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▶ 株式会社サンセイアールアンドディの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161723
(43)【公開日】2023-11-08
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20231031BHJP
【FI】
A63F7/02 320
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022072236
(22)【出願日】2022-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】100184550
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 珠美
(74)【代理人】
【識別番号】100166785
【弁理士】
【氏名又は名称】大川 智也
(72)【発明者】
【氏名】浅賀 崇雅
【テーマコード(参考)】
2C333
【Fターム(参考)】
2C333AA11
2C333CA22
2C333CA49
2C333CA83
2C333DA02
(57)【要約】
【課題】遊技処理情報の初期設定がされているか否か及びその頻度に対する遊技者の関心を向上できる遊技機を提供する。
【解決手段】パチンコ機の主制御基板は、遊技に関する処理を実行するCPUと、遊技に関する処理のための遊技処理情報を記憶するRAMとを備える。主制御基板のCPUは、パチンコ機の電源がONにされた場合に、所定の操作に応じてRAMに記憶されている遊技処理情報の初期設定をする、RAMクリア処理を実行する。据え置き回数Gは、パチンコ機がRAMクリア処理を伴って電源がONにされた後、電源がOFFにされ、その後RAMクリア処理が実行されずに遊技機の電源がONにされた回数である。サブ制御基板のCPUは、据え置き回数Gの値に応じて、据え置き示唆演出の態様を決定する(S539)。
【選択図】図19
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技に関する処理を制御する遊技制御手段と、
前記遊技に関する処理のための遊技処理情報を記憶する記憶手段と、
遊技機の電源がONにされた場合に、所定の操作に応じて前記記憶手段に記憶されている前記遊技処理情報の初期設定を実行する初期設定手段と、
前記初期設定手段によって前記遊技処理情報の前記初期設定が実行されたか否かを示唆する示唆演出の態様を決定する示唆演出態様決定手段と、
前記示唆演出態様決定手段によって決定された態様で前記示唆演出を実行することができる示唆演出実行手段と
を備え、
前記示唆演出態様決定手段は、
前記初期設定手段によって前記遊技処理情報の前記初期設定が実行された後に、遊技機の電源がOFFにされ及び前記初期設定手段による前記遊技処理情報の前記初期設定が実行されずに遊技機の電源がONにされた回数に応じて、前記示唆演出の態様を決定する
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
遊技に関する処理を制御する遊技制御手段と、
前記遊技に関する処理のための遊技処理情報を記憶する記憶手段と、
遊技機の電源がONにされた場合に、所定の操作に応じて前記記憶手段に記憶されている前記遊技処理情報の初期設定を実行する初期設定手段と、
前記初期設定手段によって前記遊技処理情報の前記初期設定が実行されたか否かを示唆する示唆演出の態様を決定する示唆演出態様決定手段と、
前記示唆演出態様決定手段によって決定された態様で前記示唆演出を実行することができる示唆演出実行手段と
を備え、
前記示唆演出態様決定手段は、
前記初期設定手段による前記遊技処理情報の前記初期設定を伴って遊技機の電源がONにされたことが繰り返された回数に応じて、前記示唆演出の態様を決定する
ことを特徴とする遊技機。
【請求項3】
当たりであるかの判定結果を示す図柄を変動させた後に停止表示させる変動表示を実行する図柄制御手段と、
前記遊技の状態を複数設定可能であり、第一の遊技の状態において前記図柄制御手段によって前記変動表示が実行された回数が所定数に到達した場合、前記第一の遊技の状態よりも前記変動表示の実行頻度が高い第二の遊技の状態に移行する遊技状態移行手段と
を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記示唆演出実行手段は、遊技機の電源がONにされた後、前記遊技の状態が前記第一の遊技の状態から前記第二の遊技の状態に最初に移行するまでの間に、前記示唆演出を実行することを特徴とする請求項3に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遊技に関する処理のために遊技機に記憶されている遊技処理情報が遊技機の起動時に初期設定されたか否かを示唆する遊技機が知られている。特許文献1は、遊技機に設定中の性能に対応する示唆利用情報を表示し、その翌日に遊技者によって入力された入力情報と遊技機に記憶されている示唆利用情報とを比較し、入力情報と示唆利用情報とが一致するかを示す遊技機を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-52913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の遊技機は、入力情報と示唆利用情報とが一致するかを示すことによって、遊技機に設定中の性能が変更されたか否か、すなわち遊技処理情報の初期設定がされたか否かを示唆する。しかしながら、上記の遊技機は、設定中の性能が変更されていない場合に、どれだけの期間に亘って変更されていないかを示唆することができない。また、上記の遊技機には、設定中の性能が変更されている場合に、どれだけの頻度で変更されているかを示唆できないといった問題点がある。
【0005】
本発明は、遊技処理情報の初期設定がされているか否か及びその頻度に対する遊技者の関心を向上できる遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一態様に係る遊技機は、遊技に関する処理を制御する遊技制御手段と、前記遊技に関する処理のための遊技処理情報を記憶する記憶手段と、遊技機の電源がONにされた場合に、所定の操作に応じて前記記憶手段に記憶されている前記遊技処理情報の初期設定を実行する初期設定手段と、前記初期設定手段によって前記遊技処理情報の前記初期設定が実行されたか否かを示唆する示唆演出の態様を決定する示唆演出態様決定手段と、前記示唆演出態様決定手段によって決定された態様で前記示唆演出を実行することができる示唆演出実行手段とを備え、前記示唆演出態様決定手段は、前記初期設定手段によって前記遊技処理情報の前記初期設定が実行された後に、遊技機の電源がOFFにされ及び前記初期設定手段による前記遊技処理情報の前記初期設定が実行されずに遊技機の電源がONにされた回数に応じて、前記示唆演出の態様を決定することを特徴とする。
【0007】
本発明の第一態様に係る遊技機は、初期設定手段によって遊技処理情報の初期設定が実行された後に、遊技機の電源がOFFにされ及び初期設定手段による遊技処理情報の初期設定が実行されずに電源がONにされた回数に応じて示唆演出の態様を変化する。これにより、本発明に係る遊技機は、前回に遊技処理情報の初期設定が実行された後から、電源がOFFにされ及び初期設定手段による遊技処理情報の初期設定が実行されずに電源がONにされたことが繰り返された回数を、遊技者に示唆することができる。したがって、本発明に係る遊技機は、遊技処理情報の初期設定がされているか否か及びその頻度に対する遊技者の関心を向上できる。
【0008】
本発明の第二態様に係る遊技機は、遊技に関する処理を制御する遊技制御手段と、前記遊技に関する処理のための遊技処理情報を記憶する記憶手段と、遊技機の電源がONにされた場合に、所定の操作に応じて前記記憶手段に記憶されている前記遊技処理情報の初期設定を実行する初期設定手段と、前記初期設定手段によって前記遊技処理情報の前記初期設定が実行されたか否かを示唆する示唆演出の態様を決定する示唆演出態様決定手段と、前記示唆演出態様決定手段によって決定された態様で前記示唆演出を実行することができる示唆演出実行手段とを備え、前記示唆演出態様決定手段は、前記初期設定手段による前記遊技処理情報の前記初期設定を伴って遊技機の電源がONにされたことが繰り返された回数に応じて、前記示唆演出の態様を決定することを特徴とする。
【0009】
本発明の第二態様に係る遊技機は、初期設定手段による遊技処理情報の初期設定を伴って遊技機の電源がONにされたことが繰り返された回数に応じて示唆演出の態様を変化する。これにより、本発明に係る遊技機は、遊技処理情報の初期設定を伴って遊技機の電源がONにされたことが繰り返された回数を、遊技者に示唆することができる。したがって、本発明に係る遊技機は、遊技処理情報の初期設定がされているか否か及びその頻度に対する遊技者の関心を向上できる。
【0010】
上記の遊技機は、当たりであるかの判定結果を示す図柄を変動させた後に停止表示させる変動表示を実行する図柄制御手段と、前記遊技の状態を複数設定可能であり、第一の遊技の状態において前記図柄制御手段によって前記変動表示が実行された回数が所定数に到達した場合、前記第一の遊技の状態よりも前記変動表示の実行頻度が高い第二の遊技の状態に移行する遊技状態移行手段とを備えてもよい。
【0011】
この場合、遊技機に第一の遊技の状態が設定されているときには、初期設定手段による遊技処理情報の初期設定が実行されずに電源がONにされたことが繰り返されているほど、第一の遊技の状態から第二の遊技の状態に移行しやすい状況となる。遊技機は、示唆演出を実行することによって、第一の遊技の状態から第二の遊技の状態に移行しやすい状況にあるかを、遊技者に示唆し、遊技の興趣を向上できる。
【0012】
前記示唆演出実行手段は、遊技機の電源がONにされた後、前記遊技の状態が前記第一の遊技の状態から前記第二の遊技の状態に最初に移行するまでの間に、前記示唆演出を実行してもよい。
【0013】
この場合、遊技機は、遊技の状態が第一の遊技の状態から第二の遊技の状態に移行するまでの間において示唆演出を実行するので、第一の遊技の状態から第二の遊技状態に移行しやすい状況にあるかに対する遊技者の関心を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】パチンコ機1の正面図である。
図2】パチンコ機1の電気的構成を示すブロック図である。
図3】RAM52の特図1大当たり関係情報記憶エリアを示す概念図である。
図4】ROM53に記憶されている変動パターン決定テーブルを示す概念図である。
図5】ROM53に記憶されている大当たり判定テーブルを示す概念図である。
図6】主制御基板41において行われるメイン処理のフローチャートである。
図7】メイン処理において行われる電源投入時処理のフローチャートである。
図8図7に続くフローチャートである。
図9】メイン処理において行われる特別図柄処理のフローチャートである。
図10図9に続くフローチャートである。
図11図10に続くフローチャートである。
図12】特別図柄処理において行われる遊技状態移行処理のフローチャートである。
図13図12に続くフローチャートである。
図14】メイン処理において行われる特別電動役物処理のフローチャートである。
図15】サブ制御基板58において行われるサブ制御基板処理のフローチャートである。
図16】報知演出及び遊タイム開始演出の例を示す説明図である。
図17】サブ制御基板処理において行われるサブ電源投入時処理のフローチャートである。
図18】待機中画像119の例を示す説明図である。
図19】サブ電源投入時処理において行われるサブ復帰処理のフローチャートである。
図20】サブ電源投入時処理において行われるサブ初期状態設定処理のフローチャートである。
図21】RAMクリア示唆演出の例を示す説明図である。
図22】据え置き示唆演出の例を示す説明図である。
図23】RAMクリア示唆+設定変更示唆演出の例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る遊技機の第一実施形態であるパチンコ機1について、図面を参照して説明する。まず、図1を参照して、パチンコ機1の機械的構成について説明する。以下の説明では、図1の手前側、奥側、上側、下側、左側、及び右側を、それぞれ、パチンコ機1の前側、後側、上側、下側、左側、及び右側とする。パチンコ機1は、特別図柄を備えた、いわゆる旧1種タイプの遊技機である。本願が開示する技術は、遊技に関する処理のための遊技処理情報を記憶し、また、記憶している遊技処理情報の初期設定をすることのできる遊技機であれば、旧2種タイプ、1種2種混合タイプ等、様々な遊技仕様の遊技機に適用できる。
【0016】
図1に示すように、パチンコ機1は、遊技機枠30と遊技盤2とを備える。遊技機枠30は、前面枠31と、図示しない本体枠及び外枠を備える。外枠は、パチンコ機1をホールの島設備に固定するための枠部材である。本体枠は、遊技盤2等を取り付けるための枠体である。本体枠は、外枠に対して開閉可能に装着されている。前面枠31は、本体枠に対して開閉可能に装着されている。前面枠31には、図示しない透明板が着脱可能に固定されている。透明板は、例えばガラス板である。前面枠31は、透明板とともに遊技盤2を前方から覆う。
【0017】
前面枠31は、発射ハンドル32、上皿33、下皿34、演出ボタン35、演出レバー36、枠ランプ38及びスピーカ39を備える。発射ハンドル32は、前面枠31の右下部に設けられている。発射ハンドル32は、遊技者が回転操作をできるように構成されている。遊技者が発射ハンドル32を回転させて発射操作を行うと、発射ハンドル32の回転角度に応じた強度で、図2に示す遊技球発射装置37によって遊技球が発射される。上皿33は、前面枠31の中央下部に設けられている。上皿33は、遊技球発射装置37に金属製の遊技球を供給し、且つ賞球を受ける。下皿34は、上皿33の下方に設けられている。下皿34は、賞球を受ける。演出ボタン35は、上皿33の上面に設けられている。演出ボタン35は、遊技者が押下操作をできるように構成されている。演出レバー36は、前面枠31の左下部に設けられている。演出レバー36は、遊技者が左右方向への回転操作及び後方への押込操作をできるように構成されている。枠ランプ38は、前面枠31の上部、左部及び右部等に設けられる装飾部である。枠ランプ38は、LED等の光源を内蔵し、光を用いた各種の演出を実行する。スピーカ39は、前面枠31の上部の左右の角部に設けられている。スピーカ39は、音楽、音声、効果音等の各種の音を出力する。
【0018】
遊技盤2は正面視略正方形の板状である。遊技盤2の前面には、ガイドレール3で囲まれた略円形の遊技領域4が形成されている。ガイドレール3は、遊技領域4の左側に形成されている。遊技領域4の略中央には、センター飾り21が設けられている。遊技球発射装置37によって発射された遊技球は、ガイドレール3によって遊技領域4へ導かれ、遊技領域4内を流下する。所定の強度未満の発射強度で発射された遊技球は、センター飾り21の左側を流下し、所定の強度以上で発射された遊技球は、センター飾り21の右側を流下する。以下、遊技球がセンター飾り21の左側を流下するように遊技球を発射することを「左打ち」と、遊技球がセンター飾り21の右側を流下するように遊技球を発射することを「右打ち」という。
【0019】
センター飾り21は、表示画面28を主に備える。表示画面28は、センター飾り21の略中央に配置される。表示画面28は、例えばLCD等によって構成されており、数字・文字、様々な動画等を表示可能である。表示画面28は、報知演出を実行可能である。報知演出は、図10に示す演出用の図柄である演出図柄100を変動させた後に、後述する大当たり判定の結果を示す演出図柄100の組合せを確定表示させる図柄変動を行うことで、大当たり判定の結果を遊技者に報知する演出である。また、センター飾り21は、LED等の光源を有して構成される、図2に示す盤ランプ27を内蔵している。センター飾り21は、盤ランプ27によって、光を用いた各種の演出を実行する。
【0020】
センター飾り21の略中央下方には、第一始動口14が設けられている。第一始動口14は、後述する第一特別図柄の始動口として機能する。第一始動口14の右下方には、大入賞口16が設けられている。大入賞口16は、いわゆる特別電動役物(大当たり判定の結果に基づき入賞口の大きさを変化する役物)に係る入賞口として構成されている。大入賞口16は、左右方向に長手方向を有して延び、大入賞口16の入口を開閉可能に構成された開閉部材161を備える。遊技球は、開閉部材161が開放された場合にのみ、大入賞口16に入賞することができる。大入賞口16の開閉部材161は、図2に示す大入賞口ソレノイド70によって電気的に開閉される。大入賞口16の開閉部材161は、後述する大当たり遊技において開放する。
【0021】
センター飾り21の右方には、遊技球が通過可能なゲート12が設けられている。ゲート12は、普通図柄の作動ゲートである。ゲート12の下方には、第二始動口15が設けられている。第二始動口15は、後述する第二特別図柄の始動口として機能する。第二始動口15は、いわゆる普通電動役物(普通当たり判定の結果に基づき入賞口の入口の大きさを変更する役物)に係る入賞口として構成されている。第二始動口15は、片羽根状であり、第二始動口15の入口を開閉可能に構成された開閉部材151を備える。遊技球は、開閉部材151が開放された場合にのみ、第二始動口15に入賞することができる。第二始動口15の開閉部材151は、図2に示す第二始動口ソレノイド69によって電気的に開閉される。第二始動口15の開閉部材151は、後述する普通当たり遊技において開放される。
【0022】
遊技盤2の右下部には、図柄表示部29が設けられている。図柄表示部29は、第一特別図柄表示部、第二特別図柄表示部、普通図柄表示部、第一特別図柄記憶数表示LED、第二特別図柄記憶数表示LED及び普通図柄記憶数表示LED等を備える。第一特別図柄表示部及び第二特別図柄表示部は、それぞれ複数個のLEDからなる。第一特別図柄表示部は、LEDを点滅表示すること等による変動表示をした後に、LEDの点灯及び消灯を所定の組合せとして確定表示することによって、第一始動口14に遊技球が入賞したことを契機として実行された大当たり判定の結果を報知する。第一特別図柄表示部に確定表示される組合せのそれぞれを、第一特別図柄という。以下、第一始動口14に遊技球が入賞したことを契機として実行される大当たり判定を、「特図1大当たり判定」という。第二特別図柄表示部は、第一特別図柄表示部と同様の変動表示をした後に、LEDの点灯及び消灯を所定の組合せとして確定表示することによって、第二始動口15に遊技球が入賞したことを契機として実行された大当たり判定の結果を報知する。第二特別図柄表示部に確定表示される組合せのそれぞれを、第二特別図柄という。以下、第二始動口15に遊技球が入賞したことを契機として実行される大当たり判定を、「特図2大当たり判定」という。以下では、第一特別図柄及び第二特別図柄を総称する場合、単に特別図柄という。
【0023】
普通図柄表示部は、特別図柄の変動表示と同様の変動表示をした後に、LEDの点灯及び消灯を所定の組合せとして確定表示することによって、遊技球がゲート12を通過することを契機として実行される普通当たり判定の結果を報知する。普通図柄表示部に確定表示される組合せのそれぞれを、普通図柄という。第一保留数表示LEDは、特図1大当たり判定の実行が保留されている数である第一保留数を表示する。第二保留数表示LEDは、特図2大当たり判定の実行が保留されている数である第二保留数を表示する。普通保留数表示LEDは、普通当たり判定の実行が保留されている数である普通保留数を表示する。
【0024】
遊技領域4には、上記以外に、アウト口19、各種の装飾部材、その他の入賞口及び図示しない遊技くぎ等が設けられている。アウト口19は、遊技盤2の下部に設けられている。遊技領域4を流下する遊技球のうち、第一始動口14、第二始動口15、大入賞口16及びその他の入賞口のいずれにも入賞せず遊技領域4の下部まで流下した遊技球は、アウト口19を通過した後、遊技領域4の外部へ排出される。
【0025】
なお、遊技領域4において、各遊技部材が上記のように配設されるため、左打ちされた遊技球は、右打ちされた遊技球よりも、第一始動口14へ入賞しやすい。右打ちされた遊技球が第一始動口14へ入賞することは困難である。また、右打ちされた遊技球は、左打ちされた遊技球よりも、ゲート12、第二始動口15及び大入賞口16を通過又は入賞しやすい。左打ちされた遊技球がゲート12、第二始動口15及び大入賞口16を通過又は入賞することは困難である。したがって、遊技者は、後述する確変状態、時短状態及び大当たり遊技中には右打ちによって遊技を進め、それ以外の場合は左打ちによって遊技を進める。
【0026】
図1を参照して、パチンコ機1における遊技の概要について説明する。パチンコ機1には、大当たり遊技及び普通当たり遊技が設けられている。大当たり遊技について説明する。大当たり遊技は、条件装置の作動により役物連続作動装置が作動することにより実行される。条件装置とは、役物連続作動装置が作動するための条件となる装置である。役物連続作動装置とは、特別電動役物を連続して作動させるための装置である。本実施形態において、条件装置は、大当たりであることを示す特別図柄が図柄表示部29に確定表示された場合に作動する。本実施形態において、役物連続作動装置は、条件装置が作動した場合に作動する。役物連続作動装置が作動することによって、特別電動役物に係る大入賞口16の開閉部材161が所定の開放パターンで開放されることが所定回数繰り返される、大当たり遊技が実行される。以下、大当たり遊技において大入賞口16の開閉部材161が、連続して開放状態にされる繰り返しの一単位を、「大当たりラウンド」という。また、1回の大当たり遊技を構成する大当たりラウンドの合計数を、以下、「ラウンド数」という。また、条件装置及び役物連続作動装置が作動している状態、すなわち、大当たり遊技が実行中の状態を、大当たり遊技状態という。本実施形態では、いずれの大当たり遊技においても、ラウンド数が「5」である。以下、大当たり判定の結果が大当たりであることを示す特別図柄を、大当たり図柄という。大当たり判定の結果がはずれであることを示す特別図柄を、はずれ図柄という。
【0027】
パチンコ機1は、確変状態又は非確変状態を設定できる。確変状態とは、大当たり判定において大当たりであると判定される確率が通常よりも高い確率に変動している遊技状態である。大当たり判定において大当たりであると判定される確率を、以下、「大当たり確率」という。非確変状態は、確変状態が設定されておらず、大当たり確率が通常の確率である状態である。パチンコ機1は、非確変状態における大当たり確率と、確変状態における大当たり確率との組合せによる確率設定を複数段階備える。確率設定の詳細については後述する。本実施形態では、大当たり遊技の終了後に60%の割合で確変状態が設定される。大当たり遊技の終了後に確変状態が設定されるか否かは、後述する特別図柄決定乱数の値に応じて決定される特別図柄の種別によって定まる。以下では、大当たり遊技の終了後に確変状態が設定される種別の特別図柄を、「確変大当たり図柄」という。大当たり遊技の終了後に非確変状態が設定される種別の特別図柄を、「非確変大当たり図柄」という。設定された確変状態は、次回に大当たり遊技が実行されるまでの間継続する。本実施形態において、大当たり遊技が実行された場合、大当たり遊技の終了後に、確変状態の他、後述の時短状態が設定されることがある。
【0028】
普通当たり遊技について説明する。普通当たり遊技は、普通当たり判定の判定結果が当たりであることを示す普通図柄が図柄表示部29に確定表示された場合に実行される。普通当たり判定は、ゲート12を遊技球が通過することを契機として行われる。普通当たり遊技は、普通電動役物に係る第二始動口15の開閉部材151が所定の開放パターンで開放されることによって実行される。
【0029】
パチンコ機1は、非時短状態及び時短状態のいずれかを設定する。非時短状態は、第二始動口15の開閉部材151が開放状態にされる割合が通常の頻度である遊技状態である。時短状態は、非時短状態よりも第二始動口15の開閉部材151が開放状態にされる頻度が高くなる遊技状態である。本実施形態において、非時短状態において行われる普通当たり遊技による第二始動口15の開閉部材151の開放パターンは、約0.1秒×1回である。普通当たり判定において当たりであると判定される確率を、以下では「普通当たり確率」という。非時短状態における普通当たり確率は、約1/11である。また、非時短状態における普通図柄の変動時間は、約10秒である。時短状態において行われる普通当たり遊技による第二始動口15の開閉部材151の開放パターンは、約1.2秒×3回である。時短状態における普通当たり確率は、約10/11である。また、時短状態における普通図柄の変動時間は、約2秒である。このため、遊技者は、時短状態において、非時短状態よりも第二始動口15に遊技球を容易に入賞させることができる。
【0030】
時短状態は、時短状態の開始の契機に応じて、A時短状態とB時短状態とに分類される。A時短状態は、大当たり遊技の終了後に設定される時短状態である。A時短状態は、確変状態が継続する間又はA時短状態において行われた大当たり判定の回数、すなわち特図1大当たり判定の実行回数と特図2大当たり判定の実行回数との合計が、予め定められたA時短回数に達するまで継続する。A時短状態は、大当たり遊技状態が再び設定されるか、A時短回数の大当たり判定が実行されると終了し、非時短状態が設定される。本実施形態において、A時短回数は80回である。
【0031】
B時短状態は、大当たり遊技が終了し、非確変状態における大当たり判定の実行が開始されたこと及び後述するRAMクリア処理が行われたことを起点として計数された大当たり判定の実行回数が、予め定められた上限回数に到達することに応じて設定される時短状態である。本実施形態において、上限回数は601回である。B時短状態は、B時短状態において行われた大当たり判定の回数が、予め定められたB時短回数に達するまで継続する。B時短状態は、大当たり遊技状態が再び設定されるか、B時短回数の大当たり判定が実行されると終了し、非時短状態が設定される。本実施形態において、B時短回数は300回である。
【0032】
パチンコ機1は、これら確変状態、非確変状態、時短状態及び非時短状態を組合せて、複数種類の遊技状態を設定できる。本実施形態では、「通常状態」、「確変時短状態」、「非確変時短状態」の3種類の遊技状態のうちのいずれかが設定される。通常状態は、非確変状態と非時短状態との組合せによる。確変時短状態は、確変状態と時短状態との組合せによる。非確変時短状態は、非確変状態と時短状態との組合せによる。なお、パチンコ機1における初回電源投入後の初期状態には、通常状態が設定される。この他、パチンコ機1は、確変状態と非時短状態との組合せによる「確変非時短状態」等を含めた4種類以上の遊技状態を備えてもよい。
【0033】
図2を参照して、パチンコ機1の電気的構成について説明する。パチンコ機1の制御部40は、主制御基板41、サブ制御基板58、ランプ制御基板46、演出制御基板43、払出制御基板45、中継端子板47及び電源基板42を主に備える。
【0034】
主制御基板41は、パチンコ機1の主制御を司る。主制御基板41のCPUユニット50には、各種の演算処理を行うCPU51と、データを一時的に記憶するRAM52と、制御プログラム等を記憶したROM53とが設けられている。RAM52は、確変状態、時短状態等の遊技状態を示すフラグ等の情報、大当たり判定の結果を示す情報、第一保留数、第二保留数等、遊技に関する処理のための遊技処理情報を記憶する。CPUユニット50には、乱数発生回路56及び割込信号発生回路57が接続されている。乱数発生回路56は、所定範囲の乱数を発生させる。割込信号発生回路57は、一定周波数のクロック信号を出力する図示しないクロック回路からクロック信号が入力される毎に割込信号を発生させる。主制御基板41は、割込信号発生回路57から割込信号が入力される毎に、後述する主制御プログラムのメイン処理を実行する。
【0035】
また、主制御基板41には、RAMクリアスイッチ412、設定キースイッチ415及び設定値表示部416が実装されている。RAMクリアスイッチ412は、RAMクリア処理を行う際に操作されるスイッチである。RAMクリア処理は、RAM52に記憶されている遊技処理情報を消去し、RAM52の初期設定を行うために行われる。なお、RAMクリアスイッチ412は、電源基板42に設けられても良い。RAMクリアスイッチ412は、主制御基板41、電源基板42等とは別に設けられる専用の基板に設けられてもよい。
【0036】
設定キースイッチ415は、専用の設定キーを用いてON状態とOFF状態とを切り替えることができるスイッチである。設定キースイッチ415は、パチンコ機1における確率設定の段階の変更を行うためのスイッチである。確率設定の段階の変更を、以下、設定変更という。パチンコ機1において、RAMクリアスイッチ412は、RAMクリア処理を行う際に操作されるスイッチとして機能し、設定変更において確率設定の段階を変更するために操作されるスイッチとしても機能する。本実施形態では、RAMクリアスイッチ412が上記の二つの機能を兼用するが、例えば、RAMクリア処理を行うためのスイッチと、確率設定の段階を変更するためのスイッチとが、個別に設けられていてもよい。設定キースイッチ415及びRAMクリアスイッチ412は、パチンコ機1の本体枠の内部において主制御基板41を覆う主制御基板ケースの内部に設けられている。ホール店員等の作業者は、前面枠31を開放することによって、設定キースイッチ415及びRAMクリアスイッチ412を外部から操作できる。遊技者等、作業者以外の者は、前面枠31を開放することができないため、設定キースイッチ415及びRAMクリアスイッチ412を操作できない。
【0037】
設定値表示部416は、主制御基板41に実装される7セグメントLEDによって構成される。設定値表示部416は、設定キースイッチ415及びRAMクリアスイッチ412とともに主制御基板ケースの内部に設けられ、設定変更の際等にその時点の確率設定の段階を示す値である設定値を表示する。本実施形態では、設定値は、「1」、「2」、「6」のいずれかである。主制御基板ケースは、無色透明の合成樹脂製であるので、作業者は、主制御基板ケースの外部から設定値表示部416に表示される情報を視認することができる。
【0038】
主制御基板41は、I/Oインタフェイス54を介してサブ制御基板58、払出制御基板45、中継端子板47、図柄表示部29、外部端子板55、第一始動口スイッチ61、第二始動口スイッチ62に接続している。図柄表示部29の表示制御は、CPU51によって行われる。外部端子板55は、パチンコホールに設置されている遊技機を統括的に管理する遊技場管理用コンピュータ(いわゆるホールコンピュータ、図示略)にパチンコ機1の情報を接点出力する。第一始動口スイッチ61は、第一始動口14に設けられており、第一始動口14への遊技球の入賞を検出した場合、検出信号を主制御基板41に出力する。第二始動口スイッチ62は、第二始動口15に設けられており、第二始動口15への遊技球の入賞を検出した場合、検出信号を主制御基板41に出力する。
【0039】
サブ制御基板58は、各種の演算処理を行うCPU581、データを一時的に記憶するRAM582、制御プログラム等を記憶したROM583及びパチンコ機1における音出力を制御する音制御回路585を備える。サブ制御基板58は、ランプ制御基板46、演出制御基板43及びスピーカ39に接続している。サブ制御基板58は、主制御基板41から送信されるコマンドに従って、演出等の総合的な制御を行う。
【0040】
また、サブ制御基板58には、リアルタイムクロック(Real-Time Clock、以下、「RTC」という。)586及びFeRAM588が実装されている。RTC586は、パチンコ機1の電源がOFFの場合にも時刻を計時するICである。RTC586は、パチンコ機1の電源がONの場合には電源基板42から供給される電圧を受けて作動し、パチンコ機1の電源がOFFの場合には、図示しない内蔵電池から供給される電圧を受けて作動する。FeRAM588は、パチンコ機1の電源がOFFの場合にも書き込まれたデータを消去せずに保持できる不揮発性メモリである。
【0041】
ランプ制御基板46は、演出ボタン35、演出レバー36、枠ランプ38及び盤ランプ27に接続している。ランプ制御基板46は、図示しないLEDドライバ等を備える。ランプ制御基板46は、サブ制御基板58から受信するコマンドに従って、枠ランプ38及び盤ランプ27の発光動作等を制御する。演出ボタン35は押下操作をされた場合、押下操作をされたことを示す信号を出力する。演出レバー36は回転操作及び押込操作をされた場合、回転操作及び押込操作をされたことを示す信号を出力する。ランプ制御基板46は、演出ボタン35から受信した信号及び演出レバー36から受信した信号を、サブ制御基板58に中継する。
【0042】
演出制御基板43は、各種の演算処理を行うCPU431、表示画面28に対する画像出力を制御する画像制御回路435及び画像データを記憶するCGROM(図示略)等を備える。演出制御基板43は、サブ制御基板58から送信されるコマンドに従って表示画面28の表示を制御する。
【0043】
払出制御基板45は、CPU45a等を備える。払出制御基板45は、主制御基板41から送信されるコマンドに応じて賞球払出装置49の動作を制御し、所定数の遊技球を賞球として賞球払出装置49に払い出させる。
【0044】
中継端子板47は、第二始動口ソレノイド69、大入賞口ソレノイド70、ゲートスイッチ74、大入賞口スイッチ76に接続している。第二始動口ソレノイド69は、普通当たり遊技中に第二始動口15の開閉部材151を開閉する。大入賞口ソレノイド70は、大当たり遊技中に大入賞口16の開閉部材161を開閉する。ゲートスイッチ74は、ゲート12に設けられており、ゲート12への遊技球の通過を検出した場合、検出信号を主制御基板41に出力する。大入賞口スイッチ76は、大入賞口16に設けられており、大入賞口16への遊技球の入賞を検出した場合、検出信号を主制御基板41に出力する。
【0045】
電源基板42は、主制御基板41及び遊技球発射装置37に接続されており、各基板及び遊技球発射装置37に直流の安定化した電力を供給する。遊技球発射装置37は、一定間隔(本実施形態では約0.6秒)毎に1個ずつ遊技球を遊技領域4へ発射する。電源基板42には、電源スイッチ423が設けられている。電源スイッチ423は、パチンコ機1の電源をON、OFFするために操作されるスイッチである。
【0046】
図3を参照して、RAM52の特図1大当たり関係情報記憶エリアについて説明する。特図1大当たり関係情報記憶エリアは、図9から図11において後述するメイン処理の特別図柄処理において使用される。特図1大当たり関係情報記憶エリアには、最大第一保留数に対応する複数の記憶エリアが設けられている。本実施形態において、記憶可能な第一保留数の上限である最大第一保留数は「4」である。このため、特図1大当たり関係情報記憶エリアには、No.1からNo.4の4つの記憶エリアが設けられている。第一始動口14に遊技球が入賞した際に第一保留数が4未満、すなわち0~3であれば、番号の小さい記憶エリアから順に乱数が記憶される。
【0047】
第一保留数は、第一始動口14へ入賞した遊技球に対応する乱数のうち、特図1大当たり判定の実行、第一特別図柄の変動時間を示す第一変動パターンの決定等が保留された状態で特図1大当たり関係情報記憶エリアに記憶されている第一保留乱数の個数である。CPU51は、処理がまだ行われていない記憶エリアの乱数のうち、最も番号の小さい記憶エリアに記憶されている第一保留乱数を、図示しない判定エリアにシフトする。判定エリアは、大当たり判定を行う乱数を格納するために、RAM52に設けられている記憶エリアであり、特図1大当たり判定と特図2大当たり判定とで共通に用いられる。CPU51は、判定エリアにシフトされた乱数について特図1大当たり判定等の各種処理を行う。最も番号の小さい記憶エリアに記憶されている第一保留乱数が、判定エリアにシフトされると、次の番号以降の記憶エリアに記憶されている乱数が、1つ小さな番号の記憶エリアにシフトされる。以降は、最も番号の小さい記憶エリアに記憶されている第一保留乱数が判定エリアに順次シフトされて、特図1大当たり判定等の処理が繰り返される。判定エリアに記憶されている乱数についての各種処理には、例えば、特図1大当たり判定の結果を報知する報知演出の決定、及び判定結果に応じて実行される大当たり遊技のラウンド数に関する処理等が含まれる。なお、判定エリアの乱数は、大当たり判定等の処理が終了した後に消去される。
【0048】
各記憶エリアには、大当たり乱数の値が記憶される特図1大当たり乱数欄、特別図柄決定乱数の値が記憶される第一特別図柄決定乱数欄、及び変動パターン決定乱数の値が記憶される第一変動パターン決定乱数欄が設けられている。遊技球が第一始動口14へ入賞すると、その時点で乱数発生回路56によって乱数の種類毎に生成されている乱数がハード回路によってラッチされて、各欄に記憶される。特図1大当たり乱数欄に記憶される大当たり乱数は、特図1大当たり判定のために用いられる。第一特別図柄決定乱数欄に記憶される特別図柄決定乱数は、第一特別図柄を決定するために用いられる。第一変動パターン決定乱数欄に記憶される変動パターン決定乱数は、図柄表示部29の第一特別図柄表示部に表示される第一特別図柄の変動時間等を示す第一変動パターンを決定するために用いられる。特図1大当たり乱数とともに取得されて特図1大当たり関係情報記憶エリアに記憶されている各種乱数を総称して、第一乱数ともいう。また、特図1特別図柄の変動時間を、第一変動時間ともいう。この他、報知演出を後述するリーチ演出として行うか否かを決定するためのリーチ乱数等、上記以外の乱数が、遊技球が第一始動口14へ入賞することを契機として第一乱数として取得されてもよい。
【0049】
図示しないが、RAM52には、特図2大当たり関係情報記憶エリアが設けられている。特図2大当たり関係情報記憶エリアも、メイン処理の特別図柄処理において使用される。本実施形態では、特図2大当たり関係情報記憶エリアに、最大第二保留数に対応する4つの記憶エリアが設けられている。第二保留数は、第二始動口15へ入賞した遊技球に対応する乱数のうち、特図2大当たり判定の実行、第二特別図柄の変動時間を示す第二変動パターンの決定等が保留された状態で記憶されている第二保留乱数の個数である。第二始動口15に遊技球が入賞すると、その時点で乱数発生回路56によって乱数の種類毎に生成されている乱数がハード回路によってラッチされて、特図2大当たり関係情報記憶エリアの各欄に記憶される。特図2大当たり関係情報記憶エリアには、特図1大当たり関係情報記憶エリアと同様に、大当たり乱数の値が記憶される特図2大当たり乱数欄、特別図柄決定乱数の値が記憶される第二特別図柄決定乱数欄、及び変動パターン決定乱数の値が記憶される第二変動パターン決定乱数欄が設けられている。
【0050】
CPU51は、処理がまだ行われていない記憶エリアの乱数のうち、最も番号の小さい記憶エリアに記憶されている乱数を、前述の判定エリアにシフトする。CPU51は、判定エリアにシフトされた乱数について特図2大当たり判定等の各種処理を行う。特図2大当たり乱数とともに取得されて特図2大当たり関係情報記憶エリアに記憶されている各種乱数を総称して、第二乱数ともいう。また、第二特別図柄の変動時間を、第二変動時間ともいう。
【0051】
以下の説明では、大当たり乱数のうち特図1大当たり判定のために用いられるものを、特図1大当たり乱数ともいう。大当たり乱数のうち特図2大当たり判定のために用いられるものを、特図2大当たり乱数ともいう。変動パターン決定乱数のうち第一変動パターンを決定するために用いられるものを、第一変動パターン決定乱数ともいう。変動パターン決定乱数のうち第二変動パターンを決定するために用いられるものを、第二変動パターン決定乱数ともいう。特別図柄決定乱数のうち第一特別図柄を決定するために用いられるものを、第一特別図柄決定乱数ともいう。特別図柄決定乱数のうち第二特別図柄を決定するために用いられるものを、第二特別図柄決定乱数ともいう。
【0052】
パチンコ機1において、第一変動時間及び第二変動時間は、特図1大当たり判定及び特図2大当たり判定の結果を遊技者に報知する報知演出の演出時間に等しい。サブ制御基板58は、主制御基板41で決定された変動パターンに従って報知演出を制御する。具体的には、主制御基板41は、第一変動パターン決定乱数に基づく第一変動パターンに従って、第一特別図柄の変動を開始する。主制御基板41は、第二変動パターン決定乱数に基づく第二変動パターンに従って、第二特別図柄の変動を開始する。サブ制御基板58は、第一特別図柄及び第二特別図柄の変動開始に同期して、演出図柄100の変動表示の開始を制御する。主制御基板41は、第一変動時間が終了すると、変動させていた第一特別図柄を、所定の特別図柄確定表示時間の間、確定表示させる。本実施形態において、特別図柄確定表示時間は0.8秒である。また、主制御基板41は、第二特別図柄の変動時間が終了すると、変動させていた第二特別図柄を、所定の特別図柄確定表示時間の間、確定表示させる。サブ制御基板58は、特別図柄確定表示時間に同期して、演出図柄100を確定表示させる。また、サブ制御基板58は、演出図柄100による他、表示画面28、盤ランプ27、枠ランプ38、スピーカ39等によっても、特別図柄の変動時間と同期した報知演出の実行を制御する。以下では、第一特別図柄の変動時間と同期した報知演出を、第一報知演出という。第二特別図柄の変動時間と同期した報知演出を、第二報知演出という。
【0053】
なお、図示しないが、RAM52には、ゲート12を遊技球が通過することを契機として取得される普通当たり乱数を記憶するための普通当たり関係情報記憶エリアが設けられている。普通当たり関係情報記憶エリアも、特図1大当たり関係情報記憶エリアと同様に構成されている。本実施形態では、普通当たり関係情報記憶エリアには、記憶可能な普通保留数の上限である最大普通保留数「4」に対応する4つの記憶エリアが設けられている。記憶エリアには、普通当たり乱数の値が記憶される普通当たり乱数欄、普通図柄決定の値が記憶される普通図柄決定乱数欄が設けられている。普通当たり乱数は、普通当たり判定のために用いられる。普通図柄決定乱数は、普通当たり図柄を決定するために用いられる。
【0054】
図4を参照して、ROM53に記憶されている変動パターン決定テーブルについて説明する。変動パターン決定テーブルは、大当たり判定による判定結果及び変動パターンが決定される時点における遊技状態に応じて、複数のテーブルを設けている。複数のテーブルのそれぞれには、1又は複数種類の変動パターンが割り当てられており、各変動パターンに変動パターン決定乱数の値(0~511)及び特別図柄の変動時間が対応付けられている。
【0055】
図1大当たり判定が行われた場合、その時点の遊技状態と特図1大当たり判定による判定結果とに応じたテーブル区分が参照され、特図1大当たり乱数とともに取得されている第一変動パターン決定乱数の値に対応する第一変動パターンが1つ決定される。通常状態における特図1大当たり判定の判定結果が大当たりの場合、「リーチ演出A」から「リーチ演出E」の順に、変動パターンが決定される割合が高くなる。「リーチ演出」とは、例えば3つの演出図柄100のうち2つが同じ図柄で停止するリーチ状態が構成された後に、大当たりの可能性があることを示す演出を実行する報知演出である。一方、判定結果がはずれの場合、「リーチ演出A」から「リーチ演出E」の順に、変動パターンが決定される割合が低くなる。したがって、特図1大当たり判定の結果が大当たりとなる期待度は、「リーチ演出A」から「リーチ演出E」の順に高くなる。
【0056】
なお、本実施形態において、「非リーチ演出A」等の「非リーチ」の変動パターンは、リーチ状態に至ることなく終了する報知演出である。本実施形態では、「非リーチ」の変動パターンは、大当たり判定の結果がはずれの場合にのみ決定される。「非リーチ」の第一変動パターンは、第一特別図柄の変動開始時における第一保留数に応じて、第一変動時間が変動する。図4において、保留数「0」は、第一保留数が「0」の状態において遊技球が第一始動口14へ入賞したことを契機として第一特別図柄が変動を開始する場合を示す。保留数「1」、「2」又は「3」は、第一保留数が「1」、「2」又は「3」である状態において、第一乱数に基づいて第一特別図柄が変動を開始する場合を示す。
【0057】
遊技状態が確変時短状態及び非確変時短状態である場合においても、通常状態の場合と同様に、大当たり判定による判定結果に応じて、特図1大当たり乱数とともに取得されている第一変動パターン決定乱数の値に対応する第一変動パターンが1つ決定される。図示を省略するが、第二変動パターンについても第一変動パターンと同様に、遊技状態に応じた複数のテーブルのそれぞれに、1又は複数種類の第二変動パターンが割り当てられている。各変動パターンには、第二変動パターン決定乱数の値(0~511)及び第二変動時間が対応付けられている。特図2大当たり判定が行われた時点の遊技状態と特図2大当たり判定による判定結果とに応じたテーブル区分が参照され、特図2大当たり乱数とともに取得されている第二変動パターン決定乱数の値に対応する第二変動パターンが1つ決定される。
【0058】
主制御基板41は、決定した変動パターンに応じて定められている変動時間だけ、第一特別図柄又は第二特別図柄を変動させる。また、主制御基板41は、変動パターンが決定されると、変動パターンを指定するコマンドである変動パターン指定コマンドを、サブ制御基板58へ送信する。サブ制御基板58は、変動パターン指定コマンドによって指定された変動パターンに応じて、報知演出を制御する。
【0059】
図5を参照して、ROM53に記憶されている大当たり判定テーブルについて説明する。大当たり判定テーブルは、0~65535の値を採る大当たり乱数のうち、大当たりの判定結果が導出される大当たり乱数の値である大当たり判定値を定義している。これにより、判定テーブルは、大当たり判定によって大当たりと判定される大当たり確率を定義する。パチンコ機1は、大当たり判定テーブルを参照することで、大当たり判定の結果が大当たり又ははずれであるかを判定する。
【0060】
大当たり判定テーブルは、特図1大当たり判定テーブルと、特図2大当たり判定テーブルとを備える。特図1大当たり判定テーブルは、非確変状態における大当たり確率と、確変状態における大当たり確率との組合せによる確率設定を複数段階備える。本実施形態では、設定1、設定2及び設定6の、3段階の確率設定が設けられている。3段階からなる確率設定の段階は、設定6が最も大当たり確率が高く、設定6、設定2、設定1の順に段階を示す数字が小さくなるほど大当たり確率が段階的に低くなる。通常状態において大当たり判定によって大当たりであると判定されることを、以下では、「初当たり」という。非確変状態における大当たり確率が高いほど、通常状態から遊技を開始してから大当たりと判定されるまでに行われる大当たり判定の回数が少なくなりやすい。すなわち、確率設定が設定6の場合、最も初当たりしやすい。また、確変状態における大当たり確率が高いほど、確変状態が設定された後に大当たりと判定されるまでに行われる大当たり判定の回数が少なくなりやすい。すなわち、確率設定が設定6の場合、確変状態が設定された後に行われる大当たり判定の回数がより少ない段階で、大当たりの判定結果が得られやすい。
【0061】
図1大当たり判定テーブルは、大当たり判定値を定義することによって、設定1における非確変状態における大当たり確率を、1/240.059と定義している。設定1における確変状態における大当たり確率は、1/24.076である。確変状態における大当たり確率は、非確変状態における大当たり確率の約9.97倍である。この倍率は、いずれの確率設定の段階においても共通する。設定2における非確変状態における大当たり確率は、1/230.761であり、確変状態における大当たり確率は、1/23.084である。設定6における非確変状態における大当たり確率は、1/200.415であり、確変状態における大当たり確率は、1/20.103である。特図2大当たり判定テーブルも、特図1大当たり判定テーブルと同様に、設定6、設定2、設定1の各確率設定の段階について、大当たり確率を定義している。
【0062】
図6から図14を参照して、パチンコ機1の主制御基板41による動作について説明する。パチンコ機1の主制御は、ROM53に記憶されている制御プログラムによって行われる。図6に示す制御プログラムのメイン処理は、電源スイッチ423がON状態に操作されることによってパチンコ機1の電源がONになると、CPU51において実行が開始される。その後は、CPU51は、図2に示す割込信号発生回路57が4ms毎に発生する割込信号をCPU51が検知した際に、メイン処理を実行する。以下、フローチャートの各ステップについて「S」と略記する。
【0063】
メイン処理で使用されるフラグについて説明する。メイン処理では、稼働中フラグ、大当たり遊技状態フラグ、特別図柄表示状態フラグ、確変フラグ、A時短フラグ及びB時短フラグ等が使用される。これらのフラグは、RAM52に記憶される遊技処理情報である。稼働中フラグは、パチンコ機1が稼働中であるかを示すフラグである。稼働中フラグは、電源スイッチ423がOFF状態に操作されることによってパチンコ機1の電源がOFFにされるときに「OFF」になる。稼働中フラグは、電源スイッチ423がON状態に操作されることによってパチンコ機1の電源がONにされるときに実行される後述する電源投入時処理(S2)の実行に伴って「ON」になる。以下では、メイン処理のうち、稼働中フラグが「ON」の場合に実行されるS11からS20の処理を、稼働中処理ともいう。
【0064】
大当たり遊技状態フラグは、大当たり遊技状態であるかを示すフラグであり、大当たり遊技状態に「ON」になり、大当たり遊技状態でない場合に「OFF」になる。特別図柄表示状態フラグは、第一特別図柄及び第二特別図柄のいずれか一方が変動している場合(変動中)に「1」、いずれか一方が確定表示されている場合(確定表示中)に「2」、いずれも変動中でも確定表示中でもない場合に「0」が記憶される。確変フラグは、確変状態であるかを示すフラグであり、確変状態に「1」が記憶されて「ON」になり、非確変状態に「0」が記憶されて「OFF」になる。A時短フラグは、前述のA時短状態であるかを示すフラグであり、A時短状態が設定される場合に「1」が記憶されて「ON」になり、A時短状態が終了する場合に「0」が記憶されて「OFF」になる。B時短フラグは、前述のB時短状態であるかを示すフラグであり、B時短状態が設定される場合に「1」が記憶されて「ON」になり、B時短状態が終了する場合に「0」が記憶されて「OFF」になる。以下では、A時短フラグとB時短フラグとを総称する場合、単に時短フラグという。
【0065】
メイン処理が開始されると、CPU51は、稼働中フラグが「ON」であるかを判断する(S1)。パチンコ機1の電源がONにされた直後は稼働中フラグが「OFF」である。稼働中フラグが「OFF」の場合(S1:NO)、電源投入時処理が実行されて(S2)、メイン処理が終了する。
【0066】
図7及び図8を参照して、図6のS2で示した電源投入時処理の詳細について説明する。電源投入時処理が開始されると、CPU51は、電源投入に伴う初期化処理を実行する(S21)。具体的には、CPU51は、サブ制御基板58等が動作可能な状態になるのを待つためのウエイト処理等を実行する。CPU51は、RAM52へのアクセス許可設定を行う(S22)。これにより、RAM52に対する遊技処理情報の書き込み及び読み出しが可能になる。CPU51は、RAM52に記憶されている確率設定の段階がいずれかを示す設定値を参照し、設定値を通知するための設定値通知コマンドを生成する。CPU51は、生成した設定値通知コマンドを、RAM52に設けられるコマンドバッファにセットする(S23)。本実施形態では、「設定1」の確率設定の段階に対応する設定値は「1」である。同様に、「設定2」及び「設定6」の確率設定の段階に対応する設定値は「2」及び「6」である。
【0067】
RAM52のコマンドバッファにセットされたコマンドは、コマンドバッファにセットされた順に、サブ制御基板58、払出制御基板45、中継端子板47等に送信される。なお、前回実施されたメイン処理においてコマンドバッファにセットされたコマンドをサブ制御基板58等へ送信するコマンド送信処理が、メイン処理に設けられていてもよい。この場合、コマンド送信処理によって、コマンドバッファにセットされたコマンドがコマンドバッファにセットされた順に、メイン処理の1割込毎にサブ制御基板58等へ送信されてもよい。
【0068】
CPU51は、設定キースイッチ415がON状態であるかを判断する(S24)。この処理において、CPU51は、パチンコ機1の電源投入時に、設定キースイッチ415がON状態になっているかを判断する。設定キースイッチ415がON状態である場合(S24:YES)、CPU51は、RAMクリアスイッチ412がON状態であるかを判断する(S25)。この処理において、CPU51は、電源スイッチ423がON状態に操作されてパチンコ機1の電源がOFFからONに切り替わったときに、設定キースイッチ415とRAMクリアスイッチ412とが、ともにON状態になっているかを判断する。
【0069】
RAMクリアスイッチ412がON状態である場合(S25:YES)、RAM52の使用領域に記憶されている遊技処理情報がクリアされ、所定の初期値がRAM52に記憶される等のRAM52の初期設定、すなわち、RAMクリア処理が行われる(S26)。RAMクリア処理が行われることによって、RAM52に記憶される大当たり遊技状態フラグ、確変フラグ及び時短フラグ等の各種のフラグが「OFF」になる。RAM52には、後述するA時短回数カウンタ、B時短回数カウンタ、判定回数計数カウンタ等の各種のカウンタが設けられる。これらの各種のカウンタの値も、遊技処理情報である。RAMクリア処理が行われることによって、これらのカウンタに記憶される値が「0」にクリアされる。CPU51は、RAMクリア処理を実行したことを通知するためのRAMクリア通知コマンドを生成し、生成したRAMクリア通知コマンドをコマンドバッファにセットする(S28)。
【0070】
CPU51は、RAM52に記憶されている設定値を参照し、参照した設定値を設定値表示部416に表示させる(S29)。なお、本実施形態において、RAM52に記憶されている設定値は、RAMクリア処理によっては消去されずに保持される。
【0071】
CPU51は、所定期間内にRAMクリアスイッチ412が操作されたかを判断する(S31)。CPU51は、所定期間内にRAMクリアスイッチ412が操作された場合(S31:YES)、設定値表示部416に表示される表示値を一段階更新する(S32)。すなわち、CPU51は、S29において設定値表示部416に「1」を表示していた場合、設定値を「2」に、一段階更新する。CPU51は、S29において設定値表示部416に「2」を表示していた場合、設定値を「6」に、一段階更新する。CPU51は、S29において設定値表示部416に「6」を表示していた場合、設定値を「1」に、一段階更新する。CPU51は、処理をS29に戻し、その後にS31の判断においてNOと判断されるまで、S29、S31及びS32の処理を繰り返して行う。これにより、CPU51は、パチンコ機1の設定値を変更するための設定変更操作を、作業者等に行わせることができる。
【0072】
設定変更操作の終了は、設定キースイッチ415がOFF状態にされることで行われる。所定期間内にRAMクリアスイッチ412が操作されなかった場合(S31:NO)、CPU51は、設定キースイッチ415がOFF状態にされているかを判断する(S33)。設定キースイッチ415がON状態である場合(S33:NO)、CPU51は、処理をS31の判断へ戻す。その後、S33の判断において「YES」と判断されるまで、S31の判断が繰り返して行われる。
【0073】
設定キースイッチ415がOFF状態にされている場合(S33:YES)、CPU51は、設定値表示部416に表示されている表示値を設定値に変換してRAM52に記憶する(S35)。すなわち、RAM52に記憶されていた設定値が変更される。CPU51は、変更された設定値を通知するための設定変更通知コマンドを生成し、コマンドバッファにセットする(S36)。CPU51は、S36の処理において、設定値を示す情報を含めて、設定値通知コマンドを生成する。コマンドバッファにセットされた設定変更通知コマンドは、サブ制御基板58に順次送信される。その後、CPU51は、設定変更操作が終了していることを示す所定のベース値を設定値表示部416に表示する(S38)。CPU51は、稼働中フラグを「ON」にし(S39)、電源投入時処理を終了する。このようにして、設定変更操作が終了する。
【0074】
一方、RAMクリアスイッチ412がOFF状態である場合(S25:NO)、CPU51は、RAM52に記憶されている設定値を参照し、参照した設定値を設定値表示部416に表示する(S41)。CPU51は、設定キースイッチ415がOFF状態にされているかを判断する(S42)。設定キースイッチ415がON状態のままである場合(S42:NO)、CPU51は、設定キースイッチ415がOFF状態になるまでS42の判断を繰り返す。設定キースイッチ415がOFF状態にされている場合(S42:YES)、CPU51は、サブ制御基板58等を電源遮断前の状態に復帰させるための処理である復帰処理を実行する(S45)。パチンコ機1の電源が完全に遮断された後にも、電源基板42から主制御基板41へRAM52のデータ記憶保持電力が供給される。したがって、電源が遮断されるよりも前にRAM52に記憶されていたデータは、所定期間内はそのまま保持、すなわちバックアップされる。復帰処理では、電源遮断前の状態に復帰した主制御基板41のRAM52にバックアップされているデータに応じて、サブ制御基板58等を電源遮断前の状態に復帰させるための各種のコマンドが生成される。電源遮断前の状態に復帰した主制御基板41のRAM52にバックアップされているデータを、以下、バックアップデータという。バックアップデータは、コマンドバッファにセットされているコマンド、電源遮断前にRAM52に記憶されていたフラグ等の情報を含む。バックアップデータは、サブ制御基板58等を電源遮断前の状態に復帰させるために必要な遊技処理情報である。
【0075】
復帰処理では、大当たり遊技状態フラグ、確変フラグ及び時短フラグの状態に基づいて、遊技の状態を通知するための遊技状態コマンドが生成され、生成された遊技状態コマンドがRAM52のコマンドバッファにセットされる。詳細は後述するが、稼働中処理においては、大当たり遊技状態フラグが「OFF」から「ON」になり大当たり遊技状態が開始する場合に、大当たり遊技状態が開始することを通知する内容の遊技状態コマンドが生成され、コマンドバッファにセットされる。大当たり遊技状態が開始することを通知する内容の遊技状態コマンドがサブ制御基板58に送信されることを、大当たり遊技状態開始通知という。復帰処理においては、バックアップデータにおいて大当たり遊技状態フラグが「ON」である場合、大当たり遊技状態が既に開始されていることをサブ制御基板58に通知するために、大当たり遊技状態開始通知が行われる。
【0076】
稼働中処理において、確変フラグが「OFF」から「ON」になり、確変状態が開始する場合に、確変状態が開始することを通知する内容の遊技状態コマンドが生成され、コマンドバッファにセットされる。また、稼働中処理においては、確変フラグが「ON」から「OFF」になり、確変状態が終了する場合に、確変状態が終了することを通知する内容の遊技状態コマンドが生成及びセットされる。確変状態が開始することを通知する内容の遊技状態コマンドがサブ制御基板58に送信されることを、確変状態開始通知という。確変状態が終了することを通知する内容の遊技状態コマンドがサブ制御基板58に送信されることを、確変状態終了通知という。復帰処理においては、バックアップデータにおいて確変フラグが「ON」である場合、現時点に確変状態が設定されていることをサブ制御基板58に通知するために、確変状態開始通知が行われる。また、復帰処理においては、バックアップデータにおいて確変フラグが「OFF」である場合、現時点に通常状態が設定されていることをサブ制御基板58に通知するために、確変状態終了通知が行われる。
【0077】
稼働中処理において、時短フラグが「OFF」から「ON」になり、時短状態が開始する場合に、時短状態が開始することを通知する内容の遊技状態コマンドが生成され、コマンドバッファにセットされる。また、稼働中処理においては、時短フラグが「ON」から「OFF」になり、時短状態が終了する場合に、時短状態が終了することを通知する内容の遊技状態コマンドが生成及びコマンドバッファにセットされる。時短状態が開始することを通知する内容の遊技状態コマンドがサブ制御基板58に送信されることを、時短状態開始通知という。時短状態が終了することを通知する内容の遊技状態コマンドがサブ制御基板58に送信されることを、時短状態終了通知という。復帰処理においては、バックアップデータにおいて時短フラグが「ON」である場合、現時点に時短状態が設定されていることをサブ制御基板58に通知するために、時短状態開始通知が行われる。また、復帰処理においては、バックアップデータにおいて時短フラグが「OFF」である場合、現時点に通常状態が設定されていることをサブ制御基板58に通知するために、時短状態終了通知が行われる。
【0078】
稼働中処理において、大当たり判定の結果に応じて特別図柄が決定された場合に、特別図柄として決定された大当たり図柄又ははずれ図柄の種類をサブ制御基板58に通知するための停止図柄指定コマンドが生成及びコマンドバッファにセットされる。復帰処理においては、決定された特別図柄の種類をサブ制御基板58に通知するために、バックアップデータに含まれる停止図柄指定コマンドがサブ制御基板58に送信される。第一特別図柄として決定された大当たり図柄又ははずれ図柄の種類をサブ制御基板58に通知するための停止図柄指定コマンドを、第一停止図柄指定コマンドという。第二特別図柄として決定された大当たり図柄又ははずれ図柄の種類をサブ制御基板58に通知するための停止図柄指定コマンドを、第二停止図柄指定コマンドという。バックアップデータの示す電源遮断前の状態が、第一特別図柄の変動中に対応するとき、バックアップデータに含まれる第一停止図柄指定コマンドは、変動中の第一特別図柄が変動表示を終了した後に停止(確定表示)する図柄の種類を示す。バックアップデータの示す電源遮断前の状態が、第一特別図柄の非変動中に対応する場合、バックアップデータに含まれる第一停止図柄指定コマンドは、最後に確定表示した第一特別図柄の種類を示す。バックアップデータの示す電源遮断前の状態が、第二特別図柄の変動中に対応するとき、バックアップデータに含まれる第二停止図柄指定コマンドは、変動中の第二特別図柄が変動表示を終了した後に停止(確定表示)する図柄の種類を示す。バックアップデータの示す電源遮断前の状態が、第二特別図柄の非変動中に対応する場合、バックアップデータに含まれる第二停止図柄指定コマンドは、最後に確定表示した第二特別図柄の種類を示す。
【0079】
RAM52は、第一特別図柄及び第二特別図柄の変動時間を計測するための時間カウンタである特別図柄変動時間カウンタを備える。稼働中処理においては、第一変動パターンが決定されて第一特別図柄が変動を開始する場合、決定された第一変動パターンに対応する第一特別図柄の変動時間が特別図柄変動時間カウンタに記憶される。また、第二変動パターンが決定されて第二特別図柄が変動を開始する場合、決定された第二変動パターンに対応する第二特別図柄の変動時間が特別図柄変動時間カウンタに記憶される。これに応じて、特別図柄表示状態フラグに「1」がセットされる。バックアップデータは、特別図柄変動時間カウンタの値を含む。すなわち、バックアップデータは、電源遮断前の特別図柄の変動時間の残り時間を記憶している。その後、第一特別図柄又は第二特別図柄の変動時間の経過に応じて特別図柄変動時間カウンタの値が減算され、特別図柄変動時間カウンタの値が「0」になった場合に第一特別図柄又は第二特別図柄の変動時間が終了したと判断される。これに伴い、第一特別図柄停止コマンド又は第二特別図柄停止コマンドが生成及びセットされ、特別図柄表示状態フラグに「2」がセットされる。復帰処理においては、バックアップデータに含まれる第一特別図柄停止コマンド及び第二特別図柄停止コマンドが、サブ制御基板58に送信される。また、復帰処理において、電源遮断前の状態において第一特別図柄及び第二特別図柄がともに変動中でない場合には、第一特別図柄停止コマンド及び第二特別図柄停止コマンドが、サブ制御基板58に送信される。
【0080】
CPU51は復帰処理(S45)を実行した後、前述のS38及びS39の処理を行い、電源投入時処理を終了する。すなわち、CPU51は、パチンコ機1の電源投入時に、設定キースイッチ415がON状態であり、RAMクリアスイッチ412がOFF状態である場合に、現在設定されている確率設定の段階を設定値表示部416に表示する。これにより、CPU51は、現在設定されている確率設定の段階を確認させる設定確認操作を、作業者に行わせることができる。
【0081】
一方、設定キースイッチ415がOFF状態である場合(S24:NO)、図8に示すように、CPU51は、RAMクリアスイッチ412がON状態であるかを判断する(S51)。すなわち、設定キースイッチ415がOFF状態でパチンコ機1の電源がOFFからONに切り替わった場合の、RAMクリアスイッチ412の操作状況が判断される。RAMクリアスイッチ412がOFF状態であると判断された場合(S51:NO)、CPU51は、RAM判定値を算出する(S52)。RAM判定値は、例えばRAM52の使用領域のチェックサム値である。CPU51は、S52で算出したRAM判定値が正常であるかを判断する(S53)。CPU51は、パチンコ機1の電源遮断時に、RAM判定値を算出して、その値を保存する。電源遮断時に算出するRAM判定値は、S52で算出するRAM判定値と同様に、例えばRAM52の使用領域のチェックサム値である。CPU51は、S52で算出したRAM判定値が、電源遮断時に保存されたRAM判定値と一致する場合には算出されたRAM判定値が正常であると判断し(S53:YES)、S45と同様の復帰処理を実行する(S59)。図7に示すように、CPU51は、稼働中フラグを「ON」にし(S39)、電源投入時処理を終了する。すなわち、パチンコ機1の電源投入時に、設定キースイッチ415及びRAMクリアスイッチ412がともにOFF状態のときには、RAM判定値が正常であれば、パチンコ機1が電源遮断時の状態で復電する。
【0082】
一方、RAMクリアスイッチ412がON状態であると判断された場合(S51:YES)、又は算出されたRAM判定値が、電源遮断時に保存されたRAM判定値と一致せず算出されたRAM判定値が正常でないと判断された場合(S53:NO)、CPU51は、S26と同様のRAM52の初期設定を実行する(S55)。CPU51は、RAMクリア通知コマンドを生成し、生成したRAMクリア通知コマンドをコマンドバッファにセットする(S56)。コマンドバッファにセットされたRAMクリア通知コマンドは、サブ制御基板58に順次送信される。その後、CPU51は、図7に示すように、稼働中フラグを「ON」にし(S39)、電源投入時処理を終了する。すなわち、パチンコ機1の電源投入時に、設定キースイッチ415がOFF状態であり、RAMクリアスイッチ412がON状態のとき、RAMクリア処理が行われるが、設定変更は行われない。
【0083】
図6の説明に戻る。次の割込信号でメイン処理が開始されると、稼働中フラグが「ON」であるので(S1:YES)、CPU51は、スイッチ読込処理を実行する(S11)。スイッチ読込処理では、図2で示したゲートスイッチ74,第一始動口スイッチ61、第二始動口スイッチ62、大入賞口スイッチ76及びその他の入賞口に設けられた各スイッチの検出結果から、遊技球の通過又は入賞を検知するための処理が行われる。RAM52は、各スイッチに対応するフラグを記憶する。各スイッチが遊技球の通過を検出すると、RAM52に記憶されている各スイッチに対応するフラグが「ON」になる。
【0084】
次いで、CPU51は、カウンタ更新処理を実行する(S12)。カウンタ更新処理では、RAM52に記憶されている第一特別図柄及び第二特別図柄の変動時間を計測するためのタイマカウンタである特別図柄変動時間カウンタ及び特別図柄確定表示時間を計測するための特別図柄確定表示時間カウンタの値が減算される。
【0085】
次いで、CPU51は、特別電動役物処理を実行する(S13)。詳細は図14を参照して後述するが、特別電動役物処理では、大当たり遊技の動作を制御するための処理、大当たり遊技の終了後に設定される遊技状態に関する処理等が行われる。大当たり遊技の動作とは、主に、大当たり遊技における大入賞口16の開閉部材161の開閉動作である。
【0086】
次いで、特別図柄処理が行われる(S15)。詳細は図9から図11を参照して後述するが、特別図柄処理では、大当たり判定、変動パターンの決定、特別図柄の決定及び遊技状態移行処理等が行われる。
【0087】
次いで、CPU51は、普通電動役物処理を実行する(S16)。普通電動役物処理では、普通当たり判定の結果が当たりとなった場合に、普通当たり遊技の動作(主に第二始動口15の開閉部材151の開閉動作)を制御するための処理が行われる。前述したように、CPU51は、時短状態が設定されている場合、第二始動口15の開閉部材151が開放状態にされる頻度を非時短状態よりも高くする。
【0088】
次いで、CPU51は、普通図柄処理を実行する(S17)。普通図柄処理では、ゲートスイッチ74が遊技球の通過を検出することを契機として、普通当たり乱数が取得される。取得された乱数に基づいて、普通当たり判定、普通図柄の変動を制御するためのコマンドの生成等の処理が行われる。前述したように、時短状態中の普通図柄の変動時間は、非時短中の普通図柄の変動時間よりも短い。
【0089】
次いで、CPU51は、払出処理(S18)、エラーチェック(S19)及び情報出力処理(S20)を実行し、メイン処理を終了する。払出処理では、スイッチ読込処理によって各スイッチに対応するフラグが「ON」にされた場合に、各スイッチに対応する入賞口へ遊技球が入賞したことを示すコマンドが、払出制御基板45に送信される。このコマンドを受信した払出制御基板45のCPU45aは、コマンドに対応する入賞口について予め定められている個数の賞球を、入賞口への入賞球数に応じて賞球払出装置49に払い出させる。エラーチェックでは、エラーが発生している場合に、表示画面28及びスピーカ39等を用いてエラーを報知するためのコマンドが、サブ制御基板58に送信される。情報出力処理では、外部端子板55を介して、前述の遊技場管理用コンピュータに対して各種の情報が出力される。
【0090】
図9から図11を参照して、図6のS15で示した特別図柄処理の詳細について説明する。特別図柄処理で使用されるフラグについて説明する。特別図柄処理では、前述の大当たり遊技状態フラグ、特別図柄表示状態フラグ、確変フラグ、A時短フラグ及びB時短フララグ等が使用される。
【0091】
図9に示すように、特別図柄処理が開始されると、CPU51は、第一始動口14に遊技球が入賞したかを判断する(S61)。第一始動口スイッチ61が遊技球の入賞を検知すると、図6のS11で示したメイン処理のスイッチ読込処理において第一始動口スイッチ61に対応するフラグが「ON」にされる。このフラグが「OFF」の場合には、CPU51は、第一始動口14に遊技球が入賞していないと判断し(S61:NO)、処理をS71の判断へ移行する。
【0092】
このフラグが「ON」の場合には、CPU51は、第一始動口14に遊技球が入賞したと判断し(S61:YES)、第一保留数が「4」であるかを判断する(S63)。RAM52は、第一保留数を記憶する第一保留数記憶エリアを備える。第一保留数記憶エリアに記憶されている第一保留数が「4」である場合(S63:YES)、第一保留数が最大第一保留数に達しているため、CPU51は、処理をS71の判断へ移行する。第一保留数記憶エリアに記憶されている第一保留数が「4」でない場合(S63:NO)、CPU51は、第一保留数記憶エリアに記憶されている第一保留数に「1」を加算する(S65)。CPU51は、第一乱数を取得し、図3で示した特図1大当たり関係情報記憶エリアにおける空の記憶エリアのうち番号が最も小さい記憶エリアに、取得した第一乱数の各乱数値を記憶する(S66)。具体的には、特図1大当たり乱数欄には大当たり乱数の乱数値が、第一特別図柄決定乱数欄には第一図柄決定乱数の乱数値が、第一変動パターン決定乱数欄には第一変動パターン決定乱数の乱数値が、それぞれ記憶される。
【0093】
次いで、CPU51は、S66で取得された第一乱数に関する情報である第一保留情報を参照する(S68)。CPU51は、参照した情報をサブ制御基板58へ通知するための第一保留情報コマンドを生成し、コマンドバッファにセットする(S69)。第一保留情報は、S66で取得及び記憶された第一乱数について大当たり判定等の処理がなされる前に、その第一乱数を参照することによって得られる情報であり、いわゆる先読み情報である。本実施形態において、第一保留情報は、第一保留乱数に含まれる特図1大当たり乱数、第一特別図柄決定乱数及び第一変動パターン決定乱数に基づく情報である。第一乱数が前述のリーチ乱数等を含む場合には、第一保留情報は、それらの乱数を参照して得られる情報も含む。第一保留情報コマンドは、第一乱数に関する先読み情報に加えて、第一保留数を示す情報を含んで生成される。第一保留数を示す情報は、第一保留数記憶エリアに記憶されている第一保留数に基づく。
【0094】
CPU51は、第二始動口15に遊技球が入賞したかを判断する(S71)。第二始動口スイッチ62が遊技球の入賞を検知すると、図6のS11で示したメイン処理のスイッチ読込処理において第二始動口スイッチ62に対応するフラグが「ON」になる。このフラグが「OFF」の場合には、CPU51は、第二始動口15に遊技球が入賞していないと判断し(S71:NO)、処理を図10に示すS81の判断へ移行する。
【0095】
このフラグが「ON」の場合には、CPU51は、第二始動口15に遊技球が入賞したと判断し(S71:YES)、第二保留数が「4」であるかを判断する(S72)。RAM52は、第二保留数を記憶する第二保留数記憶エリアを備える。第二保留数記憶エリアに記憶されている第二保留数が「4」である場合(S72:YES)、第二保留数が最大第二保留数に達しているため、CPU51は、処理をS81の判断へ移行する。第二保留数記憶エリアに記憶されている第二保留数が「4」でない場合(S72:NO)、CPU51は、第二保留数記憶エリアに記憶されている第二保留数に「1」を加算する(S75)。CPU51は、第二乱数を取得し、第二大当たり関係情報記憶エリアにおける空の記憶エリアのうち、番号が最も小さい記憶エリアに、取得した第二乱数の各乱数値を記憶する(S76)。具体的には、特図2大当たり乱数欄には特図2大当たり乱数の乱数値が、第二特別図柄決定乱数欄には第二特別図柄決定乱数の乱数値が、第二変動パターン決定乱数欄には第二変動パターン決定乱数の乱数値が、それぞれ記憶される。
【0096】
次いで、CPU51は、S56で取得された第二乱数に関する情報である第二保留情報を参照する(S78)。CPU51は、参照した情報をサブ制御基板58へ通知するための第二保留情報コマンドを生成し、RAM52に設けられるコマンドバッファにセットする(S79)。第二保留球情報コマンドは、S56で取得及び記憶された第二保留乱数に関する情報である第二保留情報(いわゆる先読み情報)をサブ制御基板58に通知するためのコマンドである。第二保留情報コマンドは、第二乱数(特図2大当たり乱数、第二特別図柄決定乱数及び第二変動パターン決定乱数)に関する情報に加えて、第二保留数を示す情報を含んで生成される。第二保留数を示す情報は、第二保留数記憶エリアに記憶されている第一保留数に基づく。コマンドバッファにセットされた第二保留球情報コマンドは、サブ制御基板58に順次送信される。CPU51は、処理をS81の判断へ移行する。
【0097】
図10に示すように、CPU51は、大当たり遊技状態であるかを判断する(S81)。大当たり遊技状態フラグが「ON」である場合、CPU51は、大当たり遊技状態であると判断し(S81:YES)、処理をメイン処理へ戻す。大当たり遊技状態フラグが「OFF」である場合、CPU51は、大当たり遊技状態でないと判断し(S81:NO)、第一特別図柄及び第二特別図柄が変動中であるか否かを判断する(S82)。特別図柄表示状態フラグが「1」でない場合、CPU51は、第一特別図柄及び第二特別図柄のいずれも変動中でないと判断し(S82:NO)、第一特別図柄又は第二特別図柄が停止状態中であるか否かを判断する(S83)。特別図柄表示状態フラグが「2」でない場合、CPU51は、第一特別図柄及び第二特別図柄のいずれも確定表示中でないと判断し(S83:NO)、処理を図11に示すS91へ移行し、大当たり判定等の処理を実行する。
【0098】
本実施形態では、大当たり判定において、特図2大当たり判定が特図1大当たり判定よりも優先して行われる。図11に示すように、CPU51は、第二保留数が「1」以上であるかを判断する(S91)。RAM52の第二保留数記憶エリアに記憶されている第二保留数が「1」以上である場合(S91:YES)、特図2大当たり判定が行われるが、詳細は後述する。第二保留数が「0」である場合(S91:NO)、CPU51は、第一保留数が「1」以上であるかを判断する(S92)。RAM52の第一保留数記憶エリアに記憶されている第一保留数が「0」である場合(S92:NO)、CPU51は、処理をメイン処理へ戻す。
【0099】
第一保留数が「1」以上である場合(S92:YES)、CPU51は、第一保留数記憶エリアに記憶されている第一保留数を「1」減算する(S93)。CPU51は、図3で示した特図1大当たり関係情報記憶エリアにおいて最も番号の小さい記憶エリアに記憶されている第一保留乱数の各乱数値を、判定エリアにシフトする(S95)。また、CPU51は、特図1大当たり関係情報エリアに記憶されている第一保留乱数の各乱数値を、一つ番号の小さい記憶エリアにシフトする。
【0100】
CPU51は、特図1大当たり判定処理を実行する(S96)。特図1大当たり判定処理は、現在設定されている確率設定の段階と、確変状態が設定されているかとに応じて、図5で示した大当たり判定テーブルが参照されて行われる。特図1大当たり判定処理において、CPU51は、RAM52に記憶されている設定値を参照し、現在設定されている確率設定の段階を特定する。また、CPU51は、確変フラグの状態を参照し、現時点において確変状態が設定されているかを特定する。CPU51は、特定した確率設定の段階及び確変状態が設定されているか否かに応じて特図1大当たり判定テーブルを参照して、S95で判定エリアにシフトされた特図1大当たり乱数が「大当たり」及び「はずれ」のいずれに対応するかを判定する。これにより、RAM52に記憶された未判定の特図1大当たり乱数に基づく特図1大当たり判定が、特図1大当たり乱数の記憶された順に行われる。
【0101】
CPU51は、S96で導出された特図1大当たり判定の結果に応じた第一特別図柄を決定する(S98)。S98の処理では、CPU51は、S95で判定エリアにシフトされた第一特別図柄決定乱数の値に応じて、大当たり又ははずれの判定結果を示す第一特別図柄を決定する。決定された第一特別図柄の内容を示す情報は、RAM52に記憶される。CPU51は、処理をS111へ移行する。
【0102】
一方、第二保留数が「1」以上である場合(S91:YES)、CPU51は、第二保留数記憶エリアに記憶されている第二保留数を「1」減算する(S101)。CPU51は、特図2大当たり関係情報記憶エリアにおいて最も番号の小さい記憶エリアに記憶されている第二保留乱数の各乱数値を、判定エリアにシフトする(S102)。また、CPU51は、特図2大当たり関係情報エリアに記憶されている第二保留乱数の各乱数値を、一つ番号の小さい記憶エリアにシフトする。
【0103】
CPU51は、特図2大当たり判定処理を実行する(S103)。特図2大当たり判定処理は、特図1大当たり判定処理と同様に、現在設定されている確率設定の段階と、確変状態が設定されているかとに応じて、図5で示した大当たり判定テーブルが参照されて行われる。特図2大当たり判定処理において、CPU51は、RAM52に記憶されている設定値を参照し、現在設定されている確率設定の段階を特定する。また、CPU51は、確変フラグの状態を参照し、現時点において確変状態が設定されているかを特定する。CPU51は、特定した確率設定の段階及び確変状態が設定されているか否かに応じて特図2大当たり判定テーブルを参照して、S102で判定エリアにシフトされた特図2大当たり乱数が「大当たり」及び「はずれ」のいずれに対応するかを判定する。これにより、RAM52に記憶された未判定の第二大当たり乱数に基づく第二大当たり判定が、第二大当たり乱数の記憶された順に行われる。
【0104】
CPU51は、S103で導出された特図2大当たり判定の結果に応じた第二特別図柄を決定する(S105)。S105の処理では、CPU51は、S102で判定エリアにシフトされた第二特別図柄決定乱数の値に応じて、大当たり又ははずれの判定結果を示す第二特別図柄を決定する。決定された第二特別図柄の内容を示す情報は、RAM52に記憶される。CPU51は、処理をS111へ移行する。
【0105】
CPU51は、停止図柄指定コマンドを生成し、コマンドバッファにセットする(S111)。停止図柄指定コマンドは、S98又はS105の処理で特別図柄として決定された大当たり図柄又ははずれ図柄の内容をサブ制御基板58に通知するためのコマンドである。以下、第一特別図柄として決定された大当たり図柄又ははずれ図柄の内容をサブ制御基板58に通知するためのコマンドを、第一停止図柄指定コマンドという。第二特別図柄として決定された大当たり図柄又ははずれ図柄の内容をサブ制御基板58に通知するためのコマンドを、第二停止図柄指定コマンドという。コマンドバッファにセットされた第一停止図柄指定コマンド及び第二停止図柄指定コマンドは、サブ制御基板58に順次送信される。
【0106】
CPU51は、変動パターンを決定する(S112)。S112では、CPU51は、確変フラグ及び時短フラグの状態を参照し、現時点において通常状態、確変時短状態又は非確変時短状態のいずれの遊技状態が設定されているかを特定する。そして、CPU51は、図4で示した変動パターン決定テーブルを参照して、特定した遊技状態と、大当たり判定による判定結果にと応じて、変動パターン決定乱数に対応する変動パターンを決定する。
【0107】
CPU51は、S112で決定した変動パターンを指定するための変動パターン指定コマンドを生成し、コマンドバッファにセットする(S113)。以下、S112で決定された変動パターンが第一変動パターンである場合において、第一変動パターンを指定するコマンドを第一変動パターン指定コマンドという。S111で決定された変動パターンが第二変動パターンである場合において、第二変動パターンを指定するコマンドを第二変動パターン指定コマンドという。第一変動パターン指定コマンドと、第二変動パターン指定コマンドとを総称する場合、単に変動パターン指定コマンドという。変動パターン指定コマンドは、決定された変動パターンの種類及び変動パターンに対応する特別図柄の変動時間の情報を含む。コマンドバッファにセットされた変動パターン指定コマンドは、中継端子板47及びサブ制御基板58に送信される。中継端子板47を介して第一変動パターン指定コマンドを受信した図柄表示部29は、第一特別図柄表示部における第一特別図柄の変動を開始する。第二変動パターン指定コマンドを受信した図柄表示部29は、第二特別図柄表示部における第二特別図柄の変動を開始する。第一変動パターン指定コマンド及び第二変動パターン指定コマンドを受信したサブ制御基板58は、表示画面28の演出図柄100の変動開始を指示する。
【0108】
CPU51は、S112で決定された変動パターンに対応する特別図柄の変動時間を、特別図柄変動時間カウンタに記憶する(S115)。CPU51は、特別図柄が変動中であることを示す「1」を特別図柄表示状態フラグに記憶し(S116)、処理をメイン処理へ戻す。
【0109】
また、図10に示すS82の判断において、特別図柄表示フラグに「1」が記憶されている場合には、CPU51は、特別図柄が変動中であると判断し(S82:YES)、第一変動時間又は第二変動時間が経過したかを判断する(S121)。この判断は、S115において記憶された特別図柄変動時間カウンタの値に応じて行われる。CPU51は、特別図柄変動時間カウンタの値が「0」でない場合には第一変動時間又は第二変動時間がまだ経過していないと判断し(S121:NO)、処理をメイン処理へ戻す。
【0110】
CPU51は、特別図柄変動時間カウンタの値が「0」となっている場合には第一変動時間又は第二変動時間が経過したと判断し(S121:YES)、特別図柄停止コマンドを生成し、コマンドバッファにセットする(S122)。特別図柄停止コマンドは、特別図柄の変動を停止することを図柄表示部29及びサブ制御基板58に通知するためのコマンドである。コマンドバッファにセットされた特別図柄停止コマンドは、中継端子板47及びサブ制御基板58に送信され、図柄表示部29における第一特別図柄又は第二特別図柄の変動停止及び表示画面28の演出図柄100の変動停止を指示する。以下、第一特別図柄の変動停止を指定するコマンドを第一特別図柄停止コマンドという。第二特別図柄の変動停止を指定するコマンドを第二特別図柄停止コマンドという。第一特別図柄停止コマンドと、第二特別図柄停止コマンドとを総称する場合、単に特別図柄停止コマンドという。
【0111】
CPU51は、特別図柄確定表示時間を、RAM52の特別図柄確定表示時間カウンタに記憶する(S123)。CPU51は、第一特別図柄及び第二特別図柄のいずれかが確定表示中であることを示す「2」を特別図柄表示状態フラグに記憶する(S124)。CPU51は、処理をメイン処理へ戻す。
【0112】
また、S83の判断において、特別図柄表示状態フラグに「2」が記憶されている場合(S83:YES)、CPU51は、S113において記憶された特別図柄確定表示時間カウンタの値に応じて、特別図柄確定表示時間が経過したかを判断する(S126)。CPU51は、特別図柄確定表示時間カウンタの値が「0」でない場合には特別図柄確定表示時間が経過していないと判断し(S126:NO)、処理をメイン処理へ戻す。CPU51は、特別図柄確定表示時間カウンタの値が「0」の場合には特別図柄確定表示時間が経過したと判断し(S126:YES)、第一特別図柄及び第二特別図柄のいずれも変動中でも確定表示中でもないことを示す「0」を、特別図柄表示状態フラグに記憶する(S127)。その後、CPU51は、遊技状態移行処理を実行し(S128)、処理をメイン処理へ戻す。
【0113】
図12及び図13を参照して、図10のS128で示した遊技状態移行処理の詳細について説明する。遊技状態移行処理では、大当たり判定によって大当たりと判定された場合に、遊技を大当たり遊技状態に移行させるための処理が行われる。また、遊技状態移行処理では、時短フラグ及び確変フラグの制御も適宜行われる。
【0114】
遊技状態移行処理が開始されると、CPU51は、特別図柄が大当たり図柄で確定表示したかを判断する(S131)。特別図柄が大当たり図柄で確定表示した場合(S131:YES)、CPU51は、判定回数計数カウンタの値を「0」にクリアする(S132)。判定回数計数カウンタは、非確変状態における大当たり判定の実行の開始及びRAMクリアの実行を起点として、その後に非確状態において実行された大当たり判定の回数を計数するカウンタであり、RAM52に記憶される。
【0115】
CPU51は、時短状態が設定されているかを判断する(S133)。CPU51は、A時短フラグ及びB時短フラグのいずれも「OFF」である場合には時短状態が設定されていないと判断して(S133:NO)、処理をS141の判断へ移行する。CPU51は、A時短フラグ及びB時短フラグのいずれかが「ON」である場合には時短状態が設定されていると判断して(S133:YES)、A時短回数計数カウンタ及びB時短回数計数カウンタのいずれも「0」にクリアする(S135)。A時短回数計数カウンタは、A時短状態において実行された大当たり判定の回数を計数するカウンタであり、RAM52に記憶される。B時短回数計数カウンタは、B時短状態において実行された大当たり判定の回数を計数するカウンタであり、RAM52に記憶される。CPU51は、時短状態終了通知に対応する遊技状態コマンドを生成し、コマンドバッファにセットする(S136)。CPU51は、A時短フラグ及びB時短フラグのいずれも「OFF」にする(S138)。
【0116】
CPU51は、確変状態が設定されているかを判断する(S141)。CPU51は、確変フラグが「OFF」である場合には確変状態が設定されていないと判断して(S141:NO)、処理をS145へ移行する。CPU51は、確変フラグが「ON」である場合には確変状態が設定されていると判断して(S141:YES)、確変状態終了通知に対応する遊技状態コマンドを生成し、コマンドバッファにセットする(S142)。CPU51は、確変フラグを「OFF」にする(S143)。つまり、大当たり遊技中は、遊技状態が通常状態に設定される。
【0117】
CPU51は、大当たり図柄に対応するラウンド数を、Rカウンタにセットする(S145)。Rカウンタは、ラウンド数を記憶するカウンタとしてRAM52に設けられている。前述したように、本実施形態において、ラウンド数はいずれの大当たり図柄の種別においても「5」である。CPU51は、大当たり遊技状態開始通知に対応する遊技状態コマンドを生成し、コマンドバッファにセットする(S146)。コマンドバッファにセットされた遊技状態コマンドは、サブ制御基板58に順次送信される。CPU51は、大当たり遊技状態フラグを「ON」にする(S148)。CPU51は、処理を特別図柄処理へ戻す。
【0118】
一方、CPU51は、特別図柄がはずれ図柄で確定表示した場合(S131:NO)、図13に示すように、A時短フラグが「ON」であるかを判断する(S151)。A時短フラグが「ON」である場合(S151:YES)、CPU51は、A時短回数計数カウンタの値を「1」減算する(S152)。CPU51は、A時短回数計数カウンタの値が「0」であるかを判断する(S153)。A時短回数計数カウンタの値が「0」でない場合(S153:NO)、以降もA時短状態が継続する。この場合、CPU51は、処理をS161の判断へ移行する。A時短回数カウンタの値が「0」である場合(S153:YES)、CPU51は、確変状態が設定されているかを判断する(S155)。CPU51は、確変フラグが「OFF」である場合には確変状態が設定されていないと判断する(S155:NO)。この場合、A時短状態における大当たり判定の実行回数がA時短回数に到達したことにより、非確変時短状態が終了する。CPU51は、時短状態終了通知に対応する遊技状態コマンドを生成し、コマンドバッファにセットする(S156)。コマンドバッファにセットされた遊技状態コマンドは、サブ制御基板58に順次送信される。CPU51は、A時短フラグを「OFF」にし(S158)、処理をS171の判断へ移行する。一方、S155の判断において確変フラグが「ON」である場合(S155:YES)、遊技状態は確変時短状態であり、確変状態が終了するまで時短状態が継続する。この場合、CPU51は、S156及びS158の処理を実行せず、処理をS171の判断へ移行する。
【0119】
一方、CPU51は、A時短フラグが「OFF」である場合(S151:NO)、B時短フラグが「ON」であるかを判断する(S161)。B時短フラグが「ON」である場合(S161:YES)、CPU51は、B時短回数計数カウンタの値を「1」減算する(S162)。CPU51は、B時短回数計数カウンタの値が「0」であるかを判断する(S163)。B時短回数計数カウンタの値が「0」でない場合(S163:NO)、以降もB時短状態が継続するので、CPU51は、処理をS171の判断へ移行する。B時短回数カウンタの値が「0」である場合(S163:YES)、CPU51は、時短状態終了通知に対応する遊技状態コマンドを生成し、コマンドバッファにセットする(S165)。コマンドバッファにセットされた遊技状態コマンドは、サブ制御基板58に順次送信される。CPU51は、B時短フラグを「OFF」にし(S166)、処理をS171の判断へ移行する。また、CPU51は、B時短フラグが「OFF」である場合(S161:NO)、処理をS171の判断へ移行する。
【0120】
CPU51は、確変状態が設定されているかを判断する(S171)。CPU51は、確変フラグが「ON」である場合には確変状態が設定されていないと判断して(S171:YES)、処理を特別図柄処理へ戻す。CPU51は、確変フラグが「OFF」である場合には確変状態が設定されていないと判断して(S171:NO)、判定回数計数カウンタの値が「0」よりも大きいかを判断する(S172)。判定回数計数カウンタの値が「0」である場合(S172:NO)、CPU51は、処理を特別図柄処理へ戻す。
【0121】
判定回数計数カウンタの値が「0」よりも大きい場合(S172:YES)、CPU51は、判定回数計数カウンタの値を「1」減算する(S173)。CPU51は、判定回数計数カウンタの値が「0」であるかを判断する(S175)。判定回数計数カウンタの値が「0」でない場合(S175:NO)、CPU51は、処理を特別図柄処理へ戻す。判定回数計数カウンタの値が「0」である場合(S175:YES)、B時短状態が開始することを通知する内容の遊技状態コマンドを生成し、コマンドバッファにセットする(S176)。S176で生成される遊技状態コマンドは、時短状態開始通知に対応し、特にB時短が開始することを通知するために生成される。B時短状態が開始することを通知する内容の遊技状態コマンドがサブ制御基板58に送信されることを、遊タイム開始通知という。CPU51は、B時短回数計数カウンタに、B時短回数に対応する「300」をセットする(S178)。CPU51は、B時短フラグを「ON」にして(S179)、処理を特別図柄処理へ戻す。
【0122】
図14を参照して、図6のS13で示した特別電動役物処理の詳細について説明する。特別電動役物処理で使用されるフラグについて説明する。特別電動役物処理では、前述の各種フラグに加えて、開放中フラグ等が使用される。開放中フラグは、大入賞口16が開放状態であるか否かを示すフラグであり、RAM52に記憶される。開放中フラグは、大入賞口16の開閉部材161が開放状態にある場合に「1」が記憶されて「ON」になり、開閉部材161が開放状態にない場合に「0」が記憶されて「OFF」になる。
【0123】
特別電動役物処理が開始されると、CPU51は、大当たり遊技状態であるかを判断する(S181)。この判断は、大当たり遊技状態フラグの状態に基づいて行われる。CPU51は、大当たり遊技状態フラグが「OFF」の場合には大当たり遊技状態でないと判断して(S181:NO)、処理をメイン処理へ戻す。CPU51は、大当たり遊技状態フラグが「ON」の場合には大当たり遊技状態であると判断して(S181:YES)、大当たりラウンドが全て終了しているか、すなわち、Rカウンタの値が「0」であるかを判断する(S182)。Rカウンタの値は、後述のS199の処理で、大当たりラウンドが1回終了する毎に「1」減算される。すなわち、Rカウンタの値が「0」であれば、大当たり遊技における最終ラウンドが終了していることとなる。
【0124】
Rカウンタの値が「0」でない場合(S182:NO)、CPU51は、大入賞口16が開放中であるかを判断する(S183)。この判断は、開放中フラグの状態に基づいて行われる。CPU51は、開放中フラグが「ON」である場合には大入賞口16が開放中であると判断して(S183:YES)、処理をS191の判断へ移行する。CPU51は、開放中フラグが「OFF」である場合には大入賞口16が開放中でないと判断して(S183:NO)、大入賞口16を開放させるための大入賞口開放コマンドを生成し、コマンドバッファにセットする(S185)。セットされた大入賞口開放コマンドは、中継端子板47に順次送信される。中継端子板47を介して大入賞口開放コマンドを受信した大入賞口ソレノイド70は、大入賞口16の開閉部材161を開放させる。CPU51は、大当たり遊技における大入賞口16の開放時間である大入賞口開放時間(本実施形態では29秒)を、RAM52の大入賞口開放時間カウンタに記憶する(S186)。CPU51は、開放中フラグを「ON」にする(S188)。CPU51は、処理をS191の判断へ移行する。
【0125】
CPU51は、大入賞口16へ遊技球が入賞したかを判断する(S191)。大入賞口スイッチ76が遊技球の入賞を検知すると、図6のS11で示したメイン処理のスイッチ読込処理において大入賞口スイッチ76に対応するフラグが「ON」にされる。CPU51は、このフラグが「OFF」である場合には大入賞口16へ遊技球が入賞していないと判断し(S191:NO)、処理をS193の判断へ移行する。CPU51は、このフラグが「ON」である場合には大入賞口16へ遊技球が入賞したと判断し(S191:YES)、大入賞口16へ入賞した遊技球の個数を計数するRAM52の入賞球数カウンタに「1」を加算する(S192)。CPU51は、処理をS193の判断へ移行する。
【0126】
CPU51は、入賞球数カウンタに記憶されている入賞球数が、「10」以上であるかを判断する(S193)。入賞球数カウンタの値が「10」未満の場合(S193:NO)、CPU51は、大入賞口開放時間が経過したかを、大入賞口開放時間カウンタの値に基づいて判断する(S195)。大入賞口開放時間が経過していない場合(S195:NO)、CPU51は、処理をメイン処理へ戻す。以降に行われる特別電動役物処理において、大当たり遊技状態であり(S181:YES)、Rカウンタの値が「0」でない場合(S182:NO)、大入賞口16に10個以上の遊技球が入賞するか、又は大入賞口開放時間が経過するまで、S193及びS195の判断が繰り返して実行される。
【0127】
大入賞口16へ10個以上の遊技球が入賞するか(S193:YES)、又は大入賞口開放時間が経過した場合(S195:YES)、大入賞口閉鎖コマンドが生成され、コマンドバッファにセットされる(S196)。大入賞口閉鎖コマンドは、開放している大入賞口16の開閉部材161を閉鎖させるためのコマンドである。セットされた大入賞口閉鎖コマンドは、中継端子板47に順次送信される。中継端子板47を介して大入賞口閉鎖コマンドを受信した大入賞口ソレノイド70は、大入賞口16の開閉部材161を閉鎖させる。CPU51は、開放中フラグを「OFF」にする(S198)。CPU51は、Rカウンタの値を「1」減算し(S199)、処理をメイン処理へ戻す。
【0128】
一方、Rカウンタの値が「0」である場合(S182:YES)、大当たり遊技が終了するので、CPU51は、大当たり遊技状態終了通知に対応する遊技状態コマンドを生成し、コマンドバッファにセットする(S201)。コマンドバッファにセットされた遊技状態コマンドは、サブ制御基板58へ順次送信される。CPU51は、大当たり遊技状態フラグを「OFF」にする(S202)。
【0129】
CPU51は、RAM52に記憶されている大当たり図柄の内容を示す情報を参照し、参照した情報が確変大当たり図柄を示すかを判断する(S203)。参照した情報が確変大当たり図柄を示す場合(S203:YES)、CPU51は、確変状態開始通知に対応する遊技状態コマンドを生成し、コマンドバッファにセットする(S205)。CPU51は、確変フラグを「ON」にする(S206)。CPU51は、時短状態開始通知に対応する遊技状態コマンドを生成し、コマンドバッファにセットする(S208)。コマンドバッファにセットされた遊技状態コマンドは、サブ制御基板58へ順次送信される。CPU51は、処理をS213へ移行する。
【0130】
一方、CPU51は、参照した情報が非確変大当たり図柄を示す場合(S203:NO)、時短状態開始通知に対応する遊技状態コマンドを生成し、コマンドバッファにセットする(S211)。コマンドバッファにセットされた遊技状態コマンドは、サブ制御基板58へ順次送信される。CPU51は、A時短回数計数カウンタに、A時短回数に対応する「80」をセットする(S212)。CPU51は、判定回数計数カウンタに、前述の上限回数に対応する「601」をセットする(S213)。CPU51は、A時短フラグを「ON」にして(S215)、処理をメイン処理へ戻す。
【0131】
図15を参照して、サブ制御基板58が実行するサブ制御基板処理について説明する。サブ制御基板処理では、主制御基板41から送信されるコマンドに従って、各種の演出を制御する処理が行われる。特に、サブ制御基板処理では、第一報知演出、後述する据え置き示唆演出及びRAMクリア示唆演出の制御が行われる。この他、サブ制御基板処理では、第二報知演出の制御、大当たり遊技中の演出等の制御も行われるが、本件では説明を省略する。サブ制御基板58は、所定の周期でクロック信号を出力するクロック回路(図示略)及び割込信号発生回路(図示略)を備える。割込信号発生回路は、クロック回路からクロック信号が入力される毎に割込信号を発生させる。サブ制御基板58のCPU581は、ROM583に記憶されているプログラムに従って、割込信号発生回路から割込信号が入力される毎にサブ制御基板処理を実行する。
【0132】
サブ制御基板処理では、確変フラグ、時短フラグ、サブ稼働中フラグ、設定値フラグ等が使用される。これらのフラグはRAM582に記憶される。確変フラグは、確変状態であるかを示すフラグであり、確変状態に「1」が記憶されて「ON」になり、非確変状態に「0」が記憶されて「OFF」になる。時短フラグは、時短状態であるかを示すフラグであり、時短状態に「1」が記憶されて「ON」になり、非時短状態に「0」が記憶されて「OFF」になる。サブ稼働中フラグは、サブ制御基板58がパチンコ機1を稼働できる状態にあるかを示すフラグである。サブ稼働中フラグは、電源スイッチ423の操作によってパチンコ機1の電源がOFFにされるときに「OFF」になり、図15のS402で後述するサブ電源投入時処理の実行が完了した場合に「ON」になる。設定値フラグは、サブ制御基板58において設定値を把握するために設けられている。設定値フラグは、主制御基板41から送信される設定値通知コマンド及び設定変更通知コマンドに含まれる設定値を記憶する。
【0133】
パチンコ機1の電源スイッチ423がON状態に操作されることによって、パチンコ機1の電源がONにされると、CPU581は、サブ制御基板処理を開始する。サブ制御基板処理が開始されると、CPU581は、サブ稼働中フラグが「ON」であるかを判断する(S401)。サブ稼働中フラグが「OFF」である場合(S401:NO)、CPU581は、サブ電源投入時処理を実行し(S402)、処理をS403の判断へ移行する。サブ電源投入時処理の詳細については後述する。サブ稼働中フラグが「ON」である場合(S401:YES)、CPU581は、処理をS403の判断へ移行する。
【0134】
CPU581は、主制御基板41から遊技状態コマンドを受信したかを判断する(S403)。CPU581は、主制御基板41から遊技状態コマンドを受信していない場合(S403:NO)、処理をS411の判断へ移行する。CPU581は、主制御基板41から遊技状態コマンドを受信した場合(S403:YES)、受信した遊技状態コマンドが遊タイム開始通知であるかを判断する(S405)。受信した遊技状態コマンドが遊タイム開始通知でない場合(S405:NO)、CPU581は、遊技状態コマンドによって通知される各種の状態に応じた処理を実行する(S408)。遊技状態コマンドによって大当たり遊技状態開始通知が行われた場合、CPU581は、大当たり遊技のための大当たり遊技演出の実行開始を制御する。CPU581は、遊技状態コマンドによって確変状態開始通知が行われた場合、確変フラグを「ON」にし、確変状態終了通知が行われた場合には、確変フラグを「OFF」にする。CPU581は、遊技状態コマンドによって時短状態開始通知が行われた場合、時短フラグを「ON」にし、時短状態終了通知が行われた場合には、時短フラグを「OFF」にする。CPU581は、確変フラグの状態に応じて各種の演出を制御する。CPU51は、処理をS403の判断へ移行する。
【0135】
受信した遊技状態コマンドが遊タイム開始通知である場合(S405:YES)、CPU581は、遊タイム開始演出を実行する(S406)。CPU51は、処理をS403の判断へ移行する。遊タイム開始演出は、B時短状態が開始することを示唆するために実行される演出である。前述したように、B時短状態は、大当たり遊技が終了し、非確変状態における大当たり判定の実行が開始されたこと及び後述するRAMクリアが行われたことを起点として計数された大当たり判定の実行回数が、前述の上限回数に到達することに応じて設定される。B時短状態には、第二始動口15の開閉部材151が開放状態にされる割合が通常状態よりも高くなる。すなわち、B時短状態は、B時短状態が開始する前に設定されている通常状態に比べて、遊技者にとって有利な遊技状態である。したがって、パチンコ機1は、遊タイム開始演出を実行することによって、遊技者にとって有利な遊技状態が開始することを遊技者に示唆する。
【0136】
パチンコ機1は、図16(A)に示すように、第一特別図柄の変動表示に同期して演出図柄100の変動表示を行い、図16(B)に示すように、第一特別図柄の確定表示に同期して演出図柄100を確定表示することで、第一報知演出を実行する。演出図柄100は、左図柄101、中図柄102及び右図柄103を備える。左図柄101は、表示画面28の左部の変動ラインに主に表示される。中図柄102は、表示画面28の中央部の変動ラインに主に表示される。右図柄103は、表示画面28の右部の変動ラインに主に表示される。図16(A)に示すように、左図柄101、中図柄102及び右図柄103をそれぞれの変動ラインにおいて「1」図柄から「8」図柄が上方から下方に順にスクロールされることによって、演出図柄100の図柄変動が行われる。矢印Y1は、演出図柄100のそれぞれがスクロールを継続していることを模式的に示す。図16(B)に示すように、左図柄101、中図柄102及び右図柄103をそれぞれの変動ラインの中央部において停止表示させることによって、演出図柄100の確定表示が行われる。ここでは、演出図柄100がバラケ目の組合せで確定表示することで、特図1大当たり判定の結果がはずれであることが報知された例を示す。
【0137】
パチンコ機1は、表示画面28に、第一保留乱数を示す第一保留表示NHを表示する。本実施形態では、第一保留表示NHは、円形のシンボルで構成される。第一保留表示NHは、円形以外の各種の形状等を有していてもよい。第一保留表示NHは、その表示色の違い、形状の違い等によって、第一保留乱数の期待度の高低を示すものであってもよい。第一保留乱数の期待度は、第一保留情報に基づくものである。具体的には、第一保留乱数に係る特図1大当たり乱数が大当たりであるか否かを示す情報、第一変動パターン決定乱数がいずれの変動パターンに対応するかを示す情報等に基づいて、第一保留乱数の期待度が定まる。表示画面28の下部には、第一保留表示NHを表示する位置を示す位置H1~位置H4が設けられている。位置H1,H2,H3,H4のそれぞれには、図3で示した特図1大当たり関係情報記憶エリアのNo.1,2,3,4のそれぞれに記憶されている第一保留乱数に対応する第一保留表示NHが表示される。図16(A)及び(B)において、第一報知演出が実行中であり、第一保留数が「3」であり、3個の第一保留表示NHのそれぞれが、位置H1~位置H3のそれぞれに表示されている。
【0138】
図16(A)及び(B)において示す第一報知演出が、上限回数である601回目に実行されたものであるとする。この場合、601回目の第一報知演出の終了後にB時短状態が設定され、遊技状態が通常状態から非確変時短状態に移行する。これに伴い、図16(C)に示すように、遊タイム開始演出が実行される。遊タイム開始演出は、「遊タイム突入」の文字を示す文字画像111が表示画面28に表示されることによって行われる。また、遊技状態が通常状態から非確変時短状態に移行することに伴い、遊技を左打ちから右打ちに変更することを遊技者に指示するための右打ち表示112も、表示画面28に表示される。また、B時短回数の残り数を示す残り回数表示113も、表示画面28に表示される。この他、パチンコ機1は、枠ランプ38及び盤ランプ27の発光動作、所定の効果音をスピーカ39から出力することによっても、遊タイム開始演出を実行する。CPU581は、S406の処理において、図16(C)に示す遊タイム開始演出を実行するための各種の処理を実行する。
【0139】
図15の説明に戻る。CPU581は、主制御基板41から第一保留情報コマンドを受信したかを判断する(S411)。CPU581は、主制御基板41から第一保留情報コマンドを受信していない場合(S411:NO)、処理をS413の判断へ移行する。CPU581は、主制御基板41から第一保留情報コマンドを受信した場合(S411:YES)、第一保留表示処理を実行し(S412)、処理をS413の判断へ移行する。
【0140】
CPU581は、S412の第一保留表示処理において、第一保留表示NHの表示制御のための処理を実行する。具体的には、CPU581は、主制御基板41から受信した第一保留情報コマンドを解析し、第一保留情報を取得する。CPU581は、第一保留情報に含まれる第一変動パターン決定乱数に関する情報である第一変動パターン先読み情報等に基づいて、第一保留表示NHの表示態様を決定する。CPU581は、決定した態様の第一保留表示NHを、位置H1~位置H4のうち空いている位置に左詰めで表示することを演出制御基板43に指示するコマンドを生成し、生成したコマンドをRAM582に設けられるコマンドバッファにセットする。コマンドバッファにセットされたコマンドは、演出制御基板43に順次送信される。このコマンドを受信した演出制御基板43のCPU431は、表示画面28に第一保留表示NHを追加表示する。
【0141】
CPU581は、主制御基板41から第一停止図柄指定コマンドを受信したかを判断する(S413)。第一停止図柄指定コマンドを受信していない場合(S413:NO)、CPU581は、処理をS416の判断へ移行する。第一停止図柄指定コマンドを受信した場合(S413:YES)、CPU581は、第一停止図柄指定コマンドを解析して、コマンドの示す第一特別図柄の種類(大当たり図柄又ははずれ図柄)を取得する。CPU581は、取得した第一特別図柄の種類に応じた演出図柄100の組合せを決定する(S415)。CPU581は、第一特別図柄が大当たり図柄である場合、左図柄101、中図柄102及び右図柄103が変動表示を終了し確定表示するときの組合せとして、左図柄101、中図柄102及び右図柄103が同じ数字で揃うゾロ目の組合せを決定する。左図柄101、中図柄102及び右図柄103が変動表示を終了し確定表示するときの組合せを、以下、「確定図柄」という。CPU581は、第一特別図柄がはずれ図柄である場合、確定図柄として、左図柄101、中図柄102及び右図柄103が異なる数字を含む、ゾロ目以外の組合せを決定する。決定された確定図柄は、RAM582に記憶される。CPU581は処理をS416の判断へ移行する。
【0142】
CPU581は、主制御基板41から第一変動パターン指定コマンドを受信したかを判断する(S416)。第一変動パターン指定コマンドを受信していない場合(S416:NO)、CPU581は、処理をS421の判断へ移行する。第一変動パターン指定コマンドを受信した場合(S416:YES)、CPU581は、第一報知演出実行処理を実行し(S418)、処理をS421の判断へ移行する。
【0143】
CPU581は、S418の第一報知演出実行処理において、第一変動パターン指定コマンドによって指定される第一変動パターンに基づく第一報知演出の制御のための処理を実行する。具体的には、CPU581は、第一変動パターン指定コマンドを解析して、コマンドの示す第一変動パターンを特定する。CPU581は、特定した第一変動パターンに基づいて、第一報知演出の実行開始を指示するためのコマンドを生成する。ここで生成されるコマンドは、第一変動パターンに基づく第一報知演出の演出パターンを示す情報を含む。コマンドバッファにセットされたコマンドは、演出制御基板43に順次送信される。コマンドを受信した演出制御基板43のCPU431は、コマンドが含む第一報知演出の演出パターンを示す情報に対応する画像データをCGROMから読み出す。そしてCPU431は、画像制御回路435による画像処理を制御して、読み出した画像データを表示画面28に表示させることによって、第一報知演出の演出画像の表示を開始する。また、CPU581は、ランプ制御基板46を介して、枠ランプ38及び盤ランプ27の電飾演出を制御する。また、CPU581は、音制御回路585による音処理を制御する。これにより、第一報知演出が実行される。
【0144】
また、CPU581は、位置H1~位置H4に表示されている第一保留表示NHを、一つずつ左の位置へ繰り上げて移動することを指示するためのコマンドを生成し、生成したコマンドをコマンドバッファにセットする。コマンドバッファにセットされたコマンドは、演出制御基板43に順次送信される。このコマンドを受信した演出制御基板43のCPU431は、画像制御回路435による画像処理を制御して、位置H1~位置H4に表示されている第一保留表示NHを、一つずつ左の位置へ繰り上げて移動する。
【0145】
CPU581は、主制御基板41から第一特別図柄停止コマンドを受信したかを判断する(S421)。第一特別図柄停止コマンドを受信していない場合(S421:NO)、CPU581は、処理をS423の判断へ移行する。第一特別図柄停止コマンドを受信した場合(S421:YES)、CPU581は、第一報知演出終了処理を実行する(S422)。CPU581は、処理をS423の判断へ移行する。
【0146】
CPU581は、S422の第一報知演出終了処理において、第一報知演出の実行を終了するための処理を実行する。具体的には、CPU581は、第一報知演出の実行終了を指示するためのコマンドを生成し、生成したコマンドをコマンドバッファにセットする。コマンドバッファにセットされたコマンドは、演出制御基板43に順次送信される。このコマンドは、S415で決定した確定図柄の情報を含む。このコマンドを受信した演出制御基板43のCPU431は、画像制御回路435による画像処理を制御して、演出図柄100の変動表示を終了し、演出図柄100を確定図柄で確定表示する。これにより、第一報知演出の実行が終了する。
【0147】
CPU581は、主制御基板41からその他のコマンドを受信したかを判断する(S423)。その他のコマンドを受信していない場合(S423:NO)、CPU581は、サブ制御基板処理を終了する。その他のコマンドを受信した場合(S423:YES)、CPU581は、コマンドに応じた各種の処理を実行する(S423)。例えば、CPU581は、主制御基板41から設定値通知コマンドを受信した場合、設定値通知コマンドに含まれる設定値を設定値フラグに記憶する。CPU581は、サブ制御基板処理を終了する。
【0148】
図17を参照して、図15のS402で示したサブ電源投入時処理の詳細について説明する。サブ電源投入時処理では、サブ制御基板58がパチンコ機1を稼働できる状態にするための各種の処理が実行される。また、サブ電源投入時処理では、据え置き示唆演出及びRAMクリア示唆演出を実行するための処理も行われる。サブ電源投入時処理で使用されるフラグについて説明する。サブ電源投入時処理では、サブ待機中フラグ等が使用される。サブ待機中フラグはRAM582に記憶される。サブ待機中フラグは、サブ制御基板58が電源遮断前の状態に復帰する準備をしている復帰中の状態である場合に「ON」になり、そうでない場合に「OFF」になる。
【0149】
サブ電源投入時処理が開始されると、CPU581は、電源投入に伴う初期化処理を実行する(S501)。具体的には、CPU581は、演出制御基板43等が動作可能な状態になるのを待つためのウエイト処理等を実行する。CPU581は、主制御基板41からRAMクリア通知コマンドを受信したかを判断する(S502)。RAMクリア通知コマンドを受信していない場合(S502:NO)、CPU581は、RTC586の示す現在時刻を、パチンコ機1が今回復電した時刻である今回復電時刻として取得する(S505)。CPU581は、今回復電時刻がホールの営業時間外であるかを判断する(S506)。CPU581は、ホールの営業時間を示す情報をROM583に予め記憶しており、記憶しているホールの営業時間を示す情報と今回復電時刻とを比較すること等によってS506の判断を実行する。今回復電時刻がホールの営業時間内である場合(S506:NO)、CPU581は、処理をS511の判断へ移行する。
【0150】
今回復電時刻がホールの営業時間外である場合(S506:YES)、CPU581は、復電回数カウンタFに「1」を加算する(S508)。復電回数カウンタFは、RAMクリア処理を伴わずにパチンコ機1の電源がONにされたことが繰り返された回数を計数するためのカウンタである。復電回数カウンタFは、RAM582に記憶される。一般的なホールにおいては、遊技機の電源がON又はOFFにされるのは、ホールの閉店後である。ホールの営業時間内において遊技機の電源がON又はOFFにされるのは、遊技機に何らかのトラブルが生じた場合又は遊技機の瞬停、瞬低が生じた場合等である。CPU581は、遊技機に何らかのトラブルが生じたこと等によってホールの営業時間内において遊技機の電源がONにされた回数を考慮せず、ホールの営業時間外にパチンコ機1の電源がONにされた回数を計数するため、S506の判断を実行する。以下では、復電回数カウンタFの値を「F」と示す。
【0151】
CPU581は、据え置き回数Gを算出する(S509)。据え置き回数Gは、パチンコ機1がRAMクリア処理を伴って電源がONにされた後、電源がOFFにされ、その後RAMクリア処理が実行されずに遊技機の電源がONにされた回数である。据え置き回数Gは、復電回数カウンタFの値であるFから「1」を減じて算出される。算出された据え置き回数Gは、RAM582に記憶される。以下では、据え置き回数Gの値を「G」と示す。
【0152】
CPU581は、Gの値が0よりも大きいかを判断する(S511)。Gの値が「0」である場合(S511:NO)、CPU581は処理をS513へ移行する。Gの値が0よりも大きい場合(S511:YES)、CPU581は、RAMクリア回数カウンタCの値を「0」にクリアする(S512)。RAMクリア回数カウンタCは、主制御基板41のRAM52に記憶されている遊技処理情報を消去し、RAM52の初期設定を行うRAMクリア処理を伴って、パチンコ機1の電源がONにされたことが繰り返された回数を計数するためのカウンタである。RAMクリア回数カウンタCは、後述するS523の処理においてサブ制御基板58のRAM582の初期設定が行われた場合にも計数した回数を記憶するため、サブ制御基板58のFeRAM588に設けられる。なお、RAMクリア回数カウンタCは、サブ制御基板58のRAM582の初期設定が行われた場合にも消去されないRAM582の領域に設けられてもよい。以下では、RAMクリア回数カウンタCの値を、「C」と示す。
【0153】
CPU581は、待機中画像表示コマンドを生成し、コマンドバッファにセットする(S513)。待機中画像表示コマンドは、表示画面28に図18に示す待機中画像119を表示させるためのコマンドである。待機中画像表示コマンドを受信した演出制御基板43のCPU431は、待機中画像119を示す情報に対応する画像データをCGROMから読み出す。そしてCPU431は、画像制御回路435による画像処理を制御して、読み出した画像データを表示画面28に表示させることによって、待機中画像119を表示する。図18に示すように、待機中画像119は、「表示復帰待機中」、「しばらくお待ち下さい」等、パチンコ機1が電源遮断前の状態に復帰する準備をしている、復帰中の状態であることを報知するために用いられる。待機中画像119は、「準備中」、「復電中」等、パチンコ機1が復帰中であることを報知する内容を示す画像であれば任意の画像を採用できる。CPU581は、サブ待機中フラグを「ON」にする(S515)。
【0154】
CPU581は、サブ復帰処理を実行する(S516)。CPU581は、サブ待機中フラグが「ON」であるかを判断する(S518)。CPU581は、サブ待機中フラグが「ON」である場合(S518:YES)、サブ復帰処理の実行を繰り返す。CPU581は、サブ待機中フラグが「OFF」である場合(S518:NO)、処理をサブ制御基板処理へ戻す。
【0155】
図19を参照して、図17のS516で示したサブ復帰処理の詳細について説明する。サブ復帰処理では、図7のS45で示した復帰処理によって、バックアップデータに基づいて主制御基板41から送信された各種のコマンドに応じて、パチンコ機1の演出内容を電源遮断前の状態に復帰させるための処理が行われる。また、サブ復帰処理では、据え置き示唆演出に関する処理も行われる。サブ復帰処理が開始されると、CPU581は、主制御基板41から遊技状態コマンドを受信したかを判断する(S531)。CPU581は、主制御基板41から遊技状態コマンドを受信していない場合(S531:NO)、処理をS533の判断へ移行する。CPU581は、主制御基板41から遊技状態コマンドを受信した場合(S531:YES)、遊技状態コマンドによって通知される各種の状態に応じた処理を実行する(S532)。例えば、CPU581は、遊技状態コマンドによって確変状態開始通知が行われた場合、確変フラグを「ON」にし、確変状態終了通知が行われた場合には、確変フラグを「OFF」にする。CPU581は、遊技状態コマンドによって時短状態開始通知が行われた場合、時短フラグを「ON」にし、時短状態終了通知が行われた場合には、時短フラグを「OFF」にする。CPU51は、処理をS533の判断へ移行する。
【0156】
CPU581は、主制御基板41から停止図柄指定コマンドを受信したかを判断する(S533)。停止図柄指定コマンドを受信していない場合(S533:NO)、CPU581は、処理をS536の判断へ移行する。停止図柄指定コマンドを受信した場合(S533:YES)、CPU581は、停止図柄指定コマンドを解析して、コマンドの示す特別図柄の種類を取得する。CPU581は、取得した特別図柄の種類(大当たり図柄又ははずれ図柄)に応じた演出図柄100の組合せを決定する(S535)。決定された確定図柄は、RAM582に記憶される。
【0157】
S535で取得される特別図柄の種類は、電源遮断前に主制御基板41において最後に決定された特別図柄の種類に相当する。電源遮断時に第一特別図柄が変動中であった場合、取得される特別図柄の種類は、変動中の特別図柄が変動表示を終了した後に確定表示する特別図柄の種類に相当する。電源遮断時に特別図柄が非変動中であった場合、取得される特別図柄の種類は、最後に確定表示した特別図柄の種類を示す。処理はS536の判断へ移行する。
【0158】
CPU581は、主制御基板41から特別図柄停止コマンドを受信したかを判断する(S536)。電源遮断前の状態において特別図柄が変動中である場合には、特別図柄停止コマンドが主制御基板41から送信されない。特別図柄停止コマンドを受信していない場合(S536:NO)、CPU581は、処理をサブ電源投入時処理へ戻す。この場合、サブ待機中フラグが「ON」であるので、CPU581は、サブ復帰処理の実行を繰り返す。
【0159】
その後、バックアップデータに記憶されている特別図柄変動時間カウンタの値が減算され、特別図柄変動時間カウンタの値が「0」になった場合に、主制御基板41のCPU51は、特別図柄の変動時間が終了したと判断する。この場合に、主制御基板41のCPU51は、特別図柄停止コマンドを生成し、サブ制御基板58へ送信する。また、電源遮断前の状態において特別図柄が非変動中である場合には、特別図柄停止コマンドが主制御基板41から送信される。なお、電源遮断前の状態において特別図柄が変動中でない場合には、特別図柄停止コマンドが主制御基板41から送信されている。特別図柄停止コマンドを受信した場合(S536:YES)、報知演出の実行終了を指示するためのコマンドを生成し、生成したコマンドをコマンドバッファにセットする(S538)。コマンドバッファにセットされたコマンドは、演出制御基板43に順次送信される。このコマンドは、S535で決定した確定図柄の情報を含む。このコマンドを受信した演出制御基板43のCPU431は、画像制御回路435による画像処理を制御して、演出図柄100の変動表示を終了し、演出図柄100を確定図柄で確定表示する。これにより、報知演出の実行が終了する。
【0160】
CPU581は、据え置き回数Gの値に応じて、据え置き示唆演出の態様を決定する(S539)。据え置き示唆演出の態様決定の詳細については後述する。CPU581は、据え置き示唆演出の実行を指示するための据え置き示唆演出コマンドを生成し、コマンドバッファにセットする(S541)。据え置き示唆演出コマンドは、据え置き回数Gの値に応じて決定した据え置き示唆演出の態様の情報を含む。据え置き示唆演出コマンドを受信した演出制御基板43のCPU431は、据え置き回数Gの値に応じて決定された据え置き示唆演出の態様に応じた画像データをCGROMから読み出す。そしてCPU431は、画像制御回路435による画像処理を制御して、読み出した画像データを表示画面28に表示させることによって、据え置き示唆演出を実行する。その後、CPU581は、サブ待機中フラグを「OFF」にする(S542)。CPU581は、サブ稼働中フラグを「ON」にして(S543)、処理をサブ電源投入時処理へ戻す。すなわち、CPU581は、復電した場合に特別図柄が変動中のときには、変動中の特別図柄が図柄変動を終了した後に稼働状態に復帰する。そして、CPU581は、稼働状態に復帰する場合に、据え置き示唆演出を実行する。
【0161】
図17の説明に戻る。CPU581は、RAMクリア通知コマンドを受信した場合(S502:YES)、RAMクリア回数カウンタCに「1」を加算する(S521)。CPU581は、主制御基板41から設定変更通知コマンドを受信したかを判断する(S522)。設定変更通知コマンドを受信していない場合(S522:NO)、CPU581は、処理をS525へ移行する。設定変更通知コマンドを受信した場合(S522:YES)、CPU581は、設定変更回数カウンタHに「1」を加算する(S523)。設定変更回数カウンタHは、設定変更操作が繰り返された回数を計数するためのカウンタである。設定変更回数カウンタHは、後述するS523の処理においてサブ制御基板58のRAM582の初期設定が行われた場合にも計数した回数を記憶するため、サブ制御基板58のFeRAM588に設けられる。なお、設定変更回数カウンタHは、サブ制御基板58のRAM582の初期設定が行われた場合にも消去されないRAM582の領域に設けられてもよい。以下では、設定変更回数カウンタHの値を、「H」と示す。CPU581は、処理をS525へ移行する。
【0162】
CPU581は、サブ制御基板58のRAM582の使用領域に記憶されている遊技処理情報をクリアし、所定の初期値をRAM582に記憶する等のRAM582の初期設定を実行する(S525)。CPU581は、S525の処理において、復電回数カウンタFの値及び据え置き回数Gの値を「0」にクリアする。CPU581は、サブ初期状態設定処理を実行し(S526)、処理をサブ制御基板処理へ戻す。
【0163】
図20を参照して、図17のS526で示したサブ初期状態設定処理の詳細について説明する。サブ初期状態設定処理では、RAM582の初期設定を実行した後のサブ制御基板58がパチンコ機1を稼働できる状態にするための各種の処理が実行される。また、サブ電源投入時処理では、RAMクリア示唆演出を実行するための処理も行われる。サブ初期状態設定処理が開始されると、CPU581は、演出図柄100を予め定められた演出図柄100の組合せ(いわゆる朝一出目)で表示することを指示するためのコマンドを生成し、コマンドバッファにセットする(S551)。コマンドバッファにセットされたコマンドは、演出制御基板43に順次送信される。このコマンドを受信した演出制御基板43のCPU431は、画像制御回路435による画像処理を制御して、演出図柄100を予め定められた朝一出目の組合せで表示する。なお、本実施形態において、朝一出目の組合せは、図23に示すように、左図柄101が「2」図柄、中図柄102が「4」図柄、右図柄103が「6」図柄の組合せである。
【0164】
CPU581は、RAMクリア回数カウンタCの値に応じて、RAMクリア示唆演出の態様を決定する(S552)。RAMクリア示唆演出の態様決定の詳細については後述する。CPU581は、RAMクリア示唆演出の実行を指示するためのRAMクリア示唆演出コマンドを生成し、コマンドバッファにセットする(S553)。RAMクリア示唆演出コマンドは、RAMクリア回数カウンタCの値に応じて決定したRAMクリア示唆演出の態様の情報を含む。RAMクリア示唆演出コマンドを受信した演出制御基板43のCPU431は、RAMクリア回数カウンタCの値に応じて決定されたRAMクリア示唆演出の態様に応じた画像データをCGROMから読み出す。そしてCPU431は、画像制御回路435による画像処理を制御して、読み出した画像データを表示画面28に表示させることによって、RAMクリア示唆演出を実行する。その後、CPU581は、サブ待機中フラグを「OFF」にする(S555)。CPU581は、サブ稼働中フラグを「ON」にして(S556)、処理をサブ電源投入時処理へ戻す。すなわち、CPU581は、RAMクリア処理が実行された後、パチンコ機1が稼働できる状態になったときに、RAMクリア示唆演出を実行する。CPU581は、処理をサブ電源投入時処理へ戻す。
【0165】
図21及び図22を参照して、RAMクリア処理の実行の有無と、RAMクリア回数カウンタCの値、復電回数カウンタFの値及び据え置き回数Gの値の推移及びRAMクリア示唆演出及び据え置き示唆演出のそれぞれの態様決定の具体例について説明する。一般的に、パチンコ機1にRAMクリア処理が実行されるのは、ホールの営業時間が終了した閉店後である。ホール店員等の作業者は、パチンコ機1にRAMクリア処理を行う場合、電源がONになっているパチンコ機1の電源を一旦OFFにする。その後、作業者は、RAMクリアスイッチ412をON状態にしつつパチンコ機1の電源をOFFからONに切り替えることによって、RAMクリア処理を実行する。その後、作業者はパチンコ機1の電源をONからOFFに切り替え、閉店後の作業を終了する。翌営業日の営業時間の開始前である開店前に、作業者はパチンコ機1の電源をOFFからONに切り替える。作業者は、開店前のパチンコ機1の電源投入の際にはRAMクリア処理を行なわず、電源がOFFになっているパチンコ機1の電源をそのままONにする。
【0166】
ホールの営業日1日目の営業時間が終わった閉店後に、作業者がパチンコ機1にRAMクリア処理を行ったとする。この場合、S521の処理によって、RAMクリア回数カウンタCの値は「1」になったとする。RAMクリア処理が実行されたことに伴い、復電回数カウンタFの値及び据え置き回数Gはともに、S525の処理によって、「0」にクリアされる。RAMクリア処理がされたパチンコ機1の電源は、その後にOFFにされ、翌営業日である営業日2日目の営業時間が始まる前の開店前に、RAMクリア処理を伴わずにパチンコ機1の電源がONにされたとする。この場合、Cの値は「1」を維持し、復電回数カウンタFの値はS508の処理によって「1」となる。これに伴い、据え置き回数Gは、S509の処理によって、Fから「1」を減算した値である「0」と算出される。
【0167】
この場合、営業日2日目の開店時のパチンコ機1は、Cの値が1であり、RAMクリア処理が1回実行された状態である。Cの値が1である状態を、「C=1」と表す。以下、C,F,Gの各値について同様に表す。RAMクリア示唆演出は、パチンコ機1にRAMクリア処理が行われたことを示唆できる演出である。図21に示すように、RAMクリア示唆演出は、表示画面28に雨マーク121を表示することによって行われる。C=1の場合、S552の処理によって、表示画面28に表示する雨マーク121の個数が1個に決定される。したがって、C=1の場合、図21(A)に示すように、表示画面28に1個の雨マーク121が表示される。遊技者は、パチンコ機1の表示画面28に表示される雨マーク121を視認することによって、昨営業日の閉店後にパチンコ機1にRAMクリア処理が行われたことを認識できる。
【0168】
営業日2日目の閉店後にも、パチンコ機1にRAMクリア処理が行われたとする。この場合、S521の処理によってCの値に「1」が加算されて、「C=2」となる。RAMクリア処理が実行されたことに伴い、S525の処理によって「F=0」及び「G=0」となる。RAMクリア処理がされたパチンコ機1の電源がその後OFFにされ、翌営業日である営業日3日目の開店前に、RAMクリア処理を伴わずにパチンコ機1の電源がONにされたとする。この場合、Cの値は「C=2」を維持し、Fの値は「F=1」となる。これに伴い、Gの値は「G=0」となる。
【0169】
この場合、営業日3日目の開店時のパチンコ機1は、C=2であり、RAMクリア処理が2回繰り返して実行された、すなわちRAMクリア処理が2営業部日に亘って繰り返して行われた状態である。C=2の場合、S552の処理によって、表示画面28に表示する雨マーク121の個数が2個に決定される。したがって、C=2の場合、図21(B)に示すように、表示画面28に2個の雨マーク121が表示される。遊技者は、パチンコ機1の表示画面28に表示される2個の雨マーク121を視認することによって、パチンコ機1にRAMクリア処理が2回、すなわち2営業日繰り返して実行されたことを認識できる。
【0170】
営業日3日目の閉店後にも、パチンコ機1にRAMクリア処理が行われたとする。この場合、S521の処理によってCの値に「1」が加算されて、「C=3」となる。RAMクリア処理が実行されたことに伴い、S525の処理によって「F=0」及び「G=0」となる。RAMクリア処理がされたパチンコ機1の電源がその後OFFにされ、翌営業日である営業日4日目の開店前に、RAMクリア処理を伴わずにパチンコ機1の電源がONにされたとする。この場合、Cの値は「C=3」を維持し、Fの値は「F=1」となる。これに伴い、Gの値は「G=0」となる。
【0171】
この場合、営業日4日目の開店時のパチンコ機1は、C=3であり、RAMクリア処理が3回繰り返して実行された、すなわちRAMクリア処理が3営業部日に亘って繰り返して行われた状態である。C=3の場合、S552の処理によって、表示画面28に表示する雨マーク121の個数が3個に決定される。したがって、C=3の場合、図21(C)に示すように、表示画面28に3個の雨マーク121が表示される。遊技者は、パチンコ機1の表示画面28に表示される3個の雨マーク121を視認することによって、パチンコ機1にRAMクリア処理が3回、すなわち3営業日繰り返して実行されたことを認識できる。
【0172】
営業日4日目の閉店後には、パチンコ機1にRAMクリア処理が行われず、パチンコ機1の電源がそのままOFFにされたとする。この場合、「C=3」、「F=1」及び「G=0」が維持される。そして、翌営業日である営業日5日目の開店前に、RAMクリア処理を伴わずにパチンコ機1の電源がONにされたとする。この場合、S508の処理によってFの値に「1」が加算されて、「F=2」となる。S509の処理によって「G=1」となる。Gの値が0よりも大きくなったことに応じて、S512の処理によってCの値が「0」にクリアされる。
【0173】
据え置き示唆演出は、パチンコ機1にRAMクリア処理が行われずに据え置かれていることを示唆できる演出である。図23に示すように、据え置き示唆演出は、表示画面28に晴マーク131を表示することによって行われる。G=1の場合、S539の処理によって、表示画面28に表示する晴マーク131の個数が1個に決定される。したがって、G=1の場合、図22(A)に示すように、表示画面28に1個の晴マーク131が表示される。遊技者は、パチンコ機1の表示画面28に表示される晴マーク131を視認することによって、昨営業日の閉店後にパチンコ機1にRAMクリア処理が行われず、本営業日にパチンコ機1がそのまま電源がONにされたことを認識できる。すなわち、遊技者は、パチンコ機1の表示画面28に表示される晴マーク131を視認することによって、パチンコ機1にRAMクリア処理が行われず、昨営業日の遊技処理情報が据え置かれていることを認識できる。
【0174】
営業日5日目の閉店後にも、パチンコ機1にRAMクリア処理が行われず、パチンコ機1の電源がそのままOFFにされたとする。この場合、「C=0」、「F=2」及び「G=1」が維持される。そして、翌営業日である営業日6日目の開店前に、RAMクリア処理を伴わずにパチンコ機1の電源がONにされたとする。この場合、S508の処理によってFの値に「1」が加算されて、「F=3」となる。S509の処理によって「G=2」となる。Gの値が0よりも大きいので、S512の処理によってCの値が「0」に維持される。
【0175】
この場合、営業日6日目の開店時のパチンコ機1は、G=2であるので、S539の処理によって、表示画面28に表示する晴マーク131の個数が2個に決定される。したがって、G=2の場合、図22(B)に示すように、表示画面28に2個の晴マーク131が表示される。遊技者は、パチンコ機1の表示画面28に表示される2個の晴マーク131を視認することによって、閉店後にパチンコ機1にRAMクリア処理が行われず、パチンコ機1がそのまま電源をONにされたことが2回繰り返されていることを認識できる。すなわち、遊技者は、パチンコ機1の表示画面28に表示される晴マーク131を視認することによって、2営業日に亘ってパチンコ機1にRAMクリア処理が行われず、2営業日分の遊技処理情報が据え置かれていることを認識できる。
【0176】
営業日6日目の閉店後にも、パチンコ機1にRAMクリア処理が行われず、パチンコ機1の電源がそのままOFFにされたとする。この場合、「C=0」、「F=3」及び「G=2」が維持される。そして、翌営業日である営業日7日目の開店前に、RAMクリア処理を伴わずにパチンコ機1の電源がONにされたとする。この場合、S508の処理によってFの値に「1」が加算されて、「F=4」となる。S509の処理によって「G=3」となる。Gの値が0よりも大きいので、S512の処理によってCの値が「0」に維持される。
【0177】
この場合、営業日7日目の開店時のパチンコ機1は、G=4であるので、S539の処理によって、表示画面28に表示する晴マーク131の個数が4個に決定される。したがって、G=4の場合、図22(C)に示すように、表示画面28に3個の晴マーク131が表示される。遊技者は、パチンコ機1の表示画面28に表示される3個の晴マーク131を視認することによって、閉店後にパチンコ機1にRAMクリア処理が行われず、パチンコ機1がそのまま電源をONにされたことが3回繰り返されていることを認識できる。すなわち、遊技者は、パチンコ機1の表示画面28に表示される晴マーク131を視認することによって、3営業日に亘ってパチンコ機1にRAMクリア処理が行われず、2営業日分の遊技処理情報が据え置かれていることを認識できる。
【0178】
パチンコ機1は、時短状態としてB時短状態を設定する。B時短状態は、大当たり遊技が終了し、非確変状態における大当たり判定の実行が開始されたこと及びRAMクリア処理が行われたことを起点として計数された大当たり判定の実行回数が上限回数に到達することに応じて設定される。判定回数計数カウンタの値は、B時短状態が設定されるまでに必要な大当たり判定回数を示す遊技処理情報である。よって、非時短状態にあるパチンコ機1が、昨営業日の閉店後にRAMクリア処理が行われずに据え置かれている場合、昨営業日の閉店後にRAMクリア処理が行われた場合よりも、上限回数に到達するまでに必要な大当たり判定の実行回数が少ない可能性が高い。このため、パチンコ機1にB時短状態が設けられている場合、遊技者は、昨営業日の閉店後にRAMクリア処理が行われたパチンコ機1よりも、RAMクリア処理が行われずに据え置かれているパチンコ機1を選んで遊技をする傾向がある。
【0179】
さらに、非時短状態にあるパチンコ機1が、複数営業日に亘ってRAMクリア処理が行われずに据え置かれている場合がある。このような場合には、遊技者は、上限回数に到達するまでに必要な大当たり判定の実行回数がより少ないと考えて、複数営業日に亘ってRAMクリア処理が行われずに非時短状態にあるパチンコ機1を選択する傾向が高くなる。パチンコ機1は、RAMクリア処理が行われていることを、RAMクリア示唆演出によって遊技者に示唆できる。また、パチンコ機1は、RAMクリア処理が行われずに据え置かれていることを、据え置き示唆演出によって遊技者に示唆できる。さらに、パチンコ機1は、複数営業日に亘ってRAMクリア処理が行われずに据え置かれている場合には、どれだけの期間に亘ってRAMクリア処理が行われずに据え置かれているかを遊技者に示唆することができる。このため、パチンコ機1は、RAMクリア示唆演出及び据え置き示唆演出を実行することによって、パチンコ機1に対する遊技者の興味を向上することができる。また、パチンコ機1は、据え置き示唆演出の態様に応じて、遊技者の遊技意欲を向上することができる。
【0180】
また、パチンコ機1に対してRAMクリア処理が行われる頻度は、遊技者の関心事である。パチンコ機1は、RAMクリア処理が行われたことを、RAMクリア示唆演出によって遊技者に示唆できる。さらに、パチンコ機1は、複数営業日に亘ってRAMクリア処理が繰り返して行われている場合には、どれだけの期間に亘ってRAMクリア処理が繰り返して行われているかを遊技者に示唆することができる。このため、パチンコ機1は、RAMクリア示唆演出を実行することによって、パチンコ機1に対する遊技者の興味を向上することができる。また、パチンコ機1は、RAMクリア示唆演出の態様に応じて、遊技者の遊技意欲に変化を与えることができる。
【0181】
以上説明したように、パチンコ機1は、一度RAMクリア処理が実行された後に、RAMクリア処理を伴わずに電源がONにされたことが繰り返された回数に応じて、据え置き示唆演出の態様を変化させる。これにより、パチンコ機1は、前回にRAMクリア処理が実行されてから、RAMクリア処理を伴わずに電源がONにされたことが繰り返された回数を、遊技者に示唆することができる。すなわち、パチンコ機1は、パチンコ機1にRAMクリア処理が実行されたか又はRAMクリア処理が実行されず据え置かれているか、据え置かれている場合にはどれだけの期間に亘って据え置かれているかを示唆することができる。したがって、パチンコ機1は、据え置き示唆演出を実行することによって、パチンコ機1に対する遊技者の興味を向上し、また、遊技者の遊技意欲を向上することができる。
【0182】
パチンコ機1は、パチンコ機1がRAMクリア処理を伴って電源がONにされたことが繰り返された回数に応じて、RAMクリア示唆演出の態様を変化させる。これにより、パチンコ機1は、パチンコ機1がRAMクリア処理を伴って電源がONにされたことが繰り返された回数を、遊技者に示唆することができる。したがって、パチンコ機1は、RAMクリア示唆演出を実行することによって、パチンコ機1に対する遊技者の興味を向上し、また、遊技者の遊技意欲に変化を与えることができる。
【0183】
パチンコ機1は、時短状態としてB時短状態を設定する。B時短状態は、大当たり遊技が終了し、非確変状態における大当たり判定の実行が開始されたこと及びRAMクリア処理が行われたことを起点として計数された大当たり判定の実行回数が上限回数に到達することに応じて設定される。よって、非時短状態にあるパチンコ機1が、昨営業日の閉店後にRAMクリア処理が行われずに据え置かれている場合、昨営業日の閉店後にRAMクリア処理が行われた場合よりも、上限回数に到達するまでに必要な大当たり判定の実行回数が少ない可能性が高い。パチンコ機1は、据え置き示唆演出及びRAMクリア示唆演出を実行することによって、B時短状態に突入するための上限回数までに必要な大当たり判定の実行回数を遊技者に予想させる楽しみを提供できる。したがって、パチンコ機1は、パチンコ機1に対する遊技者の遊技意欲に変化を与え、パチンコ機1に対する遊技者の興味を向上することができる。
【0184】
上記実施形態において、図6のメイン処理を実行する主制御基板41のCPU51が、「遊技制御手段」の一例である。確変状態、時短状態等の遊技状態を示すフラグ等の情報、大当たり判定の結果を示す情報、第一保留数、第二保留数等、遊技に関する処理のための遊技処理情報を記憶する主制御基板41のRAM52が、「記憶手段」の一例である。図7のS26及び図8のS55でRAM52の初期設定を実行する主制御基板41のCPU51が、「初期設定手段」の一例である。図19のS539で据え置き示唆演出の態様を決定し、図20のS552でRAMクリア示唆演出の態様を決定するサブ制御基板58のCPU581が、「示唆演出態様決定手段」の一例である。図19のS541及び図20のS553の各処理を実行するサブ制御基板58のCPU581が、「示唆演出実行手段」の一例である。図11のS113及び図10のS122を実行する主制御基板41のCPU51が、「図柄制御手段」の一例である。図13においてS175で「YES」と判断された場合にS179の処理を実行する主制御基板41のCPU51が、「遊技状態移行手段」の一例である。非確変状態が、「第一の遊技の状態」の一例である。B時短状態が、「第二の遊技の状態」の遊技の状態の一例である。
【0185】
本発明は、以上詳述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が可能である。上記実施形態において、CPU581は、主制御基板41から設定変更通知コマンドを受信した回数を、サブ制御基板58のFeRAM588に設けられる設定変更回数カウンタHにおいて計数している。主制御基板41から設定変更通知コマンドを受信した回数は、RAMクリア処理に合わせて設定変更操作が繰り返して行われた回数に相当する。CPU581は、Hの値を用いて、パチンコ機1に設定変更操作が行われたこと及び設定変更操作が行われた頻度を示唆することができる。
【0186】
上記実施形態の変形例として、RAMクリア示唆演出にパチンコ機1に設定変更操作が行われたことを示唆する内容を付加した、RAMクリア示唆+設定変更示唆演出について説明する。変形例において、S512の処理においてCの値が「0」にクリアされる場合に、Hの値も「0」にクリアされる。また、S552の処理において、Hの値に応じて設定変更示唆演出の態様が決定される。S553の処理において、設定変更示唆演出の実行を指示するためのコマンドが生成され、コマンドバッファにセットされる。設定変更示唆演出の実行を指示するためのコマンドは、Hの値に応じて決定した設定変更示唆演出の態様の情報を含む。
【0187】
図23を参照して、設定変更操作の実行の有無と、RAMクリア示唆+設定変更示唆演出の態様決定の具体例について説明する。ホールの営業日1日目の営業時間が終わった閉店後に、作業者がパチンコ機1にRAMクリア処理及び設定変更操作を行ったとする。この場合、S521の処理によって「C=1」となり、S523の処理によって、「H=1」となったとする。なお、RAMクリア処理が実行されたことに伴い、S525の処理によって、「F=0」、「G=0」となる。RAMクリア処理がされたパチンコ機1の電源は、その後にOFFにされ、翌営業日である営業日2日目の営業時間が始まる前の開店前に、RAMクリア処理を伴わずにパチンコ機1の電源がONにされたとする。この場合、「C=1」及び「H=1」が維持され、S508の処理によって「F=1」となる。これに伴い、S509の処理によって「G=0」となる。
【0188】
図21に示すように、RAMクリア示唆演出は、上記実施形態と同様に、表示画面28に雨マーク121を表示することによって行われる。設定変更示唆演出は、表示画面28に雷マーク141を表示することによって行われる。営業日2日目の開店時のパチンコ機1は「C=1」であるので、表示画面28に表示する雨マーク121の個数が1個に決定される。また、営業日2日目の開店時のパチンコ機1は「H=1」であるので、表示画面28に表示する雷マーク141の個数が1個に決定される。したがって、図23(A)に示すように、表示画面28に1個の雨マーク121及び1個の雷マーク141が表示される。遊技者は、パチンコ機1の表示画面28に表示される雨マーク121及び雷マーク141を視認することによって、昨営業日の閉店後にパチンコ機1にRAMクリア処理及び設定変更操作が行われたことを認識できる。
【0189】
営業日2日目の閉店後にも、パチンコ機1にRAMクリア処理が行われたとする。また、営業日2日目の閉店後には、パチンコ機1に設定変更操作が行われなかったとする。この場合、S521の処理によってCの値に「1」が加算されて、「C=2」となる。Hの値は「H=1」に維持される。RAMクリア処理が実行されたことに伴い、S525の処理によって「F=0」「G=0」となる。RAMクリア処理がされたパチンコ機1の電源がその後OFFにされ、翌営業日である営業日3日目の開店前に、RAMクリア処理を伴わずにパチンコ機1の電源がONにされたとする。この場合、「C=2」及び「H=1」が維持され、Fの値は「F=1」となる。これに伴い、Gの値は「G=0」となる。
【0190】
この場合、営業日3日目の開店時のパチンコ機1は、C=2であり、RAMクリア処理が2回繰り返して実行された、すなわちRAMクリア処理が2営業部日繰り返して行われた状態である。C=2の場合、S552の処理によって、表示画面28に表示する雨マーク121の個数が2個に決定される。したがって、C=2の場合、図23(B)に示すように、表示画面28に2個の雨マーク121が表示される。また、営業日3日目の開店時のパチンコ機1は、H=1であり、設定変更操作が1回実行された状態である。H=1の場合、S552の処理によって、表示画面28に表示する雷マーク141の個数が1個に決定される。したがって、H=1の場合、図23(B)に示すように、表示画面28に1個の雷マーク141が表示される。
【0191】
営業日3日目の閉店後にも、パチンコ機1にRAMクリア処理が行われたとする。また、営業日3日目の閉店後には、パチンコ機1に設定変更操作が行われたとする。この場合、S521の処理によってCの値に「1」が加算されて、「C=3」となる。また、S523の処理によってHの値に「1」が加算されて、「H=2」となる。RAMクリア処理が実行されたことに伴い、S525の処理によって「F=0」及び「G=0」となる。RAMクリア処理がされたパチンコ機1の電源がその後OFFにされ、翌営業日である営業日4日目の開店前に、RAMクリア処理を伴わずにパチンコ機1の電源がONにされたとする。この場合、「C=3」及び「H=2」が維持され、Fの値は「F=1」となる。これに伴い、Gの値は「G=0」となる。
【0192】
この場合、営業日4日目の開店時のパチンコ機1は、C=3であり、RAMクリア処理が3回繰り返して実行された、すなわちRAMクリア処理が3営業部日繰り返して行われた状態である。C=3の場合、S552の処理によって、表示画面28に表示する雨マーク121の個数が3個に決定される。したがって、C=3の場合、図21(C)に示すように、表示画面28に3個の雨マーク121が表示される。また、営業日4日目の開店時のパチンコ機1は、H=2であり、設定変更操作が2回実行された状態である。H=2の場合、S552の処理によって、表示画面28に表示する雷マーク141の個数が2個に決定される。したがって、H=2の場合、図23(B)に示すように、表示画面28に2個の雷マーク141が表示される。遊技者は、パチンコ機1の表示画面28に表示される3個の雨マーク121を視認することによって、パチンコ機1にRAMクリア処理が3回繰り返して実行されたことを認識できる。また、遊技者は、パチンコ機1の表示画面28に表示される2個の雷マーク141を視認することによって、RAMクリア処理が3回繰り返して実行される間に、設定変更操作が2回実行されたことを認識できる。
【0193】
パチンコ機1に対してRAMクリア処理に加えて設定変更操作が行われる頻度は、遊技者の関心事である。パチンコ機1は、RAMクリア処理が行われたこと及び複数営業日に亘ってRAMクリア処理が繰り返して行われていることを、遊技者に示唆することができる。さらに、パチンコ機1は、RAMクリア処理に加えて設定変更操作が行われた頻度を遊技者に示唆することができる。このため、パチンコ機1は、RAMクリア示唆+設定変更示唆演出を実行することによって、パチンコ機1に対する遊技者の興味を向上することができる。また、パチンコ機1は、RAMクリア示唆+設定変更示唆演出の態様に応じて、遊技者の遊技意欲に変化を与えることができる。本変形例において、図20のS552でRAMクリア示唆+設定変更示唆演出の態様を決定するサブ制御基板58のCPU581が、「示唆演出態様決定手段」の一例である。図20のS553の各処理を実行するサブ制御基板58のCPU581が、「示唆演出実行手段」の一例である。
【0194】
上記実施形態及び変形例において、RAMクリア示唆演出、据え置き示唆演出及びRAMクリア示唆+設定変更示唆演出は、パチンコ機1の電源がONになり、パチンコ機1が稼働できる状態になった場合に実行される。RAMクリア示唆演出、据え置き示唆演出及びRAMクリア示唆+設定変更示唆演出は、その後に最初に実行される報知演出が終了すること等、所定のタイミングで終了されてよい。
【0195】
RAMクリア示唆演出、据え置き示唆演出及びRAMクリア示唆+設定変更示唆演出の実行されるタイミングは、種々に変更されてもよい。これらの示唆演出が、パチンコ機1の電源がONになり、パチンコ機1が稼働できる状態になった後、例えば10回等、所定回数の報知演出が実行された場合に実行されてもよい。これらの示唆演出が、パチンコ機1の電源がONになり、パチンコ機1が稼働できる状態になった後、最初に特定の変動パターンに対応する報知演出が実行される場合に実行されてもよい。
【0196】
特に、パチンコ機1は、パチンコ機1の電源がONになった後、遊技状態が通常状態からB時短状態に最初に移行するまでの間に、RAMクリア示唆演出、据え置き示唆演出及びRAMクリア示唆+設定変更示唆演出を実行することが好ましい。この場合、パチンコ機1は、遊技状態が通常状態からB時短状態に移行しやすい状況にあるかに対する遊技者の関心を、適時に向上できる。
【0197】
この場合において、パチンコ機1は、パチンコ機1の電源がONになった後、遊技状態が通常状態からB時短状態に最初に移行するまでの間であって、最初に大当たり遊技が実行されるまでの間に、RAMクリア示唆演出、据え置き示唆演出及びRAMクリア示唆+設定変更示唆演出を実行することが、より好ましい。すなわち、示唆演出実行手段は、遊技機の電源がONにされた後、遊技の状態が第一の遊技の状態から第二の遊技の状態に最初に移行するまでの間であって、変動表示において小当たり又は大当たりの判定結果を示す図柄が停止表示されたことに起因して実行される大当たり遊技が最初に実行されるまでの間において、示唆演出を実行することが、より好ましい。この場合、パチンコ機1は、大当たり遊技が実行される可能性に対する遊技者の期待感を効果的に向上させることが出来る。
【0198】
RAMクリア示唆演出、据え置き示唆演出及びRAMクリア示唆+設定変更示唆演出は、上記実施形態のように、実行条件が揃った場合に必ず実行されても良い。また、パチンコ機1は、これらの示唆演出を所定の割合で実行する等、実行される場合と実行されない場合とを設けてもよい。また、パチンコ機1は、RAMクリア示唆演出、据え置き示唆演出及びRAMクリア示唆+設定変更示唆演出の実行条件が揃っていない場合に、これらの示唆演出に類似する別の演出である、いわゆるガセ演出を実行してもよい。
【0199】
RAMクリア示唆演出、据え置き示唆演出及びRAMクリア示唆+設定変更示唆演出の態様は一例であり、種々に変更されてもよい。例えば、RAMクリア示唆演出において、「1日目」、「2日目」の文字を用いること等によって、RAMクリア処理が繰り返して実行されている回数について直接的な示唆が行われてもよい。パチンコ機1は、RAMクリア処理が繰り返して実行されている回数が多くなるほど、パチンコ機1の電源がONになり、パチンコ機1が稼働できる状態になった後の表示画面28の明度を低くする又は高くする等によって、間接的な示唆を行ってもよい。また、RAMクリア示唆演出、据え置き示唆演出及びRAMクリア示唆+設定変更示唆演出が、特定のキャラクタが表示画面28に登場することによって行われてもよい。この場合において、Cの値、Gの値、Hの値のそれぞれに応じて、登場するキャラクタの種類が変化することで、RAMクリア示唆演出、据え置き示唆演出及びRAMクリア示唆+設定変更示唆演出のそれぞれの態様が変化されてもよい。
【0200】
RAMクリア示唆演出、据え置き示唆演出及びRAMクリア示唆+設定変更示唆演出が、表示画面28を用いないで実行されても良い。例えば、据え置き示唆演出が、「据え置き1日目だよ!」、「据え置き2日目だよ!」等のセリフ音声がスピーカ39から出力される態様で実行されてもよい。枠ランプ38、盤ランプ27が特定の発光動作を行うこと等によって、RAMクリア示唆演出、据え置き示唆演出及びRAMクリア示唆+設定変更示唆演出が実行されてもよい。
【0201】
上記実施形態及び変形例では、Cの値、Fの値、Gの値、Hの値を設けている。CPU581は、それぞれの値に基づいて、RAMクリア処理が繰り返して実行された回数、RAMクリア処理を伴わずにパチンコ機1の電源がONにされることが繰り返された回数、RAMクリア処理に合わせて設定変更操作が繰り返して行われた回数を特定している。これらの回数を特定する手法は様々に変更されてもよい。例えば、前回のRAMクリア処理が実行された時刻と、今回のRAMクリア処理が実行された時刻とを比較すること等、様々な手法によって、RAMクリア処理が繰り返して実行されたか、及び繰り返して実行された回数が特定されてもよい。
【符号の説明】
【0202】
1 パチンコ機
28 表示画面
41 主制御基板
51,581 CPU
52,582 RAM
53,583 ROM
121 雨マーク
131 晴マーク
141 雷マーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23