特開 2023-161733 車両用灯具

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2023161733

(43)【公開日】2023-11-08

(54)【発明の名称】車両用灯具

(51)【国際特許分類】

   F21S 43/241 20180101AFI20231031BHJP

   F21S 43/237 20180101ALI20231031BHJP

   F21S 43/14 20180101ALI20231031BHJP

   F21S 43/245 20180101ALI20231031BHJP

   F21W 103/10 20180101ALN20231031BHJP

   F21W 103/45 20180101ALN20231031BHJP

   F21W 103/55 20180101ALN20231031BHJP

   F21W 103/20 20180101ALN20231031BHJP

   F21W 103/25 20180101ALN20231031BHJP

   F21W 103/00 20180101ALN20231031BHJP

   F21Y 115/10 20160101ALN20231031BHJP

   F21Y 115/30 20160101ALN20231031BHJP

   F21Y 113/10 20160101ALN20231031BHJP

【ＦＩ】

F21S43/241

F21S43/237

F21S43/14

F21S43/245

F21W103:10

F21W103:45

F21W103:55

F21W103:20

F21W103:25

F21W103:00

F21Y115:10

F21Y115:30

F21Y113:10

【審査請求】未請求

【請求項の数】7

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2022072254

(22)【出願日】2022-04-26

(71)【出願人】

【識別番号】000002303

【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】100149548

【弁理士】

【氏名又は名称】松沼 泰史

(74)【代理人】

【識別番号】100179833

【弁理士】

【氏名又は名称】松本 将尚

(74)【代理人】

【識別番号】100175824

【弁理士】

【氏名又は名称】小林 淳一

(72)【発明者】

【氏名】福田 将平

(57)【要約】

【課題】導光体の湾曲部に対応した部分を発光部として視認させることを可能とした車両用灯具を提供する。
【解決手段】光源から出射された光Ｌを導光体３の基端側に設けられた入射部から導光体３の内部へと入射し、導光体３の先端側に向けて光Ｌを導光させると共に、導光体３の背面側に設けられた複数の反射カット５ａで反射された光Ｌを導光体３の正面側から導光体３の外部へと出射することによって、導光体３の正面側に設けられた発光部を発光させる車両用灯具であって、導光体３は、入射部と発光部との間で導光体３の一部が湾曲した湾曲部７と、湾曲部７の正面側から発光部が位置する側とは反対側に向かって突出された突出部９と、湾曲部７の突出部９と対向する側に位置して、湾曲部７の内部で導光される光Ｌの一部Ｌ１を突出部９に向けて出射する導光出射部１０とを有する。
【選択図】図５

【特許請求の範囲】

【請求項1】

光源と、棒状の導光体とを備え、前記光源から出射された光を前記導光体の基端側に設けられた入射部から前記導光体の内部へと入射し、前記導光体の先端側に向けて光を導光させると共に、前記導光体の背面側に設けられた複数の反射カットで反射された光を前記導光体の正面側から前記導光体の外部へと出射することによって、前記導光体の正面側に設けられた発光部を発光させる車両用灯具であって、
前記導光体は、
前記入射部と前記発光部との間で前記導光体の一部が湾曲した湾曲部と、
前記湾曲部の正面側から前記発光部が位置する側とは反対側に向かって突出された突出部と、
前記湾曲部の前記突出部と対向する側に位置して、前記湾曲部の内部で導光される光の一部を前記導光体から出射し前記突出部に向ける導光出射部とを有することを特徴とする車両用灯具。

【請求項2】

前記導光出射部は、当該導光出射部から出射される光を前記突出部に向けて出射させる複数のレンズカットを含むことを特徴とする請求項１に記載の車両用灯具。

【請求項3】

前記突出部は、当該突出部の正面側から出射される光を拡散させる複数の第１の拡散カットを含むことを特徴とする請求項１に記載の車両用灯具。

【請求項4】

前記湾曲部の前記突出部と前記発光部との間に位置して、前記湾曲部の正面側から出射される光を拡散させる複数の第２の拡散カットを含むことを特徴とする請求項１に記載の車両用灯具。

【請求項5】

前記湾曲部の前記突出部を挟んで前記発光部が位置する側の径が前記突出部を挟んで前記発光部が位置する側とは反対側の径よりも大きいことを特徴とする請求項１に記載の車両用灯具。

【請求項6】

前記導光体の正面視において、前記突出部が前記湾曲部の最外周部よりも外側に突出して設けられていることを特徴とする請求項１～５の何れか一項に記載の車両用灯具。

【請求項7】

前記導光体の正面視において、前記入射部が前記湾曲部の最外周部よりも内側に位置することを特徴とする請求項１～５の何れか一項に記載の車両用灯具。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、車両用灯具に関する。

【背景技術】

【0002】

従来より、車両に搭載される車両用灯具として、発光ダイオード（ＬＥＤ）などの光源と、棒状の導光体（導光棒）とを組み合わせたものが知られている（例えば、下記特許文献１を参照。）。

【0003】

このような車両用灯具では、光源から出射された光を導光体の基端側に設けられた入射部から導光体の内部へと入射し、導光体の内部で反射を繰り返しながら、導光体の先端側に向けて光を導光させる。また、導光体の背面側に設けられた複数の反射カットで反射された光を導光体の正面側から導光体の外部へと出射する。これにより、導光体の正面側に設けられた発光部をライン状に発光させることが可能となっている。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0004】

【特許文献1】特許第６９５１３４２号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0005】

ところで、上述した棒状の導光体では、例えば光源を配置する場所の制約などによって、入射部と発光部との間で導光体の一部が湾曲した湾曲部を設けることが行われている。

【0006】

しかしながら、湾曲部は、入射部から入射した光を導光体の先端側に向けて導光させるための非発光部となっており、この湾曲部から導光体の正面側に向けて光を出射し、湾曲部を発光部として視認させることは困難であるため、導光体の長さに対して発光部の範囲を狭くするものとなる。

【0007】

本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、導光体の湾曲部に対応した部分を発光部として視認させることを可能とした車両用灯具を提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0008】

上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
〔１〕 光源と、棒状の導光体とを備え、前記光源から出射された光を前記導光体の基端側に設けられた入射部から前記導光体の内部へと入射し、前記導光体の先端側に向けて光を導光させると共に、前記導光体の背面側に設けられた複数の反射カットで反射された光を前記導光体の正面側から前記導光体の外部へと出射することによって、前記導光体の正面側に設けられた発光部を発光させる車両用灯具であって、
前記導光体は、
前記入射部と前記発光部との間で前記導光体の一部が湾曲した湾曲部と、
前記湾曲部の正面側から前記発光部が位置する側とは反対側に向かって突出された突出部と、
前記湾曲部の前記突出部と対向する側に位置して、前記湾曲部の内部で導光される光の一部を前記導光体から出射し前記突出部に向ける導光出射部とを有することを特徴とする車両用灯具。
〔２〕 前記導光出射部は、当該導光出射部から出射される光を前記突出部に向けて出射させる複数のレンズカットを含むことを特徴とする前記〔１〕に記載の車両用灯具。
〔３〕 前記突出部は、当該突出部の正面側から出射される光を拡散させる複数の第１の拡散カットを含むことを特徴とする前記〔１〕に記載の車両用灯具。
〔４〕 前記湾曲部の前記突出部と前記発光部との間に位置して、前記湾曲部の正面側から出射される光を拡散させる複数の第２の拡散カットを含むことを特徴とする前記〔１〕に記載の車両用灯具。
〔５〕 前記湾曲部の前記突出部を挟んで前記発光部が位置する側の径が前記突出部を挟んで前記発光部が位置する側とは反対側の径よりも大きいことを特徴とする前記〔１〕に記載の車両用灯具。
〔６〕 前記導光体の正面視において、前記突出部が前記湾曲部の最外周部よりも外側に突出して設けられていることを特徴とする前記〔１〕～〔５〕の何れか一項に記載の車両用灯具。
〔７〕 前記導光体の正面視において、前記入射部が前記湾曲部の最外周部よりも内側に位置することを特徴とする前記〔１〕～〔５〕の何れか一項に記載の車両用灯具。

【発明の効果】

【0009】

以上のように、本発明によれば、導光体の湾曲部に対応した部分を発光部として視認させることを可能とした車両用灯具を提供することが可能である。

【図面の簡単な説明】

【0010】

【図1】本発明の実施形態に係る車両用灯具の構成を示す正面図である。

【図2】図１に示す車両用灯具の構成を示す上面図である。

【図3】図１に示す車両用灯具が備える導光体の湾曲部を正面側から見た斜視図である。

【図4】図１に示す車両用灯具が備える導光体の湾曲部を背面側から見た斜視図である。

【図5】図１に示す車両用灯具が備える導光体の湾曲部における光の光路を示す上面図である。

【図6】図５に示す車両用灯具が備える導光体の湾曲部の拡大断面図である。

【図7】図１に示す車両用灯具の光源を点灯させた際の導光体の発光状態を示す写真である。

【発明を実施するための形態】

【0011】

以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明で用いる図面においては、各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがあり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。

【0012】

本発明の一実施形態として、例えば図１～図７に示すポジションランプに適用した車両用灯具１について説明する。
なお、図１は、車両用灯具１の構成を示す正面図である。図２は、車両用灯具１の構成を示す上面図である。図３は、車両用灯具１が備える導光体３の湾曲部７を正面側から見た斜視図である。図４は、車両用灯具１が備える導光体３の湾曲部７を背面側から見た斜視図である。図５は、車両用灯具１が備える導光体３の湾曲部７における光Ｌの光路を示す上面図である。図６は、車両用灯具１が備える導光体３の湾曲部７の拡大断面図である。図７は、車両用灯具１の光源２を点灯させた際の導光体３の発光状態を示す写真である。

【0013】

また、以下に示す図面では、ＸＹＺ直交座標系を設定し、Ｘ軸方向を車両用灯具１の前後方向（長さ方向）、Ｙ軸方向を車両用灯具１の左右方向（幅方向）、Ｚ軸方向を車両用灯具１の上下方向（高さ方向）として、それぞれ示すものとする。

【0014】

本実施形態の車両用灯具１は、図１及び図２に示すように、光源２と、棒状の導光体３とを備え、光源２から出射された光Ｌを導光体３の基端側に設けられた入射部４から導光体３の内部へと入射し、導光体３の先端側に向けて光Ｌを導光させると共に、導光体３の背面側に設けられた複数の反射カット５ａで反射された光Ｌを導光体３の正面側に設けられた発光部６から出射する。

【0015】

光源２は、例えばＬＥＤからなり、このＬＥＤを駆動する駆動回路が設けられた回路基板（図示せず。）の面上に実装されて、導光体３の基端側に向けて光Ｌを放射状に出射する。

【0016】

導光体３は、例えばポリカーボネイトやアクリル等の透明樹脂やガラスなどの光透過性部材からなる。導光体３は、車幅方向に延在し、且つ、車両の前端又は後端側のコーナー部に付与されるスラント形状に合わせて、車幅方向の内側よりも外側が後退する方向に向かって湾曲又は傾斜した長尺形状を有している。

【0017】

入射部４は、導光体３の基端側に位置して、光源２と対向する平坦（平面）な入射面４ａを有している。入射部４は、この入射面４ａから光源２から出射された光Ｌを導光体３の内部へと入射する。これにより、入射面４ａから入射した光Ｌは、導光体３の内部で反射を繰り返しながら、導光体３の先端側に向けて導光されることになる。

【0018】

なお、入射部４については、上述した平坦（平面）な入射面４ａを有する構成に限らず、光源２から放射状に出射された光Ｌを平行化又は集光しながら、導光体３の内部へと入射するレンズ形状を有する構成であってもよい。

【0019】

複数の反射カット５ａは、導光体３の背面側に入射した光Ｌを導光体３の正面側から外部へと出射（透過）する角度で反射させるものであればよく、その形状や大きさ、数等について、特に限定されるものではない。

【0020】

本実施形態では、反射カット５ａとして、例えば、導光体３の背面側の中央部を導光体３の軸線方向とは直交する鉛直方向（本実施形態では上下方向）に切り欠く断面略三角形状の溝部が導光体３の軸線方向（本実施形態では左右方向）に並ぶことによって構成されている。なお、反射カット５ａは、導光体３の背面側に、発光部６の軸線方向の長さ範囲に対応して設けられている。

【0021】

また、複数の反射カット５ａは、導光体３の軸線方向において、後述する発光部６をより均一に発光させるため、導光体３の基端側から先端側に向かって、この反射カット５ａを形成する溝部の隣り合う間隔が漸次狭くなっていてもよく、若しくは、この反射カット５ａを形成する溝部の深さが漸次深くなっていてもよい。

【0022】

また、導光体３の背面側の複数の反射カット５ａを挟んだ両側には、導光体３の内部で導光される光Ｌを反射する一対の反射面５ｂが設けられている。一対の反射面５ｂは、導光体３の鉛直断面において、円弧状に湾曲した凹状の曲面により構成されている。

【0023】

発光部６は、導光体３の正面側に位置して、導光体３の軸線方向に連続した出射面６ａを有している。出射面６ａは、導光体３の鉛直断面において、円弧状に湾曲した凸状の曲面により構成されている。発光部６では、この出射面６ａから光Ｌを外部へと出射することにより発光する。

【0024】

なお、出射面６ａには、この出射面６ａから外部に向けて出射される光Ｌを拡散させるための複数の拡散カット（図示せず。）が設けられた構成であってもよい。拡散カットとしては、例えば、フルートカットや魚眼カットと呼ばれるレンズカットや、ローレット加工やシボ加工等を施すことによって形成された凹凸構造などを挙げることができる。また、この拡散カットの形状等を調整することによって、出射面６ａから出射される光Ｌの拡散度合いを制御することが可能である。また、出射面６ａの正面側に別の拡散レンズを配置した構成としてもよい。

【0025】

導光体３は、入射部４と発光部６との間で一部が湾曲した湾曲部７と、複数の反射カット５ａ、一対の反射面５ｂ及び発光部６が設けられた延長部８とを有している。すなわち、この導光体３は、光源２と対向する位置から、前方に向かって延長され、湾曲部７により湾曲した後、延長部８が車両の幅方向に延長された長尺形状を有している。

【0026】

特に、本実施形態の導光体３では、その正面視において、入射部４が湾曲部７の最外周部よりも内側に位置するように、湾曲部７が平面視でＳ字状に湾曲した形状となっている。車両用灯具１の部品レイアウトに応じて、光源２と基板の向きを変更することが可能なので、これにより、湾曲部７の形状はＳ字状でなくでもよく、入射部４から入射した光Ｌを延長部８に導光させる屈曲形状があれば問題ない。

【0027】

ところで、本実施形態の車両用灯具１は、図３～図６に示すように、湾曲部７の正面側から発光部６が位置する側とは反対側に向かって突出された突出部９と、湾曲部７の突出部９と対向する側に位置する導光出射部１０とを有している。

【0028】

突出部９は、導光体３の正面視において、湾曲部７の最外周部よりも外側に突出して設けられている。すなわち、この突出部９は、導光体３の正面視において、湾曲部７の視認しづらい非発光部となる部分の正面側を覆い、且つ、発光部６と連続した発光部を形成するように、湾曲部７の正面側から発光部６が位置する側とは反対側に向かって板状に突出して設けられている。

【0029】

また、製造方法上の関係で、突出部９は、湾曲部７の接線に対して直交する方向に湾曲部７と接続されているが、湾曲部７への突出部９の接続部は必ずしもこのような構成でなくてもよい。

【0030】

さらに、導光体３は、湾曲部７の突出部９を挟んで発光部６が位置する側の径Ｒ１が突出部９を挟んで発光部６が位置する側とは反対側の径Ｒ２よりも大きくなっている。これにより、湾曲部７の内部で導光される光Ｌを突出部９に入射させることなく、延長部８側へと導光させることが可能となっている。

【0031】

なお、図６には、突出部９を挟んで発光部６が位置する側とは反対側の径Ｒ２をＲ１と同じ径Ｒ１’とした場合の仮想線を図示している。この場合、湾曲部７の内部で導光される一部の光Ｌ’が突出部９に入射してしまい、意図しない方向に出射し点光りとなる可能性がある。

【0032】

導光出射部１０は、湾曲部７の内部で導光される光Ｌのうち一部の光Ｌ１を突出部９に向けて出射する部分である。

【0033】

また、例えば、導光出射部１０の出射面６ａと同じ側の面には、複数のレンズカット１１が設けられている。これによって、導光出射部１０にあたる光Ｌのうち出射する光線の成分が増える。また、レンズカット１１の制御により、光Ｌ１を突出部９に向かうように出射させることができる。

【0034】

本実施形態では、レンズカット１１として、湾曲部７の軸線方向（本実施形態では左右方向）とは直交する方向（本実施形態では上下方向）に延在する凸状又は凹状のローレットが湾曲部７の軸線方向に並ぶことによって構成されている。これにより、レンズカット１１により光Ｌ１を出射させることができ、導光出射部１０では、これら複数のレンズカット１１により光Ｌ１を突出部９に向けて出射する。

【0035】

なお、レンズカット１１については、上述したローレットにより構成にされたものに限らず、突出部９に向けて光Ｌ１を出射するものであればよく、例えばプリズムカットや魚眼カットなど、その形状や大きさ、数等について適宜変更を加えることが可能である。

【0036】

導光体３では、上述した導光出射部１０から出射された光Ｌ１を突出部９の背面側から入射した後、突出部９の正面側から出射する。これにより、突出部９の正面側を発光部として発光させることが可能である。

【0037】

また、突出部９には、当該突出部９の正面側から出射される光Ｌ１を拡散させるための複数の第１の拡散カット１２が設けられている。第１の拡散カット１２としては、例えば、フルートカットや魚眼カットと呼ばれるレンズカットや、ローレット加工やシボ加工等を施すことによって形成された凹凸構造などを挙げることができる。また、第１の拡散カット１２の形状等を調整することによって、突出部９の正面側から出射される光Ｌ１の拡散度合いを制御することが可能である。

【0038】

本実施形態では、突出部９の正面側から出射される光Ｌ１を突出部９の軸線方向（本実施形態では左右方向）及びそれとは直交する方向（本実施形態では上下方向）に拡散させるため、突出部９の背面側に複数の第１の拡散カット１２ａと、突出部９の正面側に複数の第１の拡散カット１２ｂとが設けられている。

【0039】

第１の拡散カット１２ａは、突出部９の上下方向に延在する凸状又は凹状のローレットが突出部９の左右方向に並ぶことによって構成されている。一方、第１の拡散カット１２ｂは、突出部９の左右方向に延在する凸状又は凹状のローレットが突出部９の上下方向に並ぶことによって構成されている。

【0040】

これにより、導光出射部１０から出射された光Ｌ１は、突出部９の背面側から突出部９の左右方向に拡散しながら入射した後、突出部９の正面側から突出部９の上下方向に拡散しながら出射される。

【0041】

また、湾曲部７の突出部９と発光部６との間には、湾曲部７の正面側から出射される光Ｌ２を拡散させるための複数の第２の拡散カット１３が設けられている。

【0042】

本実施形態では、第２の拡散カット１３として、湾曲部７の軸線方向（左右方向）に延在する凸状又は凹状のローレットが湾曲部７の軸線方向とは直交する方向（上下方向）に並ぶことによって構成されている。

【0043】

導光体３では、湾曲部７の突出部９と発光部６との間において、複数の第２の拡散カット１３により導光体３の左右方向に拡散された光Ｌ１を導光体３の正面側から出射する。これにより、光Ｌが導光体３の背面に設けられる複数の反射カット５にあたって、導光体３の前面を透過し出射する際に、第２の拡散カット１３にて屈折し導光体３の正面や側面に向けて制御されて出射する。

【0044】

以上のように、本実施形態の車両用灯具１では、上述した湾曲部７の正面側から発光部６が位置する側とは反対側に向かって突出された突出部９を設け、湾曲部７の内部で導光される光Ｌのうち一部の光Ｌ１を導光出射部１０から空気層を経由して突出部９に向けて出射する。

【0045】

このように、導光体３の湾曲部７の延長する方向と略直交する方向に突出部９を設けると共に、湾曲部７に導光出射部１０を設けることで、導光体３の内部を導光する光Ｌの光路外に位置していても、突出部９を発光させることが可能となる。なお、導光出射部１０から空気層を挟んで突出部９にＬ１を出射させるため、導光体３の延長部８に導光していく光Ｌを必要以上に使うことがなく、湾曲部７の前面に発光部を作成することができる。

【0046】

また、導光体３では、導光出射部１０から出射された光Ｌ１を突出部９の背面側から入射した後、突出部９の正面側から出射する。これにより、導光体３の湾曲部７に対応した部分に設けられた突出部９を延長部８の発光部６と連続した発光部として視認させることが可能である。

【0047】

ここで、実際に光源２を点灯させた際の上記導光体３の発光状態を図７に示す。なお、図７は、上記導光体３を正面側から見た発光状態である。

【0048】

図７に示すように、導光体３の湾曲部７に対応した部分（図７中の囲み部分）に設けられた突出部９を延長部８の発光部６と連続した発光部として視認させることが可能である。

【0049】

なお、本発明は、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記車両用灯具１では、実際の車両のデザイン等に合わせて、上記導光体３の形状などを適宜変更することが可能である。

【0050】

また、上記車両用灯具１では、上述した光源２やインナーレンズとなる導光体３の他にも、例えば、別のインナーレンズやリフレクタ、エクステンションなどの他の部材と組み合わせることが可能である。

【0051】

なお、以上は車幅灯（ポジションランプ）に用いる光学系を具体例として本発明の内容を説明していたが、本発明が適用される車両用灯具については、特に限定されるものではなく、例えば、尾灯（テールランプ）や昼間点灯用ランプ（ＤＲＬ）、バックランプ、方向指示器（ウィンカーランプ）、サイドマーカーランプなど、本発明を幅広く適用することが可能である。

【0052】

また、上記光源２については、光Ｌを放射状に出射するものであればよく、上述したＬＥＤ以外にも、例えばレーザーダイオード（ＬＤ）などの発光素子を用いることができる。また、光源２が発する光の色については、赤色光や白色光、橙色光など、その車両用灯具の用途に応じて適宜変更することが可能である。

【符号の説明】

【0053】

１…車両用灯具 ２…光源 ３…導光体 ４…入射部 ５ａ…反射カット ６…発光部 ７…湾曲部 ８…延長部 ９…突出部 １０…導光出射部 １１…レンズカット １２…第１の拡散カット １３…第２の拡散カット Ｌ…光

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】