IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社 ネクストジェンの特許一覧

特開2023-161739通話録音システムおよび通話録音方法
<>
  • 特開-通話録音システムおよび通話録音方法 図1
  • 特開-通話録音システムおよび通話録音方法 図2
  • 特開-通話録音システムおよび通話録音方法 図3
  • 特開-通話録音システムおよび通話録音方法 図4
  • 特開-通話録音システムおよび通話録音方法 図5
  • 特開-通話録音システムおよび通話録音方法 図6
  • 特開-通話録音システムおよび通話録音方法 図7
  • 特開-通話録音システムおよび通話録音方法 図8
  • 特開-通話録音システムおよび通話録音方法 図9
  • 特開-通話録音システムおよび通話録音方法 図10
  • 特開-通話録音システムおよび通話録音方法 図11
  • 特開-通話録音システムおよび通話録音方法 図12
  • 特開-通話録音システムおよび通話録音方法 図13
  • 特開-通話録音システムおよび通話録音方法 図14
  • 特開-通話録音システムおよび通話録音方法 図15
  • 特開-通話録音システムおよび通話録音方法 図16
  • 特開-通話録音システムおよび通話録音方法 図17
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161739
(43)【公開日】2023-11-08
(54)【発明の名称】通話録音システムおよび通話録音方法
(51)【国際特許分類】
   H04M 3/53 20060101AFI20231031BHJP
   G10L 15/10 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
H04M3/53
G10L15/10 200Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022072262
(22)【出願日】2022-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】303067478
【氏名又は名称】株式会社 ネクストジェン
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(72)【発明者】
【氏名】大森 明弘
(72)【発明者】
【氏名】永井 歩
【テーマコード(参考)】
5K201
【Fターム(参考)】
5K201CA02
5K201CB05
5K201CB06
5K201CB14
5K201CD09
5K201DC02
5K201DC05
5K201EC03
5K201EC06
5K201EC10
5K201ED02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】録音する通話の外線電話番号及び内線番号を取得する。
【解決手段】通話録音システム100は、外線電話機が接続される外線網150を流れる第1のセッションのパケットを収集して得た通話の音声データを所定のアルゴリズムで処理して第1の特徴情報を生成する外線処理部を有する検出装置と、内線電話機及び構内交換機が接続される自局の内線網110を流れる第2のセッションのパケットを収集して得た通話の音声データを所定のアルゴリズムで処理して第2の特徴情報を生成する内線処理部及び第1の特徴情報と第2の特徴情報とが所定の条件を満たして合致する場合、第1のセッションの呼制御パケットから取得された相手局の電話番号と、第2のセッションの呼制御パケットに基づき取得された内線番号とを、第1のセッション又は第2のセッションで伝送される通話の音声データと対応づけた録音データを記憶部に保存する保存部を有する録音装置と、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外線電話機が接続される外線網を流れる第1のセッションのパケットを収集して得た通話の音声データを所定のアルゴリズムで処理して第1の特徴情報を生成する外線処理部と、
内線電話機および構内交換機が接続される自局の内線網を流れる第2のセッションのパケットを収集して得た通話の音声データを前記所定のアルゴリズムで処理して第2の特徴情報を生成する内線処理部と、
前記第1の特徴情報と前記第2の特徴情報とが所定の条件を満たして合致する場合、前記第1のセッションの呼制御パケットから取得された相手局の電話番号と、前記第2のセッションの呼制御パケットに基づき取得された内線番号とを、前記第1のセッションまたは前記第2のセッションで伝送される通話の音声データと対応づけた録音データを記憶部に保存する保存部と、
を含む、通話録音システム。
【請求項2】
前記録音データでは、更に、前記第1のセッションの呼制御パケットから取得された自局の電話番号が対応づけられている、請求項1に記載の通話録音システム。
【請求項3】
前記外線処理部は、前記第1のセッションのパケットを収集して得た通話の音声データから開始位置の異なる複数の音声データを抽出して、前記複数の音声データのそれぞれから前記第1の特徴情報を生成し、
前記保存部は、前記複数の音声データのそれぞれから生成した前記第1の特徴情報のいずれかと、前記第2の特徴情報とが所定の条件を満たして合致する場合、前記録音データを前記記憶部に保存する、請求項1または請求項2に記載の通話録音システム。
【請求項4】
前記内線処理部は、前記第2のセッションのパケットを収集して得た通話の音声データから開始位置の異なる複数の音声データを抽出して、前記複数の音声データのそれぞれから前記第2の特徴情報を生成し、
前記保存部は、前記複数の音声データのそれぞれから生成した前記第2の特徴情報のいずれかと、前記第1の特徴情報とが所定の条件を満たして合致する場合、前記録音データを前記記憶部に保存する、請求項1または請求項2に記載の通話録音システム。
【請求項5】
外線電話機が接続される外線網を流れる第1のセッションのパケットを収集して得た通話の音声データを所定のアルゴリズムで処理して第1の特徴情報を生成し、
内線電話機および構内交換機が接続される自局の内線網を流れる第2のセッションのパケットを収集して得た通話の音声データを前記所定のアルゴリズムで処理して第2の特徴情報を生成し、
前記第1の特徴情報と前記第2の特徴情報とが所定の条件を満たして合致する場合、前記第1のセッションの呼制御パケットから取得された相手局の電話番号と、前記第2のセッションの呼制御パケットに基づき取得された内線番号とを、前記第1のセッションまたは前記第2のセッションで伝送される通話の音声データと対応づけた録音データを記憶装置に保存する、
ことを含む、通話録音方法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通話録音システムおよび通話録音方法に関する。
【背景技術】
【0002】
企業等では、構内で複数の電話機を利用する場合に、内線電話機同士の接続および内線電話機と公衆電話網に繋がる外線との接続などの構内の通話を管理する構内交換機(PBX:Private Branch eXchange)が設置される。
【0003】
また、通話の内容を録音するための通話録音装置が知られている。通話録音装置では、例えば、通話内容に加えて、通話の発信元の電話番号、着信先の電話番号、通話開始時刻、通話終了時刻等などの情報の記録も行われる。
【0004】
これに関し、通話の録音に関連する技術が知られている(例えば、特許文献1)。また、通話中の音声認識処理に関連する技術も知られている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004-328277号公報
【特許文献2】特開2001-094665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、内線網に接続する電話機と外線網に接続する電話機との通話では、ゲートウェイや構内交換機を通る際、電話番号の管理が変わってしまうため、通話録音装置で通話の発信元の電話番号および着信先の電話番号の双方を取得することが難しいことがある。通話における発信元および着信先の2つの電話番号の情報を得るために、通話録音装置を構内交換機と連携させて、構内交換機から電話番号の情報を取得することも行われている(いわゆるCTI連携、構内交換機連携)。しかしながら、構内交換機と連携可能な通話録音装置が既存に無いことがある。そして、新たに自社で利用する構内交換機と連携可能な通話録音装置を作成する場合、高コスト化が避けられない。そのため、録音する通話の外線電話番号および内線番号を取得するための更なる技術の提供が望まれている。
【0007】
1つの側面では、本発明は、録音する通話の外線電話番号および内線番号を取得することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一つの態様の通話録音システムは、外線電話機が接続される外線網を流れる第1のセッションのパケットを収集して得た通話の音声データを所定のアルゴリズムで処理して第1の特徴情報を生成する外線処理部と、内線電話機および構内交換機が接続される自局の内線網を流れる第2のセッションのパケットを収集して得た通話の音声データを所定のアルゴリズムで処理して第2の特徴情報を生成する内線処理部と、第1の特徴情報と第2の特徴情報とが所定の条件を満たして合致する場合、第1のセッションの呼制御パケットから取得された相手局の電話番号と、第2のセッションの呼制御パケットに基づき取得された内線番号とを、第1のセッションまたは第2のセッションで伝送される通話の音声データと対応づけた録音データを記憶部に保存する保存部と、を含む。
【発明の効果】
【0009】
録音する通話の外線電話番号および内線番号を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係る通話録音システムのシステム構成を例示する図である。
図2】実施形態に係る録音装置のブロック構成を例示する図である。
図3】実施形態に係る検出装置のブロック構成を例示する図である。
図4】実施形態に係る録音データの保存処理の動作フローを示す図である。
図5】例示的な内線番号情報示す図である。
図6】実施形態に係る連続特徴情報生成処理の動作フローを例示する図である。
図7】実施形態に係る連続した特徴情報の生成を例示する図である。
図8】実施形態に係る通話チャネル情報を例示する図である。
図9】実施形態に係る問い合わせ応答処理の動作フローを例示する図である。
図10】特徴情報の合致の判定を説明する図である。
図11】一実施形態に係る特徴情報生成処理の動作フローを例示する図である。
図12】音声データからの特徴情報の生成を説明する図である。
図13】一実施形態に係る連続する特徴情報の生成処理の動作フローを例示する図である。
図14】一実施形態に係るチャンクハッシュ情報を例示する図である。
図15】実施形態の録音データ保存処理の流れを説明するシーケンスを例示する図である。
図16】実施形態に係る録音装置および検出装置を実現するためのコンピュータのハードウェア構成を例示する図である。
図17】実施形態に係る通話録音システムにおける外線網の別の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明のいくつかの実施形態について詳細に説明する。なお、複数の図面において対応する要素には同一の符号を付す。
【0012】
上述のように、外線網と内線網との間にはゲートウェイ(GW)がある。また、内線網においては構内交換機が各内線電話機の通話に介在する。そして、ゲートウェイや構内交換機の働きにより、外線網に接続された外線電話機と自局の内線網に接続された内線電話機との間の通話におけるそれぞれの電話番号が隠蔽されてしまい、取得できないことがある。
【0013】
例えば、外線網で流通する電話番号は、自局、相手局ともゲートウェイで認識することは可能だが、通常の場合、内線網で実際に通話している内線電話機の情報は、内線番号も含めてゲートウェイでは認識できない。また、内線電話機が発信する場合は、外線上の相手先の電話番号を指定するので、内線電話機の電話番号と、外線上の相手局の電話番号を内線網で取得することが可能である。しかしながら、外線から着信があった場合には、ゲートウェイまたは構内交換機が外線を管理するため、外線の電話番号は内線網では流通しない。
【0014】
そのため、上述のように、いわゆるCTI連携、構内交換機連携といった技術を用いて内線番号や外線の電話番号の情報を得ることが行われているが、利用している構内交換機と連携可能な通話録音装置が既存に無いことがあり、また、新たに自社で利用する構内交換機と連携可能な通話録音装置を作成にはコストがかかる。
【0015】
そのため、構内交換機に依存せず、個々の通話における外線電話番号および内線番号の取得を可能にする技術の提供が望まれている。
【0016】
本願の発明者は、通話において流れる音声は、内線網と外線網とで共通していることに着目した。そこで、以下で述べる実施形態では、例えば、内線網と外線網とのそれぞれに、通話の音声データを収集する装置を設置する。そして、内線網に設置した装置で収集したパケットから取得した通話の音声データと、外線網に設置した装置で収集したパケットから収集した通話の音声データとが所定の条件を満たして合致する場合に、それらを同じ通話と見なす。続いて、内線網に設置した装置で収集したパケットの情報に基づいて取得した内線番号と、外線網に設置した装置で収集したパケットから取得した外線の電話番号とを、通話における発信元および着信先の2つの電話番号として特定する。即ち、実施形態によれば、構内交換機に依存せずに、内線番号と外線の電話番号とを対応づけることができる。それにより、通話を録音した録音データに、発信元および着信先の2つの電話番号を対応づけて保存することが可能になる。以下、実施形態を更に詳細に説明する。
【0017】
図1は、実施形態に係る通話録音システム100のシステム構成を例示する図である。図1に示すように、通話録音システム100では、自局の構内通信網である内線網110と、外部の通信網である外線網150とが、ゲートウェイ(GW)101を介して接続されている。内線網110には、複数の内線電話機111(例えば、内線電話機111a~内線電話機111c)と、構内交換機120とが含まれている。構内交換機120は、例えば、IP-PBX(Internet Protocol Private Branch eXchange)であってよい。構内交換機120は、例えば、かかってきた外線を内線電話機111につなぐ機能、および構内の各内線電話機111を外線につなぐ機能を有しており、複数の内線電話機111a~111cの発着信を制御してよい。
【0018】
また、図1の外線網150では、ゲートウェイ101は、光回線終端装置(ONU:Optical Network Unit)151を介して電話会社が構築するIP(Internet Protocol)電話網160と接続されている。光回線終端装置151は、例えば、電気信号と光信号との変換を行う装置である。
【0019】
そして、IP電話網160に接続している外部の電話機170(以下、外線電話機170と呼ぶことがある)が、例えば、構内交換機120に設定されている自局の代表電話番号に発信した場合、構内交換機120は内線電話機111につなぐ。
【0020】
また、図1では、ハブ(HUB)152を介して検出装置180が外線網150に接続されている。検出装置180は、例えば、外線網150を流れるパケットを監視する。そして、検出装置180は、外線網を流れる内線電話機111と外線電話機170との間の通話のパケットを検出すると、パケットから音声データを収集し、音声データから所定のアルゴリズムに従って第1の特徴情報を生成する。なお、外線側のSIPメッセージおよびRTPパケットは暗号化されることがある。例えば、SIPメッセージがTLS(Transport Layer Security)等により暗号化されている場合や音声パケットがsRTP(Secure Real time Transport Protocol)等により暗号化されている場合は、B2BUA(Back to back User Agent)方式のセッションボーターコントローラ(SBC)がハブ152の代わりに配置されてよい。そして、SBCは、復号して得たSIPメッセージの内容(外線電話番号)と復号して得た音声パケット(RTP)とを検出装置に送信してもよい。
【0021】
また、図1では、ハブ122を介して録音装置130が内線網110に接続されている。録音装置130は、例えば、内線網を流れるパケットを監視する。そして、録音装置130は、内線網を流れる内線電話機111と外線電話機170との間の通話のパケットを検出すると、パケットから通話の音声データを収集し、検出装置180において用いられるアルゴリズムと同じ所定のアルゴリズムに従って音声データから第2の特徴情報を生成する。なお、内線電話機111と外線電話機170との間の通話のパケットには、例えば、呼制御のための呼制御情報を含む呼制御パケットが含まれている。そのため、パケットの種類や呼制御情報に含まれる宛先のアドレス等の情報に基づいて、録音装置130および検出装置180は、内線電話機111と外線電話機170との間の通話のパケットを検出することができる。
【0022】
録音装置130は、通信線155を介して検出装置180と通信可能に接続されており、生成した第2の特徴情報を含む問い合わせを検出装置180に通信線155を介して送信し、検出装置180に外線情報を問い合わせる。外線情報は、例えば、通話における相手局の外線電話機170の電話番号を含んでよい。
【0023】
検出装置180は、録音装置130から第2の特徴情報を受信すると、受信した第2の特徴情報と、検出装置180にて生成した第1の特徴情報とを比較する。そして、第1の特徴情報と第2の特徴情報とが、所定の条件を満たして合致したとする。この場合、第1の特徴情報と第2の特徴情報の生成に用いられた音声データを伝送するそれぞれのパケットは同じ通話の音声を伝送するパケットであると見なすことができる。そのため、検出装置180は、第1の特徴情報の生成に用いた音声データを伝送するセッションの呼制御パケットから、外線電話機170の電話番号を取得し、外線電話機170の電話番号を含む外線情報を通信線155を介して録音装置130に通知する。
【0024】
録音装置130は、検出装置180から外線情報を受信すると、第2の特徴情報の生成に用いた音声データを伝送するセッションの呼制御パケットの呼制御情報に基づき内線電話機111の内線番号を取得する。そして、録音装置130は、そのセッションで伝送される音声データと、外線情報に含まれる外線電話機170の電話番号と、取得した内線電話機111の内線番号とを対応づけた録音データを生成し、記憶装置に記憶する。そのため、通話録音システム100を利用するユーザは、例えば、録音データの通話の音声が、どの電話間で行われた通話であるのかを知ることができる。なお、録音データは、更に通話の開始時刻および終了時刻などその他の情報を含んでもよい。
【0025】
以下、検出装置180と、録音装置130とによる録音データの保存処理を更に詳細に説明する。なお、呼制御パケットは、例えば、SIP(Session Initiation Protocol)パケットであってよく、或いは、H.323プロトコル等のパケットであってもよい。以下では、SIPパケットを例に説明を行う。
【0026】
図2は、実施形態に係る録音装置130のブロック構成を例示する図である。録音装置130は、例えば、制御部201、記憶部202、および通信部203を含む。録音装置130の制御部201は、例えば内線処理部211および保存部212などを含む。録音装置130の記憶部202は、例えば、後述する内線番号情報500、通話の内線番号、外線情報、および録音データなどを記憶してよい。通信部203は、例えば、制御部201の指示に従って内線網に接続し、内線網を流れるパケットを収集する。また、通信部203は、例えば、制御部201の指示に従って、検出装置180と通信する。これらの各部の詳細および記憶部202に格納されている情報の詳細については後述する。
【0027】
図3は、実施形態に係る検出装置180のブロック構成を例示する図である。検出装置180は、例えば、制御部301、記憶部302、および通信部303を含む。検出装置180の制御部301は、例えば外線処理部311などを含む。検出装置180の記憶部302は、例えば、後述する通話チャネル情報800およびチャンクハッシュ情報1400などを記憶してよい。通信部303は、例えば、制御部301の指示に従って外線網に接続し、外線網を流れるパケットを収集する。また、通信部303は、例えば、制御部301の指示に従って、録音装置130と通信する。これらの各部の詳細および記憶部302に格納されている情報の詳細については後述する。
【0028】
続いて、実施形態に係る録音装置130の制御部201が実行する録音データの保存処理を説明する。
【0029】
図4は、実施形態に係る録音装置130の制御部201が実行する録音データの保存処理の動作フローを示す図である。録音装置130の制御部201は、録音処理の実行指示が入力されると図4の動作フローを開始してよい。
【0030】
S401において録音装置130の制御部201は、ハブ122を介して内線網を流れるパケットを取り込む。
【0031】
S402において制御部201は、取り込んだパケットがSIPパケットであるか否かを判定する。なお、パケットの種別は、例えば、パケットのヘッダなどの情報から判定することができる。取り込んだパケットがSIPパケットである場合(S402がYES)、フローはS403に進む。
【0032】
S403において制御部201は、SIPパケットがセッション開始のパケットであるか否かを判定する。S403においてSIPパケットがセッション開始のパケットでない場合(S403がNO)、フローはS405に進む。一方、SIPパケットがセッション開始のパケットである場合(S403がYES)、フローはS404に進む。
【0033】
S404において制御部201は、SIPパケットに含まれるアドレス情報に基づいて内線番号を取得する。一例として、録音装置130の記憶部202には、構内電話機に割り付けられたIPアドレスと内線番号とを対応づける内線番号情報500が記憶されていてよい。図5は、例示的な内線番号情報500を示す図である。制御部201は、例えば、内線番号情報500を参照して、SIPパケットに含まれるIPアドレスと対応する内線番号を特定してよい。なお、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、別の実施形態では、録音装置130は、SIPパケットのアドレス情報に基づいて、構内交換機120から内線番号の情報を取得してもよい。そして、制御部201は、内線番号を記憶部202に記憶し、フローはS405に進む。
【0034】
S405において制御部201は、SIPパケットがセッション終了のパケットであるか否かを判定する。SIPパケットがセッション終了のパケットでない場合(S405がNO)、フローはS401に戻り、新たなパケットについて処理を繰り返す。
【0035】
また、S402において取り込んだパケットがSIPパケットでない場合(S402がNO)、フローはS407に進む。
【0036】
S407において制御部201は、取り込んだパケットが、SIPパケットで確立したセッションの音声データを伝送するRTP(Real-time Transport Protocol)パケットであるか否かを判定する。なお、上述のセッション開始のSIPパケットには、例えば、SDP(Session Description Protocol)プロトコルなどを用いて、セッション内で伝送するRTPパケットのアドレス情報などが含まれている。一例では、制御部201は、その情報に基づいて、取り込んだパケットが、SIPパケットで確立したセッションの音声データを伝送するRTPパケットであるか否かを判定してよい。取り込んだパケットがSIPパケットで確立したセッションの音声データを伝送するRTPパケットでない場合(S407がNO)、フローはS401に戻り、新たなパケットについて処理を繰り返す。一方、取り込んだパケットがSIPパケットで確立したセッションの音声データを伝送するRTPパケットである場合(S407がYES)、フローはS408に進む。なお、ここでは、音声データを伝送するパケットとしてRTPパケットを例示しているが、実施形態はこれに限定されるものではなく、その他の音声データを伝送するパケットであってもよい。
【0037】
S408において制御部201は、取り込んだRTPパケットから音声データを収集する。そして、S409において制御部201は、収集した音声データを記憶部202に記憶する。
【0038】
S410において制御部201は、現在処理しているセッションと対応する相手局の外線電話機170の電話番号を含む外線情報を既に記憶部202に記憶済みか否かを判定する。なお、外線情報は、後述するS414の処理で記憶部202に記憶される。外線情報を記憶部202に記憶済みである場合(S410がYES)、フローはS401に戻る。一方、外線情報を記憶部202に記憶済みでない場合(S410がNO)、フローはS411に進む。
【0039】
S411において制御部201は、S409で記憶部202に記憶した音声データを所定のアルゴリズムを用いて処理し、音声データの特徴を表す特徴情報を生成する特徴情報生成処理を実行する。なお、音声データの特徴を表す特徴情報としては、一例では音声データから生成したハッシュ値や音声フィンガープリント(例えば、Landmark-based fingerprinting)を用いることができる。音声データのハッシュ値等を比較に用いることで、音声の比較におけるデータ量および計算量を削減することができる。しかしながら、別の実施形態では、特徴情報は、記憶部202に記憶した音声データの一部を切り出した音声データであってもよい。また、特徴情報は、音声データから生成される声紋データであってもよい。また、声紋データは他の音声の比較(例えば、ハッシュ値等の比較)と組み合わせて用いられても良い。特徴情報の生成の更なる例示については、図11から図14を参照して後述する。
【0040】
S412において制御部201は、生成した特徴情報を用いて検出装置180に外線情報の問い合わせを行う。なお、外線情報は、例えば、ゲートウェイ101の内側では取得できない相手局の外線電話機170の電話番号を含んでよい。また更に、外線情報は、例えば、ゲートウェイ101の内側では取得できない自局の電話番号(外線)を含んでもよい。
【0041】
なお、検出装置180は、例えば、外線網においてパケットを監視し、パケットから収集した音声データから、その音声データの特徴を表す特徴情報を生成している。そして、検出装置180は、生成した特徴情報に、録音装置130からの問い合わせで通知された特徴情報と所定の条件を満たして合致する特徴情報がある場合に、特徴情報の生成に用いた音声データが伝送されるセッションの呼制御パケットから、相手局の外線電話機170の電話番号や自局の電話番号(外線)を取得し、相手局の外線電話機170の電話番号および自局の電話番号(外線)を含む外線情報を録音装置130に返信してよい。また、検出装置180は、録音装置130からの問い合わせで通知された特徴情報と所定の条件を満たして合致する特徴情報がない場合、異常終了を返信してよい。検出装置180の実行する処理の更なる詳細は、図6を参照して後述する。
【0042】
S413において制御部201は、問い合わせの結果、検出装置180から外線情報を受信したか否かを判定する。検出装置180から異常終了の通知を受けた場合(S413がNO)、フローはS401に戻る。一方、検出装置180から外線情報を受信した場合(S413がYES)、フローはS414に進む。
【0043】
S414において制御部201は、外線情報を記憶部202に記憶し、フローはS401に戻る。
【0044】
そして、S405においてSIPパケットがセッション終了のパケットである場合(S405がYES)、フローはS406に進む。S406では制御部201は、S404で取得した内線番号と、S414で記憶部202に記憶した外線情報に含まれる相手局の外線電話機170の電話番号および自局の電話番号(外線)と、S409で記憶部202に記憶した通話の音声データとを対応づけた録音データを生成し、録音データを記憶部202に記憶し、フローはS401に戻る。
【0045】
以上で述べたように、音声データの特徴を表す特徴情報の比較により、内線網と外線網とで同じ通話の音声データを伝送するセッションを特定し、そのセッションの呼制御パケットの情報に基づき内線番号と外線電話機170の電話番号とを対応づけることができる。その結果、構内交換機に依存せずに、通話の発着信が行われた内線番号と外線電話機170の電話番号の情報を録音データに付すことができる。また、上述の実施形態では、外線網における自局の電話番号も取得しているため、例えば、代表番号が複数設定されている場合に、どの代表番号が用いられたかを特定することもできる。しかしながら、実施形態において外線網における自局の電話番号は取得されなくてもよい。
【0046】
続いて、検出装置180が実行する処理について説明する。
【0047】
図6は、実施形態に係る検出装置180の制御部301が実行する特徴情報の生成処理の動作フローを例示する図である。
【0048】
なお、図6においてS601~S603、S605、S607~S608の処理は、それぞれ図4のS401~S403、S405、S407~S408の処理と対応しており、例えば、S401~S403、S405、S407~S408と同様の処理が実行されてよい。ただし、検出装置180は、図1に示すように外線網150に設置されており、S601では制御部301は、外線網を流れるパケットを取り込む。そして、S604では制御部301は、呼制御パケットから外線情報(例えば、相手局の外線電話機170の電話番号、および自局の電話番号(外線))を記憶する。
【0049】
また更に、S609では制御部301は、S608で収集した音声データから開始位置をずらして複数の音声データを取得し、それぞれの音声データから連続する特徴情報を生成する連続特徴情報生成処理を実行する。
【0050】
図7は、実施形態に係る連続した特徴情報の生成を例示する図である。図7(a)は、セッションを流れるRTPパケットのストリームを並べたものである。そして、制御部301は、S608の処理でRTPパケットから音声データを収集し、S609で収集した音声データを所定の長さ(例えば、10ms)のチャンク(Chunk)に分割し、連続した複数のチャンクを作成する(図7(b))。そして、制御部301は、特徴情報の生成に用いるチャンクの開始位置をずらしながら、所定の数のチャンク(図7では5つ)の音声データを用いて複数の特徴情報を生成する。なお、このように、複数の開始位置にて特徴情報を生成することで、例えば、録音装置130からの問い合わせで通知される特徴情報の生成に用いられた音声データが、どの位置から開始しているのかが分からなくても、生成した複数の特徴情報のそれぞれと、問い合わせで通知される特徴情報とが合致するかを探索することで、対応する特徴情報を見つけることができる。また、検出装置180が生成する特徴情報の数や、どの範囲の音声データを特徴情報の生成に用いるのか等の設定は、例えば、録音装置130で検出されたパケットと同じデータを伝送するパケットが検出装置180で検出されるまでにかかる時間等の通話録音システム100の構成や環境などに応じて決定することができる。そして、S609の処理では制御部301は、開始位置をずらしながら生成した複数の特徴情報を、通話チャネル情報800に登録してよい。
【0051】
図8は、実施形態に係る通話チャネル情報800を例示する図である。通話チャネル情報800には、例えば、通話チャネル、外線情報、および複数の特徴情報が登録されている。通話チャネルは、通話に用いられている回線を識別する情報である。また、外線情報は、S604の処理で外線情報(例えば、相手局の外線電話機170の電話番号および自局の電話番号(外線))が登録されてよい。特徴情報には、RTPパケットストリームの並び順に従って複数の特徴情報が登録されてよい。図8の例では、上段に登録されている特徴情報ほど先頭側に配置されたRTPパケットの音声データから生成されており、下段に登録されている特徴情報ほど末尾側に配置されたRTPパケットの音声データから生成されているものとする。通話チャネル情報800は、S603の処理で検出される通話のセッションごとに生成されてよい。
【0052】
以上で述べた図8の動作フローにより、検出装置180の制御部301は、外線網150を流れるパケットから、検出したセッションごとに通話チャネル情報800を生成することができる。
【0053】
続いて、実施形態に係る検出装置180が実行する問い合わせ応答処理を説明する。図9は、実施形態に係る検出装置180の制御部301が実行する問い合わせ応答処理の動作フローを例示する図である。例えば、検出装置180の制御部301は、上述のS412の処理による録音装置130からの外線情報の問い合わせを受信すると、図9の動作フローを開始してよい。
【0054】
S901において検出装置180の制御部301は、現在継続中のセッションに対して生成された通話チャネル情報800のうちから、未選択の通話チャネル情報800を選択する。
【0055】
S902において制御部301は、選択した通話チャネル情報800から未選択の特徴情報を選択する。
【0056】
S903において制御部301は、録音装置130からの問い合わせに含まれる特徴情報と、通話チャネル情報800から選択した特徴情報とが所定の条件を満たして合致するか否かを判定する。所定の条件は、例えば、特徴情報として用いる値に応じて設定されてよい。例えば、特徴情報として、音声データに基づき取得したハッシュ値を用いる場合には、所定の条件は、2つの特徴情報が一致することであってよい。また、例えば、特徴情報として、音声データから切り出した所定長の音声データを用いる場合には、所定の条件は、2つの特徴情報が所定の誤差範囲内で類似していることであってよい。また、所定の条件は、例えば、声紋データ比較により所定の誤差範囲内で類似していることであってもよい。このように、S903の処理は、利用する特徴情報の性質に応じて、所定の誤差を許容するように判定を行ってもよいし、完全一致するか否かを判定してもよい。特徴情報が合致しない場合(S903がNO)、フローはS905に進む。
【0057】
S905において制御部301は、選択した通話チャネル情報800に含まれる全ての特徴情報との合致の確認が完了したか否かを判定する。まだ、未選択の特徴情報がある場合(S905がNO)、フローはS902に戻り、未選択の特徴情報を選択して処理を繰り返す。一方、通話チャネル情報800に含まれる全ての特徴情報との合致の確認が完了した場合(S905がYES)、フローはS906に進む。
【0058】
S906において制御部301は、現在継続中のセッションに対して生成された通話チャネル情報800のうちで、未選択の通話チャネル情報800があるか否かを判定する。まだ、未選択の通話チャネル情報800がある場合(S906がNO)、フローはS901に戻り、未選択の通話チャネル情報800を選択して処理を繰り返す。一方、現在継続中のセッションに対して生成された通話チャネル情報800の全てを処理し終わっている場合(S906がYES)、フローはS907に進む。
【0059】
S907において制御部301は、特徴情報が合致する通話チャネル情報800を特定できなかったため、異常終了を録音装置130に返信し、本動作フローは終了する。
【0060】
また、S903において特徴情報が合致する場合(S903がYES)、フローはS904に進む。この場合、問い合わせで通知された特徴情報の生成に用いられた通話の音声データと、通話チャネル情報800の特徴情報の生成に用いられた通話の音声データとは同じ通話であると見なすことができる。そのため、S904では制御部301は、合致した特徴情報が登録されている通話チャネル情報800の外線情報(例えば、相手局の外線電話機170の電話番号および自局の電話番号(外線))を含む応答を録音装置130に送信し、本動作フローは終了する。
【0061】
以上の図9の動作フローによれば、検出装置180の制御部301は、問い合わせで通知された特徴情報と合致する特徴情報を含む通話チャネル情報800を特定することで、外線情報を録音装置130に提供することができる。また、検出装置180の制御部301は、合致する特徴情報を特定できない場合には、異常終了を返すことで、合致する特徴情報が見つけられなかったことを通知することができる。
【0062】
なお、図10は、以上の図9の動作フローで実行される特徴情報の合致の判定を説明する図である。図10には、検出装置180の制御部301が検出したセッションを伝送されるRTPパケットのストリーム(RTP1~RTPn)が示されている(図10(a))。そして、実施形態では、制御部301は、RTPパケットのストリームで伝送される音声データを、所定の長さ(例えば、10ms)のチャンクに分割し、連続した複数のチャンクを作成する(図10(b))。
【0063】
そして、制御部301は、開始位置をずらしながら、所定の数のチャンクをまとめた音声データから複数の特徴情報を生成する(図10(c))。例えば、図10の例では、5つのチャンクをまとめた音声データから特徴情報が生成されており、開始位置を1チャンクずつずらして複数の特徴情報(例えば、特徴情報1~特徴情報5)が生成されている。そして、制御部301は、生成した複数の特徴情報を、録音装置130から受信した特徴情報Xと比較する。ここで、生成した複数の特徴情報のいずれかと、録音装置130から受信した特徴情報Xとが所定の条件を満たして合致したとする。例えば、図10の例では、特徴情報4と特徴情報Xとが合致している。この場合、制御部301は、特徴情報4と特徴情報Xとが取得された音声データの通話を同じ通話と特定することができる。
【0064】
なお、図10(c)では、特徴情報の生成に用いる音声データの開始位置を徐々にずらしながら連続する複数の特徴情報を生成している。それにより、図10(d)の録音装置130において特徴情報Xの生成に用いられる音声データの開始位置と、検出装置180で収集した音声データのどの位置が対応するのかが分からない場合にも、合致する位置を探索することで同じ通話か否かを判定することができる。
【0065】
以上に述べたように、実施形態によれば、通話の音声データに、内線網で取得した内線番号と、外線網で取得した外線電話機170の電話番号および自局の電話番号(外線)を対応づけて、録音データを保存することができる。従って、実施形態によれば、通話の発信元と、着信先とを、録音データから特定することが可能になる。
【0066】
(特徴情報の生成例)
続いて、実施形態に係る特徴情報の生成の一例を以下に示す。以下の例では、上述の音声データの分割で得られたチャンクのハッシュ値を計算し、得られた複数のチャンクのハッシュ値から更にハッシュ値を取得して得られたストリームハッシュを、特徴情報として用いる。
【0067】
図11は、一実施形態に係る録音装置130が実行する特徴情報生成処理の動作フローを例示する図である。また、図12は、音声データからの特徴情報の生成を説明する図である。一実施形態においては、録音装置130の制御部201は、例えば、S411において図11の動作フローを実行してよい。
【0068】
S1001において制御部201は、S409の処理で記憶部202に保存されている音声データのうちから、RTPパケットと対応する所定期間の音声データを読み出し、音声データを複数のチャンクに分割する(図12の(a)および(b))。一実施形態においては、読み出される所定期間の音声データは、直近のS407の処理の実行で受信されたRTPパケットに含まれる音声データを含んでよい。
【0069】
S1002において制御部201は、分割により得られた複数のチャンクのうちから、所定数のチャンクのハッシュ値をそれぞれ生成する。図12(c)の例では、連続する5つのチャンクのそれぞれから5つのハッシュ値が生成されている。なお、以下では、チャンクから生成したハッシュ値をチャンクハッシュと呼ぶことがある。また、ハッシュ値の生成は、例えば、FNV-1およびCRC-32などの様々なハッシュアルゴリズムを用いて実行することができる。
【0070】
S1003において制御部201は、生成した所定数のチャンクハッシュを用いてストリームハッシュを生成する。図12(d)の例では、制御部201は、連続する5つのチャンクハッシュに対してハッシュアルゴリズムを適用し、ハッシュ値を生成する。なお、この複数の連続するチャンクハッシュから生成したハッシュ値を、以下では、ストリームハッシュと呼ぶことがある。ストリームハッシュを生成すると図11の動作フローは終了し、フローはS412に進んでよい。なお、S412では制御部201は、生成したストリームハッシュを特徴情報として問い合わせ実行し、外線情報を問い合わせてよい。
【0071】
続いて、図11の録音装置130の特徴情報生成処理と対応する検出装置180による連続する特徴情報の生成処理を説明する。
【0072】
図13は、一実施形態に係る連続する特徴情報の生成処理の動作フローを例示する図である。例えば、検出装置180の制御部301は、図6のS609に進むと、図13の動作フローを開始してよい。
【0073】
S1301において制御部301は、S608の処理で収集した音声データを複数のチャンクに分割する。S1302において制御部301は、生成した複数のチャンクの先頭から順にチャンクを1つ選択する。
【0074】
S1303において制御部301は、選択したチャンクからチャンクハッシュを生成する。S1304において制御部301は、生成したチャンクハッシュでチャンクハッシュ情報1400を更新する。なお、S1303の処理において制御部301は、例えば、チャンクハッシュ情報1400に登録されているチャンクハッシュの数が、所定数に満たない場合には、登録されているチャンクハッシュの末尾に、生成したチャンクハッシュを登録してよい。一方、制御部301は、例えば、チャンクハッシュ情報1400に所定数のチャンクハッシュが既に登録されている場合には、最も古くにチャンクハッシュ情報1400に登録された先頭のチャンクハッシュを削除する。そして、制御部301は、S1303で新たに生成したチャンクハッシュをチャンクハッシュ情報1400の末尾に追加してチャンクハッシュ情報1400を更新してよい。
【0075】
図14は、一実施形態に係るチャンクハッシュ情報1400を例示する図である。チャンクハッシュ情報1400には、通話チャネル、外線情報、および所定数のチャンクハッシュが登録されている。通話チャネルは、通話に用いられている回線を識別する情報である。また、外線情報には、S604の処理で外線情報(例えば、相手局の外線電話機170の電話番号および自局の電話番号(外線))が登録されてよい。チャンクハッシュには、チャンクハッシュの生成に用いられた音声データを伝送するRTPパケットストリームの並び順に従って所定数のチャンクハッシュが登録されてよい。図14の例では、上段に登録されているチャンクハッシュほど先頭側に配置されたRTPパケットの音声データから生成されており、下段に登録されているチャンクハッシュほど末尾側に配置されたRTPパケットの音声データから生成されているものとする。チャンクハッシュ情報1400は、S603で検出される通話のセッションごとに生成されてよい。
【0076】
そして、S1305の処理では、制御部301は、例えば、チャンクハッシュ情報1400に登録されているチャンクハッシュの数が、所定数に達しているか否かを判定する。なお、一実施形態においては、所定数は、ストリームハッシュの生成に用いるチャンクハッシュの数に設定されていてよい。チャンクハッシュ情報1400に登録されているチャンクハッシュの数が所定数に満たない場合(S1305がNO)、フローはS1308に進む。一方、チャンクハッシュ情報1400に所定数のチャンクハッシュが登録されている場合(S1305がYES)、フローはS1306に進む。
【0077】
S1306において制御部301は、チャンクハッシュ情報1400に登録されているチャンクハッシュを先頭のチャンクハッシュから順に並べてハッシュアルゴリズムを適用し、ストリームハッシュを生成する。
【0078】
S1307において制御部301は、生成したストリームハッシュを特徴情報として通話チャネル情報800に登録して、通話チャネル情報800を更新する。なお、通話チャネル情報800には、生成されたストリームハッシュが順次追加されてよい。或いは、図14のチャンクハッシュ情報1400の例で述べたように、新しく生成されたストリームハッシュから順に所定数のストリームハッシュが通話チャネル情報800に登録されるように更新が行われてもよい。
【0079】
S1308において制御部301は、S1301の分割で生成したチャンクを全て処理したか否かを判定する。未処理のチャンクがある場合(S1308がNO)、フローはS1302に戻る。一方、全てのチャンクの処理が完了している場合(S1308がYES)、本動作フローは終了し、フローはS601に戻ってよい。
【0080】
以上の図13の動作フローにより、通話チャネル情報800に特徴情報としてストリームハッシュを格納することができる。なお、図11から図14を参照して述べた、ストリームハッシュは、特徴情報の一例であり、実施形態に係る特徴情報は、これに限定されるものではない。例えば、特徴情報には、音声フィンガープリントを用いることができるし、或いは、図11から図14の処理で生成した複数のチャンクハッシュを所定数並べて、特徴情報として用いてもよい。
【0081】
図15は、実施形態の録音データ保存処理の流れを説明するシーケンスを例示する図である。図15に示すように、録音装置130は、通話が開始すると、通話の音声の録音を開始し、また、通話のパケットに基づき内線番号を取得する(図15の1501a)。なお、録音装置130は、内線網に接続されているため、外線網で流通する相手局の電話番号および自局の外線の電話番号は取得されない。
【0082】
続いて、録音装置130は、通話の音声から特徴情報を生成する(図15の1502a)。録音装置130は、生成した特徴情報を含む問い合わせを検出装置180に送信する(図15の1503a)。
【0083】
一方、検出装置180も、通話が開始すると、通話のパケットから通話の相手局の電話番号および自局の外線の電話番号を取得する(図15の1501b)。なお、検出装置180は、外線網に接続されているため、内線網で流通する内線番号は取得されない。
【0084】
続いて、検出装置180は、通話の音声から取得した開始位置の異なる複数の音声データを用いて、連続する複数の特徴情報を生成する(図15の1502b)。
【0085】
録音装置130から問い合わせを受信すると、検出装置180は、通話中の音声データから得た複数の特徴情報のうちのいずれかと、問い合わせの特徴情報が合致するか探索する。例えば、図15では、通話Aから得た特徴情報とは、問い合わせの特徴情報が合致していない(図15の1503b)。しかし、通話Bから得た特徴情報とは、問い合わせの特徴情報が合致している(図15の1504b)。
【0086】
そのため、検出装置180は、通話Bの外線情報(例えば、相手局の電話番号および自局の外線の電話番号)を、録音装置130に通知する(図15の1505b)。そのため、録音装置130は、問い合わせた通話の外線情報(例えば、相手局の電話番号および自局の外線の電話番号)を取得することができる。
【0087】
続いて、通話が終了すると、録音装置130は、通話を録音した録音ファイルに、通話の内線番号と、検出装置180から受信した外線情報に含まれる相手局の電話番号および自局の外線の電話番号を対応づけた録音データを出力する(図15の1504a)。例えば、録音装置130は、録音データを記憶部202に記憶してよい。それによって、記憶部202に記憶した録音データから通話の発信元と着信先の情報や、通話に用いられた自局の代表番号の情報を特定することが可能になる。
【0088】
以上において、実施形態を例示したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、上述の動作フローは例示であり、実施形態はこれに限定されるものではない。可能な場合には、動作フローは、処理の順番を変更して実行されてもよく、別に更なる処理を含んでもよく、または、一部の処理が省略されてもよい。
【0089】
また、上述の実施形態では、IP-PBXを構内交換機120の例として示しており、また、外部の電話機との接続にIP電話網160を介する例を示している。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、外線網がISDN(Integrated Services Digital Network)である場合にも、プロトコルの規定に基づきISDNの通話データから電話番号の情報を取得することができる。また、例えば、アナログ回線を介する通話であっても、アナログ-デジタル変換を行いデジタル信号として処理することで、上述の実施形態を適用することができる。
【0090】
また、上述の実施形態では、録音装置130が内線網に配置されており、検出装置180が外線網に配置される場合を例示している。この場合、録音装置130は、内線電話機111同士の内線の通話と、外部との通話の全てを録音することができる。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、別の実施形態では、録音装置130を外線網に配置し、検出装置180を内線網に配置してもよい。この場合、検出装置180が内線番号を取得して録音装置130に通知してよく、それにより、録音装置130は、取得した相手局番号および自局番号(外線)に、受信した内線番号を対応づけて録音データを保存することができる。また、例えば、録音装置130を外線網に接続することで、外線と繋がる電話のみを効率的に録音することができる。
【0091】
また、上述の実施形態では録音装置130と検出装置180とが、通信線155で直接接続されている例を示しており、通信線155を介して特徴情報や外線情報をやり取りする例が示されている。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、別の実施形態では、音声透かしの技術などを用いて、RTPパケットの音声データに、特徴情報や外線情報などを含めて通知してもよい。
【0092】
また、上述の実施形態では検出装置180を1つの装置として示しているが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、録音装置130が内線網に設置される場合には、検出装置180はゲートウェイ101に組み込まれてもよい。また、例えば、録音装置130が外線網に設置される場合には、検出装置180は構内交換機120に組み込まれてもよい。
【0093】
また、例えば、ゲートウェイ101や構内交換機120を跨いで内線網110で流通する内線番号や、外線網150で流通する相手局の電話番号などを取得するための手法として、内線電話機111に内線番号の音声信号を発信するアダプタを接続し、音声で内線番号を通知することも考えられる。しかしながら、この場合、内線電話機111のそれぞれにアダプタを接続したり、アダプタに個別の内線番号の音声信号を発信するように設定を行ったりする必要がある。しかしながら、上述の実施形態によれば、内線の電話機に個別にアダプタなどを設置しなくてもよい。また、例えば、内線網を流れるパケットと、外線網を流れるパケットとを監視すれば、アダプタに個別の内線番号の音声信号を発信するような設定を行わなくても、内線網で流通する内線番号や、外線網で流通する相手局の電話番号を取得することができる。
【0094】
また、上述のように、例えば、外線側のSIPメッセージおよびRTPパケットは暗号化されることがある。例えば、SIPメッセージがTLS(Transport Layer Security)等により暗号化されている場合や音声パケットがsRTP(Secure Real time Transport Protocol)等により暗号化されている場合は、B2BUA(Back to back User Agent)方式のセッションボーターコントローラ(SBC)がハブ152の代わりに配置されてよい。
【0095】
図17は、図1の通話録音システム100における外線網150の別の例を示す図である。図17では、ハブ152の代わりにSBC1701が配置されている。SBC1701は、例えば、B2BUA方式のセッションボーターコントローラであり、暗号化されたSIPメッセージ(TLS等)と音声パケット(sRTP等)を復号することができる。そして、SBCは、復号して得たSIPメッセージの内容(外線電話番号)と復号して得た音声パケット(RTP)とを検出装置に送信する。例えば、SBC1701は、外部の電話機から、IP-PBXなどの構内交換機120に対して発呼があった場合、ユーザエージェントサーバ(User Agent Sever)として動作し、ユーザエージェント1(User Agent1)がSIP/RTPを終端し、ユーザエージェント2(User Agent2)に受け渡す。即ち、SBC1701は、端的に、IP-PBX(本構成ではGW)のふりをする。また、IP-PBXなどの構内交換機120側から発呼があった場合も同様にユーザエージェント2が終端し、ユーザエージェント1に受け渡す。
【0096】
そして、外部の電話機との通信が暗号化されている場合、SBC1701のユーザエージェント1で暗号化および複合化が行われる。従って、SBC1701によれば、暗号化されていないSIPメッセージおよび音声パケットを検出装置に分配することが可能となる。
【0097】
なお、上述の実施形態において、例えば、S411、図11の処理、および1502aにおいて、録音装置130の制御部201は、内線処理部211として動作する。また、例えば、S406の処理では、録音装置130の制御部201は、保存部212として動作する。例えば、S609、図13の処理、および1502bにおいて、検出装置180の制御部301は、外線処理部311として動作する。
【0098】
図16は、実施形態に係る録音装置130および検出装置180を実現するためのコンピュータ1600のハードウェア構成を例示する図である。図16の録音装置130および検出装置180を実現するためのハードウェア構成は、例えば、プロセッサ1601、メモリ1602、記憶装置1603、通信インタフェース1606(例えば、1606aおよび1606b)、および入出力インタフェース1607を備える。なお、プロセッサ1601は、メモリ1602、記憶装置1603、通信インタフェース1606、入出力インタフェース1607と、例えば、バス1610を介して接続されている。
【0099】
プロセッサ1601は、例えば、シングルプロセッサであっても、マルチプロセッサやマルチコアであってもよい。プロセッサ1601は、メモリ1602を利用して例えば上述の動作フローの手順を記述したプログラムを実行することにより、上述した各部の一部または全部の機能を提供する。例えば、録音装置130のプロセッサ1601は、記憶装置1603に格納されているプログラムを読み出して実行することで、制御部201、内線処理部211、および保存部212として動作する。また、例えば、検出装置180のプロセッサ1601は、記憶装置1603に格納されているプログラムを読み出して実行することで、制御部301、および外線処理部311として動作する。
【0100】
メモリ1602は、例えば半導体メモリであり、RAM領域およびROM領域を含んでよい。記憶装置1603は、例えばハードディスク、フラッシュメモリ等の半導体メモリ、または外部記憶装置である。なお、RAMは、Random Access Memoryの略称である。また、ROMは、Read Only Memoryの略称である。
【0101】
上述の記憶部202および記憶部302は、例えばメモリ1602および記憶装置1603を含む。例えば、録音装置130の記憶装置1603には、内線番号情報500、通話の内線番号、外線情報、および録音データなどの情報が格納されてよい。また、例えば、検出装置180の記憶装置1603には、通話チャネル情報800およびチャンクハッシュ情報1400などの情報が格納されてよい。なお、録音装置130は、通話の録音データを蓄積していくため、記憶装置1603を備えていることが好ましい。一方、検出装置180は、通話の録音データの蓄積をしなくてもよく、一実施形態においては、記憶装置1603を含まなくてもよい。
【0102】
通信インタフェース1606は、プロセッサ1601の指示に従って他の装置とデータを送受信する。なお、通信インタフェース1606aは、例えば、ハブ122またはハブ152と接続するためのインタフェースであってよい。また、通信インタフェース1606bは、検出装置180と録音装置130との間の通信で用いられてよい。なお、一実施形態においては、通信インタフェース1606bは含まれていなくてもよい。その場合にも、特徴情報や外線情報は、例えば、特徴情報や外線情報などを表すDTMF(Dual-Tone Multi-Frequency)を生成し、RTPパケットの音声データに含めることで通知することができる。
【0103】
入出力インタフェース1607は、例えば、入力装置および出力装置との間のインタフェースであってよい。入力装置は、例えばユーザからの指示を受け付けるキーボードやマウスなどのデバイスである。出力装置は、例えばディスプレーなどの表示装置、およびスピーカなどの音声装置である。
【0104】
実施形態に係る各プログラムは、例えば、下記の形態で録音装置130および検出装置180に提供される。
(1)記憶装置1603に予めインストールされている。
(2)プログラムサーバなどのサーバから提供される。
【0105】
なお、図16を参照して述べた録音装置130および検出装置180を実現するためのコンピュータ1600のハードウェア構成は、例示であり、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、上述の機能部の一部が、置換されても、または削除されてもよく、或いは、新たな構成要素が追加されてもよい。また、別の実施形態では、例えば、上述の各部の一部または全部の機能がFPGAおよびSoCなどによるハードウェアとして実装されてもよい。なお、FPGAは、Field Programmable Gate Arrayの略称である。SoCは、System-on-a-chipの略称である。
【0106】
以上において、いくつかの実施形態が説明される。しかしながら、実施形態は上記の実施形態に限定されるものではなく、上述の実施形態の各種変形形態および代替形態を包含するものとして理解されるべきである。例えば、各種実施形態は、その趣旨および範囲を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できることが理解されよう。また、前述した実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより、種々の実施形態が実施され得ることが理解されよう。更には、実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してまたは置換して、或いは実施形態に示される構成要素にいくつかの構成要素を追加して種々の実施形態が実施され得ることが当業者には理解されよう。
【符号の説明】
【0107】
100 :通話録音システム
101 :ゲートウェイ
110 :内線網
111 :内線電話機
120 :構内交換機
122 :ハブ
130 :録音装置
150 :外線網
151 :光回線終端装置
152 :ハブ
155 :通信線
160 :IP電話網
170 :外線電話機
180 :検出装置
201 :制御部
202 :記憶部
203 :通信部
211 :内線処理部
212 :保存部
301 :制御部
302 :記憶部
303 :通信部
311 :外線処理部
1600 :コンピュータ
1601 :プロセッサ
1602 :メモリ
1603 :記憶装置
1606 :通信インタフェース
1607 :入出力インタフェース
1610 :バス


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17