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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161737
(43)【公開日】2023-11-08
(54)【発明の名称】スロットル装置のセンサユニット
(51)【国際特許分類】
   F02D 9/10 20060101AFI20231031BHJP
   G01D 11/24 20060101ALI20231031BHJP
   F02D 9/02 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
F02D9/10 H
G01D11/24 B
F02D9/02 351Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022072259
(22)【出願日】2022-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000177612
【氏名又は名称】株式会社ミクニ
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】関口 眞一
(72)【発明者】
【氏名】北岡 竜也
(72)【発明者】
【氏名】河本 義信
【テーマコード(参考)】
3G065
【Fターム(参考)】
3G065CA24
3G065CA39
3G065HA22
(57)【要約】
【課題】ケーシングの射出成型時の熱及び圧力に起因する回路基板上の電子部品の破損等のトラブルを防止した上で、製造工程を簡素化してコスト低減できるスロットル装置のセンサユニットを提供する。
【解決手段】スロットル装置1のセンサユニット10において、スロットル装置1のスロットルボア2a内を流通する吸入空気の状態を検出するセンサ8,13,14と接続された回路基板12と、回路基板12をインサート品として合成樹脂材料を射出成型して製作されたケーシング11と、回路基板12と共にインサート品としてケーシング11の射出成型時に埋設されたプロテクト部材15,16と、プロテクト部材15に一体形成されて回路基板12側に開口し、開口端を回路基板12上に当接させて、回路基板12上に実装された電子部品等を含む領域を内部に収容する凹状収容部15fとを備えた。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの吸入空気を調整するスロットル装置に装着されるスロットル装置のセンサユニットにおいて、
前記スロットル装置のスロットルボア内を流通する吸入空気の状態を検出するセンサと接続され、前記センサからの信号を外部に出力する回路基板と、
前記回路基板をインサート品として合成樹脂材料を射出成型して製作されたケーシングと、
前記回路基板と共にインサート品として前記ケーシングの射出成型時に埋設され、前記回路基板の両側に配設されて、それぞれ前記回路基板上に当接する第1及び第2のプロテクト部材と、
前記第1及び第2のプロテクト部材の少なくとも何れか一方に一体形成されて、前記回路基板側に開口する形状をなし、開口端を前記回路基板上に当接させて前記回路基板上の所定の領域を内部に収容して外部から隔離する凹状収容部と、
を備えたことを特徴とするスロットル装置のセンサユニット。
【請求項2】
前記凹状収容部は、前記所定の領域として、前記回路基板上の略全体に相当する領域を内部に収容する
ことを特徴とする請求項1に記載のスロットル装置のセンサユニット。
【請求項3】
前記凹状収容部は、前記所定の領域として、前記回路基板上に実装された電子部品を含む領域を内部に収容する
ことを特徴とする請求項1に記載のスロットル装置のセンサユニット。
【請求項4】
前記凹状収容部は、前記所定の領域として、前記回路基板上のハンダ付け箇所を含む領域を内部に収容する
ことを特徴とする請求項1に記載のスロットル装置のセンサユニット。
【請求項5】
前記凹状収容部は、前記回路基板上の複数の領域に対応してそれぞれ設けられ、前記複数の領域を個別に内部に収容する
ことを特徴とする請求項1に記載のスロットル装置のセンサユニット。
【請求項6】
前記凹状収容部は、内部に弾性を有する緩衝材が充填されている
ことを特徴とする請求項1に記載のスロットル装置のセンサユニット。
【請求項7】
前記第1及び第2のプロテクト部材の少なくとも何れか一方は、前記回路基板上のハンダ付け箇所を外部に露出させる開口部が形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載のスロットル装置のセンサユニット。
【請求項8】
前記第1及び第2のプロテクト部材の少なくとも何れか一方は、前記回路基板上を外部に露出させる切欠きが形成され、前記切欠き内に前記ケーシングの射出成型の際の溶融樹脂が流れ込んで一体化している
ことを特徴とする請求項1に記載のスロットル装置のセンサユニット。
【請求項9】
前記第1及び第2のプロテクト部材の少なくとも何れか一方は、前記回路基板とは反対側に金型当接部が突設され、
前記金型当接部は、前記ケーシングの射出成型の際に閉じられた金型の内壁に押圧されて、前記第1及び第2のプロテクト部材の前記少なくとも何れか一方を前記回路基板上に当接させる
ことを特徴とする請求項1乃至8に何れか1項に記載のスロットル装置のセンサユニット。
【請求項10】
前記回路基板は、前記センサからの信号の出力先である機器と接続されるコネクタを構成するコネクタ端子を有し、
前記第1または第2のプロテクト部材は、合成樹脂材料を射出成型して製作され、
前記コネクタ端子は、前記第1または第2のプロテクト部材の射出成型時にインサート品として一部分が埋設されると共に、基端が前記回路基板にハンダ付けされている
ことを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載のスロットル装置のセンサユニット。
【請求項11】
前記回路基板は、前記センサからの信号の出力先である機器と接続されるコネクタを構成するコネクタ端子を有し、
前記第1及び第2のプロテクト部材は、それぞれ端子変位規制部が一体形成され、
前記端子変位規制部は、前記コネクタ端子を両側から挟み込んで前記回路基板の厚み方向に位置決めしている
ことを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載のスロットル装置のセンサユニット。
【請求項12】
前記第1及び第2のプロテクト部材の少なくとも何れか一方は、センサ変位規制部が一体形成され、
前記センサ変位規制部は、前記センサに当接して前記回路基板の厚み方向に位置決めしている
ことを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載のスロットル装置のセンサユニット。
【請求項13】
前記第1及び第2のプロテクト部材は、前記回路基板の材質に比して耐熱性及び剛性が共に高い合成樹脂材料により製作されている
ことを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載のスロットル装置のセンサユニット。
【請求項14】
前記ケーシングは、前記回路基板及び前記第1及び第2のプロテクト部材をインサート品とした1回の射出成型により所期の形状に成形されている
ことを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載のスロットル装置のセンサユニット。
【請求項15】
前記第1及び前記第2のプロテクト部材の周囲には、それぞれ複数の第1の嵌合部が一体形成され、
前記第1のプロテクト部材の各第1の嵌合部と前記第2のプロテクト部材の各第1の嵌合部とは、互いに嵌合して前記回路基板を挟み込んだ状態に前記第1及び前記第2のプロテクト部材を保つ
ことを特徴とする請求項14に記載のスロットル装置のセンサユニット。
【請求項16】
前記第1及び前記第2のプロテクト部材の何れか一方と前記回路基板とには、それぞれ複数の第2の嵌合部が設けられ、
前記第1及び前記第2のプロテクト部材の前記何れか一方の各第2の嵌合部と前記回路基板の各第2の嵌合部とは、互いに嵌合して位置決めされる
ことを特徴とする請求項14に記載のスロットル装置のセンサユニット。
【請求項17】
前記第1及び前記第2のプロテクト部材の周囲には、それぞれ全周に亘って連続する第3の嵌合部が一体形成され、
前記第1のプロテクト部材の第3の嵌合部と前記第2のプロテクト部材の第3の嵌合部とは、互いに嵌合して前記第1及び第2のプロテクト部材の間で前記回路基板を封止する
ことを特徴とする請求項14に記載のスロットル装置のセンサユニット。
【請求項18】
前記ケーシングは、先行する射出成型により形成した第1のケーシングに対し、前記回路基板をインサート品とした後続の射出成型により第2のケーシングを一体形成することで所期の形状をなし、
前記第1のプロテクト部材は、前記先行する射出成型により前記第1のケーシングに一体形成され、
前記第2のプロテクト部材は、前記回路基板と共にインサート品として前記後続の射出成型時に前記第2のケーシングに埋設される
ことを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載のスロットル装置のセンサユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スロットル装置のセンサユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
スロットル装置のセンサユニットとして、回路基板が設けられたケーシングをスロットル装置に装着し、この回路基板を介して、各種センサにより検出された吸入空気の状態に関する信号を外部の機器に出力するものがある。ケーシングは、生産性等の観点から合成樹脂材料を射出成型して製作され、その際に回路基板をインサート品としてケーシング内に埋設する場合がある。しかしながら、このときの回路基板は溶融樹脂の熱及び圧力を受けて反りが発生することがあり、回路基板の反りにより、回路基板上に実装されている電子部品が破損したり、ハンダ付け箇所が剥離したりする場合があった。また、溶融樹脂は回路基板上の電子部品やハンダ付け箇所にも接触するため、その熱及び圧力が電子部品に直接的に作用して破損させたり、或いはハンダ付け箇所に直接的に作用して剥離させたりする場合もあった。
【0003】
その対策として、例えば特許文献1には、ケーシングの製作のために射出成型とモールド充填とを併用した技術が開示されている。特許文献1のセンサユニットは、射出成型により凹部を有するケーシングを製作し、凹部内に回路基板を配設した上で、モールド充填により封止樹脂を注入・硬化させて回路基板を封止している。
【0004】
射出成型のためには例えば230℃程度に溶融樹脂の温度を保つ必要があり、これに対して封止樹脂として適用される熱硬化性樹脂は、より低温の例えば120℃程度で硬化する。また、射出成型の際には金型のキャビティ内に溶融樹脂を所定の圧力で射出する必要があり、これに対してモールド充填は大気圧や真空状態等で実施される。これにより回路基板及び電子部品やハンダ付け箇所に作用する熱及び圧力を低減して、回路基板の反りの発生、ひいては電子部品の破損やハンダ付け箇所の剥離等のトラブルを未然に防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-113517号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の技術は、ケーシングを射出成型した後に、その凹部内に回路基板を配設してモールド充填により封止する必要がある。結果として、電子部品の破損やハンダ付け箇所の剥離等のトラブルは防止できるものの、例えば回路基板をインサート成型した場合に比較すると、モールド充填に相当する分だけ工程数が増加することから、製造コストの面で改善の余地があった。
【0007】
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、ケーシングを射出成型する際の溶融樹脂の熱及び圧力に起因する回路基板の反り、ひいては回路基板上に実装されている電子部品の破損やハンダ付け箇所の剥離等のトラブルを未然に防止した上で、製造工程を簡素化して製造コストを低減することができるスロットル装置のセンサユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明のスロットル装置のセンサユニットは、エンジンの吸入空気を調整するスロットル装置に装着されるスロットル装置のセンサユニットにおいて、スロットル装置のスロットルボア内を流通する吸入空気の状態を検出するセンサと接続され、センサからの信号を外部に出力する回路基板と、回路基板をインサート品として合成樹脂材料を射出成型して製作されたケーシングと、回路基板と共にインサート品としてケーシングの射出成型時に埋設され、回路基板の両側に配設されて、それぞれ回路基板上に当接する第1及び第2のプロテクト部材と、第1及び第2のプロテクト部材の少なくとも何れか一方に一体形成されて、回路基板側に開口する形状をなし、開口端を回路基板上に当接させて回路基板上の所定の領域を内部に収容して外部から隔離する凹状収容部と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
その他の態様として、凹状収容部が、所定の領域として、回路基板上の略全体に相当する領域を内部に収容していてもよい。
【0010】
その他の態様として、凹状収容部が、所定の領域として、回路基板上に実装された電子部品を含む領域を内部に収容していてもよい。
【0011】
その他の態様として、凹状収容部が、所定の領域として、回路基板上のハンダ付け箇所を含む領域を内部に収容していてもよい。
【0012】
その他の態様として、凹状収容部が、回路基板上の複数の領域に対応してそれぞれ設けられ、複数の領域を個別に内部に収容していてもよい。
その他の態様として、凹状収容部が、内部に弾性を有する緩衝材が充填されていてもよい。
【0013】
その他の態様として、第1及び第2のプロテクト部材の少なくとも何れか一方は、回路基板上のハンダ付け箇所を外部に露出させる開口部が形成されていてもよい。
【0014】
その他の態様として、第1及び第2のプロテクト部材の少なくとも何れか一方が、回路基板上を外部に露出させる切欠きが形成され、切欠き内にケーシングの射出成型の際の溶融樹脂が流れ込んで一体化していてもよい。
【0015】
その他の態様として、第1及び第2のプロテクト部材の少なくとも何れか一方が、回路基板とは反対側に金型当接部が突設され、金型当接部が、ケーシングの射出成型の際に閉じられた金型の内壁に押圧されて、第1及び第2のプロテクト部材の少なくとも何れか一方を回路基板上に当接させていてもよい。
【0016】
その他の態様として、回路基板が、センサからの信号の出力先である機器と接続されるコネクタを構成するコネクタ端子を有し、第1または第2のプロテクト部材が、合成樹脂材料を射出成型して製作され、コネクタ端子が、第1または第2のプロテクト部材の射出成型時にインサート品として一部分が埋設されると共に、基端が回路基板にハンダ付けされていてもよい。
【0017】
その他の態様として、回路基板が、センサからの信号の出力先である機器と接続されるコネクタを構成するコネクタ端子を有し、第1及び第2のプロテクト部材が、それぞれ端子変位規制部が一体形成され、端子変位規制部が、コネクタ端子を両側から挟み込んで回路基板の厚み方向に位置決めしていてもよい。
【0018】
その他の態様として、プロテクト部材が、センサ変位規制部が一体形成され、センサ変位規制部が、センサに当接して回路基板の厚み方向に位置決めしていてもよい。
【0019】
その他の態様として、第1及び第2プロテクト部材が、回路基板の材質に比して耐熱性及び剛性が共に高い合成樹脂材料により製作されていてもよい。
【0020】
その他の態様として、ケーシングが、回路基板及び第1及び第2のプロテクト部材をインサート品とした1回の射出成型により所期の形状に成形されていてもよい。
【0021】
その他の態様として、第1及び第2のプロテクト部材の周囲に、それぞれ複数の第1の嵌合部が一体形成され、第1のプロテクト部材の各第1の嵌合部と第2のプロテクト部材の各第1の嵌合部とが、互いに嵌合して回路基板を挟み込んだ状態に第1及び第2のプロテクト部材を保っていてもよい。
【0022】
その他の態様として、第1及び第2のプロテクト部材の何れか一方と回路基板とに、それぞれ複数の第2の嵌合部が設けられ、第1及び第2のプロテクト部材の何れか一方の各第2の嵌合部と回路基板の各第2の嵌合部とが、互いに嵌合して位置決めされていてもよい。
【0023】
その他の態様として、第1及び第2のプロテクト部材の周囲に、それぞれ全周に亘って連続する第3の嵌合部が一体形成され、第1のプロテクト部材の第3の嵌合部と第2のプロテクト部材の第3の嵌合部とが、互いに嵌合して第1及び第2のプロテクト部材の間で回路基板を封止していてもよい。
【0024】
その他の態様として、ケーシングが、先行する射出成型により形成した第1のケーシングに対し、回路基板をインサート品とした後続の射出成型により第2のケーシングを一体形成することで所期の形状をなし、第1のプロテクト部材が、先行する射出成型により第1のケーシングに一体形成され、第2のプロテクト部材が、回路基板と共にインサート品として後続の射出成型時に第2のケーシングに埋設されていてもよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明のスロットル装置のセンサユニットによれば、ケーシングを射出成型する際の溶融樹脂の熱及び圧力に起因する回路基板の反り、ひいては回路基板上に実装されている電子部品の破損やハンダ付け箇所の剥離等のトラブルを未然に防止した上で、製造工程を簡素化して製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】実施形態のセンサユニットをスロットル装置に装着した状態を示す斜視図である。
図2】センサユニットをスロットル装置から取り外した状態を示す分解斜視図である。
図3図1のIII-III線断面図である。
図4】単体のセンサユニットを示す斜視図である。
図5図4からケーシングを省略したセンサユニットを示す斜視図である。
図6図5とは反対側から見たセンサユニットを示す斜視図である。
図7】回路基板と左右のプロテクト部材との関係を示す図5に対応する分解斜視図である。
図8】回路基板と左右のプロテクト部材との関係を示す図6に対応する分解斜視図である。
図9】回路基板及び左プロテクト部材を示す断面図である。
図10図9のX-X線断面斜視図である。
図11図9のXI-XI線断面斜視図である。
図12図9のXII-XII線断面斜視図である。
図13図9のXIII-XIII線断面斜視図である。
図14図9のXIV-XIV線断面斜視図である。
図15図9のXV-XV線断面斜視図である。
図16図9のXVI-XVI線断面図である。
図17図9のXVII-XVII線断面図である。
図18】右プロテクト部材と回路基板とを嵌合ピン及び嵌合孔を介して位置決めした別例1のセンサユニットを示す図8に対応する分解斜視図である。
図19】コネクタ端子のハンダ付け箇所を外部に露出させた別例2のセンサユニットを示す図6に対応する斜視図である。
図20】右側ベース部の外周3箇所に切欠きを形成した別例3のセンサユニットの右プロテクト部材を示す斜視図である。
図21】同じくケーシングを成型した後の別例3のセンサユニットを示す正面図である。
図22】左プロテクト部材の凹状収容部内に弾性を有する緩衝材を充填した別例4のセンサユニットを示す部分断面図である。
図23】左右のプロテクト部材の周囲に形成した突条及び凹溝を嵌合させて回路基板を封止した別例5のセンサユニットを示す図6に対応する斜視図である。
図24】同じく別例5のセンサユニットを示す図14に対応する断面斜視図である。
図25】カードエッジコネクタを備えた別例6のセンサユニットを示す図8に対応する分解斜視図である。
図26】同じく別例6のセンサユニットを示す図16に対応する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を具体化したスロットル装置のセンサユニットの一実施形態を説明する。
図1は、本実施形態のセンサユニットをスロットル装置に装着した状態を示す斜視図、図2は、センサユニットをスロットル装置から取り外した状態を示す分解斜視図、図3は、図1のIII-III線断面図、図4は、単体のセンサユニットを示す斜視図である。
【0028】
《スロットル装置》
本実施形態のスロットル装置1は、原動機付き自転車用の単気筒エンジンに装着されるものであり、まずスロットル装置1の構成を説明する。
スロットル装置1のスロットルボディ2には、図示しないエンジンの筒内と連通する単一のスロットルボア2aが貫通形成され、図示しないエアクリーナからの吸入空気がスロットルボア2a内を流通してエンジンの筒内に供給されるようになっている。スロットルボア2a内にはスロットル弁3がスロットル軸4により開閉可能に支持され、スロットル軸4の一端にはワイヤードラム5が取り付けられている。図示はしないがワイヤードラム5には、スロットルワイヤーを介して車両のスロットルグリップが連結されている。スロットルグリップの操作に連動して、ワイヤードラム5と共にスロットル軸4が回転してスロットル弁3を開閉させ、これによりエンジンの吸入空気量が調整される。ここで、スロットル弁3は戻りバネ6により閉方向に付勢されている。なお、図3中の7は、エンジンのアイドル回転速度を制御するアイドルスピードコントロールバルブ(ISCV)である。
【0029】
以下、説明の便宜上、図1に示すスロットル軸4に沿った軸線方向を左右方向と称し、スロットルボア2aに沿った吸気の流通方向を前後方向と称し、これらに対して直交する方向を上下方向と称する。
【0030】
図3に示すように、スロットル軸4の左側はスロットルボディ2から突出し、その端部にはインダクティブ式のスロットル開度センサ8の励起導体8aが固定されている。スロットルボディ2の左側にはスロットル軸4を中心として左方に開口する円形凹部2bが形成されると共に、円形凹部2bの周囲に取付面2cが形成されている。これらの円形凹部2b及び取付面2cを介して、スロットルボディ2の左側にセンサユニット10が取り付けられている。
【0031】
《回路基板》
次いで、センサユニット10の各部の構成を順次説明する。図5は、図4からケーシングを省略したセンサユニット10を示す斜視図、図6は、図5とは反対側から見たセンサユニット10を示す斜視図、図7は、回路基板と左右のプロテクト部材との関係を示す図5に対応する分解斜視図、図8は、回路基板と左右のプロテクト部材との関係を示す図6に対応する分解斜視図である。
【0032】
図4~6に示すように、センサユニット10のケーシング11は合成樹脂材料を射出成型してなる。射出成型の際に、回路基板12及び各センサ8,13,14と共に、左右のプロテクト部材15,16がインサート品としてケーシング11に埋設されている。本実施形態では、1回の射出成型によりケーシング11が所期の形状に成形される。左プロテクト部材15は、本発明の「第2のプロテクト部材」に相当し、右プロテクト部材16は、本発明の「第1のプロテクト部材」に相当する。
【0033】
図5~8に示すように、回路基板12は左方及び右方に面する姿勢で配設され、その両側面には配線パターン12aが形成されている。回路基板12の左側面にはIC17及び図示しない各種電子部品が実装されると共に、スロットル開度センサ8の励磁導体8b及び信号検出導体8cが形成されている。
【0034】
回路基板12の右側面の上斜め前側には、吸気温センサ13の2本の端子13bの基端がハンダ付けされ、各端子13bは右方に延設されて先端にセンサ本体13aが取り付けられている。また、回路基板12の右側面の上斜め後側には、吸気圧センサ14のセンサ本体14aの3本の端子14bがハンダ付けされている。以下、吸気温センサ13のハンダ付け箇所に13cを付し、吸気圧センサ14のハンダ付け箇所に14cを付す。
【0035】
回路基板12の前縁には、上下方向に列設された5本のコネクタ端子18の基端がハンダ付けされて、それぞれ回路基板12上の配線パターン12aと接続されている。各コネクタ端子18は直角に折曲されて前方に延設され、詳細は後述するが、その屈曲箇所が右プロテクト部材16に埋設されている。以下、コネクタ端子18のハンダ付け箇所に18aを付す。
【0036】
《センサユニット10のケーシング11》
上記のような回路基板12がインサート品としてセンサユニット10のケーシング11の射出成形に用いられ、ケーシング11がスロットル装置1に装着される。図3,4に示すように、ケーシング11の右側には円形筒部11aが一体形成され、円形筒部11aの周囲には取付面11bが形成されている。ケーシング11には一対のボルト孔11cが貫設され、これらのボルト孔11cに挿通されたボルト20により、ケーシング11がスロットルボディ2に締結されている。このケーシング11の装着状態では、図3に示すように、ケーシング11の円形筒部11aがスロットルボディ2の円形凹部2bに嵌合し、ケーシング11の取付面11bがスロットルボディ2の取付面2cに重ねられている。スロットル開度センサ8の励起導体8aは円形筒部11a内に配設され、回路基板12上の励磁導体8b及び信号検出導体8cと相対向している。
【0037】
インダクティブ式のスロットル開度センサ8の検出原理は周知のため、詳細は説明しないが、励磁導体8bに磁界を発生させると、それに呼応して励起導体8aに渦電流が流れる。スロットル軸4と共に励起導体8aが回転すると、相互誘導作用により励磁導体8bのインダクタンスが変化して信号検出導体8cにより検出され、IC17によりスロットル開度と相関する信号に変換される。
【0038】
また、図4,5,7に示すように、ケーシング11の取付面11bからは、右プロテクト部材16に一体形成された検出子16cが右方に向けて突出し、詳細は後述するが、中空状をなす検出子16cの内部に吸気温センサ13のセンサ本体13a及び端子13bが収容されている。スロットルボディ2へのケーシング11の装着状態では、検出子16cの先端がスロットルボア2a内に露出し、吸気温が吸気温センサ13により検出される。
【0039】
また、図4に示すように、ケーシング11の取付面11bには連通室11dが開口形成され、詳細は後述するが、右プロテクト部材16に形成された吸気圧センサ14の圧力ケース部16dが連通室11d内に露出している。スロットルボディ2へのケーシング11の装着状態では、連通室11dがスロットルボディ2に形成された図示しない連通路を介してスロットルボア2a内と連通し、吸気圧が連通路及び連通室11dを介して圧力ケース部16d内に作用して、センサ本体14aにより吸気圧が検出される。
【0040】
図4,5に示すように、ケーシング11には、前方に向けてコネクタ筒部21aが開口形成されている。このコネクタ筒部21a内にコネクタ端子18が配置されてコネクタ21が構成されている。
【0041】
《プロテクト部材15,16》
図7,8に示すように、回路基板12の左側には左プロテクト部材15が配設され、右側には右プロテクト部材16が配設されている。各プロテクト部材15,16は、例えば回路基板12の材質に比して耐熱性及び剛性が共に高い合成樹脂材料により製作され、ケーシング11にインサート成型される際に溶融樹脂の熱及び圧力を受けても、変形することなく所期の形状を保つように配慮されている。図5,6に示すように回路基板12は、これらのプロテクト部材15,16により挟み込まれた状態でインサート成型されてケーシング11内に埋設されている。
【0042】
〈右プロテクト部材16〉
図9は、回路基板12及び左プロテクト部材15を示す断面図、図10は、図9のX-X線断面斜視図、図11は、図9のXI-XI線断面斜視図、図12は、図9のXII-XII線断面斜視図、図13は、図9のXIII-XIII線断面斜視図、図14は、図9のXIV-XIV線断面斜視図、図15は、図9のXV-XV線断面斜視図、図16は、図9のXVI-XVI線断面図、図17は、図9のXVII-XVII線断面図である。
【0043】
図7,8,16,17に示すように、右プロテクト部材16は、左方及び右方に面する平板状をなす右側ベース部16a、右側ベース部16aの前側に一体形成された端子インサート部16b、端子インサート部16bの上側に一体形成された検出子16c、及び右側ベース部16aの上斜め後側に一体形成された圧力ケース部16dからなる。
【0044】
右方から見て右側ベース部16aは、回路基板12の右側面上において各コネクタ端子18のハンダ付け箇所18a及び吸気温センサ13の箇所を除いたほぼ全面と対応する形状をなし、この領域上に重ねられている。この領域上には配線パターン12aが形成されているものの、電子部品は実装されずに平面状に保たれている。このため回路基板12上の右側面は、右側ベース部16aが当接して外部から隔離されており、後述するケーシング11の射出成型の際に、両部材12,16aの間への溶融樹脂の侵入が防止される。また、右側ベース部16aの周囲の4箇所は外周側に突出し、それぞれ嵌合孔16eが貫設されている。
【0045】
端子インサート部16bは、右側ベース部16aの前側で上下方向に延びる直方体状をなし、その内部には、各コネクタ端子18の直角に折曲された箇所が埋設されている。この直角に折曲された箇所が、本発明の「コネクタ端子の一部分」に相当する。各コネクタ端子18の先端は端子インサート部16bから前方に突出し、上記のようにコネクタ筒部21a内に配置され、基端は回路基板12にハンダ付けされている。端子インサート部16bの右側面には、5本の右側金型当接ピン16fが上下方向に列設されて右方に向けて突出し、後述するケーシング11の射出成型に際して金型が閉じられると、右側の金型の内壁により各右側金型当接ピン16fの右端が押圧されるようになっている。
【0046】
検出子16cは、右プロテクト部材16から右方に向けて突出し、中空状をなす内部を凹状収容部16gとしている。凹状収容部16gは回路基板12側に向けて開口して内部に吸気温センサ13を収容し、その開口端を回路基板12上に当接させることで吸気温センサ13を外部から隔離している。
【0047】
圧力ケース部16dは、吸気圧センサ14のセンサ本体14aと対応する位置に配設され、右方からセンサ本体14aに当接している。圧力ケース部16dの中央には連通孔16hが貫設され、この連通孔16hを介してセンサ本体14aとケーシング11の連通室11dとが連通している。
【0048】
〈左プロテクト部材15〉
図7,9,16に示すように、左プロテクト部材15は、左方及び右方に面する平板状をなす左側ベース部15a、左側ベース部15aの前側に一体形成された5本のピン体15b、及び左側ベース部15aの上斜め後側に一体形成されたセンサ押え部15cからなる。
【0049】
左側ベース部15aは、回路基板12の左側面に対応した天面部15dを、区画壁15eにより複数の凹状収容部15fに区画してなる。詳しくは、天面部15dは、回路基板12の左側面の全面と対応する形状をなして、回路基板12から左方に離間した位置に配設され、天面部15dの右側面に区画壁15eが一体形成されている。区画壁15eは、天面部15dの外周を包囲する環状をなすと共に、その内部で格子状をなして天面部15d上を複数の凹状収容部15fに区画している。結果として、各凹状収容部15fはそれぞれ回路基板12側に開口する形状をなし、これらの凹状収容部15fにより回路基板12の左側面全体が覆われている。
【0050】
各凹状収容部15fは、開口端を回路基板12の左側面上に当接させて、それぞれに対応する左側面上の各領域を個別に内部に収容し、これにより各領域を外部から隔離している。各領域内には、IC17等の電子部品が実装されている場合があり、また、コネクタ端子18、吸気温センサ13、吸気圧センサ14のハンダ付け箇所18a,13c,14cが存在している場合もある。このような電子部品やハンダ付け箇所18a,13c,14cも、左側面上の領域と共に凹状収容部15f内に収容されて外部から隔離されている。なお、この例では5つの凹状収容部15fが形成されているが、電子部品の配置等に応じて任意に変更可能である。この凹状収容部15fと、上記した右プロテクト部材16の凹状収容部16gとが、本発明の「凹状収容部」に相当する。また、回路基板12上の吸気温センサ13やIC17等の電子部品が、本発明の「電子部品」に相当する。
【0051】
図8,15に示すように、天面部15dの左側面には複数本の左側金型当接ピン15gが突設され、各左側金型当接ピン15gは天面部15d上で分散配置されている。ケーシング11の射出成型に際して金型が閉じられると、左側の金型の内壁により各左側金型当接ピン15gの左端が押圧されるようになっている。
【0052】
左側ベース部15aの周囲の4箇所には右方に向けて嵌合ピン15hが突設され、各嵌合ピン15hはそれぞれ右プロテクト部材16の嵌合孔16e内に嵌合している。これにより、左右のプロテクト部材15,16が回路基板12を挟み込んだ状態に保たれている。これらの嵌合ピン15h及び嵌合孔16eが、本発明の「第1の嵌合部」に相当する。
ピン体15bは、左側ベース部15aの前側で上下方向に列設されると共に、それぞれ左右方向に沿って延設されており、各ピン体15bの右端は位置決めピン15iとして機能し、左端は左側金型当接ピン15jとして機能する。そして、ケーシング11の射出成型に際して金型が閉じられると、左側の金型の内壁により各左側金型当接ピン15jの左端が押圧され、各位置決めピン15iが右プロテクト部材16の端子インサート部16bに当接する。
【0053】
センサ押え部15cは、吸気圧センサ14のセンサ本体14aと対応する位置に配設され、左方からセンサ本体14aに当接している。センサ押え部15cの左側面にも1本の左側金型当接ピン15kが突設され、ケーシング11の射出成型時に左側の金型の内壁により押圧される。このセンサ押え部15cと、上記した右プロテクト部材16の圧力ケース部16dとが、本発明の「センサ変位規制部」に相当する。また、左プロテクト部材15の各左側金型当接ピン15g,15j,15kと、上記した右プロテクト部材16の右側金型当接ピン16fとが、本発明の「金型当接部」に相当する。
【0054】
以上のような回路基板12との位置関係で、左右のプロテクト部材15,16がセンサユニット10のケーシング11に埋設されている。センサユニット10はスロットル装置1に装着された状態で車両に搭載され、そのコネクタ21には、車両に搭載されているECU(エンジン制御ユニット)からのハーネスが接続される。センサユニット10から出力されるスロットル開度、吸気温及び吸気圧がECUに入力され、それらの検出情報に基づきECUによりエンジンの運転状態が制御される。スロットル開度、吸気温及び吸気圧は、本発明の「吸入空気の状態」に相当し、ECUは、本発明の「センサからの信号の出力先である機器」に相当する。
【0055】
《ケーシング11の射出成型の手順》
次いで、センサユニット10のケーシング11を射出成型する際の手順について説明する。
まず、図7,8に示すように、回路基板12上に配線パターン12aと共に励磁導体8b及び信号検出導体8cを形成し、IC17、電子部品、吸気温センサ13、及び吸気圧センサ14等を実装しておく。また、左右のプロテクト部材15,16を、例えば射出成型等により製作し、右プロテクト部材16については、インサート品として5本のコネクタ端子18を端子インサート部16bに埋設しておく。
【0056】
次いで、回路基板12に右方から右プロテクト部材16を組み付ける。即ち、右プロテクト部材16の検出子16cの凹状収容部16g内に、回路基板12上の吸気温センサ13を挿入しながら、回路基板12の右側面に右プロテクト部材16の右側ベース部16aを重ね合わせる。右プロテクト部材16の圧力ケース部16dは吸気圧センサ14のセンサ本体14aに当接し、各コネクタ端子18は回路基板12上の所定位置に配設されるため、各コネクタ端子18の基端を回路基板12上にハンダ付けする。
【0057】
さらに、回路基板12に左方から左プロテクト部材15を配設すると、その外周の4本の嵌合ピン15hが右プロテクト部材16の嵌合孔16e内にそれぞれ嵌合する。結果として、左右のプロテクト部材15,16により回路基板12が挟み込まれて一体化し、センサ押え部15cが吸気圧センサ14のセンサ本体14aに当接すると共に、各位置決めピン15iが右プロテクト部材16の端子インサート部16bに当接する。
【0058】
そして、この状態で回路基板12及び左右のプロテクト部材15,16を射出成型の金型内に配設し、金型を閉じる。右側の金型の内壁は、右プロテクト部材16の右側、詳しくは、右側ベース部16aの右側面、各右側金型当接ピン16fの右端、圧力ケース部16dの右側面にそれぞれ当接し、左方へと押圧する。これと共に左側の金型の内壁は、左プロテクト部材15の左側、詳しくは、各左側金型当接ピン15g,15j,15kの左端にそれぞれ当接し、右方へと押圧する。
【0059】
従って、左右の金型の間において、右プロテクト部材16の右側ベース部16a、回路基板12、及び左プロテクト部材15の左側ベース部15aが隙間なく挟み込まれる。このため、右側ベース部16aが回路基板12の右側面上に当接すると共に、右側ベース部16aの凹状収容部16gの開口端が回路基板12の右側面上に当接する。結果として、回路基板12の右側面全体及び凹状収容部16g内の吸気温センサ13が外部から隔離、即ち、この状態では金型のキャビティ内から隔離される。
【0060】
これと共に、左側ベース部15aの各凹状収容部15fの開口端がそれぞれ回路基板12の左側面上に当接する。このため、回路基板12の左側面上の各領域が個別に凹状収容部15f内に収容されると共に、領域内のIC17等の電子部品やハンダ付け箇所18a,13c,14cも凹状収容部15f内に収容される。結果として、回路基板12の左側面全体及び電子部品やハンダ付け箇所18a,13c,14cが、それぞれ金型のキャビティ内から隔離される。
【0061】
このような状態で金型のキャビティ内に溶融樹脂が射出されて内部に行き渡り、冷却・硬化してケーシング11を形成し、これによりセンサユニット10の製作が完了する。そして、以上の説明から明らかなように、回路基板12及び左右のプロテクト部材15,16をインサート品としてケーシング11を射出成型すれば、センサユニット10の製作を完了できる。このため、特許文献1の技術のようにケーシングの射出成型後にモードル成型を実施する必要が無くなり、モールド充填に相当する分だけ製造工程を簡素化でき、これにより製造コストを低減することができる。
【0062】
一方、このようしてキャビティ内に射出された高温高圧の溶融樹脂が回路基板12に接触すると反りを発生させる要因になり、電子部品に接触すると破損の要因になり、ハンダ付け箇所18a,13c,14cに接触するとハンダを剥離させる要因になる。本実施形態では、このような事態を左右のプロテクト部材15,16により防止しており、その作用効果を以下に説明する。
【0063】
《プロテクト部材15,16による作用効果》
右プロテクト部材16の右側ベース部16aが回路基板12の右側面上に当接することにより、右側面が金型のキャビティ内から隔離されて溶融樹脂との接触が防止されている。また、右プロテクト部材16の凹状収容部16gの開口端が回路基板12の右側面上に当接しているため、凹状収容部16g内の吸気温センサ13が金型のキャビティ内から隔離されて溶融樹脂との接触が防止されている。そして、耐熱性及び剛性が高い右プロテクト部材16は、溶融樹脂と接触しても変形することなく所期の形状を保ち続ける。このため、キャビティ内の溶融樹脂は、回路基板12の右側面及び吸気温センサ13と接触することなく冷却・硬化する。従って、回路基板12の右側面及び吸気温センサ13が溶融樹脂の熱及び圧力を直接的に受ける事態が防止される。加えて、凹状収容部15f内に存在する空気は断熱層として機能し、溶融樹脂から吸気温センサ13への熱伝達を妨げる機能を奏する。
【0064】
また、左プロテクト部材15の各凹状収容部15fの開口端が回路基板12の左側面上に当接しているため、この左側面と共に電子部品やハンダ付け箇所18a,13c,14cが金型のキャビティ内から隔離されて溶融樹脂との接触が防止されている。そして、この左プロテクト部材15も高い耐熱性及び剛性により所期の形状を保ち続けるため、回路基板12の左側面及び電子部品やハンダ付け箇所18a,13c,14cが溶融樹脂の熱及び圧力を直接的に受ける事態が未然に防止される。凹状収容部15f内の空気が断熱層として機能する点も、右プロテクト部材16の場合と同様である。
【0065】
このように、回路基板12上の吸気温センサ13やIC17等の電子部品、或いはハンダ付け箇所18a,13c,14c等は、溶融樹脂との接触を防止されて熱及び圧力による直接的な影響を免れる。従って、これに起因する電子部品の破損やハンダ付け箇所18a,13c,14cの剥離等のトラブルを未然に防止することができる。
【0066】
また、回路基板12の両側面への溶融樹脂の接触が共に防止されるため、熱及び圧力に起因する回路基板12の反りを防止できる。詳しくは、回路基板12の右側面全体には右側ベース部16aが当接し、回路基板12の左側面全体には左側ベース部15aの各凹状収容部15fの開口端が当接しているため、回路基板12の両側面に対する溶融樹脂の熱及び圧力の影響がそれぞれ緩和される。即ち、両側面に作用する熱及び圧力が低下するだけでなく互いにほぼ均衡するため、回路基板12は反りを生じることなく当初の平板状に保たれる。従って、回路基板12上の何れの箇所においても、回路基板12の反りに起因する電子部品の破損やハンダ付け箇所18a,13c,14cの剥離等のトラブルを防止することができる。
【0067】
加えて、回路基板12を挟み込んでいる左右のプロテクト部材15,16が高い剛性を有している点も、反りの防止に寄与している。即ち、このようなプロテクト部材15,16に挟み込まれることにより、回路基板12の全面の何れの箇所でも左右方向への位置変位が規制されるため、結果として、反りの発生を一層確実に防止することができる。
【0068】
また、回路基板12の反りの防止は、凹状収容部15f,16gへの溶融樹脂の侵入を防止することにも寄与する。即ち、仮に回路基板12に反りが発生すると、各凹状収容部15f,16gの開口端との間に隙間が生じて内部に溶融樹脂が侵入してしまう。反りの防止により回路基板12が当初の平板状に保たれることにより、凹状収容部15f,16gへの溶融樹脂の侵入を防止できる。このため、電子部品の破損やハンダ付け箇所18a,13c,14cの剥離等のトラブルを一層確実に防止することができる。
【0069】
一方、特に本実施形態では、左プロテクト部材15の複数の凹状収容部15fにより回路基板12の左側面を覆っているため、上記のようなトラブル防止の効果をより確実に達成できる。例えば、左側ベース部15aの周囲を包囲する環状の区画壁15eだけを形成して単一の凹状収容部15fとした場合でも、回路基板12の左側面及び電子部品やハンダ付け箇所18a,13c,14cを外部から隔離することはできる。しかしながら、各凹状収容部15fの開口端の何れかの箇所で回路基板12との間に隙間が生じると、内部に侵入した溶融樹脂の熱及び圧力により回路基板12の全面に反りが発生すると共に、熱及び圧力の影響が全ての電子部品やハンダ付け箇所18a,13c,14cに及んでしまう。
【0070】
回路基板12の左側面上を複数の凹状収容部15fに分割することで、その何れかに溶融樹脂が侵入したとしても影響を受ける領域が狭いため、回路基板12の反りを軽減できる。また、内部に電子部品等を収容しない凹状収容部15fに溶融樹脂が侵入しても問題は発生せず、ハンダ付け箇所18a,13c,14cを収容した凹状収容部15fの場合でも必ずしも剥離が生じるとは限らない。従って、このような場合には本来のセンサユニット10の機能を維持できるため、信頼性を向上できるという別の効果も得られる。加えて、格子状をなす区画壁15eは左側ベース部15aを補強するリブとして機能するため、左プロテクト部材15の剛性が向上して回路基板12の反り防止に寄与する。
【0071】
但し、本発明はこれに限るものではなく、例えば、上記のように左プロテクト部材15に単一の凹状収容部15fを形成し、回路基板12の略全体に相当する領域を内部に収容してもよい。
【0072】
また本実施形態では、嵌合ピン15hと嵌合孔16eとの嵌合により左右のプロテクト部材15,16の位置関係が正確に定められ、右プロテクト部材16に対する回路基板12の位置関係についても、コネクタ端子18を介して正確に定められる。このため、右プロテクト部材16の凹状収容部16g及び左プロテクト部材15の各凹状収容部15fは、それぞれ回路基板12上の所期の領域に正確に当接し、これにより溶融樹脂との接触防止を一層確実に達成することができる。加えて、左右のプロテクト部材15,16で回路基板12を挟み込んで一体化した上で金型内に配設するため、例えば各部材を個別に金型内に配設する場合に比較して、射出成型の作業を容易に実施することができる。
【0073】
一方、閉じられた左右の金型の間において、右プロテクト部材16の端子インサート部16b、及び左プロテクト部材15の各ピン体15bが隙間なく挟み込まれる。従って、端子インサート部16bが左右方向に正確に位置決めされ、埋設されている各コネクタ端子18もケーシング11内の所期の左右位置に配設されるため、コネクタ21の接触不良等を未然に防止できる。コネクタ端子18の位置決めには、右プロテクト部材16の端子インサート部16bも寄与している。右プロテクト部材16を射出成型する際に、インサート品として各コネクタ端子18の直角に折曲された箇所が埋設されるため、各コネクタ端子18は上下方向に所定間隔に保たれる。結果として各コネクタ端子18が正規の上下位置に配設され、これによりコネクタ21の接触不良等を防止できる。
【0074】
また、回路基板12に右プロテクト部材16を組み付ける際に、端子インサート部16bは各コネクタ端子18を束ねる治具の役割を果たすため、組付作業を容易に実施できるという効果も得られる。加えて、何れの効果についても、本来は溶融樹脂の接触防止を目的とした左右のプロテクト部材15,16を利用しているため、センサユニット10の部品点数を増加させることなく上記効果を達成することができる。
【0075】
また、閉じられた左右の金型の間において、右プロテクト部材16の圧力ケース部16d、吸気圧センサ14のセンサ本体14a、及び左プロテクト部材15のセンサ押え部15cが隙間なく挟み込まれる。これによりセンサ本体14aが左右方向、換言すると回路基板12の厚み方向に正確に位置決めされ、吸気圧の漏れ等を確実に防止できる。また、右プロテクト部材16の圧力ケース部16dによりセンサ本体14aの開口部が閉塞され、内部への溶融樹脂の流入が防止されるため、溶融樹脂の熱及び圧力による吸気圧センサ14の破損を防止できるという効果も得られる。この点についても、左右のプロテクト部材15,16を利用することで、部品点数を増加させることなく上記効果を達成することができる。
【0076】
一方、左プロテクト部材15は、各左側金型当接ピン15g,15j,15kを介して左側の金型の内壁に押圧され、金型の内壁と左側ベース部15a及びセンサ押え部15cとの間には溶融樹脂が介在してケーシング11を形作っている。結果として図1に示すように、射出成型後のケーシング11の左側面には、各左側金型当接ピン15g,15j,15kの端面だけが外部に露出している。仮に左側金型当接ピン15g,15j,15kを形成しない場合には、左プロテクト部材15の左側面全体が外部に露出して体裁が悪くなる可能性があるが、このような不具合を防止してセンサユニット10の美観を向上できるという効果も得られる。
【0077】
また、このときの左プロテクト部材15は、各左側金型当接ピン15g,15j,15kを介して左側の金型に押圧されるだけでなく、金型の内壁との間に介在する溶融樹脂の圧力も受ける。このため、各凹状収容部15fの開口端がより強く回路基板12上に当接し、内部への溶融樹脂の侵入を一層確実に防止できるという効果も得られる。
【0078】
以上で実施形態の説明を終えるが、本発明はこれに限るものではなく、種々に変更可能であり、以下に別例1~6として説明する。なお、各別例では、実施形態と同一構成の箇所に同一部材番号を付して説明を省略し、相違点を重点的に述べる。
【0079】
《別例1》
上記実施形態では、嵌合ピン15hと嵌合孔16eとの嵌合により左右のプロテクト部材15,16の位置関係を定める一方、右プロテクト部材16と回路基板12との位置関係に関しては既存のコネクタ端子18を介して自ずと定まるようにしたが、これに限るものではない。
【0080】
図18は、右プロテクト部材16と回路基板12とを嵌合ピン及び嵌合孔を介して位置決めした別例1のセンサユニット10を示す図8に対応する分解斜視図である。
【0081】
この図に示すように、右側ベース部16aの左側面に一対の嵌合ピン31を突設して、回路基板12に貫設した一対の嵌合孔32にそれぞれ嵌合させてもよい。これらの嵌合ピン31及び嵌合孔32が、本発明の「第2の嵌合部」に相当する。この場合には、右プロテクト部材16と回路基板12とをより正確に位置決めすることができる。
【0082】
《別例2》
上記実施形態では、左プロテクト部材15の各凹状収容部15fにより回路基板12の左側面全体を覆ったが、溶融樹脂と接触しても問題ない領域については、必ずしも凹状収容部15fを設ける必要はない。
【0083】
図19は、コネクタ端子18のハンダ付け箇所18aを外部に露出させた別例2のセンサユニット10を示す図6に対応する斜視図である。
【0084】
コネクタ端子18のハンダ付けに高融点のハンダを使用した場合には、溶融樹脂と接触しても剥離等が発生する虞はない。そこで、この図に示すように、ハンダ付け箇所18aに対応する左プロテクト部材15の領域については、凹状収容部15fを形成せずに開口部41を介して外部に露出させてもよい。左右のプロテクト部材15,16で回路基板12を挟み込んだ後でも、開口部41を介してコネクタ端子18をハンダ付けできるため、より容易に作業を実施することができる。
【0085】
《別例3》
上記実施形態では、右プロテクト部材16の右側ベース部16aにより回路基板12の右側面全体を覆ったが、回路基板12の反りの要因にならない領域であれば、必ずしも覆う必要はない。
【0086】
図20は、右側ベース部16aの外周3箇所に切欠きを形成した別例3のセンサユニット10の右プロテクト部材16を示す斜視図、図21は、同じくケーシング11を成型した後の別例3のセンサユニット10を示す正面図である。
【0087】
これらの図に示すように、右側ベース部16aの外周3箇所には、それぞれ四角状をなす切欠き51が形成され、各切欠き51の領域では回路基板12の右側面が外部に露出する。ケーシング11を射出成型する際に溶融樹脂は各切欠き51内に流れ込み、冷却・硬化後には、各切欠き51の箇所で回路基板12、右プロテクト部材16及びケーシング11が一体化される。従って、各部材12,16,11をより強固に結合して、センサユニット10の強度を向上することができる。
【0088】
《別例4》
上記実施形態では、各凹状収容部15f内を空洞として電子部品等を収容したが、これに限るものではない。
【0089】
図22は、左プロテクト部材の凹状収容部内に弾性を有する緩衝材を充填した別例4のセンサユニット10を示す部分断面図である。
【0090】
この図の例では、IC17を収容した凹状収容部15f内に緩衝材61が充填されている。緩衝材61としては、弾性を有する合成樹脂材料を任意に選択可能であり、例えばエポキシ、ウレタン、ポリアミド等を適用することができる。回路基板12上に左プロテクト部材15を配設すると、凹状収容部15f内で緩衝材がIC17を包み込むように弾性変形し、この状態で凹状収容部15fの開口端が回路基板12上に当接して外部から隔離される。
【0091】
センサユニット10が車両に搭載された使用中においては、近接するエンジンからの受熱等により凹状収容部15f内は温度変化するが、それに伴う圧力変化が緩衝材61により緩和される。従って、緩衝材61が存在しない場合に比較して、IC17はより圧力変化が少ない環境に保たれ、圧力変化に応じて発生する応力を軽減できることから、結果として圧力変化に起因するIC17の破損や劣化を抑制することができる。なお、他の凹状収容部15fの内部にも緩衝材61を充填してもよい。
《別例5》
上記実施形態では、嵌合ピン15hと嵌合孔16eとの嵌合により左右のプロテクト部材15,16の位置関係が定めたが、位置決め可能な構造であれば、これに限るものではない。
【0092】
図23は、左右のプロテクト部材15,16の周囲に形成した突条及び凹溝を嵌合させて回路基板を封止した別例5のセンサユニット10を示す図6に対応する斜視図、図24は、同じく別例5のセンサユニット10を示す図14に対応する断面斜視図である。
【0093】
これらの図に示すように、左プロテクト部材15の周囲には、全周に亘って連続する突条71が一体形成され、右プロテクト部材16の周囲には、全周に亘って連続する凹溝72が一体形成されている。これらの突条71及び凹溝72が、本発明の「第3の嵌合部」に相当する。
【0094】
左右のプロテクト部材15,16により回路基板12を挟み込んだ状態では、突条71が凹溝72に嵌合し、これにより、左右のプロテクト部材15,16の間で回路基板12が封止されて外部から隔離される。従って、突条71と凹溝72との嵌合箇所においても溶融樹脂の侵入が防止されるため、結果として、回路基板12の反り防止及び電子部品やハンダ付け箇所18a,13c,14cの保護を一層確実に達成することができる。
【0095】
《別例6》
上記実施形態では、ケーシング11に設けたコネクタ筒部21a内に回路基板12のコネクタ端子18を配設してコネクタ21としたが、これに限るものではない。
【0096】
図25は、カードエッジコネクタを備えた別例6のセンサユニット10を示す図8に対応する分解斜視図、図26は、同じく別例6のセンサユニット10を示す図16に対応する断面図である。
【0097】
これらの図に示すように、回路基板12は、実施形態のものに比較して前方に延設されて、ケーシング11のコネクタ筒部21a内に突出している。回路基板12の前縁には、カードエッジコネクタ81の5つの接点81aが上下方向に列設され、それぞれ回路基板12上の配線パターンと接続されている。このようなカードエッジコネクタ81とコネクタ筒部21aとにより、コネクタ21が構成されている。このような構成でも、上記実施形態と同様の作用効果を達成することができる。
【0098】
本発明の態様は以上の実施形態及び別例1~6に限定されるものではない。例えば上記実施形態及び各別例では、原動機付き自転車に搭載される単一のスロットルボア2aを備えたスロットル装置1のセンサユニット10に具体化したが、対象となる車両やスロットル装置1の形式については、これに限るものではなく、例えば4輪車両を対象としてもよい。或いは、スクーターやモペット等の小型2輪車、より大型の自動二輪車、4輪バギー等のATV(All Terrain Vehicle)のような鞍乗り型車両を対象としてもよい。また、走行用動力源以外の用途で利用されるエンジン、例えば発電機用エンジンのスロットル装置に本発明のセンサユニットを適用してもよい。さらに、複数のスロットルボアを備えた多連スロットル装置のセンサユニットとして具体化してもよい。
【0099】
また上記実施形態及び各別例では、スロットル開度センサ8、吸気温センサ13及び吸気圧センサ14を備えたセンサユニット10として具体化したが、必ずしも全てのセンサ8,13,14を備える必要はなく、例えばエンジン制御からの要請等に応じて何れかのセンサを省略してもよい。
【0100】
また上記実施形態では、プロテクト部材15,16を合成樹脂製としたが、その材質はこれに限るものではない。例えば、回路基板12上の配線パターンや電子部品の短絡防止の対策を講じた場合には、プロテクト部材15,16をアルミ等の金属材料で製作してもよい。
【0101】
また上記実施形態では、右プロテクト部材16の右側ベース部16aを平板状として回路基板12の右側面に重ね合わせたが、これに限るものではない。例えば、回路基板12の右側面に電子部品やハンダ付け箇所が設けられている場合には、右側ベース部16aにも凹状収容部を形成して電子部品等を外部から隔離するようにしてもよい。
【0102】
また上記実施形態では、回路基板12と共に左右のプロテクト部材15,16をインサート品として、1回の射出成型によりケーシング11を所期の形状に成形したが、これに限るものではない。例えば、回路基板12を境界としてケーシング11を左右に分割し、先行する射出成型により図4中の右側半分のケーシングを形成し、この右側のケーシングに対し、後続の射出成型により左側半分のケーシングを一体形成して所期のケーシング11の形状としてもよい。
【0103】
先行する射出成型では、右側のケーシングの左側面に、右プロテクト部材16の右側ベース部16aに相当する部位、及び吸気温センサ13が収容される凹状収容部16gを備えた検出子16cに相当する部位を一体形成する。加えて、吸気圧センサ14の圧力ケース部16dや端子インサート部16bに相当する部位を一体形成してもよい。後続の射出成型の際には、インサート品として回路基板12及び左プロテクト部材15を金型内に配置する。右側のケーシングが、本発明の「第1のケーシング」に相当し、左側のケーシングが、本発明の「第2のケーシング」に相当する。
【0104】
そして、金型を閉じると、左プロテクト部材15の各凹状収容部15fが回路基板12の左側面に当接し、右側のケーシングの右側ベース部16aに相当する部位が回路基板12の右側面に当接して回路基板12を挟み込み、この状態でキャビティ内に溶融樹脂を射出してケーシング11を形成する。以上のような構成でも、上記実施形態で述べた作用効果を達成することができる。
【0105】
この別例を上記実施形態と比較すると、別例では、右プロテクト部材16の製作が不要になるため、部品点数を削減することができる。その反面、後続の射出成型の際に、溶融樹脂の熱及び圧力を受けて右側のケーシングの右側ベース部16aに相当する部位が変形すると、回路基板12の右側面に当接したときに隙間が生じてしまう。このため、右側のケーシングの射出成型では、例えばプロテクト部材15,16と同じく耐熱性及び剛性が共に高い合成樹脂材料を使用する等の対策が望ましくなる。
【0106】
また上記実施形態では、右プロテクト部材16を射出成型する際に、インサート品として各コネクタ端子18の直角に折曲された箇所を埋設したが、必ずしもこの構成とする必要はない。例えば、コネクタ端子18を右プロテクト部材16に埋設することなく、その基端を回路基板12にハンダ付けした上で、ケーシング11の射出成型の際に回路基板12と共にコネクタ端子18も埋設するようにしてもよい。
【0107】
これに加えて、左プロテクト部材15の5本の位置決めピン15iに相対向するように、右プロテクト部材16にも5本の位置決めピンを一体成形しておき、金型を閉じたときに左右の位置決めピン15iで各コネクタ端子18を左右から挟み込んでもよい。これにより各コネクタ端子18を左右方向、換言すると、回路基板12の厚み方向に位置決めできる。この左プロテクト部材15の位置決めピン15i及び右プロテクト部材16の位置決めピンが、本発明の「端子変位規制部」に相当する。
【符号の説明】
【0108】
1 スロットル装置
2a スロットルボア
8 スロットル開度センサ
10 センサユニット
11 ケーシング
12 回路基板
13 吸気温センサ(電子部品)
13c,14c,18a ハンダ付け箇所
14 吸気圧センサ
15 左プロテクト部材(第2のプロテクト部材)
15c センサ押え部(センサ変位規制部)
15f 凹状収容部
15g,15j,15k 左側金型当接ピン(金型当接部)
15h 嵌合ピン(第1の嵌合部)
15i 位置決めピン(端子変位規制部)
16 右プロテクト部材(第1のプロテクト部材)
16d 圧力ケース部(センサ変位規制部)
16e 嵌合孔(第1の嵌合部)
16f 右側金型当接ピン(金型当接部)
17 IC(電子部品)
18 コネクタ端子
21 コネクタ
31 嵌合ピン(第2の嵌合部)
32 嵌合孔(第2の嵌合部)
41 開口部
51 切欠き
61 緩衝材
71 突条(第3の嵌合部)
72 凹溝(第3の嵌合部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26