つまり、手動時差設定モードは、所定の動作モードの一例であり、所定の動作モードは、所定の条件の一例である。
なお、上述した実施形態1と同様の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0094】
まず、電子時計1が自動時刻修正モードであるときの第1のIC45および第2のIC46の動作について、説明する。
【0095】
電子時計1が自動時刻修正モードであるとき、第1のIC45は、位置情報衛星から送信される衛星信号を受信して、衛星時刻情報を取得し、時計表示用の時刻情報を修正する。取得した衛星時刻情報に基づき時計表示用の時刻情報が修正された後、秒針21、分針22、および時針23は、修正された時刻情報に基づく時刻が表示されるまで早送り運針される。
【0096】
秒針21、分針22、および時針23を早送り運針するときの第1のIC45および第2のIC46の動作について、図4を参照して説明する。
【0097】
図4は、秒針21、分針22、および時針23を早送り運針するときの第1のIC45および第2のIC46の動作を説明するフローチャートである。
図4に示すように、秒針21、分針22、および時針23を早送り運針するときの処理手順は、第2のIC46の電源をオンにする工程S21と、第1のIC45から第2のIC46へモーターパルスの形状に関する設定データを出力する工程S22と、秒針21、分針22、および時針23を早送り運針する工程S23と、秒針21、分針22、および時針23の早送り運針が停止したときに電子時計1の動作モードが手動時差設定モードであるか否かを判断する工程S24と、早送り運針を再開するか否かを判断する工程S25と、所定時間が経過したか否かを判断する工程S26と、第2のIC46の電源をオフにする工程S27と、を有する。
【0098】
工程S21は、第2のIC46の電源をオンにする工程である。
工程S22は、第1のIC45から第2のIC46へモーターパルスの形状に関する設定データを出力する工程である。
工程S23は、秒針21、分針22、および時針23を早送り運針する工程である。
工程S21、工程S22、および工程S23は、それぞれ実施形態1における工程S11、工程S12、および工程S13と同様である。したがって、工程S21、工程S22、および工程S23の説明は、省略する。
【0099】
工程S24は、秒針21、分針22、および時針23の早送り運針が停止したときに、電子時計1の動作モードが手動時差設定モードであるか否かを、第1のIC45が判断する工程である。換言すると、工程S24は、第1のIC45が、第2のIC46による秒針21、分針22、および時針23の駆動が停止したときに、所定の条件に合致しているか否かを判断する工程である。
【0100】
ここでは、第2のIC46による秒針21、分針22、および時針23の駆動は、自動時刻修正モードにおいて実行されている。そのため、工程S24において、第1のIC45は、電子時計1の動作モードが手動時差設定モードではないと判断する。
【0101】
工程S24において、電子時計1の動作モードは手動時差設定モードではないと第1のIC45が判断した場合は、工程S27に移る。
【0102】
工程S27は、第2のIC46の電源をオフにする工程である。
工程S27は、実施形態1における工程S14と同様である。したがって、工程S27の説明は、省略する。
工程S27が終了すると、電子時計1の動作モードは、通常時刻表示モードとなる。
【0103】
次に、電子時計1が手動時差設定モードであるときの第1のIC45および第2のIC46の動作について、説明する。
【0104】
ところで、手動時差設定モードでは、ユーザーによるタイムゾーンの選択が短時間のうちに複数回連続して行われることがある。例えば、ユーザーが一時的に特定のタイムゾーンの時刻を表示させるときや、ユーザーが所望するタイムゾーンの時刻がユーザーの誤操作により表示されないときなど、ユーザーによるタイムゾーンの選択が短時間のうちに複数回連続して行われることがある。実施形態1のように、秒針21、分針22、および時針23を早送り運針した後、第2のIC46の電源をオフにしてしまうと、ユーザーによるタイムゾーンの選択が行われる毎に、第2のIC46の電源をオンにし、さらに、第1のIC45から第2のIC46へモーターパルスの形状に関する設定データを出力することが必要になる。そのため、ユーザーによるタイムゾーンの選択が短時間のうちに複数回連続して行われるとき、ユーザーが新たに選択したタイムゾーンに基づく時刻を表示するまでに時間を要することがある。
【0105】
そこで、本実施形態では、電子時計1の動作モードが手動時差設定モードであると判断されるとき、秒針21、分針22、および時針23を、修正された時刻情報に基づく時刻が表示されるまで早送り運針した後、所定時間が経過した後に第2のIC46の電源をオフにする。
【0106】
これにより、例えば、手動時差設定モードにおいて、ユーザーが短時間のうちに複数回連続してタイムゾーンを選択したときに、新たに選択されたタイムゾーンに基づいて修正された時刻情報を速やかに表示することができる。
【0107】
本実施形態では、秒針21、分針22、および時針23を、修正された時刻情報に基づく時刻が表示されるまで早送り運針した後、所定時間が経過した後に第2のIC46の電源をオフにする工程は、工程S24、工程S27、および後述する工程S25,S26により実現される。
【0108】
電子時計1が手動時差設定モードであるとき、第1のIC45は、ユーザーが選択したタイムゾーンに基づき、時計表示用の時刻情報を修正する。ユーザーに選択されたタイムゾーンに基づき時計表示用の時刻情報が修正された後、秒針21、分針22、および時針23は、修正された時刻情報に基づく時刻が表示されるまで早送り運針される。
【0109】
秒針21、分針22、および時針23を早送り運針するときの第1のIC45および第2のIC46の動作について、図4を参照して説明する。
【0110】
秒針21、分針22、および時針23を早送り運針するときの第1のIC45および第2のIC46の動作のうち、工程S21、工程S22、および工程S23は、自動時刻修正モードと同様である。したがって、工程S21、工程S22、および工程S23の説明は省略し、工程S24から説明する。
【0111】
工程S24は、秒針21、分針22、および時針23の早送り運針が停止したときに、電子時計1の動作モードが手動時差設定モードであるか否かを、第1のIC45が判断する工程である。
【0112】
ここでは、第2のIC46による秒針21、分針22、および時針23の駆動は、手動時差設定モードにおいて実行されている。そのため、工程S24において、第1のIC45は、手動時差設定モードであると判断する。
【0113】
工程S24において、電子時計1の動作モードは手動時差設定モードであると第1のIC45が判断した場合は、工程S25に移る。
【0114】
工程S25は、第2のIC46による秒針21、分針22、および時針23の早送り運針を再開するか否かを第1のIC45が判断する工程である。
工程S25において、ユーザーが入力部56を操作して、新たなタイムゾーンを選択すると、その操作に応じた操作信号が、第1のIC45に出力される。
第1のIC45は、入力部56から出力される操作信号に基づき、秒針21、分針22、および時針23の早送り運針を再開するか否かを判断する。
工程S25において、第1のIC45が、秒針21、分針22、および時針23の早送り運針を再開すると判断したとき、工程S23に移る。
【0115】
一方、工程S25において、ユーザーが新たなタイムゾーンを選択しないときは、入力部56から第1のIC45へ操作信号は出力されないため、第1のIC45は、秒針21、分針22、および時針23の早送り運針を再開しないと判断する。
工程S25において、第1のIC45が、秒針21、分針22、および時針23の早送り運針を再開しないと判断したとき、工程S26に移る。
【0116】
工程S26は、所定時間が経過したか否かを判断する工程である。詳細には、工程S26では、工程S23が終了した時点からの時間を計測し、工程S23が終了した時点からの現在までの時間が所定時間を越えたとき、第1のIC45は、所定時間が経過したと判断する。工程S23が終了した時点からの現在までの時間は、例えば、計時部51からの出力に基づいて計測される。所定時間は、電子時計1の製造時などにおいて予め設定され、第1記憶回路64に記憶される。
【0117】
工程S26において、工程S23が終了した時点からの現在までの時間が所定時間を越えていないときは、工程S25に移り、早送り運針を再開するか否かを判断する。
【0118】
一方、工程S26において、工程S23が終了した時点からの現在までの時間が所定時間を越えたときは、上述した工程S27に移り、第2のIC46の電源をオフにする。
つまり、本実施形態では、電子時計1の動作モードが手動時差設定モードであると判断されるとき、秒針21、分針22、および時針23を早送り運針した後、所定時間が経過した後に第2のIC46の電源をオフにする。
【0119】
換言すると、所定時間が経過するまでは、第2のIC46の電源はオンの状態を維持しており、第2記憶回路76はモーターパルスの形状に関する設定データを記憶している。
【0120】
これにより、手動時差設定モードでは、例えば、ユーザーが短時間のうちに複数回連続してタイムゾーンを選択したときに、ユーザーが新たに選択したタイムゾーンに基づいた時刻情報を速やかに表示することができる。また、自動時刻修正モードでは、秒針21、分針22、および時針23を早送り運針した後に、第2のIC46の電源を速やかにオフにするため、電子時計1の消費電力が抑制される。
【0121】
以上述べたように、本実施形態によれば、実施形態1での効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
第1のIC45は、第2のIC46による秒針21、分針22、および時針23の駆動が停止したとき、すなわち、早送り運針が停止したときに、所定の条件に合致するか否かを判断し、所定の条件に合致すると判断した場合に所定時間が経過した後に第2のIC46の電源をオフにする。
これにより、第1のIC45が所定の条件に合致すると判断した場合、所定時間が経過するまでは、第2のIC46の電源はオンの状態が維持され、第2記憶回路76にはモーターパルスの形状に関する設定データが記憶される。そのため、第2のIC46による秒針21、分針22、および時針23の早送り運針を速やかに再開することができる。また、第1のIC45が所定の条件に合致しないと判断した場合、第2のIC46の電源は速やかにオフにされるため、電子時計1の消費電力が抑制される。
【0122】
なお、本実施形態では、手動時差設定モードを例示して説明したが、本実施形態は、手動時差設定モードに限らず、例えば、ユーザーにより短時間のうちに複数回連続して行われる可能性がある操作が、秒針21、分針22、および時針23などの早送り運針を実行させる操作であるとき、本実施形態の構成を適用すると、顕著な効果が得られる。
【0123】
3.実施形態3
次に、実施形態3に係る電子時計1について、説明する。
本実施形態に係る電子時計1は、実施形態1に比べ、電子時計1が自動時刻修正モードおよび手動時差設定モードであるときの第1のIC45および第2のIC46の動作が異なること以外は、実施形態1と同様である。詳細には、本実施形態では、第1のIC45は、第2のIC46による秒針21、分針22、および時針23の早送り運針が停止したときに、所定の条件に合致するか否かを判断し、所定の条件に合致すると判断した場合に第3駆動回路73および第4駆動回路74の電源をオフにし、所定時間が経過した後に第2記憶回路76の電源をオフにする。本実施形態では、所定の条件は、電子時計1の動作モードが所定の動作モードであることである。詳細には、所定の動作モードは、手動時差設定モードである。つまり、手動時差設定モードは、所定の動作モードの一例であり、所定の動作モードは、所定の条件の一例である。
なお、上述した実施形態1と同様の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0124】
まず、電子時計1が自動時刻修正モードであるときの第1のIC45および第2のIC46の動作について、説明する。
【0125】
電子時計1が自動時刻修正モードであるとき、第1のIC45は、位置情報衛星から送信される衛星信号を受信して、衛星時刻情報を取得し、時計表示用の時刻情報を修正する。取得した衛星時刻情報に基づき時計表示用の時刻情報が修正された後、秒針21、分針22、および時針23は、修正された時刻情報に基づく時刻が表示されるまで早送り運針される。
【0126】
秒針21、分針22、および時針23を早送り運針するときの第1のIC45および第2のIC46の動作について、図5を参照して説明する。
【0127】
図5は、秒針21、分針22、および時針23を早送り運針するときの第1のIC45および第2のIC46の動作を説明するフローチャートである。
図5に示すように、秒針21、分針22、および時針23を早送り運針するときの処理手順は、第2のIC46の電源をオンにする工程S31と、第1のIC45から第2のIC46へモーターパルスの形状に関する設定データを出力する工程S32と、秒針21、分針22、および時針23を早送り運針する工程S33と、秒針21、分針22、および時針23の早送り運針が停止したときに電子時計1の動作モードが手動時差設定モードであるか否かを判断する工程S34と、秒針21、分針22、および時針23の早送り運針が停止したときに第3駆動回路73および第4駆動回路74の電源をオフにする工程S35と、早送り運針を再開するか否かを判断する工程S36と、早送り運針を再開するときに第3駆動回路73および第4駆動回路74の電源をオンにする工程S37と、所定時間が経過したか否かを判断する工程S38と、第2のIC46が有する記憶回路である第2記憶回路76の電源をオフにする工程S39と、を有する。
【0128】
なお、本実施形態では、工程S39は、第2のIC46の電源をオフにする工程と言い換えても構わない。
詳細には、後述するように、第2のIC46の電源がオンである状態、すなわち、第2のIC46が有する駆動回路である第3駆動回路73および第4駆動回路74の電源がオンである状態から、工程S39において第2記憶回路76の電源をオフにするときは、工程S39において、第2記憶回路76の電源をオフにするとともに、第3駆動回路73および第4駆動回路74の電源もオフにする。つまり、第3駆動回路73および第4駆動回路74の電源がオンである状態から、工程S39において第2記憶回路76の電源をオフにするときは、第2のIC46の電源をオフにする。この場合、工程S39は、実施形態1における工程S14と同様である。
また、後述するように、第3駆動回路73および第4駆動回路74の電源がオフである状態から、工程S39において第2記憶回路76の電源をオフにするときは、工程S39において第2記憶回路76の電源をオフにする。つまり、第3駆動回路73および第4駆動回路74の電源がオフである状態から、工程S39において第2記憶回路76の電源をオフにすることにより、第2のIC46の電源はオフになる。
【0129】
上述したように、第2記憶回路76は揮発性メモリーであるため、工程S39において第2記憶回路76の電源がオフになると、工程S32において第2記憶回路76に記憶されたモーターパルスの形状に関する設定データは、第2記憶回路76から消去される。
【0130】
工程S31は、第2のIC46の電源をオンにする工程である。
工程S32は、第1のIC45から第2のIC46へモーターパルスの形状に関する設定データを出力する工程である。
工程S33は、秒針21、分針22、および時針23を早送り運針する工程である。
工程S31、工程S32、および工程S33は、それぞれ実施形態1における工程S11、工程S12、および工程S13と同様である。したがって、工程S31、工程S32、および工程S33の説明は、省略する。
【0131】
工程S34は、秒針21、分針22、および時針23の早送り運針が停止したときに、電子時計1の動作モードが手動時差設定モードであるか否かを、第1のIC45が判断する工程である。換言すると、工程S34は、第1のIC45が、第2のIC46による秒針21、分針22、および時針23の駆動が停止したときに、所定の条件に合致しているか否かを判断する工程である。
【0132】
ここでは、第2のIC46による秒針21、分針22、および時針23の駆動は、自動時刻修正モードにおいて実行されている。そのため、工程S34において、第1のIC45は、電子時計1の動作モードが手動時差設定モードではないと判断する。
【0133】
工程S34において、電子時計1の動作モードは手動時差設定モードではないと第1のIC45が判断した場合は、工程S39に移る。
【0134】
工程S39は、第2記憶回路76の電源をオフにする工程である。
ここでは、工程S34から工程S39へ移ってきたため、工程S39に移ってきたとき、第2のIC46の電源はオンである。そこで、電源制御回路68は、第2のIC46の電源がオンである状態から第2記憶回路76の電源をオフにするために、工程S39において第2のIC46の電源をオフにする。これにより、工程S39において、第2記憶回路76の電源がオフになるとともに、第3駆動回路73および第4駆動回路74の電源もオフになる。
工程S39が終了すると、電子時計1の動作モードは、通常時刻表示モードとなる。
【0135】
次に、電子時計1が手動時差設定モードであるときの第1のIC45および第2のIC46の動作について、説明する。
【0136】
ところで、上述したように、手動時差設定モードにおいて、ユーザーによるタイムゾーンの選択が短時間のうちに複数回連続して行われるとき、ユーザーが新たに選択したタイムゾーンに基づく時刻を表示するまでに時間を要することがある。
【0137】
そこで、本実施形態では、電子時計1の動作モードが手動時差設定モードであると判断されるとき、秒針21、分針22、および時針23を、修正された時刻情報に基づく時刻が表示されるまで早送り運針した後、第3駆動回路73および第4駆動回路74の電源をオフにし、所定時間が経過した後に第2記憶回路76の電源をオフにする。
【0138】
これにより、例えば、手動時差設定モードにおいて、ユーザーが短時間のうちに複数回連続してタイムゾーンを選択したときに、新たに選択されたタイムゾーンに基づいて修正された時刻情報を速やかに表示することができる。
【0139】
本実施形態では、秒針21、分針22、および時針23を、修正された時刻情報に基づく時刻が表示されるまで早送り運針した後、第3駆動回路73および第4駆動回路74の電源をオフにし、所定時間が経過した後に第2記憶回路76の電源をオフにする工程は、工程S34、工程S39、および後述する工程S35,S36,S37,S38により実現される。
【0140】
電子時計1が手動時差設定モードであるとき、第1のIC45は、ユーザーが選択したタイムゾーンに基づき、時計表示用の時刻情報を修正する。ユーザーに選択されたタイムゾーンに基づき時計表示用の時刻情報が修正された後、秒針21、分針22、および時針23は、修正された時刻情報に基づく時刻が表示されるまで早送り運針される。
【0141】
秒針21、分針22、および時針23を早送り運針するときの第1のIC45および第2のIC46の動作について、図5を参照して説明する。
【0142】
秒針21、分針22、および時針23を早送り運針するときの第1のIC45および第2のIC46の動作のうち、工程S31、工程S32、および工程S33は、自動時刻修正モードと同様である。したがって、工程S31、工程S32、および工程S33の説明は省略し、工程S34から説明する。
【0143】
工程S34は、秒針21、分針22、および時針23の早送り運針が停止したときに、電子時計1の動作モードが手動時差設定モードであるか否かを、第1のIC45が判断する工程である。
【0144】
ここでは、第2のIC46による秒針21、分針22、および時針23の駆動は、手動時差設定モードにおいて実行されている。そのため、工程S34において、第1のIC45は、手動時差設定モードであると判断する。
【0145】
工程S34において、電子時計1の動作モードは手動時差設定モードであると第1のIC45が判断した場合は、工程S35に移る。
【0146】
工程S35は、秒針21、分針22、および時針23の早送り運針が停止したときに第3駆動回路73および第4駆動回路74の電源をオフにする工程である。
上述したように、本実施形態では、電源制御回路68は、第3駆動回路73および第4駆動回路74の電源と、第2記憶回路76の電源と、を個別に制御する機能を有する。
工程S35では、電源制御回路68は、第3駆動回路73および第4駆動回路74の電源をオフにする。一方、電源制御回路68は、第2記憶回路76の電源はオンの状態を維持する。そのため、工程S35において、第2記憶回路76は、モーターパルスの形状に関する設定データを記憶している。
【0147】
工程S36は、第2のIC46による秒針21、分針22、および時針23の早送り運針を再開するか否かを第1のIC45が判断する工程である。
工程S36において、ユーザーが入力部56を操作して、新たなタイムゾーンを選択すると、その操作に応じた操作信号が、第1のIC45に出力される。
第1のIC45は、入力部56から出力される操作信号に基づき、秒針21、分針22、および時針23の早送り運針を再開するか否かを判断する。
工程S36において、第1のIC45が、秒針21、分針22、および時針23の早送り運針を再開すると判断したとき、工程S37に移る。
【0148】
工程S37は、第3駆動回路73および第4駆動回路74の電源をオンにする工程である。
工程S37では、電源制御回路68は、第3駆動回路73および第4駆動回路74の電源をオンにする。
【0149】
工程S37において、第3駆動回路73および第4駆動回路74の電源がオンになると、工程S33に移る。
【0150】
一方、工程S36において、ユーザーが新たなタイムゾーンを選択しないときは、入力部56から第1のIC45へ操作信号は出力されないため、第1のIC45は、秒針21、分針22、および時針23の早送り運針を再開しないと判断する。
工程S36において、第1のIC45が、秒針21、分針22、および時針23の早送り運針を再開しないと判断したとき、工程S38に移る。
【0151】
工程S38は、所定時間が経過したか否かを判断する工程である。詳細には、工程S38では、工程S33が終了した時点からの時間を計測し、工程S33が終了した時点からの現在までの時間が所定時間を越えたとき、第1のIC45は、所定時間が経過したと判断する。工程S33が終了した時点からの現在までの時間は、例えば、計時部51からの出力に基づいて計測される。所定時間は、電子時計1の製造時などにおいて予め設定され、第1記憶回路64に記憶される。
【0152】
工程S38において、工程S33が終了した時点からの現在までの時間が所定時間を越えていないときは、上述した工程S36に移り、早送り運針を再開するか否かを判断する。
【0153】
一方、工程S38において、工程S33が終了した時点からの現在までの時間が所定時間を越えたときは、上述した工程S39に移り、第2記憶回路76の電源をオフにする。
ここでは、上述したように、工程S35において第3駆動回路73および第4駆動回路74の電源はオフになる。そのため、工程S38から工程S39に移ってきたとき、第3駆動回路73および第4駆動回路74の電源はオフである。そこで、電源制御回路68は、工程S39において第2記憶回路76の電源をオフにする。これにより、第3駆動回路73および第4駆動回路74の電源に加え、工程S39において、さらに第2記憶回路76の電源がオフになる。換言すると、工程S39において、第2記憶回路76の電源をオフにすることにより、第2のIC46の電源はオフになる。
【0154】
このように、本実施形態では、電子時計1の動作モードが手動時差設定モードであると判断されるとき、秒針21、分針22、および時針23を早送り運針した後、第3駆動回路73および第4駆動回路74の電源をオフにし、所定時間が経過した後に第2記憶回路76の電源をオフにする。換言すると、電子時計1の動作モードが手動時差設定モードであると判断されるとき、秒針21、分針22、および時針23を早送り運針した後、第3駆動回路73および第4駆動回路74の電源をオフにし、所定時間が経過した後に第2のIC46の電源をオフにする。
【0155】
これにより、所定時間が経過するまでは、第2記憶回路76の電源はオンの状態を維持しており、第2記憶回路76はモーターパルスの形状に関する設定データを記憶している。
【0156】
そのため、手動時差設定モードでは、例えば、ユーザーが短時間のうちに複数回連続してタイムゾーンを選択したときに、ユーザーが新たに選択したタイムゾーンに基づいた時刻情報を速やかに表示することができる。また、自動時刻修正モードでは、秒針21、分針22、および時針23を早送り運針した後に、第2のIC46の電源を速やかにオフにするため、電子時計1の消費電力が抑制される。
【0157】
また、手動時差設定モードでは、秒針21、分針22、および時針23を早送り運針した後、第3駆動回路73および第4駆動回路74の電源を速やかにオフにするため、所定時間が経過するまで第2のIC46の電源をオンの状態で維持する場合(実施形態2)と比べ、手動時差設定モードにおける電子時計1の消費電力は抑制される。
【0158】
なお、本実施形態では、工程S33の後に工程S34が実行され、工程S34の後に工程S35が実行されるが、工程S33の後に工程S35が実行され、工程S35の後に工程S34が実行されても構わない。このような手順でも、第1のIC45は、第2のIC46による秒針21、分針22、および時針23の駆動が停止したときに、所定の条件に合致しているか否かを判断し、所定の条件に合致しないと判断した場合に第3駆動回路73および第4駆動回路74の電源と、第2記憶回路76の電源と、をオフにすることができる。また、このような手順でも、第1のIC45は、所定の条件に合致すると判断した場合に第3駆動回路73および第4駆動回路74の電源をオフにし、所定時間が経過した後に第2記憶回路76の電源をオフにすることができる。
【0159】
以上述べたように、本実施形態によれば、実施形態1での効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
第1のIC45は、第2のIC46による秒針21、分針22、および時針23の駆動が停止したとき、すなわち、早送り運針が停止したときに、所定の条件に合致するか否かを判断し、所定の条件に合致すると判断した場合に、第3駆動回路73および第4駆動回路74の電源をオフにし、所定時間が経過した後に第2記憶回路76の電源をオフにする。
これにより、第1のIC45が所定の条件に合致すると判断した場合、所定時間が経過するまでは、第2記憶回路76の電源はオンの状態が維持され、第2記憶回路76にはモーターパルスの形状に関する設定データが記憶される。そのため、第2のIC46による秒針21、分針22、および時針23の早送り運針を速やかに再開することができる。また、第1のIC45が所定の条件に合致しないと判断した場合、第2のIC46の電源は速やかにオフにされるため、電子時計1の消費電力が抑制される。
【0160】
4.実施形態4
次に、実施形態4に係る電子時計1について、説明する。
本実施形態に係る電子時計1は、実施形態1に比べ、電子時計1が自動時刻修正モードおよび手動時差設定モードであるときの第1のIC45および第2のIC46の動作が異なること以外は、実施形態1と同様である。詳細には、本実施形態では、第2のIC46は、第2のIC46による秒針21、分針22、および時針23の早送り運針中に異常を検出したときは、早送り運針を停止する。そして、第1のIC45は、第2のIC46による秒針21、分針22、および時針23の早送り運針が停止したときに、所定の条件に合致するか否かを判断し、所定の条件に合致すると判断した場合に所定時間が経過した後に第2のIC46の電源をオフにする。本実施形態では、所定の条件は、早送り運針中に異常を検知したことである。つまり、早送り運針中に異常を検知したことは、所定の条件の一例である。
なお、上述した実施形態1と同様の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0161】
まず、電子時計1が自動時刻修正モードであるときの第1のIC45および第2のIC46の動作について、説明する。
【0162】
電子時計1が自動時刻修正モードであるとき、第1のIC45は、位置情報衛星から送信される衛星信号を受信して、衛星時刻情報を取得し、時計表示用の時刻情報を修正する。取得した衛星時刻情報に基づき時計表示用の時刻情報が修正された後、秒針21、分針22、および時針23は、修正された時刻情報に基づく時刻が表示されるまで早送り運針される。
【0163】
秒針21、分針22、および時針23を早送り運針するときの第1のIC45および第2のIC46の動作について、図6を参照して説明する。
【0164】
図6は、秒針21、分針22、および時針23を早送り運針するときの第1のIC45および第2のIC46の動作を説明するフローチャートである。
図6に示すように、秒針21、分針22、および時針23を早送り運針するときの処理手順は、第2のIC46の電源をオンにする工程S41と、第1のIC45から第2のIC46へモーターパルスの形状に関する設定データを出力する工程S42と、秒針21、分針22、および時針23を早送り運針する工程S43と、秒針21、分針22、および時針23の早送り運針が停止したときに、早送り運針中に異常を検知したか否かを判断する工程S44と、異常が解消されたか否かを判断する工程S45と、所定時間が経過したか否かを判断する工程S46と、第2のIC46の電源をオフにする工程S47と、を有する。
【0165】
工程S41は、第2のIC46の電源をオンにする工程である。
工程S42は、第1のIC45から第2のIC46へモーターパルスの形状に関する設定データを出力する工程である。
工程S41および工程S42は、それぞれ実施形態1における工程S11および工程S12と同様である。したがって、工程S41および工程S42の説明は、省略する。
【0166】
工程S43は、秒針21、分針22、および時針23を早送り運針する工程である。
本実施形態では、工程S43は、実施形態1における工程S13と同様に、第2のIC46が定電流制御で第1モーター41および第2モーター42を制御している。
ただし、本実施形態では、工程S43において、第2のIC46は、第2のIC46による秒針21、分針22、および時針23の早送り運針中に異常を検知したときは、早送り運針を停止する。
【0167】
本実施形態では、「異常」とは、例えば、外部磁界や衝撃などの外乱を言う。
ところで、外乱が生じると、第2のIC46は、第1モーター41および第2モーター42を正確に駆動することが難しくなる。そのため、外乱が生じている状態で第1モーター41および第2モーター42を駆動すると、秒針21、分針22、および時針23の位置が狂うなどの問題がある。
そこで、異常を検知したとき、秒針21、分針22、および時針23の早送り運針を停止し、そして、異常が解消されたとき、秒針21、分針22、および時針23の早送り運針を再開することにより、上述した問題を防止することができる。
【0168】
しかし、異常を検知したとき、秒針21、分針22、および時針23の早送り運針を停止した後、第2のIC46の電源をオフにしてしまうと、異常が解消されたとき、秒針21、分針22、および時針23の早送り運針を再開するために、第2のIC46の電源をオンにし、さらに、第1のIC45から第2のIC46へモーターパルスの形状に関する設定データを出力することが必要になる。そのため、例えば、瞬間的な異常が生じた場合、異常は直ぐに解消されるにも関わらず、秒針21、分針22、および時針23の早送り運針を再開するまでに時間を要することがある。
【0169】
そこで、本実施形態では、異常を検知したとき、秒針21、分針22、および時針23の早送り運針を停止し、所定時間が経過した後に第2のIC46の電源をオフにする。
【0170】
これにより、例えば、検知された異常が瞬間的な異常であるとき、秒針21、分針22、および時針23の早送り運針を速やかに再開することができる。
【0171】
本実施形態では、異常を検知したとき、秒針21、分針22、および時針23の早送り運針を停止し、所定時間が経過した後に第2のIC46の電源をオフにする工程は、工程S43、および後述する工程S44、S45,S46,S47により実現される。
【0172】
なお、外乱の検知は、周知の外乱検知方法を用いることができる。
例えば、本実施形態では、第2のIC46は定電流制御で第1モーター41および第2モーター42を制御している。定電流制御では、コイルを流れる電流が下限電流閾値から上限電流閾値になるまでのオン時間や、コイルを流れる電流が上限電流閾値から下限電流閾値になるまでのオフ時間は、外乱が生じると変動する。そのため、第2のIC46が第1モーター41および第2モーター42を制御してときのオン時間やオフ時間をそれぞれ検出し、正常時におけるオン時間やオフ時間と比較することにより、外乱を検知することができる。
また、例えば、外部磁界が生じていると、その外部磁界によりコイルに電流が誘起される。そのため、第2のIC46が定電流制御で第1モーター41および第2モーター42を制御しているときは、外部磁界による誘起電流を検出することにより、外部磁界を検出することができる。
また、例えば、図示しない磁気センサーを電子時計1に設け、磁気センサーにより外部磁界を検知しても構わない。
このようにして、工程S43において、第2のIC46は異常を検知することができる。
【0173】
工程S43において、第2のIC46は、秒針21、分針22、および時針23の早送り運針中に異常を検知しないときは、修正された時刻情報に基づく時刻が表示されるまで、秒針21、分針22、および時針23を早送り運針する。換言すると、秒針21、分針22、および時針23が、それぞれ目的とする指針位置まで早送り運針されると、第2のIC46は、早送り運針を停止する。その後、工程S44に移る。
【0174】
一方、工程S43において、第2のIC46は、秒針21、分針22、および時針23の早送り運針中に異常を検知したときは、その時点で、秒針21、分針22、および時針23の早送り運針を停止する。そして、第2のIC46は、異常を検知したことを示す異常検知信号を第1のIC45に出力する。さらに、第2のIC46は、秒針21、分針22、および時針23の停止位置と、秒針21、分針22、および時針23がそれぞれ目的とする指針位置と、の差分に関する情報を、第1のIC45に出力する。その後、工程S44に移る。
【0175】
工程S44は、秒針21、分針22、および時針23の早送り運針が停止したときに、早送り運針中に異常を検知したか否かを判断する工程である。
第1のIC45は、第2のIC46から出力される異常検知信号に基づき、秒針21、分針22、および時針23の早送り運針中に異常が発生したか否かを判断する。
【0176】
ここで、工程S43において第2のIC46から異常検知信号が出力されていないとき、工程S44において第1のIC45は異常を検知していないと判断する。工程S44において、第1のIC45が異常を検知していないと判断した場合は、工程S47に移る。
【0177】
工程S47は、第2のIC46の電源をオフにする工程である。
工程S47は、実施形態1における工程S14と同様である。したがって、工程S47の説明は省略する。
工程S47が終了すると、電子時計1の動作モードは、通常時刻表示モードとなる。
【0178】
工程S44に戻り、工程S43において、第2のIC46が、秒針21、分針22、および時針23の早送り運針中に異常を検知したときの第1のIC45および第2のIC46の動作について、説明する。
【0179】
ここで、工程S43において第2のIC46から異常検知信号が出力されていたとき、工程S44において第1のIC45は異常を検知したと判断する。工程S44において、第1のIC45が異常を検知したと判断した場合は、工程S45に移る。
【0180】
工程S45は、異常が解消されたか否かを第1のIC45が判断する工程である。
【0181】
上述したように、外乱を検知する方法としては、周知の方法を用いることができる。
第1のIC45は、外乱が検知されないときは、異常が解消したと判断し、外乱が検知されるときは、異常が解消していないと判断する。
【0182】
工程S45において、第1のIC45が、異常は解消したと判断したとき、工程S43に移る。
一方、工程S45において、第1のIC45が、異常は解消していないと判断したとき、工程S46に移る。
換言すると、工程S45は、第2のIC46による秒針21、分針22、および時針23の早送り運針を再開するか否かを第1のIC45が判断する工程である。
【0183】
工程S46は、所定時間が経過したか否かを判断する工程である。詳細には、工程S46では、工程S43が終了した時点からの時間を計測し、工程S43が終了した時点からの現在までの時間が所定時間を越えたとき、第1のIC45は、所定時間が経過したと判断する。
【0184】
工程S46において、工程S43が終了した時点からの現在までの時間が所定時間を越えていないときは、上述した工程S45に移り、異常が解消されたか否かを判断する。
【0185】
一方、工程S46において、工程S43が終了した時点からの現在までの時間が所定時間を越えたときは、上述した工程S47に移り、第2のIC46の電源をオフにする。
【0186】
換言すると、所定時間が経過するまでは、第2のIC46の電源はオンの状態を維持しており、第2記憶回路76はモーターパルスの形状に関する設定データを記憶している。
【0187】
これにより、例えば、検知された異常が瞬間的な異常であるとき、秒針21、分針22、および時針23の早送り運針を速やかに再開することができる。
【0188】
次に、電子時計1が手動時差設定モードであるときの第1のIC45および第2のIC46の動作について、説明する。
【0189】
電子時計1が手動時差設定モードであるとき、第1のIC45は、ユーザーが選択したタイムゾーンに基づき、時計表示用の時刻情報を修正する。ユーザーに選択されたタイムゾーンに基づき時計表示用の時刻情報が修正された後、秒針21、分針22、および時針23は、修正された時刻情報に基づく時刻が表示されるまで早送り運針される。
【0190】
秒針21、分針22、および時針23を早送り運針するときの第1のIC45および第2のIC46の動作について、図6を参照して説明する。
【0191】
秒針21、分針22、および時針23を早送り運針するときの第1のIC45および第2のIC46の動作は、自動時刻修正モードと同様である。すなわち、秒針21、分針22、および時針23を早送り運針するときの処理手順は、第2のIC46の電源をオンにする工程S41と、第1のIC45から第2のIC46へモーターパルスの形状に関する設定データを出力する工程S42と、秒針21、分針22、および時針23を早送り運針する工程S43と、秒針21、分針22、および時針23の早送り運針が停止したときに、早送り運針中に異常を検知したか否かを判断する工程S44と、異常が解消されたか否かを判断する工程S45と、所定時間が経過したか否かを判断する工程S46と、第2のIC46の電源をオフにする工程S47と、を有する。したがって、手動時差設定モードにおける、秒針21、分針22、および時針23を早送り運針するときの第1のIC45および第2のIC46の動作については、説明を省略する。
【0192】
なお、図6には、図示しないが、自動時刻修正モードおよび手動時差設定モードにおいて、工程S47の終了後、秒針21、分針22、および時針23がそれぞれ目的とする指針位置まで移動していないときは、工程S47の終了後、秒針21、分針22、および時針23がそれぞれ目的とする指針位置まで移動するまで工程S41~工程S47を繰り返すようにしても構わない。
【0193】
以上述べたように、本実施形態によれば、実施形態1での効果に加えて、実施形態2と同様な効果を得ることができる。つまり、所定時間が経過するまでは、第2のIC46の電源はオンの状態が維持され、第2記憶回路76にはモーターパルスの形状に関する設定データを記憶されるので、第2のIC46による秒針21、分針22、および時針23の早送り運針を速やかに再開することができる。
【0194】
また、本実施形態では、第1のIC45は、異常を検知していないと判断した場合に第2のIC46の電源をオフにし、異常を検知したと判断した場合に、所定時間が経過した後に第2のIC46の電源をオフにしている。ただし、例えば、実施形態3と同様に、第1のIC45は、異常を検知していないと判断した場合に第2のIC46の電源をオフにし、異常を検知したと判断した場合に、第3駆動回路73および第4駆動回路74の電源をオフにし、所定時間が経過した後に第2記憶回路76の電源をオフにしても構わない。詳細には、図5に示すフローチャートにおける工程S33、工程S34、および工程S36を、それぞれ工程S43、工程S44、および工程S45に置き換えても構わない。
【0195】
5.実施形態5
次に、実施形態5に係る電子時計1aについて、説明する。
本実施形態に係る電子時計1aは、実施形態1に比べ、クロノグラフモードを有し、自動時刻修正モードおよび手動時差設定モードを有さないことや、第1のIC45aおよび第2のIC46aの構成および動作が異なること、が主な相違点であり、それ以外は実施形態1と同様である。詳細には、本実施形態では、第1のIC45aは、秒針101、分針102、時針103、分CG針104、秒CG針105、および1/10秒CG針106を制御し、第2のIC46aは、1/500秒CG針108を制御する。そして、第1のIC45aは、第2のIC46aによる1/500秒CG針108の運針が停止したときに、所定の条件に合致するか否かを判断し、所定の条件に合致すると判断した場合に所定時間が経過した後に第2のIC46の電源をオフにする。本実施形態では、所定の条件は、電子時計1aの動作モードが所定の動作モードであることである。詳細には、所定の動作モードは、クロノグラフモードである。つまり、クロノグラフモードは、所定の動作モードの一例である。
なお、上述した実施形態1と同様の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0196】
本実施形態では、電子時計1aは、2つの動作モードを有する。2つの動作モードは、時刻表示動作を実施する通常時刻表示モードと、クロノグラフ動作を実施するクロノグラフモードである。
【0197】
電子時計1aの動作モードがクロノグラフモードであるとき、電子時計1aはクロノグラフとして動作するように構成される。クロノグラフとは、経過時間を積算表示する機能であり、いわゆるストップウオッチ機能である。
【0198】
なお、電子時計1aが有する動作モードは、上述した動作モードに限定されず、電子時計1aの機能に応じて適宜設定して構わない。
【0199】
実施形態5に係る電子時計1aについて、図7図8、および図9を参照して説明する。
図7に示すように、電子時計1aは、秒針101、分針102、時針103、分CG針104、秒CG針105、1/10秒CG針106、および1/500秒CG針108を有する。秒針101、分針102、時針103、分CG針104、秒CG針105、1/10秒CG針106、および1/500秒CG針108は、本開示における指針の一例である。
秒針101、分針102、および時針103は、電子時計1aの動作モードが通常時刻表示モードおよびクロノグラフモードであるとき、時刻表示を行う。詳細には、秒針101、分針102、および時針103は、秒、分、および時をそれぞれ表示する。
分CG針104、秒CG針105、1/10秒CG針106、および1/500秒CG針108は、電子時計1aの動作モードがクロノグラフモードであるとき、それぞれ、分クロノグラフ表示、秒クロノグラフ表示、1/10秒クロノグラフ表示、および1/500秒クロノグラフ表示を行う。
また、1/500秒CG針108は、電子時計1aの動作モードがクロノグラフモードであるとき、1/500秒クロノグラフ表示を行う。さらに、1/500秒CG針108は、電子時計1aの動作モードが通常時刻表示モードであるとき、曜日を示す曜日指示針として機能し、曜日表示を行う。
【0200】
文字板11の中心には、図示しない指針軸が配置される。この指針軸には、分針102および時針103が同軸上かつ回動可能に取り付けられる。
秒針101は、文字板11の中心よりも9時側で他の指針とは独立した軸上に回動可能に設けられる。
分CG針104は、文字板11の中心よりも6時側で他の指針とは独立した軸上に回動可能に設けられる。
秒CG針105は、文字板11の中心よりも12時側で他の指針とは独立した軸上に回動可能に設けられる。
1/10秒CG針106は、文字板11の中心よりも3時側で他の指針とは独立した軸上に回動可能に設けられる。
1/500秒CG針108は、文字板11の中心で、分針102および時針103と同軸上に回動可能に設けられる。
【0201】
文字板11には、秒針101、分CG針104、秒CG針105、および1/10秒CG針106が指示するサブダイヤルが、文字板11の中心に対して9時位置、6時位置、12時位置、および3時位置にそれぞれ設けられる。
【0202】
秒針101、分針102、および時針103は、図示しないムーブメントを介して連動し、時刻を表示する。
【0203】
分CG針104は、60分で1周し、1周する間の駆動ステップは60分割されているので、1分単位のストップウオッチの計測値を表示する。秒CG針105は、60秒で1周し、1周する間の駆動ステップは60分割されているので、1秒単位のストップウオッチの計測値を表示する。1/10秒CG針106は、1秒で1周し、1周する間の駆動ステップは10分割されているので、1/10秒単位のストップウオッチの計測値を表示する。
【0204】
1/500秒CG針108は、1/10秒で1周し、1周する間の駆動ステップは50分割されているので、1/500秒単位のストップウオッチの計測値を表示する。文字板11の外周に沿った目盛は、1/500秒CG針108用に50分割された目盛である。
【0205】
文字板11の外周側に配置されるベゼル13には、曜日を示す曜日情報111が表記される。曜日情報111は、例えば、「SUN」のように曜日を3文字のアルファベットで略したスリーレターコードで表示される。
曜日情報111は、曜日指示針としての1/500秒CG針108の目盛である。
【0206】
通常時刻表示モードにおいて、曜日指示針としての1/500秒CG針108は、現在の曜日に相当する曜日情報111を指し示す。通常時刻表示モードでは、時計表示用の時刻情報などに基づき曜日が修正されない限り、曜日指示針としての1/500秒CG針108は、停止している。
時計表示用の時刻情報などに基づき曜日が修正されたとき、曜日指示針としての1/500秒CG針108は、修正された曜日に相当する曜日情報111を指し示すように運針される。
【0207】
曜日が修正されたとき、1/500秒CG針108は、修正された曜日に相当する曜日情報111を速やかに指し示す必要がある。そのため、1/500秒CG針108は修正された曜日に相当する曜日情報111を指し示す位置まで高速で運針される。
【0208】
図8に示すように、電子時計1aは、第1モーター121と、第2モーター122と、第3モーター123と、第4モーター124と、第5モーター125と、第1のIC45aと、第2のIC46aと、計時部51と、入力部56と、電池58と、を有する。
【0209】
第1モーター121は、図示しないムーブメントが有する輪列を介して、秒針101、分針102、および時針103を駆動する。第2モーター122、第3モーター123、第4モーター124、および第5モーター125は、図示しないムーブメントが有する輪列を介して、それぞれ、分CG針104、秒CG針105、1/10秒CG針106、および1/500秒CG針108を駆動する。第1モーター121、第2モーター122、第3モーター123、第4モーター124、および第5モーター125は、本開示におけるモーターの一例である。
【0210】
第1モーター121、第2モーター122、第3モーター123、および第4モーター124は、第1のIC45aから出力されるモーターパルスによって駆動される。第5モーター125は、第2のIC46aから出力されるモーターパルスによって駆動される。
【0211】
第1モーター121、第2モーター122、第3モーター123、第4モーター124、および第5モーター125は、電子時計用に用いられる2極単相ステッピングモーターである。
【0212】
第1のIC45aは、電子時計1aを制御するMCUである。
第1のIC45aは、第1モーター121、第2モーター122、第3モーター123、および第4モーター124を制御する機能を有する。詳細には、第1のIC45aは、第1のモーター制御機能を有する。より詳細には、第1のIC45aは、秒針101、分針102、および時針103が時刻表示を行うように第1モーター121を制御し、クロノグラフモードにおいて、分CG針104、秒CG針105、および1/10秒CG針106がクロノグラフ表示を行うように第2モーター122、第3モーター123、および第4モーター124を制御する機能を有する。第1モーター121、第2モーター122、第3モーター123、および第4モーター124を制御する機能は、第1のモーター制御機能の一例である。
また、第1のIC45aは、第2のIC46aを制御する機能を有する。
第1のIC45aは、ICチップである。
第1のIC45aの詳細については、後述する。
【0213】
第2のIC46aは、モータードライバーICである。
第2のIC46aは、第5モーター125を制御する機能を有する。詳細には、第2のIC46aは、第1のモーター制御機能とは異なる第2のモーター制御機能を有する。より詳細には、第2のIC46aは、1/500秒CG針108がクロノグラフ表示を行うように第5モーター125を制御する機能を有する。第5モーター125により1/500秒CG針108を運針する機能は、第2のモーター制御機能の一例である。
第2のIC46aは、ICチップである。
第2のIC46aの詳細については、後述する。
【0214】
電子時計1aのユーザーが入力部56を操作すると、その操作に応じた操作信号が、第1のIC45aに出力される。第1のIC45aは、操作信号に応じた動作モードで、電子時計1aを制御する。
例えば、本実施形態では、ユーザーがボタン37を長押しすることにより、電子時計1aの動作モードは、通常時刻表示モードからクロノグラフモードへ遷移する。クロノグラフモードにおいて、ボタン36を押すことにより、ストップウオッチとしての時間計測が開始され、ボタン36を再び押すことにより時間計測が停止される。時間計測が停止された状態でボタン37を押すことにより、分CG針104、秒CG針105、1/10秒CG針106、および1/500秒CG針108によるクロノグラフ表示はリセットされ、分CG針104、秒CG針105、1/10秒CG針106、および1/500秒CG針108は基準位置である零点位置に移動する。また、クロノグラフモードにおいて、ユーザーがボタン37を長押しすることにより、電子時計1aの動作モードは、クロノグラフモードから通常時刻表示モードへ遷移する。
【0215】
なお、本実施形態では、分CG針104、秒CG針105、1/10秒CG針106、および1/500秒CG針108を、それぞれ60分で1周、60秒で1周、1秒で1周、および1/10秒で1周する速度で駆動することをクロノグラフ運針と言う。
また、分CG針104、秒CG針105、1/10秒CG針106、および1/500秒CG針108を、それぞれ60分で1周、60秒で1周、1秒で1周、および1/10秒で1周する速度よりも高速で駆動することを早送り運針という。
分CG針104、秒CG針105、1/10秒CG針106、および1/500秒CG針108を、例えば、クロノグラフモードにおいて、クロノグラフ表示するときは、分CG針104、秒CG針105、1/10秒CG針106、および1/500秒CG針108はクロノグラフ運針される。また、例えば、クロノグラフモードにおいて、基準位置に移動させるときは、分CG針104、秒CG針105、1/10秒CG針106、および1/500秒CG針108は早送り運針される。また、例えば、通常時刻表示モードにおいて、曜日指示針としての1/500秒CG針108を曜日情報111を指し示す位置に移動するときは、1/500秒CG針108は早送り運針される。
【0216】
ここまで、電子時計1aの概略構成について、説明した。
次に、第1のIC45aの詳細について、説明する。
【0217】
図8に示すように、第1のIC45aは、第1駆動回路161と、第2駆動回路162と、第3駆動回路163と、第4駆動回路164と、第1記憶回路64と、電源制御回路168と、第1通信回路71と、を有する。また、第1のIC45aは、図示しないCPUを有し、第1記憶回路64に記憶されるプログラムに基づいて、各回路の制御などを行う。
【0218】
第1駆動回路161、第2駆動回路162、第3駆動回路163、および第4駆動回路164は、モーターを駆動する駆動回路である。
【0219】
詳細には、第1駆動回路161は、第1モーター121にモーターパルスを出力することにより、第1モーター121を駆動する。第2駆動回路162、第3駆動回路163、および第4駆動回路164は、それぞれ、第2モーター122、第3モーター123、および第4モーター124にモーターパルスを出力することにより、第2モーター122、第3モーター123、および第4モーター124を駆動する。
【0220】
本実施形態では、第1のIC45aは、定電圧制御で、第1モーター121、第2モーター122、第3モーター123、および第4モーター124を制御する。
【0221】
第1駆動回路161は、所定の周期に基づいて定期的に第1モーター121にモーターパルスを出力する。これにより、秒針101、分針102、および時針103は、第1モーター121により運針され、時刻を表示する。
また、第1駆動回路161は、必要に応じて、第1モーター121のローターの回転を検出し、このローターが回転したタイミングで、第1駆動回路161からモーターパルスを出力することにより、秒針101、分針102、および時針103を早送り運針しても構わない。
【0222】
クロノグラフモードにおいて、第2駆動回路162、第3駆動回路163、および第4駆動回路164は、所定の周期に基づいて定期的に、それぞれ第2モーター122、第3モーター123、および第4モーター124にモーターパルスを出力する。これにより、分CG針104、秒CG針105、および1/10秒CG針106は、それぞれ第2モーター122、第3モーター123、および第4モーター124によりクロノグラフ運針され、クロノグラフ表示を行う。
【0223】
また、クロノグラフモードにおいて、第2駆動回路162、第3駆動回路163、および第4駆動回路164は、第2モーター122、第3モーター123、および第4モーター124のそれぞれのローターの回転を検出し、それぞれのローターが回転したタイミングで、第2駆動回路162、第3駆動回路163、および第4駆動回路164からモーターパルスを出力する。これにより、分CG針104、秒CG針105、および1/10秒CG針106は、それぞれ第2モーター122、第3モーター123、および第4モーター124により早送り運針され、基準位置へ移動する。
【0224】
電源制御回路168は、第2のIC46aの電源を制御する。電源制御回路168は、例えば、第2のIC46aによる第5モーター125の駆動が開始されるとき、第2のIC46aの電源をオンにする。また、電源制御回路168は、例えば、第2のIC46aによる第5モーター125の駆動が停止したとき、第2のIC46aの電源をオフにする。電源制御回路168の詳細については、後述する。
【0225】
また、本実施形態では、第2のIC46aは、電源制御回路168を介して、電池58に接続している。ただし、電源制御回路168が第2のIC46aの電源を制御する構成は、このような構成に限定されない。例えば、第2のIC46aの内部に図示しない電源スイッチ回路を設け、電池58は、電源制御回路168を介さずに、この電源スイッチ回路を介して、第2のIC46aに電源を供給しても構わない。電源制御回路168は、この電源スイッチ回路を制御することにより、第2のIC46aの電源を制御することができる。
【0226】
ここまで、第1のIC45aの詳細について、説明した。
次に、第2のIC46aの詳細について、説明する。
【0227】
図8に示すように、第2のIC46aは、第5駆動回路175と、第2記憶回路76と、第2通信回路78と、を有する。また、第2のIC46aは、図示しないCPUを有し、第2記憶回路76に記憶されるプログラムに基づいて、各回路の制御などを行う。
【0228】
第5駆動回路175は、モーターを駆動する駆動回路である。
詳細には、第5駆動回路175は、第5モーター125にモーターパルスを出力することにより、第5モーター125を駆動する。
【0229】
本実施形態では、第2のIC46aは、定電流制御で第5モーター125を制御する。
【0230】
通常時刻表示モードにおいて、時計表示用の時刻情報などに基づき曜日が修正されたとき、第5駆動回路175は、第5モーター125のローターの回転角に基づいて、モーターにモーターパルスを出力する。これにより、曜日指示針としての1/500秒CG針108は第5モーター125により早送り運針される。
【0231】
クロノグラフモードにおいて、第5駆動回路175は、所定の周期に基づいて定期的に、第5モーター125にモーターパルスを出力する。これにより、1/500秒CG針108は、第5モーター125によりクロノグラフ運針され、クロノグラフ表示を行う。
【0232】
また、クロノグラフモードにおいて、第5駆動回路175は、第5モーター125のローターの回転角に基づいて、モーターパルスを出力する。これにより、1/500秒CG針108は、第5モーター125により早送り運針され、基準位置へ移動する。
【0233】
なお、第2のIC46aは、定電圧制御で第5モーター125を制御しても構わない。ただし、第5モーター125により駆動される1/500秒CG針108は、1/10秒CG針106などと比べ、高速で運針する必要がある。定電流制御は、定電圧制御に比べ、モーターを高速で駆動できる。そのため、第2のIC46aは、定電流制御で第5モーター125を制御することが好ましい。
【0234】
ここまで、第2のIC46aの詳細について、説明した。
【0235】
ここで、第1のIC45aが有する電源制御回路168の詳細について、説明する。
上述したように、電源制御回路68は、第2のIC46aの電源を制御する。
【0236】
本実施形態では、電源制御回路168は、第5駆動回路175の電源と、第2のIC46が有する第2記憶回路76の電源と、をそれぞれ個別に制御する機能を有している。また、電源制御回路168は、第2通信回路78の電源と、第5駆動回路175の電源と、を一括して制御する。
【0237】
なお、電源制御回路168が制御する電源の構成は上述した構成に限らない。
例えば、電源制御回路168は、第5駆動回路175の電源と、第2記憶回路76の電源と、をそれぞれ個別に制御し、第2記憶回路76の電源と、第2通信回路78の電源と、を一括して制御しても構わない。
また、例えば、電源制御回路168は、第5駆動回路175の電源と、第2記憶回路76の電源と、第2通信回路78の電源と、を一括して制御しても構わない。
【0238】
次に、電子時計1aが有する通常時刻表示モードと、クロノグラフモードと、のそれぞれ動作モードにおける第1のIC45aおよび第2のIC46aの動作について、説明する。
【0239】
なお、電子時計1aが有する動作モードは、上述した動作モードに限定されず、電子時計1aの機能に応じて適宜設定して構わない。
【0240】
まず、電子時計1aが通常時刻表示モードであるときの第1のIC45aおよび第2のIC46aの動作について、説明する。
【0241】
通常時刻表示モードでは、秒針101、分針102、および時針103は時刻表示を行う。
【0242】
秒針101、分針102、および時針103を駆動する第1モーター121は、第1駆動回路161から出力されるモーターパルスにより駆動される。
第1駆動回路161が出力するモーターパルスは、第1記憶回路64に記憶されるモーターパルスの形状に関する設定データに基づき、生成される。
【0243】
また、通常時刻表示モードでは、分CG針104、秒CG針105、および1/10秒CG針106は、基準位置に停止している。
つまり、通常時刻表示モードでは、第2駆動回路162、第3駆動回路163、および第4駆動回路164からのモーターパルスは出力されず、第2モーター122、第3モーター123、および第4モーター124は駆動されない。
【0244】
また、通常時刻表示モードでは、時計表示用の時刻情報などに基づき曜日が修正されない限り、1/500秒CG針108は、曜日指示針として、現在の曜日に相当する曜日情報111を指し示す位置で停止している。
時計表示用の時刻情報などに基づき曜日が修正されたとき、曜日指示針としての1/500秒CG針108は、修正された曜日に相当する曜日情報111を指し示すように早送り運針される。
【0245】
曜日指示針としての1/500秒CG針108を、修正された曜日に相当する曜日情報111を指し示す位置に移動するときの第1のIC45aおよび第2のIC46aの動作について、図9を参照して説明する。
【0246】
図9は、1/500秒CG針108を運針するときの第1のIC45aおよび第2のIC46aの動作を説明するフローチャートである。
図9に示すように、1/500秒CG針108を運針するときの処理手順は、第2のIC46の電源をオンにする工程S91と、第1のIC45aから第2のIC46aへモーターパルスの形状に関する設定データを出力する工程S92と、1/500秒CG針108を運針する工程S93と、1/500秒CG針108の運針が停止したときに電子時計1aの動作モードがクロノグラフモードであるか否かを判断する工程S94と、1/500秒CG針108の運針を再開するか否かを判断する工程S95と、所定時間が経過したか否かを判断する工程S96と、第2のIC46aの電源をオフにする工程S97と、を有する。
【0247】
工程S91は、第2のIC46aの電源をオンにする工程である。
工程S91では、電源制御回路168は、第2のIC46aの電源をオンにする。これにより、第5駆動回路175の電源および第2記憶回路76の電源はオンになる。
【0248】
工程S92は、第1のIC45aから第2のIC46aへモーターパルスの形状に関する設定データを出力する工程である。
工程S92では、まず、第1記憶回路64に記憶されるモーターパルスの形状に関する設定データが読み出される。第1記憶回路64から読み出されるモーターパルスの形状に関する設定データは、第5駆動回路175がモーターパルスを生成するために用いられる。第1記憶回路64から読み出されたモーターパルスの形状に関する設定データは、第2のIC46aへ出力される。第2のIC46aへ出力されたモーターパルスの形状に関する設定データは、第2記憶回路76に記憶される。詳細には、通常時刻表示モードでは、第2記憶回路76に記憶されるモーターパルスの形状に関する設定データは、1/500秒CG針108を早送り運針するためのモーターパルスの形状に関する設定データである。
【0249】
工程S93は、1/500秒CG針108を運針する工程である。
工程S93では、第5駆動回路175は、第2記憶回路76に記憶されるモーターパルスの形状に関する設定データに基づき生成されるモーターパルスを、第5モーター125に出力する。詳細には、第5駆動回路175は、曜日指示針としての1/500秒CG針108を早送り運針するためのモーターパルスを出力する。
【0250】
通常時刻表示モードにおいて、1/500秒CG針108が、修正された曜日に相当する曜日情報111を指し示す位置まで移動したとき、第5駆動回路175は、第5モーター125の駆動を停止する。これにより、第2のIC46aによる1/500秒CG針108の運針が停止する。
第2のIC46aによる1/500秒CG針108の運針が停止すると、工程S93は終了する。
【0251】
工程S94は、1/500秒CG針108の運針が停止したときに、電子時計1aの動作モードがクロノグラフモードであるか否かを、第1のIC45aが判断する工程である。換言すると、工程S94は、第1のIC45aが、第2のIC46aによる1/500秒CG針108の駆動が停止したときに、所定の条件に合致しているか否かを判断する工程である。
【0252】
ここでは、第2のIC46aによる1/500秒CG針108の駆動は、通常時刻表示モードにおいて実行されている。そのため、工程S94において、第1のIC45aは、電子時計1aの動作モードがクロノグラフモードではないと判断する。
【0253】
工程S94において、電子時計1aの動作モードはクロノグラフモードではないと第1のIC45aが判断した場合は、工程S97に移る。
【0254】
工程S97は、第2のIC46aの電源をオフにする工程である。
工程S97では、電源制御回路168は、第2のIC46aの電源をオフにする。これにより、第5駆動回路175、第2通信回路78、および第2記憶回路76のそれぞれの電源はオフになる。
なお、上述したように、第2記憶回路76は揮発性メモリーであるため、第2記憶回路76の電源がオフになると、工程S92において第2記憶回路76に記憶されたモーターパルスの形状に関する設定データは、第2記憶回路76から消去される。
【0255】
このようにして、曜日指示針としての1/500秒CG針108は、修正された曜日に相当する曜日情報111を指し示す位置に移動する。
【0256】
次に、電子時計1aがクロノグラフモードであるときの第1のIC45aおよび第2のIC46aの動作について、説明する。
【0257】
本実施形態では、例えば、通常時刻表示モードにおいて、ユーザーがボタン37を長押しすることにより、第1のIC45aは、電子時計1aを通常時刻表示モードからクロノグラフモードに遷移させる。
【0258】
クロノグラフモードにおいて、秒針101、分針102、時針103は、通常時刻表示モードと同様に、時刻表示を行う。したがって、秒針101、分針102、時針103の駆動については、説明を省略する。
【0259】
クロノグラフモードでは、分CG針104、秒CG針105、1/10秒CG針106、および1/500秒CG針108は、入力部56の操作に応じて、クロノグラフ表示を行う。
【0260】
まず、1/500秒CG針108以外の指針によるクロノグラフ表示、すなわち、分CG針104、秒CG針105、および1/10秒CG針106によるクロノグラフ表示について、説明する。
【0261】
クロノグラフモードでは、第2駆動回路162、第3駆動回路163、および第4駆動回路164からモーターパルスが出力される。これにより、第2モーター122、第3モーター123、および第4モーター124は、それぞれ第2駆動回路162、第3駆動回路163、および第4駆動回路164からそれぞれ出力されるモーターパルスにより駆動できる。
【0262】
第2駆動回路162、第3駆動回路163、および第4駆動回路164から、それぞれ出力されるモーターパルスは、第1記憶回路64に記憶されるモーターパルスの形状に関する設定データに基づき、生成される。
このように、分CG針104、秒CG針105、および1/10秒CG針106は、第1のIC45aにより制御される。
分CG針104、秒CG針105、および1/10秒CG針106をクロノグラフモードにおいて運針するときの第1のIC45aの動作については、クロノグラフ機能を有する一般的な電子時計と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0263】
次に、1/500秒CG針108によるクロノグラフ表示について、説明する。
1/500秒CG針108をクロノグラフモードにおいて運針するときの第1のIC45aおよび第2のIC46aの動作について、図9を参照して説明する。
【0264】
工程S91は、第2のIC46aの電源をオンにする工程である。
工程S91は、電子時計1aの動作モードが通常時刻表示モードであるときと同様であるため、説明を省略する。
【0265】
工程S92は、第1のIC45aから第2のIC46aへモーターパルスの形状に関する設定データを出力する工程である。
モーターパルスの形状に関する設定データが第1のIC45aから第2のIC46aへ出力され、第2記憶回路76に記憶されることは、通常時刻表示モードと同様である。ただし、クロノグラフモードにおいて第2記憶回路76に記憶されるモーターパルスの形状に関する設定データは、通常時刻表示モードにおいて第2記憶回路76に記憶されるモーターパルスの形状に関する設定データとは異なる。詳細には、クロノグラフモードでは、第2記憶回路76に記憶されるモーターパルスの形状に関する設定データは、1/500秒CG針108をクロノグラフ運針するためのモーターパルスの形状に関する設定データ、および1/500秒CG針108を早送り運針するためのモーターパルスの形状に関する設定データである。
【0266】
このように、本実施形態では、第1のIC45aが有する第1のモーター制御機能とは異なる第2のモーター制御機能を有する第2のIC46aを設けることにより、第1のIC45aの大型化や高コスト化を抑制しながら、電子時計1aを多機能化することができる。
また、本実施形態では、モーターパルスの形状に関する設定データは、第1のIC45aから第2のIC46aに出力されるので、第2のIC46aは、この設定データに基づいて適切な形状を有するモーターパルスを生成することができる。換言すると、本実施形態では、モーターや電子時計の仕様に応じたモーターパルスを第2のIC46aに設定することができる。
【0267】
工程S93は、1/500秒CG針108を運針する工程である。
工程S93では、第5駆動回路175は、第2記憶回路76に記憶されるモーターパルスの形状に関する設定データに基づき生成されるモーターパルスを、第5モーター125に出力する。
【0268】
入力部56の操作に応じて、第5駆動回路175は、1/500秒CG針108をクロノグラフ運針するときは、クロノグラフ運針するためのモーターパルスを出力し、1/500秒CG針108を早送り運針するときは、早送り運針するためのモーターパルスを出力する。
【0269】
そして、例えば、クロノグラフ運針中に入力部56が操作されたとき、あるいは、1/500秒CG針108が早送り運針されて基準位置まで移動したとき、第5駆動回路175は、第5モーター125の駆動を停止する。これにより、第2のIC46aによる1/500秒CG針108の運針が停止する。
第2のIC46aによる1/500秒CG針108の運針が停止すると、工程S93は終了する。
【0270】
工程S94は、1/500秒CG針108の運針が停止したときに、電子時計1aの動作モードがクロノグラフモードであるか否かを、第1のIC45aが判断する工程である。
【0271】
ここでは、第2のIC46aによる1/500秒CG針108の駆動は、クロノグラフモードにおいて実行されている。そのため、工程S94において、第1のIC45aは、電子時計1aの動作モードがクロノグラフモードであると判断する。
【0272】
工程S94において、電子時計1aの動作モードはクロノグラフモードであると第1のIC45が判断した場合は、工程S95に移る。
【0273】
工程S95は、第2のIC46aによる1/500秒CG針108の運針を再開するか否かを第1のIC45aが判断する工程である。
例えば、本実施形態では、第1のIC45aは、ユーザーが新たに入力部56を操作したとき、1/500秒CG針108の運針を再開すると判断する。
ユーザーが入力部56を操作すると、その操作に応じた操作信号が、第1のIC45aに出力される。第1のIC45aは、入力部56から出力される操作信号に基づき、1/500秒CG針108の運針を再開すると判断する。
【0274】
工程S95において、第1のIC45aが、1/500秒CG針108の運針を再開すると判断したとき、工程S93に移り、1/500秒CG針108の運針を実行する。
そして、工程S93が終了すると、工程S94に移る。
【0275】
一方、ユーザーが新たに入力部56を操作しないときは、入力部56から第1のIC45aへ操作信号は出力されないため、第1のIC45aは、1/500秒CG針108の運針を再開しないと判断する。
工程S95において、第1のIC45aが、1/500秒CG針108の運針を再開しないと判断したとき、工程S96に移る。
【0276】
工程S96は、所定時間が経過したか否かを判断する工程である。詳細には、工程S96では、工程S93が終了した時点からの時間を計測し、工程S93が終了した時点からの現在までの時間が所定時間を越えたとき、第1のIC45aは、所定時間が経過したと判断する。工程S93が終了した時点からの現在までの時間は、例えば、計時部51からの出力に基づいて計測される。所定時間は、電子時計1aの製造時などにおいて予め設定され、第1記憶回路64に記憶される。
【0277】
工程S93が終了した時点からの現在までの時間が所定時間を越えていないときは、上述した工程S95に移り、1/500秒CG針108の運針を再開するか否かを判断する。
【0278】
工程S93が終了した時点からの現在までの時間が所定時間を越えたときは、上述した工程S97に移り、第2のIC46aの電源をオフにする。
つまり、本実施形態では、電子時計1aの動作モードがクロノグラフモードであると判断されるとき、1/500秒CG針108を運針した後、所定時間が経過した後に第2のIC46aの電源をオフにする。
【0279】
換言すると、所定時間が経過するまでは、第2のIC46aの電源はオンの状態を維持しており、第2記憶回路76はモーターパルスの形状に関する設定データを記憶している。
【0280】
これにより、クロノグラフモードでは、例えば、ユーザーが短時間のうちに複数回連続してクロノグラフ表示を行うときに、速やかにクロノグラフ表示を行うことができる。また、通常時刻表示モードでは、1/500秒CG針108を早送り運針した後に、第2のIC46aの電源を速やかにオフにするため、電子時計1aの消費電力が抑制される。
【0281】
なお、図9には、図示しないが、電子時計1aの動作モードがクロノグラフモードであるとき、工程S97の終了後、例えば、ボタン36あるいはボタン37が押されたときは、クロノグラフモードを継続したまま、工程S91~工程S97を繰り返す。工程S97の終了後、例えば、ボタン37が長押しされたときは、クロノグラフモードから通常時刻表示モードへ遷移する。
【0282】
以上述べたように、本実施形態によれば、実施形態1での効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
第1のIC45aは、第2のIC46aによる1/500秒CG針108の駆動が停止したときに、所定の条件に合致するか否かを判断し、所定の条件に合致すると判断した場合に所定時間が経過した後に第2のIC46aの電源をオフにする。
これにより、所定時間が経過するまでは、第2のIC46aの電源はオンの状態が維持され、第2記憶回路76にはモーターパルスの形状に関する設定データを記憶されるので、第2のIC46aによる1/500秒CG針108の運針を速やかに再開することができる。また、第1のIC45aは、所定の条件に合致しないと判断した場合、第2のIC46aの電源を速やかにオフにするため、電子時計1aの消費電力が抑制される。
【0283】
以上、電子時計1,1aについて、実施形態1~5に基づいて説明した。ただし、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物が付加されていても構わない。また、各実施形態を適宜組み合わせても構わない。
【0284】
例えば、実施形態1~4において、第1のIC45と、第2のIC46と、はそれぞれ異なるモーターを制御しても構わない。また、例えば、実施形態5において、第1のIC45と、第2のIC46と、は同じモーターを制御しても構わない。
【0285】
また、例えば、実施形態1において、日車29は、分針22および時針23と連動して、第1モーター41により駆動されるが、第1モーター41および第2モーター42とは別にモーターを設け、このモーターにより日車29を駆動しても構わない。さらに、第2のIC46が定電流制御でこのモーターを制御するようにしても構わない。一般的に、分針や時針などの駆動と比べ、日車の駆動に要するステッピングモーターのステップ数は多いため、例えば、1日分の日車を移動させるために時間が掛かることがある。そこで、日車を駆動するモーターを第2のIC46が定電流制御で制御することにより、日車の移動を高速で行うことができる。
【0286】
また、例えば、実施形態5において、実施形態3と同様に、第2のIC46aが有する駆動回路である第5駆動回路175の電源と、第2のIC46aが有する第2記憶回路76と、を個別に制御する構成としても構わない。
【符号の説明】
【0287】
1,1a…電子時計、21,101…秒針(指針)、22,102…分針(指針)、23,103…時針(指針)、29…日車(指針)、104…分CG針(指針)、105…秒CG針(指針)、106…1/10秒CG針(指針)、108…1/500秒CG針(指針)、41,121…第1モーター、42,122…第2モーター、123…第3モーター、124…第4モーター、125…第5モーター、45,45a…第1のIC、46,46a…第2のIC、61,161…第1駆動回路、62,162…第2駆動回路、73,163…第3駆動回路、74,164…第4駆動回路、175…第5駆動回路、64…第1記憶回路、76…第2記憶回路(揮発性メモリー)、71…第1通信回路、78…第2通信回路、66…駆動切換回路、68,168…電源制御回路。
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8
図9